(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061955
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】錠装置及び建具
(51)【国際特許分類】
E05C 3/04 20060101AFI20240430BHJP
E05B 65/08 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
E05C3/04 J
E05B65/08 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169620
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 伸也
(57)【要約】
【課題】製造作業や組立作業を容易化する。
【解決手段】軸部材40と、皿部材30と、クレセント受け11とを備え、台座20の補強部材21に対して皿部材30を所定の解錠位置から施錠位置に回転させた場合に鎌部30bがクレセント受け11に係合可能となる錠装置10であって、基板部30aにおいて軸部材40の周囲となる部分には、皿部材30の施錠位置への回転に伴ってクレセント受け11に当接した場合にのみ皿部材30の更なる回転を許容する検知レバー50が設けられ、軸部材40において検知レバー50に対応する部分には、基端側の太径部40bよりも細径となる細径部40aが設けられ、皿部材30には、軸部材40において細径部40aと太径部40bとの間に構成された段部40dに向けて軸支持部30hが突出して設けられている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の形材に取り付けられる台座と、
先端部を介して前記台座に回転可能に支持された軸部材と、
基板部に貫通孔を有するとともに前記貫通孔を中心とした前記基板部の周囲一部に鎌部を有し、前記貫通孔に前記軸部材が貫通することにより前記軸部材とともに前記台座に対して回転可能に支持された皿部材と、
他方の形材に設けられる受部材と
を備え、前記台座に対して前記皿部材を所定の解錠位置から施錠位置に回転させた場合に前記鎌部が前記受部材に係合可能となり、前記一方の形材と前記他方の形材との相対移動を制限する錠装置であって、
前記軸部材には、基端側の太径部よりも細径となる細径部が設けられ、
前記皿部材には、前記軸部材において前記細径部と前記太径部との間に構成された段部に向けて軸支持部が突出して設けられていることを特徴とする錠装置。
【請求項2】
前記軸支持部は、前記基板部の一部を切り起こすことによって前記基板部と一体に成形されていることを特徴とする請求項1に記載の錠装置。
【請求項3】
前記軸支持部は、前記基板部において前記貫通孔と前記鎌部との間に位置する部分に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の錠装置。
【請求項4】
前記台座は、前記軸部材を回転可能に支持する補強部材と、前記補強部材の外表面を覆うように設けられるカバー部材とを備え、前記カバー部材及び前記補強部材を介して前記一方の形材に取付ネジを螺合することにより前記一方の形材に取り付けられ、
前記補強部材には、前記皿部材が前記施錠位置に配置された際の前記軸支持部に対応する部分に前記皿部材に向けて突出した支持突起が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の錠装置。
【請求項5】
前記補強部材には、前記皿部材が前記施錠位置に配置された際の前記軸支持部に対応する部分に前記一方の形材との間に介在するように支持脚部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の錠装置。
【請求項6】
前記補強部材には、前記カバー部材の外部に露出し、螺合された前記取付ネジの頭部に当接するネジ支持部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の錠装置。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか一つに記載された錠装置が障子の框に取り付けられていることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方の障子に設けられる皿部材と、他方の障子に設けられる受部材とを備えた錠装置及び建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
引き違い窓等の建具に適用される錠装置には、2つの障子が閉じ位置に配置されている場合にのみ皿部材を受部材に係合させることができるように、皿部材の基板部に検知部材等の部品を設ける場合がある。検知部材は、皿部材を回転可能に支持する台座に係合することによって台座に対する皿部材の回転を制限するように構成されたものである。この種の錠装置では、台座に対して皿部材を回転可能に支持する軸部材の周面に逃げ用の切欠が設けられており、軸部材と検知部材とが干渉する事態を未然に防止するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した切欠は、軸部材の周囲全周に設けることができず、検知部材に対向した一部にのみ設ける必要がある。すなわち、軸部材の周囲において検知部材に対向していない部分については、軸部材の太径部との間に構成される段部を皿部材の基板部に対向させることで、皿部材が軸部材の軸方向にガタ付く事態を防止するようにしている。このため、軸部材を製造する場合には、追加工によって切欠を設ける必要があり、製造作業が煩雑化する懸念がある。しかも、錠装置を組み立てる場合には、軸部材に設けた切欠の位置と皿部材において検知部材を設ける位置とが回転方向において互いに合致している必要があり、組立作業が煩雑化する要因となり得る。因に、錠装置においては、部品の共用化から製造コストの低減を図ることが行われている。このため、上述の問題は、皿部材に検知部材が設けられていない錠装置においても、軸部材を共用化することによって同様に生じ得る。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、製造作業や組立作業を容易化することのできる錠装置及び建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る錠装置は、一方の形材に取り付けられる台座と、先端部を介して前記台座に回転可能に支持された軸部材と、基板部に貫通孔を有するとともに前記貫通孔を中心とした前記基板部の周囲一部に鎌部を有し、前記貫通孔に前記軸部材が貫通することにより前記軸部材とともに前記台座に対して回転可能に支持された皿部材と、他方の形材に設けられる受部材とを備え、前記台座に対して前記皿部材を所定の解錠位置から施錠位置に回転させた場合に前記鎌部が前記受部材に係合可能となり、前記一方の形材と前記他方の形材との相対移動を制限する錠装置であって、前記軸部材には、基端側の太径部よりも細径となる細径部が設けられ、前記皿部材には、前記軸部材において前記細径部と前記太径部との間に構成された段部に向けて軸支持部が突出して設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、皿部材の基板部には段部に向けて突出した軸支持部が設けてあるため、軸支持部を段部に当接させることができ、軸部材の細径部及び太径部をそれぞれ断面が円形となるように構成することが可能である。従って、追加の加工を要することなく軸部材を製造することが可能になるばかりか、組立作業において軸部材と皿部材とを回転方向に位置決めする必要がなくなり、製造作業及び組立作業を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態である錠装置を適用した建具を室内側から示す姿図である。
【
図3】
図1に示した建具の要部を室内側から示す斜視図である。
【
図4】
図1に示した建具に適用する錠装置のクレセントを操作ハンドル側から見た分解斜視図である。
【
図5】
図1に示した建具に適用する錠装置のクレセントを台座側から見た分解斜視図である。
【
図6】
図1に示した建具に適用する錠装置を示すもので、(a)は一部を破断して示す分解側面図、(b)は組み立てた状態の側面図である。
【
図7】
図1に示した建具に適用する錠装置の構成要素を示すもので、(a)は補強部材を表面側から見た斜視図、(b)はカバー部材を裏面側から見た斜視図である。
【
図8】
図1に示した建具に適用する錠装置の補強部材、皿部材、軸部材の組立状態を皿部材側から見た斜視図である。
【
図9】
図1に示した建具に適用する錠装置の補強部材、皿部材、軸部材の組立状態を側方から見た斜視図である。
【
図10】
図1に示した建具に適用する錠装置の補強部材、皿部材、軸部材の組立状態を補強部材の裏面側から見た斜視図である。
【
図11】
図1に示した建具に適用する錠装置の補強部材、皿部材、軸部材の組立状態を
図10の反対側から見た斜視図である。
【
図12】
図1に示した建具に適用する錠装置の軸部材を示す斜視図である。
【
図13】
図1に示した建具に適用する錠装置の要部を示すもので、(a)はカバー部材のみを表面側から見た図、(b)は皿部材が解錠位置に配置された状態のカバー部材、皿部材、検知部材を示す図、(c)は皿部材が施錠位置に配置された状態のカバー部材、皿部材、検知部材を示す図である。
【
図14】
図1に示した建具に適用する錠装置が高温に晒された後の状態を示すもので、(a)は建具の室内側から見た図、(b)はその断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る錠装置及び建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下においては便宜上、見込み方向及び見付け方向という用語を用いる場合がある。見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。見付け方向とは、下枠等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0010】
図1~
図3は、本発明の実施の形態である錠装置を適用した建具を示すものである。ここで例示する建具は、枠体1と、枠体1の室外側となる部分に配設した外障子2Aと、枠体1の室内側となる部分に配設した内障子2Bとを備えた引き違い窓と称されるものである。枠体1は、左右の縦枠1A、上枠1B、下枠1Cを四周組することによって四角形状に構成したものである。外障子2Aは、四角形状を成す複層ガラス等の面材2Aaと、面材2Aaの四周に配設した左右の縦框2Ab,2Ac、上框2Ad、下框2Aeとを備えて構成したものである。内障子2Bも同様に、四角形状を成す複層ガラス等の面材2Baと、面材2Baの四周に配設した左右の縦框2Bb,2Bc、上框2Bd、下框2Beとを備えて構成したものである。本実施の形態では、外障子2A及び内障子2Bが枠体1に対して上枠1B及び下枠1Cの長手に沿って移動可能に配設してあり、室内側から見て枠体1の左側に外障子2Aを配置し、かつ右側に内障子2Bを配置した場合に、枠体1の開口を閉じることが可能である。枠体1の開口部を閉じた状態においては、室内側から見て外障子2Aの右側に配置される縦框(形材:以下、外召し合わせ框2Acという)と、内障子2Bの左側に配置される縦框(形材:以下、内召し合わせ框2Bcという)とが召し合わせとなって互いに見込み方向に並設された状態となる。外障子2A及び内障子2Bを構成するそれぞれの框は、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、長手に沿った全長にわたってほぼ一様となる断面形状を有するように構成してある。
【0011】
この建具には、外障子2Aの外召し合わせ框2Acと内障子2Bの内召し合わせ框2Bcとの間に錠装置10が設けてある。錠装置10は、外召し合わせ框2Acにクレセント受け(受部材)11を設けるとともに、内召し合わせ框2Bcにクレセント12を設けることによって構成したものである。クレセント受け11は、受部本体11aの一端部にフック部11bを設けることによって構成したものである。このクレセント受け11は、フック部11bが外召し合わせ框2Acの見込み面よりも内周側に突出する状態で受部本体11aを介して外召し合わせ框2Acに取り付けてある。クレセント12は、台座20に対して皿部材30が軸部材40を介して回転可能に配設してあり、皿部材30の回転軸心となる軸部材40が見付け方向に沿ってほぼ水平となる状態で、台座20を介して内召し合わせ框2Bcの内周側となる見込み面に取り付けてある。
【0012】
以下、
図4~
図13を適宜参照しながらクレセント12の構成要素について主に詳述し、併せて本願発明の特徴部分について説明する。上述したようにクレセント12は、台座20、皿部材30、軸部材40を備えて構成したものである。台座20は、内召し合わせ框2Bcへの取付部となるもので、補強部材21及びカバー部材22を備えている。
【0013】
補強部材21は、例えばステンレス鋼等のようにアルミニウム合金に比べて耐火性の高い金属によって成形したもので、軸支持板部21a、連結部21b、取付板部21cを有している。軸支持板部21aは、内召し合わせ框2Bcの長手に沿って延在する平板状を成すもので、長手のほぼ中間となる部分に軸支持孔21dが設けてある。軸支持孔21dには、内周面の4カ所に突出部21eが設けてある。突出部21eは、互いに等間隔となる部分から中心に向けて突出したもので、個々の突出端部に弧状の摺動面21fを有している。摺動面21fは、共通の軸心を中心とした円周に沿って形成したものである。連結部21bは、軸支持板部21aの両端部から互いに同一方向に屈曲して延在したものである。取付板部21cは、個々の連結部21bから互いに離反する方向に向けて延在した平板状を成すもので、軸支持板部21aとほぼ平行、かつ互いに同一の平面上に位置するように構成してある。それぞれの取付板部21cには、ネジ挿通部21g及び側板部21hが設けてある。ネジ挿通部21gは、後述する取付ネジSの軸部Saが挿通可能、かつ頭部Sbが挿通不可となる幅に形成した貫通部である。側板部21hは、個々の取付板部21cの両側縁部から軸支持板部21a側に向けて互いにほぼ平行となるように突出した平板状を成すものである。側板部21hの突出寸法さは、互いに同一で、軸支持板部21aよりも小さくなるように設定してある。
【0014】
また、補強部材21には、支持突起21i、2つの支持脚部21j、4つのネジ支持部21kが設けてある。支持突起21iは、軸支持板部21aの一方の縁部において軸支持孔21dに隣接する部分から連結部21bとは反対方向に屈曲して延在したものである。支持脚部21jは、軸支持板部21aの一方の縁部において支持突起21iの両側となる部分から連結部21bと同じ方向に屈曲して延在したものである。支持脚部21jの延在端部は、それぞれ取付板部21cの突出側平面とほぼ同一の平面上に位置するように構成してある。すなわち、取付板部21cをそれぞれ平面上に載置させた場合に、支持脚部21jの延在端部がそれぞれ同じ平面上に当接するように支持脚部21jの延在寸法が設定してある。ネジ支持部21kは、個々の側板部21hの突出縁部に設けた突出部である。ネジ支持部21kの突出寸法は、互いに同一となるように設定してある。
【0015】
カバー部材22は、例えば亜鉛合金等のように比較的融点の低い金属をダイカスト鋳造法で成形したものであり、補強部材21を覆うことのできる形状及び寸法に構成してある。すなわち、カバー部材22は、軸支持板部21aの表面を覆うセンターカバー部22Aと、取付板部21cの表面を覆う2つのサイドカバー部22Bと、補強部材21の周囲を覆うラウンドカバー部22Cとを一体に成形したものである。図示の例では、内召し合わせ框2Bcの見付け面において室外側に配置される部分(以下、区別する場合にカバー部材22の外側部という)がほぼ円弧状に突出する一方、室内側に配置される部分(以下、区別する場合にカバー部材22の内側部という)がほぼ直線状となるようにカバー部材22が構成してある。また、図には明示していないが、このカバー部材22は、補強部材21を覆った場合に、センターカバー部22Aの内表面に軸支持板部21aの表面が当接し、かつサイドカバー部22Bの内表面に側板部21hの突出縁部が当接するように構成してある。
【0016】
カバー部材22には、軸部挿通孔22a、突起収容部22b及びネジ挿通孔22cが設けてある。軸部挿通孔22aは、センターカバー部22Aにおいて補強部材21の軸支持孔21dに対応する部分に設けたものである。軸部挿通孔22aの内径は、突出部21eの摺動面21fによって構成される円周とほぼ同じ内径となるように構成してある。カバー部材22の内表面において軸部挿通孔22aに周囲となる部分には、4つの嵌合突起22dが設けてある。嵌合突起22dは、軸部挿通孔22aを軸支持孔21dに合致させた状態で補強部材21をカバー部材22によって覆った場合に、軸支持孔21dの内部において突出部21eの相互間に嵌合するように構成したものである。突起収容部22bは、センターカバー部22Aの内表面において補強部材21の支持突起21iに対応する部分に設けた凹所である。図示の例では、軸部挿通孔22aに対して室外側に配置される部分に突起収容部22bが設けてある。ネジ挿通孔22cは、それぞれのサイドカバー部22Bにおいて補強部材21のネジ挿通部21g及びネジ支持部21kに対応する部分に設けたものである。このネジ挿通孔22cは、補強部材21をカバー部材22によって覆った場合にネジ支持部21kを外部に露出させるように構成してある。また、補強部材21をカバー部材22によって覆った場合には、ネジ支持部21kの突出端面がサイドカバー部22Bの外表面とほぼ同一の平面上に位置するように、カバー部材22及びネジ支持部21kが構成してある。
【0017】
また、カバー部材22には、センターカバー部22Aの外表面にガイド突部22eが設けてある。ガイド突部22eは、軸部挿通孔22aの周囲となる部分に設けた突出部であり、小径部22f、大径部22g及びガイド溝22hを有している。小径部22fは、センターカバー部22Aにおいて室外側となる部分が凸となるように設けた略円弧状の周面を構成するものである。大径部22gは、センターカバー部22Aにおいて室内側となる部分が凸となるように設けた略円弧状の周面を構成するものである。小径部22fと大径部22gとの境界部分には、規制部22iが設けてある。規制部22iは、軸部挿通孔22aを中心として径方向に延在する平面である。規制部22iの外周側となる部分には、室外側となる部分に向けて導入突起22jが設けてある。ガイド溝22hは、ガイド突部22eの表面に設けた凹所であり、軸部挿通孔22aを中心とした略円弧状に構成してある。図示の例では、小径部22f及びガイド溝22hがそれぞれほぼ240°の中心角を有し、かつガイド溝22hが小径部22fとは逆向きに室内側となる部分に向けて凸となるように設けてある。換言すれば、
図13に示すように、カバー部材22の外側部を上方とした場合、時計のほぼ2時からほぼ10時までの範囲にガイド溝22hが形成してある。以下においては便宜上、ガイド溝22hにおいてほぼ2時の位置となる端部を施錠端部22h1と称し、かつほぼ10時の位置となる端部を解錠端部22h2と称することとする。
【0018】
皿部材30は、基板部30a及び鎌部30bを有したもので、補強部材21と同様、ステンレス鋼等のようにアルミニウム合金に比べて耐火性の高い金属によって一体に成形してある。基板部30aは、平板状を成すもので、貫通孔30c及び突部挿通孔30dを有している。貫通孔30cは、カバー部材22に設けた軸部挿通孔22aとほぼ同じ内径に形成したものである。突部挿通孔30dは、貫通孔30cに連続した切欠であり、貫通孔30cを中心とした扇形状を成している。この突部挿通孔30dは、中心角がほぼ60°であり、貫通孔30cをカバー部材22の軸部挿通孔22aに合致させた際にカバー部材22のガイド溝22hとほぼ同じ外径となるように形成してある。基板部30aには、貫通孔30cを中心とした略円弧状の鎌用外周縁30eが一部に設けてある。鎌用外周縁30eは、貫通孔30cをカバー部材22の軸部挿通孔22aに合致させた場合に、カバー部材22の外側部よりも外側に突出することができるように構成したものである。図示の例では、カバー部材22のガイド溝22hにおいて突部挿通孔30dを施錠端部22h1に合致するように配置した場合(以下、皿部材30の施錠位置という)、鎌用外周縁30eがカバー部材22の外側部から外部に突出するように皿部材30が構成してある。鎌部30bは、鎌用外周縁30eから立設した略円弧状の突出部である。鎌部30bの基板部30aからの突出寸法は、時計回りに順次大きくなるように設定してある。以下においては便宜上、鎌部30bにおいて基板部30aからの突出寸法が小さい端部を鎌部30bの始端部30b1、基板部30aからの突出寸法が大きい端部を鎌部30bの終端部30b2と称する場合がある。
【0019】
また、皿部材30の基板部30aには、ピン挿通孔30f、規制用切欠部30g、軸支持部30hが設けてある。ピン挿通孔30fは、皿部材30を施錠位置に配置した場合に、貫通孔30cよりも室内側となる部分において解錠端部22h2側に設けてある。規制用切欠部30gは、皿部材30を施錠位置に配置した場合に、貫通孔30cよりも室内側、かつ施錠端部22h1側となる部分から小径部22fの鎌用外周縁30eに対応する位置まで形成してある。軸支持部30hは、貫通孔30cと鎌部30bとの間において貫通孔30cの周囲となる部分に形成したもので、基板部30aの表面から鎌部30bと同じ方向に向けて突出している。本実施の形態では、貫通孔30cから切り起こすことによって軸支持部30hが段状に設けてある。軸支持部30hの突出端部には、摺接部30iが設けてある。摺接部30iは、貫通孔30cの内周面に合致するように設けた円弧状を成すものである。この軸支持部30hにおいて基板部30aから切り起こした基端部分は、カバー部材22に対して皿部材30を施錠位置に配置した場合に、突起収容部22bに対向する位置となるように設けてある。
【0020】
軸部材40は、細径部40a、太径部40b、嵌合部40cを有したもので、ステンレス鋼等のようにアルミニウム合金に比べて耐火性の高い金属から鍛造によって一体に成形してある。図示の例では、細径部40aの軸方向に沿った寸法が太径部40b及び嵌合部40cよりも大きくなるように軸部材40が構成してある。細径部40aは、補強部材21に設けた突出部21eの摺動面21fによって構成される円周とほぼ同じ外径となる円柱状を成すものである。太径部40bは、断面が円形の柱状を成すもので、互いの軸心を合致した状態で細径部40aの一端部に設けてある。この太径部40bは、細径部40aよりも大きな外径を有し、細径部40aとの間に一定の幅となる環状の段部40dを構成している。また太径部40bには、フランジ部40eが設けてある。フランジ部40eは、太径部40bにおいて段部40dとは反対側となる端部から外周側に突出したもので、断面が略正方形状を成している。フランジ部40eの一辺の長さは、太径部40bの外径よりもわずかに大きく設定してある。嵌合部40cは、断面が略正方形の柱状を成すもので、互いの軸心を合致した状態で細径部40aの他端部に設けてある。この嵌合部40cは、対角線が細径部40aの外径以下となるように設定してあり、細径部40aとの間に4つの裏金当接面40fを構成している。
【0021】
上述の軸部材40には、操作ハンドル41が装着してある。操作ハンドル41は、樹脂によって成形した長尺状を成すもので、一端部において内表面側となる部分に軸部材40が設けてある。より詳細に説明すると、軸部材40は、フランジ部40e及び太径部40bを介して操作ハンドル41の一端部内表面に埋設する一方、細径部40a及び嵌合部40cを外部に露出した状態で操作ハンドル41と一体となるように設けてある。軸部材40の軸心は、操作ハンドル41の長手に対してほぼ直交している。
【0022】
操作ハンドル41には、軸部材40の周囲となる部分に基板当接面41a、嵌合突部41b、当接部用凹部41c、レバー用段部41d、ピン装着孔41eが設けてある。基板当接面41aは、皿部材30の貫通孔30cに軸部材40の細径部40aを貫通させた場合に皿部材30の基板部30aに当接する平面であり、軸部材40の軸心に直交する方向に沿って延在している。嵌合突部41bは、皿部材30の貫通孔30cに軸部材40の細径部40aを貫通させた場合に、皿部材30の突部挿通孔30dに嵌合するように設けた突出部である。この嵌合突部41bは、軸部材40に対して操作ハンドル41の他端部側から突出するように操作ハンドル41と一体に設けてある。基板当接面41aからの嵌合突部41bの突出寸法は、基板部30aの板厚よりも大きく、かつ細径部40aの突出寸法よりも小さく設定してある。当接部用凹部41cは、嵌合突部41bを皿部材30の突部挿通孔30dに嵌合させた場合に、皿部材30に設けた軸支持部30hを収容するためのもので、軸部材40の段部40dを外部に露出させることができるように設けてある。レバー用段部41dは、基板当接面41aよりも一段低くなるように設けた凹所であり、嵌合突部41bを皿部材30の突部挿通孔30dに嵌合させた場合に、皿部材30のピン挿通孔30f及び規制用切欠部30gを設けた領域に対向する部分に設けてある。ピン装着孔41eは、嵌合突部41bを皿部材30の突部挿通孔30dに嵌合させた場合に、皿部材30のピン挿通孔30fに対向する部分に設けた断面が円形の凹所である。図示の例では、操作ハンドル41の外表面に貫通しないようにピン装着孔41eが設けてある。
【0023】
上述した各構成要素によってクレセント12を組み立てるには、操作ハンドル41のレバー用段部41dと皿部材30の基板部30aとの間に検知レバー(検知部材)50を介在させた状態で、操作ハンドル41から突出する軸部材40の細径部40aを皿部材30の貫通孔30c、カバー部材22の軸部挿通孔22a、補強部材21の軸支持孔21dに順次貫通させた後、軸部材40の嵌合部40cに裏金42を貫通させてかしめれば良い。この状態においては、皿部材30に設けた軸支持部30hが軸部材40の段部40dに向けて突出し、段部40dに当接することが可能である。裏金42としては、ステンレス鋼によって成形されたものを適用することが好ましい。
【0024】
検知レバー50は、当接端部50a及び規制端部50bを有するとともに、これらの中間部にピン孔50cを有したものである。この検知レバー50は、ピン孔50cを貫通するピン部材51をピン挿通孔30f及びピン装着孔41eの間に装着することにより、皿部材30に対してピン部材51の軸心回りに回転することが可能である。当接端部50aは、ピン部材51から鎌部30bの始端部30b1側に近接する方向に延在したもので、延在端部に内方当接部50dを有している。内方当接部50dは、検知レバー50の当接端部50aから鎌部30bと同じ方向に突出するように設けたものである。この内方当接部50dは、皿部材30に対して検知レバー50の当接端部50aが外周側に向けて回転した場合に鎌部30bの基板部30aから突出し、始端部30b1の延長上となる位置に配置される一方、当接端部50aが内周側に向けて回転した場合には基板部30aの表面上において鎌部30bよりも内周側となる位置に収容された状態となるように構成してある。規制端部50bは、ピン部材51を中心として当接端部50aからほぼ180°ずれた方向に向けて延在したもので、延在端部に規制突起50eを有している。規制突起50eは、検知レバー50の規制端部50bから内方当接部50dとは反対の方向に向けて突出するもので、突出端部が基板部30aの裏面よりも突出している。この規制突起50eは、皿部材30に対して検知レバー50の規制端部50bが内周側に向けて回転した場合に基板部30aに設けた規制用切欠部30gを介して貫通孔30cに近接した位置に配置される一方、規制端部50bが外周側に向けて回転した場合に貫通孔30cの軸心からの距離がカバー部材22に設けた大径部22gの半径以上となるように構成してある。検知レバー50と操作ハンドル41との間には、付勢バネ52が設けてある。付勢バネ52は、検知レバー50の当接端部50aが外周側に向けて回転するように常時付勢するものである。なお、図中の符号43は、裏金42とカバー部材22との間に介在させた位置規制用バネである。位置規制用バネ43は、台座20に対して皿部材30を施錠位置または解錠位置にいずれかに保持するためのものである。
【0025】
上記のようにして組み立てられた状態のクレセント12においては、補強部材21の軸支持孔21dに設けた突出部21eの摺動面21fが軸部材40の細径部40aに当接することにより、軸部材40を介して操作ハンドル41が台座20に対して軸部材40の軸心回りに回転可能となる。このとき、操作ハンドル41に設けた嵌合突部41bが、皿部材30の突部挿通孔30dに嵌合しているため、操作ハンドル41と皿部材30とが台座20に対して一体に回転することになる。但し、操作ハンドル41の嵌合突部41bは、皿部材30の基板部30aを貫通し、カバー部材22に設けたガイド溝22hに挿入された状態にある。このため、操作ハンドル41及び皿部材30の回転範囲が、ガイド溝22h及び嵌合突部41bによってほぼ180°の範囲に制限される。すなわち、操作ハンドル41及び皿部材30は、ガイド突部22eがガイド溝22hの施錠端部22h1に当接した状態からガイド突部22eがガイド溝22hの解錠端部22h2に当接した状態までの間を回転することが可能である。以下においては便宜上、ガイド突部22eがガイド溝22hの施錠端部22h1に向けて回転する方向を施錠方向、ガイド溝22hの解錠端部22h2に向けて回転する方向を解錠方向という場合がある。
【0026】
ここで、上述のクレセント12においては、検知レバー50が付勢バネ52によって当接端部50aが外周側に向けて回転するように付勢されている。従って、操作ハンドル41の嵌合突部41bがガイド溝22hの解錠端部22h2に合致するように配置された場合(以下、皿部材30の解錠位置という)には、検知レバー50の規制突起50eが規制用切欠部30gを介してカバー部材22の小径部22fに当接した状態となる。これにより、この状態のまま操作ハンドル41を介して皿部材30を施錠回転させた場合には、検知レバー50の規制突起50eが規制部22iに当接することになり、以降の施錠方向の回転が阻止される。一方、付勢バネ52の付勢力に抗して検知レバー50の規制突起50eが外周側に配置された状態を維持し、この状態のまま操作ハンドル41を施錠方向に回転させた場合には、導入突起22jを超えて規制突起50eを大径部22gの周面に配置させることが可能となり、操作ハンドル41の嵌合突部41bを施錠端部22h1に当接させることができるようになる。なお、嵌合突部41bが施錠端部22h1に当接した状態からは、何ら規制されることなく嵌合突部41bが解錠端部22h2に当接するまで操作ハンドル41を解錠方向に回転させることができる。
【0027】
上述した動作の間、クレセント12においては、検知レバー50が、軸部材40の細径部40aに対応する部分に配置されるため、互いに干渉する事態が招来される懸念がない。しかも、皿部材30に設けた軸支持部30hが軸部材40の段部40dに向けて突出し、当該段部40dに当接した状態となっている。従って、皿部材30が軸部材40の軸方向にガタ付く事態を招来するおそれがない。加えて、軸部材40としては、回転対称となるものを適用しており、鍛造で成形した後においては、その後に切削等の追加工を要することなく製造することができる。すなわち、軸部材40の細径部40a及び太径部40bは、いずれも断面が一様の円形状を成し、かつ嵌合部40c及びフランジ部40eは、いずれも断面が一様の正方形状を成すものである。これにより、軸部材40を製造する際の作業を容易化できるばかりか、操作ハンドル41に軸部材40を装着する際に回転方向の位置決めを行う必要がないため組立作業の容易化を図ることも可能となる。
【0028】
上述のクレセント12は、カバー部材22の外側部が室外側となる状態で内召し合わせ框2Bcの外周側となる見込み面に配置し、この状態からカバー部材22のネジ挿通孔22c及び補強部材21のネジ挿通部21gを介して内召し合わせ框2Bcに取付ネジSを螺合することにより、内障子2Bに取り付けられた状態となる。取付ネジSとしては、軸部材40と同様、ステンレス鋼等の金属によって成形されたものを適用することが好ましい。この状態においては、補強部材21の支持脚部21jが内召し合わせ框2Bcの見込み面に当接し、かつ補強部材21の側板部21hに設けたネジ支持部21kがそれぞれ取付ネジSの頭部Sbに当接した状態となる。さらに、皿部材30が施錠位置に配置された状態においては、補強部材21に設けた支持突起21iがカバー部材22の突起収容部22bを介して軸支持部30hの基端部分に近接して対向配置されることになる。
【0029】
従って、火災発生時等のように高温に晒され、
図14に示すように、カバー部材22が溶融、もしくは焼失した場合にも、皿部材30が脱落することに起因した延焼を来すおそれがなくなる。すなわち、上述したように、補強部材21、軸部材40、皿部材30、取付ネジSについては、ステンレス鋼等のように耐火性の高い金属によって成形してあるため、高温に晒された状態においても、溶融したり焼失することがない。これにより、取付ネジSの頭部Sbにネジ支持部21kが当接された状態を維持することにより、補強部材21が内召し合わせ框2Bcから脱落するおそれがない。また、外障子2Aと内障子2Bとの間に介在する皿部材30には、両者2A,2Bの熱変形に起因してクレセント受け11を介して鎌部30bに押圧する方向の外力が加えられた状態となる。しかしながら、皿部材30は、基板部30aが支持突起21i及び支持脚部21jを介して支持されるため、軸部材40を介して補強部材21に支持された状態が維持されることになる。特に、支持脚部21jが支持突起21iに近接した位置に設けてあるため、補強部材21の軸支持板部21aが撓む事態が招来される懸念もなく、皿部材30がより確実に補強部材21に支持された状態となる。
【0030】
因に、通常の使用時においては、外障子2A及び内障子2Bが枠体1の開口部を閉じた位置に配置され、外召し合わせ框2Acに設けたクレセント受け11と内召し合わせ框2Bcに設けたクレセント12の皿部材30が係合可能となった場合、操作ハンドル41を介して皿部材30を解錠位置から施錠方向に回転させれば、クレセント受け11に対して内方当接部50dが当接することにより検知レバー50が付勢バネ52の付勢力に抗して回転し、規制突起50eが外周側に配置された状態となる。従って、そのまま操作ハンドル41を操作すれば、皿部材30を施錠位置まで回転させて鎌部30bをクレセント受け11に係合させることが可能となり、建具を施錠することができる。
【0031】
これに対して外障子2A及び内障子2Bの少なくとも一方が閉じた位置にない状態で操作ハンドル41を操作すると、内方当接部50dにクレセント受け11が当接しないため、検知レバー50の規制突起50eが規制用切欠部30gを介してカバー部材22の小径部22fに当接した状態のままとなる。従って、この状態のまま操作ハンドル41を操作しても、検知レバー50の規制突起50eが規制部22iに当接し、以降の施錠方向の回転が阻止される。これにより、操作者は、皿部材30の鎌部30bとクレセント受け11とが係合されていないと気付くことができ、錠装置10が施錠されたと誤認識するおそれがない等、使い勝手の点で有利となる。
【0032】
なお、上述した実施の形態では、引き違い窓を例示しているが、本発明はこれに限定されず、例えば外障子及び内障子の一方のみがスライドするように構成された片引き窓に適用することも可能である。この場合、外障子のみがスライドする片引き窓においては、FIX窓の縦框や方立が台座の取付対象の形材となり、逆に内障子のみがスライドする片引き窓においては、内障子の縦框が台座の取付対象の形材となる。
【0033】
以上のように、本発明に係る錠装置は、一方の形材に取り付けられる台座と、先端部を介して前記台座に回転可能に支持された軸部材と、基板部に貫通孔を有するとともに前記貫通孔を中心とした前記基板部の周囲一部に鎌部を有し、前記貫通孔に前記軸部材が貫通することにより前記軸部材とともに前記台座に対して回転可能に支持された皿部材と、他方の形材に設けられる受部材とを備え、前記台座に対して前記皿部材を所定の解錠位置から施錠位置に回転させた場合に前記鎌部が前記受部材に係合可能となり、前記一方の形材と前記他方の形材との相対移動を制限する錠装置であって、前記軸部材には、基端側の太径部よりも細径となる細径部が設けられ、前記皿部材には、前記軸部材において前記細径部と前記太径部との間に構成された段部に向けて軸支持部が突出して設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、皿部材の基板部には段部に向けて突出した軸支持部が設けてあるため、軸支持部を段部に当接させることができ、軸部材の細径部及び太径部をそれぞれ断面が円形となるように構成することが可能である。従って、追加の加工を要することなく軸部材を製造することが可能になるばかりか、組立作業において軸部材と皿部材とを回転方向に位置決めする必要がなくなり、製造作業及び組立作業を容易化することができる。
【0034】
また本発明は、上述した錠装置において、前記軸支持部は、前記基板部の一部を切り起こすことによって前記基板部と一体に成形されていることを特徴としている。
この発明によれば、基板部を切り起こすことによって軸支持部を設けることが可能となる。
【0035】
また本発明は、上述した錠装置において、前記軸支持部は、前記基板部において前記貫通孔と前記鎌部との間に位置する部分に設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、皿部材において鎌部が設けられた側において軸支持部が軸部材の段部に当接される。
【0036】
また本発明は、上述した錠装置において、前記台座は、前記軸部材を回転可能に支持する補強部材と、前記補強部材の外表面を覆うように設けられるカバー部材とを備え、前記カバー部材及び前記補強部材を介して前記一方の形材に取付ネジを螺合することにより前記一方の形材に取り付けられ、前記補強部材には、前記皿部材が前記施錠位置に配置された際の前記軸支持部に対応する部分に前記皿部材に向けて突出した支持突起が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、皿部材が施錠位置に配置された場合に補強部材の支持突起が軸支持部に対応して配置されるため、例えば火災発生時にカバー部材が溶融、もしくは焼失したとしても受部材を介して皿部材に加えられる外力が、軸支持部及び支持突起を介して補強部材で受け止められる。
【0037】
また本発明は、上述した錠装置において、前記補強部材には、前記皿部材が前記施錠位置に配置された際の前記軸支持部に対応する部分に前記一方の形材との間に介在するように支持脚部が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、皿部材が施錠位置に配置された場合に補強部材の支持突起及び支持脚部が軸支持部に対応して配置されるため、例えば火災発生時にカバー部材が溶融、もしくは焼失したとしても受部材を介して皿部材に加えられる外力が、軸支持部及び支持突起を介して補強部材で受け止められ、さらに支持脚部を介して一方の形材で受け止められる。
【0038】
また本発明は、上述した錠装置において、前記補強部材には、前記カバー部材の外部に露出し、螺合された前記取付ネジの頭部に当接するネジ支持部が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、火災発生時にカバー部材が溶融、もしくは焼失したとしてもネジ支持部が取付ネジの頭部に当接した状態に維持されるため、取付ネジが弛緩される事態が招来されるおそれがなくなる。
【0039】
また本発明に係る建具は、上述した錠装置が障子の框に取り付けられていることを特徴としている。
この発明によれば、皿部材の基板部には段部に向けて突出した軸支持部が設けてあるため、軸支持部を段部に当接させることができ、軸部材の細径部及び太径部をそれぞれ断面が円形となるように構成することが可能である。従って、追加の加工を要することなく軸部材を製造することが可能になるばかりか、組立作業において軸部材と皿部材とを回転方向に位置決めする必要がなくなり、製造作業及び組立作業を容易化することができる。
【符号の説明】
【0040】
2A 外障子、2B 内障子、2Ac 外召し合わせ框、2Bc 内召し合わせ框、10 錠装置、11 クレセント受け、20 台座、21 補強部材、21i 支持突起、21j 支持脚部、21k ネジ支持部、22 カバー部材、30 皿部材、30a 基板部、30b 鎌部、30c 貫通孔、30h 軸支持部、40 軸部材、40a 細径部、40b 太径部、40d 段部、50 検知レバー、S 取付ネジ、Sb 頭部