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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061830
(43)【公開日】2024-05-08
(54)【発明の名称】レーザ治療器
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/008 20060101AFI20240426BHJP
【FI】
A61F9/008 120E
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024039488
(22)【出願日】2024-03-13
(62)【分割の表示】P 2019218468の分割
【原出願日】2019-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 孝紀
(57)【要約】
【課題】容易にかつ正確な照射位置を得ることのできるレーザ治療器を提供する。
【解決手段】レーザ治療器10は、光源(照準光源21、治療光源22)から出力された照射光Lを患者眼Eに照射するレーザ照射系38と、レーザ照射系38により照射光Lが照射された照射位置Ciを取得する照射位置取得部51と、患者眼Eの網膜画像Prに照射位置Ciを示す照射位置指標miを設けた照射位置画像Piを生成する照射位置画像生成部52と、照射位置画像Piを出力する出力部(表示ユニット16)と、照射位置Ciに照射光Lを照射した際のレーザ照射系38における照射条件を取得して照射位置Ciに対応付けた照射条件情報icを作成する情報作成部53と、を備える。出力部は、照射位置画像Pi上で任意の照射位置Ciが選択されると、選択された照射位置Ciに対応された照射条件情報icを出力させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出力された照射光を患者眼に照射する照射系と、
前記照射系により前記照射光が照射された照射位置を取得する照射位置取得部と、
前記患者眼の網膜画像に前記照射位置を示す照射位置指標を設けた照射位置画像を生成する照射位置画像生成部と、
前記照射位置画像を出力する出力部と、
前記照射位置に前記照射光を照射した際の前記照射系における照射条件を取得して前記照射位置に対応付けた照射条件情報を作成する情報作成部と、を備え、
前記出力部は、前記照射位置画像上で任意の前記照射位置が選択されると、選択された前記照射位置に対応された前記照射条件情報を出力させることを特徴とするレーザ治療器。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ治療器であって、
さらに、前記患者眼をスリット光で照明する照明系と、
前記スリット光で照明された前記患者眼のスリット画像を取得する撮影系と、
前記網膜画像を取得する画像取得部と、を備え、
前記照射位置取得部は、前記網膜画像における前記スリット画像の位置に基づいて前記照射位置を取得することを特徴とするレーザ治療器。
【請求項3】
前記照射位置取得部は、前記スリット画像から前記照射位置を抽出し、
前記照射位置画像生成部は、前記網膜画像における前記照射位置取得部が抽出した前記照射位置に前記照射位置指標を重畳することで、前記照射位置画像を生成することを特徴とする請求項2に記載のレーザ治療器。
【請求項4】
前記照射位置画像生成部は、前記患者眼における様々な位置の前記スリット画像を重ね合わせることで、前記照射位置画像を生成することを特徴とする請求項2に記載のレーザ治療器。
【請求項5】
前記スリット画像は、前記照射系により照射されている前記照射光を写しており、
前記照射位置取得部は、前記スリット画像における前記照射光の位置を前記照射位置とすることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のレーザ治療器。
【請求項6】
前記照射系は、照準を合わせるための照準光と、治療のための治療光と、を照射することができ、
前記スリット画像は、前記照射系による前記治療光の照射により形成された治療痕を写しており、
前記照射位置取得部は、前記スリット画像における前記治療痕の位置を前記照射位置とすることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のレーザ治療器。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のレーザ治療器であって、
さらに、前記照射位置画像を記憶する記憶部を備え、
前記出力部は、前記記憶部に記憶された前記照射位置画像を出力可能であることを特徴とするレーザ治療器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ治療器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ治療器は、様々な眼疾患の治療に用いられる。レーザ治療器は、患者眼の治療部位に所定パターンのレーザ光を照射することで、眼疾患の治療を行う(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-159070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、患者眼では、レーザ光を照射による治療の効果の有無の確認や、次にレーザ光を照射による治療を行うとき等に、レーザ光が照射された照射位置を把握できることが望ましい。ここで、従来のレーザ治療器は、治療を終えた術者が、治療時の記憶に基づいて患者眼における照射位置を紙や電子デバイス等に書き込むことにより、患者眼における照射位置を記録として残している。このため、従来のレーザ治療器は、治療行為の後に照射位置を記録する作業が必要となり面倒であるとともに、記憶に基づくものであるので正確な照射位置を得られない虞がある。
【0005】
本開示は、上記の事情に鑑みて為されたもので、容易にかつ正確な照射位置を得ることのできるレーザ治療器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、本開示のレーザ治療器は、光源から出力された照射光を患者眼に照射する照射系と、前記照射系により前記照射光が照射された照射位置を取得する照射位置取得部と、前記患者眼の網膜画像に前記照射位置を示す照射位置指標を設けた照射位置画像を生成する照射位置画像生成部と、前記照射位置画像を出力する出力部と、前記照射位置に前記照射光を照射した際の前記照射系における照射条件を取得して前記照射位置に対応付けた照射条件情報を作成する情報作成部と、を備え、前記出力部は、前記照射位置画像上で任意の前記照射位置が選択されると、選択された前記照射位置に対応された前記照射条件情報を出力させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示のレーザ治療器によれば、容易にかつ正確な照射位置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示に係るレーザ治療器の一例としての実施例1のレーザ治療器の全体構成を示す説明図である。
図2】レーザ治療器の制御系の構成を示すブロック図である。
図3】配列パターンの一例を示す説明図である。
図4】条件設定画面の一例を示す説明図である。
図5】網膜画像の一例を示す説明図である。
図6】スリット画像の一例を示す説明図である。
図7】網膜画像におけるスリット画像の位置に基づいて照射位置を取得する様子を示す説明図である。
図8】網膜画像に各照射位置指標を設けた照射位置画像の一例を示す説明図である。
図9】表示ユニットに表示させた照射位置画像上で指定された任意の照射位置の照射条件情報を表示している様子を示す説明図である。
図10】レーザ治療器の制御部で実行される照射位置表示処理(照射位置表示制御方法)を示すフローチャートである。
図11】複数のスリット画像で形成した照射位置画像の一例を示す説明図である。
図12】照射位置画像における照射位置指標において治療光の照射が途中で停止されたことを示す一例としての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示に係るレーザ治療器の一実施形態としてのレーザ治療器10の実施例1について図1から図12を参照しつつ説明する。図6では、スリット光Ls(細隙光)により照明されたスリット画像Psが、網膜Erの一部分である旨の理解を容易とするために、網膜Erにおけるスリット画像Ps以外の箇所を二点鎖線で示している。
【実施例0010】
レーザ治療器10は、様々な眼疾患の治療に用いられるものであり、患者眼Eの網膜Erの任意の位置にレーザ光を照射するものである。その治療は、例えば、隅角(線維柱帯を含む、角膜と虹彩との間の部位)にレーザ光を照射して房水の流出路を形成する緑内障の治療や、網膜光凝固術による糖尿病網膜症や加齢性黄斑変性症等の網膜疾患の治療が知られている。以下では、レーザ治療器10から患者に向かう方向を前方向とし、その逆方向を後方向とし、前方向に直交する水平方向を左右方向とし、前後方向および左右方向に直交する方向を上下方向とする。
【0011】
[全体構成]
レーザ治療器10は、図1に示すように、光源ユニット11とスリットランプ顕微鏡12と光ファイバ13と制御ユニット14と操作ユニット15と表示ユニット16とを備える。光ファイバ13は、1つ以上の導光路を有し、光源ユニット11とスリットランプ顕微鏡12とを光学的に接続する。制御ユニット14は、光源ユニット11とスリットランプ顕微鏡12と操作ユニット15と表示ユニット16とに信号の伝送が可能に接続されている。それらの接続は、信号の伝送が可能であれば、有線でも無線でもよい。
【0012】
光源ユニット11は、患者眼Eに照射する照射光Lを発生させる。光源ユニット11は、照準光源21と治療光源22とガルバノミラー23と遮光板24とを有する。照準光源21は、照射光Lとして、レーザ治療を施す部位に照準を合わせるための照準光Laを出射する。照準光Laは、術者眼EOにより認識可能な可視光とされる。照準光源21は、レーザ光源や発光ダイオード等の任意の発光部材を用いることができ、制御ユニット14の制御下で照準光Laをガルバノミラー23へ向けて出射する。
【0013】
治療光源22は、照射光Lとしての、治療用のレーザ光である治療光Ltを出射する。治療光Ltは、治療の用途に応じた波長のレーザ光であり、可視レーザ光でも不可視レーザ光でもよい。治療光源22は、異なる波長のレーザ光を発する単一のレーザ光源や複数のレーザ光源が用いられ、制御ユニット14の制御下で治療光Lt(複数の場合には選択された波長のレーザ光)をガルバノミラー23へ向けて出射する。この照準光源21と治療光源22とは、それぞれ連続的に光を出射するものとされる。このため、光源ユニット11は、照射光Lとして照準光Laおよび治療光Ltを出射できる。
【0014】
ガルバノミラー23は、反射面を有するミラーと、ミラーの向き(反射面の向き)を変更するアクチュエータと、を有し、制御ユニット14の制御下でミラーの向きが調節される。ガルバノミラー23では、照射光Lとしての照準光Laと治療光Ltとが、互いに等しい位置(箇所)に向けて進行され、それぞれを等しい方向へ向けて反射する。ガルバノミラー23(反射面)の向きは、少なくとも、照射光Lを光ファイバ13に向けて反射させる向き(照射用向き)と、照射光Lを遮光板24に向けて反射させる向き(停止用向き)と、に調節される。
【0015】
ガルバノミラー23は、照射用向きとされると、照射光Lすなわち照準光Laおよび治療光Ltを光ファイバ13へと進行させることで、照射光Lで患者眼Eを照射させる。ガルバノミラー23は、停止用向きとされると、照射光Lを遮光板24へと進行させる。その遮光板24は、遮光作用を有するものであり、例えば、照射光Lを吸収する作用を有する材料または形態とされて構成されている。光源ユニット11は、ガルバノミラー23を照射用向きとすることで、照射光Lを患者眼Eに照射させ、ガルバノミラー23を停止用向きとすることで、患者眼Eに対する照射光Lの照射を停止させる。
【0016】
なお、照準光源21と治療光源22とは、断続的に光を発生可能に、すなわちパルス光を発生可能に構成されてもよい。この場合、照準光源21と治療光源22とは、制御ユニット14によりパルス制御される。この構成とすると、照準光源21からの照準光Laと治療光源22からの治療光Ltとのそれぞれの出射を任意に断続できるので、ガルバノミラー23および遮光板24を設けなくてもよい。また、光源ユニット11では、ガルバノミラー23から光ファイバ13へと向かう光路上において、光ファイバ13の端面に入射させるレンズ等の光学素子を設けてもよく、それ以外の箇所に他の部材を設けてもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0017】
スリットランプ顕微鏡12は、患者眼Eの前眼部や眼底Ef(網膜Er)を観察するものであり、患者眼Eをスリット光Ls(細隙光)で照明し、その照明野(スリット光Lsで照明された領域)を拡大した状態での術者(その術者眼EO)等による観察を可能とする(図6参照)。なお、スリットランプ顕微鏡12は、患者眼Eの前眼部や眼底Efの観察を可能とすれば、手術用顕微鏡や、倒像鏡や、眼内挿入タイプの観察装置等を用いてもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0018】
スリットランプ顕微鏡12は、照明部31と観察部32と接眼部33とレーザ照射部34とを有する。照明部31は、スリットランプ顕微鏡12の光学系の一部としての照明系35を格納する。その照明系35は、患者眼Eを観察するための照明光を出射するもので、照明光源35aとスリット絞り35bとを有する。照明光源35aは、少なくとも可視光の波長帯域を含む照明光を出射するもので、単一の部材または複数の部材で構成される。照明光源35aは、複数の部材で構成される場合、例えば、定常光を出力する部材(ハロゲンランプ、LED等)とフラッシュ光を出力する部材(キセノンランプ、LED等)とで構成してもよく、前眼部観察用の部材と眼底観察用の部材とを別々に設けて構成してもよい。また、照明光源35aは、赤外光の波長帯域の光を併せて出射するものでもよい。この場合、照明光源35aは、単一の部材で構成してもよく、可視光に対応する部材と赤外光に対応する部材との双方を設ける構成としてもよい。
【0019】
スリット絞り35bは、スリット光Lsを生成するためのスリットを形成するもので、一対のスリット刃を有する。スリット絞り35bは、制御ユニット14の制御下で絞り駆動部35c(図2参照)が駆動されることで、両スリット刃の間隔が変更可能とされているとともに照明系35の光軸を回転中心として両スリット刃が一体的に回転可能とされている。スリット絞り35bは、スリット刃の間隔を調節されることでスリット幅が調節され、両スリット刃の回転姿勢を調節されることでスリットの向きが調節される。
【0020】
照明系35は、スリット絞り35bの他にレンズやフィルタや偏向部材や拡散板が適宜組み合わされて構成され、照明光源35aから出射された照明光をスリット絞り35bで所望の幅寸法および向きのスリット光Lsとして出射させる。なお、照明系35では、スリット絞り35b以外の絞り部材を設けてもよい。その絞り部材は、例えば、照明光の光量を変更するための光量絞りや、照明野のサイズを変更するための照明野絞りや、照明光の光量や照明野のサイズを変更する液晶シャッタがある。
【0021】
照明部31は、照明系35の光軸の向きを左右方向および上下方向に変更可能に構成されている。このため、照明系35は、患者眼Eに対する照明方向および位置を任意に調整可能とされ、患者眼Eの任意の位置をスリット光Lsで照射できる。なお、照明系35は、スリット光Lsによる照明野の背景領域を照明する背景光源を有していてもよい。
【0022】
観察部32は、スリットランプ顕微鏡12の光学系の一部としての観察系36と撮影系37とを格納する。観察系36は、患者眼Eからのスリット光Ls(照明光)等の戻り光を術者眼EOに案内するもので、左右両眼での観察を可能とする左右一対の光学系とされている。観察系36は、変倍レンズ36aと保護フィルタ36bと接眼レンズ36cとを有する。変倍レンズ36aは、観察系36の光軸上で移動可能とされた1つ以上のレンズで構成され、制御ユニット14の制御下で変倍駆動部36d(図2参照)が駆動される、もしくは手動で位置が調節されることで、術者眼EOが観察する観察像を任意の倍率(画角)とする。なお、変倍レンズ36aは、複数の異なる変倍レンズ群を交換可能に設けて構成することもできる。
【0023】
保護フィルタ36bは、治療光Ltの透過を阻むフィルタであり、治療光Ltが術者眼EOに進行することを防止することで、術者眼EOを治療光Ltから保護する。保護フィルタ36bは、制御ユニット14の制御下で、保護フィルタ駆動部36e(図2参照)が駆動されることで、観察系36の光軸に対して出し入れ可能とされている。保護フィルタ36bは、例えば、レーザ治療の開始の信号やそれに伴う治療光Ltの出力の信号を受けると光軸上に挿入され、それ以外の通常の観察時には光軸上から退避される。これにより、観察系36は、患者眼Eの観察を可能としつつ、術者眼EOを治療光Ltから保護できる。
【0024】
接眼レンズ36cは、接眼部33に格納されている。すなわち、観察系36は、観察部32から接眼部33に至る構成とされており、接眼部33に設けられた接眼レンズ36cを経て、患者眼Eの観察を可能とする。観察系36は、上記の部材(36aから36c)の他に、対物レンズや結像レンズや偏向部や視野絞りが適宜組み合わされて構成され、患者眼Eからの戻り光を適宜変倍レンズ36aで変倍しつつ接眼レンズ36cへと進行させる。ここで、観察部32は、観察系36の光軸の向きを左右方向および上下方向に変更可能に構成されている。このため、観察系36は、患者眼Eに対する観察方向および倍率を任意に変更することができ、患者眼Eの任意の位置を接眼部33の接眼レンズ36cから観察できる。
【0025】
撮影系37は、患者眼Eを撮影するもので、観察系36の光路上で変倍レンズ36aよりも接眼レンズ36c側に設けられたビームスプリッタにより分岐されて形成されている。撮影系37は、撮像素子37aを有する。撮像素子37aは、受光面に導かれた光を受光して電気信号(画像信号)に変換して出力するもので、例えば、CCD(Charge Coupled Devise)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等で構成される。撮像素子37aは、治療光Ltの波長帯域に感度を有するものを用いることで、後述するように治療光Ltが照射している画像も取得できる。撮影系37は、適宜結像レンズが設けられ、観察系36により接眼レンズ36cへと導かれる患者眼Eの観察像と等しい観察像を撮像素子37a上に形成する。撮像素子37aは、形成された観察像を電気信号(画像信号)に変換して、制御ユニット14に出力する。なお、撮影系37は、観察系36における左右一対の光学系の双方に設けられていてもよく、一方のみに設けられていてもよい。ここで、撮影系37は、双方に設けられている場合、観察像を立体画像(ステレオ画像)として取得できる。
【0026】
撮影系37は、上記の構成により、照明系35によりスリット光Lsで照明された状態の患者眼Eの画像を取得することで、患者眼Eにおけるスリット光Lsで照明された照明野の画像であるスリット画像Ps(図6参照)を取得できる。このスリット画像Psは、長尺な矩形状とされており、後述する網膜画像Prの一部分を示したものとなる。なお、スリット画像Psは、撮影系37の光学的な設定により、上下左右が反転した状態となる。このため、スリット画像Psは、後述する制御部41により、上下左右を反転させて後述する画像取得部43で取得した網膜画像Prに合わせた状態、すなわち術者から患者眼Eを見た状態に合わせたものとして取り扱われる。
【0027】
レーザ照射部34は、スリットランプ顕微鏡12の光学系の一部としてのレーザ照射系38を格納する。レーザ照射系38は、光源ユニット11から光ファイバ13を介してスリットランプ顕微鏡12に伝送された照射光Lを、患者眼Eへと導く光学系(照射系)であり、光スキャナ38aを有する。光スキャナ38aは、制御ユニット14の制御下で照射光Lを2次元的に偏向させるもので、例えば一対のガルバノスキャナで構成される。レーザ照射系38は、光スキャナ38aの他にコリメータレンズやミラーやリレーレンズやコリメータレンズや偏向部材が適宜組み合わされて構成され、光ファイバ13から導かれた照射光Lで患者眼Eを照射する。このとき、レーザ照射系38は、光スキャナ38aにより進行方向を変化させることで、患者眼Eにおける照射位置を変化させることができる。
【0028】
[制御系の構成]
次に、レーザ治療器10の制御ユニット14の構成を、図2を用いて説明する。制御ユニット14は、制御部41を有する。制御部41は、接続された記憶部42または内蔵する内部メモリ41aに記憶したプログラムを例えばRAM(Random Access Memory)上に展開することにより、レーザ治療器10の各部の動作を統括的に制御する。実施例1では、内部メモリ41aは、RAM等で構成され、記憶部42は、ROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等で構成される。
【0029】
制御部41には、操作ユニット15と表示ユニット16とが接続されている。操作ユニット15は、各種のハードウェアキーやソフトウェアキー(GUI)等で構成される。ハードウェアキーは、例えば、スリットランプ顕微鏡12に設けられたボタンやハンドルやノブや、スリットランプ顕微鏡12に接続されたコンピュータ(制御ユニット14等)に設けられたキーボードやポインティングデバイス(マウスやトラックボール等)やコントロールレバーや、別途に設けられたフットスイッチ(足での操作が可能とされたスイッチ)や操作パネル等がある。ソフトウェアキーは、例えば、スリットランプ顕微鏡12や表示ユニット16に表示される。制御部41は、操作ユニット15に為された操作(その情報)の取得が可能とされており、その操作ユニット15への操作に応じて、レーザ治療器10の動作を制御する。
【0030】
表示ユニット16は、制御部41の制御下で、各種の情報を表示する。表示ユニット16は、LCD等のフラットパネルディスプレイ、CRTディスプレイなどの任意の表示デバイスで構成される。表示ユニット16は、例えば、スリットランプ顕微鏡12や制御ユニット14(コンピュータ)に設けられる。
【0031】
制御部41には、光源ユニット11の照準光源21と治療光源22とガルバノミラー23と、照明系35の照明光源35aと、撮影系37の撮像素子37aと、レーザ照射系38の光スキャナ38aと、が接続されている。また、制御部41には、照明系35のスリット絞り35bを駆動する絞り駆動部35cと、観察系36の変倍レンズ36aを駆動する変倍駆動部36dと、観察系36の保護フィルタ36bを駆動する保護フィルタ駆動部36eと、が接続されている。
【0032】
制御部41は、照準光源21および治療光源22の点灯と、ガルバノミラー23の駆動と、を連動させて制御することで、照準光Laと治療光Ltとを適宜切り替えて光源ユニット11から出射させる。また、制御部41は、光源ユニット11の動作に連動させてレーザ照射系38の光スキャナ38aを制御することで、患者眼Eにおける任意の位置を照射光L(照準光Laや治療光Lt)で照射できる。さらに、制御部41は、レーザ照射系38による照射位置に合わせて、照明系35における照明光源35aおよび絞り駆動部35cを介してスリット絞り35bを駆動することで、スリット光Lsの照明野内での照射光Lの照射位置を調整できる。制御部41は、レーザ照射系38による照射に合わせて、観察系36における変倍駆動部36dおよび保護フィルタ駆動部36eを駆動することで、術者眼EOを治療光Ltから保護しつつ患者眼Eにおける照準光Laの照射位置を所望の倍率で、接眼レンズ36cを介しての被写体像の観察を可能とする。制御部41は、撮影系37の撮像素子37aから入力される撮像信号、つまり、撮像素子37aによって光電変換された被写体像を取得し、その被写体像を表示ユニット16で表示させることで、表示ユニット16での被写体像の観察を可能とする。
【0033】
レーザ治療器10は、ケーブル等を介して商用電源から制御部41に電力が供給され、制御部41が光源ユニット11とスリットランプ顕微鏡12と操作ユニット15と表示ユニット16とに電力を供給する。レーザ治療器10では、上記した構成の他に、測定完了信号や測定者からの指示に応じて測定結果(後述の照射位置画像Piを含む)を印字するプリンタや、測定結果を外部メモリやサーバーに出力する出力部を適宜設けることができる。
【0034】
[照射条件]
レーザ治療器10では、予め設定された様々な照射条件で照射光Lが患者眼Eに照射される。この照射条件は、照射光Lを照射する照射スポットの配列パターンP(配列条件(図3参照))や、その配列パターンPのサイズ(配列サイズ条件)、配列パターンPの向き(配列方向条件)、各照射スポットのサイズ(照射スポットサイズ条件)、各照射スポットの間隔(照射スポット間隔条件)等がある。また、照射条件は、照射光Lの治療光Ltにおける、強度(パワー)や照射時間や波長等もある。照射条件は、記憶部42に記憶されており、操作ユニット15への操作に対応するものが制御部41により記憶部42から適宜読み出される。制御部41(制御ユニット14)は、読みだした照射条件に応じて、従来のパターン照射型のレーザ治療器と同様に、上記の各部(符号11、12、15、16)を制御する。
【0035】
配列パターンPは、操作ユニット15に為されるレーザ光の照射の操作に対して照射光Lが照射される位置を示すものであり、単一の照射スポットから複数の照射スポットが整列されているものまで様々な種類が設定される。その配列パターンPの一例を図3に示す。図3の例では、左側に単一の照射スポットとされた配列パターンPを示しており、中心の1点を照射光Lで照射する。また、図3の例では、真ん中に9個の照射スポットが正方形状に整列された配列パターンPを示しており、所定の順番で9回の照射光Lによる照射が行われる。図3の例では、右側に扇形を形作るように複数の照射スポットが並べられた配列パターンPを示しており、所定の順番で複数回の照射光Lによる照射が行われる。この配列パターンPの所定の順番での照射は、レーザ照射系38の光スキャナ38aによる偏向により行われる。
【0036】
制御部41は、照射条件の設定のために、図4に示すように、条件設定画面Ssを表示ユニット16に表示させる。この条件設定画面Ssは、下部にパターン形状設定部M1とスポット数設定部M2とを設け、真ん中にパターン表示部M3を設け、その外形に沿って明るさ調整部M4を設けている。パターン形状設定部M1は、予め設定された配列パターンPの複数の配列条件(配列の態様)からの選択を可能とする。スポット数設定部M2は、選択された配列条件における照射スポットの個数の選択を可能とする。パターン表示部M3は、パターン形状設定部M1とスポット数設定部M2とにより設定された配列パターンPを表示する。明るさ調整部M4は、パターン表示部M3に表示された配列パターンPの明るさの調整を可能とする。
【0037】
また、条件設定画面Ssは、パターン表示部M3の左側に、照射強度設定部M5と照射時間設定部M6とエンドポイント設定部M7とを設けている。照射強度設定部M5は、治療光Ltにおける照射強度の設定を可能とする。照射時間設定部M6は、治療光Ltにおける照射時間の設定を可能とする。エンドポイント設定部M7は、治療光Ltにおける照射量の調整を可能とする。この照射量は、照射強度と照射時間との関係性で定まるもので、治療光Ltにより照射された照射痕の程度(視認の可否や照射の深さ等)を変化させるものである。エンドポイント設定部M7は、照射強度設定部M5と照射時間設定部M6とで照射強度と照射時間とが設定されると、その双方を満たす条件を100%として、それに対する割合を示す数値で設定することができ、図4に示す例では50%とされている。なお、照射強度と照射時間とは、エンドポイント設定部M7で設定された数値に対してどのような割合で変化させるかは予め設定されており、それぞれ割合が単純に設定された数値とされてもよく、双方の割合が異なるものとされてもよい。
【0038】
さらに、条件設定画面Ssは、上部に照射回数表示部M8と波長設定部M9と設定一覧呈示部M10とコンタクトレンズ設定部M11とを設けている。照射回数表示部M8は、現時点で治療光Ltを照射した回数、すなわち照射した照射スポット(照射痕)を形成した個数を表示する。図4の照射回数表示部M8は、上側に治療を開始してから照射した回数を示し、下側に操作ユニット15にカウントの開始の操作が為された後に照射した回数を示している。波長設定部M9は、照射する治療光Ltの波長の設定を可能とする。設定一覧呈示部M10は、選択されると、設定できる項目を一覧表示する。
【0039】
コンタクトレンズ設定部M11は、患者眼Eに宛がわれるコンタクトレンズCL(図1参照)の種類の設定を可能とする。このコンタクトレンズCLは、眼底Efや隅角のレーザ治療の際に患者眼Eに宛がわれるもので、各種のレーザ治療を行うために形成されており、倍率や形態が異なる複数が用いられる。術者は、治療種別や治療部位や患者眼Eの状態などに応じてコンタクトレンズを選択し、その選択したコンタクトレンズに合わせてコンタクトレンズ設定部M11でも選択する。
【0040】
加えて、条件設定画面Ssは、右側にスポット径設定部M12とスポット間隔設定部M13とを設けている。スポット径設定部M12は、治療光Ltを照射する際の照射スポットの径寸法の設定を可能とする。スポット間隔設定部M13は、治療光Ltを照射する際の隣接する照射スポット同士の間隔の設定を可能とする。この間隔は、実施例1では隣接する両照射スポットの中心位置の間隔としており、実施例1のスポット間隔設定部M13は、スポット径設定部M12で設定した照射スポットの径寸法(Φ)に対する比率で設定するものとしている。
【0041】
[画像取得の構成]
制御部41は、図2に示すように、画像取得部43に接続されている。画像取得部43は、スリット光Lsの照明野を含む患者眼Eの画像を取得するもので、例えば、スリット絞り35bを全開にした状態における撮影野(照明野)と等しい広さの範囲またはそれより広い範囲とされる。図5は、患者眼Eの画像の一例としての患者眼Eにおける網膜の全体を写した網膜画像Prを示す。この網膜画像Prは、レーザ治療器10の撮影系37で取得した画像を用いることができる。この場合、画像取得部43は、撮影系37の撮像素子37aからの撮像信号として網膜画像Prを取得する。なお、画像取得部43は、撮影系37とは別に患者眼Eを撮影するための構成としてレーザ治療器10に設けられていてもよい。
【0042】
また、網膜画像Prは、眼底カメラで取得した画像や、共焦点走査型レーザ検眼鏡(SLO(Scanning Laser Ophthalmoscope))で取得したSLO画像や、光干渉断層計(OCT(Optical Coherence Tomography))で取得したOCTプロジェクト画像(各断面情報を重ね合わせた状態を正面側から見たもの)とすることができる。なお、眼底カメラで取得した画像は、静脈注射をした網膜を映し出したFA画像でもよく、カラー眼底画像でもよい。他にも、網膜画像Prは、赤外光を用いて撮影された赤外画像、所定成分が除外された可視光を用いて撮影された画像(レッドフリー画像等)、患者に蛍光剤を投与して撮影された蛍光造影画像、蛍光剤を投与せずに撮影された自発蛍光造影画像(自家蛍光造影画像)、スリットランプ顕微鏡を用いて取得された画像(前眼部像、眼底像、隅角像等)、超音波診断装置を用いて取得された超音波画像、MRIを用いて取得されたMRI画像等がある。これらの場合、画像取得部43は、無線または有線で接続された上記の機器から直接または間接的に網膜画像Pr(そのデータ)を取得する。なお、網膜画像Prを取得する機器は、患者眼Eの網膜画像Prを取得するものであればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0043】
[治療時の動作]
レーザ治療器10では、術者が患者の患者眼EにコンタクトレンズCLを宛がった状態で、術者(術者眼EO)が、患者眼Eの網膜Erにおける任意の位置に照明系35でスリット光Lsを照射しつつ、その照明野を観察系36により観察する。このとき、術者は、照明部31や観察部32を調整して照明系35や観察系36の光軸の向きを調整することで、観察する位置を調整する。このとき、網膜Erには、スリット光Lsによる照明野において、光源ユニット11の照準光源21からの照準光Laが、設定された照射条件に応じた態様で照明されている(図6参照)。このため、術者は、スリット光Lsによる照明野におけるどの位置に照準光Laを照射させているのかを容易に把握することができ、所望の位置となると治療光Ltの照射の開始の操作を行う。レーザ治療器10は、この照射の開始の操作を、操作ユニット15の一部としてのフットスイッチで行うものとしており、踏み込むと治療光Ltを照射するものとしている。
【0044】
すると、レーザ治療器10では、照準光Laを照射させている位置に治療光Ltを照射しつつ、観察部32を介して治療光Ltが術者眼EOに至ることを保護フィルタ36bにより防止し、治療光Ltの照射を終えると観察部32により照明野の観察を可能とする。これにより、術者は、術者眼EOが保護されているとともに、スリット光Lsによる照明野において、直前まで視認していた照準光Laの照射位置もしくは照射後の網膜Erの状態(照射痕)から治療光Ltにより照射された位置を把握できる。
【0045】
なお、レーザ治療器10は、治療光Ltを照射する際、各部において異常を検知した場合、治療光Ltの照射を直ちに停止する。このため、レーザ治療器10は、複数の照射スポットを形成する照射条件が設定されている場合、異常を検知すると、この照射条件の数の照射スポットを形成している途中でも治療光Ltの照射を停止する。例えば、レーザ治療器10は、図3の真ん中のように9個の照射スポットを形成する照射条件とされている場合であって、5個目の照射スポットに治療光Ltを照射した際に異常を検知すると、直ちに治療光Ltの照射を停止することで、6個目以降の照射スポットに治療光Ltを照射しない。これにより、レーザ治療器10は、患者眼Eに対して、レーザ治療を行いつつ適切に保護できる。
【0046】
[照射位置の記録の構成]
制御部41は、照射光Lによる照射位置Ciを示す照射位置画像Piを出力する照射位置画像の生成のために、照射位置取得部51と照射位置画像生成部52と情報作成部53と出力制御部54と備える。
【0047】
照射位置取得部51は、画像取得部43で取得した網膜画像Prに対する、撮影系37で取得したスリット画像Psの位置に基づいて照射位置Ciを取得する。照射位置Ciは、レーザ照射系38により治療光Ltが照射された位置(照射スポット)を示すものである。照射位置取得部51は、画像取得部43から網膜画像Pr(図5等参照)を取得するとともに、撮影系37からスリット画像Ps(図6等参照)を取得する。そして、照射位置取得部51は、図6に示すように、スリット画像Psを画像解析することで、スリット画像Psに写された血管を示すスリット側血管像Ibsと、スリット画像Psに写された照射スポットの照射スポット像Iiとを抽出する。
【0048】
ここで、スリット画像Psに写された照射スポットは、治療光Ltが照射される直前に照準光Laが照射している位置、治療光Ltが照射している位置、および治療光Ltの照射による照射痕の位置、の3つを対象にできる。このため、照射位置取得部51は、スリット画像Psとして、解析対象とする照射スポットに応じて、治療光Ltが照射される直前に照準光Laが照射している画像、治療光Ltが照射している画像、または照射痕の画像を、画像取得部43から取得する。この照射スポット像Iiは、スリット画像Psにおける全ての照射スポットを示すものであり、1つの場合もあれば複数の場合もあり、図6に示す例では9つとしている。照射位置取得部51は、照準光Laや治療光Ltが照射されている様子または照射痕を、スリット画像Psのみから抽出してもよく、照準光Laや治療光Ltが照射されてなく照射痕が形成されていない画像とスリット画像Psとの比較により抽出してもよい。この比較する画像は、画像取得部43で取得した網膜画像Prを用いてもよく、スリットランプ顕微鏡12を介した光源ユニット11による治療光Ltの照射位置を定めるエイミング時のスリット画像Psを取得して用いてもよく、他の網膜画像を用いてもよい。
【0049】
また、照射位置取得部51は、スリット側血管像Ibsの抽出と同様に、図5に示すように、網膜Erの全体が移る網膜画像Prを画像解析することで、網膜画像Prに写された血管を示す全体側血管像Ibaを抽出する。そして、照射位置取得部51は、図7に示すように、スリット側血管像Ibsが全体側血管像Ibaに一致する位置および向きを検出し、それらを一致させるように網膜画像Prにスリット画像Psを重ねる。そして、照射位置取得部51は、網膜画像Prにおいて、重ねたスリット画像Psの照射スポット像Iiの位置(その座標データ)を、照射位置Ciとして取得する。この照射位置Ciは、網膜画像Prにおける各照射スポットの位置を示すものとなる。
【0050】
照射位置取得部51は、スリットランプ顕微鏡12を介した光源ユニット11による治療光Ltの照射が為される毎に、上記した照射位置Ciの取得の動作を行う。すなわち、照射位置取得部51は、設定された照射条件での治療光Ltの照射が行われる度に撮影系37からスリット画像Psを取得し、その各スリット画像Psにおいて照射位置Ciを上記のように取得する。このとき、照射位置取得部51は、画像取得部43から取得した同一の網膜画像Prを用いるものとする。このため、網膜画像Prでは、多くの照射位置Ciの情報が関連付けられることとなる。
【0051】
照射位置画像生成部52は、図8に示すように、照射位置取得部51で取得した照射位置Ciすなわち網膜画像Prにおける全ての照射スポットの位置に照射位置指標miを重畳して、照射位置画像Piを生成する。その照射位置指標miは、照射位置Ciすなわち治療光Ltが照射された照射スポットを示すものであり、実施例1では網膜画像Pr上での照射スポットの大きさに合わせた円形の記号としている。なお、照射位置指標miは、各照射スポットを示すものであればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0052】
情報作成部53は、照射位置取得部51で取得した各照射位置Ciを治療光Ltで照射した際のレーザ照射系38における照射条件を取得して、各照射位置Ciに対応させた照射条件情報icを作成する(図9参照)。照射条件情報icは、治療光Ltで照射した際の照射条件であり、実施例1では照射日時と照射強度と照射時間とコンタクトレンズCLの種類(特性)とを含むものとしている。照射条件情報icは、その他には、治療光Ltの波長や照射量や照射スポット径やその間隔や照射回数等や、その他の治療光Ltでの照射の際の設定等を含むものとしてもよい。これにより、各照射位置Ciには、照射日時や強度や照射時間やコンタクトレンズCLの種類等を示す照射条件情報icが個別に対応されることとなる。
【0053】
出力制御部54は、図9に示すように、照射位置画像生成部52が生成した照射位置画像Piを表示ユニット16に表示させる出力制御を行う。実施例1の出力制御部54は、表示ユニット16に表示させた照射位置画像Piにおいて各照射位置Ciの選択を可能とするとともに、いずれかの照射位置Ciが選択されるとそれに対応された照射条件情報ic(それを示す表示欄の画像)を表示させる。この選択は、例えば、照射位置画像Pi上でカーソルを任意の照射位置Ci上に移動させることや、照射位置Ciの一覧表を表示させてその一覧表上で選択対象を変位させること、があげられる。そして、出力制御部54は、照射位置画像Pi上でカーソルが任意の照射位置Ci上に移動されたり一覧表上で任意の照射位置Ciが選択対象とされたりすると、任意の照射位置Ciに対応された照射条件情報icを表示させる。なお、照射条件情報icは、例えば、照射日時や強度や照射時間等の項目を選択可能とし、選択された項目を複数の範囲に分類し、分類された範囲毎に照射位置指標miを異なる色とすることで、全体の分布や所望の照射位置Ciでの値を一見して把握可能としてもよい。また、照射条件情報icの表示は、各照射位置Ciにおける照射条件の把握を可能とするもの、すなわち照射位置指標miに対応付けて照射条件情報icを出力するものであればよく、実施例1の構成に限定されない。このため、表示ユニット16は、照射位置画像Piを出力する出力部の一例として機能する。
【0054】
制御部41は、照射位置画像生成部52が生成した照射位置画像Piや、情報作成部53が作成した照射条件情報icを、適宜記憶部42に記憶させる。そして、出力制御部54は、操作ユニット15への操作に応じて、記憶部42に記憶した照射位置画像Piや照射条件情報icを適宜読みだして、表示ユニット16に表示させる。これにより、表示ユニット16は、レーザ治療の終了時以外にも、過去のレーザ治療の照射位置画像Piや照射条件情報icを表示させることができる。
【0055】
[照射位置表示処理構成]
次に、レーザ治療器10を用いて、照射位置Ciを出力部の一例としての表示ユニット16に表示させる一例としての照射位置表示処理(照射位置表示制御方法)について、図10を用いて説明する。この照射位置表示処理は、記憶部42または内部メモリ41aに記憶されたプログラムに基づいて、制御部41が実行する。以下では、この図10のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。この図10のフローチャートは、レーザ治療器10が起動されてブラウザまたはアプリが立ち上がって表示ユニット16が表示され、レーザ治療が開始されることにより開始される。
【0056】
ステップS1では、網膜画像Prを取得して、ステップS2へ進む。このステップS1は、画像取得部43から網膜画像Prを取得する。なお、ステップS1は、ステップS4よりも前に行えばよく、実施例1の順番に限定されない。
【0057】
ステップS2では、スリット画像Psを取得して、ステップS3へ進む。このステップS2は、患者眼Eにおける照明系35によりスリット光Lsで照明された照明野のスリット画像Psを撮影系37から取得する。このスリット画像Psは、照射位置取得部51での照射スポット像Iiの抽出の方法に合わせたものとされる。すなわち、スリット画像Psは、治療光Ltが照射される直前に照準光Laが照射している画像、治療光Ltが照射している画像、または照射痕の画像のいずれかとされる。
【0058】
ステップS3では、レーザ治療をし終えたか否かを判断し、YESの場合はステップS4へ進み、NOの場合はステップS2に戻る。ステップS3は、レーザ治療をし終えたか否か、すなわち術者が患者眼Eに対して所望の位置や所望の回数の治療光Ltの照射を完了したか否かを判断する。ステップS3は、例えば、操作ユニット15からレーザ治療を終了させる旨の操作の信号を受けるとし終えたものと判断し、それ以外の場合には測定を継続していると判断する。なお、このレーザ治療をし終えたか否かの判断は、操作ユニット15から照射位置画像Pi(そのデータ)を外部に送信させたりする操作の信号を受けると、し終えたものと判断してもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0059】
ステップS4では、照射位置Ciを取得して、ステップS5へ進む。このステップS4は、照射位置取得部51が、画像取得部43から取得した網膜画像Prの全体側血管像Ibaと、撮影系37から取得したスリット画像Psのスリット側血管像Ibsと、を一致させて網膜画像Prに各スリット画像Psを重ねる。そして、ステップS4は、照射位置取得部51が、その重ねた状態における各照射スポット像Iiの位置に基づいて、網膜画像Prにおける各照射位置Ciを取得する。その各照射スポット像Iiは、治療光Ltが照射される直前に照準光Laが照射している位置、治療光Ltが照射している位置、または治療光Ltの照射による照射痕の位置が抽出される。
【0060】
ステップS5では、照射位置画像Piを生成して、ステップS6へ進む。このステップS5は、照射位置画像生成部52が、ステップS4で取得した各照射位置Ciに基づいて、ステップS1で取得した網膜画像Prに各照射位置指標miを重畳して照射位置画像Piを生成する。
【0061】
ステップS6では、照射条件情報icを作成して、ステップS7へ進む。このステップS6は、情報作成部53が、ステップS4で取得した各照射位置Ciに対応させた照射条件情報icを作成する。
【0062】
ステップS7では、照射位置画像Piを表示させて、この照射位置表示処理を終了する。このステップS7は、出力制御部54が、ステップS5で生成した照射位置画像Piにおいて各照射位置Ciの選択を可能として表示ユニット16に表示させる。このとき、ステップS7は、照射位置画像Piでいずれかの照射位置Ciが選択されると、それに対応された照射条件情報icを表示させる。
【0063】
このように、レーザ治療器10は、レーザ治療をし終えると、照射位置画像Piを表示ユニット16に表示させることができる。その照射位置画像Piは、網膜画像Pr上にレーザ治療による各照射スポットの位置に合わせて照射位置指標miを重畳しているので、網膜画像Prにおける各照射位置Ciを正確に把握させることができる。ここで、照射位置画像Piに用いる網膜画像Prは、上述したように眼底カメラで取得した画像やSLO画像やOCTプロジェクト画像やFA画像やカラー眼底画像や赤外画像やレッドフリー画像や蛍光造影画像や蛍光剤を投与せずに撮影された自発蛍光造影画像や超音波画像やMRI画像等を用いることができる。このため、レーザ治療器10は、被検者の症状に対応する網膜画像Prを用いて照射位置画像Piを生成することで、被検者の症状に応じて適切に対応する照射位置画像Piを出力することができ、それを用いた診断等をより容易にかつより適切なものにできる。
【0064】
また、レーザ治療器10は、スリット画像Psにおける治療光Ltが照射される直前に照準光Laが照射している位置、治療光Ltが照射している位置、または治療光Ltの照射による照射痕の位置に基づいて求めた各照射位置Ciから、照射位置画像Piを自動的に生成している。このため、レーザ治療器10は、治療を終えた術者が、治療時の記憶に基づいて患者眼Eにおける照射位置を紙や電子デバイス等に書き込む作業を行う必要がないので、レーザ治療の負担を軽減できる。また、レーザ治療器10は、照射位置画像Piを、実際の照準光Laまたは治療光Ltの照射位置、もしくは治療痕に基づいて生成しているので、正確な各照射位置Ciを得ることができる。
【0065】
ここで、レーザ治療器10は、直前に照準光Laが照射している位置または治療光Ltが照射している位置に基づいて各照射位置Ciを求めると、照射痕の有無に関わらず適切に各照射位置Ciを求めることができる。これは、エンドポイント設定部M7での治療光Ltにおける照射量の調整によっては、治療光Ltを照射しても照射痕が残らない場合があることによる。また、レーザ治療器10は、治療光Ltが照射している位置または照射痕の位置に基づいて各照射位置Ciを求めると、実際に治療光Ltが照射された位置を各照射位置Ciとすることができる。これは、後述するように、照準光Laが照射されている位置の全てに治療光Ltが照射されない場合があることによる。
【0066】
さらに、レーザ治療器10は、照射位置画像Piに加えて照射条件情報icを表示ユニット16に表示させることができる。このため、レーザ治療器10は、網膜画像Prにおける各照射位置指標mi(各照射位置Ci)に加えて、それぞれの照射位置指標miにおける照射条件情報icを把握させることができ、より使い勝手を向上できる。特に、レーザ治療器10は、照射位置画像Piにおいて、各照射位置指標miのうちの任意の照射位置指標miを指定すると、それが示す照射位置Ciを照射した際の照射条件情報icを表示させるので、より使い勝手を向上できる。
【0067】
本開示に係るレーザ治療器の実施例1のレーザ治療器10は、以下の各作用効果を得ることができる。
【0068】
レーザ治療器10は、光源としての照準光源21や治療光源22から出力された照射光Lを患者眼Eに照射するレーザ照射系38と、その照射光Lが照射された照射位置Ciを取得する照射位置取得部51と、を備える。また、レーザ治療器10は、患者眼Eの網膜画像Prに照射位置Ciを示す照射位置指標miを設けた照射位置画像Piを生成する照射位置画像生成部52と、照射位置画像Piを出力する出力部の一例としての表示ユニット16と、を備える。このため、レーザ治療器10は、実際に照射光Lが照射された照射位置Ciに基づいて、患者眼Eの網膜画像Prに照射位置指標miを設けた照射位置画像Piを生成するので、正確な照射位置Ciを把握させることができる。また、レーザ治療器10は、照射位置取得部51と照射位置画像生成部52と出力部(表示ユニット16)とにより照射位置画像Piを出力するので、治療を終えた術者による書き込む作業をなくすことができ、容易に照射位置Ciの把握を可能にできる。
【0069】
レーザ治療器10は、照射位置Ciに照射光Lを照射した際のレーザ照射系38における照射条件を取得して照射位置Ciに対応付けた照射条件情報icを作成する情報作成部53を備え、出力部(表示ユニット16)が、照射位置指標mi毎に照射条件情報icを出力可能である。このため、レーザ治療器10は、照射位置指標mi毎の照射条件情報icの把握を可能にでき、使い勝手を向上できる。
【0070】
レーザ治療器10は、患者眼Eをスリット光Lsで照明する照明系35と、スリット光Lsで照明された患者眼Eのスリット画像Psを取得する撮影系37と、網膜画像Prを取得する画像取得部43と、を備える。そして、レーザ治療器10は、照射位置取得部51が、網膜画像Prにおけるスリット画像Psの位置に基づいて照射位置Ciを取得する。このため、レーザ治療器10は、レーザ治療時に取得したスリット画像Psに基づいて照射位置Ciを取得するので、効率よく正確な照射位置画像Piを生成して出力できる、
【0071】
レーザ治療器10は、照射位置取得部51が、スリット画像Psから照射位置Ciを抽出し、照射位置画像生成部52が、網膜画像Prにおける照射位置取得部51が抽出した照射位置Ciに照射位置指標miを重畳することで、照射位置画像Piを生成する。このため、レーザ治療器10は、網膜画像Prから抽出した照射位置Ciに照射位置指標miを重畳させているので、正確な照射位置画像Piを生成して出力できる。
【0072】
レーザ治療器10は、スリット画像Psにレーザ照射系38により照射されている照射光L(その照射スポット)が写されており、照射位置取得部51が、スリット画像Psにおける照射光Lの位置を照射位置Ciとする。このため、レーザ治療器10は、スリット画像Psにおいて実際に照射光Lが照射された位置を照射位置Ciとしているので、より正確な照射位置画像Piを簡易に生成して出力できる。
【0073】
レーザ治療器10は、スリット画像Psにレーザ照射系38による照射光Lの照射により形成された治療痕が写されており、照射位置取得部51が、スリット画像Psにおける治療痕の位置を照射位置Ciとする。このため、レーザ治療器10は、スリット画像Psにおいて実際に照射光Lの照射により形成された照射痕の位置を照射位置Ciとしているので、より正確な照射位置画像Piを簡易に生成して出力できる。
【0074】
レーザ治療器10は、照射位置画像Piを記憶する記憶部42を備え、出力部(表示ユニット16)が、記憶部42に記憶された照射位置画像Piを出力可能である。このため、レーザ治療器10は、レーザ治療の終了時以外にも、過去のレーザ治療の照射位置画像Piや照射条件情報icを表示させることができ、治療後の経過や治療の効果の確認や、次の治療の計画のための資料等に利用できる。
【0075】
したがって、本開示に係るレーザ治療器の一実施例としてのレーザ治療器10では、容易にかつ正確な照射位置Ciを得ることができる。
【0076】
以上、本開示のレーザ治療器を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0077】
例えば、実施例1では、出力部として表示ユニット16を用いている。しかしながら、出力部は、少なくとも網膜画像Prに照射位置Ciを示す照射位置指標miを設けた照射位置画像Piを出力するものであれば、印刷する印刷部や、データとして外部メモリやサーバーに出力するデータ出力部等でもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0078】
また、実施例1では、抽出した照射位置Ciに照射位置指標miを重畳して照射位置画像Piを生成している。しかしながら、照射位置画像Piは、網膜画像Prに照射位置Ciを示す照射位置指標miを設けたものであれば、他の方法で生成してもよく、実施例1の構成に限定されない。例えば、照射位置画像生成部52は、図11に示すように、各スリット画像Psにおけるスリット側血管像Ibs同士を一致させるように複数のスリット画像Psを重ねることで、照射位置画像Piを生成してもよい。この場合、照射位置画像生成部52は、網膜画像Prの全体側血管像Ibaを用いることで、各スリット画像Psの重ね合わせの工程を容易なものにできる。なお、図11では、照射位置画像Piにおける網膜画像Prの全体の様子の把握を容易とするために、重ねられた各スリット画像Psの外側には図8等の網膜画像Prの輪郭に相当する箇所を二点鎖線で示している。
【0079】
さらに、実施例1では、網膜画像Pr上に照射位置指標miを重畳して照射位置画像Piを生成している。しかしながら、照射位置画像Piは、各スリット画像Psにおいて、照射位置Ciの設定に用いた照射スポット、すなわち治療光Ltが照射される直前に照準光Laが照射している画像、治療光Ltが照射している画像、または照射痕の画像を、照射位置指標miとして用いてもよく、実施例1の構成に限定されない。この場合であっても、照射位置画像Piは、照射位置指標miが、実際に照射光Lが照射された位置を示すこととなるので、簡易にかつ正確なものにできる。
【0080】
実施例1では、照射位置取得部51で取得した照射位置Ciに照射位置指標miを重畳して照射位置画像Piを生成している。そして、照射位置取得部51は、スリット画像Psにおいて、治療光Ltが照射される直前に照準光Laが照射している位置、治療光Ltが照射している位置、または治療光Ltの照射による照射痕の位置を照射スポットとし、それに基づいて照射位置Ciを取得している。ここで、レーザ治療器10は、治療光Ltを照射する際、各部において異常を検知した場合、治療光Ltの照射を直ちに停止するものとしている。例えば、レーザ治療器10は、図3の真ん中のように9個の照射スポットを形成する照射条件とされている場合であって、5個目の照射スポットに治療光Ltを照射した際に異常の検知やフットスイッチが離されることで照射を停止した場合、6個目以降の照射スポットに治療光Ltを照射しない。この場合、照射位置取得部51は、9個の照射スポットを照射位置Ciとして取得するが、情報作成部53は、照射条件として、取得した治療光Ltを照射した数から6個目以降の照射スポットに治療光Ltを照射していないことを取得できる。このため、照射位置画像生成部52は、図12に示すように、情報作成部53からの照射条件に基づいて、実際の照射の有無で重畳する照射位置指標miの態様を変化させることができる。この図12に示す例では、拡大して示す照射条件とした9個の照射スポットにおいて、左上から走査するように順番に照射される最初の5つの照射位置指標miを実際に治療光Ltが照射されたものとして白抜きの表示とし、残りの4つの照射位置指標miを治療光Ltが照射されていないものとして黒で塗りつぶした表示としている。なお、各照射位置指標miにおける表示の態様は適宜設定すればよく、図12の例に限定されない。この例のレーザ治療器10は、治療光Ltの照射が途中で停止されたことを併せて把握させることができ、使い勝手をより向上できる。
【0081】
実施例1では、照射位置取得部51は、スリット側血管像Ibsと全体側血管像Ibaとを用いて網膜画像Prにおけるスリット画像Psの位置を求めている。しかしながら、照射位置取得部51は、スリット画像Psと網膜画像Prとで共通する特徴を抽出し、その双方の抽出結果を用いて網膜画像Prにおけるスリット画像Psの位置を求めるものであれば、視神経乳頭や黄斑や病変部等のような他の特徴を抽出してもよく、実施例1の構成に限定されない。
【符号の説明】
【0082】
10 レーザ治療器10 16 (出力部の一例としての)表示ユニット 21 (光源の一例としての)照準光源 22 (光源の一例としての)治療光源 35 照明系 37 撮影系 38 レーザ照射系 42 記憶部 43 画像取得部 51 照射位置取得部 52 照射位置画像生成部 53 情報作成部 Ci 照射位置 E 患者眼 ic 照射条件情報 L 照射光 Ls スリット光 mi 照射位置指標 Pi 照射位置画像 Pr 網膜画像 Ps スリット画像
図1
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