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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006205
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】時計
(51)【国際特許分類】
   G04B 45/02 20060101AFI20240110BHJP
   G04B 19/06 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G04B45/02
G04B19/06 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106882
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 秀男
(57)【要約】
【課題】サブダイヤルが過剰に切り欠かれると、ユーザーは、時計部品を視認し易くなるが、サブダイヤルの目盛を確認し難くなる。
【解決手段】時計部品を有するムーブメントと、前記ムーブメントによって駆動する第1長さの第1指針と、前記ムーブメントによって駆動する前記第1長さより短い第2長さの第2指針と、前記ムーブメント上に設けられる支持板、及び前記第2指針に係る目盛を表示するサブダイヤルリングを有する文字板とを備え、前記支持板は、支持板開口が設けられる支持板リング部材と、前記支持板リング部材の支持板内周に接続する支持部材と、を有し、前記時計部品は、前記支持板開口の下方に配置され、前記サブダイヤルリングは、前記支持部材上に配置され、前記時計部品の上方で前記時計部品と重なる重なり位置に切欠き部を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計部品を有するムーブメントと、
前記ムーブメントによって駆動する第1長さの第1指針と、
前記ムーブメントによって駆動する、前記第1長さより短い第2長さの第2指針と、
前記ムーブメント上に設けられる支持板、及び前記第2指針に係る目盛を表示するサブダイヤルリングを有する文字板と、を備え、
前記支持板は、支持板開口が設けられる支持板リング部材と、前記支持板リング部材の支持板内周に接続する支持部材と、を有し、
前記時計部品は、前記支持板開口の下方に配置され、
前記サブダイヤルリングは、
前記支持部材上に配置され、
前記時計部品の上方で前記時計部品と重なる重なり位置に切欠き部を有する、
時計。
【請求項2】
前記支持板は、第2支持部材を有し、
前記サブダイヤルリングは、前記支持部材、及び前記第2支持部材で支持される、
請求項1に記載の時計。
【請求項3】
前記第2指針は、秒針であり、
前記サブダイヤルリングは、前記目盛として秒目盛を表示するセコンドダイヤルリングである、
請求項1に記載の時計。
【請求項4】
前記時計部品は、酸化シリコン層を含むがんぎ車である、
請求項3に記載の時計。
【請求項5】
前記ムーブメントは、前記支持板開口の下方に配置されるテンプ、及び前記秒針を支持する秒針軸を有し、
前記セコンドダイヤルリングは、6時位置に配置され、
前記テンプは、9時位置に配置され、
前記がんぎ車は、上方からの平面視で、前記秒針軸と前記テンプとの間に配置される、
請求項4に記載の時計。
【請求項6】
前記第1指針は、
前記支持板の上方に配置され、
前記時計部品と重なる領域に、窓を有する、
請求項1に記載の時計。
【請求項7】
前記文字板は、前記支持板と前記ムーブメントとの間に装飾板を有し、
前記装飾板は、装飾板開口が設けられる装飾板リング部材と、前記装飾板リング部材の装飾板内周に接続する板部材と、を有し、
前記板部材は、前記重なり位置と異なる位置に配置される、
請求項1に記載の時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、時計に関する。
【背景技術】
【0002】
シースルー構造の時計が知られている、特許文献1に記載される時計は、文字板側からムーブメントの一部を視認可能に構成されている。時計は、ムーブメント内に配置された時計用部品であるがんぎ車を視認可能に構成されている。文字板には、時計用部品を視認可能にする窓が設けられる。窓は、スモールセコンドに対応するサブダイヤルを切り欠いて構成される。サブダイヤルは、文字板と同一平面に構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-148651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同一面にサブダイヤルが設けられる文字板に窓が設けられると、窓によって、サブダイヤルが過剰に切り欠かれる場合がある。サブダイヤルが過剰に切り欠かれると、ユーザーは、時計部品を視認し易くなるが、サブダイヤルの目盛を確認し難くなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の時計は、時計部品を有するムーブメントと、前記ムーブメントによって駆動する第1長さの第1指針と、前記ムーブメントによって駆動する、前記第1長さより短い第2長さの第2指針と、前記ムーブメント上に設けられる支持板、及び前記第2指針に係る目盛を表示するサブダイヤルリングを有する文字板と、を備え、前記支持板は、支持板開口が設けられる支持板リング部材と、前記支持板リング部材の支持板内周に接続する支持部材と、を有し、前記時計部品は、前記支持板開口の下方に配置され、前記サブダイヤルリングは、前記支持部材上に配置され、前記時計部品の上方で前記時計部品と重なる重なり位置に切欠き部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】機械式時計の外観構成を示す図。
図2】ムーブメントの外観構成を示す図。
図3】がんぎ車の概略構成を示す図。
図4】がんぎ車の部分断面を示す図。
図5】装飾文字板の概略構成を示す図。
図6】パーツ支持板の概略構成を示す図。
図7】文字板の概略構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、時計1の外観構成を示している。図1は、時計1を文字板10と対向する方向から視認される平面図である。時計1は、図示しないゼンマイを動力として機能する機械式時計である。図1に示す時計1は、時計内装部品の一部を視認可能なシースルー構造である。図1に示す時計1は、秒針7が中心軸から離れた位置に配置されるスモールセコンド時計である。
【0008】
図1を含む複数の図は、XYZ座標系を示している。X軸は、時計1が載置される載置面に平行な軸である。X軸は、時計1の3時を示すアワーマーク60aと9時を示すアワーマーク60aを結ぶ線と平行な軸である。アワーマーク60aは、後述される。+X方向は、9時を示すアワーマーク60aから3時を示すアワーマーク60aに向かう方向である。-X方向は、3時を示すアワーマーク60aから9時を示すアワーマーク60aに向かう方向である。Y軸は、時計1が載置される載置面に平行な軸である。Y軸は、時計1の12時を示す数字マーク60eと6時を示すアワーマーク60aを結ぶ線と平行な軸である。数字マーク60eは、後述される。+Y方向は、6時を示すアワーマーク60aから数字マーク60eに向かう方向である。-Y方向は、数字マーク60eから6時を示すアワーマーク60aに向かう方向である。Z軸は、載置面に対して垂直な軸である。+Z方向は、載置面から上方に向かう方向である。-Z方向は、載置面から下方に向かう方向である。+Z方向は、上方に対応する。-Z方向は、下方に対応する。
【0009】
時計1は、外装ケース2と、時針3と、分針5と、秒針7と、パワーリザーブ針9と、リューズ13と、文字板10と、を備える。文字板10は、装飾文字板30と、パーツ支持板50と、機能パーツ60と、を含む。文字板10の詳細は、後述される。図1に示す時計1は、テンプ21と、がんぎ車23と、受け石25とを視認可能に構成される。テンプ21、がんぎ車23、及び受け石25は、時計内装部品である。時計内装部品は、時計部品の一例に対応する。
【0010】
外装ケース2は、文字板10、及び後述するムーブメント20を収容する。外装ケース2は、+Z方向にムーブメント20、文字板10の順で、ムーブメント20、及び文字板10を収容する。外装ケース2の内周部には、2つの開口が設けられる。2つの開口のうち文字板10に対して+Z方向の開口には、図示しないカバーガラスが設けられる。2つの開口のうちムーブメント20に対して-Z方向の開口には、図示しない裏蓋が設けられる。外装ケース2は、内周部で文字板10、及びムーブメント20を支持する。
【0011】
時針3は、時刻情報を示す。図1に示す時針3は、指針軸の1つである時針軸3aに取り付けられる。時針3は、パーツ支持板50の+Z方向に配置される。時針3は、ムーブメント20によって駆動する。時針3は、所定の時針長さで構成される。時針3は、時針開口3bを有する。時針開口3bは、Z軸に沿って視認可能な時計内装部品と重なる領域に設けられる。図1に示す時針開口3bは、Z軸に沿ってがんぎ車23と重なる領域に設けられる。時針3ががんぎ車23の+Z方向の位置に位置するとき、ユーザーは、時針開口3bを通して、がんぎ車23を視認することができる。時針開口3bには、光透過性の部材が設けられてもよい。時針3は、第1指針の一例に対応する。時針長さは、第1長さの一例に対応する。時針開口3bは、窓の一例に対応する。
【0012】
時針3は、パーツ支持板50の+Z方向に配置され、時計内装部品と重なる領域に、時針開口3bを有する。
時針開口3bが設けられることによって、ユーザーは、時針開口3bを通して、時計内装部品の1つであるがんぎ車23を視認することができる。
【0013】
分針5は、時刻情報を示す。図1に示す分針5は、指針軸の1つである時針軸3aに取り付けられる。分針5は、パーツ支持板50の+Z方向に配置される。分針5は、ムーブメント20によって駆動する。分針5は、所定の分針長さで構成される。分針5は、分針開口5bを有してもよい。分針開口5bは、Z軸に沿って視認可能な時計内装部品と重なる領域に設けられる。図1に示す分針開口5bは、Z軸に沿ってがんぎ車23と重なる領域に設けられる。分針5ががんぎ車23の+Z方向の位置に位置するとき、ユーザーは、分針開口5bを通して、がんぎ車23を視認することができる。分針開口5bには、光透過性の部材が設けられてもよい。分針5は、第1指針の一例に対応する。分針長さは、第1長さの一例に対応する。分針開口5bは、窓の一例に対応する。
【0014】
秒針7は、時刻情報を示す。図1に示す秒針7は、時針軸3aと異なる指針軸である秒針軸7aに取り付けられる。秒針7は、パーツ支持板50の+Z方向に配置される。秒針7は、ムーブメント20によって駆動する。秒針7の秒針長さは、所定の長さで構成される。秒針長さは、時針長さよりも短い。秒針7は、第2指針の一例に対応する。秒針長さは、第2長さの一例に対応する。
【0015】
パワーリザーブ針9は、ゼンマイを全て巻き上げた状態から、ゼンマイがほどけて停止するまでの持続時間残量を示す。パワーリザーブ針9は、時針軸3a及び秒針軸7aと異なる指針軸であるパワーリザーブ針軸9aに取り付けられる。パワーリザーブ針9は、パーツ支持板50の+Z方向に配置される。パワーリザーブ針9は、ムーブメント20によって駆動する。パワーリザーブ針9のパワーリザーブ針長さは、所定の長さで構成される。パワーリザーブ針長さは、時針長さよりも短い。
【0016】
リューズ13は、外装ケース2の側面に取り付けられる。リューズ13は、ユーザーによる操作を受け付ける。リューズ13がユーザーによって操作されることによって、ゼンマイの巻き上げや時刻等の調整が行われる。
【0017】
文字板10は、外装ケース2の内周部に配置される。文字板10は、装飾文字板30と、装飾文字板30上に設けられるパーツ支持板50とで構成される。装飾文字板30は、直接、もしくは他の部材を介して、パーツ支持板50を支持する。装飾文字板30、及びパーツ支持板50の詳細は、後述される。
【0018】
テンプ21は、時計1の運針速度を制御する。テンプ21は、ゼンマイがほどける速度を調整する。テンプ21は、9時位置に設けられる。9時位置は、後述される。テンプ21は、ムーブメント20の時計内装部品の一例である。テンプ21は、+Z方向から視認される位置に配置される。
【0019】
がんぎ車23は、脱進機を構成する部品である。脱進機は、がんぎ車23と図示しないアンクルで構成される。脱進機は、テンプ21に対して往復運動する力を与え、テンプ21からの規則正しい振動で図示しない輪列を制御する。がんぎ車23は、+Z方向から見た平面視で、秒針軸7aとテンプ21との間に配置される。脱進機は、ムーブメント20の時計内装部品の一例である。がんぎ車23は、+Z方向から視認される位置に配置される。
【0020】
受け石25は、テンプ21の軸である天真上に設けられる。天真は、図示されない。天真の+Z方向の端部に、受け石25が設けられる。受け石25は、例えばルビーで構成される。受け石25は、時計1の9時位置に配置される。受け石25は、+Z方向から視認される位置に設けられる。受け石25の周囲には、穴石が設けられる。穴石は、図示されない。穴石は天真を受ける軸受である。穴石は、例えば、ルビーで構成される。穴石は、+Z方向から視認される位置に配置されてもよい。
【0021】
図2は、ムーブメント20の外観構成を示している。図2は、時計1に搭載されるムーブメント20を+Z方向から見た図である。図2に示すムーブメント20は、時針軸3aとパワーリザーブ針軸9aとを結ぶ仮想垂直線VLがY軸と平行になる向きで載置面に載置されている。
【0022】
ムーブメント20は、時針軸3aと、秒針軸7aと、パワーリザーブ針軸9aと、テンプ21と、がんぎ車23と、受け石25と、ムーブメントカバー27と、を有する。ムーブメント20は、図示しない香箱車、番車、アンクル、天真、穴石、ヒゲゼンマイ等の時計内装部品を有する。ムーブメント20は、日星車、月齢車等の時計内装部品を有してもよい。
【0023】
時針軸3aは、時針3、及び分針5が取り付けられる指針軸である。時針軸3aは、時計1の中心位置、もしくは略中心位置に配置される。時針軸3aは、文字板10の+Z方向の位置で、時針3、及び分針5を支持する。
【0024】
秒針軸7aは、秒針7が取り付けられる指針軸である。秒針軸7aは、時針軸3aの-Y方向の位置に配置される。図2に示す秒針軸7aは、仮想垂直線VL上に配置される。秒針軸7aの位置は、時針軸3aの-Y方向の位置に限定されないが、時針軸3aの-Y方向の位置であることが好ましい。時針軸3aの-Y方向の位置は、6時位置である。6時位置は、時針軸3aの-Y方向で、仮想垂直線VLに対して+45°傾いた仮想線、及び仮想垂直線VLに対して-45°傾いた仮想線で囲まれる領域である。秒針軸7aは、文字板10の+Z方向の位置で、秒針7を支持する。
【0025】
パワーリザーブ針軸9aは、パワーリザーブ針9が取り付けられる指針軸である。パワーリザーブ針軸9aは、時針軸3aの+Y方向の位置に配置される。パワーリザーブ針軸9aの位置は、時針軸3aの+Y方向の位置に限定されないが、時針軸3aの+Y方向の位置であることが好ましい。時針軸3aの+Y方向の位置は、12時位置である。12時位置は、時針軸3aの+Y方向で、仮想垂直線VLに対して、+45°傾いた仮想線、及び-45°傾いた仮想線で囲まれる領域である。パワーリザーブ針軸9aは、文字板10の+Z方向の位置で、パワーリザーブ針9を支持する。
【0026】
テンプ21、及び受け石25は、仮想垂直線VLの-X方向の位置に配置される。テンプ21の中心、及び受け石25は、時計1の9時位置に配置される。9時位置は、仮想垂直線VLの-X方向で、時針軸3aを通り仮想垂直線VLに直交する仮想水平線に対して+45°傾いた仮想線、及び仮想水平線に対して-45°傾いた仮想線で囲まれる領域である。
【0027】
がんぎ車23は、秒針軸7aとテンプ21との間の位置に配置される。がんぎ車23の中心は、仮想垂直線VLの-X方向の位置に配置される。がんぎ車23は、テンプ21と隣り合う位置に配置される。がんぎ車23の詳細は、後述される。
【0028】
ムーブメントカバー27は、時計内装部品を覆う外装部材である。ムーブメントカバー27の一部は、時計内装部品の+Z方向の位置に設けられる。ムーブメントカバー27には、ムーブメント開口29が設けられる。ムーブメントカバー27は、カバーの一例に対応する。ムーブメント開口29は、開口の一例に対応する。
【0029】
ムーブメント開口29は、時計内装部品を視認可能に構成される。図2に示すムーブメント開口29は、第1ムーブメント開口領域29a、及び第2ムーブメント開口領域29bとを含む複数の開口領域で構成される。ムーブメント開口29は、複数の開口領域で構成されるが、これに限定されない。ムーブメント開口29は、1つの開口領域で構成されてもよい。
【0030】
第1ムーブメント開口領域29aは、仮想垂直線VLの-X方向の位置に設けられる。第1ムーブメント開口領域29aは、時計1の9時位置に設けられる。第1ムーブメント開口領域29aは、テンプ21、がんぎ車23、及び受け石25の+Z方向の位置に設けられる。ムーブメント20は、第1ムーブメント開口領域29aの-Z方向の位置に、テンプ21、がんぎ車23、及び受け石25を有する。第1ムーブメント開口領域29aは、がんぎ車23の一部が視認される位置に設けられる。第1ムーブメント開口領域29aが設けられることによって、ユーザーは、テンプ21、がんぎ車23、及び受け石25等の時計内装部品を視認できる。
【0031】
第2ムーブメント開口領域29bは、仮想垂直線VLの+X方向の位置に設けられる。第2ムーブメント開口領域29bは、第1ムーブメント開口領域29aと異なる位置に設けられる。第2ムーブメント開口領域29bは、パワーリザーブ針9の駆動に係る時計内装部品が視認される位置に設けられる。
【0032】
図3は、がんぎ車23の概略構成を示している。図3は、がんぎ車23を+Z方向から見た図である。がんぎ車23は、保持部110と、リム部111と、弾性部113と、歯部114と、を備える。がんぎ車23は、表面に光反射層100を有している。光反射層100は、後述される。
【0033】
保持部110は、がんぎ車23の中央部に配置される。保持部110は、Z軸に沿って貫通する貫通孔を有する。貫通孔には、がんぎ車23を支持する支持軸115が挿通される。支持軸115は、ムーブメント20内に設けられる。保持部110は、支持軸115を保持する。
【0034】
リム部111は、がんぎ車23の外周縁に配置されるリング形状の部材である。リム部111は、内周部で弾性部113と接続する。リム部111は、外周部で歯部114と接続する。
【0035】
弾性部113は、保持部110とリム部111との間に配置される。弾性部113は、保持部110とリム部111とを連結する。図3に示す弾性部113は、円弧状の部材で構成されるが、これに限定されない。弾性部113は、スポーク状に構成されてもよい。
【0036】
歯部114は、リム部111の外周部に配置される。複数の歯部114がリム部111の外周部に配置される。歯部114は、図示しないアンクルと係合する。歯部114がアンクルと係合することによって、がんぎ車23の動きがアンクルによって制御される。
【0037】
図4は、がんぎ車23の部分断面の構成を示している。図4は、図3に示すA-A線に沿った部分断面を示している。がんぎ車23は、Z軸に沿って、基材120と、光反射層100と、を備える。
【0038】
基材120は、シリコンを主成分とする。基材120は、基材材質全体に対して、80質量%以上のシリコンを含有する。基材120のシリコン含有量は、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましい。基材120は、第1面120A、及び第2面120Bを有する。第1面120Aは、基材120の+Z方向の面である。第2面120Bは、基材120の-Z方向の面である。
【0039】
光反射層100は、基材120の第1面120A上に設けられる。光反射層100が設けられることによって、がんぎ車23の装飾性が向上する。光反射層100は、第1面120A上から順に、第1酸化シリコン層122、シリコン層124、及び第2酸化シリコン層126を有する。光反射層100が3層構造で構成されることによって、がんぎ車23の発色性が向上し、よりがんぎ車23の装飾性が向上する。光反射層100の平均厚さは、適宜設定可能であるが、265nm以上885nm以下であることが好ましい。
【0040】
第1酸化シリコン層122は、基材120上に設けられる。第1酸化シリコン層122の平均厚さは、適宜調整可能であるが、一例として、100nm以上450nm以下である。がんぎ車23を青色に発色させる場合、第1酸化シリコン層122の平均厚さは、20nm以上100nm以下であることが好ましい。がんぎ車23を青色に発色させる場合、第1酸化シリコン層122の平均厚さは、180nm以上290nm以下でもよい。第1酸化シリコン層122は、酸化シリコン層の一例に対応する。
【0041】
シリコン層124は、第1酸化シリコン層122上に設けられる。シリコン層124は、アモルファス層でもよいし、ポリシリコン層でもよい。シリコン層124は、ポリシリコン層であることが好ましい。シリコン層124の平均厚さは、66nm以上86nm以下であることが好ましい。がんぎ車23を青色に発色させる場合、シリコン層124の平均厚さは、70nm以上84nm以下であることが好ましい。
【0042】
第2酸化シリコン層126は、シリコン層124上に設けられる。第2酸化シリコン層126の平均厚さは、第1酸化シリコン層122の平均厚さよりも薄いことが好ましい。がんぎ車23を青色に発色させる場合、第2酸化シリコン層126の平均厚さは、100nm以上200nm以下であることが好ましい。がんぎ車23を青色に発色させる場合、第2酸化シリコン層126の平均厚さは、250nm以上360nm以下でもよい。第2酸化シリコン層126は、酸化シリコン層の一例に対応する。
【0043】
時計内装部品は、第1酸化シリコン層122、及び第2酸化シリコン層126を含むがんぎ車23であることが好ましい。
がんぎ車23が、第1酸化シリコン層122、及び第2酸化シリコン層126を有することによって、がんぎ車23は、所定の色に発色する。がんぎ車23が所定の色に発色することによって、文字板10の装飾性が向上する。また、がんぎ車23がシリコンで構成されることによって、時計1の駆動持続時間が向上する。
【0044】
図5は、装飾文字板30の概略構成を示している。図5は、装飾文字板30を+Z方向から見た図である。図5は、時計1に搭載される姿勢の装飾文字板30を示している。装飾文字板30は、ムーブメント20の+Z方向の位置に設けられる。装飾文字板30は、Z軸に沿って、ムーブメント20とパーツ支持板50との間に設けられる。装飾文字板30は、装飾文字板リング31と、梁部材33と、画像表示板35と、を備える。装飾文字板30は、所定の色で構成される。装飾文字板30は、黒色等の暗色で構成されることが好ましい。装飾文字板30が暗色で構成されることによって、装飾文字板30上にパーツ支持板50が配置されたときに、文字板10の奥行き感が強調される。装飾文字板30は、装飾板の一例に対応する。
【0045】
装飾文字板リング31は、装飾文字板30の外周縁に配置される。装飾文字板リング31は、外装ケース2、もしくはムーブメント20に支持される。装飾文字板リング31は、内周部に装飾文字板内周面31aを有する。装飾文字板内周面31aの内側は、装飾文字板開口37である。図5に示す装飾文字板リング31は、円形のリングであるが、円形に限定されない。装飾文字板リング31は、内周部に開口を有する構成であれば、装飾文字板リング31の形状は限定されない。装飾文字板リング31は、四角形状でもよい。装飾文字板リング31は、装飾板リング部材の一例に対応する。装飾文字板内周面31aは、装飾板内周の一例に対応する。
【0046】
梁部材33は、装飾文字板リング31の装飾文字板内周面31aに接続される。図5では、複数の梁部材33が装飾文字板内周面31aに接続される。梁部材33は、装飾文字板内周面31aの任意の2点に接続される板状の部材、もしくは装飾文字板内周面31aと他の梁部材33とに接続される板状の部材である。梁部材33は、他の2つの梁部材33に接続される板状の部材でもよい。梁部材33の梁部材幅Waは、適宜設定可能である。梁部材33の梁部材幅Waは、位置によって変更されてもよい。複数の梁部材33の梁部材幅Waは、それぞれ異なっていてもよい。梁部材33のZ軸に沿った厚さは、装飾文字板リング31のZ軸に沿った厚さと同じであるが、これに限定されない。梁部材33のZ軸に沿った厚さは、装飾文字板リング31のZ軸に沿った厚さよりも厚くてもよいし、薄くてもよい。梁部材33は、装飾文字板リング31と一体で構成される。梁部材33は、板部材の一例に対応する。梁部材幅Waは、板部材の幅の一例に対応する。
【0047】
図5に示す複数の梁部材33は、第1梁部材33a、第2梁部材33b、第3梁部材33c、第4梁部材33d、第5梁部材33e、第6梁部材33f、及び第7梁部材33gである。図5に示す梁部材33の数は、7本であるが、これに限定されない。梁部材33の数は、6本以下でもよいし、8本以上でもよい。
【0048】
第1梁部材33a、第2梁部材33b、第3梁部材33c、第4梁部材33d、及び第6梁部材33fは、装飾文字板内周面31aの2点と接続する。第1梁部材33aの梁部材幅Waは、第1梁部材33aの全長に渡って一定に構成される。第3梁部材33cの中央には、リング部が形成される。リング部は、装飾文字板30の中心位置に設けられる。リング部は、時針3及び分針5が取り付けられる時針軸3aを挿通する。第1梁部材33aと第6梁部材33fは、仮想垂直線VLを対称軸として線対称の位置に配置される。仮想垂直線VLは、装飾文字板30の中心を通るY軸と平行な軸である。第2梁部材33bと第4梁部材33dは、仮想垂直線VLを対称軸として線対称の位置に配置される。
【0049】
第5梁部材33e、及び第7梁部材33gは、装飾文字板内周面31a、及び梁部材33と接続する。第5梁部材33eは、装飾文字板内周面31a、及び第4梁部材33dと接続する。第7梁部材33gは、装飾文字板内周面31a、及び第3梁部材33cと接続する。第5梁部材33eは、第7梁部材33gを延伸した位置に配置される。
【0050】
画像表示板35は、梁部材33、及び装飾文字板内周面31aに支持される。図5に示す画像表示板35は、第1梁部材33a、第2梁部材33b、第3梁部材33c、及び第7梁部材33gによって支持される。画像表示板35は、複数の梁部材33と一体で構成される。画像表示板35は、表示板の一例に対応する。
【0051】
画像表示板35には、表示画像35aが表示される。表示画像35aは、時計1のブランド名や製造者名等を示すロゴタイプ、ブランドを識別するロゴマーク等のいずれかを含む。表示画像35aは、複数の文字列、及び図案等を含んでもよい。表示画像35aは、識別画像の一例に対応する。
【0052】
画像表示板35には、複数のスリット35bが形成される。スリット35bは、表示画像35aと異なる位置に設けられる。複数のスリット35bは、設けられなくてもよいが、設けられることが好ましい。スリット35bが設けられることによって、文字板10のデザインバリエーションが向上する。
【0053】
装飾文字板開口37は、梁部材33によって複数の領域に分割される。装飾文字板開口37は、第1装飾文字板開口領域37a、及び第2装飾文字板開口領域37bを含む複数の領域に分割される。第1装飾文字板開口領域37a、及び第2装飾文字板開口領域37bは、装飾文字板開口37の一部である。装飾文字板開口37は、装飾板開口の一例に対応する。
【0054】
第1装飾文字板開口領域37aは、図2に示す第1ムーブメント開口領域29aの+Z方向の位置に設けられる。第1装飾文字板開口領域37aは、テンプ21の一部、がんぎ車23の一部、及び受け石25の+Z方向の位置を含む領域である。第2装飾文字板開口領域37bは、ムーブメントカバー27の+Z方向の位置に設けられる。第2装飾文字板開口領域37bは、ムーブメントカバー27の+Z方向の位置を含む領域である。
【0055】
図6は、パーツ支持板50の概略構成を示している。図6は、パーツ支持板50を+Z方向から見た図である。図6は、時計1に搭載される姿勢のパーツ支持板50を示している。パーツ支持板50は、ムーブメント20、及び装飾文字板30の+Z方向の位置に設けられる。パーツ支持板50は、パーツ支持板リング51と、複数のブリッジ53と、補助部材55と、を備える。パーツ支持板50は、支持板の一例に対応する。
【0056】
パーツ支持板50の色は、装飾文字板30の色と異なることが好ましい。装飾文字板30の色は、一例として、暗色であり、パーツ支持板50の色は、明色である。装飾文字板30の色は、暗色の一例である黒色であり、パーツ支持板50の色は、装飾文字板30の黒色と異なる暗色でもよい。装飾文字板30の色が、パーツ支持板50の色と異なることによって、文字板10の立体感が向上する。黒色、及び暗色は、第1色の一例に対応する。明色、もしくは黒色と異なる暗色は、第2色の一例に対応する。
【0057】
パーツ支持板リング51は、パーツ支持板50の外周縁に配置される。パーツ支持板リング51は、装飾文字板30に支持される。パーツ支持板リング51は、内周部にパーツ支持板内周面51aを有する。パーツ支持板内周面51aの内側は、パーツ支持板開口57である。図6に示すパーツ支持板リング51は、円形であるが、円形に限定されない。パーツ支持板リング51は、内周部に開口を有する構成であれば、パーツ支持板リング51の形状は限定されない。パーツ支持板リング51は、四角形状でもよい。パーツ支持板リング51の形状は、装飾文字板リング31の形状と同じであることが好ましい。パーツ支持板リング51は、支持板リング部材の一例に対応する。パーツ支持板内周面51aは、支持板内周の一例に対応する。
【0058】
ブリッジ53は、後述する機能パーツ60を支持する。ブリッジ53は、パーツ支持板リング51のパーツ支持板内周面51aに接続される。図6では、複数のブリッジ53がパーツ支持板内周面51aに接続される。ブリッジ53の両端部は、パーツ支持板内周面51aに接続される。ブリッジ53の両端部のうち一方の端部が、パーツ支持板内周面51aに接続され、他方の端部がパーツ支持板内周面51aに接続されなくてもよい。ブリッジ53の両端部は、パーツ支持板内周面51aと他のブリッジ53とに接続されてもよい。ブリッジ53のZ軸に沿った厚さは、パーツ支持板リング51のZ軸に沿った厚さと同じであるが、これに限定されない。ブリッジ53のZ軸に沿った厚さは、パーツ支持板リング51のZ軸に沿った厚さよりも厚くてもよいし、薄くてもよい。ブリッジ53は、パーツ支持板リング51と一体で構成される。ブリッジ53は、支持部材の一例に対応する。
【0059】
複数のブリッジ53は、第1ブリッジ53a、第2ブリッジ53b、第3ブリッジ53c、第4ブリッジ53d、及び第5ブリッジ53eを含む。ブリッジ53の数は、5個に限定されない。ブリッジ53の数は、1個から4個のいずれかでもよいし、6個以上でもよい。ブリッジ53は、機能パーツ60が配置される位置に対応して配置される。
【0060】
第1ブリッジ53a、第3ブリッジ53c、及び第5ブリッジ53eの両端部は、パーツ支持板内周面51aに支持される。第1ブリッジ53aは、円弧部を含んで構成される。第3ブリッジ53cは、V形状に構成される。第3ブリッジ53cには、挿通孔が設けられる。挿通孔は、秒針軸7aを挿通する。第5ブリッジ53eには、取付孔59が設けられる。取付孔59には、機能パーツ60が取り付けられる。
【0061】
第2ブリッジ53b、及び第4ブリッジ53dの両端部は、パーツ支持板内周面51aと、他のブリッジ53とに接続される。第2ブリッジ53bの両端部は、パーツ支持板内周面51aと第1ブリッジ53aとに接続される。第2ブリッジ53bは、リング部を有して構成される。リング部は、パーツ支持板50の中央に配置される。リング部は、時針軸3aを挿通する。第4ブリッジ53dは、パーツ支持板リング51と第3ブリッジ53cとに接続される。第4ブリッジ53dは、円弧部を含んで構成される。
【0062】
ブリッジ53のブリッジ幅Wbは、適宜設定可能である。図6に示すように、第2ブリッジ53bのブリッジ幅Wbは、第5ブリッジ53eのブリッジ幅Wbよりも狭い。各ブリッジ53のブリッジ幅Wbが異なることによって、文字板10のデザインバリエーションが向上する。各ブリッジ53のブリッジ幅Wbは、一定に設定されてもよい。ブリッジ幅Wbは、支持部材の幅の一例に対応する。
【0063】
補助部材55は、両端部をブリッジ53に接続される。補助部材55は、ブリッジ53を修飾する。補助部材55は、ブリッジ53を補強してもよい。複数の補助部材55は、第1補助部材55a、及び第2補助部材55bを含む。第1補助部材55aは、第3ブリッジ53cに接続される。第2補助部材55bは、第3ブリッジ53c、及び第4ブリッジ53dに接続される。第1補助部材55a、及び第2補助部材55bは、設けられてもよいし、設けられなくてもよい。第1補助部材55a、及び第2補助部材55bと異なる補助部材55が設けられてもよい。補助部材55は、ブリッジ53と一体に構成される。
【0064】
パーツ支持板開口57は、ブリッジ53によって複数の領域に分割される。パーツ支持板開口57は、第1パーツ支持板開口領域57a、及び第2パーツ支持板開口領域57bを含む複数の領域に分割される。第1パーツ支持板開口領域57a、及び第2パーツ支持板開口領域57bは、パーツ支持板開口57の一部である。パーツ支持板開口57は、支持板開口の一例に対応する。
【0065】
第1パーツ支持板開口領域57aは、ムーブメント開口29に対して+Z方向の位置に設けられる。第1パーツ支持板開口領域57aは、テンプ21の一部、及びがんぎ車23の一部に対して+Z方向の位置に設けられる。第1パーツ支持板開口領域57aは、画像表示板35の+Z方向の位置に設けられる。第2パーツ支持板開口領域57bは、ムーブメントカバー27の+Z方向の位置に設けられる。
【0066】
図7は、文字板10の概略構成を示している。図7は、文字板10を+Z方向から見た図である。図7は、時計1に搭載される姿勢の文字板10を示している。図7は、装飾文字板30と、パーツ支持板50と、複数の機能パーツ60と、を示している。
【0067】
文字板10は、装飾文字板30と、装飾文字板30上に配置されるパーツ支持板50と、を有する。装飾文字板30とパーツ支持板50は、図示しない係合機構によって取り付けられる。係合機構は、一例として、係合部材と被係合部とで構成される。係合部材は、装飾文字板30、及びパーツ支持板50の一方に設けられる。被係合部は、装飾文字板30、及びパーツ支持板50の他方に設けられる。係合部材が被係合部に係合されることによって、パーツ支持板50は、装飾文字板30に接合される。文字板10は、装飾文字板30の一部を+Z方向から視認可能に構成される。装飾文字板30とパーツ支持板50とが視認可能に配置されることによって、文字板10の奥行き感が向上する。
【0068】
パーツ支持板50上には、複数の機能パーツ60が配置される。機能パーツ60は、パーツ支持板50とは別体で構成される。機能パーツ60は、パーツ支持板50に支持される。機能パーツ60は、パーツ支持板50に図示しない取付機構によって取り付けられる。取付機構は、一例として、取付突起と穴部で構成される。取付突起は、機能パーツ60、及びパーツ支持板50の一方に設けられる。穴部は、機能パーツ60、及びパーツ支持板50の他方に設けられる。取付突起が穴部に取り付けられることによって、機能パーツ60は、パーツ支持板50に接合される。機能パーツ60は、接着剤等によってパーツ支持板50に接合されてもよい。
【0069】
図7に示す機能パーツ60は、複数のアワーマーク60aと、パワーリザーブマーク60bと、サブダイヤルマーク60cと、装飾リング60dと、数字マーク60eと、を含む。機能パーツ60は、アワーマーク60a、パワーリザーブマーク60b、サブダイヤルマーク60c、装飾リング60d、及び数字マーク60eに限定されない。
【0070】
アワーマーク60aは、時や分を表すインデックスである。複数のアワーマーク60aが、パーツ支持板50に支持される。アワーマーク60aは、パーツ支持板50のパーツ支持板開口57に突出して支持される。アワーマーク60aは、ブリッジ53に支持されてもよい。
【0071】
パワーリザーブマーク60bは、時計1の駆動時間残量に係るインジケーターである。パワーリザーブマーク60bは、12時位置で第1ブリッジ53aに支持される。パワーリザーブマーク60bは、12時位置に配置される。
【0072】
サブダイヤルマーク60cは、秒針7に係る秒目盛を表示する。サブダイヤルマーク60cは、6時位置で第3ブリッジ53cに支持される。サブダイヤルマーク60cは、6時位置に配置される。サブダイヤルマーク60cは、サブダイヤルリングの一例に対応する。サブダイヤルマーク60cは、セコンドダイヤルリングの一例に対応する。第3ブリッジ53cは、支持部材の一例に対応する。
【0073】
サブダイヤルマーク60cは、リング状に形成される。サブダイヤルマーク60cには、視認部61が設けられる。視認部61は、サブダイヤルマーク60cの一部を切り欠いて構成される。視認部61は、がんぎ車23の+Z方向の位置に設けられる。視認部61は、がんぎ車23の+Z方向でがんぎ車23と重なる上方位置に設けられる。視認部61は、切欠き部の一例に対応する。上方位置は、重なり位置の一例に対応する。視認部61が設けられる位置は、がんぎ車23の+Z方向に限定されない。がんぎ車23と異なる視認可能な時計内装部品がサブダイヤルマーク60cの-Z方向に位置するとき、視認部61は、時計内装部品の+Z方向の位置に設けられてもよい。
【0074】
サブダイヤルマーク60cは、6時位置で第3ブリッジ53cに支持されるが、この構成に限定されない。サブダイヤルマーク60cは、第3ブリッジ53c、及び第4ブリッジ53dに支持されることが好ましい。サブダイヤルマーク60cには、視認部61が設けられる。サブダイヤルマーク60cが、第3ブリッジ53c、及び第4ブリッジ53dに支持されることによって、視認部61が設けられることによって生じるサブダイヤルマーク60cの撓みが生じ難くなる。サブダイヤルマーク60cは、第2ブリッジ53b、及び第3ブリッジ53cに支持されてもよい。サブダイヤルマーク60cは、第2ブリッジ53b、第3ブリッジ53c、及び第4ブリッジ53dに支持されることがさらに好ましい。サブダイヤルマーク60cは、3つ以上のブリッジ53に支持されることによって、視認部61に起因する撓みがより生じ難くなる。第2ブリッジ53b、もしくは第4ブリッジ53dは、第2支持部材の一例に対応する。
【0075】
装飾リング60dは、受け石25を示す部材である。装飾リング60dは、9時位置で第5ブリッジ53eに支持される。装飾リング60dは、9時位置に配置される。装飾リング60dは、第5ブリッジ53eの取付孔59に取り付けられる。装飾リング60dの内周は、空孔であり、-Z方向を視認可能に構成される。ユーザーは、装飾リング60dの空孔を通して、受け石25を視認することができる。装飾リング60dは、第3パーツの一例に対応する。装飾リング60dは、装飾パーツの一例に対応する。第5ブリッジ53eは、第3支持部材の一例に対応する。
【0076】
数字マーク60eは、時や分を表すインデックスである。数字マーク60eは、アワーマーク60aの1種である。数字マーク60eは、12時を示すインデックスである。数字マーク60eは、パーツ支持板50に支持される。数字マーク60eは、パーツ支持板50のパーツ支持板開口57に突出して支持される。数字マーク60eは、ブリッジ53に支持されてもよい。
【0077】
がんぎ車23の直径は、アワーマーク60aの長手方向の長さ、及び数字マーク60eの長手方向の長さよりもが大きい。一方、がんぎ車23の体積は、アワーマーク60aの体積、及び数字マーク60eの体積よりも小さい。このような関係にあることによって、アワーマーク60a及び数字マーク60eは、がんぎ車23よりも視認易くなり、実用性が高くなると同時に、がんぎ車23も確実に視認することができる。結果、がんぎ車23の動作確認が容易になる。
【0078】
図7に示すように、文字板10が+Z方向から視認されたとき、ユーザーは、梁部材33とブリッジ53とを視認することができる。梁部材33は、+Z方向に配置されるブリッジ53と重なる位置、及び重ならない位置に設けられる。梁部材33は、ブリッジ53と重なる位置、及び重ならない位置に設けられることによって、文字板10のデザインバリエーションは向上する。
【0079】
図7は、文字板10の部分領域PAを示している。部分領域PAでは、第4ブリッジ53dと第5梁部材33eとが、Z軸に沿って重なる位置に配置される。第5梁部材33eの梁部材幅Waは、第4ブリッジ53dのブリッジ幅Wbよりも広い。第5梁部材33eが、第4ブリッジ53dの-Z方向に視認可能に配置されることによって、第4ブリッジ53dの存在感が強調される。
【0080】
ブリッジ53のブリッジ幅Wbは、梁部材33の梁部材幅Waよりも広くてもよい。ユーザーが、+Z方向から文字板10を視認したとき、梁部材33がブリッジ53によって隠される構成が設定可能となる。ブリッジ53のブリッジ幅Wbが、梁部材33の梁部材幅Waよりも広いことによって、文字板10の立体感が向上する。
【0081】
装飾文字板30とパーツ支持板50とが、Z軸に沿って重なると、文字板10には、文字板開口11が形成される。文字板開口11は、文字板10を貫通する開口部である。文字板開口11は、装飾文字板開口37とパーツ支持板開口57とがZ軸に沿って重なる領域である。文字板開口11は、Z軸に沿って、梁部材33、及びブリッジ53が配置されていない領域である。梁部材33、及びブリッジ53は、文字板開口11と異なる位置に設けられる。文字板開口11が形成されることによって、ムーブメント20、もしくはムーブメント20の内部が視認可能となる。ユーザーは、+Z方向から時計1を見たとき、文字板開口11の-Z方向に位置するムーブメント開口29、もしくはムーブメントカバー27を視認することができる。ユーザーは、文字板開口11の-Z方向に位置するテンプ21、がんぎ車23、受け石25等の時計内装部品を視認することができる。
【0082】
文字板開口11は、複数の領域に分割して形成される。図7は、一例として、第1文字板開口領域11a、及び第2文字板開口領域11bを含む複数の文字板開口11を示している。
【0083】
第1文字板開口領域11aは、ムーブメント開口29の+Z方向の位置に設けられる。ムーブメント開口29の一部は、第1文字板開口領域11aの-Z方向の位置に位置する。第1文字板開口領域11aは、時計1の9時位置を含む範囲に設けられる。第1文字板開口領域11aは、ムーブメント開口29内に配置されるテンプ21の一部、及びがんぎ車23の一部の+Z方向の位置に設けられる。第1文字板開口領域11aは、がんぎ車23の上方位置を含む。ユーザーは、第1文字板開口領域11aを通して、+Z方向からテンプ21の一部、がんぎ車23の一部を視認することができる。第1文字板開口領域11aは、装飾リング60dの-Z方向の位置に設けられる。ユーザーは、装飾リング60dの空孔、及び第1文字板開口領域11aを通して、受け石25を視認することができる。
【0084】
第2文字板開口領域11bは、ムーブメントカバー27の+Z方向の位置に設けられる。ユーザーは、第2文字板開口領域11bを通して、ムーブメントカバー27を視認することができる。ユーザーは、文字板開口11を通して、ムーブメント20の内部に配置された時計内装部品、及びムーブメントカバー27を視認することができる。ユーザーは、文字板10に立体感を感じることができる。
【0085】
装飾文字板30の画像表示板35は、第1パーツ支持板開口領域57aの-Z方向の位置に配置される。画像表示板35は、第1パーツ支持板開口領域57aを通して、ユーザーに視認される。画像表示板35は、文字板10の3時位置に配置される。3時位置は、仮想垂直線VLの+X方向で、時針軸3aを通り仮想垂直線VLに直交する仮想水平線に対して+45°傾いた仮想線、及び仮想水平線に対して-45°傾いた仮想線で囲まれる領域である。
【0086】
時計1は、時計内装部品であるがんぎ車23を有するムーブメント20と、ムーブメント20によって駆動する所定の時針長さの時針3と、ムーブメント20によって駆動する、時針長さより秒針長さの秒針7と、ムーブメント20上に設けられるパーツ支持板50、及び秒針7に係る目盛を表示するサブダイヤルマーク60cを有する文字板10と、を備える。パーツ支持板50は、パーツ支持板開口57が設けられるパーツ支持板リング51と、パーツ支持板リング51のパーツ支持板内周面51aに接続するブリッジ53と、を有する。がんぎ車23は、パーツ支持板開口57の-Z方向に配置される。サブダイヤルマーク60cは、ブリッジ53上に配置される。サブダイヤルマーク60cは、がんぎ車23の+Z方向でがんぎ車23と重なる上方位置に視認部61を有する。
パーツ支持板開口57が設けられるパーツ支持板50とサブダイヤルマーク60cは、別体で構成される。サブダイヤルマーク60cが、パーツ支持板開口57によって過剰に切り欠かれる可能性が低減する。サブダイヤルマーク60cに視認部61が設けられることによって、ユーザーは時計内装部品であるがんぎ車23等の脱進機を視認し易くなる。また、サブダイヤルマーク60cはパーツ支持板50上に設けられることによって、ユーザーはサブダイヤルマーク60cの目盛を見易くなる。ユーザーは、がんぎ車23とサブダイヤルマーク60cに表示される目盛とを視認し易くなる。
【0087】
ムーブメント20は、パーツ支持板開口57の-Z方向に配置されるテンプ21、及び秒針7を支持する秒針軸7aを有する。サブダイヤルマーク60cは、6時位置に配置される。テンプ21は、9時位置に配置される。がんぎ車23は、+Z方向からの平面視で、秒針軸7aとテンプ21との間に配置される。
テンプ21、サブダイヤルマーク60c、及びがんぎ車23が、それぞれの位置に配置されることによって、ユーザーは、テンプ21、サブダイヤルマーク60c、及びがんぎ車23を視認し易くなる。
【0088】
文字板10は、パーツ支持板50とムーブメント20との間に装飾文字板30を有する。装飾文字板30は、装飾文字板開口37が設けられる装飾文字板リング31と、装飾文字板リング31の装飾文字板内周面31aに接続する梁部材33と、を有する。梁部材33は、がんぎ車23の上方位置と異なる位置に配置される。
装飾文字板30が設けられることによって、文字板10のデザインが複雑になり、デザイン性が向上する。梁部材33が、がんぎ車23の上方位置と異なる位置に配置されることによって、ユーザーは、がんぎ車23を視認することができる。
【0089】
図1に示す時計1は、秒針7及びサブダイヤルマーク60cを6時位置に配置する構成であるが、この構成に限定されない。時計1の6時位置にパワーリザーブ針9、及びパワーリザーブマーク60bが、配置されてもよい。パワーリザーブ針9、及びパワーリザーブマーク60bが、6時位置に配置されるとき、パワーリザーブ針9、及びパワーリザーブマーク60bは、それぞれ、第2指針、及びサブダイヤルリングの一例に対応する。パワーリザーブマーク60bには、がんぎ車23等の時計内装部品の上方位置に視認部61が設けられる。パワーリザーブマーク60bは、6時位置に配置されるとき、第3ブリッジ53cに支持される。
【0090】
秒針7の代わりに、図示しない日指示針が設けられてもよい。日指示針は、日付を示す指針である。日指示針の長さは、時針長さよりも短い。日指示針が6時位置に設けられるとき、日指示針に係る日付目盛マークがサブダイヤルマーク60cの代わりに配置される。日付目盛マークは、日目盛を表示する。日付目盛マークには、がんぎ車23の上方位置に視認部61が設けられる。日付目盛マークは、第3ブリッジ53cに支持される。日指示針は、第2指針の一例に対応する。日付目盛マークは、サブダイヤルリングの一例に対応する。
【0091】
秒針7の代わりに、クロノグラフ秒針、もしくはクロノグラフ分針が設けられてもよい。クロノグラフ秒針、及びクロノグラフ分針は、所定の位置に待機する指針である。クロノグラフ秒針、及びクロノグラフ分針は、計測が指示されたときに、駆動する。クロノグラフ秒針が設けられたとき、クロノグラフ秒針に係るクロノグラフ秒針目盛マークがサブダイヤルマーク60cの代わりに配置される。クロノグラフ分針が設けられたとき、クロノグラフ分針に係るクロノグラフ分針目盛マークがサブダイヤルマーク60cの代わりに配置される。クロノグラフ秒針目盛マークは、秒目盛を表示する。クロノグラフ分針目盛マークは、分目盛を表示する。クロノグラフ秒針目盛マーク、及びクロノグラフ分針目盛マークには、がんぎ車23の上方位置に視認部61が設けられる。クロノグラフ秒針目盛マークは、第3ブリッジ53cに支持される。クロノグラフ分針目盛マークは、第3ブリッジ53cに支持される。クロノグラフ秒針、及びクロノグラフ分針は、第2指針の一例に対応する。クロノグラフ秒針目盛マーク、及びクロノグラフ分針目盛マークは、サブダイヤルリングの一例に対応する。
【0092】
秒針7の代わりに、図示しない曜日指示針が設けられてもよい。曜日指示針は、曜日を示す指針である。曜日指示針の長さは、時針長さよりも短い。曜日指示針が6時位置に設けられるとき、曜日指示針に係る曜日目盛マークがサブダイヤルマーク60cの代わりに配置される。曜日目盛マークは、曜日に係る目盛を表示する。曜日目盛マークには、がんぎ車23の上方位置に視認部61が設けられる。曜日目盛マークは、第3ブリッジ53cに支持される。曜日指示針は、第2指針の一例に対応する。曜日目盛マークは、サブダイヤルリングの一例に対応する。
【0093】
6時位置に配置される指針は、秒針7であり、サブダイヤルマーク60cは、秒目盛を表示する機能パーツ60であることが好ましい。
秒針7は、がんぎ車23上に停止する時間が少ないため、がんぎ車23の視認性を低下させ難い。
【符号の説明】
【0094】
1…時計、2…外装ケース、3…時針、3a…時針軸、3b…時針開口、5…分針、5b…分針開口、7…秒針、7a…秒針軸、9…パワーリザーブ針、9a…パワーリザーブ針軸、10…文字板、11…文字板開口、11a…第1文字板開口領域、11b…第2文字板開口領域、13…リューズ、20…ムーブメント、21…テンプ、23…がんぎ車、25…受け石、27…ムーブメントカバー、29…ムーブメント開口、29a…第1ムーブメント開口領域、29b…第2ムーブメント開口領域、30…装飾文字板、31…装飾文字板リング、31a…装飾文字板内周面、33…梁部材、33a…第1梁部材、33b…第2梁部材、33c…第3梁部材、33d…第4梁部材、33e…第5梁部材、33f…第6梁部材、33g…第7梁部材、35…画像表示板、35a…表示画像、35b…スリット、37…装飾文字板開口、37a…第1装飾文字板開口領域、37b…第2装飾文字板開口領域、50…パーツ支持板、51…パーツ支持板リング、51a…パーツ支持板内周面、53…ブリッジ、53a…第1ブリッジ、53b…第2ブリッジ、53c…第3ブリッジ、53d…第4ブリッジ、53e…第5ブリッジ、55…補助部材、55a…第1補助部材、55b…第2補助部材、57…パーツ支持板開口、57a…第1パーツ支持板開口領域、57b…第2パーツ支持板開口領域、59…取付孔、60…機能パーツ、60a…アワーマーク、60b…パワーリザーブマーク、60c…サブダイヤルマーク、60d…装飾リング、60e…数字マーク、61…視認部、100…光反射層、110…保持部、111…リム部、113…弾性部、114…歯部、115…支持軸、120…基材、120A…第1面、120B…第2面、122…第1酸化シリコン層、124…シリコン層、126…第2酸化シリコン層、PA…部分領域、VL…仮想垂直線、Wa…梁部材幅、Wb…ブリッジ幅。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7