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  • 特開-撹拌装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061989
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】撹拌装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 27/072 20220101AFI20240430BHJP
   B01F 27/191 20220101ALI20240430BHJP
   B01F 23/53 20220101ALI20240430BHJP
   B01F 27/70 20220101ALI20240430BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20240430BHJP
   B01F 27/1123 20220101ALI20240430BHJP
   B01F 27/1121 20220101ALI20240430BHJP
【FI】
B01F27/072
B01F27/191
B01F23/53
B01F27/70
B01F35/71
B01F27/1123
B01F27/1121
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169697
(22)【出願日】2022-10-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 展示会名 INCHEM TOKYO 2021 第34回プラントショー 開催場所 東京ビッグサイト 開催日 令和3年11月17日~令和3年11月19日
(71)【出願人】
【識別番号】305028121
【氏名又は名称】株式会社切川物産
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】足立 勝
(72)【発明者】
【氏名】切川 明浩
(72)【発明者】
【氏名】三原 誠
【テーマコード(参考)】
4G035
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
4G035AB48
4G037AA02
4G037EA03
4G078AA01
4G078AA13
4G078AB01
4G078BA01
4G078CA01
4G078DA03
4G078EA08
4G078EA10
(57)【要約】
【課題】撹拌装置による処理物と添加物の混合度合を向上させる。
【解決手段】この発明の撹拌装置は、回転軸7の外周に多数の撹拌爪13をらせん状に配置して突設したローター3を筒状のドラムケース2内に軸支し、上記ローター3を回転させながらドラムケース2の一端側から投入した処理物を撹拌し他端側に排出する撹拌装置であって、上記ドラムケース2の周壁に上記ローター3の回転軌跡Lの回転方向に向かって添加物を噴射させるノズル19を設置している。
上記ドラムケース2は全体をU字形断面に形成し、開放端を塞ぐ蓋14を取付け、該蓋14と側壁2a,2bとの内面コーナー部に形成した該撹拌空間17を介し、掻込方向に沿って添加物を噴射させるノズル19を下向きに設置した。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸(7)の外周に多数の撹拌爪(13)をらせん状に配置して突設したローター(3)を筒状のドラムケース(2)内に軸支し、上記ローター(3)を回転させながらドラムケース(2)の一端側から投入した処理物を撹拌し他端側に排出する撹拌装置であって、上記ドラムケース(2)の周壁に上記ローター(3)の回転軌跡(L)の回転方向に向かって添加物を噴射させるノズル(19)を設置した撹拌装置。
【請求項2】
ドラムケース(2)の下半部断面をローター(3)の回転軌跡(L)に沿った円弧状に形成するとともに、上部を開放端として全体をU字形断面に形成し、上記開放端を塞ぐ蓋(14)を取付け、該蓋(14)とドラムケース(2)の前後の側壁(2a),(2b)との内面コーナー部に処理物が撥ね上げられる撹拌空間(17)を形成し、前記ローター(3)の掻込側の該撹拌空間(17)を介し前記撹拌爪(13)の掻込方向に沿って添加物を噴射させるノズル(19)を蓋(14)に下向きに設置した請求項1に記載の撹拌装置。
【請求項3】
複数のノズル(19)をローター(3)の軸方向に沿って所定間隔を介して並設した請求項1又は2に記載の撹拌装置。
【請求項4】
ノズル(19)として、噴射物がドラムケース(2)内においてローター(3)の軸方向に沿って扇形に広がる噴出形状となるノズル(19)を使用してなる請求項1又は2に記載の撹拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粉体や粒状物の撹拌混合、土塊や鉱物塊の粉砕・混合等を行う撹拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来上記のような撹拌装置として特許文献1,同2のように回転軸の外周に多数の撹拌爪をらせん状に配置して突設したローターを筒状のドラムケース内に軸支し、ドラムケースの一端から投入した処理物を撹拌又は粉砕、混合しながら他端側に送り出す装置が公知である。
【0003】
上記撹拌対象となる各種の処理物は、それぞれの処理物の種類と処理目的に応じて、例えば混合や粉砕を短時間で効率良く行うため又は処理物の次工程の加工や処理のための機械的、物理的、化学的な性状改質等を行う予備処理を伴うことが多い。
【0004】
このためこれらの撹拌装置による処理に先立って粉体や粒状物、気体や液体又はこれらを混合しながら添加する場合、撹拌処理前に添加しておくか、撹拌時にドラムケース内に投入、注入、散布、噴霧等によって供給していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6889924号公報
【特許文献2】特許第6156803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ドラムケース内に上記方法によって行ってもなお混合が不十分又は不均一である等の問題がある他、これらの問題改善のために処理物のドラムケース内での十分な滞留時間を確保する必要がある等の問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の撹拌装置は、第1に回転軸7の外周に多数の撹拌爪13をらせん状に配置して突設したローター3を筒状のドラムケース2内に軸支し、上記ローター3を回転させながらドラムケース2の一端側から投入した処理物を撹拌し他端側に排出する撹拌装置であって、上記ドラムケース2の周壁に上記ローター3の回転軌跡Lの回転方向に向かって添加物を噴射させるノズル19を設置したことを特徴としている。
【0008】
第2に、ドラムケース2の下半部断面をローター3の回転軌跡Lに沿った円弧状に形成するとともに、上部を開放端として全体をU字形断面に形成し、上記開放端を塞ぐ蓋14を取付け、該蓋14とドラムケース2の前後の側壁2a,2bとの内面コーナー部に処理物が撥ね上げられる撹拌空間17を形成し、前記ローター3の掻込側の該撹拌空間17を介し前記撹拌爪13の掻込方向に沿って添加物を噴射させるノズル19を蓋14に下向きに設置したことを特徴としている。
【0009】
第3に、複数のノズル19をローター3の軸方向に沿って所定間隔を介して並設したことを特徴としている。
【0010】
第4に、ノズル19として、噴射物がドラムケース2内においてローター3の軸方向に沿って扇形に広がる噴出形状となるノズル19を使用してなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
以上のように構成される本発明の装置によれば、ローターの回転方向(掻込方向)に沿って添加物を噴射するので、添加物であるガスや液体又はこれらとともに噴出される粉体や粒状物がローターの撹拌爪の回転によって円滑に内部に送り込まれ、処理物と効率よく均一に混合又は接触する。このため処理物の処理目的に応じた混合や粉砕、物理的、化学的処理等が確実に行われる利点がある。
【0012】
ノズルはドラムケース内の撹拌空間を介して添加物を噴射することにより、空間内に飛散中の処理物に供給されるため、処理物との混合や接触が促進される。
【0013】
さらにノズルはドラムケースの軸方向に沿って複数個並べて配設されることにより、ローター回りの長い範囲に均一に添加物が噴射され、添加物が処理物に対し均一且つ確実に供給され、処理性能も向上する他、軸方向に沿って添加物が扇状に拡散することにより添加物の均一な混合処理性能はさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の撹拌装置の全体正面図である。
図2】同じく撹拌装置の右側面図である。
図3】撹拌装置の全体平面図である。
図4】(A),(B)はローターとドラムケースの正面断面図と右側面断面図をそれぞれ示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1図4はこの発明の装置の1実施例を示し、ベースとなる取付フレーム1上に、筒状のドラムケース2を長手(左右)方向に設置し、該ドラムケース2の長手方向に沿って内部にローター3を収容し、左右端を軸受4,6を介して回転可能に軸支している。ローター3は本例では右側面視で反時計方向回転する。
【0016】
取付フレーム1の左端側には、上記ローター3の回転軸7とクラッチ(又はカップリング)8を介して接続されるモーター9が取付けられ、このモーター9によりローター3が回転駆動される。ドラムケース2の左端(モーター側端部)上には処理物のホッパー付の投入口11が、右端下部には撹拌混合された処理物を排出する排出口12がそれぞれ設けられており、ドラムケース2の左右両端は端板10によって塞がれている。
【0017】
ローター3の回転軸7の外周には、多数の撹拌爪13がらせん状に且つ左右方向に一定の間隔を介して放射状に突設され、この撹拌爪13は図4(A)に示すように送り爪13aと排出口12上方終端の戻し爪13bからなっている。この例では送り爪13aは一般にトラクターや耕耘機のロータリーに取付けられるロータリー(耕耘)爪と同様に先端に向って捩り形成され且つ回転方向に沿って山形に湾曲するナタ爪が使用され、ローター3の正転により処理物を掻込みながら撹拌、混合、粉砕等を行い、排出方向への搬送を行う。
【0018】
戻し爪13bは全体が山形に湾曲している点は送り爪13aと共通するが、先端に向う捩れ方向が逆向きで、ローター3の正転により処理物の排出(搬送)作動に対して逆向きの戻し作用を与えて、排出口12上での処理物の滞留を防止し排出を確実にする。15は排出口12の下方に配置される受皿である。
【0019】
ドラムケース2は、例えば全長約3.8m程度あり、図4(B)に示すようにU字形断面に形成され、その内周底面はローター3の撹拌爪13の回転軌跡Lと近接した同心円の半円状の円弧面からなり、前後両側壁2aは上方に向って鉛直方向に開放されており、その開放端には平板状の蓋14が被せられてクランパー16により着脱可能に取付固定され、ドラムケース2は上部と左右端が閉蓋され全体としてU字形断面の筒状に形成されている。
【0020】
そして、ドラムケース2の内面には弾力性を有する所定厚みのゴム製のライナー(図示しない)が接着又はビス止め等により貼り付けられており、320mm程度のローター3の外径(回転軌跡L)とライナーの内径との間には5~6mmのクリアランスがあり、例えば90~300rpmで回転しながら行う処理物の撹拌に際し、ドラムケース2の内面への処理物の付着を防止し、高い撹拌性能を維持する機構となっている。
【0021】
上記ドラムケース2内のローター3の回転軌跡L上には、該回転軌跡Lと蓋14の内面と側壁2aの上端とで囲まれるコーナーで異形空間からなる撹拌空間17が形成される。
【0022】
ドラムケース2の開放端(開口部)は、投入口11から搬送終端(右端)の間に形成され、これを塞ぐ蓋14には吊上げ用のフックボルト18の他、内部の処理物の掻込み側である前端側に、ローター3の軸方向に沿って複数個のノズル19が、所定間隔を介して列左右方向に並設配置されている。この前後位置はローター3の回転方向(掻込方向)に対応して決められる。
【0023】
上記ノズル19は、処理物とその処理目的に応じて決められる添加物を、撹拌中の処理物に対して噴射供給するためのものであり、噴射方向がローター3の回転軌跡の回転方向(撹拌爪13の掻込方向)に沿う向きで下向きに設置されている。
【0024】
各ノズル19は、ドラムケース2の内部で噴出物が軸方向に沿って左右方向に扇状に拡散しながら噴射される機能を備えており(図4(A)参照)、その結果内部ではノズル配置方向に沿ってローター3の掻込み側で左右に直線状に連続した状態又はそれに近い状態で均一に添加物が噴射され、ガス状の添加物は混合性能を高める。
【0025】
この添加物は、処理物とその処理目的に応じて、例えば土塊の粉砕・混合では水分を水蒸気状態で供給して粉砕を容易にするとともに、気体供給により混合性を向上させる。また次工程で団粒形成する場合は団粒化を促す結合材(バインダー)を含む添加物を供給し又は粉体等に粘性を付与する添加物を供給する。その他pH調整剤、消毒剤、温度調整剤等、機械的・物理的・化学的な改質機能をもつ添加剤等が想定され、気体状、液体状、粉体状、粒状物又はこれらの混合物であっても良い。
【0026】
その他、ローター3によって撹拌空間17に掻き上げられた処理物は空中に飛散した状態で混合されるため、混合機能がさらに向上する他、この空間への添加物の噴射により、添加物自体の混合度合も高められる利点がある。
【符号の説明】
【0027】
2 ドラムケース
3 ローター
7 回転軸
13 撹拌爪
14 蓋
17 撹拌空間
19 ノズル
L 回転軌跡
図1
図2
図3
図4