IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボア テクノロジー,インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061865
(43)【公開日】2024-05-08
(54)【発明の名称】紐締めシステムに使用されるリール
(51)【国際特許分類】
   A43C 11/20 20060101AFI20240426BHJP
【FI】
A43C11/20
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041775
(22)【出願日】2024-03-15
(62)【分割の表示】P 2021147162の分割
【原出願日】2011-04-29
(31)【優先権主張番号】61/330,129
(32)【優先日】2010-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512279729
【氏名又は名称】ボア テクノロジー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(72)【発明者】
【氏名】グッドマン,ジェームズ,ポール
(72)【発明者】
【氏名】アーウィン,エリック,クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】ソダーバーグ,マーク
(72)【発明者】
【氏名】カヴァナー,シーン
(57)【要約】
【課題】履物等の物品を締め付けるためのリールを基にした紐締めシステムを提供する。
【解決手段】リールは、ノブの締め付け方向の回転によってスプールの周りの紐の徐々に増加する締め付けを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、システムは、ノブの緩み方向への回転に抵抗するように構成された実質的に非可撓性のつめ梁部と、つめ236をハウジングに対して付勢するとともにノブが締め付け方向に回転されたときにつめ236がハウジングから離れて変位されることを可能にするように構成されたつめバネ部332とを含み得る。
【選択図】図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに保持されるスプールであって、
前記スプールは、前記ハウジングに対して回転可能であり、
更に、前記スプールはその中に形成された溝を有し、前記溝は、前記スプールが締付け方向に回転するとき紐締めシステムを締付けるようにその中に紐を集めるとともに、前記スプールが緩み方向に回転するとき前記紐締めシステムを緩めるようにそこから前記紐を解放するように構成される、前記スプールと、
前記ハウジングに保持されるノブであって、
前記ノブは、前記ハウジングに対して回転軸の周りで回転可能であり、
前記ノブは、前記ノブの回転が前記スプールの回転も引き起こすように、前記スプールに係合し、
更に、前記回転軸の方向において移動可能である前記ノブと、
複数のくぼみと、
ノブコアに一体に形成される1つまたは複数のつめを備える前記ノブコアであって、
前記ノブコアに形成された前記1つまたは複数のつめは、前記ノブコアに固定される第1の端部と、複数のつめ歯が形成される第2の端部を有するつめアーム部を備え、
前記ノブコアに緩める力が加えられたとき、前記緩み方向に前記ノブコアが回転することを防ぐように、前記複数のつめ歯が前記くぼみに噛み合うように構成され、
前記ノブコアが締付け方向に回転したとき、前記ノブコアと前記スプールが前記締付け方向に回転するのを可能にするため、前記つめアーム部が前記くぼみから離れる方向である半径方向の内側に変位するように構成される、
前記紐締めシステムに使用されるリール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連する出願の参照)
本出願は、2010年4月30日に出願された、 “REEL BASED LACING SYSTEM”と題する米国仮特許出願第61/330,129号の利益を主張し、その全体は参照により本出願に援用される。
【0002】
本出願に開示された実施形態は、紐締めまたは閉塞システムおよび履物、閉じることができるバッグ、保護具等を含む任意の多様な物品に単体または組み合わせて用いられるそれらに関連した構成部品に関する。
【背景技術】
【0003】
履物等の物品を締め付けるための多数の機構および方法が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それにもかかわらず、改良された装置および方法に対する要求は存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施形態では、紐締めシステムに使用するためのリールが開示される。リールは複数のハウジング歯を有するハウジングを含み得る。リールはハウジングに支持されたスプールを有し得るとともに、スプールはハウジングに対して回転可能であり得る。スプールはその中に形成された溝を含み得るとともに、溝は、スプールが締め付け方向に回転するとき紐締めシステムを締め付けるためにその中に紐を集めるように構成され得る。溝は、スプールが緩み方向に回転するとき紐締めシステムを緩めるためにそこから紐を解放し得る。リールはハウジングに支持されたノブを含み得るとともに、ノブはハウジングに対して回転可能であり得る。ノブは、ノブの回転がスプールも回転させるように、スプールに結合され得る。ノブは1つまたは複数のつめを含み得るとともに、1つまたは複数のつめの少なくとも1つはつめ梁部およびつめバネ部を含み得る。つめ梁部は第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり得るとともに、つめバネ部はつめ梁部を第1の位置に向かって付勢するように構成され得る。つめ梁部は、緩める力の実質的な部分をつめバネ部に伝達することになしに緩める力がノブを緩み方向に捻るように加えられたときに緩み方向にノブが回転することを防ぐようにつめ梁部が第1の位置にあるときに、ハウジング歯に噛み合うように構成された1つまたは複数のつめ歯部を含み得る。いくつかの実施形態では、つめ梁部およびつめバネ部は一体に形成され得る(例えば、一体成形され得る)。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のつめ歯部は、ノブおよびスプールが締付け方向に回転することを可能にするようにノブが締付け方向に捻られるときに第2の位置にハウジング歯から離れて変位され得る。
【0006】
いくつかの実施形態では、ハウジング歯は半径方向に延びることができ、つめ梁部は第1の位置と第2の位置との間で半径方向に移動可能であり得るとともに、ノブは連動位置と非連動位置との間で軸方向に移動可能であり得る。ノブが非連動位置にある場合、スプールは緩み方向に回転することが可能にされ得る。1つまたは複数のつめは、緩める力がノブに加えられたとき、ノブがノブに軸方向に実質的な力を加えることなしに緩み方向に回転することが防止されるように、ハウジング歯に噛み合うように構成され得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、つめが開示され、緩める力が緩み方向への回転を防ぐために複数の歯に分散されるように、つめは、少なくとも2つの対応するハウジング歯に同時に噛み合うように構成された少なくとも2つのつめ歯部を含み得る。いくつかの実施形態では、つめ梁部は、緩める力がノブに加えられたときにハウジングに向かって付勢されるように構成され得る。緩める力は、ユーザがノブを緩み方向に捻ることによってまたはスプールに結合された紐の引張りによってノブに加えられ得る。つめ梁部はピボット軸周りに半径方向に回転可能に構成され得るとともに、1つまたは複数のつめ歯部はピボット軸から延びる接線から半径方向外側の位置でハウジング歯に噛み合い得る。つめ歯部は、緩める力が加えられたときにつめ梁部がハウジング歯に向かって付勢されるように、緩める力がノブに加えられたときにハウジング歯の表面を押圧するように構成された表面を有し得る。つめ梁部は、少なくとも1つのつめ歯部の表面をハウジング歯の表面から解放するようにノブが緩み方向に回転されない限り、第2の位置に動くことが妨げられ得る。つめ梁部の側部は、緩める力がノブに加えられるとともに追加的な支持を提供するようにつめ梁部がハウジング歯に向かって付勢されるとき、1つまたは複数のつめ歯部によって噛み合わされない1つまたは複数のハウジング歯の先端に当接するように構成され得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、紐締めシステム用のリールを作る方法が開示される。方法は、ハウジングを提供することを含むことができ、ハウジングは複数のハウジング歯を含み得る。方法は、スプールはハウジングに対して回転可能になるように、スプールをハウジング内に設置することを含む。スプールはその中に形成された溝を含み得るとともに、溝は、スプールが締め付け方向に回転するとき紐締めシステムを締め付けるためにその中に紐を集めるように構成され得る。溝は、スプールが緩み方向に回転するとき紐締めシステムを緩めるためにそこから紐を解放するように構成され得る。方法は、ノブがハウジングに対して回転可能になるように、ノブをハウジングに取り付けることを含み得る。ノブは、ノブの回転がスプールも回転させるように、スプールに結合され得る。ノブは1つまたは複数のつめを含み得るとともに、1つまたは複数のつめの少なくとも1つはつめ梁部およびつめバネ部を含み得る。つめ梁部は第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり得るとともに、つめバネ部はつめ梁部を第1の位置に向かって付勢するように構成され得る。つめ梁部は、緩める力の実質的な部分をつめバネ部に伝達することになしに、緩める力がノブを緩み方向に捻るように加えられたときに緩み方向にノブが回転することを防ぐためにつめ梁部が第1の位置にあるときに、ハウジング歯に噛み合うように構成された1つまたは複数のつめ歯部を含み得る。1つまたは複数のつめ歯部は、ノブおよびスプールが締付け方向に回転することを可能にするようにノブが締付け方向に捻られるときに第2の位置にハウジング歯から離れて変位され得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、紐締めシステムにおいてリールと共に用いられるつめが開示される。つめは、リールのハウジングのハウジング歯と噛み合うように構成された1つまたは複数のつめ歯部を有するつめ梁部を含み得る。つめ梁部は第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり得る。つめは、つめ梁部を第1の位置に向かって付勢するように構成されたつめバネ部を含み得る。1つまたは複数のつめ歯部は、緩める力の実質的な部分をつめバネ部に伝達することになしに、緩める力がつめに加えられたときに緩み方向につめが移動することを防ぐためにつめ梁部が第1の位置にあるとき、ハウジング歯に噛み合い得る。1つまたは複数のつめ歯部は、つめが締付け方向に移動することを可能にするようにつめ梁部が第2の位置にあるときに、ハウジング歯から噛み合いを外し得る。いくつかの実施形態では、つめ梁部およびつめバネ部は一体に形成され得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、紐締めシステム用のリールが開示される。リールは複数のハウジング歯を有するハウジング、およびスプールがハウジングに対して回転可能になるようにハウジングに支持されたスプールを有し得る。スプールはその中に形成された溝を含み得るとともに、溝は、スプールが締め付け方向に回転するとき紐締めシステムを締め付けるようにその中に紐を集めるとともにスプールが緩み方向に回転するとき紐締めシステムを緩めるようにそこから紐を解放するように構成され得る。リールは、ノブがハウジングに対して回転可能になるように、ハウジングによって支持されたノブを含み得る。ノブは、ノブの回転がスプールも回転させるように、スプールに結合され得る。ノブはハウジング歯に噛み合うように構成された1つまたは複数のつめを含み得るとともに、1つまたは複数のつめの少なくとも1つは、第1の端部においてノブに取り付けられるとともに第2の端部に形成された1つまたは複数のつめ歯部を有する可撓性つめアーム部を含み得る。つめアーム部は、ノブが締付け方向に回転することを可能にするために1つまたは複数のつめ歯部がハウジング歯から離れて変位されるように、ノブが締付け方向に回転したときに第1の方向に屈曲するように構成され得る。つめアーム部は、緩める力がノブを緩み方向に捻るように加えられたとき、緩み方向にノブが回転することを防ぐために、1つまたは複数のつめ歯部が対応するハウジング歯に噛み合うように構成されることができ、緩める力は、可撓性つめアーム部を緩める力の下で座屈させることを防ぐように可撓性つめアーム部がハウジング歯に当接するように、可撓性つめアーム部をハウジング歯に向かって第2の方向に屈曲させる。
【0011】
いくつかの実施形態では、実施的に剛体のつめ梁部と可撓性のつめバネ部を含むつめが開示される。つめバネ部は可撓性つめアーム部であり得る。いくつかの実施形態では、つめ梁部は第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり得るとともに、つめバネ部はつめ梁部を第1の位置に向かって付勢するように構成され得る。つめ梁部が第1の位置にあるとき、可撓性アーム部はより曲げられない姿勢をとり得るとともに、つめ梁部が第2の位置にあるとき可撓性アーム部はより曲げられた姿勢をとり得る。いくつかの実施形態では、可撓性アーム部は、より曲げられない姿勢にあるときより、より曲げられた姿勢にあるときに、湾曲されなくなり得る。いくつかの実施形態では、可撓性アーム部は概してつめバネ部と同じ方向に延び得る。いくつかの実施形態では、つめ梁部およびつめバネ部は一体に形成され得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、紐締めシステムのリールとともに使用され得るノブが開示される。ノブは1つまたは複数のつめを含み得る。1つまたは複数のつめの少なくとも1つはノブにピボット軸において結合され得る。少なくとも1つのつめは、第1の位置と第2の位置との間でピボット軸周りに回転するように構成されたつめ梁部、および、ノブが緩み方向に回転することを防ぐようにつめ梁部がリールのハウジング歯に噛み合う第1の位置に向かってつめ梁部を付勢し得るつめバネ部を含み得る。いくつかの実施形態では、つめバネ部はピボット軸の近くから概してつめ梁部と同じ方向に延び得る。いくつかの実施形態では、つめバネ部は可撓性アーム部であり得る。いくつかの実施形態では、可撓性アーム部はつめ梁部から離れて湾曲し得る。つめバネ部はつめ梁部と一体に形成され得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、紐締めシステム用のリールが開示される。リールは複数のハウジング歯を有するハウジングを含み得る。リールはハウジングによって支持されたスプールを有し得るとともに、スプールはハウジングに対して回転可能であり得る。リールは、ハウジングによって支持されたノブを含み得るとともに、ノブはハウジングに対して回転可能であり得る。ノブは、ノブの回転がスプールも回転させるように、スプールに結合され得る。ノブは1つまたは複数のつめを含み得るとともに、1つまたは複数のつめの少なくとも1つは、実施的に剛体のつめ梁部とつめバネ部を含み得る。つめ梁部は第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり得るとともに、つめバネ部はつめ梁部を第1の位置に向かって付勢するように構成され得る。つめ梁部は、ノブが緩み方向に回転することを防ぐためにつめ梁部が第1の位置にあるときに、ハウジング歯と噛み合うように構成された1つまたは複数のつめ歯部を含み得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のつめ歯部は、ノブがノブおよびスプールが締め付け方向に回転することを可能にするときに、ハウジング歯から離れて第2の位置に移動可能であり得る。実質的に剛体のつめ梁部は、緩める力に抵抗するように構成され得る。つめ梁部およびつめバネ部はいくつかの実施形態において一体に形成され得る。
【0014】
本発明の特定の実施形態がここで以下の図を参照して詳細に説明される。これらの図は説明目的のためにのみ提供され、本発明は図に示された内容に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、運動靴に用いられる紐締めシステムの実施形態の斜視図である。
図2図2は、紐締めシステムの実施形態の斜視図である。
図3図3は、図2の紐締めシステムのリールの分解斜視図である。
図4図4は、図3のリールの別の分解斜視図である。
図5図5は、通常の線で描かれた非連動位置に示されたノブ部材、および点線で描かれた連動位置で示されたノブ部材を持つ、図3のリールの側面図である。
図6図6は、図3のリールのベース部材の斜視図である。
図7図7は、図4のベース部材の上面図である。
図8図8は、図4のベース部材の底面図である。
図9図9は、図4のベース部材の断面側面図である。
図10A図10Aは、図3のリールのスプール部材の斜視図である。
図10B図10Bは、スプール部材の他の実施形態の斜視図である。
図11図11は、図10Aのスプール部材の他の斜視図である。
図12図12は、図10Aのスプール部材の側面図である。
図13A図13Aは、紐が第1の配置でそこへ締付けられた状態を示す図10Aのスプール部材の断面図である。
図13B図13Bは、紐が第2の配置でそこへ締付けられた状態を示す図10Aのスプール部材の断面図である。
図13C図13Cは、紐が第3の配置でスプール部材に締付けられることを示す図10Aのスプール部材の斜視図である。
図13D図13Dは、紐を示す図10Aのスプール部材の斜視図である。
図14図14は、図4のベース部材のハウジングに配置されて示された図10Aのスプール部材の上面図である。
図15図15は、図3のリールのノブ部材の分解斜視図である。
図16図16は、図15のノブ部材の別の分解斜視図である。
図17図17は、図15のノブ部材のつめの斜視図である。
図18図18は、図17のつめの別の斜視図である。
図19図19は、ハウジングのハウジング歯に噛み合うように構成されたつめを持つ、図15のノブコア部に配置された図15のつめの上面図である。
図20図20は、図4のベース部材上のハウジング歯と噛み合って示された図15のつめの上面図である。
図21図21は、ノブ部材が締め付け方向に回転されたときに半径方向内側に変位されて示された図15のつめの上面図である。
図22図22は、図15のノブコア部に組み立てられて示された図15のバネブシュ、締め具、およびノブの上面図である。
図23A図23Aは、連動形態で示された図4のリールの分解図である。
図23B図23Bは、連動形態で示された図4のリールの断面図である。
図24A図24Aは、非連動形態で示された図4のリールの分解図である。
図24B図24Bは、図24Aは、非連動形態で示された図4のリールの断面図である。
図25図25は、図4のベース部材の代わりに使用され得るベース部材の代替実施形態の斜視図である。
図26図26は、ノブコア部の代替実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、運動靴102を締付けるために用いられる紐締めシステム100の斜視図である。運動靴は、ランニングシューズ、バスケットボールシューズ、スケート靴、またはスノーボードブーツ、あるいは履く人の足の周りに締め付けられ得る他の適切な履物であり得る。紐締めシステム100は、例えば、ベルト、帽子、手袋、スノーボードのビンディング、医療用装具、またはバッグ等、様々な他の物品を閉じるまたは締めるために使用され得る。紐締めシステムは、リール104、紐106、および1つまたは複数の紐ガイド108を含み得る。図示された実施形態では、リール104は靴の舌部110に取付けられ得る。様々な他の配置も可能である。例えば、リール104は運動靴102の側部に取り付けられることができ、これは締め付けられたときに、露出された舌部110の小さい部分のみを残したまま靴の側部112a―bが互いに近くに引き寄せられるように設計される靴に対して有利になり得る。リール104はまた、靴102の後部にも取り付けられ得るとともに、紐106の一部は、後部に取り付けられたときに紐106がリール104と連動され得るように、履く人の踵の両側部で靴102を貫通し得る。
【0017】
図2は、紐締めシステム100、または本明細書に記載された任意の他の紐締めシステムに類似し得る、紐締めシステム200の斜視図である。紐締めシステムは、リール104、または本明細書に記載された任意の他のリールに類似し得る、リール204を含み得る。図3はリール204の分解斜視図である。図4はリール204の他の分解斜視図である。
【0018】
図2乃至4を参照すると、リール204はベース部材214、スプール部材216、およびノブ部材218を含み得る。ベース部材は、ハウジング220および取付フランジ222を含み得る。ハウジング220は複数のハウジング歯224を含み得る。このハウジング歯224は半径方向内側に延び得る。ハウジング220は、紐206がハウジング220に入ることを可能にする紐孔226a-bを含み得る。
【0019】
スプール部材216は、スプール部材216がハウジング220に対して軸228周りに回転可能になるように、ハウジング220内に配置され得る。紐206は、スプール部材216が締め付け方向(矢印Aで示される)に回転するときに紐206がハウジング220内に引き込まれるとともにスプール部材216に形成された溝230の周りに巻かれ、スプール部材216が緩み方向(矢印Bで示される)に回転するときに紐206がスプール部材216の溝230から解けるとともに紐孔226a-bを経由してハウジング220を出るように、スプール部材216に固定され得る。スプール部材216はまた、そこに形成されたスプール歯232を含み得る。本明細書に開示された実施形態は、矢印Bによって示された回転方向が紐締めシステムを締付けるとともに矢印Aによって示された回転方向が紐締めシステムを緩めるように変更され得ることが理解されるであろう。
【0020】
ノブ部材218は、ノブ部材218がハウジング220に対して軸228周りに回転し得るように、ハウジング220に取り付けられ得る。ノブ部材218は、ノブ部材218の締付け方向への回転がスプール部材216の締付け方向への回転ももたらすように、ノブ部材218をスプール部材218に結合するためにスプール歯232と噛み合うように構成され得るノブ歯234を含み得る。いくつかの実施形態では、ノブ部材218の緩み方向への回転も、スプール部材216に緩み方向に回転することをもたらし得る。ノブ部材218はまた、ハウジング歯224と噛み合うように半径方向外側に付勢され得る1つまたは複数のつめ236を含み得る。つめ236およびハウジング歯224は、ノブ部材218が締め付け方向に回転されたときハウジング歯224がつめ236を半径方向内側に変位させ得るように構成されることができ、したがって、ノブ部材218が締め付け方向に回転することが可能になる。つめ236およびハウジング歯224は、ノブ部材218を緩み方向に捻るように力が加えられたとき、つめ236およびハウジング歯224が互いに噛み合うように構成されることもでき、したがって、ノブ部材218が緩み方向に回転することが妨げられる。
【0021】
したがって、リール204は、使用者がノブ部材218を締付け方向に回転することを可能にするように構成された一方向締め付けシステムを提供し得る。この一方向締め付けシステムは、スプール部材216を締め付け方向に回転させ、続いて紐206をハウジング220内に紐孔226a-bを介して引き込ませる。紐206がハウジング220内に引き込まれると、紐締めシステム200は締め付けられることができ、紐ガイド208がリール204に向かう方向(図2に矢印Cで支援される)に引かれることをもたらす。紐締めシステム200は単一の紐ガイド208とともに示されているが、任意の他の適切な数の紐ガイドが使用され得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、ノブ部材218は、第1のまたは連動位置と第2のまたは非連動位置との間で軸228に沿って軸方向に移動可能であり得る。図5は、通常の線で描かれた非連動位置にあるノブ部材218を示すとともに、点線で輪郭を描かれた連動位置にあるノブ部材218を示す、リール204の側面図である。連動位置にあるとき、スプール歯232は、上述のようにノブ部材218をスプール部材216に結合させるようにノブ歯234に噛み合い得る。また、連動位置にあるとき、つめ236は、上述のように、ノブ部材218が緩み方向に回転することを防ぐ一方でノブ部材218が締め付け方向に回転することを可能にするように、ハウジング歯224と噛み合い得る。
【0023】
非連動位置にあるとき、ノブ部材218は、スプール部材216がノブ部材218から切り離されるとともにスプール部材216がノブ部材218から独立して自由に回転するように、ノブ歯234をスプール歯232から離れて持ち上げるとともにスプール歯232を噛み合いを外すのに十分な距離だけベース部材214から軸方向にさらに離れて位置され得る。したがって、スプール部材216が緩み方向に回転し、紐締めシステム200を緩めると、紐216はハウジング220から引き出され得る。非連動位置にあるとき、ノブ部材218のつめ236は、噛み合いを外すとともにノブ部材218が拘束なしに締付けおよび緩み方向の両方に自由に回転するように、ハウジング歯224から離れて持上げられ得る。いくつかの実施形態では、ノブ部材218が非連動位置に移行されるとき、ノブ歯234はスプール歯232から噛み合いを外すとともにつめ236もまたハウジング歯224から噛み合いを外す。いくつかの実施形態では、ノブ部材218が連動位置に移行されるとき、ノブ歯234はスプール歯232から噛み合いを外す一方つめ236はハウジング歯224に噛み合い続ける。いくつかの実施形態では、ノブ部材218が非連動位置に移行されるとき、ノブ歯234はスプール歯232に噛み合い続けるが、つめ236はハウジング歯224から噛み合いを外す。
【0024】
ノブ部材218の連動位置と非連動位置との間の距離238は、少なくとも約1mmおよび/または約3mm以下であることができ、いくつかの実施形態では約2.5mmであり得るが、この範囲の外の距離も使用され得る。いくつかの実施形態では、距離238は、スプール歯232の高さ、ノブ歯234の高さ、ハウジング歯224の高さ、および/またはつめ236の高さと略同じ、またはわずかに大きくなり得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、つめ236がハウジング歯224に半径方向に噛み合う一方、ノブ部材218は軸方向に連動位置と非連動位置の間で移動可能であるため、リール294は偶発的な解放に強くなり得る。ノブ部材が連動位置にあり、ノブ部材218を緩み方向に捻ろうと試みる力が加えられるとき、あるいは紐が強く引かれてスプール部材218を緩み方向に捻ろうと試みるとき、つめ236がハウジング歯224に噛み合うので、力はつめ236に加えられる。つめ236は、軸方向でなく、半径方向に変位されるように構成されるので、実質的に、つめ236に加えられた力は軸方向に伝達されない。したがって、リール204は、ノブつめがハウジング歯に軸方向に噛み合ういくつかのリールより、高い締め付け圧力に耐え得る。
【0026】
図6はベース部材214の斜視図である。図7は、ベース部材214の上面図である。図8は、ベース部材214の底面図である。図9は、ベース部材214の断面側面図である。ベース部材214は、履物一点または他の物品の外部構造に取り付けられ得る取付フランジ222を含む、または取付フランジ222は、少なくとも取付フランジ222の一部が視界から隠されるように物品の外部構造の下部に取り付けられ得る。取付フランジ222は、縫うこと或いは、例えば接着剤を使用する、またはリベットを使用する等、他の適切な方法によって、物品に固定され得る。取付フランジ222は、物品の特定の部分(例えば、靴のかかと)に合うように形成され得る、あるいは、取付フランジは様々な形状に合うように可撓性であり得る。取付フランジ222は、ハウジング220の外周の周りに完全にまたは部分的に広がり得る。取付フランジ222は、使用中物品の屈曲に対応するために多少弾力的であり得る。いくつかの実施形態では、取付フランジ222は省略され得るとともに、ベース部材214またはハウジング220が、ねじ、リベット、または他の締め具によって物品に取り付けられ得る。例えば、ベース部材214またはハウジング220のねじ部は、物品のねじ付きコネクタ内にねじ込まれ得る。いくつかの実施形態では、取付フランジ222が物品に接続されるとともにリール204は実質的にフランジ222に取り付けられる。
【0027】
ハウジング220は、図示されたように、取付フランジ222に取り付けられ得る、または取付フランジ222と一体に形成され得るとともに、そこから上方に延び得る。ハウジング220は凹所242を囲む外壁240を含み得る。この凹所242は実質的に形状が円であり得る。軸244が凹所242の底部から軸方向上方に延び得るとともに、軸244は凹所242と略同軸に配置され得る。軸244は、軸244が凹所242の底部と交わる段245または傾斜部分を含み得る。軸244は、その中心にノブ部材218のハウジング220への固定を促し得るボア246を含み得る。ボア246はねじ山をつけられ得る、あるいは、そこに挿入される締め具を軸方向に固定するように構成され得る。軸244は、その周りをスプール部材216が回転し得る支持面を形成し得る。
【0028】
ハウジング220の外壁240は形状が実質的に円筒形であり得るとともに軸244に略同軸であり得る。外壁240の内面は下方部分248および上方部分250を含み得る。下方部分248は、概して滑らかであり得るとともに外壁240が凹所242の底部と交わる段251または傾斜部分を含み得る。下方部分248は、紐206がハウジング220を通過し得るとともに凹所242に入り得るように紐溝254a-bによって紐孔226a-bに接続され得る1つまたは複数の紐開口252a-bを含み得る。図9に最も良く見られるように、紐孔226a-bに最も近い紐溝254a-bの下方部分は閉じられ得る一方、紐開口252a-bに最も近い紐溝254a-bの上方部分は上部において開かれ得る。また、紐溝254a-bおよび/または紐開口252a-bは、ハウジング220の底部に形成された開口256a-bと接続され得る。開口256a-bおよび紐溝254a-bの開放上部は、使用中および取付中に紐206へのアクセスを提供し得るとともに、水または使用中に凹所242に入り得る他の材料のための出口通路も提供することができ、ベース部材214が少ない構成部品(例えば、単一の一体化された部品)で作られるとき、紐溝254a-bの成形を容易にし得る。
【0029】
ハウジング220は外壁240の上方部分250から半径方向内側に延びるハウジング歯224を含み得る。図示された実施形態では、ハウジングは36個のハウジング歯224を含むが、任意の他の適切な数のハウジング歯224が使用され得る。図7に最も良く見ることができるように、ハウジング歯224のそれぞれは、第1の側部258および第2の側部260を含み得る。第1の側部258は第2の側部260より短くなり得るとともに、いくつかの実施形態では、第1の側部258は長さが第2の側部260の約半分と同じになり得る。いくつかの実施形態では、ハウジング歯224の第1の側部258は、少なくとも約0.5mmの長さおよび/または約1.0mmの長さ以下、また約0.85mmの長さになり得るとともに、第2の側部は少なくとも約1.0mmの長さおよび/または約2.0mmの長さ以下、また約1.75mmの長さになり得る。これらの特定の範囲の外のほかの寸法も可能である。ハウジング歯224の第1の側部258は、ちょうど半径方向内側を向く線から角度262だけ離れて角度を付けられることができ、この角度262は少なくとも約5°および/または最大約15°になり得るとともに、いくつかの実施形態では約10°になり得る。ハウジング歯224の第2の側部260は、ちょうど半径方向内側を向く線から角度264だけ離れて角度を付けられることができ、この角度264は少なくとも約45°および/または約65°以下になり得るとともに、いくつかの実施形態では約55°になり得る。これらの特別に識別された範囲の外の他の角度も可能である。いくつかの実施形態では、ハウジング歯224の間およびハウジング歯224の第1と第2の側部258、260の間の移行部は湾曲され得るが、鋭く縁取られた移行部も使用され得る。ハウジング歯224は、以下により詳細に説明されるように、つめ236と接するように構成され得る。ハウジング歯224は、以下により詳細に説明されるように、つめ236の非噛み合いから噛み合い位置への移行を容易にするための角度を付けられた(傾斜した)上面266を含み得る。
【0030】
ベース部材214は、ノブ部材218がハウジング220に取り付けられたとき、ガード片268がノブ部材218の一部を覆うように機能し得るように、ハウジング220の外壁240よりさらに軸方向上方に延び得る1つまたは複数のガード片268を含み得る。いくつかの実施形態では、ガード片268は省略され得る。いくつかの実施形態では、リール204は、物品の一部それ自体がノブ部材218の一部を覆うために延びるように、物品の凹所内に配置され得る。ガード片268、またはガードとして機能する物品の部分は、ノブ部材218を保護し得るとともに、ノブ部材218の偶発的な解放の発生を減少させ得る。
【0031】
図10Aはスプール部材216の斜視図である。図11は、スプール部材216の他の斜視図である。図12は、スプール部材216の側面図である。図13A-Bは、そこへ取り付け紐206を備えるスプール部材216の断面図である。図14は、ハウジング220内に配置されたスプール部材216の上面図である。
【0032】
スプール部材216は、それらの間に形成される略円筒壁274を持つ上方フランジ270および下方フランジ272を含み得る。壁274の外面、上方フランジ270の底面、および下方フランジ272の上面は、スプール部材216の周りに巻かれるときに紐206を受け取るための溝230を形成し得る。壁274の内面はスプール部材216の底面に形成された凹所276を囲み得る。中央開口部278は凹所の天井を通って延び得る。図14に最も良く見ることができるように、スプール部材216がハウジング220の凹所242内に配置されるとき、軸244はスプール部材216の中央開口部278を貫通し得る。軸244の底部の段245または傾斜端部は、スプール部材216の底部に形成された凹所276内に収容され得る。下方フランジ272は、下方フランジ272が凹所242の端部の段251または傾斜端部に適合し得るとともに、紐206が取り付けられた状態でハウジング220から/内へのスプール部材216の取り外し/設置を容易にするように、(図12に最も良く見ることができるように)上方フランジ270よりわずかに小さく形成され得る。したがって、いくつかの実施形態では、下方フランジ272の底面は、凹所242の基部に対して同一平面状に位置し得る。いくつかの実施形態では、ハウジング220の一部は、スプール部材216が回転するときの摩擦の量を減らすために下方フランジ272の底面を凹所の基部から小さい距離に保つように、スプール部材216の一部に接触するように構成され得る。スプール部材216がハウジング220の凹所242に完全に挿入されたとき、上方フランジ270の上面は、上方フランジ270がハウジング歯224と重ならないように、外壁240の下方部分248の上部と略揃い得る。
【0033】
スプール歯232はスプール部材216の上面に形成され得る。図示された実施形態では、12個のスプール歯232が示されているが、任意の他の適切な数のスプール歯232が使用され得る。スプール歯232のそれぞれは、第1の側部280および第2の側部282を含み得る。第1の側部280は、いくつかの実施形態では、略垂直になり得る。いくつかの実施形態では、第1の側部は、少なくとも約5°だけおよび/または約15°以下で、またいくつかの実施形態では約10°だけ垂直面から角度を付けられ得る。第2の側部282は、少なくとも約35°だけおよび/または約55°以下で、またいくつかの実施形態では約45°だけ垂直面から角度を付けられ得る。第1の側部280は、少なくとも約1.5mmの長さおよび/または約2.5mmの長さ以下になることができ、また約2mmの長さになり得る。第2の側部は、少なくとも約2.5mmの長さおよび/または約3.5mmの長さ以下になることができ、また約3mmの長さになり得る。特定された範囲の外の寸法および角度も使用され得る。スプール歯232は、本明細書に詳細に説明されるように、ノブ歯234に接するように構成され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の切欠部281a-bがスプール部材216の上方フランジ270に形成され得る。また、いくつかの実施形態では、上方フランジ270および/または下方フランジは形状が略円であり得るが、1つまたは複数の偏平端部283a-dを有し得る。切欠部281a-bおよび/または偏平端部283a-dは、スプール部材216のハウジング220からの取り外し(例えば、紐206を交換するとき)を容易にし得る。ドライバまたは他の工具がスプール部材216とハウジング220の壁との間に挿入され得るとともに、スプール部材216はハウジング220の外に引き出され得る。多くの変形が可能である。例えば、図10Bは、スプール部材216の上方フランジ270’および下方フランジ272’が偏平端部283a-dを有さないことを除いて、多くの点でスプール部材216と同様であるスプール部材216’の斜視図である。したがって、上方フランジ270’および下方フランジ272’は形状が略円であり得る。いくつかの実施形態では、上方フランジ270’は、スプール部材216’のハウジング220からの取り外しを容易にし得る切欠部281a’および281b’を含み得る。いくつかの実施形態では、偏平端部283a-dを含まないフランジ270’および272’は、特に比較的細い紐が使用されるときに、紐206がハウジング220と偏平端部283a-dとの間に形成される隙間に噛み込むまたは挟まるようになることを防ぎ得る。
【0035】
溝230の深さは、少なくとも約1.5mmおよび/または約2.5mm以下になることができ、またある場合には約2mmになり得る。溝230は、少なくとも約3.0mmおよび/または約4.0mm以下である、またある場合には約3.5mmになり得る幅を有し得る。壁274の外面は、少なくとも約10mmおよび/または約20mm以下である、またある場合には約14mmになり得る直径を有し得る。与えられた範囲の外の寸法も可能である。紐206は、溝230が少なくとも約300mmの紐および/または約600mm以下の紐、またある場合には約450mmの紐を保持し得るほど概して小さい直径になり得るが、スプール部材216および紐206は与えられた範囲の外の紐の量を保持するように構成され得る。
【0036】
紐またはケーブルは、少なくとも約0.5mmおよび/または約1.5mm以下の直径を有することができ、またある実施形態では直径は約0.75mmまたは1.0mmになり得るが、これらの範囲の外の直径も使用され得る。紐206は、低い弾性係数および高い引張り強度を有する非常に滑らかなケーブルまたは細長い糸であり得る。ある実施形態では、ケーブルは織り合わせられた材料の複数のストランドを有し得る。任意の適切な紐が使用され得るが、いくつかの実施形態は、伸び切り鎖、高弾性ポリエチレン繊維から形成された紐を利用し得る。適切な紐材料の1つの例は、New Jersey、Morris TownshipのHoneywellによって製造された、SPECTRA(商標)の商品名で販売されている。伸び切り鎖、高弾性ポリエチレン繊維は有利に、高い強度重量比を有し、耐切断性であり、非常に低い弾性を有する。この材料で作られた1つの好適な紐は堅く織られる。密な織り方は、完成した紐に追加の剛性を提供する。織り方によって提供される追加的な剛性は、紐が(例えばリール204内に)容易に通されるように、強化された押込力伝達性(pushability)を提供する。加えて、いくつかの実施形態では、紐は成形されたモノフィラメントポリマーから形成され得る。いくつかの実施形態では、紐はポリマーまたは他の潤滑コーティングを持つ或いは持たない編まれた鋼から作られ得る。
【0037】
紐206の1つまたは複数の端部はスプール部材216に固定され得る。いくつかの実施形態では、紐206はスプール部材216に取り外し可能にまたは固定して取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、紐206がスプール部材216に形成された孔に通され得るとともに結び目が紐206の端部に形成され得る、或いは、固定部材が、端部が孔を通って引き戻されることを防ぐために、そこに取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、紐206はスプール部材216の一部に結ばれ得る。紐はまた、スプール部材216に接着剤または任意の適切な方法によって固定され得る。いくつかの実施形態では、紐206は、紐206がスプール部材216から取り外されることを防ぐ十分な摩擦を生み出すような角度で紐206を曲げさせる一連の開口を通って紐206を進ませることによって、スプール部材216に固定される。いくつかの実施形態では、紐206は、引かれたときに紐206が自身を締め付けるように、自身に巻き付く。いくつかの実施形態では、紐206の一方の端部のみがスプール部材216に固定され、紐206の他方の端部はベース部材214または締め付けられる物品に固定される。
【0038】
スプール部材216は、紐206の第1の端部を固定するように構成され得る第1の組の紐孔284a、286a、288aを含み得る。いくつかの実施形態では、第2の組の紐孔284b、286b、288bが、紐206の第2の端部を固定するために使用され得る。紐ガイド290a-bもまた、凹所276内に紐206のスプール部材216への固定を容易にするために形成され得る。
【0039】
図13Aに示された実施形態では、紐206の第1の端部は紐孔284aを通って凹所276内に通り得る。紐ガイド290aは、紐206を紐孔286aに向けることができ、いくつかの実施形態では、紐ガイド290aは、紐206が紐ガイド290aと、孔284aと孔286aとの間の壁274の一部292aとの間に押し込まれるように、配置され得る。紐206は、紐孔286aを通って凹所276に出ることができ、次に紐孔288aを通って凹所に再び入るために約180°の角度で曲がり得る。いくつかの実施形態では、紐206の第1の端部の先端は、先端が凹所276内で動き回るとともにスプール部材216の回転に干渉することを防ぐために、反対側の紐ガイド290bに押し込まれ得る。いくつかの実施形態では、紐孔284b、286b、288bを通過する紐206の量は、紐206のごく一部のみが孔288aを通って凹所276内に再び入るように構成され得るので、先端は反対側の紐ガイド290bに押し込まれない。紐206の第2の端部は、スプール部材216に、紐孔284a、286b、288b、紐ガイド290b、および壁274の一部292bによって同様に固定され得る。
【0040】
他の紐を固定する構成も可能である。例えば、図13Bに示された実施形態では、紐206の第1の端部は凹所276に入るために、紐孔284aを通過する。紐ガイド290は、紐206を紐孔288bに向けることができ、紐ガイド290aは、紐206が紐ガイド290aと、紐孔284aに隣接する壁の一部294aとの間に押し込まれるように構成され得る。紐206は、紐孔288bを通過することができ、次に紐孔286bを通って凹所276に再び入るために約180°の角度で曲がり得る。紐206の第2の端部は、スプール部材216に、紐孔284b、288a、286a、紐ガイド290b、および壁274の一部294bによって同様に固定され得る。
【0041】
図13Cおよび13Dは紐206がスプール部材216に固定され得る別の方法を示す。図13Cに示されるように、紐206の端部は、紐孔284aを通って凹所276に通され、そして紐孔286aを通って凹所276の外に通され、そしてまた紐孔288aを通って凹所276に戻される。紐206の端部は次に、図13Cに示されるように、紐孔284a、286aの間に形成された紐の輪を通され得る。そして、紐206は、図13Dに示されるように、紐がそれ自体の中で交差するように締められ得る。例えば、紐206の結んでいない端は、紐孔286aと288aとの間に形成された輪からたるみを取り除くために、紐孔284aと286aとの間に形成された輪を引く間に片方の手で保持され得る。紐孔284aと286aとの間に形成された輪のたるみは、紐が締まるまで紐孔284aを通って凹所276の外に引かれ得る。したがって、いったん締め付けられると、紐206はそれが引かれたときによりきつくそれ自身を押し、したがって、紐206がスプール部材216から外れることを防ぐ。
【0042】
紐は、図示されたように、紐孔288aに最も近い輪の部分の上部の上を通り、次に紐孔288aから最も遠い輪の部分の下を通り得る。そして、紐が締め付けられたとき、紐206の結んでない端は、紐が紐孔288aから最も遠い輪の部分の上部の上を通される場合のように、概して凹所276から外に向けられるよりむしろ、概して凹所276の基部に向けられ得る。紐の結んでない端を凹所276の基部に向けて付勢することによって、紐の結んでない端は、スプール部材216のハウジング220への挿入に干渉することが防がれ得る。紐ガイド190aは、紐206の結んでない端が中央開口部278に入らないまたはハウジング220に挿入されるスプール部材216と干渉しないように、紐206の結んでない端が凹所276の周囲の近くに位置することを保つように配置され得る。
【0043】
図15は、ノブ部材218の分解斜視図である。図16は、ノブ部材218の別の分解斜視図である。ノブ部材は、ノブコア296、つめ236、バネブシュ298、締め具300、ノブバネ302、ノブカバー304、ノブグリップ306を含み得る。
【0044】
ノブコア296は概して円板形状であり得る。ノブコア296は、その底面に形成されたノブ歯234を含み得る。図示された実施形態では、12個のノブ歯234が示されるが、任意の他の適切な数のノブ歯234が使用され得る。いくつかの実施形態では、同じ数のノブ歯234およびスプール歯232が使用され得るとともに、ノブ歯234がスプール歯232と噛み合うことができるようにノブ歯234が反対方向に向けられることを除いて、スプール歯232と同様にまたは同じに形成され得る。したがって、スプール歯232に関する上述の寸法はノブ歯234にも適用され得る。ノブ部材218が締め付け方向に回転されるとき、ノブ歯234の第1の側部308は、スプール部材216を締め付け方向に駆動するようにスプール歯232の第1の側部280に押圧され得る。紐206がスプール部材216の周りに締め付けられ、スプール部材216にそれを緩み方向に捻る傾向にさせる力が加えられるとき、スプール歯232の第2の側部282は、力がノブ材218にそれを緩み方向に捻る傾向にさせるために伝達されるように、ノブ歯234の第2の側部310に当接し得る。以下に説明されるように、力はつめ236がノブ部材218およびスプール部材216が緩み方向に回転することを防ぐように、ハウジング歯224と噛み合うことをもたらすことができ、したがって紐206を締め付けられた形態に保つ。
【0045】
ノブコア296はノブカバー304をそこに固定することを容易にするための特徴を含み得る。ノブコア296は、ノブコア296の周辺に近い上面に形成された切欠き部312を含み得る。突出部314が切欠き部312の下の位置でノブコア296の周辺から半径方向外側に延び得る。ノブコア296は、その中心を通る中央開口部316を含み得る。この中央開口部316はバネブッシュ298を受けるように構成され得る。中央開口部316の上部は、その中に段318を形成するように中央開口部316の下方部分より広くなり得る。ノブコア296はまた、そこへのノブバネの固定を容易にするための、例えば、幅の広い係合タブ320および幅の狭い係合タブ322を含む、特徴も含み得る。
【0046】
ノブコア296はまた、対応するつめ236を受け入れるように構成された、つめ凹部324も含み得る。つめ凹部324は概してつめ236と同様に形成され得るが、本明細書のいずれかに詳細に記載されるように、作動中につめ236がつめ凹部324内で旋回(揺動)および移動することを可能にするように、つめ236より多少大きくなり得る。つめ凹部324は、つめの一部(例えばつめ歯部)の一部がノブコア296を通って延びる(図4に示された組み立てられたノブ部材218内に見ることができる)とともにハウジング歯224と接することを可能にするように、基部の一部および/または側部の一部に形成されたつめ開口326を含み得る。
【0047】
図17および18はつめ236の斜視図である。つめ236は、つめ基部328、つめ梁部330、およびつめバネ部332を含み得る。つめ基部328は、つめ236が軸334回りに旋回し得るように、ノブコア296および/またはノブカバー304と接続するように構成され得る。ピボットタブ336はつめ基部328から軸334に沿って上方に延び得る。ピボットタブ336は、形状が略円筒形であり得るとともに軸334と同軸であり得る。フランジ337はつめ基部328一方の側部から外に延び得るとともに、フランジ337はつめ236の旋回を容易にし得る。図17および18に見ることができるように、いくつかの実施形態では、つめ梁部330、つめバネ部332、およびつめ236のほかの構成要素は単一の部品として一体に形成され得る(例えば成形される)。
【0048】
つめ梁部330は、ノブ部材218が締め付け方向に回転されたとき、つめ236がハウジング歯224によって変位されるが、つめ梁部330は実質的に剛体であるとともに屈曲しないような、材料、厚さ、および長さで形成され得る。1つまたは複数のつめ歯部338a-bは、つめ基部328の反対のつめ梁部330の端部の近くに位置され得る。図示された実施形態では、2つのつめ歯部338a-bが使用されるが、任意の他の適切な数のつめ歯部338a-bが使用され得る。つめ歯部338a-b、またある場合にはつめ梁部330全体は、本明細書のいずれかにより詳細に説明されるように、ノブ部材218の非連動位置から連動位置への移行を容易にし得る、曲げられたまたは傾斜した底面339を有し得る。つめ梁部330は、つめ梁部330の端部がつめ236の残りの部分より下方に延びる所に形成された段340を含み得る。つめ梁部の下方延長部分は、ノブコア296のつめ凹部324に形成されたつめ開口326を通ってまたはつめ開口326内に延びるように構成され得る。
【0049】
つめ基部328は、(図19に見ることができるように)つめ凹部324の表面324aに噛み合うように構成された端部表面328aを含み得る。いくつかの実施形態では、圧力が1つまたは複数のつめ歯部338に加えられると、荷重がつめ梁部330を通って端部表面328aと表面324aの噛み合い部に伝達され得る。いくつかの実施形態では、つめ236が軸334回りに半径方向外側に旋回すると、つめ基部328の端部表面328aはつめ凹部324の表面324aに当接することができ、したがって、つめ326が半径方向外側に旋回し得る距離を制限する。例えば、つめ236は、ハウジング歯224と噛み合うのに十分であるが、著しく遠くではなく半径方向外側に旋回することが可能にされ得る。これは、以下に説明されるように、緩める力が、つめ236を半径方向外側に付勢する力の成分を生み出し得るノブ部材218に加えられたとき、つめ236から圧力を解放し得る。表面328aと324aとの間の接触面はまた、ノブ部材218が非連動位置にあるときつめ236の半径方向の動きも制限することができ、したがって、つめ236を、ノブ部材218がつめ236からの実質的な干渉なしに、連動位置に押され得るのに十分に半径方向内側に保つ。いくつかの実施形態では、つめ236は、つめ凹部324内に配置されるとともに概してノブカバー304とノブコア296との間に閉じ込められる。以下に説明されるように、上部タブ384は、つめ236の軸方向の動きを妨げるためにピボットタブ336に係合し得る。同様に、ノブカバー304から下方に延びる梁部タブ385は、つめ梁部330の上面に、その軸方向の動きを妨げるために係合し得る。
【0050】
つめバネ部332は、図示された実施形態に示されるようにカンチレバーまたはアーチ形バネである得るが、任意の他の適切な種類のバネが使用され得る。つめバネ部332は、つめ梁部330と概して同じ方向につめ基部328から外に延び得る。つめバネ部332は、つめ梁部330から離れて曲げられ得る。概して円柱状の端部片342がつめバネ部の端部に形成され得る。つめバネ部332は、ノブ部材218が締め付け方向に回転されたとき、つめ236がハウジング歯224によって変位されるにつれて屈曲するように、つめバネ部332が弾性的で可撓性であるような、材料、厚さ、および長さで作られ得る。つめバネ部332は、図17および18において弛緩位置で示される。いくつかの実施形態では、つめ梁部330およびつめバネ部332は独立して形成され、次につめ236を形成するように結合される。したがって、つめ梁部330およびつめバネ部332は同じ材料で形成される必要はない。例えば、金属つめ梁部330が、比較的高い強度対厚さ比のために有利になり得る一方、プラスチックつめバネ部332を使用することは有利になり得る。いくつかの実施形態では、つめ梁部330およびつめバネ部332が別々に形成されたときでさえ、同じ材料が使用され得る。図17-18に示された実施形態では、つめバネ部332およびつめ梁部330は単一の部品として同じ材料で一体に形成され得るので、製造および組立コスト並びに複雑さを減らす。いくつかの実施形態では、図示された実施形態に示されたものと異なるバネが使用され得る。例えば、金属またはプラスチックの板バネ或いはワイヤコイルバネが、いくつかの用途では使用され得る。
【0051】
つめ梁部330およびつめバネ部332は別々の部分であるため、つめバネ部332は、ノブ部材218が緩み方向に捻られたときにつめ梁部330が耐えることができる力の量を減らすことなしに、(例えば、つめバネ部332をより薄く作ることによって)より容易に曲げやすくなるように変更され得る。同様に、つめ梁部330は、つめバネ部332の可撓性を低下させることなしに(例えば、つめ梁部330をより厚く作ることによって)ノブ218に緩み方向に加えられたより大きい力に耐え得るように、変更され得る。したがって、つめ236は、所望のレベルの可撓性および強度に調整され得る。例えば、つめ236は、ノブ部材218が緩み方向に捻られるときに大きい力に耐えるように構成され得ると同時に、ノブ部材218が締め付け方向に回転されるときに容易に半径方向に変位可能である。いくつかの実施形態では、ノブ部材218が緩み方向に捻られるときにつめ236に加えられる力は、つめ梁部330によって支えられるとともに、つめバネ部332によっては実質的に何の力も支えられない。可撓性のつめの荷重支持能力は、つめがより柔軟に作られるほど減少し、つめの可撓性は梁部がより高い力に耐えるように作られるほど減少するため、この構成は、つめが(例えば、締め付け中に)つめを変位させるために同様に曲がる荷重支持梁部を含む実施形態に対して有利になり得る。したがって、可撓性のつめ梁部を使用するとき、十分な量の緩める力はつめ梁部に曲がることを生じさせ、したがって紐締めシステムを損なう。しかし、つめ236を使用するとき、つめ梁部330は、比較的大きい緩める力が加えられたときでさえ実質的に剛体であるように構成され得るとともに、つめバネ部332は、締め付け力が加えられたときにつめ梁部330が容易に旋回することを可能にするように構成され得る。
【0052】
図19は、ノブコア296のつめ凹部324の内側に配置されたつめ236を示す上面図である。ハウジング220は図19に示されていないが、つめ236は、つめ歯部338a-bがハウジング歯224に噛み合わされる位置で示される。図20は、つめ歯部338a-bがハウジング歯224に噛み合わされた図19と同じ位置でのベース部材214およびつめ236を示す上面図である。図21は、ノブ部材218が締め付け方向に回転されたときの変位された形態のベース部材214およびつめ236の上面図である。つめ236以外のノブ部材218、およびスプール部材216の要素は、単純化のために図20および21に示された図から省略されている。
【0053】
いくつかの実施形態では、つめバネ部332は、つめ凹部324内に挿入されたとき、弛緩した位置より少なく湾曲された位置に部分的に曲げられ得る。曲げられたつめバネ部332は、つめ梁部330が半径方向外側に付勢されるとともにつめ歯部338a-bがハウジング歯224に半径方向外側に当接するように、つめ236に旋回する傾向になることをもたらす。ノブ部材218が緩み方向(矢印Bで示される)に捻られるとき、つめ歯部338a-bの第1の側部334a-bは、ノブ部材218が緩み方向に回転することを防ぐために、ハウジング歯224の第1の側部258に当接し得る。いくつかの実施形態では、つめ凹部324は、つめバネ部332が部分的に曲げられる必要なしに、つめ236を収容するように構成され得る。したがって、いくつかの実施形態では、つめバネ部332は、つめ梁部330がノブ218が緩むことを防ぐために、ハウジング歯224と噛み合わされたとき、弛緩位置にあり得る。つめ梁部330がハウジング歯224から離れて変位されたとき、つめバネ部332は、つめ梁部330がハウジング歯224に向かって付勢されるように、弛緩状態から曲げられた状態に移行し得る。また、例えば図20に示されるように、いくつかの実施形態では、1つまたは複数のつめ歯部338a-bは、つめ236のピボット軸334から延びる接線の半径方向外側の位置で、ハウジング歯224と噛み合い得る。図20の実施形態では、つめ歯部338bは、少なくとも約5°および/または約15°以下である、またいくつかの実施形態では約10°になり得る角度345だけ、接線Cから半径方向外側に角度を付けられた線上の位置において、対応するハウジング歯224に噛み合い得る。したがって、緩める力がノブ部材218に加えられたとき(矢印Bで示される)、力の成分はつめ236が半径方向外側に旋回することを促すように向けられる。したがって、より大きい緩める力がノブ部材218に加えられたとき、つめ歯部338a-bは、ハウジング歯224によりしっかりと噛み合うように付勢される。これは、大きい緩める力が加えられたとき、つめ236がハウジング歯224から偶発的に外れることを防ぎ得る。つめ236が半径方向外側に付勢されるので、つめ梁部は、つめ歯部338a-bによって噛み合わされない1つまたは複数のハウジング歯224の先端に当接し得る。このつめ歯部338a-bは、つめ梁部330が外側に曲がることを防ぎ得るとともに緩める力の一部をハウジングに伝達し得る。上述のように、つめ基部328の表面328aはつめ凹部324の表面324aと当接し得るので、つめ236が半径方向外側に回転し得る量を制限する。
【0054】
いくつかの実施形態では、複数のつめ歯部338a-bが使用され得るので、複数のつめ歯部338a-bは複数の対応するハウジング歯224と同時に噛み合い、ノブ部材218が緩み方向に捻られたとき、加えられた力は、ノブ部材218が緩み方向に回転することを防ぐために、つめ236ごとに複数の歯に分散される。力を複数の歯に分散することによって、ハウジング歯224およびつめ歯部338a-bはサイズが比較的小さくなり得る一方、ハウジング歯224の第1の側部258とつめ歯部338a-bの第1の側部344a-bとの間に十分な噛み合い面面積を提供する。例えば、示されたような2つのつめ歯部338a-bの2つの連続したハウジング歯224との噛み合いは、緩み方向への回転に抵抗するための示されたサイズの2倍の単一のつめ歯部とハウジング歯と実質的に同じ噛み合い面面積を提供し得る。ハウジング歯224のサイズが減少すると、ハウジング歯224の数が増加し得るとともに、リール204の締め付け分解能が増大し得る。ノブ部材218が締め付け方向(矢印Aで示される)に1つのハウジング歯224だけ進められるとき、ノブ部材218が移動する回転方向の距離は、ハウジング歯224のサイズが減少するとともにハウジング歯224の数が増加するにつれて、減少する。したがって、より多く、かつ小さいハウジング歯224を使用することによって、リール204の締め付け分解能が増大するので、紐締めシステム200は所望のレベルのきつさにより正確に締め付けられ得る。また、ハウジング歯224のサイズが減少するにつれ、ノブ部材218が締められるときにつめ236が半径方向内側の方向に変位する距離もまた減少するので、ノブ部材218を締め付け方向に回転しやすくする。いくつかの実施形態では、複数のつめ歯部338a-bが使用されるため、ノブ部材218が、緩み方向の回転に強く抵抗する一方で締め付け方向に容易に回転され得ることに留意することが重要である。2つのつめ歯部338a-bがつめ236ごとに示されているが、追加的なつめ歯部(例えば、3、4、5、またはそれより多い)が使用されることができ、また、いくつかの実施形態では、単一のつめ歯部が使用され得る。例えば図20に示されるように、いくつかの実施形態では、1つまたは複数のつめ歯部338a-bおよびハウジング歯224は、完全に噛み合ったときに互いに動かなくなるように構成され得るので、ノブ部材218が締め付け方向(矢印Aで示される)に動かされない限り、つめ236が半径方向内側に回転することを防止する。ハウジング歯224の表面258およびつめ歯部338aの表面334aは、線Dから角度343(例えば、少なくとも約5°および/または約15°以下、或いは約10°)を形成し得る。この線Dは、対応するつめ236のピボット軸334に関する接線Cに垂直であり得る。線Dは、つめ歯部338aの表面344aが半径方向内側に旋回するときの表面344aによって辿られた円弧に接し得る。ハウジング歯224の表面258がつめ梁部330に向かって角度を付けられるので、力が表面344aを矢印Dの方向に動かすように付勢するとき、表面344aは表面258に当接し得る。したがって、つめ歯部338aが、つめ歯部338aの表面344aがハウジング歯224の表面258に当接するように、ハウジング歯224に完全に噛み合うとき、半径方向内側の回転はつめ歯部338aの表面344aがハウジング歯224の表面258をよりしっかりと押すことをもたらすため、つめ236は半径方向内側に回転することが妨げられる。表面258と344aとの間の斜めの接触面はまた、緩める力が加えられたとき(矢印Bで示される)つめ236への半径方向外側方向への力をもたらし得る。つめ236が半径方向内側に回転することを可能にするため、つめ歯部338aの表面344aがハウジング歯224の表面258から噛み合いを外すように、つめ236は締め付け方向(矢印Aで示される)に移動され得る。他のつめ歯部(例えば、つめ歯部338b)は、つめ236の偶発的な噛み合いの解除を防ぐためにつめ歯部338aと同様に動作し得る。
【0055】
ノブ部材218が締め付け方向(矢印Aで示される)に回転されるとき、ハウジング歯224の第2の側部260は、つめ歯部338a-bの第2の側部346a-bに沿って滑らせることができ、図21に示されるように、つめ梁部330がハウジング歯224から半径方向内側に離れて変位されるように、つめ236がピボット軸(例えばピボットタブ336周り)周りに回転することをもたらす。つめ236が回転すると、つめバネ部232は、例えばより湾曲されない位置に、さらに曲げられ得るとともに、端部片32は、つめ基部328からさらに離れているつめ凹部224の壁に沿って滑り得る。略円筒形状の端部片342の湾曲した端部は、端部片342とつめ凹部224の壁との間に、端部片342が滑るときのそれらの間の摩擦の量を減らすように、小さい接触面積をもたらし得る。いったんつめ歯部338a-bの先端がハウジング歯224の先端を通過すると、つめ236は、つめ236が1つのハウジング歯224、または1つのステップだけ、締め付け方向に進んでいることを除いて、図20に示されたものと同様の位置に半径方向外側にパチンと動く(スナップする)ことができる。紐締めシステム200を締め付けるために、ユーザは、ノブ部材218を締め付け方向に所望の量だけ、つめ236が緩み方向への回転を防ぐための各ステップの後にパチンと戻りながら(スナップバックしながら)、回すことができる。
【0056】
図20および21に見ることができるように、つめ236のフランジ337は、ハウジング歯224の先端を越えて半径方向外側に延び得るが、フランジ337は、フランジ337がハウジング歯224に接触しないつめ236の上部の近くに位置され得る。それどころか、フランジ337は、図19に見ることができるように、つめ凹部324の壁325の一部に接触し得る。つめ236が回転すると、フランジ337は、つめ236の所望の回転変位を容易にするために、つめ凹部324の壁に対してわずかに回転し得る。フランジ337と壁部325とのはめ合いはまた、つめ凹部324内のつめ236の半径方向および軸方向の大体の位置を保持する補助をし得る。
【0057】
つめ236は、図示された実施形態にしめされたものと異なって構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、つめバネ部332の可撓性アームはつめ梁部330に向かって湾曲し得る(例えば、図示された実施形態に示されたものと反対の方向に)とともに、つめバネ部332の湾曲アームの中央部分は対応する凹部324の壁に沿って動き得る。いくつかの実施形態では、湾曲アームは、湾曲アームがより曲げられていない位置にあるとき(例えば、つめ梁330がハウジング歯224と噛み合うとき)より、より曲げられた位置にあるときに(例えば、つめ梁部330がハウジング歯224から離れて変位されるとき)より湾曲されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、可撓性アームは、つめ236に、図示された実施形態に示された以外の場所に取り付けられ得る。例えば、つめバネ部332の可撓性アームは、ピボットタブ336から最も離れたつめ梁部330の端部から延ばされ得る。また、いくつかの実施形態では、つめバネ部332は、概してつめ梁部330と反対方向に、または概して半径方向内側に、或いはつめバネ部332がハウジング歯224に向かってつめ梁部330を付勢するように曲げられ得る限り様々な他の適切な方向に、延びる可撓性アームを含み得る。上述のように、つめバネ部332はまた、板バネ、コイルバネ、またはつめ梁部330をハウジング歯224に向かって半径方向に付勢するように構成された任意の他の適切な付勢部材から作られ得る。
【0058】
本明細書に説明された様々な実施形態は、半径方向内側に延びるハウジング歯224およびハウジング歯224に向かって半径方向外側に付勢されるように構成されたつめ236を含むが、他の構成も可能である。例えば、ハウジング歯224は半径方向外側に延び得る。ハウジング歯224は、例えば、軸244または同様の構造の外側表面に形成され得る。これらの実施形態では、つめ236は、ハウジング歯224に向かって半径方向内側に付勢されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、より多いハウジング歯224が含まれることができ、したがってリール204の締め付け分解能(回転毎の歯の数)を増すように、ハウジング歯224がより大きい円周に沿って配置されるように、ハウジング歯224を(例えば、図示された実施形態に示されるように)リール204の周囲の近くに配置することが有利になり得る。
【0059】
図22は、組み立てられた形態のノブコア296、バネブッシュ298、締め具300、およびノブバネ302の上面図である。ここで、図15、16、および22を参照すると、バネブッシュ298は、形状が略円筒形であり得るとともに、その中心を通って形成された中央開口部348を有し得る。バネブッシュ298の外面は、底部351におけるより上部349において広くなることができ、バネブッシュ298がノブコア296の中央開口部316に完全に挿入されたとき、ノブコア296の中央開口部316に形成された団318に当接するように構成され得る段350を形成する。バネブッシュ298の中心を通過する中央開口部348において、上部は段352を形成するために下部より広くなり得る。
【0060】
締め具300の頭354は、締め具300がバネブッシュ298の中央開口部348に完全に挿入されたとき、バネブッシュ298の中央開口部の段352に当接し得る。締め具300は、ハウジングの軸244に形成されたボア246内に形成されたねじ山に噛み合うように構成されたねじ山358を含む軸356を有するねじであり得る。いくつかの実施形態では、ボア246は、ねじ山が付けられた金属インサートまたはボア246の一部として成形されたプラスチックのねじ山を含み得る。いくつかの実施形態では、ボア246は予め形成されたねじ山を有さず、締め具300のねじ山358は、締め具300がボア246に挿入される最初のときにボアにねじ山を形成し得る。頭354はくぼみ360を含み得る。このくぼみ360は、六角形または十字形にされ得る、或いはドライバまたは他の工具が締め具300を回すこと可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、ノブ部材218は、例えば、噛み合い留め具またはリベットまたは超音波溶接等、何か他の方法でハウジング220に結合され得る。他の代替手段も可能である。
【0061】
ノブバネ302は、バネブッシュ298に係合するように構成され得る1組の対向する係合部362a-bを含み得る。1組の端部片364a-bが係合部362a-bから略直角に内側方向に延び得る。円の部分的な円周に沿うように形成され得る相互接続部分368は、湾曲した接続部370a-bによって係合部362a-bに取り付けられ得る。
【0062】
ノブバネ302は、ノブコア296に固定され得る。幅の広い係合タブ320はノブバネ302の湾曲した接続部370a-bの間に適合するように構成され得るとともに、幅の狭い係合タブ322は、ノブバネ302が回転するあるいはノブコア296に対して動くことを防止するために、ノブバネ302の端部片364a-bの間に適合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、幅の広い係合タブ320および/または幅の狭い係合タブ322は、湾曲した接続部370a-bが幅の広い係合タブ320に当接するおよび/または端部片364a-bが幅の狭い係合タブ322に当接する状態で、ノブバネ302が僅かに曲げられた形態に保たれるように、ノブバネ302を受けるように構成され得る。いくつかの実施形態では、ノブバネ302は、ノブカバー304がノブコア296に取り付けられたとき、ノブカバー304によって軸方向に動くことが防止され得る。
【0063】
ノブバネ302は、バネブッシュ298の上方の幅の広い部分が係合部362a-bの間を通過することを可能にするために係合部362a-bが弾性的に互いから離され得るように、構成され得る。バネブッシュ298は、図22に示されるように、非係合位置にあることができ、ここではバネブッシュ298は係合部362a-bより下に位置する。係合位置では、バネブッシュ298の上方の幅の広い部分349は、ノブバネ302の係合部362a-bの上に配置され得る。バネブッシュの上方の幅の広い部分349は、バネブッシュが係合位置と非係合位置との間で意図せずに移行することを防止するために、ノブバネ302の係合部362a-bの距離より幅が広くなり得る。バネブッシュ298を係合位置から非係合位置に移行させるために、例えば、ノブ部材218をベース部材214から離れて軸方向に引くことによって、力が加えられ得る。この力は、バネブッシュ298を係合部362a-bに押し付けさせ、バネブッシュ298の上方の幅の広い部分359が係合部362a-bの間を通過するまで係合部362a-bを互いから弾性的に離させる。バネブッシュ298を非係合位置から係合位置に移行させるために、例えば、ノブ部材218をベース部材214に向かって軸方向に押すことによって、力が加えられ得る。この力は、バネブッシュ298を係合部362a-bに対して押し上げさせ、バネブッシュ298の上方の幅の広い部分359が係合部362a-bの間を通過するまで係合部362a-bを互いから弾性的に離させる。
【0064】
多くの変形形態が可能である。例えば、いくつかの実施形態では、係合部362a-bは定位置に強固に保持され得るとともに、バネブッシュ298は、バネブッシュ298が係合位置と非係合位置との間を弾性的に圧縮するとともに係合部362a-bの間を通過させることによって移行し得るように、弾性的に圧縮可能材料から作られ得る。いくつかの実施形態では、締め具300およびバネブッシュ298は単一の部品に組み合わされ得る。ノブバネ302は様々な他の形態を取り得るとともに、ノブコア296に、係合部362a-bが互いから離れて弾性的に曲がるように構成されるように、様々な他の方法で取り付けられ得る。バネブッシュ298は、図示された実施形態に示されたものとは違った様々な他の形に形成され得る。いくつかの実施形態では、バネブッシュ298は回転対称になり得るとともにノブコア296およびノブバネ302とともに回転し得る。したがって、ある場合には、バネブッシュ298は、単なる点での代わりに線に沿ってノブバネ302と係合する平らな側面を有し得る。
【0065】
図15および16を参照すると、ノブカバー304は概して円板形状であり得る。ノブカバー304は、ドーム形または略円錐台形の上壁372およびその中に形成された空洞376を持つ周壁376を有し得る。中央開口部378が、ドライバまたは他の工具が締め具300のくぼみ360に係合するためにそこを通って挿入されることを可能にするように、上壁372の中心に形成され得る。ノブカバー304は、ノブカバー304をノブコア296にスナップフィット接続を用いて固定するために、ノブコア196の対応する切欠き部312および突出部314と噛み合うように構成された固定タブ380および切欠き部382を含み得る。ノブカバー304は、接着剤、ねじ接続、超音波溶接、または任意の他の適切な方法を用いる等、様々な他の方法で、ノブコア296に固定され得る。ノブカバー304は、ノブコア296に固定してまたは取り外し可能に取り付けられ得る。ノブカバー304がノブコア296に取り付けられるとき、つめ236、バネブッシュ298、締め具300、およびノブバネ302はそれらの間に囲まれ得る。
【0066】
上部タブ384がノブカバー304の上壁372の下面から下方に延び得る。上部タブ384はつめ236のピボットタブ336と位置合わせされ得るとともに、上部タブ384の底面は、それによってつめが軸方向に動くことを防ぐために、つめ236のピボットタブ336の上面と接触、あるいはほぼ接触し得る。様々な変形形態が可能である。いくつかの実施形態では、つめ236のピボットタブ336は、つめ236を固定するとともにつめ236がピボットタブ336周りに旋回することを可能にするために、ノブカバー304に形成されたボア内に適合し得る。
【0067】
凹部386が空洞376の中心に形成され得るとともに、凹部386は、バネブッシュ298が係合位置にあるとき、バネブッシュ298の上方の幅の広い部分349を受け入れるように構成され得る。
【0068】
ノブカバー304の周壁374は、ノブグリップ306の内面に形成された対応するタブ390を受け入れるように構成された切欠き部388を含み得る。ノブグリップ306は、概してドーナツ型になり得るとともにノブ部材218の保持を容易にするために外面の隆起部392および/または凹部394を含み得る。いくつかの実施形態では、ノブグリップ306は、省力され得るまたは、ノブカバー304の周囲に配置された断続的な部分に分割され得る。様々な変形形態が可能である。
【0069】
開口部396が、使用中のリール204のいくつかの内部構成部品を見ることを提供するために、あるいは水または他の異物がリール204から出るための出口経路を提供するために、ノブカバー304の上壁372の一部に形成され得る。
【0070】
上述のように、ノブ部材218は、連動位置と非連動位置との間で軸方向に移動可能であり得る。図23Aは、連動形態のノブ部材218を持つリール204の分解図である。図23Bは、連動形態のノブ部材218を持つリール204の断面図である。図24Aは、非連動形態のノブ部材218を持つリール204の分解図である。図24Bは、非連動形態のノブ部材218を持つリール204の断面図である。ノブ部材218は、ねじ山358が軸244に形成されたボア246内の対応するねじ山に噛み合うように、締め具300を捻ることによってベース部材214に固定され得る。いくつかの実施形態では、締め具300が十分に締め付けられると、スプール部材216を越えて上に延びる軸244の一部が、バネブッシュ298を通って形成された中央開口部348の下方部分の中に入り得る。バネブッシュ298の底端部398は、スプール歯232の内側の環状領域400に当接し得る、またはほとんど接し得る。
【0071】
図23Aおよび23Bに示されるように、ノブ部材218が連動位置にあるとき、バネブッシュ298および締め具300は、上述のように、ノブバネ302によって持上げられた位置に保持され得るので、バネブッシュ298の底端部398はノブコア296の中央開口部316を越えて延びない。したがって、ノブ部材218は、ノブコア296の底部がスプール部材216の上面に当接する状態、または上面に近接する状態で、下方連動位置(図5に点線で示される)に保持される。したがって、連動位置にあるとき、ノブ歯234はスプール歯232と噛み合うとともに、つめ236はハウジング歯224と噛み合う。
【0072】
図24Aおよび24Bに示されるように、ノブ部材218が非連動位置にあるとき、バネブッシュ298および締め具300は、上述のように、ノブバネ302によって下げられた位置に保持され得るので、バネブッシュ298の底端部398は、少なくとも約1.0mmだけおよび/または約3mm以下だけ、またいくつかの実施形態では約2.25mmだけ、ノブコア296の中央開口部316を越えて延びるが、これらの範囲の外のほかの形態も可能である。バネブッシュ298の底端部398が、スプール部材216の環状領域400に当接、あるいはほとんど接し続けるので、ノブ部材218は、ノブ歯234をスプール歯232から外させるおよび/またはつめ236をハウジング歯224から外させるのに十分な量(例えば、約2.25mm)だけスプール部材216およびベース部材214から離れて持上げられる。図示された実施形態では、ノブが非連動位置にあるとき、ノブ歯234はスプール歯232から外れるとともにつめ236もまたハウジング歯224から外れる。したがって、図示された非連動の形態では、スプール部材216は、紐締めシステム200を緩めるためにノブ部材218と無関係に緩み方向に自由に回転し得るとともに、ノブ部材218は締め付け方向および緩み方向の両方に自由に回転し得る。
【0073】
多くの変形形態が可能である。いくつかの実施形態では、非連動位置にあるとき、ノブ歯234はスプール歯232から外れ得る一方、つめ236はハウジング歯224に噛み合い続ける(例えば、図17に示された段340が、つめ歯部338a-bがさらに下方に延びるように大きくされる場合)。これらの実施形態では、ノブ部材218は、非連動位置にあるときでさえ、緩み方向への回転が妨げられ得るが、スプール部材216は、紐206が紐締めシステム200を緩めるために引き出されることを可能にするように、ノブ部材218と無関係に緩み方向に自由に回転し得る。いくつかの実施形態では、非連動位置にあるとき、ノブ歯234はスプール歯232にかみ合い続けることができる(例えば、ノブ歯234および/またはスプール歯232が図示された実施形態よりも高くされる場合)一方、つめ236はハウジング歯224から外れ得る。これらの実施形態では、スプール部材216は、非連動位置にあるときでさえ、ノブ部材218に結合し続けるが、ノブ部材218およびスプール部材216は、紐締めシステム200を緩めるために紐206をリール204から解放するように、緩み方向に一緒に回転することが許される。他の変形形態も可能である。例えば、いくつかの実施形態では、スプール部材216は、ノブ部材218と一体に形成され得る、またはノブ部材218に固定して取り付けられ得る、またはノブ部材218に取り外し可能に取り付けられ得るとともに、スプール歯232およびノブ歯234は省略され得る。
【0074】
上述のように、非連動位置にあるとき、つめ236はハウジング歯224から噛み合いが外れるほど十分に持上げられ得る。いくつかの実施形態では、つめは、つめバネ部232によって半径方向外側に付勢されるため、つめ236は、つめ236の底面の一部がハウジング歯224の上面の一部の上に位置するように、半径方向外側に曲がり得る。したがって、いくつかの実施形態では、ノブ部材218が連動位置に戻って移行されるとき、つめ236は、つめ236がハウジング歯224に再び噛み合い得るように、半径方向内側に曲げられなければならない。また上述のように、少なくともハウジング歯224の上面266の一部は角度を付けられるまたは傾斜され得る、および/または少なくともつめ236の底面339の一部は角度を付けられるまたは傾斜され得るので、ノブ部材が連動位置に戻されたときに加えられる下向きの圧力は、つめ236のハウジング歯224との再度の噛み合いを容易にするように、つめ236を半径方向内側に曲げさせ得る。いくつかの実施形態では、つめ凹部324またはノブ部材218の他の部分は、つめ236がハウジング歯224と噛み合う半径方向の位置を越えてつめ236が半径方向外側に曲がることを防ぐように構成されることができ、したがって、ノブ部材218を連動位置に移行させるとき、つめ236を内側に曲げる必要を減らすまたは除く。
【0075】
ノブ部材218は、バネブッシュ298にノブバネ302を変位させるとともにそこを通過させる十分な力でノブ部材218を軸方向にベース部材214から離れて引くことによって、連動位置から非連動位置に移行され得る。ノブ部材218を非連動位置から連動位置に移行させるために、ノブ部材218は、バネブッシュ298にノブバネ302を変位させるとともにそこを通過させる十分な力で軸方向にベース部材214に向かって押され得る。
【0076】
つめ236のハウジング歯224との半径方向の噛み合いは、ノブ部材218を緩み方向に捻る傾向がある力を加えることによるノブ部材218が連動位置から非連動位置への意図しない移行の発生を減少または排除し得る。紐206が引かれた場合、紐はスプール部材216を緩み方向に捻る傾向にある力を伝えることができ、力はノブ218にスプール歯232およびノブ歯234を介して伝達されることができ、つめ236はある一定数のハウジング歯224の間に力を半径方向に分配することができる。つめ236はハウジング歯に軸方向でなく、半径方向に噛み合うとともに、つめ236は(リール204を締めるとき)半径方向に変位されるように構成されるため、実質的に力はノブ218に軸方向には全く加えられない。したがって、半径方向のつめ236は、ノブ部材の意図しない離脱および/またはスプール部材216の意図しない緩みをもたらし得るスプール歯232をノブ場234から分離させる傾向のある如何なる実質的な力も軸方向に伝えない。したがって、リール204は、つめが軸方向にハウジング歯と噛み合うリール204よりもノブ部材218を意図せずに外れさせることなしに、紐206を引き寄せるように加えられるまたはノブ部材218を緩める方向に捻ろうとするように加えられる非常に大きい力に耐えるように構成され得るとともに、つめは締め付け中に軸方向に変位するように構成される。
【0077】
また、いくつかの実施形態では、ノブ218が緩み方向に捻られるときにつめ236に加えられる力は、実質的に力が全くつめバネ部332に伝達されないように、つめ梁部330によって支えられる。したがって、つめバネ部332は、曲げ易くなるように構成され得る一方、つめ梁部330は実質的に剛体になるように構成され得る。したがって、つめ236は、力が剛体のつめ梁部330によって支えられるため、ノブ部材218を緩み方向に捻るように加えられた比較的大きい力に対抗するように構成され得る一方、つめはまた、力が可撓性つめバネ部332に伝達されるため、比較的小さい力がノブ部材218を締め付け方向に捻るように加えられたとき、関係方向に回転するようにも構成され得る。
【0078】
本明細書に記載された紐締めシステムの構成要素は、例えば、限定されるものではないが、プラスチック、カーボンまたは他の繊維強化プラスチック、アルミニウム、鋼、ゴム、並びに任意の他の適切な材料またはこれらの材料の組合せ等、任意の適切な材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、ベース部材214、スプール部材216、ノブコア296、つめ236、バネブッシュ298、ノブカバー304、紐ガイド、または本明細書に記載された他の適切な構成要素は、ナイロン、PVCまたはPET等、任意の適切な高分子材料から射出成形または別の方法で形成され得る。加えて、本明細書に記載された構成部品のいくつかは、相互作用する構成要素または部品との摩擦を減らすために、潤滑材料で被覆または層状にされ得る。締め具300およびノブバネ302は、金属(例えば、アルミニウムまたは鋼)から作られ得るが、プラスチック等他の材料も使用され得る。ノブグリップ306は、ゴム、ラテックス、シリコーン、またはノブ部材218の把持を容易にする他の材料から形成され得る。
【0079】
図25は、上述のベース部材214の代わりに使用され得るベース部材414の代替実施形態の斜視図である。ベース部材414は、ハウジング420および取付フランジ422を含み得るとともに、紐孔426a-bが、例えば図2に示されたように軸方向にベース部材214から離れるというよりむしろ紐を半径方向にベース部材414から離れて向かわせるように構成され得ることを除いて、上述のベース部材214と概して同様になり得る。また、紐孔426a-bは、上述のベース部材214にあるように両端にというよりむしろ、概してベース部材414の同じ側に配置される。紐締めシステムが適用される特定の用途に応じて、多くの変形形態が可能である。例えば、いくつかの実施形態では、ベース部材は1つの紐孔のみを含むことができ、紐の一方の端部のみがハウジングに入り得るとともにスプール部材に取り付けられ得る。これらの実施形態では、紐の他方の端部はベース部材または締め付けられる物品に取り付けられ得る。
【0080】
図26は、本明細書に記載されたリール204と多くの点で同様になり得るリールに使用され得るノブコア596の他の実施形態の断面図である。ノブコア596は、構造およびリールの組立を単純化するためにノブコア596と一体に形成され得るつめ536を含み得る。他の実施形態では、つめ536はノブコア596に任意の適切な方法で取り付けられ得る。つめ536は、上述のものと同様な方法でノブコア596が締め付け方向(矢印Aで示される)に回転すると、つめ536がハウジング歯によって半径方向内側に変位されることを可能にするように可撓性になるような材料、厚さ、および長さで作られ得るつめアーム部532を含み得る。つめ536は、つめアーム部532の端部に形成されたつめ歯部538a-bを含み得る。図示された実施形態では、2つのつめ歯部538a-bがつめ536ごとに使用されるが、任意の他の適切な数のつめ歯部538a-bが使用され得る。
【0081】
ノブコア596が緩み方向(矢印Bで示される)に捻られたとき、つめ歯部538a-bは、ノブコア596が緩み方向に回転することを防ぐためにハウジング歯(図26に示されない)に当接し得る。図26に描かれた力の矢印は、力が半径方向に分散される方向を示す。つめ歯部538a-bがハウジング歯に当接すると、図示されたように力はつめ歯部538a-bからハウジング歯に加えられる。つめアーム部532は図示されたように湾曲され得るので、つめ歯部538a-bがハウジング歯に当接するとき、つめアーム部532は図26に矢印で示すように、半径方向外側に曲がるまたは座屈する傾向がある。つめアーム部532が半径方向外側に曲がるまたは座屈しようとすると、それらがハウジング歯の先端に当接するとともに、力を変形方向にハウジング歯に分散し、また座屈が妨げられるように、ハウジング歯がつめアーム部532に当接するようにつめ536は構成され得る。いくつかの実施形態では、ハウジング歯は実質的につめアーム部532が半径方向外側に動くことを妨げ得る。つめ536はハウジング歯に軸方向ではなく半径方向に噛み合うとともに、つめ536は軸方向ではなく半径方向に変位されるように構成されるため、締め付け中、実質的に緩み方向に捻るときに加えられた何の力も軸方向には加えられず、したがって、ノブコア596の連動位置から非連動位置への意図しない軸方向の移動の発生を減らすまたは除去する。
【0082】
紐締めシステムの様々な実施形態が本明細書に記載されているが、本明細書に記載された紐締めシステムの実施形態の様々な構成要素、特徴、または他の態様は、これらの全てが本開示の一部であると考えられる本明細書に明記されていない紐締めシステムの追加的な実施形態を形成するために組み合わされ得るまたは交換され得る。加えて、多くの変形形態が図示されるとともに詳細に説明されているが、本開示の範囲内にある、他の変更形態は、この開示を基づいて当業者には容易に明らかになるであろう。したがって、開示の範囲が上述の特定の開示された実施形態によって限定されるべきでないことが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
図24A
図24B
図25
図26