(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062002
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】レーザダイオードバー及びこれを備えたレーザモジュール
(51)【国際特許分類】
H01S 5/22 20060101AFI20240430BHJP
H01S 5/023 20210101ALI20240430BHJP
【FI】
H01S5/22 610
H01S5/023
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169718
(22)【出願日】2022-10-24
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、環境省、革新的な省CO2実現のための部材や素材の社会実装・普及展開加速化事業委託業務、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 賢哉
(72)【発明者】
【氏名】岡本 貴敏
(72)【発明者】
【氏名】内田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】村尾 文弥
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AA08
5F173AD05
5F173AH22
5F173AR61
5F173AR93
5F173MC12
5F173MC18
5F173MD04
5F173MD07
5F173MD84
(57)【要約】
【課題】金属はんだを介してサブマウントに実装された場合、金属はんだにボイドが残留するのを抑制することができるレーザダイオードバーを提供する。
【解決手段】レーザダイオードバー10は、それぞれレーザ光を出射する複数のエミッタ11がX方向に一列に並んで配置されている。レーザダイオードバー10の厚さ方向をY方向とし、レーザ光の出射方向をZ方向とする。互いに隣り合うエミッタ11の間には、レーザダイオードバー10の第1面10aから内部に向かう素子分離溝17が形成されている。Y方向から見て、素子分離溝17は、Z方向に沿って直線状に設けられた第1溝17aと、X方向に沿って第1溝17aの側面から突出する複数の第2溝17bと、を有している。複数の第2溝17bは、Z方向に沿って互いに間隔Lvをあけて設けられている。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれレーザ光を出射する複数のエミッタが一列に並んで配置されたレーザダイオードバーであって、
複数の前記エミッタの配列方向をX方向とし、前記レーザダイオードバーの厚さ方向をY方向とし、前記レーザ光の出射方向であって、前記X方向と前記Y方向のそれぞれと交差する方向をZ方向とするとき、
互いに隣り合う前記エミッタの間には、前記レーザダイオードバーの第1面から前記レーザダイオードバーの内部に向かう素子分離溝が形成されており、
前記Y方向から見て、前記素子分離溝は、前記Z方向に沿って直線状に設けられた第1溝と、前記X方向に沿って前記第1溝の側面から突出する複数の第2溝と、を有しており、
複数の前記第2溝は、前記Z方向に沿って互いに所定の間隔をあけて設けられていることを特徴とするレーザダイオードバー。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザダイオードバーにおいて、
前記エミッタの前記第1面にはボンディング電極が形成されており、
前記Y方向から見て、前記ボンディング電極は、前記素子分離溝とオーバーラップする部分を有さず、前記素子分離溝と所定の分離幅をあけて配置されていることを特徴とするレーザダイオードバー。
【請求項3】
請求項2に記載のレーザダイオードバーにおいて、
前記素子分離溝は、前記レーザダイオードバーの前記第1面から前記Y方向に沿って所定の深さを有しており、
前記所定の深さは、前記レーザダイオードバーの前記第1面から前記レーザ光を発生する活性層までの前記Y方向に沿った距離よりも深いことを特徴とするレーザダイオードバー。
【請求項4】
請求項2に記載のレーザダイオードバーにおいて、
前記Z方向に沿って互いに隣り合う前記第2溝の間隔は、前記X方向に沿って互いに隣り合う前記第1溝の間隔よりも狭いことを特徴とするレーザダイオードバー。
【請求項5】
請求項1に記載のレーザダイオードバーと、
金属はんだを介して前記レーザダイオードバーが表面に実装されるサブマウントと、を少なくとも備えたことを特徴とするレーザモジュール。
【請求項6】
請求項5に記載のレーザモジュールにおいて、
前記サブマウントは、導電性の母材の内部にダイヤモンド粒子が分散した複合体からなることを特徴とするレーザモジュール。
【請求項7】
請求項6に記載のレーザモジュールにおいて、
前記母材は、銅または銀を主たる構成材料とすることを特徴とするレーザモジュール。
【請求項8】
請求項5に記載のレーザモジュールにおいて、
前記金属はんだは、金とスズの合金からなることを特徴とするレーザモジュール。
【請求項9】
請求項5に記載のレーザモジュールにおいて、
前記エミッタの前記第1面に形成されたボンディング電極が、前記金属はんだを介して前記サブマウントの表面に接合されることで、前記サブマウントに前記レーザダイオードバーが実装されることを特徴とするレーザモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザダイオードバー及びこれを備えたレーザモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワットクラスの高出力レーザ光源として、それぞれレーザ光を出射するレーザ共振器である複数のエミッタを一方向に配列して、単一の基板上に形成したレーザダイオードバーが知られている。このようなレーザダイオードバーにおいて、エミッタ間に素子分離溝を設けたり、素子分離溝を熱伝導率の低い材料で埋めたりすることで、エミッタ間の熱干渉の抑制が図られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、互いに隣り合うエミッタの間であって、互いに対向する共振器の端面の間に素子分離溝が形成されたレーザダイオードバーが開示されている。素子分離溝の底面は、エミッタの発光層となる活性層を貫通した半導体基板の内部まで達している。このような素子分離溝を形成することで、エミッタ間の熱干渉を抑制し、レーザ光の発生部である活性層から基板への放熱を促進できる。また、基板に生じる歪みを低減し、ひいては、基板の表面において、複数のエミッタが配列方向に反ってしまうのを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、レーザダイオードバーは、通常、金属はんだによりサブマウントに実装されて使用される。サブマウントはレーザダイオードバーを機械的に支持するとともに、各エミッタで発生した熱を外部に放散する。
【0006】
近年、レーザ光の高出力化とこれに伴うサブマウントの放熱性の向上が要求されている。しかし、放熱性の高い材質のサブマウントを使用した場合、金属はんだにボイドが発生し、レーザダイオードバーからサブマウントへの放熱が阻害される場合があることが、本願発明者等の検討でわかってきた。このようなことが起こると、レーザ光の出射性能の低下や、レーザダイオードバーの動作信頼性の低下を招き、場合によっては、レーザダイオードバーの熱的破壊が発生するおそれがある。
【0007】
本開示は、かかる点に鑑みてなされたもので、その目的は、金属はんだを介してサブマウントに実装された場合、金属はんだにボイドが残留するのを抑制することができるレーザダイオードバー及びこれを備えたレーザモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本開示に係るレーザダイオードバーは、それぞれレーザ光を出射する複数のエミッタが一列に並んで配置されたレーザダイオードバーであって、複数の前記エミッタの配列方向をX方向とし、前記レーザダイオードバーの厚さ方向をY方向とし、前記レーザ光の出射方向であって、前記X方向と前記Y方向のそれぞれと交差する方向をZ方向とするとき、互いに隣り合う前記エミッタの間には、前記レーザダイオードバーの第1面から前記レーザダイオードバーの内部に向かう素子分離溝が形成されており、前記Y方向から見て、前記素子分離溝は、前記Z方向に沿って直線状に設けられた第1溝と、前記X方向に沿って前記第1溝の側面から突出する複数の第2溝と、を有しており、複数の前記第2溝は、前記Z方向に沿って互いに所定の間隔をあけて設けられていることを特徴とする。
【0009】
本開示に係るレーザモジュールは、前記レーザダイオードバーと、金属はんだを介して前記レーザダイオードバーが表面に実装されるサブマウントと、を少なくとも備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本開示のレーザダイオードバーによれば、金属はんだを介してサブマウントに実装された場合、金属はんだにボイドが残留するのを抑制することができる。
【0011】
本開示のレーザモジュールによれば、金属はんだにボイドが残留するのを抑制でき、レーザダイオードバーとサブマウントとの接合不良を低減できる。また、レーザダイオードバーの動作不良を低減でき、動作信頼性を高められる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】実施形態に係るレーザモジュールの斜視図である。
【
図2A】レーザダイオードバーの要部の平面図である。
【
図2B】ボンディング電極と第2溝との配置関係を示す図である。
【
図2C】
図2Aの各部におけるY方向のプロファイルを示す図である。
【
図3A】比較例に係るレーザダイオードバーの要部の平面図である。
【
図3B】
図3Aの各部におけるY方向のプロファイルを示す図である。
【
図4】比較例に係るレーザダイオードバーの実装時に金属はんだに発生するボイドの様子を示す模式図である。
【
図5】金属はんだにボイドが残留した場合の比較例に係るレーザモジュールの断面模式図である。
【
図6】実施形態に係るレーザダイオードバーの実装時に金属はんだに発生するボイドの様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0014】
(実施形態)
[レーザモジュール及びレーザダイオードバーの構成]
図1Aは、実施形態に係るレーザモジュールの斜視図を示し、
図1Bは、
図1AのIB-IB線での断面図を示し、
図1Cは、
図1Bにおいて破線で囲まれた部分の拡大図を示す。なお、説明の便宜上、
図1Aにおいて、レーザダイオードバー10の形状は簡略化して図示している。
【0015】
なお、以降の説明において、レーザダイオードバー10におけるエミッタ11の配列方向をX方向と呼び、レーザダイオードバー10の厚さ方向をY方向と呼ぶ。Y方向は、レーザダイオードバー10とサブマウント20と冷却器30とが積み重ねられた方向でもある。X方向及びY方向とそれぞれ直交する方向をZ方向と呼ぶ。Z方向は、エミッタ11の長手方向であり、複数のエミッタ11のそれぞれから出射されるレーザ光の出射方向でもある。
【0016】
なお、Y方向において、レーザダイオードバー10が配置された側を上または上方と呼び、冷却器30が配置された側を下または下方と呼ぶ。Z方向において、エミッタ11におけるレーザ光が出射される端面が配置された側を前または前方と呼び、当該端面と対向する端面が配置された側を後または後方と呼ぶ。また、レーザモジュール100及びこれを構成する各部品をY方向から見た場合を平面視と呼ぶ。
【0017】
なお、本願明細書において、「直交」または「平行」あるいは「同じ」とは、レーザモジュール100を構成する各部品の製造公差や部品間の組立公差を含んで直交している、または平行である、あるいは同じであるという意味であり、比較対象同士が厳密に直交している、または平行である、あるいは同じであることまでを意味するものではない。
【0018】
図1に示すように、レーザモジュール100は、冷却器30とサブマウント20とレーザダイオードバー10とが下からこの順に積み重ねられて構成されている。
【0019】
なお、サブマウント20において、レーザダイオードバー10が実装される面を表面と呼び、当該表面とY方向に対向する面を裏面と呼ぶ。
【0020】
同様に、冷却器30において、サブマウント20が実装される面を表面と呼び、当該表面とY方向に対向する面を裏面と呼ぶ。
【0021】
冷却器30は、内部に冷却水路(図示せず)を有する部品であり、表面に金属層(図示せず)が形成されている。
【0022】
冷却器30自体は、例えば、絶縁性のセラミック等で構成される。ただし、ステンレス等の金属で構成されていてもよい。ただし、冷却器30とサブマウント20とは電気的に絶縁される。また、冷却水路を流れる冷却水と冷却器30との電気的絶縁は確保する必要がある。レーザモジュール100の動作時は、図示しない循環機構により冷却水路に冷却水を循環させて、レーザダイオードバー10が実装されたサブマウント20を冷却している。
【0023】
サブマウント20は、平面視で長方形の板状の導電部材であり、銅からなる母材の内部にダイヤモンド粒子(図示せず)が分散された複合体からなる。
【0024】
サブマウント20は、所定値以上の熱伝導率を有していることが好ましく、また、抵抗率が低いことが好ましい。この観点から、複合体を構成する主要な材料が選択される。ダイヤモンドは、熱伝導率が約2200W/mKと高く、放熱性に優れている。一方で、ダイヤモンドは電気導体ではないため、抵抗率は高い。そこで、銅のような抵抗率が低い材料からなる母材と複合体を構成することで、前述の要求を満足できるサブマウント20を実現できる。なお、銅の抵抗率は、室温で、1.7ΜΩ・cm程度であり、熱伝導率は、400W/mK程度である。
【0025】
なお、サブマウント20は銅からなる母材とダイヤモンド粒子以外の別の材料を含んでいてもよい。また、母材に含まれる不可避不純物や、不可避不純物と母材との反応物がサブマウント20に含まれていてもよい。
【0026】
また、サブマウント20は、レーザダイオードバー10を構成する主たる半導体材料と線膨張係数が近く、ヤング率が高いことが好ましい。本実施形態に示すように、サブマウント20を異なる材料の複合体とし、材料の選択や各材料の混合比率を調整することで、サブマウント20の線膨張係数やヤング率の調整を行うこともできる。
【0027】
なお、サブマウント20に許容される各種仕様、例えば、前述した熱伝導率や抵抗率、機械的強度等が所望の条件を満足すれば、サブマウント20の材質は前述の複合体に限られない。
【0028】
図1Bに示すように、サブマウント20の表面には金属層40が形成されている。金属層40は、例えば、ニッケルからなるめっき層である。金属層40は、金属はんだ50の濡れ性を向上させ、金属はんだ50を介してレーザダイオードバー10とサブマウント20とを強固に接合するために設けられている。
【0029】
図1Bに示すように、金属層40の表面には、金属はんだ50が設けられている。本願明細書において、金属はんだ50は、金とスズとの合金からなる。ただし、金属はんだ50の材質は特にこれに限定されない。
【0030】
金属はんだ50は、下面が金属層50に接合されている一方、上面はレーザダイオードバー10に形成されたボンディング電極14b(
図1C参照)に接合されている。
【0031】
レーザダイオードバー10は、複数のエミッタ11を有し、平面視で長方形の部材であり、長辺がX方向で、短辺がZ方向である。エミッタ11は、基板12にレーザ光の発生部である活性層(図示せず)、光や電流の閉じ込め層であるクラッド層(図示)等が積層されてなる積層体である。また、後で述べるように、エミッタ11には、リッジ分離溝16や素子分離溝17が形成されている。
【0032】
図1Bに示すように、レーザダイオードバー10の一方の面にn側電極13が形成されている。以降の説明において、レーザダイオードバー10におけるn側電極13が形成された面を第2面10bと呼ぶ。また、レーザダイオードバー10において、第2面10bとY方向に対向する面にp側電極14が形成されている。以降の説明において、レーザダイオードバー10におけるp側電極14が形成された面、具体的には、エミッタ11におけるp側電極14が形成された面を第1面10aと呼ぶ(
図1C参照)。
【0033】
なお、
図1Cに示すように、p側電極14は、オーミック電極14aとボンディング電極14bとで構成されている。オーミック電極14aは、エミッタ11におけるリッジストライプ11aの第1面10aとオーミック接触している。ボンディング電極14bは、オーミック電極14aに接してエミッタ11を覆うように設けられている。また、オーミック電極14aとの接触部分を除き、レーザダイオードバー10の第1面10aは絶縁層15で覆われている。
【0034】
なお、本実施形態において、基板12は、窒化ガリウム(GaN)からなる半導体基板であり、レーザダイオードバー10を構成する主たる半導体材料は窒化物半導体(GaN系半導体)である。レーザダイオードバー10における各エミッタ11からは、青色の波長域のレーザ光がそれぞれ出射される。なお、「青色の波長域」とは、350nm以上、460nm以下の波長範囲を言う。
【0035】
レーザダイオードバー10のp側電極14は、金属はんだ50と金属層40とを介してサブマウント20と電気的に接続されている。n側電極13とサブマウント20との間に、図示しない外部電源からしきい値を超える電流を流すことにより、レーザダイオードバー10における各エミッタ11からそれぞれレーザ光が出射される。
【0036】
[レーザダイオードバーの要部の構成]
図2Aは、レーザダイオードバーの要部の平面図を、
図2Bは、ボンディング電極と第2溝との配置関係を、
図2Cは、
図2Aの各部におけるY方向のプロファイルをそれぞれ示す。
【0037】
なお、
図2Aでは、基板12からレーザダイオードバー10が個片化される前の状態を示している。また、
図2Aに示す破線A-A、B-B、C-Cのそれぞれは、X方向に延びた仮想の直線である。
図2Cに示す3つのプロファイルは、破線A-A、B-B、C-Cのそれぞれに沿ったプロファイルである。
【0038】
図2Aに示すように、エミッタ11は、リッジストライプ11aとリッジ分離溝16とを有している。前述したように、リッジストライプ11aは、エミッタ11への電流注入領域にあたる。また、レーザ共振器を構成するリッジストライプ11aの一方の端面であるフロント端面10cから他方の端面であるリア端面10dにかけて、Z方向に沿って直線状に設けられている。具体的には、2本のリッジ分離溝16が、X方向に間隔をあけて、かつフロント端面10cからリア端面10dにかけて直線状に形成されることで、リッジストライプ11aが形成される。X方向における2本のリッジ分離溝16の間隔が、エミッタ11の共振器幅に相当する。
【0039】
リッジ分離溝16は、レーザダイオードバー10の第1面10aから活性層に達するか、または、活性層に達しない程度の深さとなるように形成される。
図2Cに示す例では、発光点に相当する深さが活性層の位置にあたる。
【0040】
リッジストライブ11aが2本のリッジ分離溝16で、エミッタ11における、それ以外の部分と分離され、かつ、オーミック電極14aとの接触部分を除き、リッジストライブ11aの表面が絶縁層15で覆われている。
【0041】
このようにすることで、エミッタ11における活性層への電流注入箇所をリッジストライプ11aの直下に限定することができる。言い換えると、リッジストライプ11aの直下に、注入された電流及び活性層で発生した光を閉じ込めることができる。
【0042】
また、2本のリッジ分離溝16の端部は、Z方向に間隔をあけて対向して設けられたバー分割溝18に、それぞれ達している。2本のバー分割溝18は、それぞれ、X方向に沿って直線状に設けられている。劈開等により、バー分割溝18の底面がX方向に沿って分割されることで、エミッタ11等が形成された基板12から個片化したレーザダイオードバー10が得られる。この際の分割面の一方が、フロント端面10cに、他方がリア端面10dにあたる。なお、
図2Cに示す例では、レーザダイオードバー10の第1面10aからの深さが、リッジ分離溝16とバー分割溝18とで同じになるようにしている。このようにすることで、リッジ分離溝16とバー分割溝18とを同じ工程で形成することができ、レーザダイオードバー10の製造工程が簡素化される。ただし、特にこれに限定されず、リッジ分離溝16の深さがバー分割溝18の深さと異なっていてもよい。
【0043】
図2A,2Cに示すように、互いに隣り合うエミッタ11の間に、レーザダイオードバー10の第1面10aからレーザダイオードバー10の内部に向かう素子分離溝17が形成されている。さらに言うと、リッジストライプ11aと2本のリッジ分離溝16とをX方向で挟むように素子分離溝17が形成されている。なお、リッジ分離溝16と素子分離溝17とはX方向に間隔をあけて形成されている。
【0044】
素子分離溝17は、Z方向に沿って直線状に延びるように設けられた第1溝17aと、第1溝17aの側面から突出してX方向に延びるように設けられた複数の第2溝17bとで構成されている。第1溝17aのX方向の幅L1は、第2溝17bのZ方向の幅L2よりも広くなるように形成される。なお、幅L1,L2ともに、10μm以上であることが好ましい。幅L1,L2がこの値よりも小さくなると、基板12をエッチング加工して素子分離溝17を形成することが難しくなる。
【0045】
第1溝17aのZ方向の端部は、Z方向に対向する2本のバー分割溝18に達するように、さらに言うと、フロント端面10c及びリア端面10dにそれぞれ達するように形成されている。また、X方向に互いに隣り合う第1溝17aは、所定の間隔Lhをあけて配置される(
図2A参照)。さらに言うと、間隔Lhは、X方向に互いに隣り合う2本の第1溝17aにおいて、対向する側面のX方向の間隔である。なお、X方向に互いに隣り合う第1溝17aの中心線間の間隔をW0とする(
図2A参照)。本願明細書において、間隔W0は225μmであり、間隔Lhは、205μm程度であるが、特にこれに限定されない。
【0046】
平面視で、複数の第2溝17bは、2本のバー分割溝18の内側に形成されている。第1溝17aの同じ側面から突出する複数の第2溝17bは、Z方向に互いに所定の間隔Lvをあけて配置されており、間隔Lvは、前述の間隔Lhよりも狭くなるように設定される。
【0047】
また、
図2Aに示すように、平面視で、エミッタ11の第1面10aに形成されたボンディング電極14bは、素子分離溝17とオーバーラップする部分を有していない。さらに言うと、
図2Cに示すように、平面視で、素子分離溝17の第2溝17bとボンディング電極14bとは所定の分離幅ΔLをあけて配置されている。なお、分離幅ΔLは、1μm以上であることが好ましい。ΔLがこの値よりも小さいと、第2溝17bと間隔をあけてボンディング電極14bを形成することが難しくなる。
【0048】
また、
図2Cに示すように、素子分離溝17の深さ、具体的には、レーザダイオードバー10の第1面10aからY方向に沿った深さが、リッジ分離溝16やバー分割溝18よりも深くなるように、素子分離溝17が形成されている。さらに言うと、素子分離溝17の深さは、レーザダイオードバー10の第1面10aから活性層までのY方向に沿った距離よりも深くなるように設定されている。なお、基板12に対してエッチング加工を行って、素子分離溝17を一括で形成している。よって、素子分離溝17の内部において、深さは一定である。つまり、第1溝17aの深さと複数の第2溝17bのそれぞれの深さは、いずれも同じである。
【0049】
[効果等]
以上説明したように、本実施形態に係るレーザダイオードバー10は、それぞれレーザ光を出射する複数のエミッタ11がX方向に一列に並んで配置されている。
【0050】
複数のエミッタ11の配列方向をX方向とし、レーザダイオードバー10の厚さ方向をY方向とし、レーザ光の出射方向であって、X方向とY方向のそれぞれと交差する方向をZ方向とする。
【0051】
互いに隣り合うエミッタ11の間には、レーザダイオードバー10の第1面10aからレーザダイオードバー10の内部に向かう素子分離溝17が形成されている。
【0052】
Y方向から見て、素子分離溝17は、Z方向に沿って直線状に設けられた第1溝17aと、X方向に沿って第1溝17aの側面から突出する複数の第2溝17bと、を有している。複数の第2溝17bは、Z方向に沿って互いに所定の間隔Lvをあけて設けられている。
【0053】
レーザダイオードバー10をこのように構成することで、金属はんだ50を介してレーザダイオードバー10がサブマウント20に実装された場合、金属はんだ50にボイドが残留するのを抑制することができる。これについてさらに説明する。
【0054】
図3Aは、比較例に係るレーザダイオードバーの要部の平面図を、
図3Bは、
図3Aの各部におけるY方向のプロファイルをそれぞれ示す。
【0055】
なお、
図3Aでは、基板12からレーザダイオードバー60が個片化される前の状態を示している。また、
図3Aに示す破線D-D、E-E、F-Fのそれぞれは、X方向に延びた仮想の直線である。
図3Bに示す3つのプロファイルは、破線D-D、E-E、F-Fのそれぞれに沿ったプロファイルである。
【0056】
なお、
図3A,3Bにおいて、互いに隣り合う素子分離溝19のX方向の間隔を間隔Lh1として図示している。また、互いに隣り合う素子分離溝19の中心線のX方向の間隔を間隔W01として図示している。
【0057】
図3A,3Bに示すレーザダイオードバー60は、素子分離溝19が、Z方向に沿って直線状に延びる部分のみで構成されている点が、
図2A~2Cに示す本実施形態のレーザダイオードバー10と異なる。つまり、素子分離溝19は、素子分離溝17の第2溝17bにあたる部分を有していない。なお、素子分離溝19の深さは、素子分離溝17の深さと同じである。
【0058】
また、第2溝17bが設けられていないことに対応して、ボンディング電極14bの平面視の形状も、
図2A~2Cに示すレーザダイオードバー10と異なる。これらを除けば、他の部分は、
図3A,3Bに示すレーザダイオードバー10は、
図2A~2Cに示すレーザダイオードバー10と同様の構成である。
【0059】
図1B,1Cに示すように、エミッタ11の第1面10aに形成されたボンディング電極14bが、金属はんだ50を介してサブマウント20の表面に形成された金属層40に接合されることで、サブマウント20にレーザダイオードバー10が実装される。この際、サブマウント20を金属はんだ50の溶融温度よりも高い温度に予め加熱しておき、サブマウント20に対して位置合わせを行った上でレーザダイオードバー10を金属はんだ50に接触させる。その後、サブマウント20の加熱を中止し、レーザダイオードバー10が載置された状態でサブマウント20の温度を低下させることで、金属はんだ50が固化し、サブマウント20にレーザダイオードバー10が実装される。
【0060】
一方、本実施形態におけるサブマウント20は、前述した複合体である。この場合、熱伝導率の違いにより、複合体を構成する母材とダイヤモンド粒子とで温度の上昇度合いが異なってくるため、サブマウント20の表面で温度むらが発生しやすくなる。また、サブマウント20が複合体では無い場合も、サブマウント20を構成する材料の内部の不均一性等により、同様の温度むらが発生しうる。
【0061】
サブマウント20を加熱した場合、熱伝導率の違いにより、銅母材21とダイヤモンド粒子22とで温度の上昇度合いが異なってくるため、サブマウント20の表面で温度むらが発生しやすくなる。
【0062】
その結果、サブマウント20の加熱中に、金属はんだ50には、温度が融点に達して溶融した部分(以下、溶融部という)と融点に達していない部分(以下、未溶融部という)とが生じることがある。この状態で、レーザダイオードバー60を金属はんだ50に接触させると、未溶融部の直上には、溶融部が十分には広がっていないため、レーザダイオードバー60のボンディング電極14bに対して、金属はんだ50が接触していない部分が残ってしまう。金属はんだ50が固化すると、ボンディング電極14bと金属はんだ50との未接触部分が、ボイド51として残留する(
図5参照)。この様子を
図4を用いてさらに説明する。
【0063】
図4は、比較例に係るレーザダイオードバーの実装時に金属はんだに発生するボイドの様子を示す模式図である。
図5は、金属はんだにボイドが残留した場合の比較例に係るレーザモジュールの断面模式図である。なお、説明の便宜上、
図4において、レーザダイオードバー60は、リッジストライプ11aと素子分離溝19とのみを図示している。また、サブマウント20や金属はんだ50の図示を省略し、初期ボイド51aとボイド51のみを図示している。
【0064】
まず、前述したように、実装中に金属はんだ50に未溶融部が形成されるため、未溶融部の直上に小さな空気だまりが生じる。以下、これを初期ボイド51aという。平面視で、金属はんだ50には、未溶融部が分散して発生するため、
図4の左側に示すように、初期ボイド51aも平面視で、レーザダイオードバー60の全体に分散して発生する。また、ボンディング電極14bは、素子分離溝19と平面視でオーバーラップする部分を有していない。このため、初期ボイド51aは、素子分離溝19と平面視でオーバーラップする部分では発生しにくく、ボンディング電極14bとオーバーラップする部分で主に発生する。
【0065】
一方、実装中の金属はんだ50は、大部分が溶融状態であるため、初期ボイド51aは、金属はんだ50に加わる圧力等により、金属はんだ50の内部を移動する。ボンディング電極14bの周縁が、レーザダイオードバー60に形成された各種の溝と近接している場合は、当該溝が移動した初期ボイド51aの逃げ道となる。その結果、金属はんだ50の内部から初期ボイド51aが押し出される。例えば、リッジ分離溝16やバー分割溝18の近傍では、前述した現象が生じうる。
【0066】
一方、
図3Aに示すように、素子分離溝19とボンディング電極14bとは、平面視でX方向に間隔をあけて配置されている。また、素子分離溝19の側面とボンディング電極14bの周縁とが対向する長さも
図2Aに示す本実施形態のレーザダイオードバー10に比べれば短くなっている。
【0067】
したがって、平面視でボンディング電極14bの直下に形成された初期ボイド51aが逃げ切れず、リッジストライプ11aを含むエミッタ11の直下に留まる。また、複数の初期ボイド51aが集まって、より大きなサイズの空気だまりが形成される。最終的には、
図4の右側や
図5に示すように、リッジストライプ11aを含むエミッタ11の直下において、金属はんだ50の内部にボイド51が残留する。
【0068】
このようにボイド51が残留すると、レーザダイオードバー60の動作中に生じた熱が金属はんだ50を介してサブマウント20に排出されるのが阻害される。このため、レーザダイオードバー60の動作不良、例えば、長時間使用時のレーザ光の出力低下等を引き起こすことがある。極端な場合は、レーザダイオードバー60の熱的破壊を引き起こすことがある。
【0069】
一方、本実施形態によれば、素子分離溝17が複数の第2溝17bを有していることで、ボンディング電極14bの周縁から初期ボイド51aが逃げる経路を、比較例に示す場合に比べて大幅に長く確保できる。このことにより、エミッタ11の直下に多くの初期ボイド51aが残留するのを抑制でき、最終的に、金属はんだ50の内部にボイド51が形成されるのを大幅に抑制できる。その結果、レーザダイオードバー10とサブマウント20との接合不良を低減できる。また、レーザダイオードバー10の動作中に生じた熱がサブマウント20に確実に排出されるため、レーザダイオードバー10の動作不良を低減できる。また、レーザダイオードバー10熱的破壊を防止して、レーザダイオードバーの動作信頼性を高められる。
【0070】
平面視で、ボンディング電極14bは、素子分離溝17とオーバーラップする部分を有していない。また、ボンディング電極14bは、素子分離溝17の第2溝17bと所定の分離幅ΔLをあけて配置されている。
【0071】
ボンディング電極14bが、素子分離溝17とオーバーラップする部分を有していると、当該部分で金属はんだ50が素子分離溝17の内部に入り込んで、素子分離溝17の一部が埋まってしまうことがある。このようなことが起こると、素子分離溝17が、初期ボイド51aの逃げ道になりえず、
図4や
図5に示すように、最終的に金属はんだ50の内部にボイド51が残留し、レーザダイオードバー10の動作不良を引き起こしたり、動作信頼性の低下を招くおそれがある。
【0072】
本実施形態によれば、ボンディング電極14bは、素子分離溝17とオーバーラップする部分を有していないため、素子分離溝17に金属はんだ50が埋まり込んでしまうのを抑制できる。また、分離幅ΔLを適切に設定することで、実装時の圧力でボンディング電極14bの周縁からはみ出した金属はんだ50が、素子分離溝17に埋まり込んでしまうのを抑制できる。これらのことにより、レーザダイオードバー10の動作不良や動作信頼性の低下が起こるのを抑制できる。
【0073】
また、素子分離溝17は、レーザダイオードバー10の第1面10aからY方向に沿って所定の深さを有している。当該深さは、レーザダイオードバー10の第1面10aからレーザ光を発生する活性層までのY方向に沿った距離よりも深くなるように設定されている。
【0074】
素子分離溝17をこのように設けることで、動作中に最も高温となりうる活性層を、リッジエミッタ11毎に分離することができるため、複数のエミッタ11の間で熱干渉が生じるのを確実に抑制できる。また、このことにより、各エミッタ11における活性層から、基板12を通ってサブマウント20に向かう方向への熱拡散を促進できるため、各エミッタ11から出射されるレーザ光の高出力化、ひいては、レーザダイオードバー10から出射されるトータルのレーザ光の高出力化が可能となる。
【0075】
素子分離溝17において、Z方向に沿って互いに隣り合う第2溝17bの間隔Lvは、X方向に沿って互いに隣り合う第1溝17aの間隔Lhよりも狭くなるように設定されている。
【0076】
このようにすることで、実装中に発生した初期ボイド51aが素子分離溝17、具体的には、第2溝17bに向かって移動する距離を比較例に示すレーザダイオードバー60よりも短くできる。このことにより、金属はんだ50の内部から初期ボイド51aをより多く排出でき、金属はんだ50の内部にボイド51が残留するのを確実に抑制できる。また、レーザダイオードバー10の動作不良や動作信頼性の低下が起こるのを確実に抑制できる。
【0077】
また、第2溝17bのZ方向の幅L2は、第1溝17aのX方向の幅L1よりも狭いことが好ましい。幅L2が幅L1よりも広くなると、リッジストライプ11a以外の部分に形成されるボンディング電極14bの面積が大幅に小さくなるおそれがある。この場合、レーザダイオードバー10とサブマウント20とが熱的に接触する面積が小さくなり、レーザダイオードバー10からサブマウント20に排出される熱量が小さくなってしまうおそれがある。
【0078】
本実施形態によれば、レーザダイオードバー10とサブマウント20とが熱的に接触する面積が過度に小さくなるのを抑制でき、レーザダイオードバー10の動作中に生じた熱がサブマウント20に確実に排出される。このことにより、レーザダイオードバー10の動作不良を低減できる。また、レーザダイオードバー10熱的破壊を防止して、レーザダイオードバーの動作信頼性を高められる。
【0079】
なお、第1溝17aから突出する第2溝17bの本数が多ければ、初期ボイド51aの逃げ道は多くなるものの、レーザダイオードバー10とサブマウント20とが熱的に接触する面積は小さくなる。以上のことを踏まえて、第1溝17aから突出する第2溝17bの本数と第2溝17bのZ方向の幅L2、言い換えると、第2溝17bの平面視での面積は、ボイド51の残留抑制効果とレーザダイオードバー10からサブマウント20への放熱とを考慮して定められる。
【0080】
本実施形態に係るレーザモジュール100は、レーザダイオードバー10と、金属はんだ50を介してレーザダイオードバー10が表面に実装されるサブマウント20と、レーザダイオードバー10が実装されたサブマウント20が載置された冷却器30とを備えている。
【0081】
エミッタ11の第1面10aに形成されたボンディング電極14bが、金属はんだ50を介してサブマウント20の表面に接合されることで、サブマウント20にレーザダイオードバー10が実装される。
【0082】
レーザモジュール100をこのように構成することで、レーザダイオードバー10とサブマウント20とを接続する金属はんだ50の内部にボイド51が形成されるのを大幅に抑制できる。このことにより、レーザダイオードバー10とサブマウント20との接合不良を低減できる。また、レーザダイオードバー10の動作中に生じた熱がサブマウント20に確実に排出されるため、レーザダイオードバー10の動作不良を低減できる。また、レーザダイオードバー10熱的破壊を防止して、レーザダイオードバーの動作信頼性を高められる。
【0083】
サブマウント20は、導電性の母材の内部にダイヤモンド粒子が分散した複合体からなるのが好ましい。サブマウント20をこのように構成することで、例えば、金属のみからなるサブマウントに比べて、放熱性を大幅に高められる。また、サブマウント20をレーザダイオードバー10への通電経路の一部とすることができる。
【0084】
母材は、銅または銀を主たる構成材料とすることが好ましい。このようにすることで、サブマウント20の電気抵抗を低くすることができる。
【0085】
なお、前述したように、銅や銀等の導電材料の母材にダイヤモンド粒子が分散した複合体では、母材とダイヤモンド粒子との間の熱伝導率の差が大きく、サブマウント20の表面温度の不均一性が大きくなる。このような不均一性は、金属はんだ50の内部にボイド51が残留する可能性を大きくすることは既に述べたとおりである。
【0086】
一方、本実施形態によれば、素子分離溝17、特に複数の第2溝17bが初期ボイド51aの逃げ道となることで、金属はんだ50の内部にボイド51が形成されるのを大幅に抑制できる。
【0087】
金属はんだ50は、金とスズの合金からなるのが好ましい。金属はんだ50をこのような構成とすることで、金属はんだ50の融点と抵抗率とを低くすることができる。このことにより、レーザダイオードバー10への通電時に発生する熱量を低く抑えられる。また、レーザダイオードバー10とサブマウント20との実装工程で、実装温度が高くなるのを抑制でき、レーザダイオードバー10の反りを抑制できる。
【0088】
(その他の実施形態)
なお、レーザダイオードバー10を構成する主たる半導体材料がGaAs系半導体やInP系半導体であってもよい。また、各エミッタ11から、赤外の波長域、例えば、960nm程度の波長のレーザ光がそれぞれ出射されてもよい。
【0089】
また、
図1Aでは、サブマウント20が内部に冷却水路を有する冷却器30に載置された例を示したが、冷却器30における冷却機構は水冷に限らず、例えば、空冷であってもよい。また、冷却器30を省略してもよい。すなわち、本開示に係るレーザモジュール100は、レーザダイオードバー10と、金属はんだ50を介してレーザダイオードバー10が表面に実装されるサブマウント20と、を少なくとも備えていればよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本開示のレーザダイオードバーは、金属はんだを介してサブマウントに実装された場合、金属はんだにボイドが残留するのを抑制することができるため、高出力のレーザ光を得る上で有用である。
【符号の説明】
【0091】
10 レーザダイオードバー
10a 第1面
10b 第2面
10c フロント端面
10d リア端面
11 エミッタ
11a リッジストライプ
12 基板
13 n側電極
14 p側電極
14a オーミック電極
14b ボンディング電極
15 絶縁層
16 リッジ分離溝
17 素子分離溝
17a 第1溝
17b 第2溝
18 バー分割溝
19 素子分離溝
20 サブマウント
30 冷却器
40 金属層
50 金属はんだ
51 ボイド
51a 初期ボイド
60 レーザダイオードバー
100 レーザモジュール