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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061861
(43)【公開日】2024-05-08
(54)【発明の名称】可動式ハウス
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20240426BHJP
【FI】
E04H1/02
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041054
(22)【出願日】2024-03-15
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】505229195
【氏名又は名称】株式会社エコム
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】藤倉 久男
(57)【要約】
【課題】大型のトラックなどでの輸送を必要とせず、しかも、施工現場での作業工数を最小限に抑えることの可能な可動式ハウスを提供する。
【解決手段】可動式ハウス100は、壁100A、床100Bおよび天井100Cが複数の木質パネルで構成されたボックス部を備えている。ボックス部の壁には、少なくとも1つの扉用開口部101および少なくとも1つの窓用開口部102が設けられている。可動式ハウスは、さらに、扉用開口部ごとに設けられる1または複数の扉5と、窓用開口部ごとに設けられる1または複数の窓4と、床に取り付け可能に構成された1または複数のキャスター6とを備えている。各木質パネルは、JAS規格によって規定された構造用合板と、構造用合板に固定された木製枠材とを有している。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁、床および天井が複数の木質パネルで構成され、さらに、前記壁には少なくとも1つの扉用開口部および少なくとも1つの窓用開口部が設けられたボックス部と、
前記扉用開口部ごとに設けられる1または複数の扉と、
前記窓用開口部ごとに設けられる1または複数の窓と、
前記床に取り付け可能に構成された1または複数のキャスターと
を備え、
各前記木質パネルは、
JAS規格によって規定された構造用合板と、
前記構造用合板に固定された木製枠材と
を有する
可動式ハウス。
【請求項2】
前記木製枠材は、前記構造用合板と平行な方向に延在する、ボルトを通すための複数の第1の貫通孔を有し、
前記ボックス部は、互いに接する2枚の前記木質パネルにおける、一方の前記木質パネルの前記第1の貫通孔と、他方の前記木質パネルの前記第1の貫通孔とに挿通されるボルトと、
前記ボルトを前記木質パネルに固定するナットと
をさらに有する
請求項1に記載の可動式ハウス。
【請求項3】
互いに接する2枚の前記木質パネルにおける、一方の前記木質パネルの前記木製枠材と、他方の前記木質パネルの前記木製枠材とは、ビスで互いに固定される
請求項1に記載の可動式ハウス。
【請求項4】
前記木製枠材は、前記構造用合板と平行な方向に延在する、配管を通すための複数の第2の貫通孔を有し、
複数の前記第2の貫通孔は、2回回転対称の位置に配置されている
請求項2または請求項3に記載の可動式ハウス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動式ハウスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一般住宅などの建物のコストを低減するために、ツーバイフォーなどの建物部材のユニット化が盛んに行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
建物部材のユニット化は、必要な職人の数の削減や、施工現場での工数の削減に寄与している。しかし、ユニット化された建物部材は、大型のトラックなどでの輸送を必要とするので、狭い道路に面した土地での建築には向かない。また、地震や津波、台風などの災害によって、住宅などの建築物が損壊した被災地に対しても、ユニット化された建物部材を持ち込むことは容易ではない。従って、大型のトラックなどでの輸送を必要とせず、しかも、施工現場での作業工数を最小限に抑えることの可能な可動式ハウスを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施の形態に係る可動式ハウスは、壁、床および天井が複数の木質パネルで構成されたボックス部を備えている。ボックス部の壁には、少なくとも1つの扉用開口部および少なくとも1つの窓用開口部が設けられている。本発明の一実施の形態に係る可動式ハウスは、さらに、扉用開口部ごとに設けられる1または複数の扉と、窓用開口部ごとに設けられる1または複数の窓と、床に取り付け可能に構成された1または複数のキャスターとを備えている。各木質パネルは、JAS規格によって規定された構造用合板と、構造用合板に固定された木製枠材とを有している。
【0005】
本発明の一実施の形態に係る可動式ハウスでは、JAS規格によって規定された構造用合板に木製枠材が固定された木質パネルがボックス部の壁、床および天井に用いられている。これにより、例えば、施工現場で、複数の木質パネルを組み合わせたり、複数のボックス部を、通路等を介して連結したりすることで、様々な形や大きさの家を構築することができる。また、本発明の一実施の形態に係る可動式ハウスでは、1または複数のキャスターをボックス部の床に取り付けることにより、施工現場で、ボックス部を容易に移動させることができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態に係る可動式ハウスによれば、JAS規格によって規定された構造用合板に木製枠材が固定された木質パネルをボックス部の壁、床および天井に用い、さらに、ボックス部の床に1または複数のキャスターを取り付け可能にしたので、施工現場で、複数の木質パネルを組み合わせたり、複数のボックス部を、通路等を介して連結したりすることで、様々な形や大きさの家を構築することができ、また、施工現場で、ボックス部を容易に移動させることができる。従って、大型のトラックなどでの輸送を必要とせず、しかも、施工現場での作業工数を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施の形態にかかる可動式ハウスの斜視構成例を表す図である。
図2図1の可動部の斜視構成例および底面構成例を表す図である。
図3図1の木質パネルの斜視構成例を表す図である。
図4図1の木質パネルが複数組み合わされた木質パネルモジュールの斜視構成例を表す図である。
図5図4の木質パネルモジュールにおける、ボルト付近を拡大して表す図である。
図6図4の木質パネルモジュールにおける、ボルト付近を拡大して表す図である。
図7図4の木質パネルモジュールに配管を通した様子を表す図である。
図8図3の木質パネルの斜視構成の一変形例を表す図である。
図9図4の木質パネルモジュールの一変形例を拡大して表す図である。
図10図1の可動式ハウスを複数連結した様子を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明は本発明の一具体例であって、本発明は以下の態様に限定されるものではない。また、本発明は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比などについても、それらに限定されるものではない。
【0009】
本発明の一実施の形態に係る可動式ハウス100の構成について説明する。図1は、可動式ハウス100の斜視構成例を表したものである。可動式ハウス100は、パネル工法によって建てられた建物であり、壁や床、天井の下地材(構造材)が複数の木質パネル1を組み建てることにより製造される建物である。パネル工法とは、建築物の壁や床、天井の下地材(構造材)をあらかじめ工場にてパネル化しておき、パネル化された複数の部材
(建築用パネル)を施工現場で組み立てることにより、建築物を建てる工法を指している。
【0010】
可動式ハウス100は、例えば、図1に示したように、壁100A、床100Bおよび天井100Cが複数の木質パネル1で構成されたボックス部を備えている。壁100Aには、少なくとも1つの扉用開口部101および少なくとも1つの窓用開口部102が設けられている。
【0011】
扉用開口部101は、例えば、1枚の木質パネル1の大きさに相当する大きさとなっており、壁100Aを構成する複数の木質パネル1のうちの、1枚の木質パネル1を省略することにより形成され得る。窓用開口部102は、例えば、壁100Aを構成する複数の木質パネル1のうちの、垂直方向に一列に配列された複数の木質パネル1を省略することにより形成され得る。木質パネル1については、後に詳述する。
【0012】
可動式ハウス100は、さらに、例えば、図1に示したように、1または複数の扉5と、1または複数の窓4とを備えている。扉5は、扉用開口部101ごとに設けられ、扉用開口部101に取り付け可能に構成されている。扉5は、扉用開口部101に対して、扉5の垂直方向に延在する端辺を中心軸として回動可能に取り付けられる。窓4は、窓用開口部102ごとに設けられ、窓用開口部102に取り付け可能に構成されている。窓4は、窓用開口部102に対して、窓4の垂直方向もしくは水平方向に延在する端辺を中心軸として回動可能に取り付けられる。
【0013】
可動式ハウス100は、さらに、例えば、図1に示したように、ボックス部(床100B)の下に設けられた1または複数の可動部6を備えている。各可動部6は、床100Bに取り付け可能に構成されている。各可動部6は、例えば、図2に示したように、ボックス部(床100B)の下面に接して固定される架台下部61と、架台下部61に固定される1または複数のキャスター62とを有している。架台下部61は、例えば、方形状の金属平板である。架台下部61には、ボルトを挿通可能な複数のボルト孔61aが設けられている。例えば、ボックス部をジャッキアップした状態で、ボックス部(床100B)の下面に架台下部61を接触させ、架台下部61のボルト孔61aと、床100Bに形成された、ボルトを挿通可能なボルト孔とにボルトを挿通し、そのボルトをナットで床100Bに固定することにより、架台下部61を床100Bに固定することができる。例えば、図2に示したように、可動部6に対して3つのキャスター62が設けられている場合、2つのキャスター62については回転軸が固定され、残りの1つのキャスター62については回転軸が架台下部61と平行な面内で自由に動くように固定される。
【0014】
図3は、木質パネル1の斜視構成例を表したものである。木質パネル1は、パネル工法によって建築物を建てる際に用いられる建築用パネルであり、建築物の壁や床、天井の下地材(構造材)に用いられる。木質パネル1は、施工現場での加工により生産される部材ではなく、工場での加工により生産される部材である。そのため、木質パネル1の品質は、天候や作業者の技量に左右されることがなく、高品質で安定している。木質パネル1には、防腐処理が施されていることが好ましい。木質パネル1に防腐処理が施される前に、木質パネル1の所定位置に、ボルトなどを通すための孔が設けられていることが好ましい。これにより、施行現場での孔空け作業が不要となるだけでなく、孔空けによる防腐効果の低減が防止される。
【0015】
木質パネル1は、例えば、合板10、枠材20および支持材30によって構成されている。合板10は、例えば、JAS(Japanese Agricultural Standard)規格によって規定された構造用合板である。構造用合板の規格はJAS規格によって規定されている。構造用合板は、JAS規格によると、合板のうち、化粧ばり
構造用合板以外の合板で建築物の構造耐力上主要な部分に使用するもの(さね加工を施したものを含む。)をいう。構造用合板は、JAS規格によると、以下のいずれかのサイズとなっている。
【0016】
構造用合板のサイズ
幅(mm) × 長さ(mm)
900 1,800、1818
910 1,820、2,130、2,440、2,730、3,030
955 1,820
1,000 2,000
1,220 2,440、2,730
【0017】
枠材20は、合板10に固定された木製枠材であり、例えば、角材で構成されている。支持材30は、合板10に固定された木製支持材であり、例えば、角材で構成されている。枠材20および支持材30は、例えば、釘、ネジ、接着剤等によって、合板10に固定されている。枠材20は、合板10の縁に沿って配置されており、合板10の横方向に延在する縁に沿って配置された複数の横枠材21と、合板10の縦方向に延在する縁に沿って配置された複数の縦枠材22によって構成されている。図3には、枠材20が2本の横枠材21および2本の縦枠材22によって構成されている場合が例示されている。各横枠材21および各縦枠材22は、例えば、角材で構成されている。支持材30は、合板10の縁以外の箇所に配置された木製枠材であり、例えば、角材で構成されている。支持材30は、枠材20を支持するためのものであり、支持材30の両端が枠材20に接している。
【0018】
枠材20は、合板10と平行な方向に延在する複数の貫通孔21Aおよび複数の貫通孔22Aを有している。複数の貫通孔21Aは横枠材21に設けられており、複数の貫通孔22Aは縦枠材22に設けられている。各貫通孔21Aおよび各貫通孔22Aは、配管(例えば、水道管や、電気配線を通すための配管)を通すためのものである。複数の貫通孔21Aおよび複数の貫通孔22Aは、木質パネル1において、2回回転対称の位置に配置されている。貫通孔21Aの数や位置は、図3に記載された内容に限定されるものではない。貫通孔22Aの数や位置は、図3に記載された内容に限定されるものではない。
【0019】
枠材20は、さらに、貫通孔22Aとは異なる位置に、合板10と平行な方向に延在する複数の貫通孔21Bおよび複数の貫通孔22Bを有している。複数の貫通孔21Bは横枠材21に設けられており、複数の貫通孔22Bは縦枠材22に設けられている。各貫通孔21Bおよび各貫通孔22Bは、後述のボルト70を通すためのものである。複数の貫通孔21Bおよび複数の貫通孔22Bは、木質パネル1において、2回回転対称の位置に配置されている。貫通孔21Bの数や位置は、図3に記載された内容に限定されるものではない。貫通孔22Bの数や位置は、図3に記載された内容に限定されるものではない。
【0020】
支持材30は、合板10と平行な方向に延在する複数の貫通孔30Aを有している。各貫通孔30Aは、配管(例えば、水道管や、電気配線を通すための配管)を通すためのものである。各貫通孔30Aの位置は、特に限定されない。支持材30が縦枠材22と平行に配置されている場合には、各貫通孔30Aは、例えば、貫通孔22Aと対向する位置に配置されている。支持材30が横枠材21と平行に配置されている場合には、各貫通孔30Aは、例えば、貫通孔21Aと対向する位置に配置されている。
【0021】
図4は、複数の木質プレート1が組み合わされた木質パネルモジュール2の斜視構成例を表したものである。木質パネルモジュール2が、壁100A、床100Bおよび天井100Cに用いられる。図5(A)、図5(B)、図6(A)、図6(B)は、木質パネル
モジュール2における、ボルト70付近を拡大して表す図である。
【0022】
木質パネルモジュール2は、工場で組み立てられたものであってもよいし、施行現場で組み立てられたものであってもよい。木質パネルモジュール2において、複数の木質プレート1は、例えば、図4に示したように、千鳥張りされている。木質パネルモジュール2において、複数の木質プレート1は、イモ張りされていてもよい。複数の木質プレート1が千鳥張りされる場合には、木質プレート1の半分の大きさの木質プレート3が木質パネルモジュール2の縁に嵌め込まれる。木質プレート3は、合板10の半分の大きさの合板40と、枠材20の半分の大きさの枠材50と、支持材30の半分の大きさの支持材60とにより構成されている。枠材50は、例えば、横枠材21と同じ長さの複数の横枠材51と、縦枠材22の半分の長さの複数の縦枠材52とにより構成されている。
【0023】
横方向に互いに接する2枚の木質パネル1において、一方の木質パネル1の貫通孔22Aと、他方の木質パネル1の貫通孔22Aとは、互いに同軸上に位置している。つまり、横方向に互いに接する2枚の木質パネル1において、一方の木質パネル1の貫通孔22Aと、他方の木質パネル1の貫通孔22Aとは、互いに連通している。なお、例えば、図6(A)、図6(B)示したように、互いに連通している2つの貫通孔22A内に連結管90が嵌め込まれていてもよい。連結管90は、2つの貫通孔22Aの内面を保護するためのものである。
【0024】
縦方向に互いに接する2枚の木質パネル1において、一方の木質パネル1の貫通孔21Aと、他方の木質パネル1の貫通孔21Aとは、互いに同軸上に位置している。つまり、縦方向に互いに接する2枚の木質パネル1において、一方の木質パネル1の貫通孔21Aと、他方の木質パネル1の貫通孔21Aとは、互いに連通している。なお、互いに連通している2つの貫通孔21A内に連結管90が嵌め込まれていてもよい。
【0025】
横方向に互いに接する2枚の木質パネル1において、一方の木質パネル1の貫通孔22Bと、他方の木質パネル1の貫通孔22Bとは、互いに同軸上に位置している。つまり、横方向に互いに接する2枚の木質パネル1において、一方の木質パネル1の貫通孔22Bと、他方の木質パネル1の貫通孔22Bとは、互いに連通している。木質パネルモジュール2は、互いに連通している2つの貫通孔22Bに挿通されたボルト70と、ボルト70を、横方向に互いに接する2枚の木質パネル1に固定するナット80とを備えている。
【0026】
縦方向に互いに接する2枚の木質パネル1において、一方の木質パネル1の貫通孔21Bと、他方の木質パネル1の貫通孔21Bとは、互いに同軸上に位置している。つまり、縦方向に互いに接する2枚の木質パネル1において、一方の木質パネル1の貫通孔21Bと、他方の木質パネル1の貫通孔21Bとは、互いに連通している。木質パネルモジュール2は、互いに連通している2つの貫通孔21Bに挿通されたボルト70と、ボルト70を、縦方向に互いに接する2枚の木質パネル1に固定するナット80とを備えている。
【0027】
木質パネルモジュール2において、例えば、図7に示したように、配管91が複数の貫通孔22Aおよび1つの貫通孔21Aを貫通していてもよいし、配管91が複数の貫通孔22Aおよび複数の貫通孔21Aを貫通していてもよい。このように、木質パネルモジュール2では、配管91を比較的自由自在に配置することが可能である。
【0028】
次に、可動式ハウス100の効果について説明する。
【0029】
従来から、一般住宅などの建物のコストを低減するために、ツーバイフォーなどの建物部材のユニット化が盛んに行われている。建物部材のユニット化は、必要な職人の数の削減や、施工現場での工数の削減に寄与している。しかし、ユニット化された建物部材は、
大型のトラックなどでの輸送を必要とするので、狭い道路に面した土地での建築には向かない。また、地震や津波、台風などの災害によって、住宅などの建築物が損壊した被災地に対しても、ユニット化された建物部材を持ち込むことは容易ではない。
【0030】
一方、可動式ハウス100では、JAS規格によって規定された構造用合板からなる合板10に枠材20が固定された木質パネル1がボックス部の壁100A、床100Bおよび天井100Cに用いられている。これにより、例えば、施工現場で、複数の木質パネル1を組み合わせたり、複数のボックス部を、通路等を介して連結したりすることで、様々な形や大きさの家を構築することができる。また、可動式ハウス100では、1または複数の可動部6をボックス部の床100Bに取り付けることにより、施工現場で、可動式ハウス100を容易に移動させることができる。従って、大型のトラックなどでの輸送を必要とせず、しかも、施工現場での作業工数を最小限に抑えることができる。
【0031】
また、可動式ハウス100では、合板10に固定された枠材20に、ボルト70を通すための複数の貫通孔21Bおよび複数の貫通孔22Bが設けられている。これにより、互いに接する2枚の木質パネル1における、一方の木質パネル1の貫通孔21B(または貫通孔22B)と、他方の木質パネル1の貫通孔21B(または貫通孔22B)とにボルト70を挿通し、そのボルト70をナット80で木質パネル1に固定することにより、複数の木質パネル1同士を固定することができる。その結果、大型のトラックなどでの輸送を必要とせず、しかも、施工現場での作業工数を最小限に抑えることができる。
【0032】
また、複数の貫通孔21Bおよび複数の貫通孔22Bが、木質パネル1において、2回回転対称の位置に配置されていてもよい。この場合、複数の木質パネル1を、上下左右を気にせずに無造作に並べて配置した際に、互いに接する2枚の木質パネル1において、一方の木質パネル1の貫通孔21B(または貫通孔22B)と、他方の木質パネル1の貫通孔21B(または貫通孔22B)とが同軸となるように配置される。つまり、複数の木質パネル1を壁100Aや床100B、天井100Cの下地材に用いた際に、複数の木質パネル1を無造作に組み合わせるだけで、複数の木質パネル1同士を固定することができる。その結果、大型のトラックなどでの輸送を必要とせず、しかも、施工現場での作業工数を最小限に抑えることができる。
【0033】
また、合板10に固定された枠材20に、配管91を通すための複数の貫通孔21Aおよび複数の貫通孔22Aが設けられており、複数の貫通孔21Aおよび複数の貫通孔22Aは、木質パネル1において、2回回転対称の位置に配置されていてもよい。この場合、複数の木質パネル1を、上下左右を気にせずに無造作に並べて配置した際に、互いに接する2枚の木質パネル1において、一方の木質パネル1の貫通孔21A(または貫通孔22A)と、他方の木質パネル1の貫通孔21A(または貫通孔22A)とが同軸となるように配置される。つまり、複数の木質パネル1を壁100Aや床100B、天井100Cの下地材に用いた際に、複数の木質パネル1を無造作に組み合わせるだけで、壁100Aや床100B、天井100Cの下地材に配管91を通す通路を設けることができる。その結果、大型のトラックなどでの輸送を必要とせず、しかも、施工現場での作業工数を最小限に抑えることができる。
【0034】
上記実施の形態において、例えば、図8に示したように、配線用の貫通孔21A,22A,30Aが省略されていてもよい。この場合であっても、上記の実施の形態と同様、大型のトラックなどでの輸送を必要とせず、しかも、施工現場での作業工数を最小限に抑えることができる。
【0035】
上記実施の形態およびその変形例において、例えば、図9に示したように、互いに接する2枚の木質パネル1における、一方の木質パネル1の枠材20と、他方の木質パネル1
の枠材20とが、ビス71で互いに固定されてもよい。このようにした場合には、枠材20に対して、貫通孔21B,22Bを設ける必要がなくなり、さらに、ボルト止め作業の際に枠材20に欠損を生じさせるのを避けることができる。
【0036】
例えば、図10に示したように、上記実施の形態およびその変形例に係る複数の可動式ハウス100が、通路200を介して連結されてもよい。このとき、可動式ハウス100の窓5に通路200が連結される。さらに、例えば、図10に示したように、上記実施の形態およびその変形例に係る複数の可動式ハウス100の窓5にスロープデッキ300が連結されてもよい。このようにすることで、様々な形や大きさの家を構築することができる。
【0037】
1…木質パネル、2…木質パネルモジュール、3…木質プレート、4…窓、5…扉、6…可動部、10…合板、20…枠材、21…横枠材、21A,21B…貫通孔、22…縦枠材、22A,22B…貫通孔、30…支持材、30A…貫通孔、40…合板、50…枠材、51…横枠材、52…縦枠材、60…支持材、61…架台下部、61a…ボルト孔、62…キャスター、70…ボルト、71…ビス、80…ナット、90…連結管、91…配管、100…可動式ハウス、100A…壁、100B…床、100C…天井、101…扉用開口部、102…窓用開口部、200…通路、300…スロープデッキ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10