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特開2024-61975電気コネクタ、及び電気コネクタ組立体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061975
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】電気コネクタ、及び電気コネクタ組立体
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/73 20110101AFI20240430BHJP
   H01R 12/78 20110101ALI20240430BHJP
   H01R 12/79 20110101ALI20240430BHJP
【FI】
H01R12/73
H01R12/78
H01R12/79
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169664
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】緑川 和弥
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA01
5E223AA11
5E223AA16
5E223AB41
5E223BA01
5E223BA07
5E223BA08
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB22
5E223CB29
5E223CB31
5E223CB37
5E223CB38
5E223CB46
5E223CD01
5E223CD02
5E223DA05
5E223DB08
5E223DB11
(57)【要約】
【課題】電気コネクタの接続に伴う電気抵抗を低下させることが可能な電気コネクタ及び電気コネクタ組立体を提供する。
【解決手段】第1電気コネクタ1は、ハウジング30及び端子10を有し、端子10は、脚部11,12,13,14を備え、脚部11,12,13,14は、嵌合方向Zに延びると共に、横方向Xにおいて互いに離間し、端子10は、さらに、延長部17と、連結部15と、脚部12,13の基端部を接続して受入空間35を形成する延長部18と、脚部13,14の先端部を接続して挿入部10Aを形成する連結部16と、脚部14の基端部から延びる延長部19と、を備え、脚部12及び脚部13は、接触面12a,13aを構成し、延長部17,18,19のうち少なくとも延長部18は、底壁31の裏面31bに露出して、所定の部材上に実装可能に構成されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング及び前記ハウジングに保持された端子を有する電気コネクタであって、
前記ハウジングは、相手電気コネクタとの嵌合状態において、前記相手電気コネクタと対面する対向面を有する底壁を有し、
前記端子は、第1,第2,第3及び第4脚部を備え、前記第1,第2,第3及び第4脚部は、前記底壁の対向面側において、前記底壁から前記相手電気コネクタとの嵌合方向に、それぞれ基端部から先端部まで延びると共に、前記嵌合方向と直交する横方向において互いに離間し、
前記端子は、さらに、
前記第1脚部の基端部に接続されて前記横方向に延びる第1延長部と、
前記横方向に延びて前記第1及び第2脚部の先端部を接続する第1連結部と、
前記横方向に延びて前記第2及び第3脚部の基端部を接続して、前記第2及び第3脚部の間に受入空間を形成する第2延長部と、
前記横方向に延びて前記第3及び第4脚部の先端部を接続して、前記第3及び第4脚部により構成される挿入部を形成する第2連結部と、
前記第4脚部の基端部から前記横方向に延びる第3延長部と、
を備え、
前記第2脚部及び前記第3脚部は、前記受入空間に露出して前記相手電気コネクタの端子と接触する接触面を構成し、
前記第1,第2及び第3延長部のうち少なくとも前記第2延長部は、前記底壁の裏面に露出して、所定の部材上に実装可能に構成されている、電気コネクタ。
【請求項2】
前記第1延長部及び前記第3延長部の少なくとも1つが、前記底壁の裏面に露出して、所定の部材上に実装可能に構成されている、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記第2及び第3脚部は前記底壁を貫通し、前記第2延長部が前記底壁により覆われている、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記底壁は、前記横方向、及び前記横方向と直交する縦方向に延びており、前記ハウジングは、前記底壁から前記対向面側に突出すると共に前記横方向に延びる側壁を備えるが、前記受入空間の前記縦方向には前記側壁は形成されていない、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記底壁は、前記横方向、及び前記横方向と直交する縦方向に延びており、前記底壁には、複数の前記端子が互いに前記縦方向に離間して配置されている、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記底壁は、複数の前記端子が配置された第1領域と、前記縦方向における前記第1領域の両側に別の端子がそれぞれ配置された第2領域と、を有し、前記第2領域は、前記第1領域よりも前記横方向の幅が狭く、前記ハウジングは、上面視で四隅が欠けた矩形状である、請求項5に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記第1,第2及び第3延長部は、前記第2、第3及び第4脚部よりも前記横方向と直交する縦方向の幅が狭く形成されている、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
電気コネクタ組立体であって、
請求項1~7のいずれか1項に記載の電気コネクタと、
前記電気コネクタと嵌合する前記相手電気コネクタと、を有し、
前記相手電気コネクタは、前記電気コネクタと対面する対向面を有する第2底壁と、前記第2底壁上に配置された第2端子と、を備え、前記第2端子は、
前記第2底壁の裏面に露出して、所定の別の部材に実装される実装部と、
前記実装部に一端側が接続され、前記嵌合状態において前記電気コネクタの前記受入空間に挿入されて前記第2脚部及び前記第3脚部と接触するように構成された断面略U字状の第2挿入部と、
前記第2挿入部の他端側に一端側が接続され、前記実装部から離れるように前記横方向に延びる基部と、
前記基部の他端側に接続され、前記第2挿入部との間に、前記電気コネクタの前記挿入部を挿入するための第2受入空間を形成し、前記嵌合状態において前記第4脚部と弾性的に接触する腕部と、を備え、
前記基部は、前記第2底壁の裏面に露出して、前記所定の別の部材に実装可能に構成されている、電気コネクタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子及び当該端子を保持するハウジングを有する電気コネクタ及び電気コネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント配線基板等を接続するための電気コネクタに関する種々の技術が知られている。例えば、特許文献1には、プリント配線基板接続用の一対の電気コネクタが開示されている。この一対の電気コネクタは、プラグコネクタとレセプタクルコネクタからなり、これらが基板にそれぞれ表面実装される。これら電気コネクタは、複数の端子及びハウジングを備え、接続されると対応する端子同士が互いに接触し、電気的に接続される。端子は、通常、導電性の金属材料を用いてプレス加工等により形成することができる。
【0003】
特許文献1において、プラグ端子は、基板へ半田付けされる実装部と、略U字状の接続部とを有し、対応するレセプタクル端子は、同じく基板への実装部と、プラグ端子の接続部を収容する収容部とを有している。すなわち、一対の電気コネクタは、接続時に、プラグ端子の接続部がレセプタクル端子の収容部内に嵌まり込んで収容部と弾性的に当接し、電気的接続を確保するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-29111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、スマートフォンや携帯端末等の電子機器の小型化や高機能化等により、プリント配線基板に搭載される電子部品の高密度実装化が進んでおり、それに伴って、コネクタ自体の小型化も要求されている。こうしてコネクタを小型化すると、端子やハウジングも非常に小さくなっていく。
【0006】
しかしながら、端子が小型化に伴い端子の電気抵抗が問題となってくる。例えば、各端子の厚みや幅が狭くなると、端子の断面積が小さくなり、一対の電気コネクタ内での電気抵抗が大きくなってしまう。電気抵抗の増加に伴い、電装品内での発熱に対する対策も必要となってくる。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、電気コネクタの接続に伴う電気抵抗を低下させることが可能な電気コネクタ及び電気コネクタ組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの実施形態に係る電気コネクタは、ハウジング及びハウジングに保持された端子を有する電気コネクタであって、ハウジングは、相手電気コネクタとの嵌合状態において、相手電気コネクタと対面する対向面を有する底壁を有し、端子は、第1,第2,第3及び第4脚部を備え、第1,第2,第3及び第4脚部は、底壁の対向面側において、底壁から相手電気コネクタとの嵌合方向に、それぞれ基端部から先端部まで延びると共に、嵌合方向と直交する横方向において互いに離間し、端子は、さらに、第1脚部の基端部に接続されて横方向に延びる第1延長部と、横方向に延びて第1及び第2脚部の先端部を接続する第1連結部と、横方向に延びて第2及び第3脚部の基端部を接続して、第2及び第3脚部の間に受入空間を形成する第2延長部と、横方向に延びて第3及び第4脚部の先端部を接続して、第3及び第4脚部により構成される挿入部を形成する第2連結部と、第4脚部の基端部から横方向に延びる第3延長部と、を備え、第2脚部及び第3脚部は、受入空間に露出して相手電気コネクタの端子と接触する接触面を構成し、第1,第2及び第3延長部のうち少なくとも第2延長部は、底壁の裏面に露出して、所定の部材上に実装可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電気コネクタの接続に伴う電気抵抗を低下させることが可能な電気コネクタ及び電気コネクタ組立体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る電気コネクタ組立体の斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る第1電気コネクタの背面図である。
図3】本発明の実施形態に係る第1電気コネクタの端子の斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る第1電気コネクタの端子の側面図である。
図5図4のA-A矢視図である。
図6】本発明の実施形態に係る第2電気コネクタの端子の斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係る電気コネクタ組立体の嵌合前の状態を示す断面図である。
図8】本発明の実施形態に係る電気コネクタ組立体の嵌合状態を示す断面図である。
図9】本発明の実施形態の改変例に係る電気コネクタ組立体の断面図である。
図10】本発明の実施形態の更なる改変例に係る第1電気コネクタの端子の説明図である。
図11】本発明の実施形態の更なる改変例に係る第1電気コネクタの端子の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、実施形態を説明するための全ての図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、各実施形態(改変例も含む)は、独立して説明されているが、互いの構成要素を組み合わせて、電気コネクタや電気コネクタ組立体を構成することを排除するものではない。
【0012】
まず、図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態に係る電気コネクタ組立体の構成について説明する。図1は電気コネクタ組立体の斜視図、図2は第1電気コネクタの背面図である。図1に示すように、本実施形態に係る電気コネクタ組立体100は、嵌合して互いに電気的に接続される第1電気コネクタ1及び第2電気コネクタ2を備える。例えば、電気コネクタ組立体100は、携帯電話やスマートフォン、デジタルカメラ、ノートパソコン等の小型電子機器における内部部品として使用することができる。また、電気コネクタ組立体100の第1電気コネクタ1及び第2電気コネクタ2は、図示しないプリント配線基板やフレキシブルフラットケーブル等の所定の部材に半田付け等により実装される。
【0013】
図1では、上側にプラグコネクタである第1電気コネクタ1が配置され、下側にレセプタクルコネクタである第2電気コネクタ2が配置されている。ただし、図1において、両者は表面(相手の電気コネクタとの対向面)が上側を向いた状態である。
【0014】
ここで、図1では(他の図も同様)、第2電気コネクタ2の短手方向(「幅方向」又は「横方向」ともいう)を「X」と表記し、第2電気コネクタ2の長手方向(「奥行方向」又は「縦方向」ともいう)を「Y」と表記し、第2電気コネクタ2の嵌合方向(「上下方向」ともいう)を「Z」と表記している。第1電気コネクタ1についても、図1の状態から裏返して、第2電気コネクタ2と嵌合可能な位置関係に配置したとき、第2電気コネクタ2と同様に、XYZ方向を定義することができる。いずれも短手方向がX方向であり、長手方向がY方向であり、嵌合方向がZ方向である。
【0015】
また、本明細書では、第1電気コネクタ1及び第2電気コネクタ2に関して、嵌合方向Zにおいて、相手側の電気コネクタを受け入れる側を「上」又は「表」とし、基板等に取り付けられる側を「下」又は「裏」ということがある。また、各電気コネクタにおいて、底壁の拡がる長手方向Y及び短手方向Xにおいて、底壁の縁部側を「外側」、縁部から離れる側を「中央側」又は「内側」ということがある。
【0016】
第1電気コネクタ1は、図1に示すように、主に複数の端子10と、これら端子10を保持するハウジング30とを有する。端子10は、銅合金などの導電性部材を用いてプレス加工等により形成することができる。ハウジング30は、液晶ポリマー(LCP)等の合成樹脂であり、インサート成形により複数の端子10と一体に形成することができる。
【0017】
また、ハウジング30は、長手方向Y及び短手方向Xにわたって延びる薄板状の底壁31と、底壁31から上側に向けて突出するように形成された複数の側壁32,33,34を備えている。2つの側壁32及び2つの側壁33が長手方向Yに平行に延びている。2つの側壁33は、2つの側壁32の間にある。また、2つの側壁34が短手方向Xに延びて、2つの側壁33の端部を連結している。
【0018】
底壁31は、上面視で略矩形であるが、矩形の四隅から切欠き領域31Dが切欠かれた形状となっており、換言すると、縦横方向XYの4方向に向けて中央部分が突出する略十字形状である。底壁31は、長手方向Yの中央部分である第1領域31Aと、長手方向Yにおいて第1領域31Aの両側に位置する第2領域31B,31Cとを有する。第1領域31Aに、複数の端子10が配置され、第2領域31B,31Cに、端子10とは形状が異なる別の端子20が配置されている。例えば、端子10は信号用端子であり、別の端子20は電源用端子である。なお、複数の端子10が、信号用の端子と同形状の電源用の端子を含んでいてもよい。
【0019】
2つの外側の側壁32は、第1領域31Aの短手方向Xの両側の縁部に沿って設けられており、長手方向Yに互いに平行に延びている。また、2つの中央側の側壁33は、2つの側壁32に挟まれた位置で、側壁32と平行に延びており、第1領域31Aを越えて第2領域31B,31Cに達している。さらに、2つの側壁34は、第2領域31B,31Cにそれぞれ設けられており、中央側の2つの側壁33の長手方向Yの両端部を連結して短手方向Xに沿って互いに平行に延びている。2つの側壁33及び2つの側壁34により、上面視で矩形の枠状の周壁が形成されている。
【0020】
このような構造により、底壁31の上面(すなわち、第2電気コネクタ2との対向面31a)において、第1領域31Aには、隣り合う側壁32,33の間に挟まれ長手方向Yに沿って延びる受入空間35が2か所に形成されると共に、隣り合う側壁33,33の間に挟まれ長手方向Yに沿って延びる受入空間36が形成されている。
【0021】
底壁31の対向面31aには、複数の端子10が長手方向Yに沿って等間隔に配置されている。本実施形態では、長手方向Yに沿って受入空間36の両側にそれぞれ複数の端子10からなる端子列が配置されている。2つの端子列は、横方向Xに対称となるように配置されている。各端子10は、側壁32,33の表面に一部が沿うようにインサート成形されており、受入空間35,36に側面が露出している。また、別の端子20は、主に側壁34の表面に一部が沿うようにインサート成形されている。
【0022】
また、図2に示すように、端子10,20は、その一部が底壁31の裏面31bに露出している。これら露出部分は、実装部として用いることが可能であり、例えば、プリント配線基板上のパッドに半田付けすることができる。また、底壁31の切欠き領域31Dには、電源用の端子20の実装部が部分的に延出している。
【0023】
一方、第1電気コネクタ1の嵌合相手となる第2電気コネクタ2は、図1に示すように、主に複数の端子50と、これら端子50を保持するハウジング70とを有する。端子50及びハウジング70も、上述の第1電気コネクタ1と同様に、端子50は、銅合金などの導電性部材を用いてプレス加工等により形成することができる。また、ハウジング70は、液晶ポリマー(LCP)等の合成樹脂であり、インサート成形により複数の端子50と一体に形成することができる。
【0024】
また、ハウジング70は、長手方向Y及び短手方向Xにわたって延びる板状の底壁71と、底壁71から上側に向けて突出するように形成された2つの側壁72,2つの側壁73及び中央の凸壁74とを備えている。底壁71は、上面視で略矩形である。2つの側壁72は、長手方向Yに沿って平行に延びており、2つの側壁73は、2つの側壁72の長手方向Yの両端部を連結して短手方向Xに沿って平行に延びている。2つの側壁72及び2つの側壁73により、上面視で矩形の枠状の周壁が形成されている。
【0025】
また、凸壁74は、側壁72,73で囲まれた空間に設けられている。凸壁74は、長手方向Yに沿って2つの側壁73と平行に延びている。この構造により、底壁71の対向面71aには、側壁72と凸壁74の間に挟まれ長手方向Yに沿って延びる受入空間75が2か所に形成されると共に、側壁73と凸壁74の間に挟まれ短手方向Xに沿って延びる受入空間76が2か所に形成されている。受入空間75,76は連結しており、全体として枠状の空間を形成している。
【0026】
底壁71の対向面71aには、複数の端子50が長手方向Yに沿って等間隔に配置されている。本実施形態では、凸壁74の両側にそれぞれ複数の端子50からなる端子列が配置されている。2つの端子列は、横方向Xに対称となるように配置されている。各端子50は、側壁72の表面に一部が沿うようにインサート成形されており、側壁72の短手方向Xの両側に露出している。したがって、各端子50は、受入空間75に露出している。また、第1電気コネクタ1の別の端子20と接触するための別の端子80が、側壁73,側壁72の長手方向Yの両端部、凸壁74の長手方向Yの両端部に一部が沿うようにインサート成形されている。
【0027】
次に、図3及び図4を参照して、第1電気コネクタ1の端子10について説明する。図3は第1電気コネクタの端子の斜視図である。図3(A)は端子10を上側から見た斜視図,図3(B)は下側から見た斜視図である。また、図4は第1電気コネクタの端子の側面図、図5図4のA-A矢視図である。
【0028】
端子10は、略M字状(又は略W字状)に形成された電気端子である。図4に示すように、端子10は、嵌合方向Zに沿って平行に延びる4つの脚部11,12,13,14と、隣接する脚部の先端部を連結する連結部15,16と、脚部の基端部から短手方向Xに延びる3つの延長部17,18,19と、を有する。
【0029】
本明細書において、脚部の基端部(図4に「Pa」で示す)とは、端子がハウジングと一体に成形された状態での底壁側の端部を意味し、脚部の先端部(図4に「Pb」で示す)とは底壁から嵌合方向Zに離れた側の端部を意味している。これは、端子10及び50に当て嵌まる。なお、脚部11,12,13,14は、それぞれ本発明の第1,第2,第3,第4脚部に相当する。また、連結部15,16は、それぞれ本発明の第1,第2連結部に相当する。また、延長部17,18,19は、それぞれ本発明の第1,第2,第3延長部に相当する。
【0030】
本実施形態では、脚部11,12,13,14は、嵌合方向Zの略同じ高さ寸法を有している。脚部12と脚部13の対向面12a,13aは共に、第2電気コネクタ2の端子50との接触面として機能する。これら対向面には、嵌合時に、第2電気コネクタ2の端子50が嵌まり込むように構成された矩形状の凹部12b,13bが形成されている。凹部12b,13bは、接触面としての機能に加えて、当接した端子50をロックする抜け止めとしても機能する。また、脚部14の短手方向Xを向く側面のうち、受入空間36に面する内側の側面14aも接触面として機能する。
【0031】
連結部15,16は、それぞれ隣接する脚部11及び12の先端部,脚部13及び14の先端部を円弧状に連結している。脚部13,14及び連結部16は、断面略U字状の挿入部10Aを構成している(図7参照)。また、延長部17,19は、脚部11,14の基端部から下方且つ外側又は内側へ湾曲しながら延びた後、短手方向Xに水平に延びている。延長部17の短手方向Xの寸法は、延長部19よりもわずかに長く設定されている。延長部18は、脚部12及び13の基端部を連結しており、各基端部から下方へ湾曲しながら外側又は内側へ延びた後、短手方向Xに水平に延びている。脚部12,13及び延長部18によって囲まれた空間は、受入空間35となる(図7参照)。延長部17,18,19は、嵌合方向Zにおいて互いに同じ高さに位置しており、これらの下面は同一平面上にある。
【0032】
図4に示されているように、延長部17,18,19は、実装部として機能するとき、基板等のパッドP1,P2,P3にそれぞれ半田付けすることができる。なお、パッドP1,P2,P3は、基板等において同じ信号線に接続されており、1つの大型のパッドとして形成してもよい。
【0033】
また、図5に示すように、脚部11,12,13,14と連結部15,16の長手方向Yの幅は、それぞれ同じであるが、延長部17,18,19の幅は、脚部や連結部の幅よりも狭く設定されている。本実施形態では、複数の端子10が長手方向Yに沿って隣接して配置されているため、接触面(12a,13a,14a)の幅は大きく維持して接触抵抗を低減しつつ、延長部17,18,19の幅を狭くすることによって、隣接する延長部間の距離を確保して隣接する端子10が半田によって短絡することが防止されている。
【0034】
次に、図6を参照して、第2電気コネクタ2の端子50について説明する。図6は、第2電気コネクタの端子の斜視図である。図6(A)は端子50を上側から見た斜視図であり、図6(B)は下側から見た斜視図である。
【0035】
端子50は、略S字状に形成された電気端子である。図6に示すように、端子50は、嵌合方向Zに沿って平行に延びる2つの脚部51,52及び1つの腕部53と、隣接する脚部の先端部を連結する連結部55と、一方の脚部51の基端部から横方向Xに延びる実装部57と、他方の脚部52の基端部と腕部53の基端部とを連結するように横方向Xに延びる基部58と、を有する。
【0036】
本実施形態では、脚部51,52は、嵌合方向Zに略同じ高さ寸法を有しており、これらの先端部が円弧状の連結部55によって連結されている。ここで、連結部55の短手方向Xの最大寸法は、脚部51の外側面51aと脚部52の内側面52aの間の短手方向Xの距離よりも大きく設定されている。すなわち、連結部55は、側面視で脚部51,52よりも短手方向Xに膨らむように形成されており、これにより、短手方向Xの2つの膨出部分が脚部12,13の凹部12b,13bに嵌まり込んでロックされるように構成されている。
【0037】
この構成により、脚部51,52及び連結部55は、全体として断面略U字状の挿入部50Aを構成している。挿入部50Aは、第1電気コネクタ1の脚部12,13の間の受入空間35に挿入されると、接点部としての連結部55が凹部12b,13bに嵌まり込み、これらと電気的に接続する。挿入時には、連結部55よりも短手方向Xの距離寸法が小さい脚部51,52は脚部12,13と干渉せず、挿入部50Aを受入空間35へスムーズに挿入することができる。また、連結部55が短手方向Xの両側で脚部12,13の凹部12b,13bにロックされるので、端子10による端子50の保持力を向上させることができる。
【0038】
腕部53は、基端部側の延長部53aと、先端部側の接点部53bとを備えている。延長部53aは、基部58に連結し、嵌合方向Zに沿って脚部51,52と平行に延びる。腕部53は、そのほとんどが底壁71から上方へ突出しているので、短手方向Xに弾性的に撓むことが可能である。接点部53bは、外側(すなわち、隣接する脚部52側)に凸となる断面略半円形状であり、短手方向Xにおいて延長部53aよりも外側又は受入空間75内に突出し、接点として機能する。
【0039】
脚部52,腕部53及び基部58によって囲まれた空間は、受入空間75となる(図7参照)。受入空間75は、第1電気コネクタ1の脚部13,14及び連結部16からなる断面略U字状の挿入部10Aを受け入れるように構成されている。第1電気コネクタ1の挿入部10Aが脚部52と腕部53の間の受入空間75に挿入されると、接点部53bが脚部14と当接して、腕部53が全体的に短手方向Xの内側へ撓み、接点部53bと脚部14が弾性的に当接した状態で、腕部53が脚部14と電気的に接続する。
【0040】
次に、図7及び図8を参照して、本実施形態の電気コネクタ組立体100の嵌合動作について説明する。図7は電気コネクタ組立体の嵌合前の状態を示す断面図、図8は嵌合状態を示す断面図である。
図7に示すように、第1電気コネクタ1の端子10は、脚部11,12が側壁32を挟み込み、脚部13,14が側壁33を挟み込んでいる。側壁32は、脚部11,12に挟まれた本体部分に加えて、脚部11の外側で底壁31から嵌合方向Z(又は図7では下方)に延びる縁部32aも有しており、脚部11は、その大部分が側壁32に埋め込まれた状態となっており、ほとんど露出していない。一方、脚部12,13,14は、接触面12a,13a,14aが内側又は外側の受入空間35,36に露出している。接触面12a,13aの間に受入空間35が形成され、接触面14aの外側に受入空間36が形成されている。一方、脚部13,14及び連結部16により、断面略U字状の挿入部10Aが形成されている。
【0041】
これら脚部11,12,13,14は、延長部17,18,19が底壁31の裏面31bに露出するように、底壁31を貫通している。これにより延長部17,18,19は、基板等の部材AのパッドP1,P2,P3と実装可能に構成されている。また、延長部18の上方を底壁31が覆っているため、延長部18をパッドP2に実装するとき、半田が裏面31bから対向面31aへ浸入することが防止されている。さらに、延長部17,19の上方も底壁31が覆っており、同様に半田上がりが防止されている。
【0042】
なお、本実施形態では、延長部17,18、19が実装部として機能可能なように、底壁31の裏面31bに露出しているが、これに限らず、延長部18以外に、延長部17,19のうち少なくとも一方が裏面31bに露出して実装部として機能するように構成することができる。
【0043】
また、2つの脚部14,14の間の受入空間36の長手方向Yの両端部では、側壁34が両側の側壁33を連結している。このため、底壁31は、受入空間36を短手方向Xに広げるような撓みが起こり難いように構成されている。一方、脚部12,13の間の受入空間35の長手方向Yの両端部には、側壁が存在しない。すなわち、側壁32と側壁33を連結する側壁が存在しない。このため、嵌合時に、接触面12a,13aを広げるような力が加わったときに、底壁31は、受入空間35を短手方向Xに広げるように撓むことが可能である。これにより、受入空間35への第2電気コネクタ2の端子50の挿入が容易となる。
【0044】
一方、図7に示すように、第2電気コネクタ2の端子50は、脚部51,52が側壁72を挟み込み、これら脚部の先端部が連結部55によって連結されている。脚部51は、基板等の部材BのパッドP4と実装可能な実装部57が底壁71の裏面71bに露出するように、底壁71を貫通している。脚部51の外側面51a,脚部52の内側面52a,連結部55の断面略円弧状の上側面,基部58の上側面,さらには、腕部53の内外両面は、ほとんどが露出している。また、凸壁74には、腕部53が短手方向Xに撓むことが可能なように、各端子50について外側に開口する凹部74aが形成されている。
【0045】
なお、側壁72は、脚部51,52に挟まれた本体部分に加えて、脚部51の外側で底壁71から嵌合方向Z(又は上方)に延びる縁部72a,72bを有している。縁部72aは、長手方向Yにおいて、端子50が配置されている中央部分にわたって形成され、縁部72bは、長手方向Yにおいて、別の端子80が配置されている両端部分に形成されている(図1参照)。縁部72aは、縁部72bよりも上下方向の高さが低く形成されており、このため脚部51の外側面51aのほとんどが露出している。なお、縁部72aの高さが低く設定されることにより、底壁71の中央部分における側壁72の短手方向Xの可撓性と、底壁71の両端部分における剛性の双方を確保することができる。
【0046】
このような構成により、脚部51,52及び連結部55により、断面略U字状の挿入部50Aが形成される。また、脚部52,基部58及び腕部53に囲まれた受入空間75が形成される。
【0047】
図8に示すように、第1電気コネクタ1及び第2電気コネクタ2の対向面31a,71aを位置合わせして向き合わせた状態(図7参照)から、互いに嵌合方向Zに移動させることにより、電気コネクタ組立体100が嵌合状態になる。嵌合状態では、第1電気コネクタ1の挿入部10Aが第2電気コネクタ2の受入空間75に挿入される。このとき、端子50の断面略円弧状の連結部55が端子10の接触面13aと接触点C2で接触すると共に、端子50の腕部53の接点部53bが端子10の接触面14aと接触点C3で弾性的に当接する。また、嵌合状態では、第1電気コネクタ1の受入空間35に第2電気コネクタ2の挿入部50Aが挿入される。このとき、端子50の連結部55が端子10の凹部12b,13bに嵌まり込んでロックされた状態となり、連結部55が接触面12a,13aとそれぞれ接触点C1,C2で接触する。
【0048】
本実施形態では、第1電気コネクタ1の端子10は、少なくとも延長部18が基板等の部材Aに半田付けにより実装される。また、第2電気コネクタ2の端子50は、実装部57で他の基板等の部材Bに半田付けにより実装される。したがって、嵌合状態において、パッドP2とパッドP4の間の電流経路は、パッドP2からパッドP4に向けて電流が流れるとした場合、電流経路R1,R2の2つが存在する。電流経路R1は、実装部である延長部18から脚部12を通り、接触点C1を経由して、脚部51を通って実装部57に至る。また、電流経路R2は、実装部である延長部18から脚部13を通り、接触点C2を経由して、連結部55及び脚部51を通って実装部57に至る。このように、本実施形態では、第1電気コネクタ1が接続されたパッドP2から、電流が異なる脚部12,13を通る2つの経路に分離して流れることができる。このため、電流経路が1つしかない場合に比べて、第1電気コネクタ1の端子10における電流経路の断面積が2倍となり、電気抵抗を半分に低減することができる。
【0049】
また、本実施形態では、第1電気コネクタ1の端子10は、延長部18以外にも、実装部として機能させることが可能な2つの延長部17,19を有している。したがって、延長部18に加えて、延長部17及び/又は延長部19を実装可能である。延長部18に加えて、延長部17を部材Aに実装した場合、さらに電流経路R3が付加される。電流経路R3は、実装部である延長部17から脚部11,連結部15,脚部12を通り、接触点C1を経由して、脚部51を通って実装部57に至る。この場合、パッドP1,P2は部材Aにおいて電気的に接続されているから、電流経路R3が加わることにより、部材Aからの電流を異なる脚部11,12,13を通る3つの経路に分離して流すことができる。このため、端子10における電流経路の断面積が3倍となり、電気抵抗を1/3に低減することができる。
【0050】
さらに、延長部19を部材Aに実装した場合、電流経路R4が付加される。電流経路R4は、実装部である延長部19から脚部14,連結部16,脚部13を通り、接触点C2を経由して、脚部51を通って実装部57に至る。この場合、パッドP2,P3は部材Aにおいて電気的に接続されているから、電流経路R4が加わることにより、部材Aからの電流を異なる脚部11,12,13,14を通る4つの経路に分離して流すことができる。このため、端子10における電流経路の断面積が4倍となり、電気抵抗を1/4に低減することができる。
【0051】
なお、パッドP3から電流は、延長部19,脚部14,接触点C3,腕部53,基部58,脚部52,連結部55,脚部51を通って実装部57に至る電流経路R5を通ることもできる。
【0052】
次に、図9を参照して、本発明の実施形態の改変例について説明する。図9は、改変例に係る電気コネクタ組立体の断面図である。なお、本改変例は、上記実施形態と比較して、第2電気コネクタ2の形状のみが相違する。すなわち、第2電気コネクタ2の端子50の一部の形状、及び、これに伴う底壁71の形状が上記実施形態と異なっている。よって、理解の容易のため、同じ要素には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0053】
本例では、基部58が、底壁71の裏面71bに露出するように構成されている。このため、脚部52及び腕部53が底壁71を貫通して底壁71の裏面71bに延びている。基部58は、実装部57と同じ平面に位置し、実装部57と共に、実装部として機能することができる。これにより、第2電気コネクタ2では、実装部57がパッドP4と実装可能であると共に、基部58が基板Bの別のパッドP5と実装可能に構成されている。なお、パッドP5は、パッドP4と同一の信号線に接続される。
【0054】
したがって、嵌合時には、第1電気コネクタ1の実装部としての延長部17,18,19から、第2電気コネクタ2の実装部57を介してパッドP4に至る電流経路(R1,R2等)に加え、基部58を介してパッドP5に至る電流経路R6,R7を構成することができる。これにより、本改変例では、第2電気コネクタ2が接続されたパッドP4,P5に向けて、第1電気コネクタ1から電流を脚部51,52及び腕部53の3つの経路から流入させることができる。すなわち、脚部51を通る電流経路(R1,R2等)と、脚部52を通る電流経路R6(例えば、延長部18,脚部13,接触点C2,脚部52を通る経路)と、腕部53を通る電流経路R7(例えば、延長部19,脚部14,接触点C3,腕部53を通る経路)がある。このため、電流経路が1つしかない場合に比べて、第2電気コネクタ2の端子50における電流経路の断面積が3倍となり、電気抵抗を1/3に低減することができる。
【0055】
次に、図10及び図11を参照して、本発明の実施形態の改変例について説明する。図10及び図11はそれぞれ更なる改変例に係る第1電気コネクタの端子の説明図である。図10(A),図11(A)は端子を上側から見た斜視図,図10(B),図11(B)は下側から見た斜視図、図10(C)は側面図である。これら改変例は、上記実施形態の端子10の形状に係る改変例であり、上記実施形態と相違する点について説明し、重複する説明は省略する。
【0056】
図10に示す改変例では、端子10の延長部18Aの幅(長手方向Y)が上記実施形態の延長部18よりも幅広に形成されている。本改変例では、延長部18Aは、脚部12,13と同じ幅を有する。さらに、延長部18Aの裏面には、嵌合方向Zの下方に向けて突出し、長手方向Y及び短手方向Xに拡がる平面を有する実装用の突起18Aaが設けられている。突起18Aaは、延長部18Aをプレス加工することにより形成することができる。なお、図10の例では、図10(C)に示すように、突起18Aaの平面が延長部17,19の裏面と同一高さになるように、脚部12,13の長さ寸法が微調整されている。
【0057】
本改変例では、延長部18Aを幅広に形成することにより、パッドP2から脚部12,13へ向かう電流経路(R1,R2)の断面積を大きく確保することが可能であり、且つ、脚部12,13との間で断面積の変化がなくなるため電気抵抗が変化しない点で有利である。また、本改変例では、突起18Aaが設けられることにより、パッドP2との実装を確実に行うことができると共に、実装部としての表面積を大きく確保してパッドP2における半田との接触面積を実質的に増加させることができる。なお、本改変例では、突起が延長部18Aに設けられているが、延長部17及び/又は19に突起を設けてもよい。これらの構造により、本改変例では、電流経路の断面積及び体積が増加し、電気抵抗をさらに低減することが可能である。
【0058】
また、図11に示す改変例では、さらに端子10の延長部17B,18B,19Bの幅(長手方向Y)が上記実施形態の延長部18よりも幅広に形成されている。本改変例では、延長部17B,18B,19Bは、脚部11,12,13,14と同じ幅を有する。
【0059】
本改変例では、延長部17B,18B,19Bを幅広に形成することにより、パッドP1,P2,P3から脚部11,12,13,14へ向かう電流経路(R1,R2,R3,R4)の断面積を大きく確保することが可能であり、且つ、脚部11,12,13,14との間で断面積の変化がなくなるため電気抵抗が変化しない点で有利である。これらの構造により、本改変例では、電流経路の断面積及び体積が増加し、電気抵抗をさらに低減することが可能である。なお、この改変例においても、図10に示す改変例のように、1つ以上の延長部に突起を設けてもよい。
【0060】
次に、上述した本実施形態に係る電気コネクタ組立体100の作用及び効果について説明する。
本実施形態に係る第1電気コネクタ1は、ハウジング30及びハウジング30に保持された端子10を有し、ハウジング30は、第2電気コネクタ2との嵌合状態において、第2電気コネクタ2と対面する対向面31aを有する底壁31を有し、端子10は、脚部11,12,13,14を備え、脚部11,12,13,14は、底壁31の対向面31a側において、底壁31から第2電気コネクタ2との嵌合方向Zに、それぞれ基端部Paから先端部Pbまで延びると共に、嵌合方向Zと直交する横方向Xにおいて互いに離間し、端子10は、さらに、脚部11の基端部に接続されて横方向Xに延びる延長部17と、横方向Xに延びて脚部11,12の先端部を接続する連結部15と、横方向Xに延びて脚部12,13の基端部を接続して、脚部12,13の間に受入空間35を形成する延長部18(18A,18B)と、横方向Xに延びて脚部13,14の先端部を接続して、脚部13,14により構成される挿入部10Aを形成する連結部16と、脚部14の基端部から横方向Xに延びる延長部19(19B)と、を備え、脚部12及び脚部13は、受入空間35に露出して第2電気コネクタの端子50と接触する接触面12a,13aを構成し、延長部17(17B),18(18A,18B),19(19B)のうち少なくとも延長部18(18A,18B)は、底壁31の裏面31bに露出して、所定の部材上に実装可能に構成されている。
【0061】
このような本実施形態に係る第1電気コネクタ1によれば、端子10が4つの脚部11,12,13,14を備え、底壁31側で脚部12,13の基端部が延長部18(18A,18B)によって横方向Xに連結されると共に、脚部11,14の基端部から延長部17(17B),19(19B)が横方向Xに延びている。脚部12,13の間の受入空間35に第2電気コネクタ2の端子50(挿入部50A)が挿入されると、脚部12,13の接触面12a,13aが端子50と電気的に接続される。
【0062】
本実施形態では、脚部12,13を連結する延長部18(18A,18B)が底壁31の裏面31bに露出しており、少なくとも延長部18(18A,18B)を基板等の所定の部材Aに実装することができる。このとき、本実施形態では、実装部である延長部18(18A,18B)から第2電気コネクタ2の端子50へ導通するように、脚部12,13を通る2つの電流経路R1,R2を形成することができる。
【0063】
したがって、本実施形態では、第1電気コネクタ1が実装される基板等の部材AのパッドP2は、少なくとも2つの脚部12及び13を通る2つの電流経路R1,R2を介して、第2電気コネクタ2へ接続されるので、電流経路が1つしかない場合と比べると、電流経路の断面積が少なくとも2倍となり、第1電気コネクタ1における電気抵抗を少なくとも半分に低減することができる。
【0064】
また、本実施形態に係る第1電気コネクタ1は、延長部17(17B)及び延長部19(19B)の少なくとも1つが、底壁31の裏面31bに露出して、所定の部材上に実装可能に構成されている。このように構成された本実施形態によれば、さらに延長部17(17B)又は19(19B)を実装部とすることにより、基板等の部材Aのパッドと第2電気コネクタ2との間に、脚部11,14を通るさらなる電流経路R3,R4を確立することができる。これにより、本実施形態では、第1電気コネクタ1における電流経路の断面積をさらに大きくして、電気抵抗を減少させることが可能である。
【0065】
また、本実施形態に係る第1電気コネクタ1では、脚部12,13は底壁31を貫通し、延長部18(18A,18B)が底壁31により覆われている。このように構成された本実施形態によれば、実装部となる延長部18(18A,18B)の上方が底壁31により覆われるので、実装時において半田が底壁31の表側の対向面31aに上がってくることを防止することができる。
【0066】
また、本実施形態に係る第1電気コネクタ1では、底壁31は、横方向X、及び横方向Xと直交する縦方向Yに延びており、ハウジング30は、底壁31から対向面31a側に突出すると共に横方向Xに延びる側壁34を備えるが、受入空間35の縦方向Yには側壁34は形成されていない。このように構成された本実施形態によれば、受入空間35の縦方向Yに側壁が形成されていないので、受入空間35が横方向Xに広がるように底壁31が撓むことが妨げられない。これにより、本実施形態では、嵌合時に、受入空間35に第2電気コネクタ2の端子50(挿入部50A)を挿入するとき、底壁31を撓ませて第2電気コネクタ2を嵌合させ易くすることができる。
【0067】
また、本実施形態に係る第1電気コネクタ1では、底壁31は、横方向X、及び横方向Xと直交する縦方向Yに延びており、底壁31には、複数の端子10が互いに縦方向Yに離間して配置されている。このように構成された本実施形態によれば、第1電気コネクタ1を複数の端子10を有する構成とすることができる。
【0068】
また、本実施形態に係る第1電気コネクタ1では、底壁31は、複数の端子10が配置された第1領域31Aと、縦方向Yにおける第1領域31Aの両側に別の端子20がそれぞれ配置された第2領域31B,31Cと、を有し、第2領域31B,31Cは、第1領域31Aよりも横方向Xの幅が狭く、ハウジング30は、上面視で四隅が欠けた矩形状である。このように構成された本実施形態によれば、複数の端子10を配置するための第1領域31Aに、横方向Xの幅が狭い第2領域31B,31Cが連結された構成であるので、四隅の切欠き領域31Dにより、第1電気コネクタ1の全体的な面積を小さくすることができる。これにより、第1電気コネクタ1は、実装される基板等での占有面積を小さくして、基板等の設計の自由度を向上させることができる。
【0069】
また、本実施形態に係る第1電気コネクタ1では、延長部17,18,19は、脚部12,13,14よりも横方向Xと直交する縦方向Yの幅が狭く形成されている。このように構成された本実施形態によれば、脚部12,13,14の第2電気コネクタ2に対する接触面12a,13a,14aの面積を大きく維持して、第2電気コネクタ2の端子50との接触抵抗を小さくすることができる。また、本実施形態によれば、延長部17,18,19の幅を狭くすることにより、対応する基板等の半田付けのためのパッドの幅も小さく設定することが可能であり、特に、複数の端子10が縦方向Yに隣接する場合には、実装時において隣接する端子10の間の短絡を防止することができる。
【0070】
また、本実施形態の電気コネクタ組立体100は、第1電気コネクタ1と、第1電気コネクタ1と嵌合する第2電気コネクタ2と、を有し、第2電気コネクタ2は、第1電気コネクタ1と対面する対向面71aを有する底壁71と、底壁71上に配置された端子50と、を備え、端子50は、底壁71の裏面71bに露出して、所定の別の部材に実装される実装部57と、実装部57に一端側が接続され、嵌合状態において第1電気コネクタ1の受入空間35に挿入されて脚部12及び脚部13と接触するように構成された断面略U字状の挿入部50Aと、挿入部50Aの他端側に一端側が接続され、実装部57から離れるように横方向Xに延びる基部58と、基部58の他端側に接続され、挿入部50Aとの間に、第1電気コネクタ1の挿入部10Aを挿入するための受入空間75を形成し、嵌合状態において脚部14と弾性的に接触する腕部53と、を備え、基部58は、底壁71の裏面71bに露出して、所定の別の部材に実装可能に構成されている。
【0071】
このような本実施形態の電気コネクタ組立体100によれば、端子50の実装部57と基部58を共に、別の部材に対して実装するための実装部として機能させることができる。このとき、本実施形態では、実装部57から挿入部50Aを通る電流経路(R1,R2等)に加え、実装部である基部58から第1電気コネクタ1の端子10へ導通するように、挿入部50Aを通る電流経路R6,腕部53を通る電流経路R7の2つの電流経路R6,R7を形成することができる。したがって、本実施形態では、第2電気コネクタ2が実装される基板等の部材BのパッドP4,P5は、少なくとも3つの電流経路を介して、第1電気コネクタ1へ接続されるので、電流経路の断面積が少なくとも3倍となり、第2電気コネクタ2における電気抵抗を少なくとも1/3に低減することができる。
【0072】
なお、本発明の個々の実施形態は、独立したものではなく、それぞれ組み合わせて適宜実施することができる。また、上述した実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明に係る電気コネクタ及び電気コネクタ組立体は、電気信号の高速伝送を行うスマートフォン、携帯電話等の電子機器において、基板間をフラットケーブルで接続する等の用途に利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 第1電気コネクタ、 2 第2電気コネクタ
10,20 端子、 10A 挿入部
11,12,13,14 脚部(第1,第2,第3,第4脚部)
15,16 連結部(第1,第2連結部)
17(17B) 延長部(第1延長部)
18(18A,18B) 延長部(第2延長部)
19(19B) 延長部(第3延長部)
30 ハウジング、 31 底壁、 31a,31b 対向面,裏面
32,33,34 側壁、 35,36 受入空間
50 端子(第2端子)、 80 端子、 50A 挿入部(第2挿入部)
51,52 脚部、 53 腕部
55 連結部、 57 実装部、 58 基部
70 ハウジング、 71 底壁、 72,73 側壁、 74 凸壁
75 受入空間(第2受入空間)、 76 受入空間
100 電気コネクタ組立体
C1,C2,C3 接触点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11