(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061925
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】水平調節装置および薬剤監査装置
(51)【国際特許分類】
G01G 23/00 20060101AFI20240430BHJP
A61J 3/00 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
G01G23/00 D
G01G23/00 C
A61J3/00 310K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169556
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】592007601
【氏名又は名称】株式会社コンテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高平 賢治
(72)【発明者】
【氏名】垣谷 輝男
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047KK31
(57)【要約】
【課題】重量計の水平調節作業において、作業者が重量計を直接視認する必要なく水平調節作業を行うことができる水平調節装置を提供する。
【解決手段】重量を計量される被計量物9を載せる計量面101を有し、計量面101に載せられた被計量物9の重量を計測する重量計10がある。水平調節装置100は、計量面101の水平方向HDに対する傾きを調節するアジャスタ2を備える。水平調節装置100は、検出器31と、案内機32とをさらに備える。検出器31は、計量面101の水平方向HDに対する傾きを検出可能である。案内機32は、検出器31の検出した計量面101の水平方向HDに対する傾きが、被計測物9の重量を被計測物9に適した計量可能範囲MR内にない場合に、計測面101の水平方向HDに対する傾きが計量可能範囲MR内に入るようなアジャスタ2の調節量を案内する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量を計量される被計量物を載せる計量面を有し、前記計量面に載せられた前記被計量物の重量を計量する重量計において、前記計量面の水平方向に対する傾きを調節可能なアジャスタを備える水平調節装置であって、
前記計量面の水平方向に対する傾きを検出可能な検出器と、
前記検出器の検出した前記計量面の水平方向に対する傾きが、前記被計量物の重量を前記被計量物に適した計量精度で計量できる計量可能範囲外にある場合に、前記計量面の水平方向に対する傾きが前記計量可能範囲内に入るような前記アジャスタの調節量を案内する案内機と
を備えることを特徴とする水平調節装置。
【請求項2】
前記案内機は、
前記検出器の検出した前記計量面の水平方向に対する傾きが、前記計量可能範囲外にある場合に、前記アジャスタの調節が必要である旨を案内することを特徴とする請求項1に記載の水平調節装置。
【請求項3】
前記被計量物の重量を前記重量計で計量している状態にあるか否を判定する判定部をさらに備え、
前記案内機は、前記判定部が、前記被計量物の重量を前記重量計で計量している状態にあると判定し、かつ、前記検出器の検出した前記計量面の水平方向に対する傾きが、前記計量可能範囲外にある場合に、前記アジャスタの調節が必要である旨を案内することを特徴とする請求項2に記載の水平調節装置。
【請求項4】
前記計量面と一定の角度をなし、前記検出器を取り付け可能な取付面をさらに備え、
前記検出器は、
前記取付面の水平方向に対する傾きを計測可能なセンサと、
前記センサの計測結果、および、前記計量面の水平方向に対する傾きが前記計量可能範囲内にある場合における前記取付面の前記計量面に対する傾きの差分を演算して、前記差分を前記計量面の水平方向に対する傾きとする演算部と
を有することを特徴とする請求項1に記載の水平調節装置。
【請求項5】
前記重量計を収容可能な筐体をさらに備え、
前記取付面は、前記筐体の外側に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の水平調節装置。
【請求項6】
前記案内機は、前記アジャスタが複数ある場合に、調節されるべきアジャスタとして少なくとも2つ以上の候補を挙げて、前記候補のそれぞれについてアジャスタの調節量を案内することを特徴とする請求項1に記載の水平調節装置。
【請求項7】
前記案内機は、前記アジャスタの調節量を表示する画面、または、前記アジャスタの調節量を音で通知するスピーカの少なくとも1つを有することを特徴とする請求項1に記載の水平調節装置。
【請求項8】
前記検出器と、前記案内機とを有する情報処理端末を備えることを特徴とする請求項1に記載の水平調節装置。
【請求項9】
提供される薬剤が適切な薬剤であるか否かを前記提供される薬剤の重量に基づいて識別するとともに、前記提供される薬剤を記録することで、前記適切な薬剤が提供されているか否かの監査を補助する薬剤監査装置であって、
前記請求項1から請求項8の何れか一項に記載の水平調節装置を備えることを特徴とする薬剤監査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を取り扱う施設等において提供される薬剤の重量を計量する重量計の水平調節作業を行うための水平調節装置、および、前記水平調節装置を備える薬剤監査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薬局などの薬剤を取り扱う施設では、医師の作成した処方箋に基づいた薬剤が患者に提供される。処方箋に基づかない不適切な薬剤が患者に提供されると様々な問題が生じるため、薬剤を提供する薬剤師(作業者)は、処方箋に基づいた適切な薬剤が提供されているか否かを適宜監査している。近年では、作業者の薬剤提供作業の負担を軽減する目的で、作業者の行う監査業務を補助する薬剤監査装置を導入する施設が増えている。このような薬剤監査装置は、患者に提供される薬剤が適切な薬剤であるか否かを識別するとともに、患者に提供される薬剤を記録することによって、作業者の行う監査業務を補助している。
【0003】
特許文献1の薬剤監査装置は、薬剤監査装置の一例であり、作業者の準備した薬剤の重量を計量するための計量器(秤)を備えている。特許文献1の薬剤監査装置では、計量器で計量された薬剤の重量に基づいて、作業者の準備した薬剤が適量であるか否かを確認している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、重量計、例えば特許文献1の薬剤監査装置で使用されているような秤は、周囲環境からの外乱、具体例としてはその周囲に吹く風の影響で、薬剤の重量を計量するのに適した計量精度で薬剤の重量を計量できない場合がある。周囲の風の影響を軽減するために重量計の周囲に風除けを設けると、風除けが邪魔をして、作業者が重量計を直接視認できなくなる。このため、作業者は、重量計の水準器を目視しながらの重量計の水平調節作業ができなくなる。結果として、作業者は、水準器の目視確認と、重量計の水平調節作業とを交互に行わなければならなくなり、重量計の水平調節作業の難易度を高くしているという問題がある。また、重量計の水平調節作業は、例えば、重量計に付属している水準器を使って行うが、作業者によっては、水準器の表示に対してどのように水平調節作業を実施すればよいか、分からないこともある。
【0006】
そこで本発明は、重量計の水平調節作業において、作業者が重量計を直接視認する必要なく水平調節作業を行うことができる水平調節装置および薬剤監査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る実施形態の一例としての水平調節装置は、重量を計量される被計量物を載せる計量面を有し、前記計量面に載せられた前記被計量物の重量を計量する重量計において、前記計量面の水平方向に対する傾きを調節可能なアジャスタを備える水平調節装置であって、前記計量面の水平方向に対する傾きを検出する検出器と、前記検出器の検出した前記計量面の水平方向に対する傾きが、前記被計量物の重量を被計量物に適した計量精度で計量できる計量可能範囲外にある場合に、前記計量面の水平方向に対する傾きが前記計量可能範囲内に入るような前記アジャスタの調節量を案内する案内機とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の水平調節装置によれば、案内機が計量面の水平方向に対する傾きが計量可能範囲内となるようなアジャスタの調節量を作業者に案内する。
【0009】
また好ましくは、本発明に係る水平調節装置において、前記案内機は、前記検出器の検出した前記計量面の水平方向に対する傾きが、前記計量可能範囲外にある場合に、前記アジャスタの調節が必要である旨を案内することを特徴とする。
【0010】
この場合において、作業者は、計量面の水平方向に対する傾きが計量可能範囲外あるか否かを把握することができる。
【0011】
また好ましくは、本発明に係る水平調節装置は、前記被計量物の重量を前記重量計で計量しているか状態にあるか否を判定する判定部をさらに備え、前記案内機は、前記判定部が、前記被計量物の重量を前記重量計で計量していると判定し、かつ、前記検出器の検出した前記計量面の水平方向に対する傾きが、前記計量可能範囲外にある場合に、前記アジャスタの調節が必要である旨を案内することを特徴とする。
【0012】
この場合において、作業者は、被計量物の重量を重量計で計量するときに、計量面の水平方向に対する傾きが計量可能範囲外あるか否かを把握することができる。
【0013】
また好ましくは、本発明に係る水平調節装置は、前記計量面と一定の角度をなし、前記検出器を取り付け可能な取付面をさらに備え、前記検出器は、前記取付面の水平方向に対する傾きを計測可能なセンサと、前記センサの計測結果、および、前記計量面の水平方向に対する傾きが前記計量可能範囲内にある場合における前記取付面の前記計量面に対する傾きの差分を演算して、前記差分を前記計量面の水平方向に対する傾きとする演算部とを有することを特徴とする。
【0014】
この場合において、計量面の水平方向に対する傾きが取付面の水平方向に対する傾きと異なっていても、検出器は、計量面の水平方向に対する傾きを検出することができる。
【0015】
また好ましくは、本発明に係る水平調節装置は、前記重量計を収容可能な筐体をさらに備え、前記取付面は、前記筐体の外側に設けられていることを特徴とする。
【0016】
この場合において、筐体が邪魔をして作業者が重量計を直接視認することが難しい場合でも、作業者は、筐体の外側に設けられた案内機の案内に従って、アジャスタを調節することで、計量面の水平調節作業を行うことができる。
【0017】
また好ましくは、本発明に係る水平調節装置において、前記案内機は、前記アジャスタが複数ある場合に、調節されるべきアジャスタとして少なくとも2つ以上の候補を挙げて、前記候補のそれぞれについてアジャスタの調節量を案内することを特徴とする。
【0018】
この場合において、案内機に調節を案内されたアジャスタの1つが限界まで調節がなされており、それ以上の調節ができない場合であっても、計量面の調節作業は、調節可能な別のアジャスタで行うことができる。
【0019】
また好ましくは、前記案内機は、前記アジャスタの調節量を表示する画面、または、前記アジャスタの調節量を音で通知するスピーカの少なくとも1つを有することを特徴とする。
【0020】
この場合において、作業者は、画面を目視、または、スピーカの音を聞くことで、計量面の水平調節作業の案内を把握することができる。
【0021】
また好ましくは、前記検出器と、前記案内機とを有する情報処理端末を備えることを特徴とする。
【0022】
この場合において、水平調節装置の構造が簡素になる。
【0023】
また、本発明に係る実施形態の別例としての薬剤監査装置は、提供される薬剤が適切な薬剤であるか否かを前記提供される薬剤の重量に基づいて識別するとともに、前記提供される薬剤を記録することで、前記適切な薬剤が提供されているか否かの監査を補助する薬剤監査装置であって、上述の水平調節装置を備えることを特徴とする。
【0024】
この場合において、薬剤監査装置の重量計の水平調節作業に必要な情報が、薬剤監査装置の作業者に案内される。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る水平調節装置および薬剤監査装置によれば、作業者は、計量面の水平方向に対する傾きが計量可能範囲内に入るようなアジャスタの調節量を案内機の案内によって把握できる。したがって、作業者は、重量計を直接視認する必要なく重量計の水平調節作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施形態に係る水平調節装置を示す立体図である。
【
図2】
図1に示す水平調節装置のA-A断面図である。
【
図3】情報処理端末の構成を模式的に示すブロック図である。
【
図4】実施形態に係る水平調節装置の断面図であり、計量面が計量可能範囲内にある場合における取付面の計量面に対する傾きを示す図である。
【
図5】実施形態に係る水平調節装置の断面図であり、重量計の計量面が計量可能範囲外にある状態を示す図である。
【
図6】
図5の場合における案内機を模式的に示すブロック図である。
【
図7】実施形態に係る水平調節装置の断面図であり、アジャスタによる調節が行われた後、重量計の計量面が計量可能範囲内に入った状態を示す図である。
【
図8】
図7の場合における案内機を模式的に示すブロック図である。
【
図9】実施形態に係る水平調節装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態に係る水平調節装置100について図面を参照して説明する。
【0028】
図1および
図2に示す水平調節装置100は、重量計10の水平調節作業を行うための装置である。
【0029】
水平調節装置100は、例えば、薬剤監査装置の一部として使用することができる。薬剤監査装置とは、患者などの薬剤の消費者に提供される薬剤が、処方箋に基づいた適切な薬剤であるか否かを識別するとともに、消費者に提供される薬剤を記録することによって、作業者の行う監査業務を補助する装置である。薬剤の識別において、薬剤監査装置は、薬剤の種類と量とを識別している。例えば、薬剤の種類については、薬剤監査装置は、
図1に示す薬剤91をカメラなど(図示せず)で撮影し、その撮影画像を分析することで、撮影画像に写った薬剤91の種類が処方箋に記載された種類の薬剤と一致するか否かを識別する。そして、薬剤の量については、撮影画像に写った薬剤91の重量に基づいて、処方箋に記載された量の薬剤が提供されているか否かを識別している。薬剤91の記録については、薬剤監査装置は、薬剤91の撮影画像を保存することで行っている。
【0030】
重量計10は、重量を計量される被計量物9を載せる計量面101を有し、計量面101に被計量物9を載せることで被計量物9の重量を計量することができる。
図1および
図2には、重量計10の一例として電気式の上皿天秤を示し、
図1には、被計量物9の一例として、薬剤91と、薬剤91を載せたトレー92を示している。
【0031】
計量面101を有する重量計10は、計量面101が水平方向HD(重力の方向である下方向LDに対して垂直な方向)に対して傾いていた場合、計量面101に載せた被計量物9の重量を実際よりも軽く計量してしまう。したがって、重量計10で被計量物9の重量を計量するとき、計量面101の水平方向HDに対する傾きは、
図2に示すように、被計量物9に適した計量精度で計量できる計量可能範囲MR内にあることが好ましい。計量可能範囲MRは、水平方向HDに沿った基準面(図示せず)を任意の点(図示せず)を基準に傾けて規定される範囲である。
【0032】
計量面101の水平方向HDに対する傾きが計量可能範囲MR外にあるとき、作業者は、被計量物9に適した計量精度で被計量物9の重量を計量するために、計量面101の水平方向HDに対する傾きを調節して、計量面101を計量可能範囲MR内に入れる。つまり、重量計10の水平調節作業とは、計量面101の水平方向HDに対する傾きを作業者が調節することによって、計量面101の水平方向HDに対する傾きを計量可能範囲MR内に入れる作業である。
【0033】
実施形態に係る水平調節装置100は、水平調節作業をするために必要な情報の案内を作業者に行う。よって、水平調節装置100によれば、作業者は重量計10を直接視認することなく、重量計10の水平調節作業に必要な情報を把握して、重量計10の水平調節作業を行うことができる。
【0034】
水平調節装置100の構造について、図面を参照して説明する。
【0035】
水平調節装置100は、
図1および
図2に示すように、設置面Gの上に設置されて使用される。設置面Gは、例えば、物を載せる台の上面や、施設の床面などである。水平調節装置100は、重量計10を収容可能な筐体1と、筐体1の外側(筐体1と「設置面G」との間)に少なくとも一部分が配置されるように設けられたアジャスタ2と、筐体1の外側に取り付けられた情報処理端末3とを備える。
【0036】
筐体1は、
図1に示すように、開閉自在の扉11を有する中空の箱である。箱の中空部分である筐体1の内部空間110は、被計量物9を載せた重量計10を収容可能な大きさである。筐体1には、内部空間110に通じる開口111が形成されている。扉11は、開口111を筐体1の外側から塞ぐことができ、扉11の開閉によって開口111が開放または閉鎖される。
【0037】
筐体1の下部には、
図2に示すように、筐体1の内部空間110と、筐体1の外部空間とを仕切る下壁12があり、筐体1の外側には、情報処理端末3を取り付け可能な取付面13がある。
【0038】
下壁12は、筐体1の外側に位置するとともに設置面Gと対向する下面121と、筐体1の内側に位置する底面122と、下壁12を下方向LDに貫通する貫通穴123とを有する。底面122には、重量計10が載せられる。
図1に示すように、被計量物9は、筐体1の扉11が開くことで開放される開口111を通じて、筐体1の内部空間110に収容された重量計10の計量面101に載せられる。貫通穴123は、底面122に載せられた重量計10の計量面101の中心CPを通る垂線CLから離れた位置に配置される。
図2に示す実施形態では、貫通穴123が、その一部が示されているように、底面122の四隅のそれぞれから下壁12を下方向LDに貫通するように設けられる。そして、底面122には、4つのナット124が、その一部が示されているように設けられている。それぞれのナット124は、それらのねじ穴が底面122の四隅に設けられた貫通穴123のそれぞれと連通するように、底面122に固定される。
【0039】
取付面13は、計量面101と一定の角度をなす面である。計量面101と、取付面13とのなす角度には0°も含まれる。言い換えると、取付面13は、計量面101と平行であってもよい。
図2および
図4に示す実施形態では、取付面13は、筐体1の外側上部の面130から突出する台座131に設けられる面である。なお、取付面13は、計量面101と一定の角度をなす面であれば、必ずしも筐体1の外側上部の面130から突出する台座131に設ける必要はなく、例えば、筐体1の側面132(
図1参照)や、筐体1以外の面(図示せず)に設けてもよい。
【0040】
アジャスタ2は、筐体1を支持する部材であり、筐体1の下面121から下方向LDに向かって、その一部分が突出する部材である。
図2に示すアジャスタ2は、ねじ部21を有し、そのねじ部21が筐体1の下壁12に設けられた貫通穴123通ってナット124のねじ穴にねじ込まれることで、筐体1に固定される。このようなアジャスタ2は、筐体1の外側から作業者が回転させることで、筐体1の下面121からの突出量が調節される。実施形態では、アジャスタ2が、その一部を図示しているように4本設けられ、各アジャスタ2は、筐体1に固定された4つのナット124のそれぞれにねじ込まれている。
【0041】
筐体1の外側に突出したアジャスタ2の下側の端部22は、設置面Gの上に設置される。前述のように4本のアジャスタ2は、それぞれ計量面101の中心CPを通る垂線CLから離れた位置に固定されたナット124にねじ込まれている。このため、作業者が筐体1の下面121からのアジャスタ2の突出量を調節すると、垂線CLから離れた位置での、設置面Gと下面121との間の距離が変化して、底面122の水平方向HDに対する傾きが調節される。水平方向HDに対する底面122の傾きが調節されることで、底面122に載せられている重量計10の計量面101の水平方向HDに対する傾きも調節される。
【0042】
なお、アジャスタ2は、そのねじ部21が、筐体1に固定されたナット124にねじ込まれる構造であると説明したが、計量面101の水平方向HDに対する傾きを筐体1の外側から調節できれば筐体1にどのように固定してもよい。例えば、アジャスタ2は、筐体1の下壁12に設けたねじ穴(図示せず)にねじ部21をねじ込むことで、筐体1に固定されてもよい。さらに、アジャスタ2は、必ずしもねじ部21を有する構造とする必要がない。例えば、アジャスタ2は、空気圧や油圧などを用いて伸長可能なシリンダ機構を有する構造体であってもよい。このような構造体は、筐体1と設置面Gとの間に設けられることで、筐体1の外側から筐体1の底面122の傾きを調節して、計量面101の水平方向HDに対する傾きを調節することができる。
【0043】
情報処理端末3は、
図2に示すように、筐体1の取付面13に取り付けられる。情報処理端末3は、
図3に示すように、計量面101の水平方向HDに対する傾き(
図2参照)を検出する検出器31と、検出器31の検出結果DRに基づいて、アジャスタ2(
図2参照)の調節量を作業者に案内する案内機32とを有する。情報処理端末3には、例えば、タブレット型の端末が含まれる。検出器31と、案内機32とが情報処理端末3に備えられるため、検出器31と、案内機32とを別個に筐体1に取り付ける必要がない。よって、水平調節装置100の構造が簡素になる利点がある。なお、検出器31および案内機32は、情報処理端末3という同一のハードウェアに実装されていると説明したが、検出器31は、案内機32と異なるハードウェアに実装されてもよい。
【0044】
また、好ましくは、
図4に示すように、情報処理端末3の取付面13への取り付けは着脱自在である。実施形態においては、説明のために、アジャスタ2が支持する筐体1を1つ示しているが、情報処理端末3の取付面13への取り付けが着脱自在であれば、1つの情報処理端末3を、複数の筐体1(図示せず)に取り付けて使用することができる利点がある。
【0045】
図3に示すように、検出器31は、取付面13の水平方向HDに対する傾き(
図2参照)を計測するセンサ311と、計量面101の水平方向HDに対する傾き(
図2参照)をセンサ311の計測結果SRから演算する演算部312とを有する。
【0046】
センサ311が計測する取付面13の水平方向HDに対する傾き(計測結果SR)には、取付面13の水平方向HDに対する傾きの大きさα1(
図2参照)と、取付面13の水平方向HDに対する取付面13の傾きの向きα2(
図2参照)とが含まれる。センサ311には、例えば、ジャイロセンサなどが含まれる。
【0047】
演算部312は、センサ311の計測結果SR、および、計量面101の水平方向HDに対する傾きが計量可能範囲MR内にある場合における取付面13の計量面101に対する傾き(
図4参照)の差分を演算する。
【0048】
図4に示すように、計量面101の水平方向HDに対する傾きが計量可能範囲MR内にある場合における取付面13の計量面101に対する傾きには、計量面101の水平方向HDに対する傾きの大きさθ1と、計量面101に対する傾きの向きθ2とが含まれる。取付面13の水平方向HDに対する傾きの大きさθ1および傾きの向きθ2は、例えば、理想的な条件で重量計10を底面122に載せたときの底面122と取付面13とのなす角度の想定値で規定される。この想定値には、例えば、筐体1の設計上の寸法を考慮した値が含まれる。その他、取付面13の計量面101に対する傾きの大きさθ1および傾きの向きθ2は、計量面101の水平方向HDに対する傾きが計量可能範囲MR内にある場合に実測して求めてもよい。
【0049】
演算部312が、センサ311の計測結果SR、および、計量面101の水平方向HDに対する傾きが計量可能範囲MR内にある場合における取付面13の計量面101に対する傾きの差分を演算することで、
図2に示すような、計量面101の水平方向HDに対する傾きの大きさγ1および計量面101の水平方向HDに対する傾きの向きγ2が導かれる。以降、演算部312が演算して導いた、計量面101の水平方向HDに対する傾きの大きさγ1および傾きの向きγ2を検出結果DRと称する。
【0050】
図3の案内機32は、検出結果DRに基づいて、作業者が水平調節作業を行うために必要な情報を導出する導出部321と、導出部321が導出した情報を作業者に案内するための画面322およびスピーカ323とを有する。
【0051】
導出部321は、作業者が水平調節作業を行うために必要な情報である水平調節作業用の情報GIとして、作業者が計量面101の水平方向HDに対する傾きを計量可能範囲MR内に入れるために調節されるべきアジャスタ2(
図2参照)の候補と、その候補としたアジャスタ2の調節量とを導出する。
【0052】
具体的に、水平調節作業用の情報GIは、以下のようにして導出される。まず、導出部321には、
図2に示すアジャスタ2のそれぞれについて、アジャスタ2の調節量と、計量面101の水平方向HDに対する傾きの変化との対応関係が予め記憶されている。導出部321に記憶されている、計量面101の水平方向HDに対する傾きの変化には、傾きの大きさγ1の変化量と、傾きの向きγ2の変化とが含まれる。そして、導出部321は、検出結果DRと、それぞれのアジャスタ2の調節による計量面101の傾きの変化とを比較して、作業者が計量面101の水平方向HDに対する傾きを計量可能範囲MR内に入れるために、調節されるべきアジャスタ2の候補と、そのアジャスタ2の調節量とを選択することによって水平調節作業用の情報GIを導出する。なお、導出部321による水平調節作業用の情報GIおよびその導出方法は、上記に限られるものではなく、水平調節作業用の情報GIは、作業者が水平調節作業を行うのに必要な情報であればどのような情報であってもよく、その情報の導出方法としてどのような方法を用いてもよい。
【0053】
なお、導出部321は、水平調節作業用の情報GI以外にも、警告情報CIを導出してもよい。導出部321は、検出結果DRが、計量面101の水平方向HDに対する傾きが計量可能範囲MR外にあるという結果であった場合に警告情報CIを導出する。警告情報CIは、アジャスタ2の調節が必要である旨を作業者に把握させる情報である。警告情報CIは、アジャスタ2の調節が必要である旨を作業者に把握させる情報であれば、どのような情報でもよい。例えば、警告情報CIは、計量面101の水平方向HDに対する傾きが、計量可能範囲MR外にある旨の情報であってもよい。
【0054】
画面322は、
図3に示すように、水平調節作業用の情報GIを、作業者が視覚的に認識できるように図柄や文字などの画像情報32Vで表示する。
図3に示す画面322の表示の一例では、簡略化した筐体1の平面視の図柄1Vと、筐体1の図柄1Vの中心に模式的な水準器15V(仮想上の水準器)とを示している。その筐体1の図柄1Vの四隅には、各アジャスタ2を模した円弧状の図柄A、B、C、Dがそれぞれ示されている。筐体1の図柄1Vの隣には、水平調節作業用の情報GIを文字で表示できるスペースが設けられている。なお、以降では、画面322に表示されているアジャスタの図柄A、B、C、Dと、筐体1の下面121から突出するアジャスタ2(
図2参照)とを対応付けるために、
図2に示す筐体1の下面121から突出するアジャスタ2をアジャスタ2A、2B、2C、2Dと称する場合がある。具体的には、
図3の画面322に表示されているアジャスタの図柄Aは、
図2のアジャスタ2Aに対応する。さらに、
図3のアジャスタの図柄Bは、
図2のアジャスタ2Bというように、
図3に示す残りの図柄C、Dにも、
図2には図示しないが、同様の対応関係がある。
【0055】
スピーカ323は、
図3に示すように、水平調節作業用の情報GIを、作業者が聴覚で認識できるように音32Sで発する。この結果、作業者は、アジャスタ2を視認しながら水平調節作業用の情報GIを把握できるので、画像情報32Vを視認せずに、アジャスタ2を視認しながら水平調節作業ができるという利点がある。
【0056】
案内機32には、画面322またはスピーカ323の少なくとも1つがあればよい。画面322またはスピーカ323の少なくとも1つが水平調節作業用の情報GIを作業者に伝達することで、作業者は、重量計10を直接視認する必要なく、重量計10の水平調節作業を行うことができる。さらに、従来の水準器を使用した重量計10の水平調節作業では、水準器の表示に基づいて、調節されるべきアジャスタ2と、そのアジャスタ2の調節量とを作業者が判断しなければならなかった。しかし、画面322またはスピーカ323が水平調節作業用の情報GIを案内するため、作業者は、調節されるべきアジャスタ2の候補と、そのアジャスタ2の調節量を判断する必要がない。結果、水平調節装置100によれば、重量計10の水平調節作業に習熟していない作業者でも容易に重量計10の水平調節作業をできる利点がある。
【0057】
なお、導出部321が警告情報CIを導出した場合、画面322は、水平調節作業用の情報GIを作業者に案内する場合と同様に、警告情報CIを画像情報(図示せず)として表示する。同様に、スピーカ323も、警告情報CIを音(図示せず)として発する。この結果、作業者は、計量面101の水平方向HDに対する傾きが計量可能範囲MR外にあるか否かを把握することができる。したがって、作業者が、計量面101の水平方向HDに対する傾きが計量可能範囲MR外の状態の重量計10で、被計量物9の重量を計量することを防止することができる。
【0058】
好ましくは、情報処理端末3は、
図3に示すように、被計量物9の重量を重量計10で計量している状態にあるか否かを判定する判定部33をさらに備える。被計量物9の重量を重量計10で計量している状態には、作業者が水平調節作業を行っている状態、および、重量計10の計量面101に被計量物9を載せた状態を含む。判定部33は、例えば、作業者が情報を入力することができる入力装置と、入力された情報を処理できる処理装置とを有する。このような判定部33の場合、作業者は、まず、被計量物9の重量を重量計10で計量しているか否かの情報を入力装置に入力する。そして、処理装置は、作業者に入力された情報に基づいて、被計量物9の重量を重量計10で計量しているか否かを判定する。
【0059】
なお、判定部33は、入力装置および処理装置を組み合わせた物に限らず、被計量物9の重量を重量計10で計量している状態にあるか否かを判定できればどのような物でもよい。例えば、判定部33は、計量面101を撮影できるカメラ(図示せず)と、カメラの撮影画像を分析する処理装置(図示せず)とを有する物でもよい。このような判定部33は、カメラの撮影画像に写った計量面101に被計量物9が載っているか否かを処理装置で画像分析して判定する。画像分析の結果、計量面101に被計量物9が載っていれば、処理装置は、被計量物9の重量を重量計10で計量している状態にあると判定する。一方で、画像分析の結果、計量面101に被計量物9が載っていなければ、処理装置は、被計量物9の重量を重量計10で計量している状態にないと判定する。
【0060】
さらに、カメラと、処理装置とを有する判定部33であれば、
図1に示す薬剤91およびトレー92の何れが計量面101に載っているかを判別できる。つまり、このような判定部33には、被計量物9を具体的に指定することができる利点がある。例えば、薬剤91を被計量物9として指定した場合、判定部33は、トレー92が計量面101に載っているか否かに関係なく、薬剤の重量を計量している状態にあるか否かを判定する。以降、判定部33が、被計量物9の重量を重量計10で計量しているか否かを判定した結果を判定結果PRと称する。
【0061】
好ましくは、案内機32の導出部321は、判定結果PRに基づいて、導出する情報を切り替える。したがって、導出部321は、判定結果PRに対応した状況に応じて、導出する情報を切り替えることができる。これにより、画面322またはスピーカ323は、判定結果PRに対応した状況に適した情報を作業者に案内する利点がある。具体的には、導出部321は、判定結果PRが、被計量物9の重量を重量計10で計量している状態にあるという結果であり、かつ、検出結果DRが、計量面101の水平方向HDに対する傾きが計量可能範囲MR外にあるという結果である場合、水平調節作業用の情報GIを導出するのではなく、警告情報CIを導出する。
【0062】
画面322は、水平調節作業用の情報GIを作業者に案内する場合と同様に、警告情報CIを画像情報(図示せず)として表示する。同様に、スピーカ323も、警告情報CIを音(図示せず)として発する。この結果、作業者は、被計量物9の重量を重量計10で計量するときに、計量面101の水平方向HDに対する傾きが計量可能範囲MR外にあるか否かを把握することができる。したがって、作業者が、計量面101の水平方向HDに対する傾きが計量可能範囲MR外の状態の重量計10で、被計量物9の重量を計量することを防止することができる。よって、水平調節装置100を薬剤監査装置(図示せず)の一部として使用すれば、薬剤監査装置が、薬剤の数量を誤って識別する誤動作することを防止することができる。
【0063】
薬剤監査装置の誤作動を防止することができる点について、具体的な例を一つ挙げて説明する。例えば、判定部33の具体例で説明したように、カメラと、処理装置とを有する判定部33を備える水平調節装置100が薬剤監査装置(図示せず)の一部とした場合、判定部33は、前述のように、薬剤91(
図1参照)が計量面101に載っているか否かを判定することができる。したがって、このような判定部33を有する水平調節装置100を備える薬剤監査装置では、計量面101に薬剤91が載ると、判定部33は、被計量物である薬剤91の重量を重量計10で計量できる状態にあると判定する。よって、薬剤91が計量面101に載ると、導出部321が警告情報CIを導出して、画面322またはスピーカ323の少なくとも一つが作業者に警告情報CIを案内する。一方で、計量面101に薬剤91が載っていないと、判定部33は、被計量物である薬剤91の重量を重量計10で計量できる状態にないと判定する。したがって、警告情報CIは、導出部321で導出されない。よって、警告情報CIは、作業者に案内されない。つまり、薬剤91を監査するために、薬剤監査装置の重量計10に薬剤91を載せた場合に、警告情報CIが作業者に案内される。この結果、薬剤91を監査する作業を作業者が行っていないときに、警告情報CIが作業者に案内されることを防止することができる。
【0064】
水平調節装置100の処理について、
図1、
図3、および
図5から
図9を参照して説明する。
【0065】
図5には、重量計10の計量面101の水平方向HDに対する傾きが計量可能範囲MR外にある場合を示している。
図9に示すように、水平調節装置100の処理を開始(START)すると、まずステップS1およびステップS6において、
図3に示す判定部33は、
図1に示す被計量物9の重量を重量計10で計量している状態にあるか否かを判定する。
【0066】
ステップS1では、被計量物9の重量を重量計10で計量している状態の一例である、作業者が水平調節作業を行っている状態にあるか否かを判定部33で判定している。作業者が水平調節作業を行っている状態にあるという判定結果PRであった場合(YESの場合)、処理は、ステップS2に進む。
【0067】
ステップS2おいて、
図3に示す検出器31のセンサ311は、
図5に示す、取付面13の水平方向HDに対する傾きの大きさα1および傾きの向きα2を計測する。
図3に示す演算部312は、センサ311の計測結果SRに基づいて、計量面101の水平方向HDに対する傾きの大きさγ1および傾きの向きγ2を演算して、検出結果DRとする。演算部312は、検出結果DRを案内機32の導出部321に出力する。
【0068】
検出結果DRが、計量面101の水平方向HDに対する傾きが計量可能範囲MR内にあるという結果の場合(NOの場合)、処理はステップS5に進む。後述するステップS5では、重量計10は、被計量物9に適した計量精度で被計量物9の重量を計量できる状態にある。一方で、検出結果DRが、計量面101の水平方向HDに対する傾きが計量可能範囲MR外にあるという結果の場合(YESの場合)、導出部321は、ステップS3で、水平調節作業用の情報GIを導出して作業者に案内する。
【0069】
ステップS3において、
図6に示す導出部321は、検出結果DRに基づいて、水平調節作業用の情報GIを導出する。好ましくは、複数のアジャスタ2(
図5参照)がある場合、導出部321は、調節されるべきアジャスタ2の候補を少なくとも2つ以上挙げて、その候補のそれぞれについてアジャスタ2の調節量を導出する。このようにすることで、導出部321の導出したアジャスタ2の候補の1つが調節不能な状態だったとしても、作業者は、候補として挙げられた他のアジャスタ2を調節することで、計量面101の水平方向HDに対する傾きを調節することができる。
【0070】
導出部321は、
図6に示すように、水平調節作業用の情報GIを画面322およびスピーカ323に出力する。画面322およびスピーカ323は、水平調節作業用の情報GIを作業者に案内する。
【0071】
具体的には、
図6に示す画面322には、調節されるべきアジャスタ2の候補が2つ示されている。
【0072】
画面322は、1つ目の候補として、「アジャスタA」と文字で表示することで、
図5に示すアジャスタ2Aが調節されるべき旨を案内している。画面322は、調節されるべきアジャスタ2を示すにあたっては、「アジャスタA」などの名称を文字で案内する他に、アジャスタ2Aの位置を作業者に案内してもよい。例えば、画面322は、「左奥のアジャスタ」という文字を表示してもよい(図示せず)し、調節されるべきアジャスタ2Aと対応する図柄Aを強調表示する(例えば赤く着色する)ことが行われてもよい。そして、
図5に示すアジャスタ2Aの調節量は、
図6の画面322に「時計回りに2回転分回転」と表示することで作業者に案内している。このように、水平調節作業用の情報GIが画面322に表示されることで、作業者は、どのアジャスタ2をどの程度調節する必要があるかを把握することができる。結果、作業者は、筐体1に収容された重量計10を直接視認する必要も、アジャスタ2の調節量を自ら判断する必要もなく、重量計10の計量面101の水平調節作業を行うことができる。
【0073】
画面322は、2つ目の候補として、「アジャスタB」という文字を表示することで、
図5に示すアジャスタ2Bが調節されるべき旨を案内している。このように、調節されるべきアジャスタ2の候補が2つ示されることで、例えば、アジャスタ2Aが限界まで伸び切っているなどして、調節範囲の限界に達していてアジャスタ2Aを時計回りに回転させることができない場合でも、作業者は、アジャスタ2Aの代わりにアジャスタ2Bを調節することで水平調節作業を行うことができる。
【0074】
また、画面322に表示された文字情報と同じ内容の音32Sがスピーカ323から発せられる。したがって、作業者は、アジャスタ2を視認しながら、計量面101を計量可能範囲MR内に入れるために、調節されるべきアジャスタ2の候補、および、その候補のアジャスタ2の調節量を把握することができる。結果、作業者は、調節されるべきアジャスタ2や、そのアジャスタ2の調節量を把握するために、筐体1の下方を視認する姿勢でのアジャスタ2の調節作業を一旦中断した後に、別の姿勢をとって、水平調節作業用の情報GIを確認しにいく必要がないという利点がある。
【0075】
画面322またはスピーカ323に案内された通りに作業者がアジャスタ2を調節していくことで、
図9に示すステップS4のように、画面322またはスピーカ323の案内する水平調節作業用の情報GIは、計量面101の水平方向HDに対する傾きに応じて更新されていく。そして、作業者によるアジャスタ2の調節の結果、
図7に示すように、計量面101の水平方向HDに対する傾きが計量可能範囲MR内に入ると、処理はステップS5に進む。
【0076】
ステップS5においては、例えば、
図8に示すように、重量計10による被計量物9の重量の計量が可能である旨が画面322またはスピーカ323によって案内される。画面322またはスピーカ323により、
図8に示す案内が行われた状態においては、重量計10は、被計量物9に適した計量精度で、計量面101に載せた被計量物9の重量を計量することができる。この状態においては、例えば、水平調節装置100が、薬剤監査装置の一部であれば、薬剤監査装置の重量計10は、
図1に示す薬剤91の数量を識別するのに適した計量精度で薬剤91の重量を計量することができる。結果、薬剤監査装置は、薬剤91の数量を誤ることなく識別することができる。水平調節装置100の処理は、ステップS5を最後として終了(END)する。
【0077】
ところで、
図9に示すステップS1において、作業者が水平調節作業を行っている状態にないとする判定結果PRであった場合(NOの場合)、処理は、ステップS6に進む。ステップS6では、被計量物9の重量を重量計10で計量している状態の一例である、重量計10の計量面101に被計量物9を載せた状態にあるか否かを判定部33で判定している。
【0078】
ステップS6において、重量計10の計量面101に被計量物9を載せた状態にないとする判定結果PRの場合(NOの場合)、処理はステップS1に戻る。一方で、重量計10の計量面101に被計量物9を載せた状態にあるとする判定結果PRの場合(YESの場合)、処理はステップS7に進む。
【0079】
ステップS7において、検出結果DRが、ステップS2と同様に、検出器31(
図3参照)から案内機32の導出部321に出力される。検出結果DRが、計量面101の水平方向HDに対する傾きが計量可能範囲MR内にあるという結果の場合(NOの場合)、導出部321は、警告情報CIを導出しない。そして、処理は、ステップS1に戻る。一方で、検出結果DRが、計量面101の水平方向HDに対する傾きが計量可能範囲MR外にあるという結果の場合(YESの場合)、導出部321は、警告情報CIを導出する。警告情報CIは、画面322およびスピーカ323に出力される。そして、処理は、ステップS8に進む。
【0080】
ステップS8において、画面322およびスピーカ323は、警告情報CIを作業者に案内する。そして、処理は、ステップS1に戻る。
【0081】
以上で説明したように、実施形態の水平調節装置100は、計量面101の水平方向HDに対する傾きが、計量可能範囲MR外にある場合に、水平調節作業用の情報GIまたは警告情報CIを作業者に案内する。したがって、作業者は、重量計10が、被計量物9の重量を計量するのに適した計量精度で計量できる状態にあるか否かを把握できるだけなく、被計量物9の重量を計量するのに適した計量精度で計量するために必要な水平調節作業を重量計10に対して行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、重量計の水平調節装置を提供するものであり、薬剤監査装置の他に、薬剤の重量に基づいて適量の薬剤が準備されたことを確認する薬剤識別装置においても利用可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 筐体
2 アジャスタ
3 情報処理端末
10 重量計
13 取付面
31 検出器
32 案内機
33 判定部
103 計量面
311 センサ
312 演算部
321 導出部
322 画面
323 スピーカ
HD 水平方向
LD 下方向
MR 計量可能範囲