(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062031
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】硬貨処理装置及び貨幣取扱装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/18 20190101AFI20240430BHJP
G07D 1/00 20060101ALI20240430BHJP
G07D 9/00 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
G07D11/18
G07D1/00 A
G07D9/00 481B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169771
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】森岡 秀徳
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 正幸
(72)【発明者】
【氏名】水沼 慶太郎
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA08
3E141BA12
3E141CA05
3E141GB05
3E141HA10
3E141JA20
3E141LA06
3E141LA07
3E141LA18
3E141LA23
3E141LA41
3E141LA57
(57)【要約】
【課題】装置サイズを小型化する。
【解決手段】硬貨処理装置4は、硬貨CNを収納する硬貨収納部30と、硬貨収納部30から繰り出された硬貨CNを水平出金搬送方向Dtに搬送する収納部搬送ベルト40と、可動可能に設けられ、収納部搬送ベルト40により搬送される硬貨CNを水平出金搬送方向Dtと交差する回収搬送方向Dcに案内する可動方向切替部50と、可動方向切替部50により回収搬送方向Dcに案内された硬貨CNを収納する回収庫24とを設ける。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨を収納する硬貨収納庫と、
前記硬貨収納庫から繰り出された前記硬貨を第1の方向に搬送する搬送部と、
可動可能に設けられ、前記搬送部により搬送される前記硬貨を前記第1の方向と交差する第2の方向に案内する可動方向切替部と、
前記可動方向切替部により前記第2の方向に案内された前記硬貨を収納する回収庫と
を有することを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】
前記可動方向切替部は、
上昇又は下降することにより、前記搬送部において前記第1の方向に搬送される前記硬貨を、前記第1の方向のまま進行させるか、又は、前記第2の方向へ向けて前記回収庫へ進行させるか切り替える
ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項3】
前記可動方向切替部は、
下降している際、前記搬送部により搬送される前記硬貨を前記第2の方向に案内する
ことを特徴とする請求項2に記載の硬貨処理装置。
【請求項4】
前記可動方向切替部は、
前記搬送部により搬送される前記硬貨を前記第1の方向と直交する前記第2の方向に案内する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の硬貨処理装置。
【請求項5】
前記搬送部は、前記硬貨を上面に載せて搬送する搬送ベルトであり
前記搬送ベルトの前記第2の方向側において上下に対向して設けられ、前記可動方向切替部によって前記第2の方向へ搬送方向が切り替えられた前記硬貨を互いの間に挟持しつつ回転することにより前記第2の方向へ繰り出す回収繰出ローラ
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項6】
前記回収繰出ローラは、前記搬送ベルトよりも速い回転速度で回転する
ことを特徴とする請求項5に記載の硬貨処理装置。
【請求項7】
前記回収繰出ローラの前記第2の方向側に設けられ、前記回収繰出ローラにより繰り出された前記硬貨を検出するセンサ
をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の硬貨処理装置。
【請求項8】
前記回収庫と前記第1の方向に並んで設けられ、前記搬送部により搬送された前記硬貨を挟持しながら上方へ搬送するリフト搬送部
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項9】
前記可動方向切替部は、
前記リフト搬送部に対し前記第1の方向における上流側に設けられ、前記搬送部において前記第1の方向に搬送される前記硬貨を、前記第1の方向のまま前記リフト搬送部へ向けて進行させるか、又は、前記第2の方向へ向けて前記回収庫へ進行させるか切り替える
ことを特徴とする請求項8に記載の硬貨処理装置。
【請求項10】
前記搬送部により搬送される前記硬貨を前記第1の方向と交差する第3の方向に案内する方向切替部をさらに有し、
前記リフト搬送部は、前記方向切替部により前記第3の方向に案内された前記硬貨を上方へ搬送する
ことを特徴とする請求項8に記載の硬貨処理装置。
【請求項11】
前記方向切替部は、
前記搬送部により搬送される前記硬貨を前記第1の方向と直交する前記第3の方向に案内する
ことを特徴とする請求項10に記載の硬貨処理装置。
【請求項12】
前記可動方向切替部は、
前記搬送部により搬送される前記硬貨を前記第3の方向と同一方向である前記第2の方向に案内する
ことを特徴とする請求項11に記載の硬貨処理装置。
【請求項13】
前記回収庫は、前記搬送部よりも下側に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項14】
硬貨の処理に関する操作を受け付ける操作部と、
前記硬貨が投入される投入口と、
前記硬貨を収納する硬貨収納庫と、
前記硬貨収納庫から繰り出された前記硬貨を第1の方向に搬送する搬送部と、
可動可能に設けられ、前記搬送部により搬送される前記硬貨を前記第1の方向と交差する第2の方向に案内する可動方向切替部と、
前記可動方向切替部により前記第2の方向に案内された前記硬貨を収納する回収庫と
を有することを特徴とする貨幣取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬貨処理装置及び貨幣取扱装置に関し、例えば貨幣(すなわち硬貨及び紙幣)を取り扱う貨幣取扱装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、比較的大規模の小売店(例えばスーパーマーケット等)では、顧客が精算処理を行う複数の精算所にそれぞれ紙幣及び硬貨を取り扱う貨幣取扱装置としてのレジスターが設置される場合がある。この貨幣取扱装置としては、例えば紙幣を処理する紙幣処理装置と、硬貨を処理する硬貨処理装置とを有するものがある。
【0003】
このうち硬貨処理装置は、投入された硬貨を1枚ずつ硬貨処理装置内部へ繰り出す硬貨投入部、硬貨を搬送する搬送部、硬貨の金種や真偽等を識別する認識部、金種毎に硬貨を収納する硬貨収納庫、使用者へ釣銭を出金する硬貨出金部、及び使用者へ硬貨を返却する返却部等を有している。この硬貨処理装置は、認識部において金種毎に選別した硬貨を硬貨処理装置内部に収納する場合は硬貨収納庫へ収納する一方、使用者へ返却する場合は返却部に収納する。またこの硬貨処理装置は、使用者へ釣銭として出金する硬貨を収納庫から繰り出して硬貨出金部へ搬送する。
【0004】
そのような硬貨処理装置は、硬貨を出金する際、硬貨収納庫から繰り出された硬貨をベルトにより一方向へほぼ水平方向に沿わせて搬送してリフトアップ搬送部へ受け渡し、リフトアップ搬送部により硬貨を持ち上げるように硬貨出金部まで搬送するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのような硬貨処理装置においては、装置サイズを小型化することが望まれている。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、小型化し得る硬貨処理装置及び貨幣取扱装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明の硬貨処理装置においては、硬貨を収納する硬貨収納庫と、硬貨収納庫から繰り出された硬貨を第1の方向に搬送する搬送部と、可動可能に設けられ、搬送部により搬送される硬貨を第1の方向と交差する第2の方向に案内する可動方向切替部と、可動方向切替部により第2の方向に案内された硬貨を収納する回収庫とを設けるようにした。
【0009】
また本発明の貨幣取扱装置においては、硬貨の処理に関する操作を受け付ける操作部と、硬貨が投入される投入口と、硬貨を収納する硬貨収納庫と、硬貨収納庫から繰り出された硬貨を第1の方向に搬送する搬送部と、可動可能に設けられ、搬送部により搬送される硬貨を第1の方向と交差する第2の方向に案内する可動方向切替部と、可動方向切替部により第2の方向に案内された硬貨を収納する回収庫とを設けるようにした。
【0010】
本発明は、硬貨の搬送路が装置における第1の方向に占める領域を抑えることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、硬貨の搬送路が装置における第1の方向に占める領域を抑えることができ、かくして小型化し得る硬貨処理装置及び貨幣取扱装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】貨幣取扱装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】硬貨処理装置の構成(1)を示し、(A)は正面図、(B)は右側面である。
【
図3】硬貨処理装置の構成(2)を示し、
図2(B)におけるA-A矢視平面図である。
【
図4】硬貨処理装置の構成(3)を示し、
図2(B)におけるB-B矢視平面図である。
【
図5】出金精査切替状態の水平出金搬送部、可動方向切替部及び方向切替部の構成を示し、(A)は平面図、(B)は右側面図である。
【
図6】回収切替状態の水平出金搬送部、可動方向切替部及び方向切替部の構成を示し、(A)は平面図、(B)は右側面図である。
【
図7】回収庫搬送部受渡部の構成を示し、
図6(A)におけるA-A矢視断面図である。
【
図8】回収庫搬送部受渡部において硬貨が搬送される様子を示し、(A)、(B)及び(C)の下側が平面図、(A)、(B)及び(C)の下側が(A)、(B)及び(C)の下側それぞれにおけるA-A矢視断面図である。
【
図9】リフト搬送部受渡部の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.貨幣取扱装置の全体構成]
図1に示すように、貨幣取扱装置1は、全体として概ね直方体状に形成されており、大きく分けて、紙幣を取り扱う紙幣処理装置2と、硬貨を取り扱う硬貨処理装置4と、表示操作部11と、レシートプリンタ12とにより構成されている。紙幣処理装置2と硬貨処理装置4とは、中空の直方体状に構成された筐体6に収容されている。この貨幣取扱装置1は、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストアのような小売店舗の精算所(いわゆるレジ)において、顧客が購入したい商品を精算する際に、レジ係員により操作される。以下では、貨幣取扱装置1のうち使用者が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、該前側に対峙した使用者から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
【0014】
制御部8は、筐体6内部に設けられており、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を有し、該CPUにより該ROM等から読み出した所定のプログラムを実行することにより種々の処理を行い、貨幣取扱装置1全体を統括制御する。
【0015】
紙幣処理装置2は、使用者により紙幣入金口9から投入された紙幣を取り込んで内部の紙幣収納庫(図示せず)に収納すると共に、制御部8から指示された紙幣を紙幣収納庫から繰り出し、これを紙幣出金口10から釣銭として出金する。
【0016】
硬貨処理装置4は、使用者により硬貨投入口14Aから投入された硬貨を取り込んで内部の硬貨収納部30(硬貨収納部30A、30B、30C、30D、30E及び30F)(
図3)に収納すると共に、制御部8から指示された硬貨を硬貨収納部30から繰り出し、これを硬貨出金トレイ28から釣銭として出金する。因みに硬貨は、一般的な硬貨と同様、ニッケル、銅、アルミニウム等の金属又はこれらの合金やその組み合わせでなり、薄い板状に形成されている。また以下では、硬貨処理装置4において取り扱われる硬貨のうち、最も厚さの厚い硬貨を最厚硬貨とも呼び、最も厚さの薄い硬貨を最薄硬貨とも呼び、最も直径の大きい硬貨を最大径硬貨とも呼ぶ。
【0017】
表示操作部11は、例えば液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等の表示機能を有する表示パネルの表面にタッチセンサが組み合わされた、いわゆるタッチパネルとして構成されている。この表示操作部11は、制御部8の制御に基づき、認識した商品の名称や金額等、種々の表示画面を表示する他、使用者のタッチ操作を受け付けて該制御部8に通知する。これに応じて制御部8は、商品の数量の増減や金額の修正等を行う。
【0018】
レシートプリンタ12は、例えば一般的なサーマルプリンタと類似した構成となっており、感熱紙がロール状に回巻されたロール紙を保持するホルダ、このロール紙から引き出された感熱紙を搬送する搬送機構や、熱によりこの感熱紙に文字や図形等を印刷するサーマルヘッド等を有している。このレシートプリンタ12は、認識した商品の名称や金額等をレシートに印字し、これを排出する。
【0019】
[2.硬貨処理装置の構成]
図2及び
図3に示すように、硬貨処理装置4は、箱状の筐体6を中心に構成されており、使用者との間で、入金処理や出金処理等の現金に関する取引を行う。なお
図2は、作図の都合上、硬貨の移動範囲を規制しながら案内する搬送ガイド等の部材等、筐体6内部の構成を適宜省略して模式的に描くと共に、硬貨の搬送経路を模式的に示している。
【0020】
硬貨入金部14は、筐体6の上面の前端部近傍に設けられており、使用者により投入される硬貨を受ける部分である。この硬貨入金部14は、上側に配置され硬貨が投入される硬貨投入口14Aと、その下側に配置され該硬貨を繰り出す硬貨繰出部14Bとを有している。硬貨投入口14Aは、上側が広く下側が狭いすり鉢状に構成されており、硬貨を一括して投入しやすいように、広く開口している。硬貨投入口14Aに投入された硬貨は、硬貨繰出部14Bに落下する。
【0021】
硬貨繰出部14Bは、硬貨入金部14の下方に位置しており、その内部に回転円盤が設けられている。硬貨繰出部14Bは、回転円盤が回転する際の遠心力により硬貨を外周側へ移動させ、一枚ずつに分離して繰り出し、該硬貨を硬貨送出部15に引き渡す。硬貨送出部15は、上下に対向するローラを有しており、硬貨繰出部14Bから硬貨を受け取ると、所定のタイミングでローラを回転させ、硬貨を入金搬送部17のピンベルト38へ順次引き渡す。ピンベルト38は、硬貨を硬貨鑑別部16へ搬送する。
【0022】
硬貨送出部15の後側には、硬貨収納部30の上側において入金搬送部17が配置されている。入金搬送部17は、硬貨収納部30の上側において上面が平面形状に形成された搬送ガイド36と、該搬送ガイド36の上側において配置された複数のプーリ(図示せず)と、該プーリの周囲に張架されたピンベルト38とにより構成されている。ピンベルト38は、可撓性を有する材料により構成されており、上下方向に所定の長さ(すなわち幅)を有する無端ベルト38Bに対し、該無端ベルト38Bの周方向に沿って所定間隔毎に搬送ガイド36の上面に対して垂直な上下方向に沿うピン38Pが設けられている。ピンベルト38は、プーリの回転に伴い
図3における時計回りに所定の走行速度で走行することにより、ピン38Pを硬貨に当接させて、該ピンベルト38の走行に伴い搬送ガイド36に沿って硬貨を搬送する。
【0023】
硬貨鑑別部16は、例えば画像センサや磁気センサ等、硬貨の特徴を認識する種々のセンサ(図示せず)を有している。この硬貨鑑別部16は、硬貨送出部15から繰り出された硬貨の特徴を認識し、この特徴に基づいて該硬貨の真偽、金種及び正損等の鑑別を行い、得られた鑑別結果を制御部8(
図1)へ通知する。このとき制御部8は、該硬貨の搬送先を決定する。
【0024】
入金搬送部17は、搬送ガイド36において硬貨が搬送される搬送路が概ね水平に形成されると共に、この搬送路に沿ってリジェクト孔18及び6個の受入孔19(受入孔19A、19B、19C、19D、19E及び19F)が設けられている。なお
図2(B)においては6個の受入孔19のうち右側に設けられた一部である3個のみの受入孔19B、19D及び19Fを記載している。リジェクト孔18は、例えば入金取引において、硬貨鑑別部16による硬貨鑑別結果に基づいて真正でないと鑑別された硬貨、或いは取扱対象でない他国の硬貨や遊戯施設のメダル等の異物(以下これらをリジェクト硬貨とも呼ぶ)を選別する部分である。各受入孔19は、真正であると鑑別された硬貨(以下これを正貨とも呼ぶ)を金種別に選別する部分であり、500円、100円、50円、10円、5円及び1円といった6種類の金種がそれぞれ割り当てられている。
【0025】
リジェクト孔18には、制御部8の制御に基づいて開閉するリジェクトゲート32が設けられている。このリジェクトゲート32は、リジェクト孔18を閉塞している場合、硬貨を入金搬送部17に沿って進行させる一方、該リジェクト孔18を開放している場合、硬貨を落下させて排出する。各受入孔19(受入孔19A、19B、19C、19D、19E及び19F)は、リジェクト孔18と同様の金種別ゲート34(金種別ゲート34A、34B、34C、34D、34E及び34F)がそれぞれ設けられている。
【0026】
かかる構成により入金搬送部17は、硬貨鑑別部16から受け取った硬貨を搬送路に沿って搬送しながら、制御部8の制御に基づき、硬貨を選別する。具体的に入金搬送部17は、硬貨のうち、真正で無いと鑑別されたリジェクト硬貨をリジェクト孔18から排出させる一方、真正であると鑑別された正貨をその金種に応じた受入孔19から排出させる。
【0027】
リジェクト孔18の下側には、排出させた硬貨を下方向へ案内しながら進行させるリジェクトシュート20が設けられている。一方、各受入孔19(受入孔19A、19B、19C、19D、19E及び19F)の下方には、排出させた硬貨を下方向へ案内しながら進行させる金種別シュート21(金種別シュート21A、21B、21C、21D、21E及び21F)がそれぞれ設けられている。各金種別シュート21(金種別シュート21A、21B、21C、21D、21E及び21F)の下側には、
図3及び
図4に示す6つの硬貨収納部30(硬貨収納部30A、30B、30C、30D、30E及び30F)が設けられている。各硬貨収納部30は、各受入孔19と同様、それぞれ金種が割り当てられている。以下では、硬貨収納部30A、30B、30C、30D、30E及び30Fをまとめて、硬貨収納部30とも呼ぶ。
【0028】
硬貨収納部30は、正面から見た形状が所定の多角形となり、且つ右方向から見た形状が長方形となるような中空の立体形状であり、上面が開放された開口を有している。このため各硬貨収納部30は、金種別シュート21(
図2)から落下してくる金種別の硬貨を、金種別に分別された状態を維持したまま、それぞれ開口から内部の収納空間に収納する。また硬貨収納部30は、収納空間から硬貨を1枚ずつ水平出金搬送部22(後述する)に放出する放出機構が設けられている。
【0029】
リジェクトシュート20の下側であり、硬貨収納部30A、30C及び30Eと硬貨収納部30B、30D及び30Fとの間(
図4)には、水平出金搬送部22が設けられている。水平出金搬送部22は、前後方向に関し、硬貨収納部30A及び30Bの後端部から、リフト搬送部26までに至る範囲に配置されている。水平出金搬送部22は、左右方向に沿う回転軸を有し前後端部に配されたプーリ42と、該プーリ42の周囲にほぼ水平方向に沿って前後方向に延びるように張架された無端ベルトである収納部搬送ベルト40とにより構成されている。この水平出金搬送部22は、制御部8の制御に基づき、プーリ42を
図2(B)中で反時計回りに回転させる。このため水平出金搬送部22は、収納部搬送ベルト40の外周面のうち硬貨CNと接する側の面である表面(すなわち上面)をリフト搬送部26に向かって前方向である水平出金搬送方向Dtへ移動させる。この水平出金搬送方向Dtは、硬貨処理装置4の前後方向(奥行方向)に沿った方向である。
【0030】
図5に示すように、水平出金搬送部22における硬貨収納部30よりも水平出金搬送方向Dt側には、リバースローラ44が配置されている。リバースローラ44は、収納部搬送ベルト40の上側において、下端部が収納部搬送ベルト40の上面と最厚硬貨の1枚分の厚さよりも僅かに広い隙間を空けるように配置されている。このリバースローラ44は、収納部搬送ベルト40と上下方向に対向する下側部分の回転方向が、収納部搬送ベルト40の上面の進行方向(すなわち水平出金搬送方向Dt)と逆方向へ向かうように、
図5(B)中反時計回りに回転する。
【0031】
リバースローラ44よりも後側には、リバースローラガイド46が設けられている。リバースローラガイド46は、後上がりに配置された薄板状部材であり、前側先端が、リバースローラ44の外周面に形成された溝部に入り込んでいる。このリバースローラガイド46は、リバースローラ44によりはじかれた硬貨CNが上方向へ飛び跳ねた場合に、該硬貨CNに当接し上方向への移動を規制することにより、該硬貨CNが収納部搬送ベルト40上から外部へ飛び出してしまうことを防止する。
【0032】
図2に示すように、水平出金搬送部22の前端部近傍の下側には、回収庫24が設けられている。回収庫24は、上面が開口する直方体形状であり、リジェクト硬貨や、回収処理において硬貨収納部30から繰り出された硬貨CNを収納する。
【0033】
また水平出金搬送部22の前端部近傍における上側には、リフト搬送部26が設けられている。リフト搬送部26は、主に、右側に設けられたリフト搬送部26Rと、左側に設けられたリフト搬送部26Lとにより構成されている。リフト搬送部26R及び26Lは、それぞれ、ベルトと、該ベルトの移動方向の変曲箇所にそれぞれ配置され該ベルトを周囲に張架されるプーリとにより構成されている。プーリは、中心軸を前後方向に沿わせた円柱状に形成されており、該中心軸を中心として回転し得る。ベルトは、前後方向に所定の長さ(すなわち幅)を有する無端ベルトであり、全体として上下方向延びるようにプーリに張架されている。かかる構成においてリフト搬送部26は、リフト搬送部26Rのベルトとリフト搬送部26Lのベルトとの間に硬貨を挟み込み、上方向に向けて硬貨出金トレイ28又は収容部90(後述する)まで搬送する(詳細は後述する)。
【0034】
硬貨出金部としての硬貨出金トレイ28は、筐体6の前面において収納部搬送ベルト40よりも上側に設けられており、上面が開口する形状であり、前面から使用者がアクセス可能に配置されている。硬貨出金トレイ28は、リフト搬送部26から搬送された、釣銭となる金額に応じた金種及び枚数の硬貨を収納する。収容部90は、硬貨投入口14Aと硬貨繰出部14Bとの間(
図2)に設けられている。
【0035】
[3.可動方向切替部の構成]
図5及び
図6に示すように、水平出金搬送部22におけるリバースローラ44よりも水平出金搬送方向Dt側には、可動方向切替部50が設けられている。可動方向切替部50は、可動コーナーガイド51と、可動コーナーガイド駆動部(図示せず)とにより構成されている。なお
図5及び
図6において、第1プーリ62、第1搬送ベルト66及び上側回収繰出ローラ74uは図示せず省略する。
【0036】
可動コーナーガイド51は、切替ガイド面51S1、上側ガイド面51S2及び側方ガイド面51S3が形成されている。切替ガイド面51S1は、上下方向に所定の高さを有すると共に、水平出金搬送方向Dtへ搬送される硬貨CNと対向しており、水平出金搬送方向Dtへ向かうに連れて左方向である回収搬送方向Dcへ湾曲するような凹曲面形状となっている。
【0037】
上側ガイド面51S2は、切替ガイド面51S1の右半分程度の範囲における該切替ガイド面51S1よりも後側の所定の範囲において切替ガイド面51S1の上側を覆うように設けられている。この上側ガイド面51S2は、水平方向に沿い収納部搬送ベルト40の上面と対向する平面形状であり、回収切替状態(
図6)(後述する)において収納部搬送ベルト40上に載った最厚硬貨との間に僅かな間隔を空けるように配置されている。上側ガイド面51S2は、硬貨CNの上方向への移動を規制する。
【0038】
側方ガイド面51S3は、切替ガイド面51S1の左端から鉛直方向に沿って下方向へ延びており、上側ガイド面51S2と同程度の前後方向の長さを有している。この側方ガイド面51S3は、収納部搬送ベルト40の左側面と対向する平面形状である。側方ガイド面51S3は、回収切替状態(
図6)(後述する)において上端部が収納部搬送ベルト40の表面よりも下側に位置することにより、収納部搬送ベルト40から回収庫24へ搬送される硬貨CNの搬送経路から退避する。一方、側方ガイド面51S3は、出金精査切替状態(
図5)(後述する)において上端部が収納部搬送ベルト40の表面よりも上側に位置すると共に下端部が収納部搬送ベルト40の表面よりも下側に位置することにより、収納部搬送ベルト40上を水平出金搬送方向Dtへ搬送される硬貨CNと左右方向に対向し、硬貨CNの左側をガイドする。
【0039】
可動コーナーガイド駆動部は、ソレノイド等のアクチュエータと、該アクチュエータと可動コーナーガイド51とを連結させるリンク機構とにより構成されており、制御部8の制御に基づき可動することにより、可動コーナーガイド51を上昇又は下降させ、
図5に示す出金精査切替状態と
図6に示す回収切替状態とに遷移させる。
【0040】
出金精査切替状態において可動コーナーガイド51は、切替ガイド面51S1の下端部が収納部搬送ベルト40の上面との間に最厚硬貨の厚さよりも広い間隔を空けるように、収納部搬送ベルト40から退避している。このため、出金精査切替状態において、収納部搬送ベルト40上を水平出金搬送方向Dtへ搬送されている硬貨CNは、可動コーナーガイド51の切替ガイド面51S1の下側をすり抜け、引き続き水平出金搬送方向Dtへ搬送される。
【0041】
一方、回収切替状態において可動コーナーガイド51は、切替ガイド面51S1の下端部が収納部搬送ベルト40の上面との間に最薄硬貨の厚さよりも狭い間隔を空けるように、収納部搬送ベルト40に近接している。このため、回収切替状態において、収納部搬送ベルト40上を水平出金搬送方向Dtへ搬送されている硬貨CNは、可動方向切替部50の切替ガイド面51S1に当接し、回収搬送方向Dcへ可動方向切替部進行方向切替角度だけ進行方向が切り替わる(詳細は後述する)。本実施の形態において可動方向切替部進行方向切替角度は、例えば90[°]に設定されている。このため回収切替状態において可動方向切替部50は、硬貨CNの進行方向を、水平出金搬送方向Dtから、該水平出金搬送方向Dtに対し直角な方向である回収搬送方向Dcへ切り替える。
【0042】
可動方向切替部50は、出金処理又は精査処理の場合は出金精査切替状態となり、硬貨CNの進行方向を変更せず水平出金搬送方向Dtへ搬送させ硬貨CNの搬送先を方向切替部54へ切り替える一方、回収処理の場合は回収切替状態となり、収納部搬送ベルト40を水平出金搬送方向Dtへ搬送された硬貨CNの進行方向を90[°]左方向へ変更し搬送先を回収庫24へ切り替える。
【0043】
[4.回収庫搬送部受渡部の構成]
図7に、水平出金搬送部22から回収ダクト76へ硬貨CNを受け渡すである箇所である回収庫搬送部受渡部72を示す。回収庫搬送部受渡部72は、上側回収繰出ローラ74u、下側回収繰出ローラ74d及び回収ダクト76により構成されている。以下では、上側回収繰出ローラ74u及び下側回収繰出ローラ74dをまとめて回収繰出ローラ74とも呼ぶ。
【0044】
上側回収繰出ローラ74uは、ゴムにより構成されており、収納部搬送ベルト40の左端部よりも左側において、右端部が収納部搬送ベルト40の左端部と僅かな隙間を空けるように上下方向へ移動可能に配置されている。また上側回収繰出ローラ74uは、その下端部が、収納部搬送ベルト40の上面と最薄硬貨の1枚分の厚さよりも僅かに狭い隙間を空けるように、配置されている。
【0045】
下側回収繰出ローラ74dは、ゴムにより構成されており、上側回収繰出ローラ74uと同等の直径を有し、収納部搬送ベルト40の左端部よりも左側において、右端部が収納部搬送ベルト40の左端部と僅かな隙間を空けるように上側回収繰出ローラ74uと上下方向に対向して配置されている。また下側回収繰出ローラ74dは、その上端部が、収納部搬送ベルト40の上面と同等の上下方向の位置となるように配置されている。このため下側回収繰出ローラ74dは、その上端部が、上側回収繰出ローラ74uの下端部と最薄硬貨の1枚分の厚さよりも僅かに狭い隙間を空けるように配置されている。
【0046】
また、回収繰出ローラ74は、収納部搬送ベルト40(
図6)の回転速度よりも速く走行するよう設定されており、本実施の形態において回収繰出ローラ74は、収納部搬送ベルト40よりも例えば2、3倍速い回転速度となっている。
【0047】
回収ダクト76は、回収繰出ローラ74の左側から回収庫24まで形成されており、回収繰出ローラ74から繰り出された硬貨CNを下方向へ案内しながら回収庫24へ落下させる。
【0048】
かかる構成において回収庫搬送部受渡部72は、上側回収繰出ローラ74uと下側回収繰出ローラ74dとで硬貨CNを挟持し、上側回収繰出ローラ74uが
図7中時計回りに、下側回収繰出ローラ74dが
図7中反時計回りに、それぞれ回転することにより、繰出方向である左方向に向けて硬貨CNを繰り出す。回収繰出ローラ74から繰り出された硬貨CNは、回収ダクト76内を通過し、回収庫24へ落下する。
【0049】
回収繰出ローラ74の繰出方向側(左側)の近傍には、一対の計数センサ78a及び78b(
図6)が設けられている。以下では、計数センサ78a及び78bをまとめて計数センサ78とも呼ぶ。計数センサ78は、例えば光学センサであり、検出光を遮った硬貨CNを検出し、検出結果を制御部8(
図1)へ送出する。制御部8は、計数センサ78から取得した検出結果に基づき、指定された硬貨収納部30から繰り出された硬貨CNの枚数と、回収庫24に搬送された硬貨CNの枚数とを比較し、回収庫24に搬送された硬貨CNの枚数を確定する。
【0050】
計数センサ78は、回収繰出ローラ74の繰出方向側における前端部及び後端部よりも僅かに前側及び後側を上下方向(鉛直方向)に光軸が通過するように、発光部及び受光部が上下に対向して設けられている。このように硬貨処理装置4は、計数センサ78a及び78bの2つのセンサを配置し、センサの光軸を2本、すなわち2軸配置するようにした。このため計数センサ78は、日本硬貨の場合は5円硬貨及び50円硬貨のような、穴が空いた硬貨CNであっても、硬貨CNの穴の部分を光軸が通過して1枚の硬貨CNを2枚の硬貨CNと誤検知してしまうことを防止し、硬貨CNを正確に検出できる。
【0051】
[5.方向切替部の構成]
図5及び
図6に示すように、水平出金搬送部22における可動方向切替部50よりも水平出金搬送方向Dt側には、方向切替部54が可動しないように固定された状態で設けられている。
【0052】
方向切替部54は、切替ガイド面54S1及び上側ガイド面54S2が形成されている。切替ガイド面54S1は、上下方向に所定の高さを有すると共に、水平出金搬送方向Dtへ搬送される硬貨CNと対向しており、水平出金搬送方向Dtへ向かうに連れて左方向である持上出金搬送方向Dlへ湾曲するような凹曲面形状となっている。
【0053】
上側ガイド面54S2は、切替ガイド面54S1の右半分程度の範囲における該切替ガイド面54S1よりも後側の所定の範囲において切替ガイド面54S1の上側を覆うように設けられている。この上側ガイド面54S2は、水平方向に沿い収納部搬送ベルト40の上面と対向する平面形状であり、収納部搬送ベルト40上に載った最厚硬貨との間に僅かな間隔を空けるように配置されている。上側ガイド面54S2は、硬貨CNの上方向への移動を規制する。
【0054】
方向切替部54は、切替ガイド面54S1の下端部が収納部搬送ベルト40の上面との間に最薄硬貨の厚さよりも狭い間隔を空けるように、収納部搬送ベルト40に近接している。このため、収納部搬送ベルト40上を水平出金搬送方向Dtへ搬送されている硬貨CNは、方向切替部54の切替ガイド面54S1に当接し、持上出金搬送方向Dlへ進行方向切替角度だけ進行方向が切り替わる(詳細は後述する)。本実施の形態において進行方向切替角度は、例えば90[°]に設定されている。このため方向切替部54は、硬貨CNの進行方向を、水平出金搬送方向Dtから、該水平出金搬送方向Dtに対し直角な方向である第3の方向としての持上出金搬送方向Dlへ切り替える。本実施の形態において、持上出金搬送方向Dl及び回収搬送方向Dcは、互いに同一であり、水平出金搬送方向Dtに対し直角な方向である左方向に設定されている。
【0055】
[6.リフト搬送部受渡部の構成]
図9に、水平出金搬送部22からリフト搬送部26の下部分へ硬貨CNを受け渡す箇所であるリフト搬送部受渡部60を示す。なお
図9において水平出金搬送部22は、収納部搬送ベルト40、プーリ42及び方向切替部54以外は図示せず省略する。
【0056】
第1プーリ62は、リフト搬送部26Rの一部分であり、収納部搬送ベルト40の左端部近傍の上側において、下端部が収納部搬送ベルト40の上面と最厚硬貨の1枚分の厚さよりも僅かに広い隙間を空けるように配置されている。また第1プーリ62は、下端部が収納部搬送ベルト40の左端部よりも右側に位置しており、左右方向に関し、受取プーリ68(後述する)よりも収納部搬送ベルト40の左右中央部に近接している。
【0057】
駆動プーリ64は、リフト搬送部26Rの一部分であり、第1プーリ62の2倍程度の直径を有し、第1プーリ62の左側において、該第1プーリ62と左右方向に、収納部搬送ベルト40と受取プーリ68(後述する)との隙間よりも広い隙間を空けるように配置されている。また駆動プーリ64は、その下端部が、第1プーリ62の下端部とほぼ同じ上下方向の位置となるように配置されている。
【0058】
第1プーリ62及び駆動プーリ64を含む、リフト搬送部26Rにおける各プーリには、駆動ベルトである第1搬送ベルト66が張架されている。駆動プーリ64は、図示しない駆動源から駆動力を伝達され回転することにより、第1搬送ベルト66を
図9に示す矢印の方向である時計回りに走行させる。第1プーリ62と駆動プーリ64との間において、第1搬送ベルト66における硬貨CNと接する外周面である表面は、収納部搬送ベルト40の上面よりも上側から駆動プーリ64へほぼ水平方向に沿って左方向に延びている。
【0059】
受取プーリ68は、リフト搬送部26Lの一部分であり、第1プーリ62とほぼ同等の直径を有し、収納部搬送ベルト40の左端部よりも左側において、右端部が収納部搬送ベルト40の左端部と僅かな隙間を空けるように配置されている。また受取プーリ68は、その上端部が、駆動プーリ64の下端部及び収納部搬送ベルト40の上面よりも下側の位置となるように配置されている。
【0060】
受取プーリ68を含む、リフト搬送部26Lにおける各プーリには、従動ベルトである第2搬送ベルト70が張架されている。また第2搬送ベルト70は、駆動プーリ64の回転につられて回転することにより、
図9に示す矢印の方向である反時計回りに走行する。受取プーリ68と駆動プーリ64との間において、第2搬送ベルト70における硬貨CNと接する外周面である表面は、収納部搬送ベルト40の上面よりも下側から駆動プーリ64へ左上がりに延びている。また収納部搬送ベルト40の左端部と第2搬送ベルト70(すなわち受取プーリ68の右端部)との隙間は、1[mm]に設定されている。これにより硬貨処理装置4は、収納部搬送ベルト40と第2搬送ベルト70との隙間に硬貨CNが入り込んで落下してしまうことを防止している。
【0061】
かかる構成においてリフト搬送部26は、リフト搬送部26Rの第1搬送ベルト66とリフト搬送部26Lの第2搬送ベルト70とで硬貨CNを挟持し、第1搬送ベルト66及び第2搬送ベルト70を走行させることにより、上方向に向けて硬貨出金トレイ28又は収容部90(後述する)まで該硬貨CNを搬送する。説明の都合上、以下では第1搬送ベルト66及び第2搬送ベルト70の走行により、第1搬送ベルト66と第2搬送ベルト70とで硬貨CNを挟持して硬貨CNを搬送する経路を上方搬送路Wとも呼ぶ。
【0062】
[7.動作]
かかる構成において硬貨処理装置4は、回収処理、出金処理又は精査処理を行う場合、硬貨収納部30から硬貨CNを1枚ずつ放出し、水平出金搬送部22の上に落とす。水平出金搬送部22は、硬貨CNを収納部搬送ベルト40により前方向である水平出金搬送方向Dtへ搬送する。その際、硬貨CNの放出枚数やタイミングによっては硬貨CNが重なることがある。リバースローラ44は、回転することにより、硬貨CNの上に重なった硬貨CNを収納部搬送ベルト40の上に落とし、硬貨CNを1枚ずつに分離する。
【0063】
図8に示すように、可動方向切替部50は、回収処理の場合は回収切替状態となり、収納部搬送ベルト40を水平出金搬送方向Dtへ搬送された硬貨CNの進行方向を可動方向切替部進行方向切替角度(90[°])だけ左方向である回収搬送方向Dcへ変更する(すなわち方向転換させる)ことにより、該硬貨CNの搬送先を回収庫24へ切り替える。なお
図8において、リバースローラ44及び上側回収繰出ローラ74uは図示せず省略すると共に、可動方向切替部50は切替ガイド面51S1のみを図示する。具体的に可動方向切替部50は、
図8(A)に示すように、硬貨CNを切替ガイド面51S1に当接させる。硬貨CNは、水平出金搬送方向Dtへ進行する収納部搬送ベルト40の推進力により、該収納部搬送ベルト40上を滑りながら、切替ガイド面51S1に当接しつつ進行方向が水平出金搬送方向Dtから回収搬送方向Dcへ変化し、収納部搬送ベルト40により、該収納部搬送ベルト40の左端部から落下する箇所まで搬送される。
【0064】
続いて
図8(B)に示すように、硬貨CNは、収納部搬送ベルト40から上側回収繰出ローラ74uと下側回収繰出ローラ74dとの間へ移動する。
図8(C)に示すように、上側回収繰出ローラ74u及び下側回収繰出ローラ74dは、硬貨CNを挟持し回転することにより、繰出方向に向けて硬貨CNを放出する。回収繰出ローラ74から放出された硬貨CNは、回収ダクト76内を自由落下し、回収庫24に集積される。
【0065】
上述したように、回収繰出ローラ74は、収納部搬送ベルト40の回転速度よりも速く回転するよう設定されている。このため、水平出金搬送部22から回収繰出ローラ74へ連続的に搬送されてきた硬貨CNは、互いに間隔が空いた状態で回収繰出ローラ74から繰り出される。これにより計数センサ78は、先行する硬貨CNを検出しているON状態から、後続の硬貨CNを検出するON状態までの間に、OFF状態を検出できる。このため硬貨処理装置4は、水平出金搬送部22から回収繰出ローラ74へ連続的に搬送されてきた硬貨CNを互いに間隔が空いた状態で回収繰出ローラ74から繰り出し、計数センサ78を用いて計数することができる。
【0066】
一方、可動方向切替部50は、出金処理又は精査処理の場合は出金精査切替状態となり、硬貨CNの進行方向を変更せず水平出金搬送方向Dtへ搬送させ硬貨CNの搬送先を方向切替部54へ切り替える。
【0067】
方向切替部54は、収納部搬送ベルト40を水平出金搬送方向Dtへ搬送された硬貨CNの進行方向を進行方向切替角度(90[°])だけ左方向である持上出金搬送方向Dlへ変更する(すなわち方向転換させる)。具体的に方向切替部54は、硬貨CNを切替ガイド面54S1に当接させる。硬貨CNは、水平出金搬送方向Dtへ進行する収納部搬送ベルト40の推進力により、該収納部搬送ベルト40上を滑りながら、切替ガイド面54S1に当接しつつ進行方向が水平出金搬送方向Dtから持上出金搬送方向Dlへ変化し、収納部搬送ベルト40により、該収納部搬送ベルト40の左端部から落下する箇所まで搬送される。
【0068】
硬貨CNは、収納部搬送ベルト40からリフト搬送部26の第2搬送ベルト70上へ落下する。これにより硬貨CNは、水平出金搬送部22からリフト搬送部26へ受け渡される。第2搬送ベルト70は、摩擦力により、硬貨CNを上面に載せ駆動プーリ64まで搬送する。方向切替部54で硬貨CNが跳ねたりばたついたりした場合は、収納部搬送ベルト40の左端部の上方に配置された第1プーリ62にかかる第1搬送ベルト66が硬貨CNに当接し、摩擦力により硬貨CNを駆動プーリ64側(左側)へ引き込む。駆動プーリ64において第1搬送ベルト66と第2搬送ベルト70とが密着すると、第1搬送ベルト66及び第2搬送ベルト70は、硬貨CNを挟持する。この状態でリフト搬送部26は、第1搬送ベルト66と第2搬送ベルト70とにより硬貨CNを挟持して上方向へ搬送する。
【0069】
第1搬送ベルト66と第2搬送ベルト70は、硬貨CNを挟持して上方向へ向けて硬貨出金トレイ28又は収容部90まで搬送する。硬貨出金トレイ28へ搬送された硬貨CNは、使用者による取り出し待ちの状態となる。収容部90へ搬送された硬貨CNは、収容部90へ収容されてから、硬貨繰出部14Bに落下する。
【0070】
[8.効果等]
ここで、回収庫24を収納部搬送ベルト40の前側に配置し、水平出金搬送部22に可動方向切替部50を設けることなく、回収搬送方向Dcへ進行方向を切り替えずに水平出金搬送方向Dtに向かったまま収納部搬送ベルト40から該回収庫24へ硬貨CNを落下させる構成が考えられる。しかしながら硬貨処理装置4をそのような構成とした場合、収納部搬送ベルト40に対する水平出金搬送方向Dt側に回収庫24を配置する必要があるため、硬貨処理装置4の水平出金搬送方向Dt(すなわち奥行方向)に多くのスペースを必要としてしまった。
【0071】
これに対し硬貨処理装置4は、リフト搬送部26よりも後側において収納部搬送ベルト40上の硬貨CNを水平出金搬送方向Dtと直交する回収搬送方向Dcに案内する可動方向切替部50を設けるようにした。
【0072】
このため硬貨処理装置4は、回収庫24を収納部搬送ベルト40に対する回収搬送方向Dc側に配置できる。これにより硬貨処理装置4は、回収庫24を収納部搬送ベルト40に対する水平出金搬送方向Dt側に配置した場合と比較して、硬貨処理装置4の水平出金搬送方向Dt(すなわち奥行方向)のスペースを削減できる。
【0073】
また硬貨処理装置4は、計数センサ78を回収繰出ローラ74における繰出方向側の近傍に配置すると共に、回収繰出ローラ74を収納部搬送ベルト40の回転速度よりも速く回転させるようにした。このため硬貨処理装置4は、水平出金搬送部22から回収繰出ローラ74へ連続的に搬送されてきた硬貨CNを互いに間隔が空いた状態で回収繰出ローラ74から繰り出し、計数センサ78を用いて計数することができる。
【0074】
また硬貨処理装置4は、第1搬送ベルト66が張架される複数のプーリのうち収納部搬送ベルト40に近接する位置に設けられた第1プーリ62と、第2搬送ベルト70が張架される複数のプーリのうち収納部搬送ベルト40に近接する位置で、且つ、第1プーリ62の下側において第1プーリ62と所定の間隔を空けて対向する位置に設けられた受取プーリ68とを設け、第1プーリ62と受取プーリ68との間に、方向切替部54により持上出金搬送方向Dlに案内される硬貨CNを上方搬送路Wへ受け渡すリフト搬送部受渡部60を形成するようにした。
【0075】
以上の構成によれば硬貨処理装置4は、硬貨CNを収納する硬貨収納部30と、硬貨収納部30から繰り出された硬貨CNを第1の方向としての水平出金搬送方向Dtに搬送する収納部搬送ベルト40と、可動可能に設けられ、収納部搬送ベルト40により搬送される硬貨CNを水平出金搬送方向Dtと交差する第2の方向としての回収搬送方向Dcに案内する可動方向切替部50と、可動方向切替部50により回収搬送方向Dcに案内された硬貨CNを収納する回収庫24とを設けるようにした。
【0076】
これにより硬貨処理装置4は、収納部搬送ベルト40から水平出金搬送方向Dtへ進行方向を変更することなく回収庫24へ硬貨CNを受け渡す場合と比較して、硬貨CNの搬送路が水平出金搬送方向Dtに占める領域を抑えることができる。
【0077】
[9.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態において硬貨処理装置4は、可動方向切替部進行方向切替角度を90[°]とする場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置4は、可動方向切替部進行方向切替角度を0[°]よりも大きく且つ90[°]以下の任意の角度としても良い。その場合、可動方向切替部進行方向切替角度を大きくする程、硬貨処理装置4を小型化させやすくできる。但し、可動方向切替部進行方向切替角度を90[°]よりも大きくすると、可動方向切替部進行方向切替角度が大きくなり過ぎてしまい硬貨CNが詰まりやすくなってしまうため、可動方向切替部進行方向切替角度は90[°]以下であることが好ましい。進行方向切替角度についても同様である。
【0078】
また上述した実施の形態において硬貨処理装置4は、可動方向切替部50の切替ガイド面51S1を、水平出金搬送方向Dtへ向かうに連れて回収搬送方向Dcへ湾曲するような凹曲面形状とする場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置4は、硬貨CNの進行方向を水平出金搬送方向Dtから回収搬送方向Dcへ変更できれば、切替ガイド面51S1を他の種々の形状としても良い。同様に硬貨処理装置4は、硬貨CNの進行方向を水平出金搬送方向Dtから持上出金搬送方向Dlへ変更できれば、方向切替部54の切替ガイド面54S1を他の種々の形状としても良い。
【0079】
さらに上述した実施の形態において硬貨処理装置4は、持上出金搬送方向Dl及び回収搬送方向Dcを互いに同一方向とする場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置4は、持上出金搬送方向Dlの進行方向切替角度と回収搬送方向Dcの可動方向切替部進行方向切替角度とを異なる角度としたり、持上出金搬送方向Dlを左方向とし回収搬送方向Dcを右方向としたりする等、持上出金搬送方向Dl及び回収搬送方向Dcを互いに異なる方向としても良い。
【0080】
さらに上述した実施の形態において硬貨処理装置4は、収納部搬送ベルト40の上面を水平方向に沿わせる場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置4は、収納部搬送ベルト40の上面を前上がり、後上がり、右上がりや左上がり等、水平方向に対し傾斜させても良い。
【0081】
さらに上述した実施の形態において硬貨処理装置4は、収納部搬送ベルト40の回収搬送方向Dc側(左側)に回収庫搬送部受渡部72を配置する場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置4は、回収庫24の配置によっては、収納部搬送ベルト40の右側に回収庫搬送部受渡部72を配置し、収納部搬送ベルト40の左右方向の中央を軸として、回収庫搬送部受渡部72を実施の形態とは左右対称の構成としても良い。
【0082】
さらに上述した実施の形態において硬貨処理装置4は、収納部搬送ベルト40の持上出金搬送方向Dl側(左側)にリフト搬送部26を配置する場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置4は、硬貨出金トレイ28及び収容部90の配置によっては、収納部搬送ベルト40の右側にリフト搬送部26を配置し、収納部搬送ベルト40の左右方向の中央を軸として、リフト搬送部26を実施の形態とは左右対称の構成としても良い。
【0083】
さらに上述した実施の形態において硬貨処理装置4は、回収庫搬送部受渡部72の前側にリフト搬送部26を配置する場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置4は、回収庫24、硬貨出金トレイ28及び収容部90の配置によっては、回収庫搬送部受渡部72の後側にリフト搬送部26を配置しても良い。
【0084】
さらに上述した実施の形態において硬貨処理装置4は、可動コーナーガイド51を上昇又は下降させることにより出金精査切替状態(
図5)又は回収切替状態(
図6)に切り替える場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置4は、他の種々の方法で可動コーナーガイド51を移動させることにより、収納部搬送ベルト40上を水平出金搬送方向Dtへ搬送されていた硬貨CNを、引き続き水平出金搬送方向Dtへ搬送させる状態か、又は、回収搬送方向Dcへ進行方向を切り替える状態かに切り替えても良い。
【0085】
さらに上述した実施の形態において硬貨処理装置4は、回収繰出ローラ74を設け、上側回収繰出ローラ74uと下側回収繰出ローラ74dとで硬貨CNを挟持し回転することにより、繰出方向に向けて硬貨CNを繰り出す場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置4は、上側回収繰出ローラ74u若しくは下側回収繰出ローラ74dの何れか一方、又は、上側回収繰出ローラ74uと下側回収繰出ローラ74dとの両方を設けず省略しても良い。さらに硬貨処理装置4は、回収繰出ローラ74に代えて、又は、回収繰出ローラ74と共に、搬送ベルトを設けても良い。
【0086】
さらに上述した実施の形態において硬貨処理装置4は、回収繰出ローラ74を収納部搬送ベルト40の回転速度よりも速く走行するよう設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置4は、回収繰出ローラ74を収納部搬送ベルト40の回転速度と同一の速さで走行するよう設けても良い。但し、回収繰出ローラ74を収納部搬送ベルト40の回転速度よりも速く走行するよう設けた方が、水平出金搬送部22から回収繰出ローラ74へ連続的に搬送されてきた硬貨CNが、互いに間隔が空いた状態で回収繰出ローラ74から繰り出され、硬貨処理装置4が計数センサ78を用いて正確に計数できるため、回収繰出ローラ74を収納部搬送ベルト40の回転速度よりも速く走行するよう設けた方が好ましい。
【0087】
さらに上述した実施の形態において硬貨処理装置4は、計数センサ78を用いて硬貨を検出して、硬貨収納部30から繰り出された硬貨CNの枚数と回収庫24に搬送された硬貨CNの枚数とを比較する場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置4は、計数センサ78を設けず省略しても良い。
【0088】
さらに上述した実施の形態においては、使用者との間で種々の取引を行うレジ釣銭機である硬貨処理装置4に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えばセルフ精算機等、硬貨を取り扱う他の種々の装置に本発明を適用しても良い。
【0089】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。また、本発明は、上述した各実施の形態及び上述した他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用する場合や、該抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加する場合にも本発明の適用範囲が及ぶものである。
【0090】
さらに上述した実施の形態においては、操作部としての表示操作部11と、硬貨収納庫としての硬貨収納部30と、搬送部としての収納部搬送ベルト40と、可動方向切替部としての可動方向切替部50と、回収庫としての回収庫24とによって、貨幣取扱装置としての貨幣取扱装置1を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる操作部と、硬貨収納庫と、搬送部と、可動方向切替部と、回収庫とによって、貨幣取扱装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、例えば使用者との間で硬貨に関する取引処理を行う硬貨処理装置等で利用できる。
【符号の説明】
【0092】
1……貨幣取扱装置、2……紙幣処理装置、4……硬貨処理装置、6……筐体、8……制御部、9……紙幣入金口、10……紙幣出金口、11……表示操作部、12……レシートプリンタ、14……硬貨入金部、14A……硬貨投入口、14B……硬貨繰出部、15……硬貨送出部、16……硬貨鑑別部、17……入金搬送部、18……リジェクト孔、19……受入孔、20……リジェクトシュート、21……金種別シュート、22……水平出金搬送部、24……回収庫、26……リフト搬送部、28……硬貨出金トレイ、30……硬貨収納部、32……リジェクトゲート、34……金種別ゲート、36……搬送ガイド、38……ピンベルト、38B……無端ベルト、38P……ピン、40……収納部搬送ベルト、42……プーリ、44……リバースローラ、46……リバースローラガイド、50……可動方向切替部、51……可動コーナーガイド、51S1……切替ガイド面、51S2……上側ガイド面、51S3……側方ガイド面、54……方向切替部、54S1……切替ガイド面、54S2……上側ガイド面、60……リフト搬送部受渡部、62……第1プーリ、64……駆動プーリ、66……第1搬送ベルト、68……受取プーリ、70……第2搬送ベルト、72……回収庫搬送部受渡部、74……回収繰出ローラ、74u……上側回収繰出ローラ、74d……下側回収繰出ローラ、76……回収ダクト、78a、78b……計数センサ、Dt……水平出金搬送方向、Dc……回収搬送方向、Dl……持上出金搬送方向、W……上方搬送路。