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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061998
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】着脱装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 21/07 20060101AFI20240430BHJP
   A47K 13/26 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
F16B21/07
A47K13/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169711
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000110206
【氏名又は名称】株式会社TOK
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 真一
(72)【発明者】
【氏名】角田 敦
【テーマコード(参考)】
2D037
3J037
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037AA14
3J037AA02
3J037DA02
3J037DA12
3J037DB01
3J037DC01
(57)【要約】
【課題】部品点数を減らし、構成を簡易にすることができる着脱装置を提供する。
【解決手段】ピン11とケース15と操作ボタン13とからなる着脱装置10であって、ピン11は、挿入端側から順に、円錐状のガイド部11aと、円柱状の当接部11bと、環状のロック溝11cと、を有し、ケース15は、操作ボタン挿入空間15aと、制御片収納規制空間15abと、制御片収納規制空間15abと連続して設けられたストッパー16と、ピン11が挿入されるピン挿入孔14と、を有し、操作ボタン13は、外部操作可能なボタン本体部13aと、弾性変形可能な対向する2つの制御片13bと、を一体に有し、対向する2つの制御片13bはロック用係止爪部20aとアンロック用係止爪部20bとバネ力生成部13eと、操作ボタン13がロック位置Lまで押し戻されたときに、ストッパー16と係合して操作ボタン13をロック位置Lに止めておく係止爪13gと、を有する、構成とした。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピンとケースと操作ボタンとからなる着脱装置であって、
前記ピンは、挿入端側から順に、
前記挿入端側に向かって円錐状に形成されたガイド部と、
円柱状の当接部と、
前記ピンの外周面に形成された環状のロック溝と、
を有し、
前記ケースは、
前記ケースの一端側から他端側に向う前記ケースの軸心方向に延伸して前記ケース内に形成された操作ボタン挿入空間と、
前記操作ボタン挿入空間から連続して前記ケースの奥壁側に向かって設けられた制御片収納規制空間と、
前記制御片収納規制空間と連続して設けられたストッパーと、
前記ケースの外周面から前記制御片収納規制空間に亘って貫通して設けられ、前記ピンが挿入されるピン挿入孔と、
を有し、
前記操作ボタンは、
一端側が前記操作ボタン挿入空間内に前記軸心方向にスライド可能に配置された外部操作可能なボタン本体部と、
前記ボタン本体部の前記一端側から連続して、それぞれ片持ち状で、前記制御片収納規制空間内に前記軸心方向にスライド可能に配置された弾性変形可能な対向する2つの制御片と、
を有し、
前記対向する2つの制御片は、
互いに前記当接部の外径よりも小さい間隔で対向し合うロック用係止爪部と、
互いに前記ロック溝の外側で、前記当接部の外周面を保持するアンロック用係止爪部と、
前記アンロック用係止爪部が前記ピン挿入孔と対応するアンロック位置まで前記操作ボタンが前記ケース内に押し込まれてスライド移動されると、前記制御片収納規制空間内の前記奥壁に当接して弾性変形し、前記ロック用係止爪部が前記ピン挿入孔と対応するロック位置まで前記操作ボタンを押し戻すバネ力を生成して蓄積するバネ力生成部と、
前記操作ボタンが前記ロック位置まで押し戻されたときに、前記ストッパーと係合して前記操作ボタンを前記ロック位置に止めておく係止爪と、
を有することを特徴とする着脱装置。
【請求項2】
前記対向する2つの制御片の前記バネ力生成部は、前記一端側で略U字状に折り返し形成されたアーム部を有し、前記アーム部は、前記制御片収納規制空間における側壁と対向配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の着脱装置。
【請求項3】
前記制御片収納規制空間は、前記軸心方向に延伸して前記操作ボタン挿入空間から連続して前記奥壁側に向かって設けられているとともに、前記奥壁側に進むに従い前記側壁間の幅が徐々に狭まる平面視スリット状の空間として形成されており、
前記ストッパーは、前記制御片収納規制空間における前記側壁の中の、少なくとも何れか一方の側壁に設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の着脱装置。
【請求項4】
前記係止爪を前記アーム部の先端部分に設けている、ことを特徴とする請求項2に記載の着脱装置。
【請求項5】
前記バネ力生成部における前記アーム部の略中間部分の内側に、前記アーム部の撓み量を規制するリップ部を設けている、ことを特徴とする請求項2に記載の着脱装置。
【請求項6】
前記対向する2つの制御片は、前記操作ボタンが前記ロック位置から前記アンロック位置に移動されると、前記対向する2つの制御片の移動を前記ピンの外周から離れる方向に案内するガイド傾斜面を更に有する、ことを特徴とする請求項1に記載の着脱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は着脱装置に関するものであり、例えばトイレの便器に便座を着脱自在に取り付けるのに適した着脱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、トイレの便器に便座及び便蓋を着脱可能とする着脱機構が記載されている。この着脱機構は、便器に取り付けられるべき固定部と、便座及び便蓋に取り付けられるヒンジ装置に設けられる着脱部からなる。また、固定部には、周方向に沿って溝が形成されたピンが設けられている。一方、着脱部は、ケースと、ケース内に配置されケースに対しスライド可能なシャフトと、シャフトを所定の方向に付勢するバネと、シャフトをバネの付勢力に逆らって押し込むボタンとを有する。また、ケースには、上記ピンが挿入される挿入孔が形成されている。
【0003】
そして、便座及び便蓋を便器に取り付ける際には、固定部のピンをケースの挿入孔から挿入する。このとき、ピンを押し込む力により、シャフトがバネの付勢力に逆らってスライドする。そして、ピンとシャフトとが所定の位置関係になると、バネの付勢力によりシャフトが元の方向に押し戻され、ピンに形成された溝にシャフトの一部分が入り込む。こうして、挿入孔に挿入されたピンがロックされ、固定部と着脱部とが互いにロックされる。
【0004】
一方、便座及び便蓋を便器から取り外すために、固定部と着脱部とを外す際には、上記ボタンをバネの付勢力に逆らって押し込む。すると、ピンの溝に入り込んでいるシャフトの一部が溝から外れる。このため、ピンのロック状態が解除され、ピンを挿入孔から抜き取ることが可能になる。こうして、固定部から着脱部を取り外すことができる。
【0005】
しかし、特許文献1に記載される着脱機構は、ピンを固定するケース内のシャフトが金属製のバネで付勢される構成とされ、別部品として用意されるシャフトとバネとを要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許公開第2324745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、特許文献1に記載の発明は、ピンを固定するケース内のシャフトが金属製のバネで付勢される構成とされ、別部品として用意されるシャフトとバネを要する。このため部品点数を減らし、構成を簡易にすることができる着脱装置が要望されている。
【0008】
そこで、部品点数を減らし、構成を簡易にすることができる着脱装置を提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載の発明は、ピンとケースと操作ボタンとからなる着脱装置であって、前記ピンは、挿入端側から順に、前記挿入端側に向かって円錐状に形成されたガイド部と、円柱状の当接部と、前記ピンの外周面に形成された環状のロック溝と、を有し、前記ケースは、前記ケースの一端側から他端側に向う前記ケースの軸心方向に延伸して前記ケース内に形成された操作ボタン挿入空間と、前記操作ボタン挿入空間から連続して前記ケースの奥壁側に向かって設けられた制御片収納規制空間と、前記制御片収納規制空間と連続して設けられたストッパーと、前記ケースの外周面から前記制御片収納規制空間に亘って貫通して設けられている、前記ピンが挿入されるピン挿入孔と、を有し、前記操作ボタンは、一端側が前記操作ボタン挿入空間内に前記軸心方向にスライド可能に配置された、外部操作可能なボタン本体部と、前記ボタン本体部の前記一端側から連続して、それぞれ片持ち状で、前記制御片収納規制空間内に前記軸心方向にスライド可能に配置された弾性変形可能な対向する2つの制御片と、を有し、前記対向する2つの制御片は、互いに前記当接部の外径よりも小さい間隔で対向し合うロック用係止爪部と、互いに前記ロック溝の外側で、前記ピンの前記当接部の外周面を保持するアンロック用係止爪部と、前記アンロック用係止爪部が前記ピン挿入孔と対応するアンロック位置まで前記操作ボタンが前記ケース内に押し込まれてスライド移動されると、前記制御片収納規制空間内の前記奥壁に当接して弾性変形し、前記ロック用係止爪部が前記ピン挿入孔と対応するロック位置まで前記操作ボタンを押し戻すバネ力を生成して蓄積するバネ力生成部と、前記操作ボタンが前記ロック位置まで押し戻されたときに、前記ストッパーと係合して前記操作ボタンを前記ロック位置に止めておく係止爪と、を有する、着脱装置を提供する。
【0010】
この構成によれば、操作ボタンをロック位置に押し戻すバネ力を生成するバネ力生成部を、樹脂製の操作ボタンと一体に、すなわちボタン本体部と一体化された対向する2つの制御片の中に組み込んで形成している。そのため、操作ボタンをロック位置に押し戻すバネ力を生成するバネ力生成部を別途用意する必要がなくなり、部品点数の削減が図れる。また、組み立ても容易になる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、前記対向する2つの制御片の前記バネ力生成部は、前記一端側で略U字状に折り返し形成されたアーム部を有し、前記アーム部は、前記制御片収納規制空間における左右の側壁と対向配置されている、着脱装置を提供する。
【0012】
この構成によれば、操作ボタンがケース内に押し込まれるのに連動して、対向する2つの制御片の略U字状に折り返し形成されたアーム部が制御片収納規制空間内に移動されると、その移動に伴ってアーム部がそれぞれ内側に弾性圧縮されて、対向する2つの制御片内に戻しバネ力を更に蓄積することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の構成において、前記制御片収納規制空間は、前記軸心方向に延伸して前記操作ボタン挿入空間から連続して前記ケースの奥壁側に向かって設けられているとともに、前記奥壁側に進むに従い前記側壁間の幅が徐々に狭まる平面視スリット状の空間として形成されており、前記ストッパーは、前記制御片収納規制空間における前記側壁の中の、少なくとも何れか一方の側壁に設けられている、着脱装置を提供する。
【0014】
この構成によれば、操作ボタンがロック位置からアンロック位置に移動する、すなわち操作ボタンがケース内に押し込まれてロック位置からアンロック位置に移動するのに連動して、対向する2つの制御片が制御片収納規制空間内に移動すると、その移動に伴って対向する2つの制御片がそれぞれ内側に弾性圧縮して対向する2つの制御片の幅が徐々に狭まり、対向する2つの制御片内に戻しバネ力を更に蓄積することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の構成において、前記係止爪を前記アーム部の先端部分に設けている、着脱装置を提供する。
【0016】
この構成によれば、操作ボタンがロック位置よりも更にケースの外側に移動しようとするとき、アーム部の先端部分が戻しバネ力で外側に拡がり、その先端部分に設けた係止爪がストッパーに係合して、操作ボタンがロック位置よりも更にケースの外側に移動するのを抑え、操作ボタンをロック位置に確実に止めておくことができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の構成において、前記バネ力生成部における前記アーム部の略中間部分の内側に、前記アーム部の撓み量を規制するリップ部を設けている、着脱装置を提供する。
【0018】
この構成によれば、バネ力生成部が限界を超えて弾性変形しようとしたとき、アーム部の中間部分の内側に設けているリップ部がアーム部と相対向している制御片の外面に突き当たり、アーム部が弾性限度を越えて変形しないようにできる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、前記対向する2つの制御片は、前記操作ボタンが前記ロック位置から前記アンロック位置に移動されると、前記対向する2つの制御片の移動を前記ピンの外周から離れる方向に案内するガイド傾斜面を更に有する、着脱装置を提供する。
【0020】
この構成によれば、操作ボタンをロック位置からアンロック位置側に移動させると、ガイド傾斜面が対向する2つの制御片をそれぞれピンの外周面から離れる方向に向かって移動するように案内するので、対向する2つの制御片がピンのロック溝からスムースに外れる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、操作ボタンをロック位置に押し戻すバネ力を生成するバネ力生成部を、操作ボタンと一体化されている対向する2つの制御片の中に組み込んだ構成としているので、操作ボタン以外に戻しバネを別途用意する必要がなく、上記特許文献に記載の着脱機構と比べて、バネを不要とする分だけ構成を簡易にすることがでる。また、組み立ても容易になり、コスト低減に寄与する。さらに、従来の金属バネを使用した構造では、経年変化により、錆などの発生が危惧されるが、バネ力生成部に樹脂材を使用し、金属部材を使用しないので錆の発生などの心配がなくなり、品質の向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態に係る着脱装置の一実施例を、トイレの便器における固定部に便座を着脱する場合の一例として示すものであり、(a)は結合前の状態を示す図、(b)は結合後の状態を示す図、(c)は(a)の部分拡大図である。
図2】同上着脱装置の外観をピンと着脱部を結合した状態で示しており、(a)はその着脱装置の斜視図、(b)はその着脱装置の側面図である。
図3】同上着脱装置の内部構造を示しており、(a)はその着脱装置の概略水平断面図、(b)は着脱装置の縦断側面図である。
図4】同上着脱装置の分解斜視図である。
図5】同上着脱装置のケースを示し、(a)はそのケースの外観斜視図、(b)は(a)のB-B線に沿うそのケースの縦断面斜視図、(c)は(b)のC-C線に沿う横断面斜視図である。
図6】同上着脱装置の操作ボタンを示し、(a)はその外観斜視図、(b)は平面図、(c)は背面図である。
図7】同上着脱装置の動作説明図であり、(a)及び(A)は操作ボタンがロック位置に配置されているときに、ピンが対向する2つの制御片との間に挿入されるときの説明図、(b)及び(B)は操作ボタンがロック位置に配置されているときに、ピンが対向する2つの制御片との間に挿入されて、ピンのロック溝に対向する2つの制御片のロック用係止爪部がそれぞれ係合ロックされたときの説明図、(c)及び(C)は操作ボタンがロック位置からアンロック位置に押し込まれてピンが対向する2つの制御片のアンロック用係止爪部と対応しているときの説明図である。
図8】操作ボタンがロック位置に押し込まれた状態からアンロック位置に自動復帰する動作原理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は部品点数を減らし、構成を簡易にすることができる着脱装置を提供するという目的を達成するために、ピンとケースと操作ボタンとからなる着脱装置であって、前記ピンは、挿入端側から順に、前記挿入端側に向かって円錐状に形成されたガイド部と、円柱状の当接部と、前記ピンの外周面に形成された環状のロック溝と、を有し、前記ケースは、前記ケースの一端側から他端側に向う前記ケースの軸心方向に延伸して前記ケース内に形成された操作ボタン挿入空間と、前記操作ボタン挿入空間から連続して前記ケースの奥壁側に向かって設けられた制御片収納規制空間と、前記制御片収納規制空間と連続して設けられたストッパーと、前記ケースの外周面から前記制御片収納規制空間に亘って内を上下に貫通して設けられている、前記ピンが挿入されるピン挿入孔と、を有し、前記操作ボタンは、一端側が前記操作ボタン挿入空間内に前記軸心方向にスライド可能に配置された、外部操作可能なボタン本体部と、前記ボタン本体部の前記一端側から連続して、それぞれ片持ち状で、前記制御片収納規制空間内に前記軸心方向にスライド可能に配置された弾性変形可能な対向する2つの制御片と、を有し、前記対向する2つの制御片は、互いに前記当接部の外径よりも小さい間隔で対向し合うロック用係止爪部と、互いに前記ロック溝の外側で、前記ピンの前記当接部の外周面を保持するアンロック用係止爪部と、前記アンロック用係止爪部が前記ピン挿入孔と対応するアンロック位置まで前記操作ボタンが前記ケース内に押し込まれてスライド移動されると、前記制御片収納規制空間内の前記奥壁に当接して弾性変形し、前記ロック用係止爪部が前記ピン挿入孔と対応するロック位置まで前記操作ボタンを押し戻すバネ力を生成して蓄積するバネ力生成部と、前記操作ボタンが前記ロック位置まで押し戻されたときに、前記ストッパーと係合して前記操作ボタンを前記ロック位置に止めておく係止爪と、を有する、構成としたことにより実現した。
【実施例0024】
以下、本発明の実施形態に係る一実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例において、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0025】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0026】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、構成要素の断面構造を分かり易くするために、一部の構成要素のハッチングを省略することがある。
【0027】
また、以下の説明において、上下や左右等の方向を示す表現は、絶対的なものではなく、本発明の着脱装置の各部が描かれている姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。また、実施例の説明の全体を通じて同じ要素には同じ符号を付している。なお、図2の(b)、図3の(a)、図7図8中に示す符号Lの位置は、以下に説明する操作ボタン13が「ロック位置L」に配置されたタッチ操作部13abの位置を示し、符号Uの位置は、同じくに説明する操作ボタン13が「アンロック位置U」に配置されたタッチ操作部13abの位置を示している。
【0028】
図1は本発明に着脱装置10の一実施例として、トイレの便器に対して固定される固定部101に便座102を着脱する場合を一例として示すものであり、(a)は結合前の状態を示す図、(b)は結合後の状態を示す図、(c)は(a)の部分拡大図である。
【0029】
図1において、着脱装置10は、便器(図示せず)に取り付けるべき固定部101に固定されて、その固定部101から突出しているピン11と、便座102に図示しないヒンジ機構を介して取り付けた着脱部12とからなる。
【0030】
便座102に取り付けた着脱部12は、図1の(a)及び(c)に示すように、操作ボタン13を後述するロック位置に配置させた状態で、ピン11をピン挿入孔14から着脱部12内に差し込むと、ピン11と着脱部12とが互いに係合係止され、(b)に示すように便座102を固定部101(便器側)に取り付けることができる。反対に、固定部101から便座102を取り外すときには、着脱部12に設けられている操作ボタン13を後述するアンロック位置に押し込んだ状態で、例えば便座102側を少しだけ持ち上げると、ピン11と着脱部12との係合ロックが外れる。そして、その後は、ピン11を着脱部12から抜くと、便座102を固定部101から取り外すことができる。
【0031】
図2から図4は、着脱装置10の構造を詳細に示すものである。図2から図4の中、図2は着脱装置10の外観を、ピン11と着脱部12を結合した状態で示しており、(a)は着脱装置10の斜視図、(b)は着脱装置10の側面図、図3は着脱装置10の内部構造を示しており、(a)は着脱装置10の概略水平断面図、(b)は着脱装置10の縦断側面図、図4は着脱装置10の分解斜視図である。
【0032】
図2から図4において、着脱装置10は、ピン11と、着脱部12とよりなる。また、着脱部12は、ケース15と操作ボタン13を備えている。
【0033】
ピン11は、水平断面が円形をした円柱状の部材であり、金属又は樹脂材等で形成されている。ピン11は、着脱部12のケース15に挿入される挿入端側から順に、挿入端側に向うに従って外形寸法が徐々に小さくなる、いわゆる円錐状に形成されたガイド部11aと、円柱形をした当接部11bと、ピン11の外周面に周回形成された環状のロック溝11cと、を有している。なお、円柱形の当接部11bの直径は、ピン11の基端側の外径と等しいか、それよりも若干小さく形成されている。
【0034】
操作ボタン13は、樹脂材で形成されており、また図6には操作ボタン13を単品で示している。図2から図5図6を加えて、操作ボタン13の構造を更に詳細に説明する。
【0035】
操作ボタン13は、樹脂材で形成されており、ボタン本体部13aと、対向する2つの制御片13bを、一体に有している。
【0036】
ボタン本体部13aは、円柱状の摺動部13aaと、摺動部13aaと一体に形成されているタッチ操作部13abを有している。摺動部13aaとタッチ操作部13abの外径は、ケース15の後述する操作ボタン挿入空間15aの内径に略等しく、操作ボタン挿入空間15a内に、図2及び図3に示すケース15の軸心O方向(前後方向)にスライド可能に配置される。
【0037】
対向する2つの制御片13bは、図6に詳細に示すように、ボタン本体部13aのタッチ操作部13abを設けている面と反対側の面から略直角で、かつ、操作ボタン挿入空間15a側に向かって水平に突出した状態で形成されている。また、対向する2つの制御片13b同志は互いに向かい合って略左右対称形で、かつ、略平行に並んで設けられている。各制御片13bは、弾性を有して変形可能に形成されている。対向する2つの制御片13bの、互いに対向している内面には、それぞれ摺動部13aa側から順に、アンロック用係止爪部20bとロック用係止爪部20aとが設けられ、さらアンロック用係止爪部20bとロック用係止爪部20aとの間にガイド傾斜面13cが形成されている。
【0038】
また、対向する2つの制御片13bの一端側は、ロック用係止爪部20aを越えた先端側の延長部分をそれぞれ外側に廻して、平面視略U字状に折り返してなるアーム部13dが形成されている。対向する2つの制御片13bの折り返された各アーム部13dは、摺動部13aa側に戻るに従って徐々に外側に開いて行く状態に傾斜し、対向する2つの制御片13b同士の各アーム部13dは、図3の(a)、図6の(b)、図7の(a)及び(b)にそれぞれ示しているように、平面視において、摺動部13aaに向かって外側に拡開するハの字状に形成されている。
【0039】
なお、対向する2つの制御片13bのそれぞれアーム部13dを形成している略U字状に折り返した部分の全体は、後述するバネ力生成部13eとして機能する。また、アーム部13dの略中間部分の内側、すなわち制御片13bの外面と対向する内面には、アーム部13dの撓み量を規制するリップ部13fが制御片13bと一体に設けられている。リップ部13fは、バネ力生成部13eにおける撓み量が限界を超えて弾性変形しようとしたとき、アーム部13dの略中間部分の内側に設けている該リップ部13fがアーム部13dと相対向している制御片13bの外面に突き当たり、アーム部13dが弾性限度を越えて変形しないように規制する機能を有する。また、アーム部13dの先端部分は外側方向に突き出し、係止爪13gとして機能する
【0040】
対向する2つの制御片13bにおいて、図6の(b)に示すように、各ロック用係止爪部20a間の隙間S1は、ピン11の当接部11bの外径よりも小さく、またガイド部11aの最小外径よりも大きく設定されている。一方、各アンロック用係止爪部20b間の隙間S2は、当接部11bの外径と等しいか、若しくは若干大きく設定されている。また、アンロック用係止爪部20bは、当接部11bの外周形状と同等の円弧形状に設定されている。
【0041】
また、各制御片13bに設けられているロック用係止爪部20aの厚み(ピン11の挿入方向の厚み)は、ピン11がケース15の後述するピン挿入孔14内における係合位置に配置されているとき、ロック用係止爪部20aがピン11のロック溝11c内に入り込んで、ロック溝11cと係合係止し得る厚みである(図7の(b)及び(B)参照)。そして、上記各ロック用係止爪部20a間の隙間S1は、ピン11がピン挿入孔14内の最終位置に挿入配置されたときに、対向する2つの制御片13bの各ロック用係止爪部20aがそれぞれロック溝11c内に入り込んで、ピン11と係合係止できる大きさである(同じく、図7の(b)及び(B)参照)。
【0042】
一方、各制御片13bに設けられているアンロック用係止爪部20bの厚み(同じくピン11の挿入方向の厚み)は、ピン11がケース15の後述するピン挿入孔14内における係合位置に配置されているとき、アンロック用係止爪部20bがピン11のロック溝11cと当接部11bに跨がって配置される厚みである(図7の(c)及び(C)参照)。そして、上記各アンロック用係止爪部20b間の隙間S2は、ピン挿入孔14内の最終位置にピン11が挿入配置されたときに、対向する2つの制御片13bのアンロック用係止爪部20bで当接部11bの外周面を挟持し、ピン11を保持する(同じく、図7の(c)及び(C)参照)。このとき、操作ボタン13はケース15の一端側(操作ボタン13が挿入される側)から他端側に向かう長手方向(ケース15の軸心O方向)には拘束され、ピン11を抜き差しする方向(ケース15の軸心Oと直交する方向)には軽い力で動かすことができる。
【0043】
また、ガイド傾斜面13cは、各制御片13bにおけるロック用係止爪部20aの終端部分とアンロック用係止爪部20bの始端部分との間で、ピン11がケース15の後述するピン挿入孔14内における係合位置に配置されているとき、ピン11の当接部11bの外周面と対応する位置に形成されている。ガイド傾斜面13cの傾斜は、図4及び図6図7図8に示すように、ロック用係止爪部20a側の面が最も外側に位置し、アンロック用係止爪部20b側に行くに従って内側に張り出し、アンロック用係止爪部20bと接続してロック用係止爪部20a側からアンロック用係止爪部20b側に向かって連続して傾斜する状態にして形成されている。
【0044】
そして、ガイド傾斜面13cは、操作ボタン13が後述する「ロック位置」に配置され、各ロック用係止爪部20aがピン11のロック溝11c内に入り込んでピン11を抜け止めするロック状態から、操作ボタン13が「アンロック位置」側に向かって移動されるときに、ピン11における当接部11bの外周面と当接し、各制御片13bをそれぞれ外側方向(隙間S1及び隙間S2が拡がる方向)へ強制的に弾性変形させて隙間S1及び隙間S2を拡げ、当接部11bをアンロック用係止爪部20b内にガイドする役目をする。
【0045】
ケース15は、樹脂材で形成されている。図2から図5を用いて説明すると、ケース15には、ピン11が挿入されるピン挿入孔14と操作ボタン13が挿入され操作ボタン挿入空間15aとが設けられている。
【0046】
ピン挿入孔14は、ピン11が挿入可能な内径を有する孔であり、操作ボタン挿入空間15aを略直角に貫通して設けられており、操作ボタン13における対向する2つの制御片13bが「ロック位置」に配置されたとき、ロック用係止爪部20aと上下で対応し、操作ボタン13における対向する2つの制御片13bが「アンロック位置」に配置されたとき、アンロック用係止爪部20bと上下で対応するようにして設けられている。
【0047】
操作ボタン挿入空間15aは、ケース15の一端側(操作ボタン13が挿入される側)から他端側に向かう長手方向に沿って、すなわちケース15の軸心O方向に延伸して形成されており、一端側が開口されている。
【0048】
更に詳述すると、操作ボタン挿入空間15aは、操作ボタン13の摺動部13aaをケース15の長手方向、すなわち前後方向に摺動可能に収納する円形空間でなる摺動部収納空間15aaと、対向する2つの制御片13bを同じく長手方向に摺動可能に収納する制御片収納規制空間15abと、が設けられている。なお、制御片収納規制空間15abは、摺動部収納空間15aa内から連続して設けられている。
【0049】
摺動部収納空間15aaは、ケース15内に配置された操作ボタン13の摺動部13aaの移動をケース15の軸心O方向に案内するものであり、円柱状をした摺動部13aaの外径と略等しい内径で形成されている。
【0050】
制御片収納規制空間15abは、対向する2つの制御片13bの前後方向(押し込み・押し出し方向)の移動を案内するものでもあり、ケース15の軸心O方向に延伸して形成されている。制御片収納規制空間15abの左右の幅は、対向する2つの制御片13bにおけるアーム部13dの、平面視左右方向にハの字状に拡がる最大の外幅よりも若干小さく、対向する2つの制御片13bが制御片収納規制空間15ab内でそれぞれ左右方向内側に弾性変形して、対向する2つの制御片13bの間にピン11の当接部11bを挟持可能な空間が確保されている。また、制御片収納規制空間15abの側壁15cには、奥壁15b側に進むに従い左右の側壁15c間の幅を徐々に狭めて制御片収納規制空間15abを先細状に形成してなる、後述する図8中に示すところの傾斜側壁15caを有し、制御片収納規制空間15abの全体が平面視スリット状の空間として形成されている。また、制御片収納規制空間15abには、対向する2つの制御片13bの各アーム部13dに設けた係止爪13gにそれぞれ対応して、ストッパー16としての孔が、摺動部収納空間15aaから連続して設けられている。
【0051】
次に、このように構成された着脱装置10の動作を、図2図3図7を用いて説明する。なお、以下の説明では、操作ボタン13のタッチ操作部13abのタッチ面が符号Lと略対応している位置(この位置では、対向する2つの制御片13bにおける各ロック用係止爪部20aがピン挿入孔14と対応している)をロック位置Lと呼び、操作ボタン13のタッチ操作部13abのタッチ面が符号Uと略対応している位置(この位置では、対向する2つの制御片13bにおける各アンロック用係止爪部20bがピン挿入孔14と対応している)をアンロック位置Uと呼ぶ。
【0052】
この着脱装置10では、操作ボタン13のタッチ操作部13abをケース15の内側に押し込んでいないとき、図3に示すように、バネ力生成部13eの部分で折り返されて八の字状に拡開している1対のアーム部13dが、ストッパー16の孔内周面に当接している。この状態では、操作ボタン13の全体がバネ力生成部13eからの押し戻しバネ力を受けてケース15の外側に押し戻され、アーム部13dの先端である係止爪13gがストッパー16の孔内面に係合され、かつ、対向する2つの制御片13bの各ロック用係止爪部20aがピン挿入孔14と対応したロック位置Lに保持されている(図3及び図7の(a)及び(A)参照)。そして、ピン11と着脱部12とを結合させる場合、及び、ピン11と着脱部12を離脱させる場合は、次のようになる。
【0053】
ピン11と着脱部12とを結合させる場合:
図2図7の(a)、(A)のように、操作ボタン13がケース15内から大きく飛び出して、ロック位置Lに配置されている状態において、ピン11を、ガイド部11a側から、ピン挿入孔14を通ってケース15内に挿入する。ピン11が、対向する2つの制御片13bの位置まで挿入されると、ガイド部11aが、対向する2つの制御片13bにおけるロック用係止爪部20aの下縁にぶつかる。ガイド部11aがロック用係止爪部20aの下縁にぶつかると対向する2つの制御片13bを各々上方(ガイド部11aの移動方向)に押し上げると同時に、対向する2つの制御片13bを左右方向外側に各々押し広げる。そして、対向する2つの制御片13bにおけるロック用係止爪部20aの間に当接部11bが割り込みながら、ピン11の先端がケース15内の壁にぶつかるまで進入する。また、ピン11の先端がケース15内の壁にぶつかると、ガイド部11aと当接部11bがロック用係止爪部20aの間を通過し終え、代わって対向する2つの制御片13bにおけるロック用係止爪部20aがロック溝11cと対応する。そして、対向する2つの制御片13bに蓄えられた弾性エネルギーが開放され、対向する2つの制御片13bは元の形状に戻る。これにより、各ロック用係止爪部20aがロック溝11c内に入り込んで係合係止状態、すなわちオートロックされる。このロック状態は、図2図3図7の(b)、(B)に示す。
【0054】
ピン11と着脱部12を離脱させる場合:
図7(c)、(C)に示すように、タッチ操作部13abをケース15の内側に、バネ力生成部13e内の押し戻しバネ力に逆らって押し込む。すると、ロック位置Lにあった操作ボタン13の全体が、アンロック位置U側に移動するとともに、その移動時に制御片収納規制空間15abの左右の側壁15cが、1対のアーム部13dと共に対向する2つの制御片13bを内側に弾性変形させ、この弾性変形力で1対のバネ力生成部13eにそれぞれ押し戻しバネ力が蓄積される。
【0055】
また、タッチ操作部13abがケース15の内側に移動するとき、ロック用係止爪部20a側からアンロック用係止爪部20b側に向かって略連続して傾斜する状態にして、それぞれ形成されているガイド傾斜面13cが、ピン11の当接部11bに当接する。また、操作ボタン13がアンロック位置Uに移動するのに伴って、ガイド傾斜面13cに案内されて対向する2つの制御片13bがそれぞれ外側に押し出され、対向する2つの制御片13bとの間の距離が更に開き、ロック用係止爪部20aがロック溝11c内から抜け出す。また、更に対向する2つの制御片13bとの間に当接部11bを割り込ませながら操作ボタン13の移動を進ませると、操作ボタン13のアンロック位置Uへの移動が終わる頃、当接部11bと対応する位置に対向する2つの制御片13bの各アンロック用係止爪部20bが対応し、図7の(c)、(C)に示すように、各アンロック用係止爪部20bがロック溝11cに入り込むことなく、ピン11の当接部11bの外周面を挟持する。これにより、対向する2つの制御片13bによるピン11に対するロックが解除される。そして、操作ボタン13がアンロック位置Uに配置されると、対向する2つの制御片13b及び1対のアーム部13dにおける弾性変形も大きくなり、バネ力生成部13eにおけるバネ力も略最大に蓄積した状態になる。
【0056】
そして、このアンロック用係止爪部20bがピン11と対応している状態では、ピン11をケース15から引き抜くことができる。また、ロック用係止爪部20aとロック溝11cとの位置が上下方向に僅かにずれた後は、操作ボタン13の押し込みを解除してもピン11をケース15から継続して引き抜くことができる。さらに、対向する2つの制御片13bの間からピン11が退避した後は、操作ボタン13は、操作ボタン13がアンロック位置Uまで押し込まれたときに生成された、バネ力生成部13e内に蓄積されている押し戻しバネ力により、係止爪13gとストッパー16とが係合するロック位置Lまで自動的に押し戻される。
【0057】
ここで、上述した操作ボタン13がアンロック位置Uに押し込まれている状態において、操作ボタン13の押し込みを解除すると、操作ボタン13がアンロック位置Uからロック位置Lまで自動的に移動復帰する原理を、図8を用いて説明する。
【0058】
まず、図8の(a)に示すように、バネ力生成部13e内の押し戻し力に逆らって、操作ボタン13がロック位置Lからアンロック位置Uに向かってケース15内に押しまれると、対向する2つの制御片13bも、バネ力生成部13eを支点として各アーム部13dを内側に撓ませながら、制御片収納規制空間15ab内を奥壁15b側に向かって移動する。また、バネ力生成部13eの先端が制御片収納規制空間15abの先細状になっている側壁15cの傾斜側壁15caに突き当たると、対向する2つの制御片13bを更に内側に弾性変形させてバネ力生成部13eにバネ力を蓄積しながら、バネ力生成部13eの先端が奥壁15bに当接した位置、すなわち図8の(a)に示す、アンロック用係止爪部20bとピン11とが対応するアンロック位置Uまで押し込むことができる。この操作ボタン13がアンロック位置Uに移動された状態では、対向する2つの制御片13bに、それぞれ外側(側壁15c側)に向いた反発力f1、反発力f2が働き、これらの反発力f1、f2がバネ力生成部13e内に蓄積され、この反発力f1、f2の合成分力f3が、操作ボタン13をアンロック位置Uからロック位置Lに戻す反発力として、操作ボタン13に働く。
【0059】
また、このようにバネ力生成部13e内に反発力f1及び反発力f2が蓄積されている状態で、操作ボタン13の押し込み力を解除すると、操作ボタン13は、操作ボタン13がアンロック位置Uまで押し込まれたときに生成された、バネ力生成部13e内に蓄積されている押し戻しバネ力により、係止爪13gとストッパー16とが係合するロック位置Lまで押し戻される。また、このロック位置Lでは、対向する2つの制御片13bの各ロック用係止爪部20aがピン挿入孔14と対応する。
【0060】
したがって、本実施例による着脱装置10によれば、操作ボタン13をロック位置Lに押し戻すバネ力を生成するバネ力生成部13eを、操作ボタン13と一体化されている対向する2つの制御片13bの中に組み込んだ構成としているので、操作ボタン13以外に戻しバネを別途用意する必要がなくなるので、構成を簡易にすることがでる。また、組み立ても容易になり、コスト低減に寄与する。さらに、従来の金属バネを使用した着脱装置の構造では、経年変化により、錆などの発生が危惧されるが、本実施例の着脱装置10では、バネ力生成部13eに樹脂材を使用し、金属部材を使用しないので錆の発生などの心配もなくなり、品質の向上に寄与できる。
【0061】
なお、本実施例では、便器(図示せず)に取り付けるべき固定部101から突出しているピン11と、便座102にヒンジ機構を介して取り付けられる着脱部12との結合を一例として説明したが、便器と便座との着脱に限定されることなく、各種の着脱装置として適用できるものである。
【0062】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を成すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【符号の説明】
【0063】
10 :着脱装置
11 :ピン
11a :ガイド部
11b :当接部
11c :ロック溝
12 :着脱部
13 :操作ボタン
13a :ボタン本体部
13b :制御片
13c :ガイド傾斜面
13d :アーム部
13e :バネ力生成部
13f :リップ部
13g :係止爪
14 :ピン挿入孔
15 :ケース
15a :操作ボタン挿入空間
15aa :摺動部収納空間
15ab :制御片収納規制空間
15b :奥壁
15c :側壁
15ca :傾斜側壁
16 :ストッパー
20a :ロック用係止爪部
20b :アンロック用係止爪部
L :ロック位置
O :軸心
U :アンロック位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8