(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061857
(43)【公開日】2024-05-08
(54)【発明の名称】位置センサを有する中空管外科用器具
(51)【国際特許分類】
A61M 25/095 20060101AFI20240426BHJP
A61B 17/3205 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
A61M25/095
A61B17/3205
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024041008
(22)【出願日】2024-03-15
(62)【分割の表示】P 2021518648の分割
【原出願日】2019-09-30
(31)【優先権主張番号】62/741,594
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/553,382
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516389190
【氏名又は名称】アクラレント インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Acclarent, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】サラザール・ヘンリー・エフ
(72)【発明者】
【氏名】パルシ・ジェットミア
(72)【発明者】
【氏名】アクバリアン・ファテメ
(72)【発明者】
【氏名】ファング・イツァーク
(57)【要約】
【課題】位置センサを有する中空管外科用器具を提供する。
【解決手段】中空管外科用器具は第1及び第2の位置センサを備え、第1及び第2の位置センサは長手方向軸線から横方向にオフセットされており、第1及び第2の位置センサは開口部から長手方向軸線に沿って第1の距離で細長いシャフトに固定的に定着され、第1及び第2の位置センサは細長いシャフトの三次元空間内の位置を示す信号を生成するように構成されており、第1及び前記第2の位置センサは長手方向軸線を中心に互いから角度的にオフセットされており、第2の位置センサは前記長手方向軸線に垂直な平面内で第1の位置センサから第2の距離で離間しており、第1及び第2の位置センサは夫々、長手方向軸線に平行に延在する第1又は第2のコイル軸を中心に巻かれた第1又は第2のワイヤコイルを備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
(a)長手方向軸線を画定する細長いシャフトであって、
(i)遠位端部と、
(ii)開口部と、
(iii)ルーメンと、を含む、細長いシャフトと、
(b)第1の位置センサであって、前記第1の位置センサは前記長手方向軸線から横方向にオフセットされており、前記第1の位置センサは、前記開口部から前記長手方向軸線に沿って第1の距離で前記細長いシャフトに固定的に定着され、前記第1の位置センサは、前記細長いシャフトの三次元空間内の位置を示す信号を生成するように構成されている、第1の位置センサと、
(b)第2の位置センサであって、前記第2の位置センサは前記長手方向軸線から横方向にオフセットされており、前記第2の位置センサは、前記開口部から前記長手方向軸線に沿って前記第1の距離で前記細長いシャフトに対して固定的に定着され、前記第2の位置センサは、前記細長いシャフトの三次元空間内の位置を示す信号を生成するように構成されている、第2の位置センサと、を備え、
前記第1の位置センサ及び前記第2の位置センサが、前記長手方向軸線を中心に互いから角度的にオフセットされており、
前記第2の位置センサは、前記長手方向軸線に垂直な平面内で、前記第1の位置センサから第2の距離で離間しており、
前記第1の位置センサが、前記長手方向軸線に平行に延在する第1のコイル軸を中心に巻かれた第1のワイヤコイルを備え、前記第2の位置センサは、前記長手方向軸線に平行に延在する第2のコイル軸を中心に巻かれた第2のワイヤコイルを備える、装置。
【請求項2】
前記遠位端部が閉鎖され、前記開口部が前記遠位端部の近位にある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ルーメン内に配設された切断要素を更に備え、前記切断要素は、前記細長いシャフトの前記開口部を通って突出する組織を切断するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記切断要素が、切断縁部を有する横方向に配向された窓を含み、前記細長いシャフトの前記開口部は横方向に配向され、前記切断縁部と協働するように構成された縁部を含み、それによって、前記細長いシャフトの前記開口部を通って突出する組織を切断する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記切断要素が、前記ルーメン内で回転し、それによって、前記細長いシャフトの前記開口部を通って突出する組織を切断するように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記ルーメンと流体連通する真空源を更に備え、前記細長いシャフトは、前記細長いシャフトの前記開口部を通って前記真空源から吸引を適用するように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のワイヤコイル及び前記第2のワイヤコイルが、交流磁場に応答して電気信号を生成するように構成され、前記電気信号は、三次元空間内の前記細長いシャフトの位置を示す、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、米国特許仮出願第62/741,594号、表題「Hollow Tube Surgical Instrument with Single Axis Sensor」(2018年10月5日出願)に対する優先権を主張するものであり、その開示が全体として本明細書に参考として組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
画像誘導手術(IGS)は、コンピュータを用いて、患者の身体内に挿入された器具の位置の、術前に得られた画像(例えば、CTスキャン又はMRIスキャン、3Dマップなど)のセットに対するリアルタイムの相関を得ることで、コンピュータシステムが器具の現在の位置を術前に得られた画像に重ねる技術である。IGS処置で使用できる電磁IGSナビゲーションシステムの例は、Biosense-Webster,Inc.(Irvine,California)によるCARTO(登録商標)3 Systemである。いくつかのIGS処置では、術野のデジタルトモグラフィスキャン(例えば、CT又はMRI、3Dマップなど)を外科手術の前に得る。次に、特別にプログラムされたコンピュータを用いて、デジタルトモグラフィスキャンデータをデジタルマップに変換する。外科手術中、センサ(例えば、電磁気を発生させる及び/又は外部で発生した電磁気に反応する電磁コイル)を有する特別な器具を用いて処置を実行し、同時に、センサがコンピュータに各手術用器具の現在位置を示すデータを送る。コンピュータは、センサから受信したデータを、術前トモグラフィスキャンから作成されたデジタルマップと相関付ける。トモグラフィスキャン画像は、スキャン画像内に示される解剖学的構造に対する各手術用器具の実時間位置を示す指標(例えば、クロスヘア又は照明ドットなど)と共に、ビデオモニタ上に表示される。したがって、外科医が器具自体を体内のその現在の位置において直接視覚化することができない場合であっても、ビデオモニタを見ることによって、各センサ搭載器具の正確な位置を知ることができる。
【0003】
鼻腔又はその他の処置領域内の病変、ポリープ及び類線維腫の除去のために構成された外科用切断器具は、管状外側部材内に回転可能に同軸上に配設された細長い内側部材を含んでもよい。この外側部材の遠位端部は開口部を含んでもよく、内側部材の遠位端部は、対応する切断縁部を含んでもよい。切断縁部の位置及び配向は、処置の成功にとって重要であるため、IGSナビゲーションシステムはまた、患者の鼻腔内などの、限定された可視性の処置領域で使用される外科用切断器具を伴う処置において特に有用であり得る。IGSナビゲーションシステムが外科用切断器具などの医療用器具と共に使用される場合であっても、原因が人的エラー(例えば、医療器具の意図しない動き、若しくは意図的であるが誤った動きなど)、又は機器エラー(例えば、内視鏡視野の不明瞭化若しくは故障、IGSナビゲーションシステムのディスプレイの故障など)であるかどうかという、処置結果に影響を及ぼし得るエラーの可能性が依然として存在する。したがって、外科的処置に関連するリスクを更に低減するために、追加の安全機構を有するIGSナビゲーションシステムを提供することが有利であり得る。
【0004】
外科的処置において、いくつかのシステム及び方法が製造及び使用されてきたが、本発明者ら以前に、添付の特許請求の範囲に記載される発明を製造又は使用した者はいないと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書は、本発明を具体的に示し、明確にその権利を請求する特許請求の範囲をもって結論とするものであるが、本発明は以下の特定の実施例の説明を添付図面と併せ読むことでより深い理解が得られるものと考えられるが、図中、同様の参照番号は同様の要素を示す。
【
図1】例示的な医療処置チェアに着座した患者に使用される例示的な手術ナビゲーションシステムの概略図を示す。
【
図2】ハンドルアセンブリと、第1のシャフトアセンブリと、を有する、例示的な外科用切断器具の斜視図を示す。
【
図3】シャフト及び切断部材を有する、
図2のシャフトアセンブリの部分分解斜視図を示す。
【
図4】
図2のシャフトアセンブリに組み込むことができる例示的代替外側シャフトの遠位部分の斜視図を示す。
【
図5】
図4の外側シャフトの遠位部分の側面立面図を示す。
【
図6】
図2のシャフトアセンブリに組み込むことができる別の例示的代替外側シャフトの遠位端部の斜視図を示す。
【
図7】
図6の外側シャフトの遠位部分の上平面図を示す。
【
図8】
図2のシャフトアセンブリに組み込むことができる別の例示的代替外側シャフトの遠位部分の斜視図を示す。
【
図9】
図2のシャフトアセンブリに組み込むことができる別の例示的代替外側シャフトの遠位端部の透視図を示す。
【0006】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の種々の実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、その他の種々の方式で実施し得ることが想到される。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、本説明文と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかし、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明のその他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、その他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0008】
用語「近位」及び「遠位」は、本明細書では、ハンドピースアセンブリを把持している臨床医を基準にして使用されることが理解されるであろう。すなわち、エンドエフェクタは、より近位のハンドピースアセンブリに対して遠位側にある。便宜上及び明確さのために、「上部」及び「下部」などの空間用語もまた、本明細書において、ハンドピースアセンブリを把持している臨床医を基準にして使用されていることが更に理解されるであろう。しかしながら、外科器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0009】
本明細書に記載の教示、表現、変形形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、変形形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わせることができる点も、更に理解される。したがって、以下に記載されている教示、表現、変形形態、実施例などは、互いに独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示を考慮することで、本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方式が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正及び変形形態は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0010】
I.例示的な画像誘導手術ナビゲーションシステム
患者(P)の頭部(H)内で医療処置を実施する場合、特に器具が患者(P)の頭部(H)内の器具の作業要素の内視鏡視野を得ることが困難又は不可能である位置にある場合に、患者(P)の頭部(H)内の器具の位置に関する情報を有することが望ましい場合がある。
図1は、画像誘導を使用してENT手技の実施を可能にする例示的なIGSナビゲーションシステム(100)を示す。場合によっては、IGSナビゲーションシステム(100)は、患者の鼻腔内の洞又は患者の鼻腔内のその他の場所で組織をそぎ取る又は創面切除するための外科用切断装置の使用を伴う外科的処置に使用される。本明細書に記載された構成要素及び動作性を有することに加えて又はこれに代えて、IGSナビゲーションシステム(100)は、その開示が全体として本明細書に参考として組み込まれる米国特許第7,720,521号、表題「Methods and Devices for Performing Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2010年5月18日出願)、及び/又は、その開示が全体として本明細書に参考として組み込まれる、米国特許公開第2014/0364725号、表題「Systems and Methods for Performing Image Guided Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2014年12月11日公開(現在権利放棄済み))の技術の少なくともいくつかの教示により構成され、動作可能であり得る。
【0011】
本実施例のIGSナビゲーションシステム(100)は、馬蹄形フレーム(204)に一体化された一式の磁場発生器(206)を含む磁場発生器アセンブリ(200)を含む。磁場発生器(206)は、患者(P)の頭部(H)の周りに異なる周波数の交流磁場を発生させるように動作可能である。本実施例では、ナビゲーションガイドワイヤ(130)が患者(P)の頭部(H)に挿入される。ナビゲーションガイドワイヤ(130)は、独立型装置であってもよい、又は外科用切断器具若しくは拡張器具などの医療器具のエンドエフェクタ又はその他の位置に配置されてもよい。本実施例では、フレーム(204)が椅子(300)に装着され、フレーム(204)が患者(P)の頭部(H)に隣接して配置されるように患者(P)は椅子(300)に着座する。単に一例として、チェア(300)及び/又は磁場発生器アセンブリ(200)は、その開示が全体として本明細書に参考として組み込まれる、米国特許公開第2018/0310886号、表題「Apparatus to Secure Field Generating Device to Chair」(2018年11月1日公開)の少なくともいくつかの教示に従って構成され、動作可能であり得る。
【0012】
本実施例のIGSナビゲーションシステム(100)は、IGSナビゲーションシステム(100)の磁場発生器(206)及びその他の要素を制御するプロセッサ(110)を更に含む。例えば、プロセッサ(110)は、磁場発生器(206)を駆動して交流電磁場を発生させ、ナビゲーションガイドワイヤ(130)からの信号を処理して患者(P)の頭部(H)内におけるナビゲーションガイドワイヤ(130)内のセンサの場所を判定するように、動作可能である。プロセッサ(110)は、1つ以上のメモリと通信する処理ユニットを含む。本実施例のプロセッサ(110)は、キーパッド及び/又はマウス若しくはトラックボールなどのポインティング装置を含む動作制御部(112)を含むコンソール(116)内に装着されている。医師は、外科的処置を行いながら、プロセッサ(110)と相互作用する動作制御部(112)を使用する。
【0013】
ナビゲーションガイドワイヤ(130)は、磁場発生器(206)によって発生された交流電磁場内の位置決めに応答するセンサ(図示せず)を含む。連結ユニット(132)はナビゲーションガイドワイヤ(130)の近位端部に固定され、コンソール(116)とナビゲーションガイドワイヤ(130)との間のデータ及びその他の信号の通信を提供するように構成されている。連結ユニット(132)は、データ及びその他の信号の有線又は無線通信を提供することができる。
【0014】
本例では、ナビゲーションガイドワイヤ(130)のセンサは、ナビゲーションガイドワイヤ(130)の遠位端部に少なくとも1つのコイルを含む。このようなコイルが磁場発生器(206)によって生成された交流電磁場の中に配置されると、交流磁場がコイルの中に電流を発生させ、この電流は、ナビゲーションガイドワイヤ(130)内の電気導管(複数可)に沿って、連結ユニット(132)を介してプロセッサ(110)に更に伝送され得る。本現象により、IGSナビゲーションシステム(100)は、三次元空間内(すなわち、患者(P)の頭部(H)内等)におけるナビゲーションガイドワイヤ(130)又はその他の医療器具(拡張器具、外科用切断器具など)の遠位端部の場所を決定することができる。これを達成するため、プロセッサ(110)は、ナビゲーションガイドワイヤ(130)の遠位端部の位置座標を、ナビゲーションガイドワイヤ(130)内のコイル(複数可)の位置関連信号から計算するアルゴリズムを実行する。この例では、位置センサが、ガイドワイヤ(130)内に配置されているが、このような位置センサは、種々のその他の種類の器具に統合されてもよい。単に一例として、以下でより詳細に説明するように、1つ以上の位置センサが外科用切断器具(10)に組み込まれてもよい。
【0015】
プロセッサ(110)は、プロセッサ(110)のメモリに記憶されたソフトウェアを使用して、IGSナビゲーションシステム(100)を較正及び操作する。このような操作は、磁場発生器(206)を駆動することと、ナビゲーションガイドワイヤ(130)からのデータを処理することと、動作制御部(112)からのデータを処理することと、ディスプレイスクリーン(114)を駆動することと、を含む。いくつかの実装形態では、動作はまた、IGSナビゲーションシステム(100)の1つ以上の安全機構又は機能の監視及び施行も含み得る。プロセッサ(110)は、患者の頭部(H)のビデオカメラ画像、患者の頭部(H)のCTスキャン画像、及び/又は患者の鼻腔内及び患者の鼻腔に隣接する解剖学的構造のコンピュータ生成三次元モデルに関してナビゲーションガイドワイヤ(130)の遠位端部の位置を示すディスプレイスクリーン(114)を介して、実時間でビデオを提供するように、更に動作可能である。ディスプレイスクリーン(114)は、外科的処置中にこのような画像を同時に及び/又は互いに重ねて表示することができる。このように表示される画像は、ナビゲーションガイドワイヤ(130)などの患者の頭部(H)に挿入される器具のグラフィック表示も含んでもよく、こうして、操作者は、その実際の位置で、実時間で器具の仮想レンダリングを見ることができる。単に一例として、ディスプレイスクリーン(114)は、その開示が全体として本明細書に参考として組み込まれる米国特許公開第2016/0008083号、表題「Guidewire Navigation for Sinuplasty」(2016年1月14日公開)の少なくともいくつかの教示に従って画像を提供してもよい。操作者が内視鏡も使用している場合には、内視鏡画像をディスプレイスクリーン(114)に表示することもできる。
【0016】
ディスプレイスクリーン(114)によって提供される画像は、操作者が患者の頭部内で器具を操縦する、及びその他の方法で操作する手助けとなり得る。後述のように、シャフトアセンブリ(16)を含むがこれに限定されない、外科用切断器具(10)のその他の構成要素は、ガイドワイヤ(130)のセンサ様のセンサを組み込んでもよいこともまた、理解されるべきである。
【0017】
II.例示的な外科用切断器具
図2~
図3は、鼻腔並びにその他の任意の好適な位置から骨組織などの組織を除去するのに使用可能な、外科用切断器具(10)を示す。外科用切断器具(10)は、IGSナビゲーションシステム(100)などのIGSナビゲーションシステムと共に使用されてもよい。IGSナビゲーションシステム(100)との使用を可能にするために、外科用切断器具(10)がどのように1つ以上の位置センサを組み込むことができるかの例を、以下でより詳細に説明する。本実施例の外科用切断器具(10)は、ハンドルアセンブリ(12)と、ハブ(14)と、ハンドルアセンブリ(12)から遠位方向に延在する第1のシャフトアセンブリ(16)と、を含む。ハンドルアセンブリ(12)は、任意の適切な構成であり得るハンドル(18)を有する。ハンドル(18)は、外科用切断器具(10)の操作のための制御部を備えていてもよい、又は制御部は、遠隔に配置されていてもよい。外科用切断器具(10)は更に、真空源(22)に動作可能に接続され、かつ手術部位から骨組織などの組織を吸引することを可能にするよう構成された、吸引ポート(20)を更に含む。回転運動は、本実施例では、ハンドルアセンブリ(12)内の電動式駆動アセンブリ(24)によってシャフトアセンブリ(16)に送達される。動力源(26)は、使用のために外科用切断器具(10)に動力を供給するよう、電動式駆動アセンブリ(24)に接続される。
【0018】
シャフトアセンブリ(16)は一般に、外側シャフト(28)及び内側切断部材(30)を含み、これらは合わせて、手術部位から組織を受容して除去するように構成される。管として示される切断部材(30)は、シャフト(28)の長手方向に延在するルーメン(32)内に配設される。切断部材(30)は、遠位部分でシャフトアセンブリ(16)の長手方向軸線(42)の周囲で回転するように構成されている。外側シャフト(28)は、切断部材(30)が長手方向軸線(42)の周囲を回転する際に、回転的に静止したままである。シャフトアセンブリ(16)は剛体として示されているが、シャフトアセンブリ(16)の全て又は一部は可撓性であってもよい。切断部材(30)は、ルーメンを画定し、ハンドルアセンブリ(12)へと近位方向に延在して、電動式駆動アセンブリ(24)に連結され、これが切断部材(30)をシャフト(28)に対して回転駆動させる。
【0019】
シャフト(28)は、シャフト窓開口部(50)を有する窓領域(48)を含む。管状側壁部(51)は、一般に、半球状の端部(52)で遠位方向に終端する。シャフト窓開口部(50)は、シャフト(28)の管状側壁部(51)を通って中央ルーメン(40)内に延在し、シャフト(28)を包囲する環境と流体連通している。シャフト窓開口部(50)は、長手方向軸線(42)に対して径方向外側を向いており、これにより組織は、シャフト窓開口部(50)を通って中央ルーメン(40)内へ径方向内側へと、径方向に受容されてもよい。シャフト窓開口部(50)は、比較的鈍い縁部(53)によって囲まれている。いくつかのその他の変形形態では、縁部(53)は鋭利である。
【0020】
切断部材(30)は、切断部材(30)の遠位部分に、切断窓開口部(54)を含む。切断部材(30)は中空であり、したがって、開口部(54)と流体連通している内側ルーメンを画定する。切断窓開口部(54)は、シャフト窓開口部(50)と長手方向に整列するように構成されており、それに沿って延在する切断縁部(58)を含む。切断部材(30)が長手方向軸線(42)の周囲を回転又は振動した場合、切断縁部(58)の少なくとも一部が、窓領域(48)の少なくとも一部に隣接し、これを横切って移動するように配設される。例として、切断部材(30)が時計方向に動くと、窓領域(48)の縁部(53)は、切断縁部(58)に対向する面を提供し、これによって組織が切断されて、そこから切断組織部分が除去され得る。換言すれば、縁部(53、58)は協働して、開口部(50、54)を通って突出する組織を切断する剪断作用を提供することができる。
【0021】
図2~
図3を引き続き参照すると、真空源(22)は、吸引ポート(20)に向かって、長手方向軸線(42)に沿った近位方向における切断部材(30)の内側ルーメンを通ったセクションを発生させる。いったん組織が窓開口部(54)にそれぞれ導入されると、吸引力により組織が切除のために窓開口部(54)内に効果的に引き込まれるが、このとき組織はルーメンに沿った気流を遮断する。単に一例として、切断部材(30)のルーメンを通過する気流、及びそのような気流を改善するための吸引通気孔は、その開示が全体として本明細書に参考として組み込まれる、米国特許公開第2019/0125391号、表題「Tissue Shaving Instrument」(2019年5月2日公開)の少なくともいくつかの教示に従って提供されてもよい。
【0022】
制御モジュール(25)は、ハンドルアセンブリ(12)と共に収容されてもよく、内側切断部材(30)の回転を駆動する電動式駆動アセンブリ(24)に電気的に接続されている。外科用切断器具(10)の制御部からの信号、IGSナビゲーションシステム(100)からの信号、又は別の装置、センサ、若しくはソースからの信号に基づいて、制御モジュール(25)は、それによって、内側切断部材(30)の回転に命令して、操作者によって提供される入力にかかわらず、内側切断部材(30)の回転駆動を停止させる、又は単に回転を阻止する。
【0023】
III.シェービング器具内の位置センサの統合
上述のように、患者(P)の頭部(H)内の器具の位置に関する情報を有することが望ましい場合がある。また上述したように、IGSナビゲーションシステム(100)は、ディスプレイスクリーン(114)を介して実時間でビデオを提供することによって、このような情報を提供することができ、患者の頭部(H)内の解剖学的構造の画像に対して器具(例えば、ナビゲーションガイドワイヤ(130))の遠位端部の位置を示す。外科用切断器具(10)様の器具が使用される手順では、一般に、シャフトアセンブリ(16)の遠位端部の位置を示す情報を提供することに加えて、シャフト窓開口部(50)の位置及び向きを示す情報を医師に提供することが有益であり得る。これにより、医師は、切断器具を用いて除去することを医師が望む組織/骨/等に関連して、より正確にシャフト窓開口部(50)を位置付けることを可能にし得る。これを達成するために、シャフトアセンブリ(16)は、上述のガイドワイヤ(130)の位置センサ様の1つ以上の位置センサを組み込むように修正されてもよい。シェービング器具が、どのように位置センサを組み込むことができるかのいくつかの実施例は、その開示が全体として本明細書に参考として組み込まれる、米国特許公開第2019/0175282号、表題「Tissue Shaving Instrument with Navigation Sensor」(2019年6月13日公開)に記載されている。以下では、外科用切断器具(10)のシャフトアセンブリ(16)が、IGSナビゲーションシステム(100)と通信するための1つ以上の位置センサを組み込んでもよい、方法の種々のその他の実施例が記載されている。
【0024】
以下の実施例は、外科用切断器具(10)の文脈で提供されるものであるが、次の教示は、種々のその他の種類の器具に容易に適用することができる。単に一例として、1つ以上の位置センサは、以下の教示に従って吸引器具及び/又は種々のその他の種類の器具に組み込まれてもよい。以下の教示が吸引器具及び/又はその他の種類の器具に適用され得る種々の好適な方法が、当業者には明らかとなろう。
【0025】
A.単一オフセット位置センサを有する例示的な切断器具シャフト
図4~
図5は、外側シャフト(28)の代わりに、シャフトアセンブリ(16)に組み込むことができる、例示的な代替外側シャフト(400)を示す。本実施例の外側シャフト(400)は、下記で説明する差異を除いては外側シャフト(28)と全く同様に構成され、かつ動作可能であってもよい。本実施例の外側シャフト(400)は、丸みを帯びた遠位端部(412)を有する円柱状本体(410)を含む。横方向に配向された窓開口部(420)は、遠位端部(412)のすぐ近位に形成される。開口部(420)は、縁部(422)によって画定される。いくつかの変形形態では、縁部(422)の少なくとも一部は鋭利である。
【0026】
外側シャフト(400)は、切断部材(30)を受容するように構成されており、ハンドルアセンブリ(12)に対して固定して定着されるように構成されている。開口部(420)は、切断部材(30)の窓開口部(54)のサイズ及び位置に対応するように寸法決め及び位置決めされる。駆動アセンブリ(24)は、切断部材(30)を駆動して外側シャフト(400)内で回転させることができる。真空源(22)は、組織を開口部(54、420)内に引き込むことを支援するために起動されてもよく、縁部(58、422)は、切断部材(30)が外側シャフト(400)内で回転する際に開口部(54、420)内に引き込まれる組織等を剪断するように協働してもよい。
【0027】
外側シャフト(28)とは異なり、本実施例の外側シャフト(400)は、位置センサ(430)を含む。位置センサ(430)は、開口部(420)の近位にある外側シャフト(400)の遠位端部(412)の近くに位置する。位置センサ(430)の位置は、本実施例では、開口部(420)の中心から一定の距離(d1)に固定されている。本文脈において、用語「固定された」とは、製造プロセスが完了した後に位置センサ(430)が本体(410)に対して移動しないことを示すことを意味し、その結果、距離(d1)は、外科用切断器具の動作中に変化しないことを示すことを意味する。いくつかの変形形態では、距離(d1)は所定である。いくつかの他の変形形態では、距離(d1)は所定ではなく、1つの外科用切断器具から別の外科用切断器具までわずかに変化してもよく、例えば、製造公差から予想され得る。このようなシナリオでは、所与の外科用切断器具は、外科用切断器具が医療処置で使用される前に、製造プロセスが完了した後に較正され得る。このような較正プロセスを使用して、手元の特定の外科用切断器具の距離(d1)の正確な値を決定することができる。本明細書の教示を考慮することで、このような較正可能性が実行され得る種々の好適な方法が、当業者には明らかとなろう。
【0028】
距離(d1)の正確な値を含む(が必ずしもこれらに限定されない)、上述の較正プロセス中に収集された情報は、外科用切断器具自体内に収容されたローカルメモリ装置に記憶することができる。単に一例として、ハンドルアセンブリ(12)(又はいくつかのその他の構成要素)は、較正情報が記憶されるEEPROMを含んでもよい。あるいは、その他の任意の好適な種類の記憶装置、その他の任意の好適な位置で使用することもできる。医療処置の開始時に、プロセッサ(110)は、記憶装置に問い合わせて、手元の外科用切断器具から較正データを取得することができ、またこのデータを考慮して、位置センサ(430)からの信号を処理して、医師に提示される位置データが可能な限り正確であることを確実にすることができる。手元の特定の外科用切断器具の距離(d1)が、較正プロセスを通して前もって決定された又は決定されたかどうかにかかわらず、手元の特定の外科用切断器具の距離(d1)は、医師が外科用切断器具を用いた医療処置を行う前に、プロセッサ(110)によって「既知」であり得る。
【0029】
位置センサ(430)は、磁場発生器(206)によって発生した交流電磁場に応答して電流を発生させるように構成されたコイルを含んでもよく、これにより、位置センサ(430)は、患者(P)の頭部(H)内の外側シャフト(400)の遠位端部(412)の位置を示す電気信号を生成し得る。更に、位置センサ(430)の位置は、開口部(420)の中心から固定された距離(d1)にあるため、位置センサ(430)からの信号はまた、患者(P)の頭部(H)内の開口部(420)の中心の位置もまた示すことができる。
【0030】
プロセッサ(110)は、患者(P)の頭部(H)内の開口部(420)の中心の位置を示す位置センサ(430)からの情報を有し、プロセッサ(110)は、遠位端部(412)が患者(P)の頭部(H)内で移動する場合に、ディスプレイ(114)を駆動して、患者(P)の頭部(H)内の解剖学的構造の画像に対して、開口部(420)の中心の位置を実時間で描写してもよい。更に、開口部(420)の寸法及び構成は所定であり、またプロセッサ(110)が、患者(P)の頭部(H)内の開口部(420)の中心の位置を示すデータを有することから、プロセッサ(110)は、患者(P)の頭部(H)内の開口部(420)の位置をより明確かつ正確に示すために、開口部(420)のグラフィック表現を描写するようにディスプレイ(114)を駆動してもよい。
【0031】
本実施例では、位置センサ(430)は、本体(410)の長手方向中心軸線(LA)から横方向にオフセットされている。したがって、外側シャフト(400)が本体(410)の長手方向中心軸線(LA)の周囲を回転する場合(例えば、ハンドルアセンブリ(12)を把持している操作者が器具(10)全体を回転させる際)、位置センサ(430)はそのような動きを感知し、それによって、本体(410)の長手方向中心軸線(LA)の周囲の外側シャフト(400)の角度位置を示す信号を提供する。換言すれば、位置センサ(430)は、本体(410)の長手方向中心軸線(LA)の周囲の開口部(420)の回転配向又は角度位置を示す。したがって、プロセッサ(110)は、患者の頭部内の開口部(420)の三次元位置を示すことに加えて、開口部(420)の回転配向又は角度位置を示すように、ディスプレイ(114)を駆動してもよい。このようなレンダリングにおいて、プロセッサ(110)は、開口部(420)の位置の強調表示を用いて、ディスプレイ(114)を駆動し、外側シャフト(400)の形状及び開口部(420)の形状を与えてもよい。
【0032】
上述のように、位置センサ(430)はコイルの形態をとることができ、ワイヤはコイル軸の周囲に巻かれる。本実施例では、位置センサ(430)のコイル軸は、本体(410)の長手方向中心軸線(LA)と平行である。あるいは、位置センサ(430)のコイル軸は、本体(410)の長手方向中心軸線(LA)と任意のその他の好適な関係を有してもよい。
【0033】
位置センサ(430)は、外側シャフト(400)内の切断部材(30)の移動を妨げないように、本体(410)上又は本体(410)内に位置付けられる。単に一例として、位置センサ(430)は、本体(410)の内径に緊密に固定されてもよい。別の単なる例示的実施例として、位置センサ(430)は、本体(410)の側壁に直接一体化されてもよい。更に別の単なる例示的実施例として、位置センサ(430)は、本体(410)の外径に緊密に固定されてもよい。本明細書の教示を考慮することで、位置センサ(430)が本体(410)と固定的に連結され得る、又は本体(410)内にあり得るその他の好適な方法が、当業者には明らかとなろう。
【0034】
位置センサ(430)は、少なくとも1つの電気導管(432)を介してIGSナビゲーションシステム(100)と通信する。単に一例として、電気導管(432)は、本体(410)の長さの少なくとも一部に沿って延びる1本以上のワイヤを備えてもよい。加えて、又は代替的に、電気導管(432)は、本体(410)上又は本体(410)内に形成された1つ以上の電気トレースを含んでもよい。本明細書の教示を考慮することで、電気導管(432)が取り得るその他の好適な形態が、当業者には明らかとなろう。いくつかの変形形態では、電気導管(432)は、有線通信を介してプロセッサ(110)と直接連結される。いくつかのその他の変形形態では、電気導管(432)は、連結ユニット(132)又はその他の無線通信装置などによって、プロセッサ(110)と無線で連結される。
【0035】
B.オフセット位置センサ対を有する例示的な切断器具シャフト
図6~7は、外側シャフト(28)の代わりに、シャフトアセンブリ(16)に組み込むことができる、別の例示的な代替外側シャフト(500)を示す。本実施例の外側シャフト(500)は、下記で説明する差異を除いては外側シャフト(28)と全く同様に構成され、かつ動作可能であってもよい。本実施例の外側シャフト(500)は、丸みを帯びた遠位端部(512)を有する円柱状本体(510)を含む。横方向に配向された窓開口部(520)は、遠位端部(512)のすぐ近位に形成される。開口部(520)は、縁部(522)によって画定される。いくつかの変形形態では、縁部(522)の少なくとも一部は鋭利である。
【0036】
外側シャフト(500)は、切断部材(30)を受容するように構成されており、ハンドルアセンブリ(12)に対して固定して定着されるように構成されている。開口部(520)は、切断部材(30)の窓開口部(54)のサイズ及び位置に対応するように寸法決め及び位置決めされる。駆動アセンブリ(24)は、切断部材(30)を駆動して外側シャフト(500)内で回転させることができる。真空源(22)は、組織を開口部(54、520)内に引き込むことを支援するために起動されてもよく、縁部(58、522)は、切断部材(30)が外側シャフト(500)内で回転する際に開口部(54、520)内に引き込まれる組織等を剪断するように協働してもよい。
【0037】
外側シャフト(28)とは異なり、本実施例の外側シャフト(500)は、位置センサの対(530、540)を含む。位置センサ(530、540)は、開口部(520)の近位にある外側シャフト(500)の遠位端部(512)の近くに位置する。位置センサ(530、540)は、互いに横方向にオフセットされているが、本実施例では同じ長手方向位置にあり、これは単に任意である。位置センサ(530、540)は、導管(550)を介してノード(552)と連結されるが、これは、本体(510)の側壁に沿って円周方向に延在する。別の導管(554)もまた、ノード(552)と連結される。導管(554)は、IGSナビゲーションシステム(100)と更に連結されている。
【0038】
位置センサ(530、540)の位置は、本実施例では本体(510)に対して固定されている。したがって、本実施例では、ノード(552)と開口部(520)の中心との間の距離(d2)が固定される。同様に、本実施例では、位置センサ(530、540)間の距離(d3)が固定されている。この文脈において、用語「固定された」とは、製造プロセスが完了した後に位置センサ(530、540)が本体(510)に対して移動しないことを示すことを意味し、その結果、外科用切断器具の動作中に距離(d2、d3)は変化しないことを示すことを意味する。いくつかの変形例では、距離(d2、d3)は所定である。いくつかの他の変形形態では、距離(d2、d3)は所定ではなく、1つの外科用切断器具から別の外科用切断器具までわずかに変化してもよく、例えば、製造公差から予想され得る。このようなシナリオでは、所与の外科用切断器具は、外科用切断器具が医療処置で使用される前に、製造プロセスが完了した後に較正され得る。このような較正プロセスを使用して、手元の特定の外科用切断器具の距離(d2、d3)の正確な値を決定することができる。本明細書の教示を考慮することで、このような較正可能性が実行され得る種々の好適な方法が、当業者には明らかとなろう。
【0039】
距離(d2、d3)の正確な値を含む(が必ずしもこれらに限定されない)、上述の較正プロセス中に収集された情報は、外科用切断器具自体内に収容されたローカルメモリ装置に記憶することができる。単に一例として、ハンドルアセンブリ(12)(又はいくつかのその他の構成要素)は、較正情報が記憶されるEEPROMを含んでもよい。あるいは、その他の任意の好適な種類の記憶装置、その他の任意の好適な位置で使用することもできる。医療処置の開始時に、プロセッサ(110)は、記憶装置に問い合わせて、手元の外科用切断器具から較正データを取得することができ、またこのデータを考慮して、位置センサ(530、540)からの信号を処理して、医師に提示される位置データが可能な限り正確であることを確実にすることができる。手元の特定の外科用切断器具の距離(d2、d3)が、較正プロセスを通して前もって決定された又は決定されたかどうかにかかわらず、手元の特定の外科用切断器具の距離(d2、d3)は、医師が外科用切断器具を用いた医療処置を行う前に、プロセッサ(110)によって「既知」であり得る。
【0040】
各位置センサ(530、540)は、磁場発生器(206)によって発生した交流電磁場に応答して電流を発生させるように構成されたコイルを含んでもよく、これにより、位置センサ(530、540)は、患者(P)の頭部(H)内の外側シャフト(500)の遠位端部(512)の位置を示す電気信号を生成し得る。開口部(520)の中心に対するセンサ(530、540)の位置決めは既知であるため、位置センサ(530、540)からの信号はまた、患者(P)の頭部(H)内の開口部(520)の中心の位置を示してもよい。
【0041】
プロセッサ(110)は、患者(P)の頭部(H)内の開口部(520)の中心の位置を示す位置センサ(530、540)からの情報を有し、プロセッサ(110)は、遠位端部(512)が患者(P)の頭部(H)内で移動する場合に、ディスプレイ(114)を駆動して、患者(P)の頭部(H)内の解剖学的構造の画像に対して、開口部(520)の中心の位置を実時間で描写してもよい。更に、開口部(520)の寸法及び構成は所定であり、またプロセッサ(110)が、患者(P)の頭部(H)内の開口部(520)の中心の位置を示すデータを有することから、プロセッサ(110)は、患者(P)の頭部(H)内の開口部(520)の位置をより明確かつ正確に示すために、開口部(520)のグラフィック表現を描写するようにディスプレイ(114)を駆動してもよい。
【0042】
本実施例では、位置センサ(530、540)は、本体(510)の長手方向中心軸から横方向にオフセットされている。したがって、外側シャフト(500)が本体(510)の長手方向中心軸線の周囲を回転する場合(例えば、ハンドルアセンブリ(12)を把持している操作者が器具(10)全体を回転させる際)、位置センサ(530、540)はそのような動きを感知し、それによって、本体(510)の長手方向中心軸線の周囲の外側シャフト(500)の角度位置を示す信号を提供する。換言すれば、位置センサ(530、540)は、本体(510)の長手方向中心軸線の周囲の開口部(520)の回転配向又は角度位置を示す。したがって、プロセッサ(110)は、患者の頭部内の開口部(520)の三次元位置を示すことに加えて、開口部(520)の回転配向又は角度位置を示すように、ディスプレイ(114)を駆動してもよい。このようなレンダリングにおいて、プロセッサ(110)は、開口部(520)の位置の強調表示を用いて、ディスプレイ(114)を駆動し、外側シャフト(500)の形状及び開口部(520)の形状を与えてもよい。
【0043】
上述のように、各位置センサ(530、540)はコイルの形態をとることができ、ワイヤはコイル軸の周囲に巻かれる。本実施例では、各位置センサ(530、540)のコイル軸は、本体(510)の長手方向中心軸と平行である。あるいは、各位置センサ(530)のコイル軸は、本体(510)の長手方向中心軸線と任意のその他の好適な関係を有してもよい。
【0044】
各位置センサ(530、540)は、外側シャフト(500)内の切断部材(30)の移動を妨げないように、本体(510)上又は本体(510)内に位置付けられる。単に一例として、各位置センサ(530、540)は、本体(510)の内径に緊密に固定されてもよい。別の単なる例示的実施例として、各位置センサ(530、540)は、本体(510)の側壁に直接一体化されてもよい。更に別の単なる例示的実施例として、各位置センサ(530、540)は、本体(510)の外径に緊密に固定されてもよい。本明細書の教示を考慮することで、位置センサ(530、540)が本体(510)と固定的に連結され得る、又は本体(510)内にあり得るその他の好適な方法が、当業者には明らかとなろう。
【0045】
位置センサ(530、540)は、電気導管(550、554)を介してIGSナビゲーションシステム(100)と通信する。単に一例として、電気導管(550、554)は、本体(510)の長さの少なくとも一部に沿って延びる1本以上のワイヤを備えてもよい。加えて、又は代替的に、電気導管(550、554)は、本体(510)上又は本体(510)内に形成された1つ以上の電気トレースを含んでもよい。本明細書の教示を考慮することで、電気導管(550、554)が取り得るその他の好適な形態が、当業者には明らかとなろう。いくつかの変形形態では、電気導管(554)は、有線通信を介してプロセッサ(110)と直接連結される。いくつかのその他の変形形態では、電気導管(554)は、連結ユニット(132)又はその他の無線通信装置などによって、プロセッサ(110)と無線で連結される。
【0046】
C.垂直位置センサを有する例示的な切断器具シャフト
図8は、外側シャフト(28)の代わりに、シャフトアセンブリ(16)に組み込むことができる、別の例示的な代替外側シャフト(600)を示す。本実施例の外側シャフト(600)は、下記で説明する差異を除いては外側シャフト(28)と全く同様に構成され、かつ動作可能であってもよい。本実施例の外側シャフト(600)は、丸みを帯びた遠位端部(612)を有する円柱状本体(610)を含む。横方向に配向された窓開口部(620)は、遠位端部(612)のすぐ近位に形成される。開口部(620)は、縁部(622)によって画定される。いくつかの変形形態では、縁部(622)の少なくとも一部は鋭利である。
【0047】
外側シャフト(600)は、切断部材(30)を受容するように構成されており、ハンドルアセンブリ(12)に対して固定して定着されるように構成されている。開口部(620)は、切断部材(30)の窓開口部(54)のサイズ及び位置に対応するように寸法決め及び位置決めされる。駆動アセンブリ(24)は、切断部材(30)を駆動して外側シャフト(600)内で回転させることができる。真空源(22)は、組織を開口部(54、620)内に引き込むことを支援するために起動されてもよく、縁部(58、622)は、切断部材(30)が外側シャフト(600)内で回転する際に開口部(54、620)内に引き込まれる組織等を剪断するように協働してもよい。
【0048】
外側シャフト(28)とは異なり、本実施例の外側シャフト(600)は、位置センサの対(630、640)を含む。位置センサ(630、640)は、開口部(620)の近位にある外側シャフト(600)の遠位端部(612)の近くに位置する。位置センサ(630、640)は、本実施例では互いに垂直に配向され、位置センサ(630)は、位置センサ(640)に対して遠位にある。位置センサ(630、640)は両方とも電気導管(650)と結合され、これは、以下により詳細に説明するように、IGSナビゲーションシステム(100)と通信するための経路を提供する。
【0049】
位置センサ(630、640)の位置は、本実施例では本体(610)に対して固定されている。したがって、本実施例では、位置センサ(630、640)と開口部(620)の中心との間の距離(d4)が固定される。本文脈において、用語「固定された」とは、製造プロセスが完了した後に位置センサ(630、640)が本体(610)に対して移動しないことを示すことを意味し、その結果、距離(d4)は、外科用切断器具の動作中に変化しないことを示すことを意味する。いくつかの変形形態では、距離(d4)は所定である。いくつかの他の変形例では、距離(d4)は所定ではなく、1つの外科用切断器具から別の外科用切断器具までわずかに変化してもよく、例えば、製造公差から予想され得る。このようなシナリオでは、所与の外科用切断器具は、外科用切断器具が医療処置で使用される前に、製造プロセスが完了した後に較正され得る。このような較正プロセスを使用して、手元の特定の外科用切断器具の距離(d4)の正確な値を決定することができる。本明細書の教示を考慮することで、このような較正可能性が実行され得る種々の好適な方法が、当業者には明らかとなろう。
【0050】
距離(d4)の正確な値を含む(が必ずしもこれらに限定されない)、上述の較正プロセス中に収集された情報は、外科用切断器具自体内に収容されたローカルメモリ装置に記憶することができる。単に一例として、ハンドルアセンブリ(12)(又はいくつかのその他の構成要素)は、較正情報が記憶されるEEPROMを含んでもよい。あるいは、その他の任意の好適な種類の記憶装置、その他の任意の好適な位置で使用することもできる。医療処置の開始時に、プロセッサ(110)は、記憶装置に問い合わせて、手元の外科用切断器具から較正データを取得することができ、またこのデータを考慮して、位置センサ(630、640)からの信号を処理して、医師に提示される位置データが可能な限り正確であることを確実にすることができる。手元の特定の外科用切断器具の距離(d4)が、較正プロセスを通して前もって決定された又は決定されたかどうかにかかわらず、手元の特定の外科用切断器具の距離(d4)は、医師が外科用切断器具を用いた医療処置を行う前に、プロセッサ(110)によって「既知」であり得る。
【0051】
各位置センサ(630、640)は、磁場発生器(206)によって発生した交流電磁場に応答して電流を発生させるように構成されたコイルを含んでもよく、これにより、位置センサ(630、640)は、患者(P)の頭部(H)内の外側シャフト(600)の遠位端部(612)の位置を示す電気信号を生成し得る。開口部(620)の中心に対するセンサ(630、640)の位置決めは既知であるため、位置センサ(630、640)からの信号はまた、患者(P)の頭部(H)内の開口部(620)の中心の位置を示してもよい。
【0052】
プロセッサ(110)は、患者(P)の頭部(H)内の開口部(620)の中心の位置を示す位置センサ(630、640)からの情報を有し、プロセッサ(110)は、遠位端部(612)が患者(P)の頭部(H)内で移動する場合に、ディスプレイ(114)を駆動して、患者(P)の頭部(H)内の解剖学的構造の画像に対して、開口部(620)の中心の位置を実時間で描写してもよい。更に、開口部(620)の寸法及び構成は所定であり、またプロセッサ(110)が、患者(P)の頭部(H)内の開口部(620)の中心の位置を示すデータを有することから、プロセッサ(110)は、患者(P)の頭部(H)内の開口部(620)の位置をより明確かつ正確に示すために、開口部(620)のグラフィック表現を描写するようにディスプレイ(114)を駆動してもよい。
【0053】
本実施例では、位置センサ(630、640)は、本体(610)の長手方向中心軸から横方向にオフセットされている。したがって、外側シャフト(600)が本体(610)の長手方向中心軸線の周囲を回転する場合(例えば、ハンドルアセンブリ(12)を把持している操作者が器具(10)全体を回転させる際)、位置センサ(630、640)はそのような動きを感知し、それによって、本体(610)の長手方向中心軸線の周囲の外側シャフト(600)の角度位置を示す信号を提供する。換言すれば、位置センサ(630、640)は、本体(610)の長手方向中心軸線の周囲の開口部(620)の回転配向又は角度位置を示す。したがって、プロセッサ(110)は、患者の頭部内の開口部(620)の三次元位置を示すことに加えて、開口部(620)の回転配向又は角度位置を示すように、ディスプレイ(114)を駆動してもよい。このようなレンダリングにおいて、プロセッサ(110)は、開口部(620)の位置の強調表示を用いて、ディスプレイ(114)を駆動し、外側シャフト(600)の形状及び開口部(620)の形状を与えてもよい。
【0054】
上述のように、各位置センサ(630、640)はコイルの形態をとることができ、ワイヤはコイル軸の周囲に巻かれる。本実施例では、位置センサ(640)のコイル軸は、本体(610)の長手方向中心軸線と平行であるが、一方で、位置センサ(630)のコイル軸は、位置センサ(640)のコイル軸に垂直である。あるいは、各位置センサ(630、640)のコイル軸は、本体(610)の長手方向中心軸線と、互いに任意のその他の好適な関係を有してもよい。
【0055】
各位置センサ(630、640)は、外側シャフト(600)内の切断部材(30)の移動を妨げないように、本体(610)上又は本体(610)内に位置付けられる。単に一例として、各位置センサ((630、640)は、本体(610)の内径に緊密に固定されてもよい。別の単なる例示的実施例として、各位置センサ(630、640)は、本体(610)の側壁に直接一体化されてもよい。更に別の単なる例示的実施例として、各位置センサ(630、640)は、本体(610)の外径に緊密に固定されてもよい。本明細書の教示を考慮することで、位置センサ(630、640)が本体(610)と固定的に連結され得る、又は本体(610)内にあり得るその他の好適な方法が、当業者には明らかとなろう。
【0056】
位置センサ(630、640)は、電気導管(650)を介してIGSナビゲーションシステム(100)と通信する。単に一例として、電気導管(650)は、本体(610)の長さの少なくとも一部に沿って延びる1本以上のワイヤを備えてもよい。加えて、又は代替的に、電気導管(650)は、本体(610)上又は本体(610)内に形成された1つ以上の電気トレースを含んでもよい。本明細書の教示を考慮することで、電気導管(650)が取り得るその他の好適な形態が、当業者には明らかとなろう。いくつかの変形形態では、電気導管(650)は、有線通信を介してプロセッサ(110)と直接連結される。いくつかのその他の変形形態では、電気導管(650)は、連結ユニット(132)又はその他の無線通信装置などによって、プロセッサ(110)と無線で連結される。
【0057】
D.螺旋状に配置された位置センサを有する例示的な切断器具のシャフト
図9は、外側シャフト(28)の代わりに、シャフトアセンブリ(16)に組み込むことができる、別の例示的な代替外側シャフト(700)を示す。本実施例の外側シャフト(700)は、下記で説明する差異を除いては外側シャフト(28)と全く同様に構成され、かつ動作可能であってもよい。本実施例の外側シャフト(700)は、丸みを帯びた遠位端部(712)を有する円柱状本体(710)を含む。横方向に配向された窓開口部(720)は、遠位端部(712)のすぐ近位に形成される。開口部(720)は、縁部(722)によって画定される。いくつかの変形形態では、縁部(722)の少なくとも一部は鋭利である。
【0058】
外側シャフト(700)は、切断部材(30)を受容するように構成されており、ハンドルアセンブリ(12)に対して固定して定着されるように構成されている。開口部(720)は、切断部材(30)の窓開口部(54)のサイズ及び位置に対応するように寸法決め及び位置決めされる。駆動アセンブリ(24)は、切断部材(30)を駆動して外側シャフト(700)内で回転させることができる。真空源(22)は、組織を開口部(54、720)内に引き込むことを支援するために起動されてもよく、縁部(58、722)は、切断部材(30)が外側シャフト(700)内で回転する際に開口部(54、720)内に引き込まれる組織等を剪断するように協働してもよい。
【0059】
外側シャフト(28)とは異なり、本実施例の外側シャフト(700)は、位置センサ(730、740、750、760、770)のセットを含む。位置センサ(730)は、開口部(720)の近位にある外側シャフト(700)の遠位端部(712)の近くに位置する。位置センサ(740、750、760、770)は、螺旋状の経路に沿って位置付けられた位置センサ(730)の近位にある。位置センサ(730、740、750、760、770)は、電気導管(780)と連結され、これは、以下により詳細に説明するように、IGSナビゲーションシステム(100)と通信するための経路を提供する。
【0060】
位置センサ(730、740、750、760、770)の位置は、本実施例では本体(710)に対して固定されている。したがって、本実施例では、各位置センサ(730、740、750、760、770)と開口部(720)の中心との間の距離が固定される。本文脈において、用語「固定された」とは、製造プロセスが完了した後に位置センサ(730、740、750、760、770)が本体(710)に対して移動しないことを示すことを意味し、その結果、各位置センサ(730、740、750、760、770)と開口部(720)の中心との間の距離は、外科用切断器具の動作中に変化しないことを示すことを意味する。いくつかの変形形態では、各位置センサ(730、740、750、760、770)と開口部(720)の中心との間の距離は前もって決定されている。いくつかのその他の変形形態では、各位置センサ(730、740、750、760、770)と開口部(720)の中心との間の距離は、前もって決定されているものではなく、1つの外科用切断器具から別の外科用切断器具までわずかに変化してもよく、例えば、製造公差から予想され得る。このようなシナリオでは、所与の外科用切断器具は、外科用切断器具が医療処置で使用される前に、製造プロセスが完了した後に較正され得る。このような較正プロセスを使用して、手元の特定の外科用切断器具に関する、各位置センサ(730、740、750、760、770)と開口部(720)の中心との間の距離の正確な値を決定することができる。本明細書の教示を考慮することで、このような較正可能性が実行され得る種々の好適な方法が、当業者には明らかとなろう。
【0061】
各位置センサ(730、740、750、760、770)と開口部(720)の中心との距離の正確な値を含む(が必ずしもこれらに限定されない)、上述の較正プロセス中に収集された情報は、外科用切断器具自体内に収容されたローカルメモリ装置に記憶することができる。単に一例として、ハンドルアセンブリ(12)(又はいくつかのその他の構成要素)は、較正情報が記憶されるEEPROMを含んでもよい。あるいは、その他の任意の好適な種類の記憶装置、その他の任意の好適な位置で使用することもできる。医療処置の開始時に、プロセッサ(110)は、記憶装置に問い合わせて、手元の外科用切断器具から較正データを取得することができ、またこのデータを考慮して、位置センサ(730、740、750、760、770)からの信号を処理して、医師に提示される位置データが可能な限り正確であることを確実にすることができる。手元の特定の外科用切断器具に関する各位置センサ(730、740、750、760、770)と開口部(720)の中心との間の距離が、較正プロセスを介して前もって決定された又は決定されたかどうかにかかわらず、特定の外科用切断器具に関する各位置センサ(730、740、750、760、770)と開口部(720)の中心との間の距離は、医師が外科用切断器具を用いた医療処置を行う前に、プロセッサ(110)によって「既知」であり得る。
【0062】
各位置センサ(730、740、750、760、770)は、磁場発生器(206)によって発生した交流電磁場に応答して電流を発生させるように構成されたコイルを含んでもよく、これにより、位置センサ(730、740、750、760、770)は、患者(P)の頭部(H)内の外側シャフト(700)の遠位端部(712)の位置を示す電気信号を生成し得る。開口部(720)の中心に対するセンサ(730、740、750、760、770)の位置決めは既知であるため、位置センサ(730、740、750、760、770)からの信号はまた、患者(P)の頭部(H)内の開口部(720)の中心の位置を示してもよい。
【0063】
プロセッサ(110)は、患者(P)の頭部(H)内の開口部(720)の中心の位置を示す位置センサ(730、740、750、760、770)からの情報を有し、プロセッサ(110)は、遠位端部(612)が患者(P)の頭部(H)内で移動する場合に、ディスプレイ(114)を駆動して、患者(P)の頭部(H)内の解剖学的構造の画像に対して、開口部(720)の中心の位置を実時間で描写してもよい。更に、開口部(720)の寸法及び構成は所定であり、またプロセッサ(110)が、患者(P)の頭部(H)内の開口部(720)の中心の位置を示すデータを有することから、プロセッサ(110)は、患者(P)の頭部(H)内の開口部(720)の位置をより明確かつ正確に示すために、開口部(720)のグラフィック表現を描写するようにディスプレイ(114)を駆動してもよい。
【0064】
本実施例では、位置センサ(730、740、750、760、770)は、本体(710)の長手方向中心軸から横方向にオフセットされている。したがって、外側シャフト(700)が本体(710)の長手方向中心軸線の周囲を回転する場合(例えば、ハンドルアセンブリ(12)を把持している操作者が器具(10)全体を回転させる際)、位置センサ(730、740、750、760、770)はそのような動きを感知し、それによって、本体(710)の長手方向中心軸線の周囲の外側シャフト(700)の角度位置を示す信号を提供する。換言すれば、位置センサ(730、740、750、760、770)は、本体(710)の長手方向中心軸線の周囲の開口部(720)の回転配向又は角度位置を示す。したがって、プロセッサ(110)は、患者の頭部内の開口部(720)の三次元位置を示すことに加えて、開口部(720)の回転配向又は角度位置を示すように、ディスプレイ(114)を駆動してもよい。このようなレンダリングにおいて、プロセッサ(110)は、開口部(720)の位置の強調表示を用いて、ディスプレイ(114)を駆動し、外側シャフト(700)の形状及び開口部(720)の形状を与えてもよい。
【0065】
上述のように、各位置センサ(730、740、750、760、770)はコイルの形態をとることができ、ワイヤはコイル軸の周囲に巻かれる。本実施例では、各位置センサ(730、740、750、760、770)のコイル軸は、全ての位置センサ(730、740、750、760、770)のコイル軸が互いに平行であるように、本体(710)の長手方向中心軸線と平行である。あるいは、各位置センサ(730、740、750、760、770)のコイル軸は、本体(710)の長手方向中心軸線と、互いに任意の他の好適な関係を有してもよい。この例では、5つの位置センサ(730、740、750、760、770)が示されているが、外側シャフト(700)は、代わりに、2を超える任意の数を含む任意のその他の好適な数の位置センサを含んでもよい。このような複数の位置センサは、螺旋状の経路に沿って配置されてもよい、又はそうでなければ、角度の付いた状態で、かつ長手方向に、互いからオフセットされてもよい。
【0066】
各位置センサ(730、740、750、760、770)は、外側シャフト(700)内の切断部材(30)の移動を妨げないように、本体(710)上又は本体(710)内に位置付けられる。単に一例として、各位置センサ(730、740、750、760、770)は、本体(710)の内径に緊密に固定されてもよい。別の単なる例示的実施例として、各位置センサ(730、740、750、760、770)は、本体(710)の側壁に直接一体化されてもよい。更に別の単なる例示的実施例として、各位置センサ(730、740、750、760、770)は、本体(710)の外径に緊密に固定されてもよい。本明細書の教示を考慮することで、位置センサ(730、740、750、760、770)が本体(710)と固定的に連結され得る、又は本体(710)内にあり得るその他の好適な方法が、当業者には明らかとなろう。
【0067】
位置センサ(730、740、750、760、770)は、電気導管(780)を介してIGSナビゲーションシステム(100)と通信する。単に一例として、電気導管(780)は、本体(710)の長さの少なくとも一部に沿って延びる1本以上のワイヤを備えてもよい。加えて、又は代替的に、電気導管(780)は、本体(710)上又は本体(710)内に形成された1つ以上の電気トレースを含んでもよい。本明細書の教示を考慮することで、電気導管(780)が取り得るその他の好適な形態が、当業者には明らかとなろう。いくつかの変形形態では、電気導管(780)は、有線通信を介してプロセッサ(110)と直接連結される。いくつかのその他の変形形態では、電気導管(780)は、連結ユニット(132)又はその他の無線通信装置などによって、プロセッサ(110)と無線で連結される。
【0068】
シャフト(700)の長さに沿った異なる位置に位置する位置センサ(730、740、750、760、770)のような、シャフトの長さに沿った異なる位置に位置する複数の位置センサを含む変形形態は、屈曲するように動作可能なシャフトの文脈において、特に有用であり得る。これは、受動的に可撓性のシャフト、展性であるシャフト、及び(例えば、プルワイヤからの印加張力に基づいて等の)能動的に操舵可能なシャフトを含んでもよい。能動的に操舵可能なシャフトを有するシェービング器具の例は、その開示が全体として本明細書に参考として組み込まれる、米国特許仮出願番号62/775,135号、表題:「Bi-Directional Articulating Surgical Shaver」(2018年12月4日)に記載されている。シャフトがどのように屈曲するかにかかわらず、シャフトが屈曲された場合、複数の位置センサは、シャフトの屈曲角度及び屈曲構成を効果的に示す位置データを提供してもよい。換言すれば、医療処置前又は医療処置中にシャフト構成がアドホックベースで変化する場合であっても、複数の位置センサは依然として正確な位置データを実時間で提供し、プロセッサ(110)が、シャフトの屈曲構成、並びにシャフトの開口(又はその他の構造的特徴部)の位置及び配向を実時間で正確に示すようにディスプレイ(114)を駆動することを可能にし得る。
【0069】
IV.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせる、又は適用することができる、種々の非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではないと理解されよう。一切の棄権を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものにすぎない。本明細書の種々の教示は、その他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形形態では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の継承者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、それらの更なる特徴は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例0070】
(a)長手方向軸線を画定する細長いシャフトであって、(i)遠位端部と、(ii)開口部と、(iii)ルーメンと、を含む、細長いシャフトと、(b)第1の位置センサであって、第1の位置センサは、長手方向軸線から横方向にオフセットされており、第1の位置センサは、開口部から既知の距離で細長いシャフトに対して固定的に定着され、第1の位置センサは、細長いシャフトの三次元空間内の位置を示す信号を生成するように構成されている、第1の位置センサと、を備える装置。