(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061862
(43)【公開日】2024-05-08
(54)【発明の名称】直流電流によりパイプライン内の流体を加熱するためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
H05B 3/40 20060101AFI20240426BHJP
H05B 3/00 20060101ALI20240426BHJP
F16L 53/30 20180101ALI20240426BHJP
【FI】
H05B3/40 A
H05B3/00 310C
F16L53/30
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024041226
(22)【出願日】2024-03-15
(62)【分割の表示】P 2021507745の分割
【原出願日】2019-08-15
(31)【優先権主張番号】18189370.2
(32)【優先日】2018-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】キアラ・アンネ・コチェンデルファー
(72)【発明者】
【氏名】ハインリヒ・ライプ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレイ・シュストフ
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ-ユルゲン・キューン
(72)【発明者】
【氏名】エリック・イェンネ
(72)【発明者】
【氏名】ライナー・ヤーコプ
(57)【要約】
【課題】流体を加熱するためのデバイスおよび方法を提供する。
【解決手段】デバイスは、流体を受けるための少なくとも1つの導電性パイプラインおよび/または少なくとも1つの導電性パイプラインセグメントと、少なくとも1つのDC電流源および/またはDC電圧源であって、それぞれ1つのDC電流源またはDC電圧源が、各パイプラインおよび/または各パイプラインセグメントに対して割り当てられ、接続され、それぞれのDC電流源および/またはDC電圧源は、それぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメント中に電流を生成するように具現化され、前記電流は、流体を加熱するために、電流が導電性パイプ材料を通過するときに生じるジュール加熱によりそれぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメントを加温する、少なくとも1つのDC電流源および/またはDC電圧源とを備える。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を加熱するためのデバイス(110)であって、
前記流体を受けるための少なくとも1つの導電性パイプライン(112)および/または少なくとも1つの導電性パイプラインセグメント(114)と、
少なくとも1つのDC電流源および/またはDC電圧源(126)であって、それぞれ1つのDC電流源またはDC電圧源(126)が、各パイプライン(112)および/または各パイプラインセグメント(114)に対して割り当てられ、前記DC電流源またはDC電圧源は、前記それぞれのパイプライン(112)および/または前記それぞれのパイプラインセグメント(114)に対して接続され、前記それぞれのDC電流源および/または前記DC電圧源(126)は、前記それぞれのパイプライン(112)および/または前記それぞれのパイプラインセグメント(114)中に電流を生成するように具現化され、前記電流は、前記流体を加熱するために、前記電流が導電性パイプ材料を通過するときに生じるジュール加熱により前記それぞれのパイプライン(112)および/または前記それぞれのパイプラインセグメント(114)を加温し、前記デバイス(110)は、複数のパイプライン(112)および/またはパイプラインセグメント(114)を備え、前記パイプライン(112)および/または前記パイプラインセグメント(114)は、貫通連結され、結果として前記流体を受けるためのパイプシステム(118)を形成する、少なくとも1つのDC電流源および/またはDC電圧源(126)と
を備える、デバイス(110)。
【請求項2】
前記デバイス(110)は、L個のパイプラインセグメント(114)を備え、ここでLは、2以上の自然数であり、前記パイプラインセグメント(114)は、非対称状パイプおよび/またはその組合せを備える、請求項1に記載のデバイス(110)。
【請求項3】
前記パイプライン(112)および/または前記パイプラインセグメント(114)ならびに適切な供給パイプラインおよび除去パイプラインが、相互に流体伝導連結され、前記パイプライン(112)および/または前記パイプラインセグメント(114)ならびに前記供給パイプラインおよび前記除去パイプラインが、相互にガルバニック絶縁される、請求項1または2に記載のデバイス(110)。
【請求項4】
前記デバイス(110)は、前記それぞれのパイプライン(112)および/または前記パイプラインセグメント(114)と前記供給パイプラインおよび前記除去パイプラインとの間のガルバニック絶縁のために構成された絶縁部(124)を備え、前記絶縁部(124)は、前記流体の自由流通を確保するように構成される、請求項3に記載のデバイス(110)。
【請求項5】
前記パイプライン(112)および/または前記パイプラインセグメント(114)のうちの複数またはすべてが、直列および/または並列に構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス(110)。
【請求項6】
前記デバイス(110)は、複数のDC電流源および/またはDC電圧源(126)を備え、前記DC電流源および/または前記DC電圧源(126)は、少なくとも1つの電気出力変数の閉ループ制御のためのオプションを有してまたは有さずに具現化される、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス(110)。
【請求項7】
前記デバイス(110)は、前記それぞれのパイプライン(112)および/または前記それぞれのパイプラインセグメント(114)に対して前記DC電流源または前記DC電圧源(126)を接続するために、2~N個の正端子および/または正導体(128)ならびに2~N個の負端子および/または負導体(130)を備え、ここでNは、3以上の自然数である、請求項6に記載のデバイス(110)。
【請求項8】
前記それぞれのDC電流源または前記DC電圧源(126)は、同一にまたは異なって構成される、請求項6または7に記載のデバイス(110)。
【請求項9】
前記デバイスは、2~M個のそれぞれ異なるDC電流源および/またはDC電圧源(126)を備え、ここでMは、3以上の自然数であり、前記DC電流源および/または前記DC電圧源(126)は、相互に独立して電気制御可能である、請求項8に記載のデバイス(110)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の少なくとも1つのデバイス(110)を備える設備。
【請求項11】
前記設備は、スチームクラッカー、蒸気改質器、およびアルカン脱水素用の装置からなる群より選択される、請求項10に記載の設備。
【請求項12】
デバイスに関する請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス(110)を使用することにより流体を加熱するための方法であって、
前記流体を受けるために少なくとも1つの導電性パイプライン(112)および/または少なくとも1つの導電性パイプラインセグメント(114)を用意するステップと、
前記パイプライン(112)および/または前記パイプラインセグメント(114)内に前記流体を受けるステップと、
少なくとも1つのDC電流源および/またはDC電圧源(126)を用意するステップであって、それぞれ1つのDC電流源またはDC電圧源(126)が、各パイプライン(112)および/または各パイプラインセグメント(114)に対して割り当てられ、前記DC電流源またはDC電圧源は、前記それぞれのパイプライン(112)および/または前記それぞれのパイプラインセグメント(114)に対して接続される、ステップと、
前記それぞれのDC電流源および/または前記DC電圧源(126)により前記それぞれのパイプライン(112)および/または前記それぞれのパイプラインセグメント(114)中に電流を生成するステップであって、前記電流は、前記流体を加熱するために、前記電流が導電性パイプ材料を通過するときに生じるジュール加熱により前記それぞれのパイプライン(112)および/または前記それぞれのパイプラインセグメント(114)を加温する、ステップと
を含む、方法。
【請求項13】
熱分解対象の炭化水素、とりわけ熱分解対象の炭化水素混合物が、流体として加熱される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
水または蒸気が流体として加熱され、前記水または前記蒸気は、より具体的には550℃~700℃の範囲内の温度まで加熱され、前記流体は、熱分解対象の炭化水素、とりわけ熱分解対象の炭化水素混合物を追加的に含み、加熱対象の前記流体は、予熱された熱分解対象の炭化水素混合物および蒸気である、方法に関する請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
改質炉の燃焼空気が、流体として、200℃~800℃の範囲内の温度まで予熱される、方法に関する請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプライン内の流体を加熱するためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原則的には、かかるデバイスは既知である。例えば、国際公開第2015/197181号は、流体を受けるための少なくとも1つの導電性パイプランと、この少なくとも1つのパイプラインに対して接続された少なくとも1つの電圧源とを用いて流体を加熱するためのデバイスについて説明している。少なくとも1つの電圧源は、少なくとも1つのパイプライン内に電流を発生させるように設計され、この電流が、少なくとも1つのパイプラインを加温することにより流体を加熱する。少なくとも1つの電圧源は、M個の外方導体を有し、ここでMは、2以上の自然数である。少なくとも1つの電圧源は、外方導体に対してAC電圧を供給するように設計される。これらのAC電圧は、2π/Mだけ相互に対して位相変異される。これらの外方導体は、導電的に少なくとも1つのパイプラインに対して接続されて、スター回路を形成する。
【0003】
原則的には、パイプライン内の流体を加熱するための装置は既知である。例として、仏国特許出願公開第2831154号明細書は、連続式炭化水素改質反応器において高温での発熱酸化反応および吸熱熱分解反応を支援するための電気加熱について説明している。米国特許出願公開第2014/238523号明細書は、電気抵抗加熱素子が沿うように延在する少なくとも2つのパイプラインを備えるパイプラインシステムを加熱するための装置について説明している。米国特許出願公開第2016/115025号明細書は、化学反応を促進するためのシステムおよび方法である。このシステムは、化学混合物を保持するように構成された電気導体を備える。この導体は、エネルギー源に対して直接的に接続され、エネルギー源がオンにある場合に加熱される。化学混合物は、化学混合物が導体内に位置し、エネルギー源がオンである場合に加熱され、化学反応が発生し得る。中国実用新案第201135883号明細書は、即時加熱タイプのパイプ反応器について説明しており、このパイプ反応器は、中央に配置された反応パイプと、反応パイプの外部を覆う断熱層と、電気加熱制御デバイスとを備える。この反応パイプは、電気加熱制御デバイスに対して直接的に接続される。反応パイプは、導電性材料からなる。反応パイプは、加熱素子として使用される。仏国特許出願公開第2722359号明細書は、流体がラインの均一中央ボアを通過することについて説明しており、この中央ボアの壁部厚さは、軸方向へ均一に増加する。電気エネルギー源が、その端部間に接続される。単位長さにおける抵抗加熱は、厚さが増加するにつれて低下し、必要とされるエネルギー分布は、適切な寸法を選択することにより実現される。米国特許出願公開第2013/028580号明細書は、炭化水素を輸送するためのラインについて説明している。このラインは、中空内方パイプを備え、この中空内方パイプは、内方パイプ内の流体を輸送するために長手方向に延在し、電気絶縁性外方表面を有する。加熱層が、内方パイプ上に配置され、前記加熱層は、ポリマー材料中に埋設された炭素繊維を備える。断熱層が、加熱層の周囲に配置される。外方パイプが、断熱層の周囲に配置される。外方パイプは、少なくとも100バールの外圧に耐え得るように設計される。スペーサ手段が、固定的な様式で内方パイプから外方パイプを一定の距離だけ離間した状態におく。電流供給手段が、内方パイプを加温するために加熱層に対して電流を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2015/197181号
【特許文献2】仏国特許出願公開第2831154号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2014/238523号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2016/115025号明細書
【特許文献5】中国実用新案第201135883号明細書
【特許文献6】仏国特許出願公開第2722359号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2013/028580号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、パイプライン内の流体を加熱するための既知のデバイスは、技術的観点からしばしば複雑なものとなるか、または高額な技術費用でようやく実現され得る。したがって、本発明の目的は、既知の装置および方法の欠点を少なくとも大幅に回避する、流体を加熱するためのデバイスおよび方法を提供することである。特に、このデバイスおよび方法は、その実現が技術的に簡易であり、実施が容易でありまた経済的であるように意図される。特に、このデバイスおよび方法は、例えば分解炉における炭化など、断熱性の低下を引き起こす流体を加熱する場合に適用可能であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1の特徴を有するデバイスと、請求項12の特徴を有する方法とにより達成される。本発明の好ましい改良形態は、とりわけ関連する従属請求項およびそれらの従属請求項の従属性の言及において明記される。
【0007】
以降では、用語「有する」、「備える」、もしくは「含む」、またはそれらの任意の文法的変形例は、非排他的な意味で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語により紹介される特徴以外の他の特徴が存在しない状況と、1つまたは複数の他の特徴が存在する状況との両方に関係し得る。例えば、「AがBを有する」、「AがBを備える」、または「AがBを含む」という表現は、Bとは別の他の要素がAの中に存在しない状況(すなわちAが排他的にBのみから構成される状況)と、Bに加えて、例えば要素C、要素Cおよび要素D、またはさらに他の要素などの1つまたは複数の他の要素がAの中に存在する状況との両方に関係し得る。
【0008】
さらに、用語「少なくとも1つの」および「1つまたは複数の」ならびにこれらの用語の文法的変形例または類似用語は、それらの用語が、1つまたは複数の要素または特徴との関連において使用され、その要素または特徴が1回または複数回にわたり提示され得ることを表現するように意図される場合には、例えばその特徴または要素が初めて紹介される場合など一般的に1回のみ使用される。その特徴または要素が以降で再び述べられる場合には、対応する用語「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」は、一般的にはもはや使用されなくなるが、その特徴または要素が1回または複数回にわたり提示され得る可能性を制限するものではない。
【0009】
さらに、以降では、用語「好ましくは」、「とりわけ」、「例えば」、または同様の用語は、オプションの特徴との関連において使用されるが、それにより代替的な実施形態が限定されることはない。したがって、これらの用語により紹介される特徴は、オプションの特徴であり、これらの特徴がそれらの請求項の、およびとりわけそれらの独立請求項の保護範囲を限定するようには意図されない。したがって、当業者に理解されるように、本発明は、他の構成を利用することによっても実施され得る。同様に、「本発明の一実施形態において」または「本発明の一例において」により紹介される特徴は、オプションの特徴として理解され、それにより代替的な構成または独立請求項の保護範囲が限定されるようには意図されない。さらに、オプションまたは非オプションの特徴のいずれであるかにかかわらず他の特徴とこれらの紹介された特徴とを組み合わせるあらゆる可能性が、これらの紹介表現による影響を被らないままとなるように意図される。
【0010】
本発明の第1の態様では、流体を加熱するためのデバイスが提案される。本発明の範囲内において、「流体」は、気体および/または液体の媒体を意味するものとして理解される。例えば、流体は、水、蒸気、燃焼空気、炭化水素混合物、および熱分解対象の炭化水素からなる群より選択され得る。例えば、流体は、熱分解対象の炭化水素、とりわけ熱分解対象の炭化水素混合物であり得る。例えば、流体は、水または蒸気であり、さらに熱分解対象の炭化水素、とりわけ熱分解対象の炭化水素混合物を含み得る。流体は、例えば、予熱された熱分解対象の炭化水素混合物および蒸気であり得る。さらに他の流体が考えられ得る。「流体を加熱する」は、流体の温度変化をもたらす、とりわけ流体の温度上昇をもたらす、例えば流体の加温をもたらすプロセスを意味するものとして理解され得る。例えば、加熱により、流体は、指定または所定の温度数値まで加温され得る。例えば、流体は、400℃~1200℃の範囲内の温度まで加熱され得る。
【0011】
デバイスは、設備の一部であり得る。例えば、この設備は、スチームクラッカー、蒸気改質器、およびアルカン脱水素用の装置からなる群より選択され得る。例えば、この設備は、蒸気分解、蒸気改質、およびアルカン脱水素からなる群より選択される少なくとも1つのプロセスを実施するように設計され得る。
【0012】
本デバイスは、例えばスチームクラッカーの一部であり得る。「スチームクラッカー」は、例えばナフサ、プロパン、ブタン、およびエタンなどの長鎖炭化水素ならびにガスオイルおよびハイドロワックスが蒸気存在下において熱分解により短鎖炭化水素へと変換されるプロセスを意味するものとして理解され得る。蒸気分解では、水素、メタン、エテン、およびプロペンは、主要生成物ならびにとりわけブテンおよび熱分解ベンゼンとして生成され得る。スチームクラッカーは、550℃~1100℃の範囲内の温度まで流体を加温するように設計され得る。
【0013】
例えば、デバイスは、改質炉の一部であり得る。「蒸気改質」は、水および炭素含有エネルギーキャリア、とりわけ天然ガス、軽質ガソリン、メタノール、バイオガス、およびバイオマスなどの炭化水素から蒸気および炭素酸化物を生成するためのプロセスを意味するものとして理解され得る。例えば、流体は、200℃~800℃の範囲内、好ましくは400℃~700℃の範囲内の温度まで加温され得る。
【0014】
例えば、デバイスは、アルカン脱水素用の装置の一部であり得る。「アルカン脱水素」は、例えばブタンを脱水素してブテン(BDH)にするまたはプロパンを脱水素してプロペン(PDH)にするなど、アルカンを脱水素することによりアルケンを生成するためのプロセスを意味するものとして理解され得る。アルカン脱水素用のこの装置は、400℃~700℃の範囲内の温度まで流体を加温するように設計され得る。
【0015】
しかし、他の温度および温度範囲もまた考えられ得る。
【0016】
本デバイスは、
流体を受けるための少なくとも1つの導電性パイプラインおよび/または少なくとも1つの導電性パイプラインセグメントと、
少なくとも1つのDC電流源および/またはDC電圧源であって、それぞれ1つのDC電流源またはDC電圧源が、各パイプラインおよび/または各パイプラインセグメントに対して割り当てられ、前記DC電流源および/またはDC電圧源が、それぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメントに対して接続され、それぞれのDC電流源および/またはDC電圧源が、それぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメント中に電流を生成するように具現化され、前記電流が、流体を加熱するために、電流が導電性パイプ材料を通過するときに生じるジュール加熱によりそれぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメントを加熱する、少なくとも1つのDC電流源および/またはDC電圧源と
を備える。
【0017】
本発明の範囲内において、パイプラインは、流体を受け輸送するように設計された任意形状のデバイスを意味するものとして理解され得る。パイプラインセグメントは、パイプラインの一部を意味するものとして理解され得る。パイプラインは、少なくとも1つの対称状のおよび/または少なくとも1つの非対称状のパイプを備え得る。パイプラインのジオメトリおよび/または表面および/または材料は、輸送対象の流体により決定され得る。「導電性パイプライン」は、そのパイプライン、とりわけパイプラインの材料が電流を伝導するように設計されることを意味するものとして理解され得る。パイプラインは、改質炉の反応パイプとして設計され得る。パイプラインは、スチームクラッカー、蒸気改質器、およびアルカン脱水素用の装置からなる群より選択される少なくとも1つの設備内の反応パイプとして構成され得る。
【0018】
本デバイスは、複数のパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントを備え得る。デバイスは、L個のパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントを備え、ここでLは、2以上の自然数である。例えば、デバイスは、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の個数のパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントを備え得る。例えば、デバイスは、最大で100個のパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントを備え得る。これらのパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントは、それぞれ同一にまたは異なって構成され得る。これらのパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントは、対称状パイプおよび/または非対称状パイプおよび/またはその組合せを備え得る。完全対称状構成の場合に、デバイスは、同一タイプのパイプのパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントを備え得る。「非対称状パイプ」ならびに「対称状パイプおよび非対称状パイプの組合せ」は、デバイスが例えばさらに所望に応じて並列または直列に連結され得る種々のタイプのパイプの任意の組合せを備えてもよいことを意味するものとして理解され得る。「パイプタイプ」は、特定の特徴により特徴づけられるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントのカテゴリーまたはタイプを意味するものとして理解され得る。パイプタイプは、水平構成のパイプラインおよび/またはパイプラインセグメント、垂直構成のパイプラインおよび/またはパイプラインセグメント、進入部長さ(L1)および/または退出部長さ(L2)および/または移行部長さ(L3)、進入部直径(d1)および/または退出部直径(d2)および/または移行部直径(d3)、パス個数n、パス長さ、パス直径、ジオメトリ、表面、ならびに材料からなる群より選択される少なくとも1つの特徴によって特徴づけられ得る。デバイスは、並列および/または直列に連結される少なくとも2つの異なるタイプのパイプの組合せを備え得る。例として、デバイスは、進入部長さ(L1)および/または退出部長さ(L2)および/または移行部長さ(L3)がそれぞれ異なるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントを備え得る。例として、デバイスは、進入部直径(d1)および/または退出部直径(d2)および/または移行部直径(d3)が非対称であるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントを備え得る。例として、デバイスは、異なる個数のパスを有するパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントを備え得る。例として、デバイスは、パスがそれぞれ異なるパス長さおよび/またはそれぞれ異なるパス直径を有するパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントを備え得る。原則的に、並列および/または直列における任意タイプのパイプの任意の組合せが考えられ得る。デバイスは、複数の供給物入口および/または供給物出口および/または生成フローを備え得る。「供給物」は、デバイスに対して供給される物質流を意味するものとして理解され得る。種々のタイプのパイプまたは同一タイプのパイプのパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントは、複数の供給物入口および/または供給物出口を有して並列および/または直列に配置され得る。パイプラインおよび/またはパイプラインセグメントは、キットの形態において種々のタイプのパイプとして使用可能であってもよく、使用目的に応じて所望に応じた選択および組合せがあり得る。種々のタイプのパイプのパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントを使用することにより、供給物および/または反応の選択的収量および/または最適化されたプロセス技術を変更する場合により正確な温度制御および/または反応の適合化を促進することが可能となる。パイプラインおよび/またはパイプラインセグメントは、同一のまたは異なるジオメトリおよび/または表面および/または材料を備え得る。パイプラインおよび/またはパイプラインセグメントは、貫通連結されてもよく、したがって流体を受けるためのパイプシステムを形成し得る。「パイプシステム」は、とりわけ相互に対して連結された少なくとも2つのパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントを備える装置を意味するものとして理解され得る。パイプシステムは、入出パイプラインを備え得る。パイプシステムは、流体を受けるための少なくとも1つの入口を備え得る。パイプシステムは、流体を排出するための少なくとも1つの出口を備え得る。「貫通連結」は、パイプラインおよび/またはパイプラインセグメントが相互に流体連結状態にあることを意味するものとして理解され得る。したがって、パイプラインおよび/またはパイプラインセグメントは、流体がパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントを順次通り流れるように配置および連結され得る。パイプラインおよび/またはパイプラインセグメントは、流体が少なくとも2つのパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントを通り並列的に流れ得るように相互に対して平行に連結され得る。パイプラインおよび/またはパイプラインセグメント、とりわけ並列連結されたパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントは、それぞれ異なる流体を並列的に輸送するように設計されてもよい。とりわけ、並列連結されたパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントは、それぞれ異なる流体を輸送するように相互に異なるジオメトリおよび/または表面および/または材料を備え得る。とりわけ、流体の輸送に関して、パイプラインおよび/またはパイプラインセグメントのうちの複数またはすべてが、並列として構成されてもよく、それにより流体は、並列として構成されたこれらのパイプラインの間で分割され得る。直列連結および並列連結の組合せもまた考えられ得る。
【0019】
パイプラインおよび/またはパイプラインセグメントならびに対応する供給パイプラインおよび除去パイプラインは、相互に流体伝導連結されてもよく、この場合にパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントならびに供給パイプラインおよび除去パイプラインは、相互にガルバニック絶縁され得る。「ガルバニック絶縁」は、パイプラインおよび/またはパイプラインセグメントならびに供給パイプラインおよび除去パイプラインが、それらの間における電気伝導を有さないおよび/または許容範囲の電気伝導を有するように、相互から分離されることを意味するものとして理解され得る。デバイスは、少なくとも1つの絶縁部、とりわけ複数の絶縁部を備え得る。それぞれのパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントならびに供給パイプラインおよび除去パイプラインの間のガルバニック絶縁は、絶縁部により確保され得る。これらの絶縁部は、流体の自由流通を確保することが可能である。
【0020】
「DC電流源」は、DC電流を供給するように設計された装置を意味するものとして理解され得る。「DC電圧源」は、DC電圧を供給するように設計された装置を意味するものとして理解され得る。DC電流源および/またはDC電圧源は、それぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメント中にDC電流を生成するように構成される。「DC電流」は、強度および方向に関して実質的に一定である電流を意味するものとして理解され得る。「DC電圧」は、実質的に一定の電圧を意味するものとして理解され得る。「実質的に一定」は、意図される効果に対してほとんど影響しない変動しか有さない電流または電圧を意味するものとして理解され得る。
【0021】
パイプラインおよび/またはパイプラインセグメントのそれぞれが、DC電流源および/またはDC電圧源を割り当て得、このDC電流源および/またはDC電圧源は、それぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメントに対して、とりわけ少なくとも1つの電気接続部により電気的に接続される。それぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメントに対してDC電流源および/またはDC電圧源を接続するために、デバイスは、1~N個の正端子および/または正導体ならびに1~N個の負端子および/または負導体を備えてもよく、ここでNは、2以上の自然数である。
【0022】
デバイスは、複数のDC電流源および/またはDC電圧源を備え得る。各パイプラインおよび/または各パイプラインセグメントが、DC電流源および/またはDC電圧源を割り当て得、このDC電流源および/またはDC電圧源は、それぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメントに対して、とりわけ少なくとも1つの電気接続部により電気的に接続される。それぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメントに対してDC電流源および/またはDC電圧源を接続するために、デバイスは、2~N個の正端子および/または正導体ならびに2~N個の負端子および/または負導体を備えてもよく、ここでNは、3以上の自然数である。それぞれのDC電流源および/またはDC電圧源は、それぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメントの中に電流を生成するように構成され得る。生成された電流は、流体を加熱するために、電流が導電性パイプ材料を通過するときに生じるジュール加熱によりそれぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメントを加温し得る。「パイプラインおよび/またはパイプラインセグメントを加温する」は、パイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの温度変化をもたらす、とりわけパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの温度上昇をもたらすプロセスを意味するものとして理解され得る。
【0023】
さらに、デバイスは、例えばパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの周囲に巻き付けられ得る少なくとも1つの加熱ワイヤを備え得る。DC電流源および/またはDC電圧源は、この加熱ワイヤに対して接続され得る。DC電流源および/またはDC電圧源は、加熱ワイヤ中に電流を生成し、したがって熱を生成するように構成され得る。加熱ワイヤは、パイプラインおよび/またはパイプラインセグメントを加温する、とりわけ加熱するように構成され得る。
【0024】
DC電流源および/またはDC電圧源は、制御されるまたは制御されないいずれであってもよい。DC電流源および/またはDC電圧源は、少なくとも1つの電気出力変数の閉ループ制御のためのオプションを有してまたは有さずに具現化され得る。「出力変数」は、電流値および/または電圧値、および/または電流信号および/または電圧信号を意味するものとして理解され得る。デバイスは、2~M個のそれぞれ異なるDC電流源および/または2~M個のそれぞれ異なるDC電圧源を備えてもよく、ここでMは、3以上の自然数である。DC電流源および/またはDC電圧源は、相互に独立して電気制御可能であり得る。したがって、例えば、異なる電流がそれぞれのパイプライン中に生成されてもよく、それぞれ異なる温度がそれらのパイプライン中において達成されることが可能である。
【0025】
本発明の範囲内において、さらなる一態様では、流体を加熱するための方法が提案される。この方法では、本発明によるデバイスが使用される。この方法は、以下のステップを、すなわち
流体を受けるために少なくとも1つの導電性パイプラインおよび/または少なくとも1つの導電性パイプラインセグメントを用意するステップと、
パイプラインおよび/またはパイプラインセグメント内に流体を受けるステップと、
少なくとも1つのDC電流源および/またはDC電圧源を用意するステップであって、それぞれ1つのDC電流源またはDC電圧源が、各パイプラインおよび/または各パイプラインセグメントに対して割り当てられ、前記DC電流源またはDC電圧源が、それぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメントに対して接続される、ステップと、
それぞれのDC電流源および/またはDC電圧源によりそれぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメント中に電流を生成するステップであって、前記電流が、流体を加熱するために、電流が導電性パイプ材料を通過するときに生じるジュール加熱によりそれぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメントを加温する、ステップと
を含む。
【0026】
実施形態および定義に関して、ユニットの上記説明を参照することが可能である。これらの方法ステップは、指定の順序で実施され得るが、それらのステップの中の1つまたは複数が少なくとも部分的に同時に実施されることもまた可能であり、それらのステップの中の1つまたは複数が複数回にわたり繰り返されることも可能である。さらに、他のステップが、本願で述べられるか否かにかかわらず、追加的に実施されてもよい。
【0027】
流体は、デバイスのそれぞれのパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントを通り流れることが可能であり、ジュール加熱がパイプラインおよび/またはパイプラインセグメント中に生成されるようにDC電流源および/またはDC電圧源からこれらのパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントに対して印加されたDC電流によりパイプラインが加熱されることによって、それぞれのパイプラインおよび/またはパイプラインセグメント内において加熱され得る。このジュール加熱は、流体がパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントを通り流れるときにこの流体が加熱されるように、流体に対して伝達される。
【0028】
例えば、熱分解対象の炭化水素、とりわけ熱分解対象の炭化水素混合物が、流体として加熱され得る。
【0029】
例として、水または蒸気が流体として加熱され得る。前記水または前記蒸気は、とりわけ550℃~700℃の範囲内の温度まで加熱され、流体は、熱分解対象の炭化水素、とりわけ熱分解対象の炭化水素混合物を追加的に含む。加熱対象の流体は、予熱された熱分解対象の炭化水素混合物および蒸気であり得る。
【0030】
例として、改質炉の燃焼空気が、流体として、例えば200℃~800℃の範囲内、好ましくは400℃~700℃の範囲内の温度まで予熱または加熱され得る。
【0031】
例として、パイプラインは、改質炉の反応パイプとして具現化され得る。
【0032】
要約すると、以下の実施形態は、本発明の範囲内において特に好ましい。
【0033】
実施形態1:流体を加熱するためのデバイスであって、
流体を受けるための少なくとも1つの導電性パイプラインおよび/または少なくとも1つの導電性パイプラインセグメントと、
少なくとも1つのDC電流源および/またはDC電圧源であって、それぞれ1つのDC電流源またはDC電圧源が、各パイプラインおよび/または各パイプラインセグメントに対して割り当てられ、前記DC電流源および/またはDC電圧源が、それぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメントに対して接続され、それぞれのDC電流源および/またはDC電圧源は、それぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメント中に電流を生成するように具現化され、前記電流が、流体を加熱するために、電流が導電性パイプ材料を通過するときに生じるジュール加熱によりそれぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメントを加熱する、少なくとも1つのDC電流源および/またはDC電圧源と
を備える、デバイス。
【0034】
実施形態2:前出の実施形態に記載のデバイスであって、デバイスが、複数のパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントを備え、パイプラインおよび/またはパイプラインセグメントが、貫通連結され、結果として流体を受けるためのパイプシステムを形成する。デバイス。
【0035】
実施形態3:実施形態1または2に記載のデバイスであって、デバイスが、L個のパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントを備え、ここでLは、2以上の自然数であり、パイプラインおよび/またはパイプラインセグメントは、対称状パイプおよび/または非対称状パイプおよび/またはそれらの組合せを備える、デバイス。
【0036】
実施形態4:実施形態1から3のいずれか1つに記載のデバイスであって、デバイスが、L個のパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントを備え、ここでLは、2以上の自然数であり、デバイスが、並列および/または直列に連結された少なくとも2つの異なるタイプのパイプの組合せを備え、パイプタイプが、水平構成のパイプラインおよび/またはパイプラインセグメント、垂直構成のパイプラインおよび/またはパイプラインセグメント、進入部長さ(L1)および/または退出部長さ(L2)および/または移行部長さ(L3)、進入部直径(d1)および/または退出部直径(d2)および/または移行部直径(d3)、パス個数n、パス長さ、パス直径、ジオメトリ、表面、ならびに材料からなる群より選択される少なくとも1つの特徴によって特徴づけられる、デバイス。
【0037】
実施形態5:実施形態2から4のいずれか1つに記載のデバイスであって、パイプラインおよび/またはパイプラインセグメントならびに適切な供給パイプラインおよび除去パイプラインが、相互に流体伝導連結され、パイプラインおよび/またはパイプラインセグメントならびに供給パイプラインおよび除去パイプラインが、相互にガルバニック絶縁される、デバイス。
【0038】
実施形態6:実施形態5に記載のデバイスであって、デバイスが、それぞれのパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントと供給パイプラインおよび除去パイプラインとの間のガルバニック絶縁のために構成された絶縁部を備え、これらの絶縁部が、流体の自由流通を確保するように構成される、デバイス。
【0039】
実施形態7:実施形態2から6のいずれか1つに記載のデバイスであって、パイプラインおよび/またはパイプラインセグメントのうちの複数またはすべてが、直列および/または並列に構成される、デバイス。
【0040】
実施形態8:実施形態1から7のいずれか1つに記載のデバイスであって、デバイスが、複数のDC電流源および/またはDC電圧源を備え、これらのDC電流源および/またはDC電圧源が、少なくとも1つの電気出力変数の閉ループ制御のためのオプションを有して/有さずに具現化される、デバイス。
【0041】
実施形態9:実施形態8に記載のデバイスであって、デバイスが、それぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメントに対してDC電流源および/またはDC電圧源を接続するために、2~N個の正端子および/または正導体ならびに2~N個の負端子および/または負導体を備え、ここでNは、3以上の自然数である、デバイス。
【0042】
実施形態10:実施形態8または9に記載のデバイスであって、それぞれのDC電流源および/またはDC電圧源が、同一にまたは異なって構成される、デバイス。
【0043】
実施形態11:実施形態10に記載のデバイスであって、デバイスが、2~M個のそれぞれ異なるDC電流源および/またはDC電圧源を備えてもよく、ここでMは、3以上の自然数であり、DC電流源および/またはDC電圧源が、相互に独立して電気制御可能である、デバイス。
【0044】
実施形態12:実施形態1から11のいずれか1つに記載の少なくとも1つのデバイスを備える設備。
【0045】
実施形態13:実施形態12に記載の設備であって、設備が、スチームクラッカー、蒸気改質器、およびアルカン脱水素用の装置からなる群より選択される、設備。
【0046】
実施形態14:デバイスに関する前出の実施形態のいずれか1つに記載のデバイスを使用することにより流体を加熱するための方法であって、以下のステップを、すなわち
流体を受けるために少なくとも1つの導電性パイプラインおよび/または少なくとも1つの導電性パイプラインセグメントを用意するステップと、
パイプラインおよび/またはパイプラインセグメント内に流体を受けるステップと、
少なくとも1つのDC電流源および/またはDC電圧源を用意するステップであって、それぞれ1つのDC電流源またはDC電圧源が、各パイプラインおよび/または各パイプラインセグメントに対して割り当てられ、前記DC電流源またはDC電圧源が、それぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメントに対して接続される、ステップと、
それぞれのDC電流源および/またはDC電圧源によりそれぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメント中に電流を生成するステップであって、前記電流が、流体を加熱するために、電流が導電性パイプ材料を通過するときに生じるジュール加熱によりそれぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメントを加温する、ステップと
を含む、方法。
【0047】
実施形態15:実施形態14に記載の方法であって、熱分解対象の炭化水素、とりわけ熱分解対象の炭化水素混合物が、流体として加熱される、方法。
【0048】
実施形態16:方法に関する前出の実施形態のいずれか1つに記載の方法であって、水または蒸気が流体として加熱され、前記水または前記蒸気が、より具体的には550℃~700℃の範囲内の温度まで加熱され、流体が、熱分解対象の炭化水素、とりわけ熱分解対象の炭化水素混合物を追加的に含み、加熱対象の流体が、予熱された熱分解対象の炭化水素混合物および蒸気である、方法。
【0049】
実施形態17:方法に関する前出の実施形態のいずれか1つに記載の方法であって、改質炉の燃焼空気が、流体として、例えば200℃~800℃の範囲内、好ましくは400℃~700℃の範囲内の温度まで予熱される、方法。
【0050】
実施形態18:方法に関する前出の実施形態のいずれか1つに記載の方法であって、パイプラインが、改質炉用の反応パイプとして具現化される、方法。
【0051】
本発明のさらなる詳細および特徴が、好ましい実施例の以下の説明においてとりわけ従属請求項との組合せにより理解されよう。これらの特徴は、別個に実装されてもよく、またはそれらの中の複数が組み合わされて実装されてもよい。本発明は、これらの実施例に限定されない。実施例は、図面において概略的に示される。各図面内の同一の参照符号は、同一であるまたは同一機能を有する要素を示す、すなわち機能に関して相互に合致する。
【0052】
具体的には以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1a】本発明によるデバイスの例の概略図である。
【
図1b】本発明によるデバイスの例の概略図である。
【
図1c】本発明によるデバイスの例の概略図である。
【
図2】本発明によるデバイスのさらなる例の概略図である。
【
図3】本発明によるデバイスのさらなる例の概略図である。
【
図4a】本発明によるデバイスのさらなる例の概略図である。
【
図4b】本発明によるデバイスのさらなる例の概略図である。
【
図5a】本発明によるデバイスの例の概略図である。
【
図5b】本発明によるデバイスの例の概略図である。
【
図5c】本発明によるデバイスの例の概略図である。
【
図6】本発明によるデバイスのさらなる例の概略図である。
【
図7】本発明によるデバイスのさらなる例の概略図である。
【
図8a】本発明によるデバイスのさらなる例の概略図である。
【
図8b】本発明によるデバイスのさらなる例の概略図である。
【
図10a】種々のタイプのパイプを有するキットを示す図である。
【
図10b】本発明によるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの組合せの例を示す図である。
【
図10c】本発明によるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの組合せの例を示す図である。
【
図10d】本発明によるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの組合せの例を示す図である。
【
図10e】本発明によるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの組合せの例を示す図である。
【
図10f】本発明によるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの組合せの例を示す図である。
【
図10g】本発明によるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの組合せの例を示す図である。
【
図10h】本発明によるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの組合せの例を示す図である。
【
図10i】本発明によるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの組合せの例を示す図である。
【
図10j】本発明によるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの組合せの例を示す図である。
【
図10k】本発明によるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの組合せの例を示す図である。
【
図10l】本発明によるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの組合せの例を示す図である。
【
図10m】本発明によるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの組合せの例を示す図である。
【
図10n】本発明によるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの組合せの例を示す図である。
【
図10o】本発明によるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの組合せの例を示す図である。
【
図10p】本発明によるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの組合せの例を示す図である。
【
図10q】本発明によるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの組合せの例を示す図である。
【
図10r】本発明によるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの組合せの例を示す図である。
【
図10s】本発明によるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの組合せの例を示す図である。
【
図10t】本発明によるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの組合せの例を示す図である。
【
図10u】本発明によるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの組合せの例を示す図である。
【
図10v】本発明によるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの組合せの例を示す図である。
【
図10w】本発明によるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの組合せの例を示す図である。
【
図10x】本発明によるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの組合せの例を示す図である。
【
図10y】本発明によるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの組合せの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
実施例
図1a~
図1cはそれぞれ、本発明による流体を加熱するためのデバイス110の一例の概略図を示す。デバイス110は、流体を受けるための少なくとも1つの導電性パイプライン112および/または少なくとも1つの導電性パイプラインセグメント114を備える。流体は、気体媒体および/または液体媒体であり得る。流体は、例えば水、蒸気、燃焼空気、炭化水素混合物、および熱分解対象の炭化水素からなる群より選択され得る。例えば、流体は、熱分解対象の炭化水素、とりわけ熱分解対象の炭化水素混合物であり得る。例えば、流体は、水または蒸気であり、さらに熱分解対象の炭化水素、とりわけ熱分解対象の炭化水素混合物を含み得る。流体は、例えば、予熱された熱分解対象の炭化水素混合物および蒸気であり得る。さらに他の流体が考えられ得る。デバイス110は、この流体を加温する、とりわけ流体の温度を上昇させるように構成され得る。例えば、この加熱により、流体は、指定のまたは所定の温度数値まで加熱され得る。例えば、流体は、400℃~1200℃の範囲内の温度まで加熱され得る。
【0055】
例えば、デバイス110は、設備の一部であり得る。例えば、この設備は、スチームクラッカー、蒸気改質器、およびアルカン脱水素用の装置からなる群より選択され得る。例えば、デバイス110は、蒸気分解、蒸気改質、およびアルカン脱水素からなる群より選択される少なくとも1つのプロセスを実施するように設計され得る。デバイス110は、例えばスチームクラッカーの一部であり得る。スチームクラッカーは、550℃~1100℃の範囲内の温度まで流体を加温するように設計され得る。例えば、デバイス110は、改質炉の一部であり得る。例えば、流体は、例えば200℃~800℃の範囲内、好ましくは400℃~700℃の範囲内の温度まで予加温または加熱される改質炉の燃焼空気であり得る。例えば、デバイス110は、アルカン脱水素用の装置の一部であり得る。アルカン脱水素用のこの装置は、400℃~700℃の範囲内の温度まで流体を加温するように設計され得る。しかし、他の温度および温度範囲も考えられ得る。
【0056】
パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114は、この流体を受けるおよび輸送するように構成され得る。パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114は、少なくとも1つのリム116またはワインディングを備え得る。パイプライン112は、少なくとも1つの対称状パイプおよび/または少なくとも1つの非対称状パイプを備え得る。
図1cは、3つの対称状パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を有する一実施形態を示す。パイプライン112のジオメトリおよび/または表面および/または材料は、輸送対象の流体により決定され得る。パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114は、電流を伝導するように構成され得る。パイプライン112は、改質炉の反応パイプとして設計され得る。
【0057】
図1bは、デバイスがパイプライン112を備える一例を示す。デバイス110は、複数のパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を、例えば
図1aに示すように2つのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を、または
図1cに示すように3つのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を備え得る。デバイス110は、L個のパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を備えてもよく、ここでLは、2以上の自然数である。例えば、デバイス110は、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上のパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を備え得る。例えば、デバイス110は、最大で100個のパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を備え得る。これらのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114は、それぞれ同一にまたは異なって構成され得る。パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114は、貫通連結されてもよく、したがって流体を受けるためのパイプシステム118を形成し得る。パイプシステム118は、入出パイプライン112を備え得る。パイプシステム118は、流体を受けるための少なくとも1つの入口120を備え得る。パイプシステム118は、流体を排出するための少なくとも1つの出口122を備え得る。
図1は、流体がこれらのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を順次通り流れるようにパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114が配置および連結された一実施形態を示す。
【0058】
パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114ならびに対応する供給パイプラインおよび除去パイプラインは、相互に流体伝導連結されてもよく、パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114ならびに供給パイプラインおよび除去パイプラインは、相互にガルバニック絶縁され得る。デバイス110は、少なくとも1つのガルバニック絶縁部、とりわけ少なくとも1つの絶縁部124を、より具体的には複数の絶縁部124を備え得る。それぞれのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114ならびに供給パイプラインおよび除去パイプラインの間のガルバニック絶縁は、絶縁部124により確保され得る。これらの絶縁部124は、流体の自由流通を確保することが可能である。
【0059】
デバイス110は、少なくとも1つのDC電流源および/またはDC電圧源126を備える。デバイス110は、複数のDC電流源および/またはDC電圧源126を、例えば
図1cに例示的に示すように3つのDC電流源および/またはDC電圧源126を備え得る。デバイス110は、2~M個のそれぞれ異なるDC電流源および/またはDC電圧源126を備えてもよく、ここでMは、3以上の自然数である。DC電流源および/またはDC電圧源126は、それぞれのパイプライン112および/またはそれぞれのパイプラインセグメント114に対して接続され、とりわけ少なくとも1つの電気接続部により電気的に接続される。それぞれのパイプライン112および/またはそれぞれのパイプラインセグメント114に対してDC電流源および/またはDC電圧源126を接続するために、デバイス110は、2~N個の正端子および/または正導体128と、2~N個の負端子および/または負導体130とを備えてもよく、ここでNは、3以上の自然数である。DC電流源および/またはDC電圧源126は、制御されるまたは制御されないのいずれであってもよい。DC電流源および/またはDC電圧源126は、少なくとも1つの電気出力変数の閉ループ制御のためのオプションを有してまたは有さずに具現化され得る。DC電流源および/またはDC電圧源126は、相互に独立して電気制御可能なものであってもよい。したがって、例えば、それぞれ異なる電流が、それぞれのパイプライン112において生成されてもよく、それぞれ異なる温度が、パイプライン112において達成されてもよい。
【0060】
それぞれのDC電流源および/またはDC電圧源126は、それぞれのパイプライン112および/またはそれぞれのパイプラインセグメント114において電流を生成するように構成され得る。生成された電流は、流体を加熱するために、電流が導電性のパイプ材料を通過するときに生じるジュール加熱によりそれぞれのパイプライン112および/またはそれぞれのパイプラインセグメント114を加温することが可能である。
【0061】
図5a~
図5cはそれぞれ、流体を加熱するための本発明によるデバイス110の一例の概略図を示す。さらに、デバイス110の反応空間111が、
図5a~
図5cの例のそれぞれに図示される。
図5aの他の要素に関しては、
図1aの説明を参照することが可能である。
図5bの他の要素に関しては、
図1bの説明を参照することが可能である。
図5cの他の要素に関しては、
図1cの説明を参照することが可能である。
【0062】
図2は、本発明によるデバイス110のさらなる実施形態を示す。このデバイスの構成に関しては、
図1に関する説明を参照とするが、以下の特徴を有する。この実施形態において、デバイス110は、3つのリム116もしくはワインディングを有するパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を備え、これらは流体連結される。デバイスは、入口120および出口122を備える。流体は、入口120から出口122へと、パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を直列的に通り流れ得る。デバイス110は、ガルバニック絶縁のために、絶縁部124を、例えば
図2に示すように2つの絶縁部124を備え得る。この実施形態では、デバイス110は、1つのDC電流源および/またはDC電圧源126を備える。パイプライン112および/またはそれぞれのパイプラインセグメント114に対してDC電流源および/またはDC電圧源126を接続するために、デバイス110は、正端子および/または正導体128と負端子および/または負導体130とを備え得る。
【0063】
図6は、流体を加熱するための本発明によるデバイス110の一例の概略図を示す。さらに、デバイス110の1つの反応空間111が、
図6の例において示される。
図6の他の要素に関しては、
図2の説明を参照することが可能である。
【0064】
図3は、本発明によるデバイス110のさらなる実施形態を示す。このデバイスの構成に関しては、
図1に関する説明を参照とするが、以下の特徴を有する。
図3の実施形態では、デバイス110は、リム116もしくはワインディングを有するパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を備える。デバイス110は、ガルバニック絶縁のために絶縁部124を、例えば
図3に示すように2つの絶縁部124を備え得る。この実施形態では、デバイス110は、1つのDC電流源および/またはDC電圧源126を備える。さらに、デバイス110は、少なくとも1つの加熱ワイヤ132を備えてもよく、この加熱ワイヤ132は、例えばパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントの周囲に巻き付けられ得る。DC電流源および/またはDC電圧源126は、加熱ワイヤ132に対して接続され得る。DC電流源および/またはDC電圧源126は、加熱ワイヤ132中に電流を生成し、したがって熱を生成するように構成され得る。加熱ワイヤ132は、パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を加温するように構成され得る。
【0065】
図7は、流体を加熱するための本発明によるデバイス110の一例の概略図を示す。さらに、デバイス110の1つの反応空間111が、
図7の例において示される。
図7の他の要素に関しては、
図3の説明を参照することが可能である。
【0066】
パイプライン112同士は、
図1aおよび
図1cの例においては直列に配置される。
図4aおよび
図4bは、パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114同士が並列に連結された実施形態を示し、
図4aでは2つのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を、
図4bでは3つの並列パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を有する。他の個数の並列パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114もまた考えられ得る。
図4aおよび
図4bでは、デバイス110は、入口120および出口122を備える。パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114は、流体が並列である少なくとも2つのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を通り流れ得るように、相互に対して連結され得る。並列連結されたパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114は、相互に異なるジオメトリおよび/または表面および/または材料を備え得る。例として、並列連結されたパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114は、それぞれ異なる個数のリム116またはワインディングを有し得る。
【0067】
図8aおよび
図8bはそれぞれ、流体を加熱するための本発明によるデバイス110の一例の概略図を示す。さらに、デバイス110の反応空間111が、
図8aおよび
図8bの例のそれぞれに示される。
図8aの他の要素に関しては、
図4aの説明を参照することが可能である。
図8bの他の要素に関しては、
図4bの説明を参照することが可能である。
【0068】
デバイス110は、対称状および/または非対称状のパイプおよび/またはその組合せを備え得る。完全対称構成の場合には、デバイス110は、同一タイプのパイプのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を備え得る。デバイス110は、例えばさらに所望に応じて並列または直列に連結され得る種々のタイプのパイプの任意の組合せを備えてもよい。パイプタイプは、水平構成のパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114、垂直構成のパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114、進入部長さ(L1)および/または退出部長さ(L2)および/または移行部長さ(L3)、進入部直径(d1)および/または退出部直径(d2)および/または移行部直径(d3)、パス個数n、パス長さ、パス直径、ジオメトリ、表面、ならびに材料からなる群より選択される少なくとも1つの特徴によって特徴づけられ得る。代替的にはまたは追加的には、パイプタイプは、ガルバニック絶縁部および/または接地接続部125を伴うまたは伴わない少なくとも1つのパイプライン112および/または少なくとも1つのパイプラインセグメント114から選択され得る。ガルバニック絶縁部は、例えば絶縁部124を使用して構成され得る。例えば、ガルバニック絶縁部が、パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の入口120に設けられ、ガルバニック絶縁部が、パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の出口122に設けられてもよい。例えば、ガルバニック絶縁部が、パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の入口120に設けられ、接地接続部125が、パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の出口122に設けられてもよい。例えば、ガルバニック絶縁部が、パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の入口120のみに設けられてもよい。例えば、接地接続部125が、パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の入口120のみに設けられてもよい。例えば、パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114は、入口120および出口122に接地接続部125を有さずに、および/または入口120および出口122にガルバニック絶縁部を有さずに用意されてもよい。代替的にはまたは追加的には、パイプタイプは、流体の流れ方向により特徴づけられ得る。流体は、第1の流れ方向および第2の流れ方向と呼ばれる2つの流れ方向に基本的に流れ得る。第1の流れ方向および第2の流れ方向は、逆であり得る。代替的にはまたは追加的には、パイプタイプは、パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114に対する直流電流の印加により特徴づけられ得る。例えば、直流電流の送り込みが、少なくとも2つの負端子および/または負導体の間のパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の任意箇所にて実施され得る。例えば、送り込みは、パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の抵抗が2つの部分抵抗R1およびR2へと分割されるように、2つの負端子間の中間部にて実施され得る。直流電流の半分が、第1の負端子へと流れ、第2の半分が、第2の負端子へと流れ得る。さらに、この送り込みは、それぞれ異なる部分抵抗が実現されるように、負端子/負導体間の任意箇所にて実施されてもよい。例えば、直流電流の送り込みは、パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114上の負端子および/または負導体ならびに正端子および/または正導体を介して実施され得る。例えば、直流電流は正端子から負端子へと流れ、パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114は、全体抵抗Rとしてみなすことが可能である。この場合に、パイプタイプの任意の所望の組合せが可能である。
【0069】
図9Ai~
図9Civは、種々のタイプのパイプの可能な例示の実施形態を概略図にて示す。ここでは、
図9Ai~
図9Civにて、それぞれのケースにおけるパイプタイプが示される。これは、以下のカテゴリーに区分することができ、それらのカテゴリーの考えられるすべての組合せが可能である。
カテゴリーAは、パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の延在部を指定する。A1は、水平方向延在部を有するタイプのパイプを示し、A2は、垂直方向延在部、すなわち水平方向延在部に対して垂直な延在部を有するタイプのパイプを示す。
カテゴリーBは、進入部長さ(L1)および/または退出部長さ(L2)および/または進入部直径(d1)および/または退出部直径(d2)および/または移行部直径(d3)の比率を指定する。6つの異なる組合せオプションがキット138において列挙される。
カテゴリーCは、進入部長さ(L1)および/または退出部長さ(L2)ならびにパス長さの比率を指定する。ここでは、本ケースにおいてCiで示されるすべての代替が考えられ得る。
カテゴリーDは、少なくとも1つのパイプライン112および/または少なくとも1つのパイプラインセグメント114がガルバニック絶縁部および/または接地接続部125を有して構成されるかまたは有さずに構成されるかを指定する。ガルバニック絶縁部は、例えば絶縁部124を使用して構成され得る。D1は、ガルバニック絶縁部がパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の入口120に設けられ、ガルバニック絶縁部がパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の出口122に設けられるタイプのパイプを指定する。D2は、ガルバニック絶縁部がパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の入口120に設けられ、接地接続部125がパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の出口122に設けられるタイプのパイプを指定する。D3は、ガルバニック絶縁部がパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の入口120のみに設けられるタイプのパイプを指定する。D4は、接地接続部125がパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の入口120のみに設けられるタイプのパイプを指定する。D5は、パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114が入口120および出口122に接地接続部125を有さずに、および/または入口120および出口122にガルバニック絶縁部を有さずに用意されるタイプのパイプを指定する。
カテゴリーEは、流体の流れ方向を指定する。流体は、基本的には2つの流れ方向に流れ得る。流体が第1の方向に流れるタイプのパイプは、パイプタイプE1と呼ばれ、流体が第2の流れ方向に流れるタイプのパイプは、パイプタイプE2と呼ばれる。第1の流れ方向および第2の流れ方向は、逆であり得る。
カテゴリーFは、パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114に対する直流電流の印加を指定する。F1は、直流電流の送り込みが2つの負端子および/または負導体間においてパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の任意箇所にて実施されるタイプのパイプを指定する。例えば、この送り込みは、パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の抵抗が2つの部分抵抗R1およびR2へと分割されるように、2つの負端子間の中間部にて実施され得る。直流電流の半分は、第1の負端子へと流れ、第2の半分は、第2の負端子へと流れ得る。また、送り込みは、それぞれ異なる部分抵抗が実現されるように、負端子/負導体間の任意箇所にて実施されてもよい。F2は、直流電流の送り込みまたは接続がパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114に対して負端子および/または負導体ならびに正端子および/または正導体を介して実施されるタイプのパイプを指定する。例えば、直流電流は、正端子から負端子へと流れ、パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114は、全体抵抗Rとしてみなすことが可能である。ここでは、これらのタイプのパイプの任意の所望の組合せが可能である。
【0070】
図9Aiは、パイプタイプA1D1F2のパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を示す。パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114は、水平方向延在部を有する。この実施形態では、デバイス110は、2つの絶縁部124を備え、これらの絶縁部124は、入口120の後および出口122の前に配置される。
図9Aiの他の要素に関しては、
図5bの説明を参照することが可能である。
図9Aiにおいて、可能な流れ方向Eiが、例として入口120および出口122に両矢印により示される。さらに
図9では、入口120および出口122は、一体的なものとしてみなされる。
図9Aiiの例は、パイプタイプA1D2F2を示し、デバイス110が絶縁部124のみを備え、接地接続部125が第2の絶縁部の代わりに設けられる点において
図9Aiとは異なる。
図9Aiiiの例は、パイプタイプA1D3F2を示し、接地接続部125が設けられない点において
図9Aiiとは異なる。パイプタイプA1D4F2を示す
図9Aivでは、デバイス110は、
図9Aiiiとは対照的に、絶縁部の代わりに接地接続部125のみを備える。パイプタイプA1D5F2を示す
図9Avに示すように、絶縁部124または接地接続部125を有さない実施形態もまた可能である。
図9Ai~
図9Aviは、直流電流の送り込みがパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の上の負端子および/または負導体ならびに正端子および/または正導体を介して実施されるタイプのパイプを示す。
図9Aviは、直流電流の送り込みが少なくとも2つの負端子および/または負導体の間のパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の任意の箇所にて実施されるパイプタイプA1F1を示す。
【0071】
パイプタイプBiD1F2を示す
図9Biは、進入部長さ(L1)、退出部長さ(L2)、および移行部長さ(L3)と、進入部直径(d1)、退出部直径(d2)、および移行部直径(d3)とを示す。デバイス110は、進入部長さ(L1)および/または退出部長さ(L2)および/または移行部長さ(L3)、および/または進入部直径(d1)および/または退出部直径(d2)および/または移行部直径(d3)がそれぞれ異なる、パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を備え得る。
図9Biの他の要素に関しては、
図5bの説明を参照することが可能である。
図9Biiの例は、パイプタイプBiD2F2を示し、デバイス110が1つのみの絶縁部124を備える点において
図9Biとは異なる。接地接続部125は、第2の絶縁部の代わりに設けられる。
図9Biiiの例は、パイプタイプBiD3F2を示し、接地接続部125が設けられない点で
図9Biiとは異なる。パイプタイプBiD4F2を示す
図9Bivでは、デバイス110は、
図9Biiiとは対照的に、絶縁部の代わりに接地接続部125のみを備える。パイプタイプBiD5F2を示す
図9Bvに示すように、絶縁部124または接地接続部125を有さない実施形態もまた可能である。
図9Bi~
図9Bviは、直流電流の送り込みがパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の上の負端子および/または負導体ならびに正端子および/または正導体を介して実施されるタイプのパイプを示す。
図9Bviは、直流電流の送り込みが少なくとも2つの負端子および/または負導体の間においてパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の任意の箇所にて実施されるパイプタイプBiF1を示す。
【0072】
パイプタイプCiD1F2を示す
図9Ciは、デバイス110が複数n個のパスを、例えばここで図示されるように3つのパスを有するパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を備える一例を示す。これらのパスは、種々の長さL3、L4、L5および/または種々の直径d3、d4、d5をそれぞれ有し得る。
図9Ciの他の要素に関しては、
図6の説明を参照することが可能である。
図9Ciiの例は、パイプタイプCiD2F2を示し、デバイス110が1つのみの絶縁部124を備える点において
図9Ciとは異なる。接地接続部125が、第2の絶縁部の代わりに設けられる。
図9Ciiiの例は、パイプタイプCiD3F2を示し、接地接続部125が設けられない点において
図9Ciiとは異なる。パイプタイプCiD4F2を示す
図9Civでは、デバイス110は、
図9Ciiiとは対照的に、絶縁部の代わりに接地接続部125のみを備える。パイプタイプCiD5F2を示す
図9Cvに示すように、絶縁部124または接地接続部125を有さない実施形態もまた可能である。
図9Ci~
図9Cviは、直流電流の送り込みがパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の上の負端子および/または負導体ならびに正端子および/または正導体を介して実施されるタイプのパイプを示す。
図9Cviは、直流電流の送り込みが少なくとも2つの負端子および/または負導体の間のパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の任意の箇所にて実施されるパイプタイプCiF1を示す。
【0073】
デバイス110は、並列および/または直列に連結された少なくとも2つの異なるタイプのパイプの組合せを備え得る。例として、デバイス110は、進入部長さ(L1)および/または退出部長さ(L2)および/または移行部長さ(L3)がそれぞれ異なるパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を備え得る。例として、デバイスは、進入部直径(d1)および/または退出部直径(d2)および/または移行部直径(d3)が非対称であるパイプラインおよび/またはパイプラインセグメントを備え得る。例として、デバイス110は、異なる個数のパスを有するパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を備え得る。例として、デバイス110は、パスがそれぞれ異なるパス長さおよび/またはそれぞれ異なるパス直径を有するパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を備え得る。
【0074】
原則的に、並列および/または直列における任意のパイプタイプの任意の組合せが考えられ得る。パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114は、キット138の形態において種々のタイプのパイプとして使用可能であってもよく、使用目的に応じて所望に応じた選択および組合せがあり得る。
図10Aは、種々のタイプのパイプを有するキット138の一実施形態を示す。
図10b~
図10yは、同一タイプのパイプおよび/または種々のタイプのパイプのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の組合せの本発明による例を示す。
図10bは、パイプタイプA1の3つの水平パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を有する一例を示し、これらの水平方向パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114は、連続的に配置される。
図10cは、並列連結されたパイプタイプA2の2つの垂直パイプと、同様にパイプタイプA2の後続パイプライン112および/または後続パイプラインセグメント114とを示す。
図10dは、パイプタイプA2の複数のパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を示し、これらのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114はいずれも、並列に連結される。
図10eは、カテゴリーBの複数のタイプのパイプが連続的に配置された一実施形態を示す。ここでは、これらのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114は、Biで示される、カテゴリーBの同一のまたは異なるタイプのパイプであることが可能である。
図10fは、カテゴリーBの6つのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を有する一実施形態を示し、2つのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114が、2つの並列ストランドにそれぞれ配置され、2つのさらなるパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114が、その下流に連結される。
図10gは、カテゴリーCのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を有する一実施形態を示し、2つのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114が、並列に配置され、パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114が、その下流に連結される。
図10h~
図10mに示すように、カテゴリーA、カテゴリーB、およびカテゴリーCの混合形態もまた可能である。デバイス110は、複数の供給物入口および/または供給物出口および/または生成フローを備え得る。種々のタイプのパイプまたは同一タイプのパイプのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114は、例えば
図10kおよび
図10mに示すように、複数の供給物入口および/または供給物出口を有して並列および/または直列に配置され得る。
【0075】
図10n~
図10pは、カテゴリーA、カテゴリーD、およびカテゴリーFのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の例示の組合せを示す。
図10qおよび
図10rは、カテゴリーB、カテゴリーD、およびカテゴリーFのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の例示の組合せを示す。
図10sは、カテゴリーC、カテゴリーD、およびカテゴリーFのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の例示の組合せを示す。
図10tは、カテゴリーA、カテゴリーD、およびカテゴリーFのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の例示の組合せを示す。
図10uは、カテゴリーA、カテゴリーC、カテゴリーD、およびカテゴリーFのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の例示の組合せを示す。
図10vは、カテゴリーB、カテゴリーC、カテゴリーD、およびカテゴリーFのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の例示の組合せを示す。
図10wおよび
図10yは、カテゴリーA、カテゴリーB、カテゴリーC、カテゴリーD、およびカテゴリーFのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の例示の組合せを示す。
図10xは、カテゴリーA、カテゴリーB、カテゴリーD、およびカテゴリーFのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の例示の組合せを示す。デバイス110は、複数の供給物入口および/または供給物出口および/または生成フローを備え得る。カテゴリーA、カテゴリーB、カテゴリーC、カテゴリーD、カテゴリーE、およびカテゴリーFの種々のまたは同一のタイプのパイプのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114は、複数の供給物入口および/または供給物出口を有して並列および/または直列に配置され得る。多様な供給物入口および/または供給物出口および/または生成フローの例が、
図10o、
図10p、
図10r、
図10s、
図10v~
図10yに示される。
【0076】
それぞれ異なるタイプのパイプのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を使用することにより、供給物および/または反応の選択的収量および/または最適化されたプロセス技術を変更する場合により正確な温度制御および/または反応の適合化を促進することが可能となる。
【符号の説明】
【0077】
110 デバイス
111 反応空間
112 パイプライン
114 パイプラインセグメント
116 リム
118 パイプシステム
120 入口
122 出口
124 絶縁部
125 接地接続部
126 DC電流源および/またはDC電圧源
128 正端子/正導体
130 負端子/負導体
132 加熱ワイヤ
134 第1のパイプライン
136 第2のパイプライン
138 キット
【外国語明細書】