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特開2024-61969画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061969
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20240430BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
H04N7/18 D
H04N1/00 127A
H04N7/18 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169650
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】峯邑 隆司
(72)【発明者】
【氏名】会津 宏幸
【テーマコード(参考)】
5C054
5C062
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054DA09
5C054EA01
5C054EA03
5C054FC12
5C054FC13
5C054GB02
5C054HA19
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA25
5C062AA35
5C062AB20
5C062AB25
5C062AB38
5C062AB41
5C062AB42
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC03
5C062AC22
5C062AC23
5C062AC58
5C062AF15
(57)【要約】
【課題】限られたリソースで低解像度画像と、高解像度画像とをそれぞれ伝送する。
【解決手段】実施形態の画像処理装置は、撮像部と、記憶部と、検出部と、制御部と、を備える。前記撮像部は、撮像画像を取得する。前記記憶部は、前記撮像画像を記憶する。前記検出部は、前記撮像部の撮像範囲から動体を検出する。前記制御部は、前記動体が検出された場合に、前記撮像画像から低解像度画像を生成する処理と、当該低解像度画像を伝送させる処理とを含む低解像度処理を処理回路に実行させ、前記動体が検出されていない場合に、前記記憶部に記憶された前記撮像画像から高解像度画像を生成する処理と、当該高解像度画像を伝送させる処理とを含む高解像度処理を前記処理回路に実行させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像画像を取得する撮像部と、
前記撮像画像を記憶する記憶部と、
前記撮像部の撮像範囲から動体を検出する検出部と、
前記動体が検出された場合に、前記撮像画像から低解像度画像を生成する処理と、当該低解像度画像を伝送させる処理とを含む低解像度処理を処理回路に実行させ、前記動体が検出されていない場合に、前記記憶部に記憶された前記撮像画像から高解像度画像を生成する処理と、当該高解像度画像を伝送させる処理とを含む高解像度処理を前記処理回路に実行させる制御部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記低解像度処理が実行されていない場合に、前記高解像度処理を実行させる、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記動体が検出された場合に、前記高解像度処理を停止し、前記低解像度処理を実行させる、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記動体が検出された場合に、前記高解像度処理を停止し、前記高解像度処理の途中のデータを前記記憶部に記憶させ、前記低解像度処理が終了した場合に、当該データを用いて前記高解像度処理を再開させる、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記高解像度処理において、前記低解像度処理の伝送速度以下で、前記高解像度画像を伝送する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記低解像度処理の処理速度以下で、前記高解像度処理を実行する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記高解像度画像の伝送を要求する高解像度画像伝送要求を受信する通信部を更に備え、
前記通信部は、前記高解像度画像伝送要求を受信してから所定期間内に、前記高解像度画像を送信することができない場合に、伝送不可を示す伝送不可応答を送信させる、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記検出部により前記動体が検出された日時を示すログを生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記ログを送信する送信部とを更に備える、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
他の画像処理装置から動体を検出したことを示す検出情報を受信する受信部を更に備え、
前記制御部は、前記検出情報に基づいて、前記低解像度処理、又は前記高解像度処理を実行させる、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項10】
撮像部により撮像された撮像画像を取得し、
前記撮像画像を記憶し、
前記撮像部の撮像範囲から動体を検出し、
前記動体が検出された場合に、前記撮像画像から低解像度画像を生成する処理と、当該低解像度画像を伝送させる処理とを含む低解像度処理を処理回路に実行させ、前記動体が検出されていない場合に、記憶部に記憶された前記撮像画像から高解像度画像を生成する処理と、当該高解像度画像を伝送させる処理とを含む高解像度処理を前記処理回路に実行させる、
ことを含む画像処理方法。
【請求項11】
撮像画像を取得する撮像部と、前記撮像画像を記憶する記憶部と、を備える画像処理装置を、
前記撮像部の撮像範囲から動体を検出する検出部と、
前記動体が検出された場合に、前記撮像画像から低解像度画像を生成する処理と、当該低解像度画像を伝送させる処理とを含む低解像度処理を処理回路に実行させ、前記動体が検出されていない場合に、前記記憶部に記憶された前記撮像画像から高解像度画像を生成する処理と、当該高解像度画像を伝送させる処理とを含む高解像度処理を前記処理回路に実行させる制御部と、
して機能させるための画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像処理装置は、監視カメラ等により撮像された撮像画像から低解像度画像を生成する。そして、画像処理装置は、低解像度画像をサーバ装置に伝送していた。また、サーバ装置は、AI(Artificial Intelligence)等による画像分析を実行する場合がある。サーバ装置は、低解像度画像よりも解像度が高い高解像度画像を用いることで画像分析の精度を高めることができる。
【0003】
そのため、画像処理装置は、低解像度画像と高解像度画像とをサーバ装置に伝送することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-243289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、画像処理装置は、低解像度画像の生成および伝送と、高解像度画像の生成および伝送と、の両方を同時に実行可能なリソースを有すると製造コストが高くなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、限られたリソースで低解像度画像と、高解像度画像とをそれぞれ伝送する画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の画像処理装置は、撮像部と、記憶部と、検出部と、制御部と、を備える。前記撮像部は、撮像画像を取得する。前記記憶部は、前記撮像画像を記憶する。前記検出部は、前記撮像部の撮像範囲から動体を検出する。前記制御部は、前記動体が検出された場合に、前記撮像画像から低解像度画像を生成する処理と、当該低解像度画像を伝送させる処理とを含む低解像度処理を処理回路に実行させ、前記動体が検出されていない場合に、前記記憶部に記憶された前記撮像画像から高解像度画像を生成する処理と、当該高解像度画像を伝送させる処理とを含む高解像度処理を前記処理回路に実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態の画像処理システムの概略の一例を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る画像処理装置が有する機能の一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る画像処理装置が実行する切替処理の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、第1の実施形態に係る画像処理装置が実行するメモリ制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを詳細に説明する。なお、以下の各実施形態および変形例における説明において、同一の符号が付されている部分は実質的に同一の機能を有しており、重複部分については適宜説明を省略する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の画像処理システム1の概略の一例を示す図である。画像処理システム1は、サーバ装置10、複数の画像処理装置20、記憶装置30、及び表示装置40を備える。そして、サーバ装置10、画像処理装置20、記憶装置30、及び表示装置40は、ネットワーク50を介して通信可能に接続される。図1に示す画像処理システム1は、2台の画像処理装置20を有している。しかしながら、画像処理システム1が有する画像処理装置20は、1台であってもよいし、3台以上であってもよい。また、画像処理システム1は、記憶装置30、又は表示装置40を有していなくてもよいし、図1に示されていない装置を有していてもよい。
【0011】
画像処理装置20は、撮像範囲に存在する物体を撮像することにより撮像画像を生成する。また、画像処理装置20は、撮像画像から低解像度画像又は高解像度画像を生成する。そして、画像処理装置20は、生成した低解像度画像又は高解像度画像をサーバ装置10に伝送する。
【0012】
サーバ装置10は、画像処理装置20から伝送された低解像度画像又は高解像度画像を受信する。サーバ装置10は、例えば低解像度画像を記録用の画像として記憶する。また、サーバ装置10は、例えば高解像度画像をAIによる画像分析に使用する。また、サーバ装置10は、エンコードされた高解像度画像の伝送を要求する高解像度画像伝送要求を画像処理装置20に送信する。
【0013】
記憶装置30は、画像処理装置20から伝送された低解像度画像及び高解像度画像を記憶する装置である。
【0014】
表示装置40は、画像処理装置20から伝送された低解像度画像及び高解像度画像を表示する装置である。
【0015】
次に、画像処理装置20のハードウェア構成について説明する。
【0016】
図2は、第1の実施形態に係る画像処理装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0017】
画像処理装置20は、制御部210、RAM(Random Access Memory)220、ROM(Read Only Memory)230、撮像部240、バッファメモリ250、画像記憶部260、画像処理部270、エンコード部280、及び伝送部290を備える。
【0018】
制御部210は、CPU(Central Processing Unit)等の画像処理装置20を統括的に制御するプロセッサである。RAM220は、各種プログラムやパラメータを記憶する不揮発性の主記憶装置である。ROM230は、制御部210の作業領域を提供する揮発性の補助記憶装置である。制御部210は、ROM230等に記憶されたプログラムに従い、RAM220をワーキングエリアに使用して各種演算処理を実行する。
【0019】
撮像部240は、画像センサである。言い換えると、撮像部240は、撮像範囲に存在する物体を撮像するカメラである。撮像部240は、撮像することにより撮像画像を取得する。そして、撮像部240は、撮像画像をバッファメモリ250に記憶する。
【0020】
バッファメモリ250は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などのデータの書き込み及び読み出しが比較的高速な記憶媒体である。バッファメモリ250は、撮像部240により撮像された撮像画像を一時保存する揮発性の記憶媒体である。
【0021】
画像記憶部260は、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)、又はフラッシュメモリなどのデータの書き込み及び読み出しが比較的に低速な記憶媒体である。画像記憶部260は、撮像画像を記憶する。また、画像記憶部260は、高解像度画像の生成から伝送までにおいて中断した場合に、処理途中のデータを記憶する。すなわち、画像記憶部260は、バッファメモリ250からのデータを保存する場合と、画像処理部270、エンコード部280および伝送部290の処理途中のデータを保存する場合とがある。
【0022】
画像処理部270は、低解像度画像又は高解像度画像を生成する画像処理を実行する回路である。さらに詳しくは、画像処理部270は、低解像度画像を生成する。また、画像処理部270は、規定の条件が満たされた場合に、高解像度画像を生成する。規定の条件とは、例えば、サーバ装置10から高解像度画像伝送要求を受信しており、撮像範囲を動く動体が検出されず、且つ、低解像度画像の伝送が完了していることである。
【0023】
さらに詳しくは、画像処理部270は、差分画像生成部271、動き判定部272、及び画像生成部273を備える。
【0024】
差分画像生成部271は、異なる時点で撮像された少なくとも2つの撮像画像から生成した、差分画像を生成する。例えば、差分画像生成部271は、直近に撮像された撮像画像と、この撮像画像よりも過去に撮像された撮像画像との差分画像を生成する。
【0025】
動き判定部272は、撮像部240の撮像範囲に動体が存在するか否かを判定する。ここで、動体とは、動く物体である。例えば、動体とは、人や動物や機械等である。さらに詳しくは、動き判定部272は、差分画像に基づいて、撮像部240の撮像範囲に動体が存在するか否かを判定する。動き判定部272は、差分画像が示す差分が閾値以上の場合に、撮像部240の撮像範囲に動体が存在すると判定する。また、動き判定部272は、差分画像が示す差分が閾値未満の場合に、撮像部240の撮像範囲に動体が存在しないと判定する。
【0026】
画像生成部273は、撮像画像に基づいて、高解像度画像、又は低解像度画像を生成する。低解像度画像とは、撮像画像の解像度を低下させた画像である。例えば、画像生成部273は、複数の画素の和をとるとともに、複数の画素の占める面積を1つの画素で置き換える処理をする。画像処理で使われるアフィン変換を利用して低解像度画像を生成してもよいことはもちろんである。
【0027】
高解像度画像とは、低解像度画像よりも解像度が高い画像である。言い換えると、高解像度画像とは、撮像画像の解像度を低下させていない画像としてもよい。例えば、画像生成部273は、撮像画像から特定の部分を切り出すなどにより高解像度画像を生成してもよいし、低解像度画像と同じ撮影エリアをカバーする高解像度画像を想定してもよい。いずれにせよ、高解像度画像とは、低解像度画像より、データ量が大きい画像である。
【0028】
エンコード部280は、画像生成部273により生成された高解像度画像、又は低解像度画像をエンコードすることで規定の形式の画像を生成する回路または、ソフトウエア上の機能である。例えば、エンコード部280は、JPEG、GIF、TIFF、PNGなどの形式の画像を生成する。さらに詳しくは、エンコード部280は、画像生成部273により生成された高解像度画像をエンコードすることで高解像度エンコード画像を生成する。また、エンコード部280は、画像生成部273により生成された低解像度画像をエンコードすることで低解像度エンコード画像を生成する。
【0029】
伝送部290は、ネットワーク50を介して、サーバ装置10、記憶装置30、及び表示装置40との通信を実行する回路またはソフトウエアによる機能ブロックである。ここでは、データ伝送に必要なヘッダー情報を付与する。例えば、伝送部290は、通信インタフェースである。
【0030】
伝送部290による伝送線路については、その帯域が問題になる。複数の画像処理装置20が中継器(図示せず)を介して接続した場合、中継器の入力側あるいは、中継器の後段の伝送線路の帯域がボトルネックとなり、画像の伝送が滞ってしまう場合がある。したがって、画像処理装置20から伝送する低解像度画像および高解像度画像のデータサイズと送出レートにより、1台の画像処理装置20からの送出データ量が決まる。中継器を介して接続されている画像処理装置20間で同期をとっている場合でも、負荷の平準化はされるものの同様のことが発生する。このような場合には、送出レートを下げることが必要となる。
【0031】
ここで、1枚の高解像度画像の生成、エンコード及び伝送に必要な時間をΔTとする。また、ΔT時間の間に、ある確率ρで動体を検出する場合に、高解像度画像の生成、エンコード、及び伝送作業の中断が発生し、処理が完了に要した時間をTとする。k枚目の高解像度画像の生成、エンコード、伝送の処理に必要な時間をΔT(k)にすると、この時間内に動体が検出され、高解像度処理から低解像度処理への切り替えに要する時間、及び再度低解像度処理から高解像度処理に切り替えに要する時間の和、すなわちオーバーヘッド時間をρ(k)とすると、数式(1)が成り立つ。
【0032】
【数1】
【0033】
オーバーヘッドが発生した場合の所用時間と、オーバーヘッドが発生しない場合の所用時間との比を、高解像度画像への変換効率ηと定義すれば、下記の数式(2)が成り立つ。この変換効率ηが100%から下がる分、オーバーヘッドに伴う電力の損失を生み出すことになる。この電力損失は、電池駆動の画像センサにおいては考慮すべき対象となるが、給電されている場合は考慮すべき問題とならない。
【0034】
【数2】
【0035】
次に、画像処理装置20が有する機能について説明する。
【0036】
図3は、第1の実施形態に係る画像処理装置20が有する機能の一例を示す図である。画像処理装置20の制御部210は、ROM230等に記憶されたプログラムに従い、RAM220をワーキングエリアに使用して各種処理を実行することで、図3に示す機能を実現する。すなわち、画像処理装置20は、通信制御部2001、撮像制御部2002、検出制御部2003、画像処理制御部2004、ログ生成部2005、及びバッファ制御部2006を有する。なお、これら機能は、集積回路などのハードウェアにより実現されてもよい。
【0037】
通信制御部2001は、伝送部290を制御することによりサーバ装置10、記憶装置30、及び表示装置40との通信を実行する。例えば、通信制御部2001は、撮像の開始を要求する撮像開始要求を受信する。
【0038】
また、通信制御部2001は、エンコードされた高解像度画像である高解像度エンコード画像の伝送を要求する高解像度画像伝送要求を受信する。通信制御部2001は、通信部の一例である。高解像度画像伝送要求には、伝送対象の高解像度エンコード画像を指定する情報が含まれていてもよい。例えば、高解像度画像伝送要求には、高解像度エンコード画像の元になる撮像画像が撮影された時間帯、高解像度エンコード画像の解像度、伝送する高解像度エンコード画像の枚数などを指定する情報が含まれていてもよい。
【0039】
また、通信制御部2001は、高解像度画像伝送要求を受信してから所定期間内に、高解像度エンコード画像を送信することができない場合に、伝送不可を示す伝送不可応答を送信する。
【0040】
撮像制御部2002は、撮像部240に撮像画像を撮像させる。例えば、撮像制御部2002は、通信制御部2001による撮像開始要求が受信された場合に、撮像部240に撮像を開始させる。これにより、撮像部240は、規定のフレームレートで撮像画像を撮像する。
【0041】
検出制御部2003は、撮像部240の撮像範囲から動体を検出する。検出制御部2003は、検出部の一例である。例えば、検出制御部2003は、動き判定部272による判定結果に基づいて、撮像範囲から動体を検出する。
【0042】
画像処理制御部2004は、検出制御部2003により動体が検出された場合に、撮像画像から低解像度画像を生成する処理と、低解像度画像を伝送させる処理とを含む低解像度処理を、画像処理部270、エンコード部280、及び伝送部290に実行させる。また、画像処理制御部2004は、検出制御部2003により動体が検出されていない場合に、バッファメモリ250又は画像記憶部260に記憶された撮像画像から高解像度画像を生成する処理と、高解像度画像を伝送させる処理とを含む高解像度処理を、画像処理部270、エンコード部280、及び伝送部290に実行させる。
【0043】
さらに詳しくは、画像処理制御部2004は、検出制御部2003により動体が検出された場合に、バッファメモリ250に記憶された撮像画像のうち最も古い撮像画像から低解像度画像を生成する処理を画像生成部273に実行させる。また、画像処理制御部2004は、画像生成部273により低解像度画像が生成された場合に、低解像度画像をエンコードすることにより低解像度エンコード画像をエンコード部280に生成させる。また、画像処理制御部2004は、エンコード部280により低解像度エンコード画像が生成された場合に、低解像度エンコード画像を伝送部290に送信させる。
【0044】
画像処理制御部2004は、通信制御部2001が高解像度画像伝送要求を受信し、且つ低解像度画像の生成から伝送までの低解像度処理が実行されていない場合に、高解像度処理を実行させる。すなわち、画像処理制御部2004は、通信制御部2001が高解像度画像伝送要求を受信した場合に、低解像度処理が実行されているか否かを判定する。画像処理制御部2004は、低解像度処理が実行されている場合に、低解像度処理が終了するまで待機する。
【0045】
画像処理制御部2004は、低解像度処理が実行されていない場合に、高解像度画像伝送要求で指定された条件に適合する撮像画像をバッファメモリ250又は画像記憶部260から取得する。画像処理制御部2004は、取得した撮像画像から高解像度画像を生成する処理を画像生成部273に実行させる。また、画像処理制御部2004は、画像生成部273により高解像度画像が生成された場合に、高解像度画像をエンコードすることにより高解像度エンコード画像をエンコード部280に生成させる。また、画像処理制御部2004は、エンコード部280により高解像度エンコード画像が生成された場合に、高解像度エンコード画像を伝送部290に送信させる。
【0046】
このようにして、画像処理制御部2004は、バッファメモリ250又は画像記憶部260に記憶された撮像画像から高解像度画像を生成する処理と、高解像度画像を伝送させる処理とを含む高解像度処理を実行する。
【0047】
また、画像処理制御部2004は、高解像度処理の実行中に、検出制御部2003により動体が検出された場合に、高解像度処理を停止し、低解像度処理を実行させる。すなわち、画像処理制御部2004は、低解像度処理を優先して実行させる。さらに詳しくは、画像処理制御部2004は、高解像度処理の実行中において、検出制御部2003により動体が検出された場合に、高解像度処理の途中のデータを画像記憶部260に記憶する。また、画像処理制御部2004は、低解像度処理を実行する。そして、画像処理制御部2004は、低解像度処理が終了した場合に、画像記憶部260に記憶したデータを用いて高解像度処理を再開する。
【0048】
また、画像処理制御部2004は、低解像度処理が実行されており、設定時間内に高解像度処理を実行できない場合に、低解像度処理が実行されているために高解像度画像を伝送することができないことを示す伝送不可応答を送信する。
【0049】
また、高解像度処理は、低解像度処理以下の処理速度となる。また、高解像度処理は、低解像度処理以下の伝送速度となる。すなわち、画像処理制御部2004は、高解像度処理において、低解像度処理の伝送速度以下で、高解像度画像を伝送部290に伝送させる、また、画像処理制御部2004は、低解像度処理の処理速度以下で、高解像度処理を実行させる。
【0050】
また、画像処理制御部2004は、他の画像処理装置20による動体の検出結果に基づいて、低解像度処理、又は高解像度処理を実行させてもよい。ここで、動体を頻繁に検出する場合、画像処理制御部2004は、高解像度処理と低解像度処理との切り替えを頻繁に行うことになる。この場合に、画像処理制御部2004は、オーバーヘッドが増加することになる。すなわち、画像処理装置20は、消費電力が増加することになる。そして、撮像範囲が隣接している画像処理装置20で動体が検出された場合に、画像処理装置20は、動体を検出する可能性が高い。すなわち、画像処理制御部2004は、高解像度処理を中止し、低解像度処理を開始する可能性が高い。
【0051】
そこで、通信制御部2001は、他の画像処理装置20から動体を検出したことを示す検出情報を受信してもよい。通信制御部2001は、受信部の一例である。そして、画像処理制御部2004は、通信制御部2001が受信した検出情報に基づいて、低解像度処理、又は高解像度処理を実行させる。すなわち、画像処理制御部2004は、通信制御部2001が検出情報を受信した場合に、高解像度処理の開始を待機してもよい。これにより、画像処理制御部2004は、オーバーヘッドの増加を抑制し、消費電力の増加を抑制することができる。
【0052】
ログ生成部2005は、検出制御部2003により動体が検出された日時を示すログを生成する。ログ生成部2005は、生成部の一例である。ここで、動体の検出日時と、動体の検出日時との間は、動体が検出されていない期間を示す。すなわち、ログ生成部2005は、検出制御部2003により動体が検出されていない期間を示すログを生成する。そして、通信制御部2001は、ログ生成部2005により生成されたログを送信する。通信制御部2001は、送信部の一例である。例えば、通信制御部2001は、サーバ装置10に送信する。
【0053】
ここで、検出制御部2003により動体が検出されない場合に、画像処理制御部2004は、高解像度処理を実行し、低解像度処理を実行しない。すなわち、低解像度画像は、生成されず、伝送されない。低解像度画像が無いため、ユーザは、不具合などにより低解像度画像が生成されなかったのか、高解像度処理の期間に動体が無かったのかを判断することができない。そこで、ログ生成部2005は、動体が検出された期間を示すログをサーバ装置10に伝送する。ユーザは、ログにより、高解像度処理の期間に動体が無かったことを確認することができる。
【0054】
バッファ制御部2006は、バッファメモリ250および画像記憶部260におけるデータの保管を制御する。ここで、バッファメモリ250は、撮像部240により撮像画像が撮像される毎に、撮像画像を記憶する。バッファ制御部2006は、バッファメモリ250に記憶可能な残りの容量が閾値未満になった場合に、バッファメモリ250に記憶された撮像画像を画像記憶部260に記憶させる。これにより、バッファ制御部2006は、バッファメモリ250がオーバーフローしてしまうことを抑制する。
【0055】
また、バッファ制御部2006は、バッファメモリ250に記憶可能な残りの容量が閾値未満になった場合に、不要なデータを削除する。不要なデータとは、例えば、サーバ装置10に伝送済みの画像や、一時的なデータである。例えば、一時的なデータは、高解像度処理を中断した場合に、画像記憶部260に記憶されるデータである。このようなデータは、再度、高解像度処理を実行することで取得することができる。これまで述べたブロック図は、構成、機能を説明し、その実現手段としてHWによる専用の回路、各種制御回路を実装したワンチップに実装したSoC(System On a Chip)、またはソフトウエア上の処理により実現する方法であってもよい。
【0056】
次に、第1の実施形態に係る画像処理装置20が実行する切替処理について説明する。
【0057】
図4は、第1の実施形態に係る画像処理装置20が実行する切替処理の一例を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートは、高解像度処理と低解像度処理との切り替えを説明するための図である。
【0058】
通信制御部2001は、高解像度画像伝送要求を受信したか否かを判定する(ステップS1)。高解像度画像伝送要求を受信していない場合に(ステップS1;No)、画像処理装置20は、切替処理を終了する。
【0059】
高解像度画像伝送要求を受信した場合に(ステップS1;Yes)、検出制御部2003は、撮像部240の撮像範囲から動体を検出したか否かを判定する(ステップS2)。動体を検出した場合(ステップS2;No)、画像処理装置20は、ステップS1に移行する。
【0060】
動体を検出しない場合(ステップS2;Yes)、画像処理制御部2004は、高解像度画像伝送要求により指定された条件に適合する撮像画像が有るか否かを判定する(ステップS3)。すなわち、画像処理制御部2004は、指定された条件に適合する撮像画像がバッファメモリ250又は画像記憶部260に記憶されているか否かを判定する。指定された条件に適合する撮像画像が無い場合に(ステップS3;No)、画像処理装置20は、ステップS2に移行する。
【0061】
指定された条件に適合する撮像画像が有る場合に(ステップS3;Yes)、画像処理制御部2004は、低解像度処理が終了しているか否かを判定する(ステップS4)。低解像度処理が終了していない場合に(ステップS4;No)、画像処理装置20は、ステップS2に移行する。
【0062】
低解像度処理が終了している場合に(ステップS4;Yes)、画像処理制御部2004は、低解像度処理のリソースを開放する(ステップS5)。
【0063】
画像処理制御部2004は、高解像度処理を実行する(ステップS6)。
【0064】
検出制御部2003は、撮像部240の撮像範囲から動体を検出したか否かを判定する(ステップS7)。動体を検出した場合(ステップS7;Yes)、画像処理制御部2004は、高解像度処理のリソースを開放する(ステップS8)。
【0065】
画像処理制御部2004は、低解像度処理を実行する(ステップS9)。そして、画像処理装置20は、ステップS2に移行する。
【0066】
ステップS7において、動体を検出しない場合(ステップS7;No)、画像処理制御部2004は、高解像度処理が終了したか否かを判定する(ステップS10)。高解像度処理が終了していない場合に(ステップS10;No)、画像処理制御部2004は、ステップS6において高解像度処理を継続する。
【0067】
高解像度処理が終了した場合に(ステップS10;Yes)、画像処理装置20は、切替処理を終了する。
【0068】
次に、第1の実施形態に係る画像処理装置20が実行するメモリ制御処理について説明する。
【0069】
図5は、第1の実施形態に係る画像処理装置20が実行するメモリ制御処理の一例を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートは、バッファメモリ250及び画像記憶部260の処理を説明するための図である。
【0070】
バッファ制御部2006は、バッファメモリ250の残りの空き容量が閾値未満であるか否かを判定する(ステップS21)。バッファメモリ250の残りの空き容量が閾値以上の場合に(ステップS21;No)、バッファ制御部2006は、待機する。
【0071】
バッファメモリ250の残りの空き容量が閾値未満の場合に(ステップS21;Yes)、バッファ制御部2006は、撮像部240により撮像された撮像画像があるか否かを判定する(ステップS22)。すなわち、バッファ制御部2006は、バッファメモリ250に新たに記憶する撮像画像が有るか否かを判定する。バッファメモリ250に新たに記憶する撮像画像が無い場合に(ステップS22;No)、バッファ制御部2006は、ステップS25に移行する。
【0072】
バッファメモリ250に新たに記憶する撮像画像が有る場合に(ステップS22;Yes)、バッファ制御部2006は、バッファメモリ250に記憶された撮像画像を画像記憶部260に移動する(ステップS23)。バッファ制御部2006は、撮像画像の移動に伴い、バッファメモリ250の一部を開放する(ステップS24)。
【0073】
バッファ制御部2006は、バッファメモリ250の残りの空き容量が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS25)。すなわち、バッファ制御部2006は、撮像画像の移動によりバッファメモリ250の残りの空き容量が閾値未満になったか否かを判定する。
【0074】
バッファメモリ250の残りの空き容量が閾値未満の場合に(ステップS25;No)、バッファ制御部2006は、ステップS23に移行する。
【0075】
バッファメモリ250の残りの空き容量が閾値以上の場合に(ステップS25;Yes)、バッファ制御部2006は、画像記憶部260の残りの空き容量が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS26)。
【0076】
画像記憶部260の残りの空き容量が閾値未満の場合に(ステップS26;No)、バッファ制御部2006は、画像記憶部260に記憶された不要なデータを削除することにより、画像記憶部260の一部を開放する(ステップS27)。そして、バッファ制御部2006は、ステップS26に移行する。
【0077】
画像記憶部260の残りの空き容量が閾値以上の場合に(ステップS26;Yes)、
バッファ制御部2006は、メモリ制御処理を終了する。
【0078】
以上のように、第1の実施形態に係る画像処理装置20は、撮像画像を取得し、撮像画像を記憶する。画像処理装置20は、撮像部240の撮像範囲から動体が検出された場合に、撮像画像から低解像度画像を生成する処理と、低解像度画像を伝送させる処理とを含む低解像度処理を画像処理部270、エンコード部280、及び伝送部290に実行させる。また、画像処理装置20は、動体が検出されていない場合に、画像記憶部260に記憶された撮像画像から高解像度画像を生成する処理と、高解像度画像を伝送させる処理とを含む高解像度処理を画像処理部270、エンコード部280、及び伝送部290に実行させる。
【0079】
このように、画像処理装置20は、動体が検出されない場合に、低解像度処理を停止してリソースを開放する。また、画像処理装置20は、開放されたリソースを活用して高解像度処理を実行する。したがって、画像処理装置20は、限られたリソースで低解像度画像と、高解像度画像とをそれぞれ伝送することができる。
【0080】
画像処理装置20は、低解像度画像の生成及び伝送と、高解像度画像の生成及び伝送とを実行することができる。しかしながら、低解像度画像と高解像度画像との撮像日時は同じでも、伝送される日時は一致しない。また、動体が検出された場合に、低解像度画像が保存され、動体が検出されない場合には低解像度画像は保存されない。また、高解像度画像はリアルタイムには伝送されず、蓄積された過去時刻の高解像度画像を伝送することに留意する。
【0081】
(変形例1)
第1の実施形態に係る画像処理装置20は、低解像度処理の実行中には高解像度処理を実行しない。また、画像処理装置20は、高解像度処理の実行中には低解像度処理を実行しないと説明した。しかしながら、変形例1に係る画像処理装置20は、低解像度処理の実行中に余裕がある場合に、高解像度処理を実行してもよい。また、画像処理装置20は、高解像度処理の実行中に余裕がある場合に、低解像度処理を実行してもよい。
【0082】
(変形例2)
変形例2に係る画像処理装置20は、高解像度処理の実行中に撮像画像をバッファメモリ250または画像記憶部260に記憶させる。そして、画像処理装置20は、高解像度処理が終了した場合に、バッファメモリ250または画像記憶部260に記憶した撮像画像に対して低解像度処理を実行してもよい。これにより、ユーザは、ログ生成部2005により生成されたログだけでなく、低解像度画像でも撮像範囲に動体が無いことを確認することができる。
【0083】
また、本実施形態の画像処理装置20で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、DVD(Digital Versatile Disk)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SSD(Solid State Drive)などの半導体記憶装置等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0084】
また、当該プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、当該プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0085】
また、当該プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0086】
1…画像処理システム、10…サーバ装置、20…画像処理装置、30…記憶装置、40…表示装置、50…ネットワーク、210…制御部、220…RAM(Random Access Memory)、230…ROM(Read Only Memory)、240…撮像部、250…バッファメモリ、260…画像記憶部、270…画像処理部、280…エンコード部、290…伝送部、271…差分画像生成部、272…動き判定部、273…画像生成部、2001…通信制御部、2002…撮像制御部、2003…検出制御部、2004…画像処理制御部、2005…ログ生成部、2006…バッファ制御部。
図1
図2
図3
図4
図5