(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061951
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】バタフライバルブ用積層部材及びそれを用いたバタフライバルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 1/42 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
F16K1/42 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169613
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000117102
【氏名又は名称】旭有機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078190
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 三千雄
(74)【代理人】
【識別番号】100115174
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 正博
(72)【発明者】
【氏名】小玉 卓也
【テーマコード(参考)】
3H052
【Fターム(参考)】
3H052AA02
3H052BA02
3H052CB18
(57)【要約】
【課題】比較的高温の液体が流通する搬送配管にて使用されるバタフライバルブの構成部品として、有利に採用されるバタフライバルブ用積層部材を提供すること。
【解決手段】パーフルオロカーボン系樹脂からなる第一の層と、ゴム材料からなる第二の層との二層から構成されてなるバタフライバルブ用積層部材において、第二の層を、下記式(1)より算出される重量減少率(%)が15.0%以上23.0%未満であるクロロプレンゴムにて構成する。
[重量減少率(%)]=[(B-C)/A]×100 ・・・(1)
但し、上記式(1)において、
Aは熱重量測定開始時の試料重量、
Bは熱重量測定開始から300℃到達時の試料重量、
Cは300℃到達時から10分間、300℃で試料を保持した後の試料重量、
である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーフルオロカーボン系樹脂からなる第一の層と、ゴム材料からなる第二の層との二層から構成されてなるバタフライバルブ用積層部材にして、
前記ゴム材料が、下記式(1)より算出される重量減少率(%)が15.0%以上23.0%未満のクロロプレンゴムであることを特徴とするバタフライバルブ用積層部材。
[重量減少率(%)]=[(B-C)/A]×100 ・・・(1)
但し、上記式(1)において、
Aは熱重量測定開始時の試料重量、
Bは熱重量測定開始から300℃到達時の試料重量、
Cは300℃到達時から10分間、300℃で試料を保持した後の試料重量、
である。
【請求項2】
請求項1に記載のバタフライバルブ用積層部材を、弁座として備えるバタフライバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バタフライバルブ用積層部材、及びそれを用いたバタフライバルブに係り、特に、比較的高温の液体が流通する搬送配管にて使用されるバタフライバルブにおいて、その構成部品として有利に採用される積層部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バタフライバルブは、配管上に付設され、配管内を流通する各種流体を制御するバルブの一種として、従来より広く用いられている。ここで、バタフライバルブは、一般に、バルブ本体に設けられた円管状の流体通路内に、ステム(弁棒)に一体的に設けられた円盤状のディスク(弁体)が回動可能に組み付けられ、かかるディスク(弁体)の回動により流体通路を開閉し、これによって通路内を流通する流体量を制御するように、構成されている。
【0003】
そのような構成に係るバタフライバルブについては、ステム(弁棒)の周囲から流体が漏れることを防止すべく、従来より様々な構成が提案されている。例えば、特許文献1(特開2005-133810号公報)においては、円管状の流体通路を備えた弁本体と、流体通路の内壁に固定された円管状のシートリングと、シートリングを貫通し流体通路の壁に固定された弁棒と、弁棒によって回動可能に支持された弁体とからなるバタフライ弁(バタフライバルブ)として、弁棒のうち弁体を回動させる働きをする駆動軸の周りに、所定の構造を有する軸受を付設し、軸受の小径がわの外周面を弁体との摺動面とし、突起をシートリングの外周面に当接し、フランジを弁本体に固定して軸封してなるものが、提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような状況の下、従来より提案されている各種のバタフライバルブについて、その使用環境や流通させる流体の種類等の観点にて本発明者等が鋭意、検討を進めたところ、例えば90℃前後の熱水が流通する配管上に従来のバタフライバルブを設置し、作動させた場合に、弁棒(ステム)の周囲から熱水が漏出し、その結果、充分な耐久性を発揮し得ない恐れのあることが判明したのである。
【0006】
ここにおいて、本発明は、そのような本発明者等の知見に基づいて完成されたものであって、その解決すべき課題とするところは、比較的高温の液体が流通する搬送配管にて使用されるバタフライバルブの構成部品として有利に採用されるバタフライバルブ用積層部材を、提供することにある。また、本発明は、かかる積層部材を備えるバタフライバルブを提供することも、その解決課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、本発明にあっては、かかる課題を解決するために、パーフルオロカーボン系樹脂からなる第一の層と、ゴム材料からなる第二の層との二層から構成されてなるバタフライバルブ用積層部材にして、前記ゴム材料が、下記式(1)より算出される重量減少率(%)が15.0%以上23.0%未満のクロロプレンゴムであることを特徴とするバタフライバルブ用積層部材を、その要旨とするものである。
[重量減少率(%)]=[(B-C)/A]×100 ・・・(1)
但し、上記式(1)において、
Aは熱重量測定開始時の試料重量、
Bは熱重量測定開始から300℃到達時の試料重量、
Cは300℃到達時から10分間、300℃で試料を保持した後の試料重量、
である。
【0008】
また、本発明は、上述した態様に係るバタフライバルブ用積層部材を、弁座として備えるバタフライバルブにあっても、その要旨とするものである。
【発明の効果】
【0009】
このように、本発明に従うバタフライバルブ用積層部材にあっては、パーフルオロカーボン系樹脂からなる第一の層と、ゴム材料からなる第二の層との二層から構成されてなるバタフライバルブ用積層部材であって、かかる第二の層を構成するゴム材料が、熱重量測定の結果を用いて所定の式より算出される重量減少率(%)が15.0%以上23.0%未満のクロロプレンゴムであるところに、大きな技術的特徴が存しているのである。即ち、そのような特徴的なクロロプレンゴムにて形成された第二の層を有する積層部材を、バタフライバルブの弁座(シート)として、その第一の層が弁本体側に位置し、第二の層が弁体(ディスク)と当接するように配置せしめてなるバタフライバルブにあっては、例えば、熱水等の比較的高温の液体が流通せしめられる配管上に設置し、使用した場合でも、弁棒(ステム)周囲における流体(熱水)の漏出が長期間に亘って抑制されるのであり、以て、従来品と比較して、長寿命化を有利に達成し得るものとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明を適用したバタフライバルブの一実施形態を示す縦断面説明図である。
【
図2】
図1に示されるバタフライバルブの弁座部分を拡大して示す部分説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の代表的な実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0012】
図1には、本発明に従うバタフライバルブ用積層部材を弁座(バルブシート)として使用したバタフライバルブの一例が、示されている。そこにおいて、バタフライバルブ10は、流体の流路内に位置せしめられる開口部を有するバルブ本体12と、このバルブ本体12内に装入されて、軸回りに回動せしめられるステム(弁棒)14と、このステム14に一体的に設けられて、バルブ本体12の液体流路内に位置する開口部内において回動せしめられることによって、かかる開口部の開放又は遮断を行なう円盤形状のディスク(弁体)16とを有すると共に、本発明に従う構造を呈する弁座(バルブシート)18がバルブ本体12の開口部の周縁部を覆うように取り付けられて、構成されている。
【0013】
なお、ディスク16における液体に接する両側の表面には、ポリテトラフルオロエチレンからなるライナー20が、所定厚さにおいて、各々、設けられている。また、
図1に示されるディスク16の配設形態は、液体流路に配置されるバルブ本体12の開口部を閉塞する状態、換言すれば、液体の流通を遮断する状態を示すものであり、このディスク16が約90°回動せしめられることによって、バルブ本体12の開口部は全開状態(液体が流通する状態)となるようになっている。更に、26、28は、何れも、液体の浸入を防止するためのシール部材たるOリングである。
【0014】
また、ディスク16がその外周部において着座せしめられる弁座18は、
図2に拡大して示されているように、液体流路における液体に接触せしめられることとなる接液シート層たる第一の層22と、この第一の層22の内側に位置するクッションゴム層たる第二の層24との二層からなる、所定形状の積層構造体にて構成されており、このような積層形態において、バルブ本体12の開口部の内周縁部の全体を取り囲むように、円環状形態において配設されている。
【0015】
従って、このような構成に係るバタフライバルブ10にあっては、液体の流通を阻止すべく、ステム14がその軸回りに回動せしめられて、ディスク16が、
図1に示される如き位置に配置されることにより、ディスク16の外周部における膨出部16a、16a上に設けられたライナー20が、弁座18における円環状の第一の層(接液シート層)22に対して、その全周に亘って当接せしめられることとなるのであり、これによって、バルブ本体10における開口部の閉鎖が実現されることとなるのである。また、その際、弁座18に、クッションゴム層たる第二の層24が設けられていることによって、接液シート層たる第一の層22は、ディスク16の周縁部に対して、所定の圧力をもって弾性的に当接し、弁座18とディスク16との間に間隙が生じない状態とされて、より有効な液体の流通の遮断が行なわれることとなるのである。
【0016】
そして、バタフライバルブ10においては、弁座18が本発明に従う構造とされているのであり、接液シート層たる第一の層22がパーフルオロカーボン系樹脂にて形成されていると共に、クッションゴム層たる第二の層24が、下記式(1)より算出される重量減少率(%)が15.0%以上23.0%未満であるクロロプレンゴムにて、形成されているのである。このような特徴的な構成に係る弁座18を備えるバタフライバルブ10にあっては、例えば、80~100℃程度に加熱された水(熱水)等の比較的高温の液体が流通せしめられる配管上に設置し、使用しても、ステム14と弁座18との間(より詳細には、ライナー20と第一の層22との間)への熱水の浸入が効果的に、且つ、長期間に亘って抑制され、熱水によるステム14の腐食等が効果的に防止されることとなり、以て、バタフライバルブ10は、従来品と比較して、長寿命化が有利に達成されることとなるのである。
[重量減少率(%)]=[(B-C)/A]×100 ・・・(1)
但し、上記式(1)において、
Aは熱重量測定開始時の試料重量、
Bは熱重量測定開始から300℃到達時の試料重量、
Cは300℃到達時から10分間、300℃で試料を保持した後の試料重量、
である。
【0017】
ここで、接液シート層たる第一の層22は、配管内を流通する液体に対する耐食性を確保すべく、パーフルオロカーボン系樹脂にて構成されるものであるところ、かかるパーフルオロカーボン系樹脂としては、公知の各種のものの中から適宜、選択して、使用することが可能である。本発明において使用可能なパーフルオロカーボン系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン重合体や、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂等を例示することが出来るが、好ましくは、ポリテトラフルオロエチレンが有利に用いられることとなる。
【0018】
また、クッションゴム層たる第二の層24は、重量減少率(%)が15.0%以上23.0%未満であるクロロプレンゴムにて構成されている。本発明における重量減少率(%)とは、第二の層24を構成するクロロプレンゴムを試料として用いて、JIS-K-6226-1:2003『ゴム-熱重量測定による加硫ゴム及び未加硫ゴム組成の求め方(定量)-第1部:ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム及びターポリマー、ブチルゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム』に準じた熱重量測定(TG)を実施し(但し、試料温度が300℃に達するまでは10℃/minの昇温速度にて加熱し、試料温度が300℃に到達した後に10分間、300℃で保持する。)、それにより得られた結果を用いて下記式(1)より算出されるものである。かかる重量減少率が所定の範囲内にあるクロロプレンゴムからなる第二の層(24)を有する積層部材を、弁座(18)として備えるバタフライバルブ(10)にあっては、比較的高温の液体が流通せしめられる配管上に設置し、使用しても、かかる第二の層(24)が優れた耐へたり性を発揮し、これにより弁体(ディスク16)に対する弁座(18)の弾性的な当接状態が長期間に亘って維持されるところから、液体の弁棒(ステム14)側への浸入も長期間に亘って効果的に防止されることとなり、以て、本発明に従う積層部材を備えるバタフライバルブ(10)は、従来品と比較して、長寿命化が有利に達成されることとなるのである。
[重量減少率(%)]=[(B-C)/A]×100 ・・・(1)
但し、上記式(1)において、
Aは熱重量測定開始時の試料重量、
Bは熱重量測定開始から300℃到達時の試料重量、
Cは300℃到達時から10分間、300℃で試料を保持した後の試料重量、
である。
【0019】
本発明の、上述した積層部材(弁座18)における第二の層(24)を構成するクロロプレンゴムについて、上記式(1)で算出される重量減少率(%)が15.0%未満のクロロプレンゴムを用いると、積層部材(弁座18)を成形する際の成形性が悪化する恐れがあり、その一方、重量減少率(%)が23.0%以上のクロロプレンゴムにあっては、圧縮永久ひずみが悪く、十分な耐へたり性を発揮しない恐れがある。このため、本発明に従う積層部材(弁座18)における第二の層(24)を構成するクロロプレンゴムは、上記式(1)で算出される重量減少率が15.0%以上23.0%未満であることが好ましく、19.0%以上22.0%以下であることがより好ましい。
【0020】
また、本発明に従う積層部材(弁座18)の第二の層(24)を構成するクロロプレンゴムにあっては、その製造方法や製造条件等は特に限定されるものではなく、上記式(1)より算出される重量減少率が15.0%以上23.0%未満の範囲内にあるクロロプレンゴムであれば、如何なるものであっても本発明において使用することが可能である。
【0021】
なお、上述してきた積層部材(弁座18)は、それを構成する第一の層(22)及び第二の層(24)がそれぞれ別個に成形された後、それらを固着一体化してなる形態の積層構造において用いられているが、本発明に従う積層部材にあっては、そのような固着一体化してなる積層構造に限定されるものではない。
【0022】
以上、本発明の代表的な実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものでないことが、理解されるべきである。
【0023】
例えば、本発明に従う積層部材を備えるバタフライバルブとして、
図1にバタフライバルブ10を例示しているが、本発明の積層部材は、
図1に例示された構造のみならず、公知の各種の構造を呈するバタフライバルブに適用可能であることは、言うまでもないところである。
【0024】
また、本発明に従う積層部材たる弁座18の第二の層24は、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、補強繊維を配合したクロロプレンゴムにて形成することも可能である。
【実施例0025】
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等が加えられ得るものであることが、理解されるべきところである。
【0026】
-バタフライバルブ用積層部材(弁座)の作製-
先ず、
図1に示される構成と同様の構成に係るバタフライバルブ(呼び径:65mm、市販品)に装着可能な、本発明の構成に従う弁座を作製した。具体的には、第一の層の成形材料としてポリテトラフルオロエチレンを用いて、また、第二の層の成形材料として、4種類のクロロプレンゴム(ゴム材料a~d)を用いて、第一の層と第二の層をそれぞれ別個に成形し、その後、それら二層を固着一体化せしめることにより、第二の層を構成する材料が異なる4種類の弁座(積層部材)を作製した(実施例1~実施例3、比較例1)。なお、ゴム材料a~dの比重は、何れも1.41であった。
【0027】
弁座における第二の層を構成するゴム材料a~dについては、以下の各手法に従い、圧縮永久ひずみを測定し、重量減少率を算出した。
【0028】
-圧縮永久ひずみの測定-
JIS-K-6262:2013『加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-常温、高温及び低温における圧縮永久ひずみの求め方』の規定に準じて、試料(ゴム材料a~d)を90℃で24時間、保持した後の圧縮永久ひずみ(%)と、100℃で24時間、保持した後の圧縮永久ひずみ(%)とを測定した。下記表1において、90℃で24時間、保持した後の圧縮永久ひずみの測定結果を「圧縮永久ひずみ(90℃×24時間)」欄に、また100℃で24時間、保持した後の圧縮永久ひずみの測定結果を「圧縮永久ひずみ(100℃×24時間)」欄に、それぞれ記載する。
【0029】
-重量減少率の算出-
JIS-K-6226-1:2003の規定を参考にして、熱重量示差熱分析装置(TG-DTA;株式会社リガク製、製品名:Thermo Pius EV02)を用いて、i)先ず、試料重量(A:熱重量測定開始時の試料重量)を測定し、ii)試料温度が常温から300℃に至るまでは10℃/minの昇温速度にて試料を加熱し、試料温度が300℃となった時点の試料重量(B)を測定し、iii )試料温度を300℃に維持しつつ、300℃到達時から10分経過後の試料重量(C)を測定し、これらの測定結果を用いて、下記式(1)より重量減少率(%)を算出した。その結果を、下記表1に示す。
[重量減少率(%)]=[(B-C)/A]×100 ・・・(1)
【0030】
第二の層を形成するゴム材料が異なる4種類の弁座の各々を、
図1に示される構成と同様の構成に係るバタフライバルブ(市販品)に装着した。なお、ここで用いたバタフライバルブは、後述する耐久性評価試験における、弁座18とステム14との当接箇所からの液体の浸入の有無について、目視による判断を容易なものとすべく、Oリング26は取り外され、バルブ本体12におけるOリング26の装着部位には、外部から目視可能な貫通孔が設けられている。
【0031】
-耐久性評価試験-
本発明に従う弁座が装着されたバタフライバルブを、槽内が100℃に保持されている恒温槽内に所定期間(3週間、4週間、5週間)、載置した。所定期間の経過後、恒温槽内よりバタフライバルブを取り出し、配管上にセットして、管内に液体(水)を圧力:4.5MPaにて30秒間、流通せしめた。かかる流通の後、弁座18とステム14との当接箇所からの水の浸入の有無を、バルブ本体12におけるOリング26の装着部位に設けた貫通孔内を目視することにより確認した。かかる貫通孔内に水の浸入が認められなかった場合を「○」と、認められた場合を「×」と、バタフライバルブ毎に評価し、その評価結果を、下記表1に示す。なお、比較例1の弁座を備えるバタフライバルブにあっては、恒温槽内に4週間、載置した後のものについて水の浸入が認められことから、恒温槽内に5週間、載置した後のものについては、本試験を実施しなかった。
【0032】
【0033】
かかる表1の結果からも明らかなように、本発明に従う積層部材を弁座として備えるバタフライバルブにあっては、非常に過酷な条件の下に実施した耐久性評価試験においても、弁座18とステム14との当接箇所からの水の浸入が認められず、非常に優れた耐久性を発揮するものであることが認められるのである。