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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062018
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】電動アクスルの冷却装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20240430BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20240430BHJP
   H02K 5/20 20060101ALI20240430BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20240430BHJP
   B60L 15/00 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
H02K9/19 A
H02K7/14 B
H02K5/20
H02K11/33
B60L15/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169751
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 英智
【テーマコード(参考)】
5H125
5H605
5H607
5H609
5H611
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125CD06
5H125FF01
5H125FF22
5H605AA01
5H605BB05
5H605CC01
5H605DD12
5H605DD13
5H607AA02
5H607AA12
5H607BB01
5H607DD03
5H607FF06
5H609PP01
5H609PP05
5H609QQ04
5H609RR35
5H609RR40
5H609RR53
5H609RR63
5H611AA09
5H611TT01
(57)【要約】
【課題】電動アクスル内を冷却するオイルを熱交換器により冷却する冷却装置において、オイルを電動アクスル内に循環させる電動ポンプを熱交換器と一体化することにより、構成部品点数を抑制して、構成を簡素化する。
【解決手段】電動アクスル内にオイルを循環させて、電動アクスルを冷却する電動ポンプ30と、熱交換器を成すオイルクーラ40と、を備える。電動ポンプ30は、モータ31と、内接ギアポンプ32と、それらを収容するモータケース33と、を備える。モータケース33は、モータ31の回転軸31aの一端側にオイルの吸込口33bが形成され、他端側にオイルの吐出口33cが形成されて、モータ31内にオイルが通流されている。オイルクーラ40は、モータケース33を外側から被うクーラケース42を備え、モータケース33とクーラケース42との隙間に冷却水が通流されている。モータケース33は、外壁面上にフィン33aを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動アクスル内にオイル等の主熱媒体を循環させて、電動アクスルを冷却する電動ポンプと、
冷却水等の交換熱媒体により前記主熱媒体を冷却する熱交換器と、を備え、
前記電動ポンプは、
モータと、
該モータの回転軸と同心の回転軸により回転駆動されるポンプ機能部と、
前記モータ及び前記ポンプ機能部を収容するモータケースと、を備え、
該モータケースは、前記ポンプ機能部及び前記モータの回転軸の一端側に前記主熱媒体の吸込口が形成され、他端側に前記主熱媒体の吐出口が形成されて、前記モータ内に前記主熱媒体が通流されており、
前記熱交換器は、前記モータケースを外側から被う熱交換器ケースを備え、前記モータケースと前記熱交換器ケースとの隙間に前記交換熱媒体が通流されており、
前記モータケースの前記熱交換器ケースに被われる部分は、熱伝導体により構成され、且つ、外壁面上に該外壁面の表面積を拡大する凸部又は凹部を備える
電動アクスルの冷却装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記熱交換器ケースの内側で前記モータケースの外壁面上に、前記熱交換器ケース及び前記モータケースとは独立した閉空間を形成し、この閉空間内に前記電動ポンプのコントローラ用基板を収容している
電動アクスルの冷却装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記コントローラ用基板は、前記閉空間内で前記モータケースから離れた側の壁面に固定されている
電動アクスルの冷却装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかにおいて、
前記交換熱媒体を通流させる交換熱媒体ポンプを前記熱交換器ケース内に備え、前記交換熱媒体ポンプは、前記モータの回転軸と同心の回転軸により回転駆動される
電動アクスルの冷却装置。
【請求項5】
請求項1~3のいずれかにおいて、
前記モータケースの前記凸部は、前記モータケースの外壁面上に前記熱交換器ケースの内壁面に向けて突出形成されたフィンである
電動アクスルの冷却装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記モータケースは、前記モータの回転軸と同心の円筒形を成し、
前記フィンは、前記モータケースの円筒形の胴部の外周面上に、前記モータの回転軸と同心の螺旋状に形成されている
電動アクスルの冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、電動車の駆動源である電動アクスルの冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動アクスルの油冷式の冷却システムでは、電動ポンプからのオイルを、電動アクスルを構成するモータ及びトランスアクスルに供給して、発熱する各部に循環させている。オイルの循環経路中には熱交換器が設けられ、オイルを冷却している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2020-525708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の冷却システムでは、電動ポンプと熱交換器は個別に設けられている。その結果、構成部品点数が多くなり、電動アクスル周りの構成が複雑化する問題がある。
【0005】
本明細書が開示する技術の課題は、電動アクスル内を冷却する熱媒体を熱交換器により冷却する冷却装置において、熱媒体を電動アクスル内に循環させる電動ポンプを熱交換器と一体化することにより、冷却装置の構成部品点数を抑制して、電動アクスル周りの構成を簡素化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本明細書に開示の電動アクスルの冷却装置は、次の手段をとる。
【0007】
第1の手段は、電動アクスル内にオイル等の主熱媒体を循環させて、電動アクスルを冷却する電動ポンプと、冷却水等の交換熱媒体により前記主熱媒体を冷却する熱交換器と、を備え、前記電動ポンプは、モータと、該モータの回転軸と同心の回転軸により回転駆動されるポンプ機能部と、前記モータ及び前記ポンプ機能部を収容するモータケースと、を備え、該モータケースは、前記ポンプ機能部及び前記モータの回転軸の一端側に前記主熱媒体の吸込口が形成され、他端側に前記主熱媒体の吐出口が形成されて、前記モータ内に前記主熱媒体が通流されており、前記熱交換器は、前記モータケースを外側から被う熱交換器ケースを備え、前記モータケースと前記熱交換器ケースとの隙間に前記交換熱媒体が通流されており、前記モータケースの前記熱交換器ケースに被われる部分は、熱伝導体により構成され、且つ、外壁面上に該外壁面の表面積を拡大する凸部又は凹部を備える。
【0008】
上記第1の手段によれば、電動アクスルを冷却することにより温度上昇した主熱媒体は、電動ポンプ内を通流する間にモータケースの外側を流れる交換熱媒体により冷却される。従って、熱交換器は電動ポンプと一体化され、熱交換器を別に設ける必要はなくなる。そのため、電動アクスルの冷却装置としての構成部品点数を抑制して、電動アクスル周りの構成を簡素化することができる。電動ポンプは、モータとポンプ機能部の各回転軸が同心とされている。そのため、モータ及びポンプ機能部を収容するモータケースの回転軸方向の大きさが大きくなり、モータケースの表面積が大きくなる。従って、熱交換器としての熱交換効率を高めることができる。また、モータケースの外壁面上には凸部又は凹部を備え、熱交換器としての熱交換効率を高めている。しかも、モータケースの外側は、熱交換器ケースにより被われているため、外壁面上に放熱性能重視の放熱構造を備えることができる。更に、モータケースの外側は、熱交換器ケースにより被われているため、熱交換器ケースに被われていない場合に比べてモータケースの強度を低下させることができ、軽量化を図ることができる。また、主熱媒体は電動ポンプのモータ内を通流するため、主熱媒体によりモータの冷却も行うことができる。
【0009】
第2の手段は、上述した第1の手段において、前記熱交換器ケースの内側で前記モータケースの外壁面上に、前記熱交換器ケース及び前記モータケースとは独立した閉空間を形成し、この閉空間内に前記電動ポンプのコントローラ用基板を収容している。
【0010】
上記第2の手段によれば、交換熱媒体によりコントローラ用基板を冷却することができる。しかも、コントローラ用基板は閉空間内に収容されているため、交換熱媒体に晒されることはなく、晒されることにより考慮すべき防水等の対策を不要とすることができる。
【0011】
第3の手段は、上述した第2の手段において、前記コントローラ用基板は、前記閉空間内で前記モータケースから離れた側の壁面に固定されている。
【0012】
上記第3の手段によれば、コントローラ用基板はモータケースから離れた側の壁面に固定されているため、比較的高温となる主熱媒体から加熱されることが抑制され、且つコントローラ用基板は交換熱媒体の近くに固定されるため、交換熱媒体により効率的に冷却される。
【0013】
第4の手段は、上述した第1~第3のいずれかの手段において、前記交換熱媒体を通流させる交換熱媒体ポンプを前記熱交換器ケース内に備え、前記交換熱媒体ポンプは、前記モータの回転軸と同心の回転軸により回転駆動される。
【0014】
上記第4の手段によれば、電動ポンプのモータにより交換熱媒体ポンプも回転駆動される。そのため、交換熱媒体ポンプの駆動源を別途設ける必要がなく、熱交換器のシステムの構成を簡素化することができる。
【0015】
第5の手段は、上述した第1~第3のいずれかの手段において、前記モータケースの前記凸部は、前記モータケースの外壁面上に前記熱交換器ケースの内壁面に向けて突出形成されたフィンである。
【0016】
上記第5の手段によれば、フィンによりモータケースの交換熱媒体に対する伝熱効率を高めることができる。
【0017】
第6の手段は、上述した第5の手段において、前記モータケースは、前記モータの回転軸と同心の円筒形を成し、前記フィンは、前記モータケースの円筒形の胴部の外周面上に、前記モータの回転軸と同心の螺旋状に形成されている。
【0018】
上記第6の手段によれば、交換熱媒体は、螺旋状に形成されたフィンに沿って流れるため、交換熱媒体がモータケースの外壁表面に触れる時間が長くなり、熱交換器としての熱交換効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態を適用した電動アクスルを示す説明図である。
図2】第1実施形態を示す主要部の拡大断面説明図である。
図3】第1実施形態における冷却水の流れを示す説明図である。
図4】第2実施形態を示す主要部の拡大断面説明図である。
図5】第3実施形態を示す主要部の拡大断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態を適用した電動アクスルの構成>
図1は、第1実施形態を適用した電動アクスル10の概要を示す。図1では、電動アクスル10が車両に搭載された状態で、車両の進行方向がX1、X2の矢印で示すX軸方向であり、進行方向と直交する車両の幅方向がY1、Y2の矢印で示すY軸方向である。これらの方向については、後述する他の図においても同様であり、車両の上下方向に関しては、図3にZ1、Z2の矢印で示すZ軸方向である。
【0021】
電動アクスル10は、公知のように、駆動モータ11と、減速機であるトランスアクスル12と、インバータ13とを備えている。駆動モータ11が発生する回転トルクは、インバータ13により制御され、トランスアクスル12により減速されて、車両の駆動軸52を介して車輪51に伝達される。
【0022】
電動アクスル10内の駆動モータ11及びトランスアクスル12を冷却及び潤滑するため、主熱媒体であるオイルが駆動モータ11の筐体11a内、及びトランスアクスル12の筐体12a内の各部に矢印で示すように循環されている。オイルは、トランスアクスル12の筐体12aの内側に設けられた電動ポンプユニット20により循環されている。また、インバータ13内を冷却するため、インバータ13内には矢印で示すように冷却水が循環されている。
【0023】
電動ポンプユニット20は、後述のように電動ポンプ30と熱交換器としてのオイルクーラ40が一体化されている。電動ポンプユニット20のオイルクーラ40にはインバータ13内を冷却する冷却水が流れ、冷却水は電動ポンプ30により循環されるオイルも冷却している。従って、冷却水は熱交換器の交換熱媒体とされている。冷却水は電動アクスル10外に設けられたラジエータ44に通流されてラジエータ44にて放熱される。
【0024】
<電動ポンプユニット20の構成>
図2は、上記電動ポンプユニット20の詳細構造を拡大して示す。電動ポンプユニット20は、電動ポンプ30の外側を熱交換器としてのオイルクーラ40のクーラケース(熱交換器ケースに相当)42で被って構成されている。電動ポンプ30は、モータ31及び内接ギアポンプ32を備える。オイルを電動ポンプ30のモータケース33内に汲み入れるポンプ機能部である内接ギアポンプ32は、モータ31の回転軸31aのY2側の端部に固定されている。モータケース33及びクーラケース42は、モータ31の回転軸31aと同心の円筒形状を成している。ここでは、円筒形状は、その両端部が閉じられた形状とされている。モータケース33は、アルミニウム、銅、鉄、それら金属の合金等の金属製であり、熱伝導体により構成されている。
【0025】
モータケース33の外周には、電動ポンプ30の吸込口33b及び吐出口33cが形成されている。吸込口33bは、モータケース33のY2側に設けられ、X1方向に突出して形成されている。また、吐出口33cは、モータケース33のY1側に設けられ、X1方向に突出して形成されている。電動ポンプ30が作動されると、矢印で示すように吸込口33bからモータケース33内にオイルが吸い込まれ、吐出口33cから吐出される。
【0026】
モータケース33のY1側には、モータケース33内の空間及びクーラケース42内の空間とは独立した閉空間34がモータケース33と一体に設けられている。閉空間34内にはコントローラ用基板31bが収容され、コントローラ用基板31bは、モータケース33から離れた側、つまりモータケース33の反対側の壁面に固定されている。コントローラ用基板31bは、モータ31の回転を制御するための回路基板であり、配線31cを介してモータ31のステータコイル31d、電源回路(図示略)等に接続されている。配線31cは、パイプ34aを通じて閉空間34の外部に導出されている。
【0027】
クーラケース42内で閉空間34のY1側には、交換熱媒体ポンプを成す渦巻きポンプ41が設けられている。渦巻きポンプ41は、モータ31の回転軸31aにより回転されるように結合されている。また、クーラケース42のY1側端部には、交換熱媒体である冷却水の吸込口42aが設けられ、クーラケース42のY2側端部には、冷却水の吐出口42bが設けられている。従って、渦巻きポンプ41が回転されると、矢印で示すように吸込口42aから冷却水が吸い込まれる。冷却水はモータケース33とクーラケース42の隙間を流れ、吐出口42bから吐出される。
【0028】
モータケース33の胴部の外周面上には、その外壁の表面積を拡大する凸部としてのフィン33aがクーラケース42の内壁面に向けて突出形成されている。フィン33aは、モータケース33と一体に形成され、モータケース33の外壁上で回転軸31aと同心の螺旋状に形成されている。そのため、モータケース33とクーラケース42の隙間を流れる冷却水は、図2に方向記号で示すように螺旋状のフィン33aに案内されて螺旋を描いて流れる。図3は、モータケース33の外壁上を冷却水が矢印で示すように螺旋を描いて流れる様子を示している。図3では矢印(冷却水)の先が途切れているように見えるが、モータケース33のZ2側で、矢印(冷却水)の先はY2側に隣接する矢印(冷却水)につながっている。
【0029】
<第1実施形態の作用、効果>
電動ポンプ30の作動により吸込口33bから吸い込まれ、吐出口33cから吐出されるオイルは、電動アクスル10の駆動モータ11及びトランスアクスル12を冷却及び潤滑する。同時に、モータ31内の冷却も行う。電動ポンプ30が作動されると、渦巻きポンプ41によって吸込口42aから冷却水が吸い込まれ、吐出口42bから吐出される。冷却水は、電動アクスル10のインバータ13を冷却する。同時に、冷却水がクーラケース42とモータケース33の隙間を通る間にモータケース33を冷却し、モータケース33内を流れているオイルを冷却する。従って、電動ポンプユニット20は、熱交換器として機能している。インバータ13の冷却、並びにモータケース33内を流れるオイルの冷却で温度上昇した冷却水は、ラジエータ44で放熱されて再び低温化される。
【0030】
第1実施形態によれば、電動ポンプユニット20により熱交換器は電動ポンプ30と一体化され、熱交換器を別に設ける必要はなくなる。そのため、電動アクスル10の冷却装置としての構成部品点数を抑制して、電動アクスル10周りの構成を簡素化することができる。電動ポンプ30は、モータ31と内接ギアポンプ32の各回転軸が同じ回転軸31aにより構成されている。そのため、モータ31及び内接ギアポンプ32を収容するモータケース33の回転軸31a方向の大きさが大きくなり、モータケース33の表面積が大きくなる。従って、熱交換器としての熱交換効率を高めることができる。また、モータケース33の外壁面上には凸部としてのフィン33aを備え、熱交換器としての熱交換効率を高めている。しかも、モータケース33の外側は、クーラケース42により被われているため、外壁面上に放熱性能重視の放熱構造を備えることができる。更に、モータケース33の外側は、クーラケース42により被われているため、クーラケース42に被われていない場合に比べてモータケース33の強度を低下させることができ、軽量化を図ることができる。また、オイルは電動ポンプ30のモータ31内を通流するため、オイルによりモータ31の冷却も行うことができる。
【0031】
吸込口42aから吸い込まれた冷却水は、閉空間34の壁面に固定されたコントローラ用基板31bも冷却する。従って、コントローラ用基板31bの放熱のための構成を不要とすることができる。しかも、コントローラ用基板31bは、電動ポンプ30のモータケース33から離れた側の壁面に固定されており、電動ポンプ30内を流れる高温化したオイルの熱を受けて加熱されることを抑制することができる。また、コントローラ用基板31bは、閉空間34内に収容されているため、冷却水に晒されることはなく、防水処理を不要とすることができる。また、渦巻きポンプ41は、電動ポンプ30のモータ31の回転軸31aにより回転駆動されており、渦巻きポンプ41を回転駆動するための駆動手段を別途設ける必要がなく、熱交換器としてのシステム構成を簡素化することができる。
【0032】
モータケース33にフィン33aが設けられ、しかもフィン33aは螺旋状に形成されている。そのため、モータケース33とクーラケース42との隙間を流れる冷却水は、螺旋状に形成されたフィン33aに沿って流れ、冷却水がモータケース33の外壁表面に触れる時間が長くなり、モータケース33内を流れるオイルを効率良く冷却することができる。即ち、熱交換器としての熱交換効率を高めることができる。
【0033】
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態を示す。第2実施形態が第1実施形態に対して特徴とする点は、第1実施形態における渦巻きポンプ41を電動ポンプユニット20内に置かず、電動ポンプユニット20の外部に設けた点である。その他の構成は、第2実施形態においても第1実施形態と同一であり、再度の説明は省略する。
【0034】
第2実施形態において、渦巻きポンプ41は、図1に示す冷却水の循環経路中のいずれかの位置に単独で設けられている。例えば、渦巻きポンプ41は、インバータ13内の冷却水の循環経路中に設けることができる。また、渦巻きポンプ41は、電動アクスル10の外でラジエータ44につながる冷却水の循環経路中のいずれかの位置に単独で設けることができる。
【0035】
第2実施形態では、電動ポンプユニット20に渦巻きポンプ41を備えないため、電動ポンプユニット20の構成を簡素化することができる。また、第1実施形態のように回転軸31aがコントローラ用基板31bを貫通しないため、コントローラ用基板31bの設計の自由度を高めることができる。
【0036】
<第3実施形態>
図5は、第3実施形態を示す。第3実施形態が第1実施形態に対して特徴とする点は、交換熱媒体として第1実施形態における冷却水に代えて空気を用いた点である。交換熱媒体として空気が用いられるため、好適には電動ポンプユニット20は、第1実施形態のようにトランスアクスル12の筐体12a内ではなく、筐体12aの外に設けられる。一方、インバータ13を冷却する冷却水の配管は、電動ポンプユニット20を通らずに構成される。その他の構成は、第3実施形態においても第1実施形態と同一であり、再度の説明は省略する。
【0037】
第3実施形態では、第1実施形態における冷却水と同様に、空冷ファン43の作動により空気がモータケース33とクーラケース42との隙間に通流され、その空気によりモータケース33を介して電動ポンプ30内のオイルが冷却される。第3実施形態では、インバータ13を冷却する冷却水の配管は、電動ポンプユニット20を通らないため、冷却水の配管経路を簡素化することができる。
【0038】
<その他の実施形態>
以上、本明細書に開示の技術を特定の実施形態について説明したが、その他各種の形態で実施可能なものである。例えば、上記各実施形態では、主熱媒体をオイルとし、交換熱媒体を水又は空気としたが、それら以外にも種々の熱媒体を用いることができる。上記各実施形態では、電動アクスル10のインバータ13の冷却は、交換熱媒体としての冷却水により行われるものとしたが、主熱媒体としてのオイルにより駆動モータ11及びトランスアクスル12とともに行われる構成としてもよい。上記各実施形態では、電動ポンプ30のモータ31の回転軸31aとポンプ機能部としての内接ギアポンプ32の回転軸、並びに電動ポンプ30のモータ31の回転軸31aと渦巻きポンプ41の回転軸を同一回転軸としたが、それぞれ別体の回転軸が同心上に結合されたものとしてもよい。上記各実施形態では、モータケース33の外壁面上に凸部としてのフィン33aを設けたが、モータケース33の外壁面上に壁面を凹まされた凹部を設けてもよい。上記各実施形態では、ポンプ機能部を成す内接ギアポンプ32をモータケース33の吸込口側に設けたが、モータケース33の吐出口側に設けてもよい。上記第1及び第3実施形態では、交換熱媒体ポンプを成す渦巻きポンプ41及び空冷ファン43をクーラケース42の吸込口42a側に設けたが、クーラケース42の吐出口42b側に設けてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 電動アクスル
11 駆動モータ
12 トランスアクスル
11a、12a 筐体
13 インバータ
20 電動ポンプユニット
30 電動ポンプ
31 モータ
31a 回転軸
31b コントローラ用基板
31c 配線
31d ステータコイル
32 内接ギアポンプ(ポンプ機能部)
33 モータケース
33a フィン(凸部)
33b 吸込口
33c 吐出口
34 閉空間
34a パイプ
40 オイルクーラ(熱交換器)
41 渦巻きポンプ(交換熱媒体ポンプ)
42 クーラケース(熱交換器ケース)
42a 吸込口
42b 吐出口
43 空冷ファン(交換熱媒体ポンプ)
44 ラジエータ
51 車輪
52 駆動軸
図1
図2
図3
図4
図5