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特開2024-61974貯鉱設備用のトンネル構造体及び貯鉱設備
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  • 特開-貯鉱設備用のトンネル構造体及び貯鉱設備 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061974
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】貯鉱設備用のトンネル構造体及び貯鉱設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 69/34 20060101AFI20240430BHJP
   B65G 65/42 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
B65G69/34
B65G65/42 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169661
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】593213342
【氏名又は名称】株式会社日向製錬所
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】鶴川 和也
【テーマコード(参考)】
3F075
3F078
【Fターム(参考)】
3F075AA07
3F075BA01
3F075BB01
3F075CA06
3F075CA08
3F075CC08
3F075DA30
3F078AA06
3F078DB05
3F078EA18
3F078EA20
(57)【要約】
【課題】開放された上面がグラウンドレベルにある溝状のトンネルにベルトコンベアや貯鉱ホッパー等が配備されてなる貯鉱設備において、鉱石を装入する重機の当該設備への衝突を防止すること。
【解決手段】貯鉱設備用のトンネル構造体1を、上面側が開放されている溝型のコンクリート構造物からなり、少なくとも側壁12の上端近傍の一部を除いた部分がグラウンドレベルGLより下方に埋設されていて、溝型のコンクリート構造物の一部であって、側壁12の上端近傍部のグラウンドレベルGL上に露出している部分が、車止めブロック部13を形成している、トンネル構造体1とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯鉱設備用のトンネル構造体であって、
上面側が開放されている溝型のコンクリート構造物からなり、
少なくとも側壁の上端近傍の一部を除いた部分がグラウンドレベルより下方に埋設されていて、
前記溝型のコンクリート構造物の一部であって、前記側壁の上端近傍部の前記グラウンドレベル上に露出している部分が、車止めブロック部を形成している、
トンネル構造体。
【請求項2】
前記車止めブロック部の前記グラウンドレベルからの高さが、0.5m以上1.3m以下である、
請求項1に記載のトンネル構造体。
【請求項3】
前記車止めブロック部の外側の面が、傾斜角度60°以上80°以下の傾斜面である、
請求項1又は2に記載のトンネル構造体。
【請求項4】
板状の落鉱防止スカートが、前記車止めブロック部の上部に、上端側が前記トンネル構造体の内部側に向けて傾いている傾斜で設置されている、
請求項1又は2に記載のトンネル構造体。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のトンネル構造体によって構成されているトンネル状の貯鉱設備であって、
前記トンネル構造体の床面に設置されているコンベアを備える、
貯鉱設備。
【請求項6】
前記トンネル構造体の上面側の開口を挿通する態様で設置されている貯鉱ホッパーを備え、板状の落鉱防止スカートが、前記貯鉱ホッパーの開口部の周縁と前記トンネル構造体の前記側壁との間の隙間を覆う態様で前記車止めブロック部の上部に設置されている、
請求項5に記載の貯鉱設備。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯鉱設備用のトンネル構造体及び貯鉱設備に関する。本発明は、詳しくは、開放された上面がグラウンドレベルにある溝状のトンネルである貯鉱設備用のトンネル構造体、及び、当該貯鉱設備用のトンネル構造体にベルトコンベアや貯鉱ホッパー等が配備されてなる貯鉱設備に関する。
【背景技術】
【0002】
一例として、フェロニッケル製錬等の乾式製錬を行う工業設備には、原料鉱石を受け入れて貯鉱するとともに、必要に応じて当該鉱石を定量切り出しして次工程に搬送する貯鉱設備が、上記工業設備の敷地内に設けられている。このような貯鉱設備は、多くの場合において、開放された上面がグラウンドレベルにある溝状のトンネルと、当該トンネル内に配備される、貯鉱ホッパー、エプロンフィーダー、及び、ベルトコンベア等によって構成されている(図1参照)。
【0003】
このように構成された貯鉱設備において、原料鉱石の貯鉱ホッパー内への装入作業は、通常、パワーショベル等の重機を用いて行われる。具体的には、重機のバケット内に鉱石を保持した状態で貯鉱ホッパーに近づき、貯鉱ホッパーに近接した適当な位置で重機を停止させ、停止位置においてバケットを回転させて、鉱石を貯鉱ホッパー内に落下させることにより上記装入作業が行われる。しかしながら、このような装入作業を行うときの重機の停止位置の判断は、重機の運転者の経験値に依存するところとなっている。従って、運転者の経験が不足している場合や、運転者に不注意が生じた場合等に、停止位置のバラツキに起因して貯鉱設備(例えば、貯鉱ホッパーの側面等)に、重機を衝突させてしまうリスクがあった。
【0004】
既存の貯鉱設備においては、貯鉱ホッパーの重機が接近する側の面に近接させて、トンネル内への鉱石の落下を防止する落鉱防止板としても機能する衝突防止板が設けられている。しかしながら、このような既存の衝突防止板(落鉱防止板)は、薄板状の鋼板で作成されているため、上記の停止位置のバラツキに起因してパワーショベル等の重機が衝突したときには、容易に変形して落鉱防止板としての機能も失われてしまう問題があった。
【0005】
例えば、特許文献1には、貯鉱ホッパーへの鉱石の装入時の装入開口面の外側への落石を防止するための工夫として、開口面の側辺に回動展開可能に落鉱防止板を設けた貯鉱ホッパーが提案されている。しかしながら、当該構成の如き落鉱防止板の設置によっては、上記課題を解決し得ないことが明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6-286883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、開放された上面がグラウンドレベルにある溝状のトンネルにベルトコンベアや貯鉱ホッパー等が配備されてなる貯鉱設備において、鉱石を装入する重機の当該設備への衝突を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、貯鉱設備を構成する溝型のコンクリート構造物であるトンネル構造体の一部としてグラウンドレベル上に露出している部分に車止めブロック部を形成することにより、上記課題を解決できることに想到し、本発明を完成させるに至った。本発明は、具体的には、以下のものを提供する。
【0009】
(1) 貯鉱設備用のトンネル構造体であって、上面側が開放されている溝型のコンクリート構造物からなり、少なくとも側壁の上端近傍の一部を除いた部分がグラウンドレベルより下方に埋設されていて、前記溝型のコンクリート構造物の一部であって、前記側壁の上端近傍部の前記グラウンドレベル上に露出している部分が、車止めブロック部を形成している、トンネル構造体。
【0010】
(1)のトンネル構造体によれば、開放された上面がグラウンドレベルにある溝状のトンネルにベルトコンベアや貯鉱ホッパー等が配備されてなる貯鉱設備において、鉱石を装入する重機の当該設備への衝突を防止することができる。
【0011】
(2) 前記車止めブロック部の前記グラウンドレベルからの高さが、0.5m以上1.3m以下である、(1)に記載のトンネル構造体。
【0012】
(2)のトンネル構造体によれば、開放された上面がグラウンドレベルにある溝状のトンネルにベルトコンベアや貯鉱ホッパー等が配備されてなる貯鉱設備において、鉱石を装入する重機の当該設備への衝突をより確実に防止することができる。
【0013】
(3) 前記車止めブロック部の外側の面が、傾斜角度が60°以上80°以下の傾斜面である、(1)又は(2)に記載のトンネル構造体。
【0014】
(3)のトンネル構造体によれば、開放された上面がグラウンドレベルにある溝状のトンネルにベルトコンベアや貯鉱ホッパー等が配備されてなる貯鉱設備において、鉱石を装入する重機のタイヤを受け止めたときに生じる衝撃をより良好に緩和しやすくなる。
【0015】
(4) 板状の落鉱防止スカートが、前記車止めブロック部の上部に、上端側が前記トンネル構造体の内部側に向けて傾いている傾斜で設置されている、(1)又は(2)に記載のトンネル構造体。
【0016】
(4)のトンネル構造体によれば、(1)又は(2)のトンネル構造体において、鉱石を装入する重機の貯鉱ホッパーの側面等への衝突を防止することができることに加えて、トンネル構造体の内部への落鉱も防止することができる。
【0017】
(5) (1)又は(2)に記載のトンネル構造体によって構成されているトンネル状の貯鉱設備であって、前記トンネル構造体の床面に設置されているコンベアを備える、貯鉱設備。
【0018】
(5)の貯鉱設備によれば、開放された上面がグラウンドレベルにある溝状のトンネルにベルトコンベアが設置されてなるトンネル状の貯鉱設備において、鉱石を装入する重機の当該設備への衝突を防止することができる。
【0019】
(6) 前記トンネル構造体の上面側の開口を挿通する態様で設置されている貯鉱ホッパーを備え、板状の落鉱防止スカートが、前記貯鉱ホッパーの開口部の周縁と前記トンネル構造体の前記側壁との間の隙間を覆う態様で前記車止めブロック部の上部に設置されている、(5)に記載の貯鉱設備。
【0020】
(6)の貯鉱設備によれば、開放された上面がグラウンドレベルにある溝状のトンネルにベルトコンベアが設置されてなるトンネル状の貯鉱設備において、鉱石を装入する重機の貯鉱ホッパーの側面等への衝突を防止することができることに加えて、トンネル内への落鉱も防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、開放された上面がグラウンドレベルにある溝状のトンネルにベルトコンベアや貯鉱ホッパー等が配備されてなる貯鉱設備において、鉱石を装入する重機の当該設備への衝突を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明のトンネル構造体及び貯鉱設備の構成を模式的に示す断面図である。
図2図1に示す貯鉱設備における鉱石の搬入作業の実施態様の説明に供する図面である。
図3図2の部分拡大図であり、本発明のトンネル構造体の有する車止めブロック部の形状・大きさ・配置の説明に供する図面である。
図4】本発明のトンネル構造体の有する落鉱防止スカートの形状・大きさ・配置の説明に供する図面である。
図5】本発明のトンネル構造体においてグラウンドレベル上に露出している部分の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について説明する。但し、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0024】
<貯鉱設備>
図1は、本発明の好ましい実施形態の一例である貯鉱設備10の構成を模式的に示す断面図である。同図に示す通り、貯鉱設備10は、トンネル構造体1によって構成されているトンネル状の貯鉱設備である。又、貯鉱設備10は、上面側が開放されている溝型のコンクリート構造物からなるトンネル構造体1と、トンネル構造体1の床面11に設置されていて、鉱石を次工程に水平搬送するベルトコンベア等のコンベア3を備える工業設備である。又、貯鉱設備10には、鉱石を受け入れて貯留する貯鉱ホッパー2が設置されていることが好ましく、貯鉱ホッパー2の下部には貯鉱ホッパー2の下端部開口から排出される鉱石を所定量だけ切り出すエプロンフィーダー等のフィーダー4が設けられていることが好ましい。
【0025】
又、貯鉱設備10においては、図1に示すように、トンネル構造体1の側壁12の上部に形成されている車止めブロック部13(詳細は後述する)の更に上部に、板状の落鉱防止スカート14が、貯鉱ホッパー2の開口部の周縁とトンネル構造体1の側壁12との間の隙間を覆う態様で設置されていることがより好ましい。
【0026】
尚、貯鉱設備10においては、例えば、トンネル構造体1の側壁12の上部において車止めブロック部13及び落鉱防止スカート14が存在しない範囲に、落鉱防止スカート14とは別途に、トンネル構造体1の内部への落鉱を防止するための落鉱防止壁(図示せず)を設置してもよい。落鉱防止壁も、上記範囲において、コンクリート構造物の延在方向に沿って設置するようにする。これにより、鉱石が車止めブロック部13及び落鉱防止スカート14が存在しない範囲に落下した場合であっても、その鉱石がトンネル構造体1の内部に落鉱してしまうことを防ぐことができる。
【0027】
図1に示すように、貯鉱設備10を構成するトンネル構造体1は、その大部分が地面或いは設置場所の床面(本明細書においては、これらの面の高さのことを合わせて、「グラウンドレベル(グラントレベルGL)」と称する)よりも下方に埋設される形で配置されている。より詳しくは、トンネル構造体1は、少なくとも、トンネルの延在方向に沿って立設されている一対の側壁12の上端近傍の一部を除いた大部分がグラウンドレベルGLよりも下方に埋設されている。
【0028】
そして、図1に示すように、貯鉱設備10を構成するトンネル構造体1以外の上記の各工業装置のうち、貯鉱ホッパー2については、その下端部の開口がトンネル構造体1の上面側の開口よりも下方に配置され、尚且つ、その上端部(即ち、上面側の開口)が、トンネル構造体1の上面側の開口よりも上方に配置される態様で設置されている。つまり、貯鉱ホッパー2は、溝型のコンクリート構造物からなるトンネル構造体1の上面側の開口を挿通する態様(即ち、トンネル構造体1の内部に下半分のみを収容する態様)で設置されている。一方、コンベア3及びフィーダー4については、トンネル構造体1の内部にその全体が収容される態様で設置されている。
【0029】
[トンネル構造体]
貯鉱設備用のトンネル構造体であって、貯鉱設備10を構成するトンネル構造体1は、床面11と一対の対面する側壁12を有し、側壁12の上端に囲まれた上面側の少なくとも一部或いは全部が開放されている略コの字型の断面を有し、所定の方向(例えば、コンベア3の搬送方向)に沿って延在する溝型のコンクリート構造物である。上述の通り、トンネル構造体1は、その大部分がグラウンドレベルGLよりも下方に(地中等に)埋設される態様で配置されている。つまり、トンネル構造体1は、その側壁12の上端部がグラウンドレベルGLに概ね一致する態様で埋設されている。
【0030】
(車止めブロック部)
上記態様で埋設されている溝型のコンクリート構造物であるトンネル構造体1は、コンクリート構造物全体のうち、一方の側壁12の上端近傍部であってグラウンドレベルGL上に露出している部分に、車止めブロック部13が形成されていることを主たる特徴とする。車止めブロック部13は、溝型のコンクリート構造物であるトンネル構造体1の延在方向(長手方向)に沿って、トンネル構造体1の上面側の開口部の縁部に当該トンネル構造体1(コンクリート構造物)の一部として一体的に形成されている。このように、コンクリート構造物の一部として一体的に形成することにより、重機等の衝突による衝撃にも十分に耐えるだけでの強度を、車止めブロック部13に確実且つ容易に備えさせることができる。
【0031】
車止めブロック部13の大きさ・形状は、貯鉱設備10において用いられるパワーショベル等の重機5のタイヤ52が接触した時に当該重機の進行をくい止めることができる大きさ・形状であればよく、その限りにおいて、特定の大きさ・形状に限定されない。但し、車止めブロック部13の高さについては、図3に示す通り、グラウンドレベルGLから車止めブロック部13の上面までの高さhが、貯鉱設備10で使用するパワーショベル等の重機5(図2参照)のタイヤ52の直径Rの1/3以上2/3以下となるようにすることが好ましい。これにより、重機5のタイヤ52の受け止めを行いやすくなり、重機5のタイヤ52が車止めブロック部13を乗り越えて貯鉱設備10を構成するその他の部分(貯鉱ホッパー2の側壁等)に衝突することを回避できる。貯鉱ホッパー2の上面の開口部からの鉱石の装入する重機5が、一般的なサイズのパワーショベルであれば、グラウンドレベルGLから車止めブロック部13の上面までの高さhは、0.5m以上1.3m以下の範囲とすることが好ましい。
【0032】
又、車止めブロック部13は、図3に示すように、車止めブロック部13をトンネル構造体1の側壁12の一部とみなした場合における外側の面を、下方に向けて広がる傾斜面とすることが好ましい。このために、車止めブロック部13は、図1に示す通り、トンネル構造体1の長手方向に直交する断面の形状が、下方に向けて広がる略台形形状となるように形成されていることが好ましい。車止めブロック部13の外側の面を傾斜面とすることによって、重機5に不要な衝撃を与えずにその車輪を受け止めて、重機を円滑に停止させることができる。又、車止めブロック部13の上記傾斜面の傾斜角度α(図3参照)は、60°以上80°以下とすることが好ましい。これにより、当該傾斜面において重機5のタイヤ52を受け止めたときに生じる衝撃をより良好に緩和しやすくなる。
【0033】
又、図4に示すように、車止めブロック部13には、板状の落鉱防止スカート14が設置されていることがより好ましい。落鉱防止スカート14は、車止めブロック部13の上部に、上端側がトンネル構造体1の内部側に向けて傾いている傾斜で設置される。又、上述した通り、落鉱防止スカート14は、貯鉱設備10において、貯鉱ホッパー2の開口部の周縁とトンネル構造体1の側壁12との間の隙間を覆うことができるように、落鉱防止スカート14の下縁部が車止めブロック部13の上縁部に接続する態様で設置することが好ましい。落鉱防止スカート14を、このように配置することによって、重機5で貯鉱ホッパー2の開口に鉱石を投入する際に、貯鉱ホッパー2の開口から鉱石が零れ落ちたとしても、その鉱石を、落鉱防止スカート14の斜面上を滑らせながら下方に誘導し、更に、その鉱石を、車止めブロック部13の外側の面(傾斜面)上を滑らせながら下方(グラウンドレベルGL)の適切な場所にまで誘導し、トンネル構造体1の内部への落鉱を防止することができる。
【0034】
又、車止めブロック部13の外側の面を傾斜面とした場合には、落鉱防止スカート14のグラウンド面に対する傾斜角度も、上記傾斜面のグラウンド面に対する傾斜角度に一致するように落鉱防止スカート14を設置することがより好ましい。これにより、鉱石の落下経路が滑らかなものとなるため、落鉱防止スカート14上、及び車止めブロック部13の傾斜面上を滑り落ちる鉱石が、落鉱防止スカート14の下端部等においても、ジャンプしにくくなるため、傾斜面の下縁部付近に局所的に鉱石を落鉱させることができ、落鉱した鉱石の不要な飛散を防止することができる。
【0035】
尚、落鉱防止スカート14は、例えば、機械構造用炭素鋼等の金属からなり加工が容易な厚さ1~2mm程度の金属板によって形成することができる。但し、表面に鉱石が落下した時の衝撃による変形や破損等を防ぐために、鉄骨等の補強フレーム15で強度を補助することが好ましい(図4及び図5参照)。
【0036】
ここで、貯鉱設備10において貯鉱ホッパー2が、トンネル構造体1に設置される場合、貯鉱ホッパー2の上面の開口部からの鉱石の装入は、パワーショベル等の重機5により行われる。このことを考慮して、貯鉱ホッパー2は上面の高さが、グラウンドレベルGLから重機5の高さに対応した所定高さ(通常、1.5m~2.0m程度)になるように設置されている。又、図2に示す通り、貯鉱設備10においては、パワーショベル等の重機5は、持ち上げたバケット51の中に鉱石を保持した状態で、貯鉱ホッパー2に近接する「所定位置」に停止し、当該「所定位置」においてバケット51の開口面を下方に向けて鉱石を上方から貯鉱ホッパー2の開口面内に落下させる。よって、車止めブロック部13の設計に際しては、上記の貯鉱ホッパー2の配置態様と、鉱石の装入作業の作業態様、及び、実際に用いる重機の各部のサイズ等を考慮して、重機5のタイヤ52を受け止める面となる外側の面(図3においては傾斜角度αの傾斜面)の下端部と、貯鉱ホッパー2の側端部との好ましい水平距離S(図3参照)を決定し、貯鉱設備10において、実際の上記水平距離が、予め決定された設計上の好ましい長さSとなるように、トンネル構造体1及びその一部として一体的に形成される車止めブロック部13の大きさ・形状・配置を決定すればよい。
【0037】
上記のように重機5のタイヤ52を受け止める面となる外側の面(図3においては傾斜角度αの傾斜面)の下端部と、貯鉱ホッパー2の側端部との好ましい水平距離が長さSとなるように車止めブロック部13が形成されているトンネル構造体1によって貯鉱設備10を構成した場合には、貯鉱ホッパー2に鉱石を装入するために重機5を貯鉱ホッパー2へ接近させるときに、車止めブロック部13の外側の面で重機5のタイヤ52を受け止めることによって、重機5の停止位置のバラツキや貯鉱ホッパー2の側面への重機5の衝突を確実に回避することができる。又、重機5を常時良好な停止位置に停止させて鉱石を装入することができるので、貯鉱ホッパー2の開口から零れ落ちる鉱石の量自体を減らすこともできる。
【符号の説明】
【0038】
1 トンネル構造体
11 床面
12 側壁
13 車止めブロック部
14 落鉱防止スカート
15 補強フレーム
2 貯鉱ホッパー
3 コンベア
4 フィーダー
5 重機(パワーショベル)
51 バケット
52 タイヤ
10 貯鉱設備
図1
図2
図3
図4
図5