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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062049
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】媒体処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/14 20190101AFI20240430BHJP
   G07D 11/28 20190101ALI20240430BHJP
【FI】
G07D11/14
G07D11/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169802
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】涌嶋 渉
(72)【発明者】
【氏名】竹節 淑敏
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA07
3E141CA08
3E141DA05
3E141FA05
3E141FA06
3E141FA10
3E141FH01
3E141FJ01
(57)【要約】
【課題】ユーザの要望に応じて、運用形態を変更することが可能な媒体処理装置を提供する。
【解決手段】媒体を分離繰り出し位置から取り込む取込部と、前記取込部の内部に設けられ、前記媒体が載置されると共に、載置された前記媒体を前記分離繰り出し位置に運ぶ載置部と、前記媒体が投入される前記取込部の開口を開閉するシャッタと、前記媒体が載置された後の前記シャッタを閉じる動作に対応するシャッタ動作設定をユーザからの入力に基づいて設定すると共に、前記載置部が前記分離繰り出し位置へ前記媒体を運ぶ動作に対応する媒体クランプ設定を前記ユーザからの入力に基づいて設定する設定部と、を備え前記媒体の取り込みでは、前記載置部及び前記シャッタは、前記設定部による設定に従って動作する、媒体処理装置。
【選択図】図8

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を分離繰り出し位置から取り込む取込部と、
前記取込部の内部に設けられ、前記媒体が載置されると共に、載置された前記媒体を前記分離繰り出し位置に運ぶ載置部と、
前記媒体が投入される前記取込部の開口を開閉するシャッタと、
前記媒体が載置された後の前記シャッタを閉じる動作に対応するシャッタ動作設定をユーザからの入力に基づいて設定すると共に、前記載置部が前記分離繰り出し位置へ前記媒体を運ぶ動作に対応する媒体クランプ設定を前記ユーザからの入力に基づいて設定する設定部と、
を備え、
前記媒体の取り込みでは、前記載置部及び前記シャッタは、前記設定部による設定に従って動作する、媒体処理装置。
【請求項2】
前記シャッタ動作設定と、前記媒体クランプ設定とは、それぞれ複数の選択肢の中から前記ユーザによって選択された選択肢に基づいて設定される、請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記シャッタ動作設定では、前記シャッタが閉じられるタイミングが設定される、請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記シャッタ動作設定の選択肢には、前記シャッタが閉じられるタイミングを前記ユーザが手動で指示するタイミングに設定する選択肢が含まれる、請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記シャッタ動作設定の選択肢には、前記シャッタが閉じられるタイミングを前記媒体が載置された直後に設定する選択肢が含まれる、請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記シャッタ動作設定の選択肢には、前記シャッタが閉じられるタイミングを前記媒体が載置されてから所定時間が経過した後に設定する選択肢が含まれる、請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
前記媒体クランプ設定では、前記載置部が前記分離繰り出し位置へ前記媒体を運ぶ動作を行うタイミングが設定される、請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項8】
前記媒体クランプ設定の選択肢には、前記媒体を運ぶ動作を行うタイミングを前記媒体が載置された直後のタイミングに設定する選択肢が含まれる、請求項7に記載の媒体処理装置。
【請求項9】
前記媒体クランプ設定の選択肢には、前記媒体を運ぶ動作を行うタイミングを前記シャッタが閉じられた直後のタイミングに設定する選択肢が含まれる、請求項7に記載の媒体処理装置。
【請求項10】
前記媒体クランプ設定の選択肢には、前記媒体を運ぶ動作を行うタイミングを前記シャッタが閉じられてロックされた後のタイミングに設定する選択肢が含まれる、請求項7に記載の媒体処理装置。
【請求項11】
前記シャッタが閉じる方向と、前記載置部が前記媒体を前記分離繰り出し位置に運ぶ方向とは同じである、請求項1~10のいずれか一項に記載の媒体処理装置。
【請求項12】
前記媒体は、前記分離繰り出し位置の上面に設けられたガイドに前記載置部にて押し当てられることで前記取込部に取り込まれる、請求項11に記載の媒体処理装置。
【請求項13】
前記シャッタ動作設定に関する前記ユーザからの入力が行われる少なくとも1つ以上のシャッタ動作設定画像と、前記媒体クランプ設定に関する前記ユーザからの入力が行われる少なくとも1つ以上の媒体クランプ設定画像とを生成する画像生成部をさらに備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の媒体処理装置。
【請求項14】
前記画像生成部にて生成された画像が表示される表示部をさらに備える、請求項13に記載の媒体処理装置。
【請求項15】
前記媒体処理装置の利用者を決定する利用者決定部と、
前記利用者と前記シャッタ動作設定及び前記媒体クランプ設定とを対応付けて記憶する記憶部と、
をさらに備え、
前記設定部は、前記利用者決定部にて決定された前記利用者に対応付けて記憶された設定を前記シャッタ動作設定及び前記媒体クランプ設定として設定する、請求項1に記載の媒体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小売店又は大型量販店等の精算所では、レジスタ又はPOS(Point Of Sales)用レジスタに接続された媒体処理装置が設置される。媒体処理装置は、紙幣又は硬貨等の現金の入出金を管理する装置であり、取込部を介して、店舗従業員(すなわち利用者)から入金された紙幣等の媒体を装置内に取り込むことができる(下記特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、媒体処理装置では、取込部に投入された複数の媒体は、1枚ずつ分離されて媒体処理装置の内部に取り込まれる。媒体処理装置では、複数の媒体が載置されたステージを所定の位置まで上昇させた後、媒体を1枚ずつ分離しながら繰り出すことで、内部に紙幣を取り込むことができる。
【0004】
一方で、媒体処理装置の取込部には、装置内の現金に容易に触れられないようにするために、シャッタが設けられる。そのため、媒体が入金される場合、媒体処理装置は、まず、取込部のシャッタを開き、媒体を投入された後に、シャッタを閉めるように動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-84024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上記のシャッタの閉動作と、ステージの上昇動作とが同時に行われた場合、シャッタが閉じきる前にステージが上昇することで、ステージ下方の空間が外部空間と連通する状態となることがあり得る。このとき、ステージ下方の空間に異物等が入り込むことでステージの駆動が妨げられることがあり得る。
【0007】
一方で、異物の入り込みを対策するために、及び媒体を投入する利用者の安全を対策するために、シャッタが閉じきった後にステージを上昇させる場合、媒体投入から媒体取り込みまでに掛かる時間が長くなり、媒体取り込みの効率が低下してしまう。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、媒体処理装置を設置及び管理する管理者の要望に応じて、運用形態を変更することが可能な、新規かつ改良された媒体処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、媒体を分離繰り出し位置から取り込む取込部と、前記取込部の内部に設けられ、前記媒体が載置されると共に、載置された前記媒体を前記分離繰り出し位置に運ぶ載置部と、前記媒体が投入される前記取込部の開口を開閉するシャッタと、前記媒体が載置された後の前記シャッタを閉じる動作に対応するシャッタ動作設定をユーザからの入力に基づいて設定すると共に、前記載置部が前記分離繰り出し位置へ前記媒体を運ぶ動作に対応する媒体クランプ設定を前記ユーザからの入力に基づいて設定する設定部と、を備え、前記媒体の取り込みでは、前記載置部及び前記シャッタは、前記設定部による設定に従って動作する、媒体処理装置が提供される。
【0010】
前記シャッタ動作設定と、前記媒体クランプ設定とは、それぞれ複数の選択肢の中から前記ユーザによって選択された選択肢に基づいて設定されてもよい。
【0011】
前記シャッタ動作設定では、前記シャッタが閉じられるタイミングが設定されてもよい。
【0012】
前記シャッタ動作設定の選択肢には、前記シャッタが閉じられるタイミングを前記ユーザが手動で指示するタイミングに設定する選択肢が含まれてもよい。
【0013】
前記シャッタ動作設定の選択肢には、前記シャッタが閉じられるタイミングを前記媒体が載置された直後に設定する選択肢が含まれてもよい。
【0014】
前記シャッタ動作設定の選択肢には、前記シャッタが閉じられるタイミングを前記媒体が載置されてから所定時間が経過した後に設定する選択肢が含まれてもよい。
【0015】
前記媒体クランプ設定では、前記載置部が前記分離繰り出し位置へ前記媒体を運ぶ動作を行うタイミングが設定されてもよい。
【0016】
前記媒体クランプ設定の選択肢には、前記媒体を運ぶ動作を行うタイミングを前記媒体が載置された直後のタイミングに設定する選択肢が含まれてもよい。
【0017】
前記媒体クランプ設定の選択肢には、前記媒体を運ぶ動作を行うタイミングを前記シャッタが閉じられた直後のタイミングに設定する選択肢が含まれてもよい。
【0018】
前記媒体クランプ設定の選択肢には、前記媒体を運ぶ動作を行うタイミングを前記シャッタが閉じられてロックされた後のタイミングに設定する選択肢が含まれてもよい。
【0019】
前記シャッタが閉じる方向と、前記載置部が前記媒体を前記分離繰り出し位置に運ぶ方向とは同じであってもよい。
【0020】
前記媒体は、前記分離繰り出し位置の上面に設けられたガイドに前記載置部にて押し当てられることで前記取込部に取り込まれてもよい。
【0021】
前記シャッタ動作設定に関する前記ユーザからの入力が行われる少なくとも1つ以上のシャッタ動作設定画像と、前記媒体クランプ設定に関する前記ユーザからの入力が行われる少なくとも1つ以上の媒体クランプ設定画像とを生成する画像生成部をさらに備えてもよい。
【0022】
前記画像生成部にて生成された画像が表示される表示部をさらに備えてもよい。
【0023】
前記媒体処理装置の利用者を決定する利用者決定部と、前記利用者と前記シャッタ動作設定及び前記媒体クランプ設定とを対応付けて記憶する記憶部と、をさらに備え、前記設定部は、前記利用者決定部にて決定された前記利用者に対応付けて記憶された設定を前記シャッタ動作設定及び前記媒体クランプ設定として設定してもよい。
【0024】
上記構成により、管理者は、媒体処理装置において、媒体を投入した際に取込部が閉じられるタイミングと、載置部が媒体を分離繰り出し位置に運ぶタイミングとを任意に設定することが可能である。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように本発明によれば、媒体処理装置を設置及び管理する管理者の要望に応じて、媒体処理装置の運用形態を変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る媒体処理装置の外観を示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る媒体処理装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図3】媒体処理装置が備える取込部の構成の一例を示す模式図である。
図4図3に示す取込部が媒体を取り込む際の各部の動きを示す模式図である。
図5図3に示す取込部が媒体を取り込む際の各部の動きを示す模式図である。
図6図3に示す取込部が媒体を取り込む際の各部の動きを示す模式図である。
図7図3に示す取込部が媒体を取り込む際の各部の動きを示す模式図である。
図8】シャッタを閉めるタイミングの選択肢の一例、及び載置部を上昇させるタイミングの選択肢の一例を示す表図である。
図9】媒体処理装置におけるシャッタを閉めるタイミングの設定、及び載置部を上昇させるタイミングの設定を行う操作の一例を示すフローチャート図である。
図10】シャッタを閉めるタイミングの設定と、載置部を上昇させるタイミングの設定とをそれぞれ行うために表示部に表示される画像の一例を示す説明図である。
図11】シャッタを閉めるタイミングの設定と、載置部を上昇させるタイミングの設定とをそれぞれ行うために表示部に表示される画像の一例を示す説明図である。
図12】シャッタを閉めるタイミングの設定と、載置部を上昇させるタイミングの設定とをそれぞれ行うために表示部に表示される画像の一例を示す説明図である。
図13】シャッタを閉めるタイミングの設定と、載置部を上昇させるタイミングの設定とをそれぞれ行うために表示部に表示される画像の一例を示す説明図である。
図14】シャッタを閉めるタイミングの設定と、載置部を上昇させるタイミングの設定とをそれぞれ行うために表示部に表示される画像の一例を示す説明図である。
図15】シャッタを閉めるタイミングの設定と、載置部を上昇させるタイミングの設定とをそれぞれ行うために表示部に表示される画像の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0028】
<1.媒体処理装置の概要>
まず、図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態に係る媒体処理装置の概要について説明する。図1は、本実施形態に係る媒体処理装置10の外観を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る媒体処理装置10の制御系の構成を示すブロック図である。
【0029】
図1及び図2に示すように、媒体処理装置10は、硬貨処理ユニット20と、紙幣処理ユニット30と、操作部40と、表示部50と、制御部60とを備える。媒体処理装置10は、例えば、スーパーマーケット又はコンビニエンスストア等の小売店、及びディスカウントショップ等の大型量販店の精算所に設置される、レジスタ又はPOS用レジスタに接続された現金取扱装置であってもよい。または、媒体処理装置10は、金融機関の営業店等に設置されるATM(Automated Teller Machine)などの自動取引装置であってもよい。
【0030】
硬貨処理ユニット20は、媒体処理装置10の幅方向(図1ではX方向)の一側に設けられ、硬貨の入出金を管理する。具体的には、硬貨処理ユニット20は、媒体処理装置10の前方側に入金口22、出金口23、及びリジェクト口24を有する。店舗従業員(店員)、又は店舗の顧客などの利用者は、入金口22に入金硬貨を投入することができる。一方、出金口23からは、出金硬貨が排出され、リジェクト口24からは、入金をリジェクトされたリジェクト硬貨が排出される。
【0031】
紙幣処理ユニット30は、媒体処理装置10の幅方向(図1ではX方向)の他側に設けられ、媒体の一種である紙幣の入出金を管理する。具体的には、紙幣処理ユニット30は、取込部100、及び取込部100の開口を開閉するシャッタ104を有する。利用者は、シャッタ104が開いた状態で、取込部100に入金紙幣を投入することができる。また、紙幣処理ユニット30は、取込部100に出金紙幣を排出することができる。
【0032】
操作部40は、キー又はボタン等を介して、管理者の操作を受け付けるインタフェースである。媒体処理装置10を設置及び管理する管理者(例えば、店舗従業員のうち管理者権限を有する者)は、操作部40に操作を入力することで、表示部50に表示された画像の各項目から所望の項目を選択することができる。操作部40は、例えば、紙幣処理ユニット30の前方上面に配置されてもよい。
【0033】
表示部50は、例えば、液晶ディスプレイ装置などで構成され、メニュー項目を示す画像等を表示する。また、表示部50は、媒体処理装置10の状態を示す画像を表示することも可能である。表示部50は、紙幣処理ユニット30の前方上面に、操作部40に隣接して配置されてもよい。
【0034】
なお、操作部40及び表示部50は、液晶タッチパネルディスプレイ装置などの互いが一体化された表示操作部として構成されてもよい。
【0035】
制御部60は、媒体処理装置10の内部に設けられ、媒体処理装置10で行われる各種処理のために各部の動作を制御する。制御部60は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置で構成されてもよい。
【0036】
図2に示すように、制御部60は、操作部40からの入力に基づいて、又は硬貨処理ユニット20又は紙幣処理ユニット30内で硬貨又は媒体を検知したことに基づいて、硬貨処理ユニット20、紙幣処理ユニット30、及び表示部50を制御してもよい。また、制御部60は、表示部50に表示される画像を生成してもよい。制御部60は、メモリ等に記憶された所定のプログラムを読み出して実行することにより、硬貨処理ユニット20、紙幣処理ユニット30、及び表示部50を制御することができる。
【0037】
なお、上記では、媒体処理装置10は、硬貨処理ユニット20及び紙幣処理ユニット30の双方を有するとして説明したが、本実施形態はかかる例示に限定されない。媒体処理装置10は、紙幣処理ユニット30のみを有してもよい。
【0038】
また、上記では、紙幣処理ユニット30の取込部100は、入金紙幣を取り込む入金口の機能と、出金紙幣を排出する出金口の機能とを有するとして説明したが、本実施形態はかかる例示に限定されない。紙幣処理ユニット30が出金紙幣を排出する排出部(図示せず)を別途備える場合、紙幣処理ユニット30の取込部100は、入金紙幣を取り込む入金口の機能のみを有してもよい。
【0039】
<2.取込部の構成>
次に、図3を参照して、媒体処理装置10が備える取込部100の構成について説明する。図3は、取込部100の構成の一例を示す模式図である。なお、以下では、図3に正対して上下方向を単に上下方向とも称する。
【0040】
取込部100は、利用者から投入された媒体Mを取り込む機能部である。図3に示すように、取込部100は、シャッタ104、載置部106、ステージアーム108、ガイド110、ピックアップローラ112、分離ローラ114、及び検知部116を有する。
【0041】
シャッタ104は、取込部100の内部空間101に連通する開口102の閉鎖又は開放を行う。具体的には、シャッタ104は、図示しない駆動機構からの動力によって、媒体Mが投入される内部空間101の開口102を閉鎖又は開放してもよい。例えば、シャッタ104は、上方向に移動し、開口102を覆うことで開口102を閉鎖してもよく、下方向に移動し、取込部100の下面に沿って位置することで、開口102を開放してもよい。利用者は、シャッタ104によって開口102が開放された状態で、入金する媒体Mを取込部100の内部空間101に投入することができる。
【0042】
載置部106は、取込部100に投入された媒体Mが載置されるステージであり、取込部100の内部空間101内に設けられる。例えば、載置部106の上側の載置面106aには、利用者により投入された媒体Mが載置される。載置部106は、ステージアーム108によって取込部100の内部空間101を上下方向に移動可能である。
【0043】
具体的には、載置部106は、利用者が媒体Mを取込部100に投入する際に、媒体Mが投入される空間、及び利用者が媒体Mの投入のために手を挿入する空間を確保するために内部空間101の下方に位置するように下降する。一方、載置部106は、取込部100に投入された媒体Mを分離ローラ114にて取り込む際に、載置面106aに載置された媒体Mを内部空間101の上面側に設けられたガイド110に押し当てるために上昇する。媒体Mは、押し当てられたガイド110、及びピックアップローラ112によって、分離ローラ114に繰り出される。なお、媒体Mを1枚ずつ分離する際の載置部106の位置は、分離繰り出し位置とも称する。
【0044】
ステージアーム108は、取込部100の内部空間101内で載置部106を上下方向に移動させる。具体的には、ステージアーム108は、一方の端部を載置部106の下部と連結され、他方の端部を回動可能な回転軸108aと連結されて設けられる。これによれば、ステージアーム108は、図示しない駆動機構からの動力によって、回転軸108aを中心に回動することで、載置部106を内部空間101内で上下に移動させることができる。
【0045】
ガイド110は、取込部100の内部空間101の上面側に設けられ、載置部106によって押し当てられた媒体Mを分離ローラ114に導く。ガイド110に押し当てられた媒体Mは、ピックアップローラ112及び分離ローラ114に導かれることで、1枚ずつ分離されて取込部100に取り込まれる。
【0046】
ピックアップローラ112は、取込部100の内部空間101の上面側に設けられたローラであり、ガイド110に押し当てられた媒体Mをピックアップして分離ローラ114に導く。例えば、ピックアップローラ112は、時計回りに回転することで、ガイド110に押し当てられた媒体Mを取込部100の奥側に設けられた分離ローラ114に導いてもよい。
【0047】
分離ローラ114は、取込部100の内部空間101の上面の奥側に設けられた一対のローラであり、ピックアップローラ112によってピックアップされた媒体Mを1枚ずつ分離して媒体処理装置10内に繰り出す。例えば、分離ローラ114は、上側のローラを時計回りに回転させると共に、下側のローラを反時計回りに回転させることで、媒体Mを1枚ずつ分離して媒体処理装置10内に繰り出してもよい。
【0048】
検知部116は、載置部106に媒体Mが載置されたことを検知するセンサである。例えば、検知部116は、光学式センサであってもよい。このような場合、検知部116は、内部空間101の上面及び下面の間に投射された光が媒体Mによって遮られたことを検出することで、載置部106に媒体Mが載置されたことを検知することができる。なお、検知部116のセンサの種類、設置位置、及び設置数については、媒体Mが載置部106に載置されたことを検出することができれば、特に限定されない。
【0049】
続いて、図3に加えて図4図7をさらに参照して、取込部100が媒体Mを取り込む際の動作の一例について説明する。図4図7は、図3に示す取込部100が媒体Mを取り込む際の各部の動きを示す模式図である。
【0050】
利用者から媒体Mの取り込みを指示された場合、制御部60は、図3に示すように、内部空間101内の載置部106をステージアーム108にて下降させることで、内部空間101の下方に載置部106を移動させる。これにより、内部空間101には、媒体Mを受け入れるための空間が生じることになる。その後、制御部60は、シャッタ104を矢印Aに示す方向に下降させることで、取込部100の内部空間101に連通する開口102を開放する。
【0051】
次に、図4に示すように、開口102にて開放された取込部100の内部空間101に利用者から媒体Mが投入される。具体的には、利用者は、内部空間101の下方に位置する載置部106の載置面106aに媒体Mを載置することで、取込部100に媒体Mを投入する。載置面106aに媒体Mが載置された場合、検知部116は、媒体Mの載置を検知し、媒体Mが載置された旨を制御部60に出力する。
【0052】
媒体Mが載置された旨を出力された制御部60は、図5に示すように、ステージアーム108を駆動させることで、載置部106を上昇させる。具体的には、制御部60は、回転軸108aを中心に反時計回りにステージアーム108を回動させることで、載置部106を矢印Bの方向に上昇させてもよい。
【0053】
続いて、制御部60は、図6に示すように、ステージアーム108をさらに回動させ、載置部106を矢印Cの方向にさらに上昇させることで、載置部106を分離繰り出し位置に移動させる。これにより、載置部106の載置面106aに載置された媒体Mは、内部空間101の上面側に設けられたガイド110に押し当てられることになる。
【0054】
一方で、制御部60は、図7に示すように、シャッタ104を上方向に移動させることで、内部空間101に連通する開口102を閉鎖する。具体的には、制御部60は、開口102を覆うようにシャッタ104を上方向に移動させることで、開口102を閉鎖してもよい。
【0055】
その後、制御部60は、ピックアップローラ112及び分離ローラ114を駆動させることで、媒体Mを1枚ずつ取込部100の内部に取り込む。具体的には、制御部60は、ピックアップローラ112を時計回りに回転させると共に、一対の分離ローラ114を媒体Mの引き込み方向に回転させる(上側の分離ローラ114を時計回り方向に回転させると共に、下側の分離ローラ114を反時計回りに回転させる)ことで、媒体Mを1枚ずつ取込部100に取り込むことができる。
【0056】
なお、媒体Mの取り込みが終了した場合、制御部60は、載置部106を下降させるようにステージアーム108を駆動させてもよい。具体的には、制御部60は、ステージアーム108が回転軸108aを中心に時計回りに回動することで、載置部106を内部空間101の下方に移動させてもよい。
【0057】
<3.本発明の特徴構成>
本実施形態に係る媒体処理装置10では、取込部100への媒体Mの投入の際にシャッタ104を閉めるタイミングと、載置部106を上昇させるタイミングとは、利用者によって任意に設定される。
【0058】
例えば、取込部100への媒体Mの投入後に十分に待機時間を確保してからシャッタ104が閉められた場合、媒体Mを投入した利用者の手をシャッタ104に挟んでしまうことを回避することができる。一方で、媒体Mを取り込む一連の動作に要する時間が長くなってしまうため、媒体Mの取込処理の速度が低下してしまう。
【0059】
媒体Mの投入に熟練した利用者であれば、シャッタ104が閉じるまでの待機時間をなくしたとしてもシャッタ104に手を挟まれることはないと考えられるが、媒体Mの投入に慣れない利用者では、シャッタ104に手を挟まれる可能性が高いため、十分な待機時間を確保することが重要となる。すなわち、取込部100への媒体Mの投入後にシャッタ104を閉めるタイミングは、利用者の媒体処理装置10の操作習熟度に応じて設定されることが望ましい。
【0060】
また、シャッタ104によって開口102が閉鎖される前に載置部106が上昇する場合、載置部106の下方の空間が開口102から視認可能な状態となることがあり得る。載置部106の下方の空間にはステージアーム108等が設けられるため、媒体M又はその他の物体が異物として載置部106の下方の空間に入り込んだ場合、入り込んだ異物がステージアーム108の動作の障害となる可能性がある。載置部106の下方の空間への異物の入り込みを防止するためには、シャッタ104が開口102を閉鎖した後に載置部106を上昇させることが重要である。しかしながら、このような場合、媒体Mを取り込む一連の動作に要する時間が長くなってしまうため、媒体Mの取込処理の速度が低下してしまう。
【0061】
媒体Mの投入に熟練した利用者であれば、載置部106の下方の空間への異物の入り込みの可能性は低いと考えられるが、媒体Mの投入に慣れていない利用者では、載置部106の下方の空間に異物を入り込ませてしまう可能性が高い。すなわち、取込部100への媒体Mの投入後に載置部106を上昇させるタイミングは、シャッタ104を閉めるタイミングと同様に、利用者の媒体処理装置10の操作習熟度に応じて設定されることが望ましい。
【0062】
上述したように、上記の安全対策及び異物侵入対策を優先するのか、又は媒体Mの取込処理の速度を優先するのかは、利用者の操作習熟度を鑑みて、媒体処理装置10の設定を行う管理者にて判断される。本実施形態に係る媒体処理装置10は、例えば、取込部100への媒体Mの投入の際にシャッタ104を閉めるタイミングと、載置部106を上昇させるタイミングとを管理者に設定させることで、管理者の要望に応じて運用形態を変更することが可能である。
【0063】
例えば、媒体Mの投入に熟練した店員などの利用者によって媒体処理装置10が運用される場合、媒体処理装置10は、媒体Mの取込処理の速度を優先する設定にて運用されてもよい。また、小売店などの顧客(すなわち、媒体Mの投入に習熟していない利用者)によって媒体処理装置10がセルフ精算機として運用される場合、媒体処理装置10は、安全対策及び異物侵入対策を優先する設定にて運用されてもよい。
【0064】
<4.運用設定の具体例>
続いて、図8を参照して、本実施形態に係る媒体処理装置10におけるシャッタ104を閉めるタイミング、及び載置部106を上昇させるタイミングの具体例について説明する。図8は、シャッタ104を閉めるタイミングの選択肢の一例、及び載置部106を上昇させるタイミングの選択肢の一例を示す表図である。
【0065】
図8に示すように、取込部100への媒体Mの投入の際にシャッタ104を閉めるタイミングは、載置部106に媒体Mが載置されたことを検出してから以下の3つのタイミング(1)~(3)のいずれかで設定されてもよい。図8に示すシャッタ104を閉めるタイミングは、(1)→(2)→(3)の順に媒体Mを取り込む処理速度を優先する設定から、安全対策及び異物侵入対策を優先する設定に遷移している。
【0066】
具体的には、シャッタ104を閉めるタイミングは、載置部106に媒体Mが載置されたことを検出してから「(1)ウェイト0ms」、「(2)ウェイト500ms」、又は「(3)手動でシャッタ閉」のいずれかで設定されてもよい。「(1)ウェイト0ms」は、載置部106に媒体Mが載置されたことを検出したと同時、又は同時とみなすことが可能な程度に短い時間でシャッタ104の閉動作が開始される設定である。「(2)ウェイト500ms」は、載置部106に媒体Mが載置されたことを検出してから500ms後に、シャッタ104の閉動作が開始される設定である。「(3)手動でシャッタ閉」は、載置部106に媒体Mが載置されたことを検出してから利用者が操作部40、又は媒体処理装置10に接続された他の装置を操作することによってシャッタ閉を指示した後に、シャッタ104の閉動作が開始される設定である。なお、「(2)ウェイト500ms」の500msは、利用者が手を内部空間101から退避させるためのいわゆる待機時間であり、500ms以外の時間に設定されてもよい。
【0067】
また、図8に示すように、載置部106を上昇させるタイミングは、シャッタ104の閉動作に対して以下の3つのタイミング(A)~(C)のいずれかで設定されてもよい。図8に示す載置部106を上昇させるタイミングは、(A)→(B)→(C)の順に媒体Mを取り込む処理速度を優先する設定から、安全対策及び異物侵入対策を優先する設定に遷移している。
【0068】
具体的には、載置部106を上昇させるタイミングは、シャッタ104の閉動作に対して「(A)ステージ移動後シャッタロック」、「(B)シャッタ閉後ステージ移動」、又は「(C)シャッタロック後ステージ移動」のいずれかで設定されてもよい。「(A)ステージ移動後シャッタロック」は、シャッタ104の閉動作が開始されると同時、又は同時とみなすことが可能な程度に短い時間で載置部106が上昇開始する設定である。(A)の設定では、シャッタ104は、載置部106が分離繰り出し位置に移動した後、開口102を閉鎖し、ロック状態となる。「(B)シャッタ閉後ステージ移動」は、シャッタ104が開口102を閉鎖した後に、載置部106が上昇開始する設定である。(B)の設定では、載置部106は、シャッタ104が開口102を閉鎖した後かつロック状態となる前に上昇を開始する。「(C)シャッタロック後ステージ移動」は、シャッタ104が開口102を閉鎖し、ロック状態となった後に、載置部106が上昇開始する設定である。(C)の設定では、シャッタ104は、ロック状態となることで外力によって開状態に遷移しなくなるため、安全対策及び異物侵入対策をより強化することができる。
【0069】
本実施形態に係る媒体処理装置10では、上記のシャッタ104を閉めるタイミング(1)~(3)と、載置部106を上昇させるタイミングの設定(A)~(C)とを組み合わせることで、下記に示すように、より詳細な運用設定を行うことが可能である。
【0070】
例えば、設定(1)及び(A)の組み合わせA-1では、媒体Mが載置部106にセットされた後、ピッカ(ピックアップローラ112)が移動し、ウェイト0ms後にシャッタ104の閉動作、及び載置部106の上昇が開始される。その後、載置部106が分離繰り出し位置に到達した後、ピッカ(ピックアップローラ112)及び分離ローラ114による媒体Mの取り込み動作が行われる。一方、シャッタ104は、載置部106の動作と独立して、開口102を閉鎖した後にロックされる。組み合わせA-1は、図8に示す組み合わせにおいて、媒体Mの取込処理速度を最も優先した設定である。
【0071】
設定(2)及び(A)の組み合わせA-2では、媒体Mが載置部106にセットされた後、ピッカ(ピックアップローラ112)が移動し、ウェイト500ms後にシャッタ104の閉動作、及び載置部106の上昇が開始される。その後、載置部106が分離繰り出し位置に到達した後、ピッカ(ピックアップローラ112)及び分離ローラ114による媒体Mの取り込み動作が行われる。一方、シャッタ104は、載置部106の動作と独立して、開口102を閉鎖した後にロックされる。組み合わせA-2は、上記の組み合わせA-1と比較して、より安全対策を行った設定である。
【0072】
設定(3)及び(A)の組み合わせA-3では、媒体Mが載置部106にセットされた後、ピッカ(ピックアップローラ112)が移動し、利用者によるシャッタ閉指示の後にシャッタ104の閉動作、及び載置部106の上昇が開始される。その後、載置部106が分離繰り出し位置に到達した後、ピッカ(ピックアップローラ112)及び分離ローラ114による媒体Mの取り込み動作が行われる。一方、シャッタ104は、載置部106の動作と独立して、開口102を閉鎖した後にロックされる。組み合わせA-3は、上記の組み合わせA-2と比較して、さらに安全対策を行った設定である。
【0073】
設定(1)及び(B)の組み合わせB-1では、媒体Mが載置部106にセットされた後、ピッカ(ピックアップローラ112)が移動し、ウェイト0ms後にシャッタ104の閉動作が開始される。その後、シャッタ104が開口102を閉鎖した後に載置部106の上昇が開始され、載置部106が分離繰り出し位置に到達した後、ピッカ(ピックアップローラ112)及び分離ローラ114による媒体Mの取り込み動作が行われる。一方、シャッタ104は、載置部106の動作と独立して、開口102を閉鎖した後にロックされる。組み合わせB-1は、ウェイト時間を0msとすると共に、シャッタ104が開口102を閉鎖した後に載置部106が上昇を開始するようにしたため、媒体Mの取込処理速度を速くすると共に異物侵入対策を行うことを可能とする設定である。
【0074】
設定(2)及び(B)の組み合わせB-2では、媒体Mが載置部106にセットされた後、ピッカ(ピックアップローラ112)が移動し、ウェイト500ms後にシャッタ104の閉動作が開始される。その後、シャッタ104が開口102を閉鎖した後に載置部106の上昇が開始され、載置部106が分離繰り出し位置に到達した後、ピッカ(ピックアップローラ112)及び分離ローラ114による媒体Mの取り込み動作が行われる。一方、シャッタ104は、載置部106の動作と独立して、開口102を閉鎖した後にロックされる。組み合わせB-2は、上記の組み合わせB-1と比較して、より安全対策を行った設定である。
【0075】
設定(3)及び(B)の組み合わせB-3では、媒体Mが載置部106にセットされた後、ピッカ(ピックアップローラ112)が移動し、利用者によるシャッタ閉指示の後にシャッタ104の閉動作が開始される。その後、シャッタ104が開口102を閉鎖した後に載置部106の上昇が開始され、載置部106が分離繰り出し位置に到達した後、ピッカ(ピックアップローラ112)及び分離ローラ114による媒体Mの取り込み動作が行われる。一方、シャッタ104は、載置部106の動作と独立して、開口102を閉鎖した後にロックされる。組み合わせB-3は、上記の組み合わせB-2と比較して、さらに安全対策を行った設定である。
【0076】
設定(1)及び(C)の組み合わせC-1では、媒体Mが載置部106にセットされた後、ウェイト0ms後にシャッタ104の閉動作が開始され、開口102を閉鎖した後にシャッタ104はロックされる。その後、シャッタ104がロックされた後に載置部106の上昇、及びピッカ(ピックアップローラ112)の移動が開始され、載置部106が分離繰り出し位置に到達した後、ピッカ(ピックアップローラ112)及び分離ローラ114による媒体Mの取り込み動作が行われる。組み合わせC-1は、ウェイト時間を0msとすると共に、シャッタ104が開口102を閉鎖及びロックした後に載置部106が上昇を開始するようにしている。そのため、組み合わせC-1は、上記組み合わせB-1と比較して媒体Mの取込処理速度が遅くなるものの、さらに異物侵入対策を行うことを可能とする設定である。
【0077】
設定(2)及び(C)の組み合わせC-2では、媒体Mが載置部106にセットされた後、ウェイト500ms後にシャッタ104の閉動作が開始され、開口102を閉鎖した後にシャッタ104はロックされる。その後、シャッタ104がロックされた後に載置部106の上昇、及びピッカ(ピックアップローラ112)の移動が開始され、載置部106が分離繰り出し位置に到達した後、ピッカ(ピックアップローラ112)及び分離ローラ114による媒体Mの取り込み動作が行われる。組み合わせC-2は、上記の組み合わせC-1と比較して、より安全対策を行った設定である。
【0078】
設定(3)及び(C)の組み合わせC-3では、媒体Mが載置部106にセットされた後、利用者によるシャッタ閉指示の後にシャッタ104の閉動作が開始され、開口102を閉鎖した後にシャッタ104はロックされる。その後、シャッタ104がロックされた後に載置部106の上昇、及びピッカ(ピックアップローラ112)の移動が開始され、載置部106が分離繰り出し位置に到達した後、ピッカ(ピックアップローラ112)及び分離ローラ114による媒体Mの取り込み動作が行われる。組み合わせC-3は、上記の組み合わせC-2と比較して、さらに安全対策を行った設定である。
【0079】
これによれば、媒体処理装置10は、シャッタ104を閉めるタイミング(1)~(3)と、載置部106を上昇させるタイミングの設定(A)~(C)とを組み合わせることで、媒体Mの取り込み時の動作をより詳細に設定することが可能である。
【0080】
例えば、媒体処理装置10が媒体Mの投入に熟練した店員などの利用者によって運用される場合、管理者は上述した組み合わせA-1の設定を選択することで、媒体Mの取込処理速度を速めることができる。また、例えば、媒体処理装置10が媒体Mの投入に熟練していない研修者中の店員などの利用者によって運用される場合、管理者は上述した組み合わせA-2又はA-3の設定を選択することで、媒体Mの取込処理速度を速めつつ安全対策を行うことができる。
【0081】
一方、例えば、媒体処理装置10が小売店などでセルフ精算機として用いられ、顧客などの利用者によって運用される場合、管理者は上述した組み合わせB-1の設定を選択することで、取込処理速度を速めると共に、異物侵入対策を行うことができる。また、管理者は、上述した組み合わせB-2又はB-3の設定を選択することで、可能な限り取込処理速度を速めつつも、異物侵入対策及び安全対策についても配慮することができる。
【0082】
さらに、管理者は、上述した組み合わせC-1の設定を選択することで、異物侵入対策をより確実に行うことが可能である。くわえて、管理者は、上述した組み合わせC-2又はC-3の設定を選択することで、さらに安全対策を行うことも可能である。
【0083】
したがって、媒体処理装置10は、管理者の要望に応じて、取込処理速度を優先する設定で運用されることが可能であると共に、安全対策及び異物侵入対策と取込処理速度とを両立する設定にて運用されることも可能である。
【0084】
<5.運用設定の流れ>
さらに、図9図15を参照して、媒体処理装置10において、シャッタ104を閉めるタイミングの設定、及び載置部106を上昇させるタイミングの設定を行う操作の流れについて説明する。図9は、媒体処理装置10におけるシャッタ104を閉めるタイミングの設定、及び載置部106を上昇させるタイミングの設定を行う操作の一例を示すフローチャート図である。図10図15は、シャッタ104を閉めるタイミングの設定と、載置部106を上昇させるタイミングの設定とをそれぞれ行うために表示部50に表示される画像の一例を示す説明図である。なお、図10図15に示す画像は、制御部60によって生成される。
【0085】
図9に示すように、まず、管理者は、媒体処理装置10をローカルモードに設定する(S101)。ローカルモードは、例えば、媒体処理装置10の入出金を管理する運用モードとは別に、媒体処理装置10の各種設定などを行うモードである。媒体処理装置10のローカルモードへの設定変更は、例えば、操作部40からの操作によって行われてもよく、運用キーなどの物理的な鍵を用いた操作によって行われてもよい。
【0086】
これにより、媒体処理装置10は、媒体処理装置10の各種設定を変更するためローカルモードに遷移する。
【0087】
次に、管理者は、例えば、図10に示すログイン画像から自身のアカウントを選択することで、自身のアカウントにログインする(S102)。図10に示すログイン画像では、「担当者1」、「担当者2」、「管理者」、及び「保守員専用」の4つのアカウントが示されている。管理者は、あらかじめ設定したパスワードなどを入力することで、自身の「管理者」アカウントにログインすることができる。
【0088】
これにより、媒体処理装置10は、図11に示す設定メニュー画像を表示部50に表示する。
【0089】
続いて、管理者は、図11に示す設定メニュー画像から「運用設定」の項目を選択する(S103)。これにより、管理者は、媒体処理装置10の運用時の設定を変更することができる。
【0090】
次に、管理者は、図12に示す運用設定の各種設定を選択する選択画像から「シャッタ動作」を選択する(S104)。これにより、管理者は、載置部106に媒体Mが載置された後のシャッタ104が閉動作を行うタイミングを設定することができる。
【0091】
例えば、管理者は、図13に示すシャッタ動作のタイミングを選択する選択画像から「待ちなし」を選択してもよい(S105)。「待ちなし」は、図8で示したシャッタ104を閉めるタイミングのうち、設定(1)の「ウェイト0ms」に相当する設定である。なお、「待ちあり」は、図8で示したシャッタ104を閉めるタイミングのうち、設定(2)の「ウェイト500ms」に相当する設定であり、「手動」は、設定(3)の「手動でシャッタ閉」に相当する設定である。
【0092】
その後、管理者は、図13に示す選択画像の「保存」を選択する(S106)ことで、ステップS105で選択した設定を媒体処理装置10の記憶部(図示せず)に保存することができる。
【0093】
続いて、管理者は、図14に示す運用設定の各種設定を選択する選択画像から「紙幣クランプ制御」を選択する(S107)。これにより、管理者は、シャッタ104の閉動作に対する載置部106を上昇させるタイミングを設定することができる。
【0094】
例えば、管理者は、図15に示す載置部106を上昇させるタイミングを選択する選択画像から「制御1」を選択してもよい(S108)。「制御1」は、図8で示した載置部106を上昇させるタイミングのうち、設定(A)の「ステージ移動後シャッタロック」に相当する設定である。なお、「制御2」は、図8で示した載置部106を上昇させるタイミングのうち、設定(B)の「シャッタ閉後ステージ移動」に相当する設定であり、「制御3」は、設定(C)の「シャッタロック後ステージ移動」に相当する設定である。
【0095】
その後、管理者は、図13に示す選択画像の「保存」を選択する(S109)ことで、ステップS108で選択した設定を媒体処理装置10の記憶部(図示せず)に保存することができる。
【0096】
次に、管理者は、運用設定の各種設定を選択する選択画像の「戻る」を選択することで、図11に示す設定メニュー画像を媒体処理装置10の表示部50に表示させることができる。以上の操作によれば、管理者は、管理者の要望に応じたシャッタ104を閉めるタイミング、及び載置部106を上昇させるタイミングを媒体処理装置10に設定することができる。
【0097】
なお、上記の操作の流れにおいて、媒体処理装置10におけるシャッタ104を閉めるタイミングの設定、及び載置部106を上昇させるタイミングの設定は、いずれを先に行ってもよい。すなわち、ステップS104~S106の動作と、ステップS107~S109の動作とは、順序を逆にして行われてもよい。
【0098】
また、上記の操作の流れにおいて、シャッタ104を閉めるタイミングの選択肢と、載置部106を上昇させるタイミングの選択肢とは、上述したように個別に表示されなくともよい。例えば、表示部50は、図8で示した設定の組み合わせA-1~C-3の9つに対応した選択画像を表示してもよい。このような場合、管理者は、9つの選択画像のいずれか1つを選択することで、図8で示した設定の組み合わせのうちのいずれか1つを媒体処理装置10に設定することができる。
【0099】
上記では、媒体処理装置10を管理する管理者がシャッタ104を閉めるタイミングの設定、及び載置部106を上昇させるタイミングの設定を行う例を示したが、本実施形態は上記例示に限定されない。例えば、媒体処理装置10は、媒体処理装置10を利用する利用者に対して、設定を選択する表示を提示することで、利用者に自信に応じた設定を選択させてもよい。
【0100】
具体的には、媒体処理装置10は、「媒体Mの投入に熟練した店員向け設定」、「媒体Mの投入に熟練していない店員向け設定」、又は「顧客が媒体Mを投入するセルフ運用向け設定」等の利用者の特性、又は媒体処理装置10の運用形態に着眼した選択肢が表示された利用者用選択画像を利用者に提示してもよい。なお、これら選択肢には、それぞれシャッタ104を閉めるタイミングの設定、及び載置部106を上昇させるタイミングの設定が対応付けられている。これらの選択肢と設定との対応関係は、例えば、媒体処理装置10の記憶部(図示せず)に記憶される。
【0101】
媒体処理装置10は、上記の利用者用選択画像に含まれる選択肢を利用者に選択させることで、シャッタ104を閉めるタイミングの設定、及び載置部106を上昇させるタイミングの設定を利用者ごとに設定することができる。このような場合、制御部60は、媒体処理装置10の利用者を決定する利用者決定部として機能する。これによれば、利用者は、利用者の特性、又は媒体処理装置10の運用形態に応じて、簡便に(換言すると直感的に)シャッタ104を閉めるタイミングの設定、及び載置部106を上昇させるタイミングの設定を行うことができる。
【0102】
また、媒体処理装置10は、媒体処理装置10の利用者を特定することで、シャッタ104を閉めるタイミングの設定、及び載置部106を上昇させるタイミングの設定を行ってもよい。例えば、媒体処理装置10は、店舗従業員ごとに用意された個人IDと、シャッタ104を閉めるタイミングの設定、及び載置部106を上昇させるタイミングの設定とを対応付けて記憶部(図示せず)に記憶してもよい。媒体処理装置10は、接続されたカードリーダー等で店舗従業員が所持するIDカード等を読み込むことで、媒体処理装置10を利用する店舗従業員の個人IDを把握することができる。したがって、媒体処理装置10は、読み込んだ個人IDに対応する設定を記憶部から読み出すことで、シャッタ104を閉めるタイミングの設定、及び載置部106を上昇させるタイミングの設定を行ってもよい。このような場合、制御部60は、媒体処理装置10の利用者を決定する利用者決定部として機能する。これによれば、媒体処理装置10は、店舗従業員ごとに適切な設定を行うことができるため、媒体処理装置10を利用する店舗従業員の変更に応じて適宜に設定を変更することができる。
【0103】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0104】
10 媒体処理装置
20 硬貨処理ユニット
22 入金口
23 出金口
24 リジェクト口
30 紙幣処理ユニット
40 操作部
50 表示部
60 制御部
100 取込部
101 内部空間
102 開口
104 シャッタ
106 載置部
106a 載置面
108 ステージアーム
108a 回転軸
110 ガイド
112 ピックアップローラ
114 分離ローラ
116 検知部
M 媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15