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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061906
(43)【公開日】2024-05-08
(54)【発明の名称】自動開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E02B 13/02 20060101AFI20240426BHJP
   E02B 7/26 20060101ALI20240426BHJP
   E02B 7/36 20060101ALI20240426BHJP
   E02B 7/20 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
E02B13/02 A
E02B7/26 B
E02B7/36
E02B7/20 109
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024045735
(22)【出願日】2024-03-21
(62)【分割の表示】P 2020037258の分割
【原出願日】2020-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2019195299
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】300072462
【氏名又は名称】株式会社ほくつう
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】谷口 輝行
(72)【発明者】
【氏名】竹村 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】平井 一禎
(57)【要約】
【課題】従来の装置よりも装置全体の大型化を抑えつつ開閉部を自動的に移動させることができる開閉装置に好適な自動開閉装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る自動開閉装置は、開口が形成された本体部と、本体部に対して第1方向にスライド移動可能に配置された開閉部と、開閉部に対して、第1方向に隣り合うスピンドルと、開閉部とスピンドルとを結合する結合機構と、を備え、結合機構は、スピンドルを開閉部に対して、相対的に回転自在に、かつ第1方向に連係された状態で結合し、開閉部は、凹部、凸部、及びパッキンを有し、パッキンは、本体部と閉塞部との間で圧縮変形し、本体部は、スペーサを有し、開閉部が閉位置にいる状態でスペーサが凹部内に位置し、開閉部が閉位置から第1方向に移動すると、凸部が前記スペーサに対して乗り上げる構造を持つ。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が形成された本体部と、
前記開口を閉塞するとともに前記本体部に対して第1方向にスライド移動可能に配置された開閉部と、
前記本体部に対して螺着されて前記第1方向に延びる軸線回りに回転可能かつ前記第1方向に進退可能であり、前記開閉部に対して、前記第1方向に隣り合うスピンドルと、
前記開閉部と前記スピンドルとを結合する結合機構と、
を備え、
前記結合機構は、前記スピンドルを前記開閉部に対して、相対的に回転自在に、かつ前記第1方向に連係された状態で結合し、
前記開閉部は、前記本体部を向く面の左右方向の両端部に凹部を有し、かつ、前記本体部を向く面の、前記第1方向に直交する左右方向の両端部であって、前記凹部に対して前記第1方向にずらされた位置に凸部を有し、かつ、前記本体部を向く面において2つの前記凹部の左右方向の間にパッキンを有し、
前記パッキンは、内径が前記開口よりも大きい環状に形成され、前記開閉部が前記開口を閉塞する閉位置に配置されているとき、前記本体部と閉塞部との間で弾性的に圧縮変形し、前記本体部は、前記本体部と前記開閉部との奥行き方向の距離を調整するスペーサを有し、
前記開閉部が前記閉位置にいる状態で前記スペーサが前記凹部内に位置し、前記開閉部が前記閉位置から前記第1方向に移動すると、前記凸部が前記スペーサに対して乗り上げる構造を持つ自動開閉装置。
【請求項2】
前記パッキンを圧縮する際に、前記開閉部の本体を向く面の反対面側に突起と、本体に取り付けられた押さえ部を持ち、前記突起と押さえ部は、第一方向に間隔をあけて配置され、前記開閉部の前記凹部内に前記スペーサが位置した時に、第一方向に移動することで前記パッキンを圧縮する構造を持つ、
請求項1に記載の自動開閉装置。
【請求項3】
前記スピンドルにおいて、前記第1方向の両端部のうち、前記開閉部に隣り合う端部の周面には、前記スピンドルの径方向の中心に凹む連係凹部が形成され、
前記結合機構は、前記開閉部の前記第1方向で前記スピンドルに隣り合う端面に連結する連結部と、前記連結部に接続され、前記連係凹部に嵌まって連係する連係部と、を備える、請求項1に記載の自動開閉装置。
【請求項4】
前記スピンドルと同軸に連結され、前記第1方向に延びる軸体と、
前記軸体を軸線回りに回転させるモータと、
を備える、
請求項1に記載の自動開閉装置。
【請求項5】
前記スピンドルと前記軸体とを連結する連結部材をさらに備える、
請求項4に記載の自動開閉装置。
【請求項6】
前記モータ及び前記軸体が前記スピンドルの移動に伴って上下方向に移動する、請求項4に記載の自動開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、農業用の給水排水システムは、水路を開閉する開閉装置を備える。開閉装置には、複数の種類があり、一例として水路を開閉する開閉部を水路の軸線方向から見て軸線を中心として径方向(第1方向)に移動させるゲート式の開閉装置が含まれる。
【0003】
特許文献1には、水路を開閉する制水弁に連結したユニバーサルシャフトへの動力伝達によって制水弁が開閉される装置が開示されている。特許文献1に開示されている装置では、ユニバーサルシャフトへの動力伝達は変速機構やエンジンを備えた台車本体の出力端に連結されたフレキシブルシャフトによりなされ、動力を利用して制水弁の開閉が迅速に行われる。特許文献2には、水路を開閉する水門がラック・ピニオン機構により昇降駆動される装置が開示されている。特許文献2に開示されている装置では、プログラマブルコントローラによって水門の軸に連接するピニオンに接続されたモータの駆動が制御され、水門の開閉度が自動的に制御される。特許文献1、2の各々に開示されている装置以外に、例えば開閉部に接続されると共に本体部に螺着されているスピンドルを軸線回りに回転させるスピンドル操作部の位置は固定されてスピンドル及び開閉部が開閉部の径方向に移動可能な装置や、スピンドル操作部の回転に伴ってスピンドル操作部及び開閉部が開閉部の径方向に移動可能な装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-19158号公報
【特許文献2】特開平11-336057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、特許文献1に開示されている装置では、制水弁とユニバーサルシャフトとの間に中間軸が設けられ、実質的に制水弁の可動範囲はユニバーサルシャフトの長さに限定される。また、特許文献2に開示されている装置では、水門の可動範囲は水門の軸の端部においてピニオンに嵌まる凹凸が形成されている部分の長さに限定される。これらの装置では、径方向に交差する方向に制水弁や水門等の開閉部の稼働を自動的に制御するための機構が設けられているため、装置全体が大型である。開閉部を自動的に移動させ、かつ装置の大型化を抑えるには、開閉部に連結された軸部材(スピンドル)の開閉部とは反対側の端部に回転駆動部(モータ)を設けることが好ましい。しかしながら、従来のゲート式の開閉装置では、開閉部に直結する軸部材を軸線回りに回転させることは想定されておらず、前述のように開閉部に連結された軸部材の全長を開閉部の可動範囲として活用し難いため、開閉装置の大型化を抑えつつ開閉部を自動的に移動させることは難しい。
【0006】
本発明は、上述の事情を鑑みてなされたものであり、従来の装置よりも装置全体の大型化を抑えつつ開閉部を自動的に移動させることができる自動開閉装置に好適な昇降機構及び自動開閉装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る昇降機構は、開口が形成された本体部と、前記開口を閉塞するとともに前記本体部に対して第1方向にスライド移動可能に配置された開閉部と、前記本体部に対して螺着されて前記第1方向に延びる軸線回りに回転可能かつ前記第1方向に進退可能であり、前記開閉部に対して、前記第1方向に隣り合うスピンドルと、前記開閉部と前記スピンドルとを結合する結合機構と、を備え、前記結合機構は、前記スピンドルを前記開閉部に対して、相対的に回転自在に、かつ前記第1方向に連係された状態で結合する。
上述の昇降機構では、スピンドルが本体部に螺着されていて、スピンドルが軸線回りに回転すると本体部に対して第1方向に進退する。ここで、結合機構が、スピンドルを開閉部に対して相対的に回転自在に結合する。よって、スピンドルの回転が阻害されない。加えて、結合機構が、スピンドルを開閉部に対して第1方向に連係している。言い換えると、スピンドルの第1方向への移動に連動して開閉部も第1方向へ移動するように、結合機構がスピンドルと開閉部とを結合している。よって、スピンドルの移動に伴って開閉部が移動し、開口が開放される。その後、スピンドルを逆回転させることで、スピンドル及び開閉部が第1方向の反対側に向けて移動すると、開放されていた開口が開閉部によって再び閉塞される。上述の昇降機構によれば、スピンドルの開閉部とは反対側の端部に例えば軸体が連結され、モータにより軸体が軸線回りに自動的に回転する場合であっても、スピンドルは本体部に対して第1方向に進退し、開閉部がスピンドルの移動に伴って円滑に第1方向に進退する。また、上述の昇降機構によれば、スピンドルの略全長が本体部に螺着可能であり、開閉部の可動範囲になり得る。したがって、上述の昇降機構を自動開閉装置に適用することで、装置全体の大型化を抑えつつ開閉部を自動的かつ円滑に第1方向に沿って移動させることができる。
【0008】
本発明に係る昇降機構では、前記スピンドルにおいて、前記第1方向の両端部のうち、前記開閉部に隣り合う端部の周面には、前記スピンドルの径方向の中心に凹む連係凹部が形成され、前記結合機構は、前記開閉部の前記第1方向で前記スピンドルに隣り合う端面に連結する連結部と、前記連結部に接続され、前記連係凹部に嵌まって連係する連係部と、を備えてもよい。
上述の昇降機構では、結合機構は、連結部によって開閉部に連結され、連係部が連係凹部に嵌まることでスピンドルに連係される。言い換えると、連係部は、連係凹部に嵌まった状態において、スピンドルの軸線回りの回転を阻害しないが、スピンドルの第1方向の進退には開閉部を追従させ、開閉部をスピンドルと密接に係り合わせる。
【0009】
本発明に係る自動開閉装置は、上述の昇降機構と、前記スピンドルと同軸に連結され、前記第1方向に延びる軸体と、前記軸体を軸線回りに回転させるモータと、を備える。
本発明に係る自動開閉装置では、前記スピンドルと前記軸体とを連結する連結部材をさらに備えてもよい。
上述の自動開閉装置は、上述の昇降機構を備えるので、モータにより軸体が軸線回りに自動的に回転すると、スピンドルは本体部に対して第1方向に進退し、開閉部がスピンドルの移動に伴って円滑に第1方向に進退する。また、上述の自動開閉装置では、スピンドルの略全長が本体部に螺着可能であり、開閉部の可動範囲になり得る。したがって、スピンドルの開閉部とは反対側の端部に軸体及びモータが設けられても装置全体の大型化を抑えつつ、開閉部を自動的かつ円滑に第1方向に沿って移動させることができる。また、モータ及び軸体がスピンドルの移動に伴って上下方向に移動するので、使用するモータ及び軸体の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来の装置よりも装置全体の大型化を抑えつつ開閉部を自動的に移動させることができる自動開閉装置に好適な昇降機構及び自動開閉装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態の自動開閉装置の正面図である。
図2図1に示す自動開閉装置の側面図である。
図3図1に示す自動開閉装置の要部の斜視図である。
図4図1に示す結合機構の平面図である。
図5図1に示す結合機構の側面図である。
図6図1に示す結合機構の変形例の平面図である。
図7】本発明の変形例に係る自動開閉装置の正面図である。
図8図7に示す本体部を正面から見た斜視図である。
図9図7に示す自動開閉装置を正面から見た斜視図である。
図10図7に示す自動開閉装置を背面から見た斜視図である。
図11図7に示す自動開閉装置の動作を説明する図であって、開閉部が開口を閉じていない状態を示す背面図である。
図12図11に示す自動開閉装置の要部を拡大した側面図である。
図13図7に示す自動開閉装置の動作を説明する図であって、開閉部が開口を閉じている状態を示す背面図である。
図14図13に示す自動開閉装置の要部を拡大した側面図である。
図15図13に示すXV-XV断面に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る昇降機構及び自動開閉装置の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1に示すように、自動開閉装置100は、昇降機構10と、軸体110と、連結部材105と、モータ120と、を備える。自動開閉装置100は、例えば不図示の圃場に接続された水路の給水管200に設けられている。後述する昇降機構10の開閉部40が給水管200の軸線方向から見て軸線を中心として径方向に移動することで、給水管200が開閉部40によって閉塞又は開放される。開閉部40は、モータ120の回転駆動によって自動的に移動する。開閉部40は、不図示の地面に対して略直交する上下方向D1に沿って移動する。上下方向D1は、給水管200の径方向及び第1方向の一例である。図1には、給水管200のうちの外周縁のみが、後述する開口22の径方向の内側に破線で示されている。
【0014】
図1及び図2に示すように、昇降機構10は、少なくとも本体部20と、開閉部40と、スピンドル60と、結合機構80と、を備える。本体部20には、開口22が形成されている。詳しく説明すると、本体部20は、板状部24と、保持部26と、支持部111と、を備える。板状部24は、給水管200を含む領域から上下方向D1に延び、板状に形成されている。板状部24の表裏面は、給水管200の軸線方向を向く。給水管200の軸線方向から見たとき、板状部24には、給水管200と軸線を中心とする開口22が形成されている。開口22の給水管200の軸線方向から見たときの形状は、給水管200に合わせて円形である。開口22の直径は、給水管200の中空部の直径(すなわち、内径)以上である。
【0015】
保持部26は、2つの保持壁部27、28を備える。保持壁部27、28は、給水管200の軸線方向から見たときに、板状部24の左右方向D2で互いに間隔をあけて設けられ、それぞれ上下方向D1に延びている。なお、左右方向D2は、前述の軸線方向及び上下方向D1の両方向に直交する。保持壁部27は、板状部24の表面24cから給水管200の軸線方向と平行な奥行き方向D3に延びる側壁31と、側壁31の先端部から保持壁部28に向かって左右方向D2に延びる保持壁32と、を有する。保持壁32には、上下方向D1に互いに間隔をあけて複数のビス35が設けられている。複数のビス35は、左右方向D2で互いに重なっている。保持壁部28は、板状部24の表面24cから奥行き方向D3に延びる側壁33と、側壁33の先端部から保持壁部27に向かって左右方向D2に延びる保持壁34と、を有する。保持壁34には、上下方向D1に互いに間隔をあけて複数のビス36が設けられている。複数のビス36は、左右方向D2で互いに重なっている。保持壁32,34は、各側壁31、33から互いに近づく方向(すなわち、左右方向D2の内側)に向けて延びている。
【0016】
支持部111は、支持板112と、2つの脚部113、114と、を備える。支持板112は、板状部24の上端に設けられ、板状部24の上端から奥行き方向D3の両側に延びている。支持板112の左右方向D2の大きさは、後述する筐体150の左右方向D2の大きさより僅かに大きい。支持部111の左右方向D2の両端部は、両端部から保持壁32、34及び板状部24に延びる脚部113、114によって支持されている。支持部111は、筐体150を支持する台である。支持板112の左右方向D2の中央部には、奥行き方向D3に開口する孔115が形成されている。支持板112には、孔115を上下方向D1に貫通する状態で螺着部130が取り付けられている。螺着部130の径方向の中心部には、上下方向D1に延びる貫通孔131が形成されている。螺着部130において貫通孔131に露出する内周面134は、ねじ切りされている。つまり、螺着部130の内周面134には、雌ねじ132が形成されている。
【0017】
開閉部40は、奥行き方向D3で板状部24と2つの保持壁32、34との間に位置し、左右方向D2で複数のビス35と複数のビス36との間に位置している。つまり、開閉部40の奥行き方向D3の移動は、板状部24と2つの保持壁32、34によって規制される。開閉部40の左右方向D2の移動は、複数のビス35と複数のビス36によって規制される。開閉部40は、給水管200の軸線方向から見たときに、上下方向D1で板状部24の下端部付近で、図1に示すように開口22を閉塞する。開閉部40は、前述のように左右方向D2及び奥行き方向D3の各々で移動範囲を規制されつつ、板状部24の下端部付近と上端部付近との間で上下方向D1にスライド移動可能である。
【0018】
開閉部40は、板状に形成され、給水管200の軸線方向から見たときに矩形状に形成されている。開閉部40の左右方向D2の大きさは、開口22の左右方向D2の大きさよりも大きく、左右方向D2のビス35、36の間隔よりも小さい。開閉部40の上下方向D1の大きさは、開閉部40の左右方向D2の大きさと略同じである。
【0019】
スピンドル60は、上下方向D1に延びる棒状部材である。スピンドル60は、開閉部40の左右方向D2及び奥行き方向D3の各々の中央部かつ開閉部40の上方に位置し、開閉部40に対して上下方向D1に隣り合っている。スピンドル60の上端部及び上端部と下端部60Bとの間の中間部の周面64は、ねじ切りされている。スピンドル60の中間部の周面64には、雄ねじ62が形成されている。スピンドル60の雄ねじ62は、螺着部130の雌ねじ130に螺合可能である。スピンドル60が軸線回りに所定の方向で回転すると、螺着部130に対してスピンドル60が上側(第1方向)に移動する。スピンドル60が軸線回りに所定の方向とは逆方向で回転すると、螺着部130に対してスピンドル60が下側(第1方向)に移動する。つまり、スピンドル60は、上下方向D1に延びる軸線回りに回転可能であり、かつ上下方向D1に進退可能である。
【0020】
スピンドル60において、上下方向D1に沿う長さ方向の両端部のうち、開閉部40に隣り合う下端部(端部)60Bの周面64には、連係凹部70が形成されている。連係凹部70は、周面64からスピンドル60の径方向の中心に向かって凹むように形成され、周面64の全周にわたって形成されている。連係凹部70の径方向の深さは、例えばスピンドル60の半径の50%以上70%以下である。連係凹部70の径方向の深さが前述の範囲内であることで、次に説明する連係部86が連係凹部70に挿入された状態で開閉部40とスピンドル60とが良好に連係し、かつスピンドル60の下端部60Bの強度が保持される。すなわち、連係凹部70の径方向の深さがスピンドル60の半径の50%を下回るとスピンドル60の下端部60Bの強度が弱くなり、70%を超えると連係部86との連結代が少なくなり、結合機構80がスピンドル60から外れやすくなる。
【0021】
結合機構80は、開閉部40とスピンドル60とを結合する。図3から図5の各々に示すように、結合機構80は、連結部82A、82Bと、接続部84と、連係部86と、を備える。連結部82A、82Bは、左右方向D2の両側に設けられた2つの板状の部分であり、開閉部40の上端面40aに複数のビス42で連結されている。上端面40aは、開閉部40のうち上下方向D1でスピンドル60に隣り合う端面の一例である。接続部84は、倒立U字状に形成されている。接続部84の左右方向D2の両端部は、連結部82A、82Bに連結されている。接続部84は、連結部82Aにおける左右方向D2の連結部82B側の端部と連結部82Bにおける左右方向D2の連結部82A側の端部との各々から、互いに左右方向D2で近づきつつ、上方に立ち上がった後、互いに結合するように形成されている。接続部84の立ち上がりの高さは、スピンドル60において下端と連係凹部70の上下方向D1の中央(すなわち、連係凹部70の底部)との上下方向D1の距離と略等しい。
【0022】
接続部84の左右方向D2の中央部には、孔90が形成されている。孔90は、接続部84の奥行き方向D3で開口22から離れている(図1及び図2を参照)端面84cに開口している。上下方向D1から見て、孔90はU字状に形成されている。孔90の左右方向D2の大きさは、スピンドル60の左右方向D2の最大直径よりも小さく、下端部60Bにおけるスピンドル60の左右方向D2の最小直径(すなわち、連係凹部70の直径)よりも大きい。図4に示すように、連係凹部70が形成されたスピンドル60の下端部60Bが孔90に挿入された状態で、スピンドル60の軸線方向から見たとき、接続部84において連係凹部70と互いに重なる部分が連係部86である。連係部86は、連係凹部70に嵌まることで、スピンドル60の軸線回りの回転を阻害せず、かつスピンドル60の上下方向D1の進退に開閉部40を追従させ、開閉部40とスピンドル60とを密接に係り合わせる。つまり、結合機構80は、連結部82A、82Bと、連係部86と、を備えることで、スピンドル60を開閉部40に対して、相対的に回転自在にし、かつ上下方向D1に連係させる。なお、前述のように孔90は奥行き方向D3の一端で開放されているが、開閉部40の奥行き方向D3での移動は、板状部24と2つの保持壁32、34によって規制されているので、連係部86が連係凹部70から外れず、開閉部40とスピンドル60との連係状態が保持される。
【0023】
図1及び図2に示すように、螺着部130には上側から挿通部140が隣り合っている。挿通部140は、螺着部130との間に支持板112及び後述する筐体150の底壁153を挟み込んでいる。挿通部140の径方向の中心部には、上下方向D1に延びる貫通孔141が形成されている。挿通部140の貫通孔141と、螺着部130の貫通孔131とは、互いに同軸である。貫通孔141からは、スピンドル60の上端部が上方に突出している。
【0024】
軸体110は、スピンドル60と同軸になる配置でスピンドル60と連結されている。
軸体110は、上下方向D1に延びている。連結部材105は、スピンドル60の上端部と軸体110の下端部とを上下方向D1で連結している。スピンドル60と軸体110とは、互いに同軸である。連結部材105は、スピンドル60及び軸体110の軸線方向から見て直方状に形成されている。軸体110は、スピンドル60に上下方向D1で互いに隣り合い、自身の軸線回りの回転に伴って連結部材105を介してスピンドル60を軸線回りに回転させることができる。言い換えると、連結部材105の下端部とスピンドル60の上端部は、相対的な回転が規制されている。かつ、連結部材105の上端部と軸体110の下端部との相対的な回転も規制されている。なお、回転の規制を実現する機構は、特に限定されない。例えば、四角柱状の部材が、四角筒状の部材内に嵌合されることにより実現される等してもよい。なお、連結部材105は、スピンドル60によって下方から支持されている。言い換えると、連結部材105は、スピンドル60、螺着部130を介して支持板112に支持されている。すなわち、連結部材105は、軸体110が挿通部140より下方に落下するのを防止するためのストッパとしても機能している。
【0025】
支持部111の支持板112の上面には、補強板144を挟んで筐体150が設けられている。筐体150の内部の構成部品をわかりやすく説明するために、図1では、扉152を開けた状態の筐体150及び筐体150の内部が示され、扉152は省略されている。軸体110の上端部には、支持台160が設けられている。すなわち、軸体110は、支持台160から下方に延びている。支持台160の上面には、モータ120が設けられている。
【0026】
モータ120は、軸体110を軸線回りに回転させる。モータ120は、左右方向D2において軸体110と互いに同軸になる位置、かつ奥行き方向D3で軸体110とは互いに異なる位置に設けられている。支持台160は、例えば内部にギアボックスを含んでおり、モータ120からの出力を、軸体110に伝達し、軸体110を軸線回りに回転させるために設けられている。モータ120が作動することで、軸体110が軸線回りに回転し、軸体110の回転に伴ってスピンドル60が軸線回りに回転する。スピンドル60の軸線回りの回転に伴って、スピンドル60が上下方向D1で移動するので、それに伴い開閉部40が上下方向D1に移動する。なお、支持台160には、スピンドル60の軸線を中心としてスピンドル60の所定の回転方向と逆方向の回転力が加わるが、その回転力を抑制する方法は特に限定されない。例えば、不図示の支持棒を支持台160の横に沿わせてスピンドル60から加わる回転力を抑制してもよい。
【0027】
筐体150の内部には、例えば制御ボックス180が設けられている。制御ボックス180は、不図示のモータ移動導線に干渉しない位置に半固定され、不図示の電線等によってモータ120と電気的に接続されている。制御ボックス180からの出力信号によって、モータ120の回転開始のタイミング、モータ120の回転停止のタイミング、モータ120の回転速度等が自動的に制御される。すなわち、制御ボックス180からの出力信号によって、開閉部40の上下方向D1の移動のタイミングや移動速度が自動的に制御される。制御ボックス180には、例えば前述のようにモータ120の自動的な制御を行うためのプログラムや自動開閉装置100の位置をGPS機能等によって測位可能とするための信号発信機構、タイマー等が内蔵されている。
【0028】
以上説明した本実施形態の昇降機構10は、上述の本体部20と、開閉部40と、スピンドル60と、結合機構80と、を備える。昇降機構10では、例えばスピンドル60が本体部20に螺着されている。また、スピンドル60が軸線回りに回転すると、本体部20に対してスピンドル60が上下方向D1に進退する。結合機構80は、スピンドル60を開閉部40に対して、相対的に回転自在に、かつ上下方向D1に連係された状態で結合する。そのため、スピンドル60の回転及び上下方向D1の移動が阻害されない。スピンドル60の上下方向D1への移動に連動して開閉部40も上下方向D1へ移動するように、結合機構80がスピンドル60と開閉部40とを結合している。よって、スピンドル60の移動に伴って開閉部40が移動し、開口22が開放される。その後、スピンドル60を軸線回りに逆回転させることで、スピンドル60及び開閉部40が上下方向D1の反対側に向けて移動すると、開放されていた開口22が開閉部40によって再び閉塞される。
このような昇降機構10によれば、スピンドル60の開閉部40とは反対側の上端部に軸体110が連結され、モータ120により軸体110が軸線回りに自動的に回転しても、スピンドル60は本体部20に対して上下方向D1に進退し、開閉部40がスピンドル60の移動に伴って円滑に上下方向D1に進退する。また、昇降機構10によれば、スピンドル60の下端部60Bを除く略全長が本体部20に螺着可能であり、開閉部40の可動範囲になり得る。したがって、昇降機構10を自動開閉装置100に適用することで、装置全体の大型化を抑えつつ開閉部40を自動的かつ円滑に上下方向D1に沿って移動させることができる。
【0029】
また、本実施形態の昇降機構10では、スピンドル60の下端部60Bの周面64には、連係凹部70が形成されている。結合機構80は、開閉部40の上端面40aに連結可能な連結部82A、82Bと、連係凹部70に連係可能な連係部86と、を備える。そのため、結合機構80は、連結部82A、82Bによって開閉部40と連結し、連係部86によってスピンドル60と連係する。本実施形態の昇降機構10によれば、結合機構80で開閉部40をスピンドル60に連係させ、スピンドル60の軸線回りの回転を阻害せず、かつスピンドル60の上下方向D1の進退に開閉部40を追従させることができる。また、スピンドル60の軸線方向から見てU字状の孔90が形成された結合機構80は、施工もしやすく、スピンドル60に対して容易に嵌め外しできる。連結部82A、82Bは複数のビス42によって開閉部40に着脱可能であり、連係部86をスピンドル60の径方向に移動させるだけで連係部86と連係凹部70との連係及び連係解除は容易である。
そのため、開閉部40とスピンドル60との連結及び連係とそれらの解除等、及び結合機構80のメンテナンス等を容易に行うことができる。
【0030】
また、本実施形態の自動開閉装置100は、上述の昇降機構10と、スピンドル60と同軸に連結された軸体110と、軸体110を軸線回りに回転させるモータ120と、スピンドルと前記軸体とを連結する連結部材105と、を備える。自動開閉装置100は、昇降機構10を備えるので、モータ120により軸体110が軸線回りに自動的に回転すると、スピンドル60は自身の軸線回りの回転を阻害されることなく本体部20に対して上下方向D1に進退し、開閉部40がスピンドル60の移動に連係して円滑に上下方向D1に進退する。本実施形態の自動開閉装置100では、スピンドル60の下端部60Bを除く略全長が本体部20に螺着可能であり、開閉部40の可動範囲になり得る。したがって、スピンドル60の上端部に軸体110及びモータ120が設けられても装置全体の大型化を抑えつつ、開閉部40を自動的かつ円滑に上下方向D1に沿って移動させることができる。その結果、給水管200における給水を自動的かつ円滑に開始又は停止し、圃場等の水路に自動開閉装置100を設置するスペースを抑えて圃場の有効面積を確保できる。また、モータ120及び軸体110がスピンドル60の移動に伴って上下方向D1に移動することを考慮し、モータ120及び軸体110の小型化を図ることができる。
【0031】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。本発明は、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、変更可能である。
【0032】
例えば、上述の実施形態では、開閉部40は、不図示の地面に対して略直交する上下方向D1に移動する。しかしながら、開閉部40が移動する第1方向は、上下方向D1に限定されず、例えば地面に対して略水平な左右方向D2であってもよく、給水管200の軸線方向から見て軸線を中心とする任意の径方向が含まれる。但し、メンテナンスのしやすさ及び装置全体の小型化の観点では、筐体150が地上に配置されている方が良いため、開閉部40が移動する第1方向は給水管200の軸線方向から見て軸線を中心に軸線より地面側に向かう径方向であることが好ましい。開閉部40が移動する第1方向が上下方向D1から変更される場合は、上下方向D1に対して変更後の第1方向がなす角度に合わせて上述の実施形態の左右方向D2を回転させればよい。
【0033】
また、給水管200は、必須の部材ではない。例えば、給水管200を設置せず、水の流動方向において開閉部40が設けられている位置に対して給水元からそのまま水田に給水してもよく、水田からそのまま排水路等に排水してもよい。給水管200の断面形状は、円形に限定されず、長方形や逆三角形でもよい。
【0034】
また、昇降機構10は、開閉部40とは別部材である結合機構80を必ず備えていなくてもよく、開閉部40の上端部に孔90及び連係部86が形成されていてもよい。昇降機構10が結合機構80を備える場合でも、結合機構80の形状は上述の実施形態で説明した形状に限定されない。例えば、図6に示すように、結合機構80は、左右方向D2でスピンドル60を挟むように配置可能な2つの連結部82A、82Bで構成されてもよい。
2つの部材91、92は、連結部82A、82Bと、連結部82A、82Bの各々の左右方向D2でスピンドル60と隣り合う端部から上方に立ち上がり、スピンドル60と向き合う対向部88A、88Bと、を備えてもよい。対向部88A、88Bの各々において左右方向D2で連結部82A、82Bの各々とは反対側の端部には、連係凹部70の形状に合わせて形成された孔94A、94Bの各々が設けられている。連係部86A、86Bは、孔94A、94Bの周壁をなす部分である。連係部86A、86Bは、連係凹部70が形成されたスピンドル60の下端部60Bを孔94A、94Bに挿入しつつ左右方向D2で対向部88A、88Bによって挟まれた状態で、スピンドル60の軸線方向から見たとき、対向部88A、88Bにおいて連係凹部70と互いに重なる部分である。
【0035】
本発明に係る昇降機構の結合機構は、スピンドル60の軸線回りの回転を阻害せず、スピンドル60を回転自在にし、第1方向に移動可能とする構造を有していればよい。例えば、結合機構は、ベアリングを備えた軸受けで構成されてもよく、連係凹部70に圧入可能な球体を備えて構成されてもよい。
【0036】
また、モータ120は、軸体110を介してスピンドル60を軸線回りに回転させることができれば、筐体150の内部に固定されていてもよい。すなわち、モータ120の上下方向D1の位置は、固定されていてもよい。但し、この場合には、スピンドル60の上下方向D1の移動を吸収する機構を付設する。上述の実施形態で説明したようにモータ120が軸体110及びスピンドル60と連動して上下方向D1に移動する場合、モータ120及び支持台160に接続され、モータ120及び支持台160の昇降を補助する補助機構等が筐体150に設けられてもよい。
【0037】
本体部20や開閉部40は前記実施形態に示した形態に限られない。例えば、本体部20や開閉部40として、図7から図15に示す変形例に係る自動開閉装置100Aが備える構成を採用することも可能である。
【0038】
図7および図8に示すように、この自動開閉装置100Aでは、本体部20が、開口22、板状部24および保持部26に加え、スペーサ44を更に備えている。スペーサ44は、本体部20と開閉部40との奥行き方向D3の距離を調整する。スペーサ44は、板状部24から奥行き方向D3に突出している。スペーサ44は、板状部24と開閉部40との間に配置されている。
スペーサ44は、左右方向D2よりも上下方向D1に長い。スペーサ44の奥行き方向D3の大きさ(厚さ)は、板状部24や開閉部40の奥行き方向D3の大きさ(厚さ)よりも小さい。なお各スペーサ44の厚さは、下端44aを除いて上下方向D1の全長にわたってほぼ同等である。各スペーサ44の下端44aの厚さは、下方に向かうに従って薄くなっている。各スペーサ44の下端44aは、テーパー形状をなしている。
スペーサ44は、上下方向D1に間隔をあけて2つ1組として設けられている。スペーサ44の上下方向D1の間隔は、開閉部40の上下方向D1の大きさよりも小さい。2つ1組のスペーサ44は、左右方向D2に間隔をあけて2組、設けられている。2組のスペーサ44は、開口22を左右方向D2に挟む。各組のスペーサ44のうち、下側に位置するスペーサ44についての上下方向D1の位置は、開口22の上下方向D1の位置と同等である。
【0039】
図7に示すように、本体部20の保持部26では、保持壁部27、28が、板状部24のうちの下方に限定して設けられている。各保持壁部27、28の上下方向D1の位置は、開口22の上下方向D1の位置と同等である。なお、保持壁部27,28(保持壁32,34)と板状部24との間隔を保持するためのスペーサ(側壁31,33)を設けても良い。
【0040】
図7および図9に示すように、保持部26は、保持壁部27、28に加えて、押さえ部材46を更に備えている。押さえ部材46は、保持壁部27、28の上下方向D1の端部同士を左右方向D2に繋ぐ。押さえ部材46は、上下方向D1に間隔をあけて2つ設けられている。
各押さえ部材46は、左右方向D2から見た側面視において、L字状をなす。各押さえ部材46は、いわゆるL字アングルである。各押さえ部材46は、保持壁部27、28上に位置する第1面50と、第1面50の上端から奥行き方向D3に延びる第2面52と、を備えている。第2面52は、第1面50から、本体部20に対して離れる側に延びる。
第1面50と第2面52とを接続する角部は、R形状(曲面)をなす。
【0041】
図7図9および図10に示すように、開閉部40には、パッキン54と、凹部56と、突起58と、が更に設けられている。
図10に示すように、パッキン54は、開閉部40の奥行き方向D3を向く2つの面のうち、本体部20側を向く裏面に設けられている。パッキン54は、内径が開口22よりも大きい環状に形成されている。パッキン54は、例えばゴムなどの弾性体である。パッキン54は、本体部20(板状部24)との間で弾性的に圧縮変形し、板状部24と開閉部40との間の止水性を確保する(図15参照)。開閉部40が開口22を閉塞する位置(以下、閉位置という)に配置されているとき、パッキン54は開口22を、開口22の径方向の外側から覆う。このとき、パッキン54は、開口22からの水が、板状部24と開閉部40との間を通して漏出することを規制する。
【0042】
図10に示すように、凹部56は、開閉部40の裏面に設けられている。凹部56は、裏面における左右方向D2の両端部に配置されている。凹部56は、パッキン54を左右方向D2に挟んで2つ配置されている。凹部56は、いわゆる縦溝であり、左右方向D2よりも上下方向D1に大きい。凹部56の上下方向D1の大きさは、スペーサ44の上下方向D1の大きさよりも大きい。凹部56の左右方向D2の大きさは、スペーサ44の左右方向D2の大きさよりも大きい。
凹部56は、開閉部40における上下方向D1の端面には開口していない。言い換えると、凹部56の上端は、開閉部40の上面から離れていて、凹部56の上端と開閉部40の上面との間には、凸部57が形成されている。また、凹部56の下端は、開閉部40の下面からも離れていて、凹部56の下端と開閉部40の下面との間にも、凸部57が形成されている。
なお図示の例では、凹部56は、開閉部40における左右方向D2の側面に開口している。さらに凹部56の上下両端56aは、凹部56の上下方向D1の中央よりも左右方向D2に大きい。すなわち、凹部56の上下両端56aは、凹部56の上下方向D1の中央よりも左右方向D2の内側に張り出している。このような張り出し形状は、例えば、開閉部40の裏面に凹部56を、切削工具を用いて切削加工する場合において、凹部56の上下両端56aで切削工具を左右方向D2の内側に入り込ませることで発生する。なお、上下両端56aは必ずしも設けなくてもよい。
【0043】
図7および図9に示すように、突起58は、開閉部40の奥行き方向D3を向く2つの面のうち、本体部20の反対側を向く表面に設けられている。突起58は、左右方向D2に間をあけて2つ1組として設けられている。2つ1組の突起58は、上下方向D1に間隔をあけて2組、設けられている。2組の突起58の上下方向D1の間隔は、押さえ部材46の上下方向D1の間隔と同等である。なお図示の例では、各突起58が、ボルトの頭部によって形成されているが、突起58の構成はこれに限られない。
【0044】
次に、本変形例に係る自動開閉装置100Aにおいて、開閉部40を移動させる過程を説明する。
【0045】
図11および図12に示すように、開閉部40が開口22を閉じていないとき、すなわち、開閉部40が開口22に対して上方に位置するときには、開閉部40の裏面の凸部57が、スペーサ44と接触している。具体的には、上下方向D1に2つある凸部57のうち、上側の凸部57が、上側のスペーサ44に接触し、下側の凸部57が、下側のスペーサ44に接触している。このとき、開閉部40の裏面のパッキン54は、板状部24と接触しておらず、板状部24に対して浮いている状態となる。そのため、開閉部40の裏面がスペーサ44の表面を上下方向D1に摺動することで、開閉部40が滑らかに上下方向D1に移動する。
【0046】
図13から図15に示すように、開閉部40が閉位置まで移動すると、開閉部40の裏面において、凸部57の位置がスペーサ44に対して上下方向D1に完全にずらされることで、スペーサ44が凹部56に入り込む。
また、押さえ部材46によって突起58が奥行き方向D3に押さえられる。このとき、2組の突起58のうち、上側の1組の突起58は、上側の押さえ部材46によって押さえられ、下側の1組の突起58は、下側の押さえ部材46によって押さえられる。このように突起58が押さえられると、開閉部40そのものが本体部20(板状部24)に接近する。すると図15に示すように、板状部24に対して浮いていたパッキン54が板状部24に密着させられ、パッキン54が圧縮変形する。これにより、開口22からの水の漏出が規制される。
【0047】
なお、突起58が押さえ部材46によって押さえられるときには、まず、押さえ部材46のうち、R形状をなす角部に突起58が当たる。そのため、開閉部40の移動が阻害されることなく、円滑な移動が実現される。
また、閉位置の開閉部40が上昇する場合には、開閉部40の裏面において、凹部56内に配置されていたスペーサ44に対して、凸部57が乗り上げる。このとき、スペーサ44の下端44aがテーパー形状をなしていることで、凸部57がスペーサ44に円滑に乗り上げることができる。
【0048】
このような本変形例に係る自動開閉装置100Aによれば、開閉部40によって開口22を閉じているときにおける止水性をパッキン54により確保することができる。さらに、開閉部40の円滑な移動を、凸部57、凹部56およびスペーサ44によって実現することができる。しかも、押さえ部材46および突起58によって、パッキン54と板状部24との密着性を高めることができる。
【符号の説明】
【0049】
10 昇降機構
22 開口
20 本体部
40 開閉部
60 スピンドル
60B 下端部(端部)
64 周面
70 連係凹部
80 結合機構
82A、82B 連結部
86、86A、86B 連係部
105 連結部材
110 軸体
120 モータ
D1 上下方向(第1方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15