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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062076
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】電流センサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/20 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
G01R15/20 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169841
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 大佐
【テーマコード(参考)】
2G025
【Fターム(参考)】
2G025AA15
2G025AB01
2G025AC01
(57)【要約】
【課題】3相交流の電流が流れる3本のバスバーの各々を流れる電流値を、磁気シールドを用いない簡易な構成で測定する。
【解決手段】第1バスバー111に電流が流れた際に第1バスバー111の周囲に生ずる第1磁界B1が、第1磁気検出素子121および第2磁気検出素子122の各々の感度軸121a,122aに対して直交するように、第1磁気検出素子121および第2磁気検出素子122の各々が配置されている。第2バスバー112を流れる電流値をI2、第3バスバー113を流れる電流値をI3、第1磁気検出素子121の出力値をV1、第2磁気検出素子122の出力値をV2とすると、第1処理回路は、V1=aI2+bI3およびV2=cI2+dI3の2元1次方程式から、I2∝V1-bV2/d、および、I3∝V1-aV2/cの関係をそれぞれ満たすI2およびI3を算出可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相交流の電流が流れる、第1バスバー、第2バスバーおよび第3バスバーからなる3本のバスバーと、
前記3本のバスバーに対して間隔をあけて配置された、第1磁気検出素子および第2磁気検出素子と、
前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々と電気的に接続され、前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々からの検出信号を処理する第1処理回路とを備え、
前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々の感度軸同士は平行であり、
前記第1バスバーに電流が流れた際に前記第1バスバーの周囲に生ずる第1磁界が、前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々の感度軸に対して直交するように、前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々が配置されており、
前記第2バスバーを流れる電流値をI2、前記第3バスバーを流れる電流値をI3、前記第1磁気検出素子の出力値をV1、前記第2磁気検出素子の出力値をV2とすると、前記第1処理回路は、V1=aI2+bI3およびV2=cI2+dI3の2元1次方程式から、I2∝V1-bV2/d、および、I3∝V1-aV2/cの関係をそれぞれ満たすI2およびI3を算出可能である、電流センサ。
【請求項2】
前記3本のバスバーの中で、前記第1バスバーが、前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子に対して最も離れて位置している、請求項1に記載の電流センサ。
【請求項3】
前記第1バスバー、前記第2バスバーおよび前記第3バスバーは、第1方向に互いに間隔をあけて並行に配置されている、請求項1または請求項2に記載の電流センサ。
【請求項4】
前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子は、前記第1方向および前記第1方向と直交する第2方向に延在しつつ前記3本のバスバーと直交する仮想平面に沿って、配置されている、請求項3に記載の電流センサ。
【請求項5】
前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子は、前記第1方向および前記第2方向の両方に対して交差する方向に並んで配置されている、請求項4に記載の電流センサ。
【請求項6】
3相交流の電流が流れる、第1バスバー、第2バスバーおよび第3バスバーからなる3本のバスバーと、
前記3本のバスバーに対して間隔をあけて配置された、第1磁気検出素子、第2磁気検出素子、第3磁気検出素子および第4磁気検出素子と、
前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々と電気的に接続され、前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々からの検出信号を処理する第1処理回路と、
前記第3磁気検出素子および前記第4磁気検出素子の各々と電気的に接続され、前記第3磁気検出素子および前記第4磁気検出素子の各々からの検出信号を処理する第2処理回路とを備え、
前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々の感度軸同士は平行であり、
前記第3磁気検出素子および前記第4磁気検出素子の各々の感度軸同士は平行であり、
前記第1バスバーに電流が流れた際に前記第1バスバーの周囲に生ずる第1磁界が、前記第1磁気検出素子、前記第2磁気検出素子、前記第3磁気検出素子および前記第4磁気検出素子の各々の感度軸に対して直交するように、前記第1磁気検出素子、前記第2磁気検出素子、前記第3磁気検出素子および前記第4磁気検出素子の各々が配置されており、
前記3本のバスバーの中で、前記第2バスバーが、前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子に対して最も近くに位置しており、
前記3本のバスバーの中で、前記第3バスバーが、前記第3磁気検出素子および前記第4磁気検出素子に対して最も近くに位置しており、
前記第2バスバーを流れる電流値をI2、前記第3バスバーを流れる電流値をI3、前記第1磁気検出素子の出力値をV1、前記第2磁気検出素子の出力値をV2、前記第3磁気検出素子の出力値をV3、前記第4磁気検出素子の出力値をV4とすると、前記第1処理回路は、V1=aI2+bI3およびV2=cI2+dI3の2元1次方程式から、I2∝V1-bV2/dの関係を満たすI2を算出可能であり、前記第2処理回路は、V3=eI2+fI3およびV4=gI2+hI3の2元1次方程式から、I3∝V1-eV2/gの関係を満たすI3を算出可能である、電流センサ。
【請求項7】
3相交流の電流が流れる、第1バスバー、第2バスバーおよび第3バスバーからなる3本のバスバーと、
前記3本のバスバーに対して間隔をあけて配置された、第1磁気検出素子、第2磁気検出素子、第5磁気検出素子および第6磁気検出素子と、
前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々と電気的に接続され、前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々からの検出信号を処理する第1処理回路と、
前記第5磁気検出素子および前記第6磁気検出素子の各々と電気的に接続され、前記第5磁気検出素子および前記第6磁気検出素子の各々からの検出信号を処理する第3処理回路とを備え、
前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々の感度軸同士は平行であり、
前記第5磁気検出素子および前記第6磁気検出素子の各々の感度軸同士は平行であり、
前記第1バスバーに電流が流れた際に前記第1バスバーの周囲に生ずる第1磁界が、前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々の感度軸に対して直交するように、前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々が配置されており、
前記第3バスバーに電流が流れた際に前記第3バスバーの周囲に生ずる第3磁界が、前記第5磁気検出素子および前記第6磁気検出素子の各々の感度軸に対して直交するように、前記第5磁気検出素子および前記第6磁気検出素子の各々が配置されており、
前記3本のバスバーの中で、前記第1バスバーが、前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子に対して最も離れて位置しており、
前記3本のバスバーの中で、前記第3バスバーが、前記第5磁気検出素子および前記第6磁気検出素子に対して最も離れて位置しており、
前記第1バスバーを流れる電流値をI1、前記第2バスバーを流れる電流値をI2、前記第3バスバーを流れる電流値をI3、前記第1磁気検出素子の出力値をV1、前記第2磁気検出素子の出力値をV2、前記第5磁気検出素子の出力値をV5、前記第6磁気検出素子の出力値をV6とすると、
前記第1処理回路は、V1=aI2+bI3およびV2=cI2+dI3の2元1次方程式から、I2∝V1-bV2/d、および、I3∝V1-aV2/cの関係をそれぞれ満たすI2およびI3を算出可能であり、
前記第3処理回路は、V5=rI1+sI2およびV6=tI1+uI2の2元1次方程式から、I1∝V5-rV6/tの関係を満たすI1を算出可能である、電流センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
電流検出装置の構成を開示した先行文献として、特開2013-113631号公報(特許文献1)がある。特許文献1に開示された電流検出装置は、導電体と、磁気検出素子と、磁気遮蔽体とを備える。磁気検出素子は、導電体の近傍の、導電体の幅方向の中央部に臨んで設置されている。磁気遮蔽体は、同一寸法を有する一対のものが、導電体の幅方向の両側縁を外側から挟むような状態で、導電体に対して対称に対向配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-113631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電流検出装置においては、隣接するバスバーからの磁界の影響を磁気シールドによって低減しており、構成が複雑である。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、3相交流の電流が流れる3本のバスバーの各々を流れる電流値を、磁気シールドを用いない簡易な構成で測定することができる、電流センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1局面に基づく電流センサは、3本のバスバーと、第1磁気検出素子および第2磁気検出素子と、第1処理回路とを備える。3本のバスバーは、3相交流の電流が流れる、第1バスバー、第2バスバーおよび第3バスバーからなる。第1磁気検出素子および第2磁気検出素子は、3本のバスバーに対して間隔をあけて配置されている。第1処理回路は、第1磁気検出素子および第2磁気検出素子の各々と電気的に接続され、第1磁気検出素子および第2磁気検出素子の各々からの検出信号を処理する。第1磁気検出素子および第2磁気検出素子の各々の感度軸同士は平行である。第1バスバーに電流が流れた際に第1バスバーの周囲に生ずる第1磁界が、第1磁気検出素子および第2磁気検出素子の各々の感度軸に対して直交するように、第1磁気検出素子および第2磁気検出素子の各々が配置されている。第2バスバーを流れる電流値をI2、第3バスバーを流れる電流値をI3、第1磁気検出素子の出力値をV1、第2磁気検出素子の出力値をV2とすると、第1処理回路は、V1=aI2+bI3およびV2=cI2+dI3の2元1次方程式から、I2∝V1-bV2/d、および、I3∝V1-aV2/cの関係をそれぞれ満たすI2およびI3を算出可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、3相交流の電流が流れる3本のバスバーの各々を流れる電流値を、磁気シールドを用いない簡易な構成で測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態1に係る電流センサの構成を示す断面図である。
図2】本発明の実施形態1に係る電流センサにおける、第1磁気検出素子および第2磁気検出素子と第1処理回路との回路構成を示す回路図である。
図3】電流センサのキャリブレーション時に係数a~dを求める方法を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態2に係る電流センサの構成を示す断面図である。
図5】本発明の実施形態3に係る電流センサの構成を示す断面図である。
図6】本発明の実施形態3に係る電流センサの実装構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態に係る電流センサについて図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0010】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る電流センサの構成を示す断面図である。図1に示すように、本発明の実施形態1に係る電流センサ100は、3本のバスバーと、第1磁気検出素子121および第2磁気検出素子122と、後述する第1処理回路とを備える。
【0011】
3本のバスバーは、3相交流の電流が流れる、第1バスバー111、第2バスバー112および第3バスバー113からなる。第1バスバー111、第2バスバー112および第3バスバー113は、3相3線式のバスバーである。原則的には、3本のバスバーには、振幅が等しく位相が120°ずつずれた交流電流が印加される。たとえば、第1バスバー111にU相の交流電流I1が流れ、第2バスバー112にV相の交流電流I2が流れ、第3バスバー113にW相の交流電流I3が流れる。その結果、第1バスバー111の周囲に第1磁界B1が生じ、第2バスバー112の周囲に第2磁界B2が生じ、第3バスバー113の周囲に第3磁界B3が生じる。
【0012】
本実施形態においては、第1バスバー111、第2バスバー112および第3バスバー113は、第1方向(X軸方向)に互いに間隔をあけて並行に配置されている。ただし、第1バスバー111、第2バスバー112および第3バスバー113の配置は、これに限られない。
【0013】
第1磁気検出素子121および第2磁気検出素子122は、3本のバスバーに対して間隔をあけて配置されている。本実施形態においては、3本のバスバーの中で、第1バスバー111が、第1磁気検出素子121および第2磁気検出素子122に対して最も離れて位置している。
【0014】
第1磁気検出素子121および第2磁気検出素子122は、第1方向(X軸方向)および、第1方向(X軸方向)と直交する第2方向(Z軸方向)に延在しつつ3本のバスバーと直交する仮想平面(XZ平面)に沿って、配置されている。さらに、第1磁気検出素子121および第2磁気検出素子122は、第1方向(X軸方向)および第2方向(Z軸方向)の両方に対して交差する方向に並んで配置されている。
【0015】
第1磁気検出素子121は、感度軸121aを有している。第2磁気検出素子122は、感度軸122aを有している。第1磁気検出素子121の感度軸121aと、第2磁気検出素子122の感度軸122aとは、互いに平行である。
【0016】
第1磁気検出素子121および第2磁気検出素子122の各々は、感度軸方向の一方を向いた磁界成分を検出した場合に正の値で出力し、感度軸方向の他方を向いた磁界成分を検出した場合に負の値で出力する、奇関数入出力特性を有している。
【0017】
第1磁気検出素子121および第2磁気検出素子122の各々は、第1バスバー111に交流電流I1が流れた際に第1バスバー111の周囲に生ずる第1磁界B1が、第1磁気検出素子121の感度軸121aおよび第2磁気検出素子122の感度軸122aの各々に対して直交するように、配置されている。
【0018】
この配置により、第1磁気検出素子121および第2磁気検出素子122の各々は、第1磁界B1に対する出力が0となる。すなわち、第1バスバー111を流れる電流I1によって生ずる第1磁界B1の第1磁気検出素子121および第2磁気検出素子122に対する影響がキャンセルされる。
【0019】
図2は、本発明の実施形態1に係る電流センサにおける、第1磁気検出素子および第2磁気検出素子と第1処理回路との回路構成を示す回路図である。図2に示すように、第1磁気検出素子121および第2磁気検出素子122の各々は、4つのTMR(Tunnel Magneto Resistance)素子からなるホイートストンブリッジ型のブリッジ回路を有する。なお、第1磁気検出素子121および第2磁気検出素子122の各々が、TMR素子に代えて、GMR(Giant Magneto Resistance)素子若しくはAMR(Anisotropic Magneto Resistance)素子などの磁気抵抗素子からなるブリッジ回路を有していてもよい。また、第1磁気検出素子121および第2磁気検出素子122の各々が、2つの磁気抵抗素子からなるハーフブリッジ回路を有していてもよい。
【0020】
本発明の実施形態1に係る電流センサ100は、第1処理回路131をさらに備える。第1処理回路131は、第1磁気検出素子121および第2磁気検出素子122の各々と電気的に接続され、第1磁気検出素子121および第2磁気検出素子122の各々からの検出信号を処理する。
【0021】
具体的には、第1処理回路131は、第1オペアンプ131a、第2オペアンプ131bおよび第3オペアンプ131cを含む。第1オペアンプ131aは、差動増幅器であり、第1磁気検出素子121および第3オペアンプ131cの各々と電気的に接続されている。第2オペアンプ131bは、差動増幅器であり、第2磁気検出素子122および第3オペアンプ131cの各々と電気的に接続されている。第3オペアンプ131cは、差動増幅器である。
【0022】
第2バスバー112を流れる電流値をI2、第3バスバー113を流れる電流値をI3、第1磁気検出素子121の出力値をV1、第2磁気検出素子122の出力値をV2とすると、第1処理回路131は、V1=aI2+bI3およびV2=cI2+dI3の2元1次方程式から、I2∝V1-bV2/d、および、I3∝V1-aV2/cの関係をそれぞれ満たすI2およびI3を算出可能である。
【0023】
具体的には、第1処理回路131は、V1=aI2+bI3およびV2=cI2+dI3の2元1次方程式を予め記憶しており、電流センサ100のキャリブレーション時に係数a~dを求めておくことにより、第2バスバー112を流れる電流値I2、および、第3バスバー113を流れる電流値I3の各々を算出することができる。
【0024】
図3は、電流センサのキャリブレーション時に係数a~dを求める方法を示すフローチャートである。
【0025】
図3に示すように、電流センサ100のキャリブレーションをする際、まず、第2バスバー112に電流値I2の電流を流す(工程S1)。このとき、第1バスバー111および第3バスバー113には、電流が流されていない。そのため、電流値I3=0となる。
【0026】
第1処理回路131は、V1=aI2+bI3およびV2=cI2+dI3の2元1次方程式においてI3を0に代入することにより、V1=aI2、および、V2=cI2の関係式から、a=V1/I2、および、c=V2/I2を算出して記憶する(工程S2)。
【0027】
次に、第3バスバー113に電流値I3の電流を流す(工程S3)。このとき、第1バスバー111および第2バスバー112には、電流が流されていない。そのため、電流値I2=0となる。
【0028】
第1処理回路131は、V1=aI2+bI3およびV2=cI2+dI3の2元1次方程式においてI2を0に代入することにより、V1=bI3、および、V2=dI3の関係式から、b=V1/I3、および、d=V2/I3を算出して記憶する(工程S4)。
【0029】
上記のように係数a~dを求めることにより、第1処理回路131は、3本のバスバーに3相交流の電流が流れた状態における第1磁気検出素子121の出力値V1および第2磁気検出素子122の出力値V2に基づいて、I2∝V1-bV2/dの関係を満たす第2バスバー112を流れる電流値I2を算出することができる。測定誤差の補正などがない場合は、第1処理回路131は、I2=(V1-bV2/d)/(a-bc/d)を満たす電流値I2を算出することができる。
【0030】
同様に、第1処理回路131は、3本のバスバーに3相交流の電流が流れた状態における第1磁気検出素子121の出力値V1および第2磁気検出素子122の出力値V2に基づいて、I3∝V1-aV2/cの関係を満たす第3バスバー113を流れる電流値I3を算出することができる。測定誤差の補正などがない場合は、第1処理回路131は、I3=(V1-aV2/c)/(b-ad/c)を満たす電流値I3を算出することができる。
【0031】
3相交流の電流においては、原則的に、I1+I2+I3=0の関係が満たされるため、第1処理回路131は、I1=-I2-I3の関係式から、第1バスバー111を流れる電流値I1を算出することができる。
【0032】
上記のように、本実施形態に係る電流センサ100においては、第1磁気検出素子121の出力値V1および第2磁気検出素子122の出力値V2に基づいて、3相交流の電流が流れる3本のバスバーの各々を流れる電流値を磁気シールドを用いない簡易な構成で測定することができる。
【0033】
本実施形態に係る電流センサ100は、カレントトランスではないコアレス電流センサであり、バスバー内蔵型の電流センサではないコンタクトレス電流センサであり、かつ、バスバー同士の間に磁気シールドを配置しないシールドレス電流センサである。そのため、電流センサ100の構成を簡易にして、小型化、軽量化しつつ簡易に組み立て可能である。
【0034】
本発明の実施形態1に係る電流センサ100においては、3本のバスバーの中で、第1バスバー111が、第1磁気検出素子121および第2磁気検出素子122に対して最も離れて位置している。これにより、第1磁気検出素子121および第2磁気検出素子122による第2磁界B2および第3磁界B3の検出感度を比較的高くすることができるため、第2バスバー112を流れる電流値I2および第3バスバー113を流れる電流値I3の各々の測定精度を比較的高くすることができる。
【0035】
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2に係る電流センサについて図を参照して説明する。本発明の実施形態2に係る電流センサは、第3磁気検出素子および第4磁気検出素子をさらに備える点が本発明の実施形態1に係る電流センサと異なるため、本発明の実施形態1に係る電流センサと同様である構成については説明を繰り返さない。
【0036】
図4は、本発明の実施形態2に係る電流センサの構成を示す断面図である。図4に示すように、本発明の実施形態2に係る電流センサ200は、3本のバスバーと、第1磁気検出素子121、第2磁気検出素子122、第3磁気検出素子123および第4磁気検出素子124と、第1処理回路131および第2処理回路とを備える。
【0037】
第1磁気検出素子121、第2磁気検出素子122、第3磁気検出素子123および第4磁気検出素子124は、3本のバスバーに対して間隔をあけて配置されている。本実施形態においては、3本のバスバーの中で、第2バスバー112が、第1磁気検出素子121および第2磁気検出素子122に対して最も近くに位置している。3本のバスバーの中で、第3バスバー113が、第3磁気検出素子123および第4磁気検出素子124に対して最も近くに位置している。
【0038】
第3磁気検出素子123および第4磁気検出素子124は、第1方向(X軸方向)および、第1方向(X軸方向)と直交する第2方向(Z軸方向)に延在しつつ3本のバスバーと直交する仮想平面(XZ平面)に沿って、配置されている。さらに、第3磁気検出素子123および第4磁気検出素子124は、第1方向(X軸方向)および第2方向(Z軸方向)の両方に対して交差する方向に並んで配置されている。
【0039】
第3磁気検出素子123は、感度軸123aを有している。第4磁気検出素子124は、感度軸124aを有している。第3磁気検出素子123の感度軸123aと、第4磁気検出素子124の感度軸124aとは、互いに平行である。
【0040】
第3磁気検出素子123および第4磁気検出素子124の各々は、感度軸方向の一方を向いた磁界成分を検出した場合に正の値で出力し、感度軸方向の他方を向いた磁界成分を検出した場合に負の値で出力する、奇関数入出力特性を有している。
【0041】
第3磁気検出素子123および第4磁気検出素子124の各々は、第1バスバー111に交流電流I1が流れた際に第1バスバー111の周囲に生ずる第1磁界B1が、第3磁気検出素子123の感度軸123aおよび第4磁気検出素子124の感度軸124aの各々に対して直交するように、配置されている。
【0042】
この配置により、第3磁気検出素子123および第4磁気検出素子124の各々は、第1磁界B1に対する出力が0となる。すなわち、第1バスバー111を流れる電流I1によって生ずる第1磁界B1の第3磁気検出素子123および第4磁気検出素子124に対する影響がキャンセルされる。
【0043】
第3磁気検出素子123および第4磁気検出素子124の各々は、第1磁気検出素子121および第2磁気検出素子122の各々と同様の構成を有している。
【0044】
第2処理回路は、第3磁気検出素子123および第4磁気検出素子124の各々と電気的に接続され、第3磁気検出素子123および第4磁気検出素子124の各々からの検出信号を処理する。第2処理回路は、第1処理回路131と同様の構成を有している。
【0045】
第2バスバー112を流れる電流値をI2、第3バスバー113を流れる電流値をI3、第1磁気検出素子121の出力値をV1、第2磁気検出素子122の出力値をV2、第3磁気検出素子123の出力値をV3、第4磁気検出素子124の出力値をV4とすると、第1処理回路131は、V1=aI2+bI3およびV2=cI2+dI3の2元1次方程式から、I2∝V1-bV2/dの関係を満たすI2を算出可能であり、第2処理回路は、V3=eI2+fI3およびV4=gI2+hI3の2元1次方程式から、I3∝V1-eV2/gの関係を満たすI3を算出可能である。
【0046】
具体的には、第2処理回路は、V3=eI2+fI3およびV4=gI2+hI3の2元1次方程式を予め記憶しており、電流センサ200のキャリブレーション時に係数e~hを求めておくことにより、第3バスバー113を流れる電流値I3を算出することができる。
【0047】
電流センサ200のキャリブレーション時に係数e~hを求める方法は、電流センサ100のキャリブレーション時に係数a~dを求める方法と同様である。
【0048】
本発明の実施形態2に係る電流センサ200においては、第2バスバー112の近くに配置された第1磁気検出素子121および第2磁気検出素子122の各出力値に基づいて第2バスバー112を流れる電流値I2を算出し、第3バスバー113の近くに配置された第3磁気検出素子123および第4磁気検出素子124の各出力値に基づいて第3バスバー113を流れる電流値I3を算出するため、実施形態1に係る電流センサ100に比較して、第2バスバー112を流れる電流値I2および第3バスバー113を流れる電流値I3の各々の測定精度を高くすることができる。ひいては、I1=-I2-I3の関係式から算出される第1バスバー111を流れる電流値I1の測定精度も、実施形態1に係る電流センサ100に比較して高くすることができる。
【0049】
(実施形態3)
以下、本発明の実施形態3に係る電流センサについて図を参照して説明する。本発明の実施形態3に係る電流センサは、第5磁気検出素子および第6磁気検出素子をさらに備える点が本発明の実施形態2に係る電流センサと異なるため、本発明の実施形態2に係る電流センサと同様である構成については説明を繰り返さない。
【0050】
図5は、本発明の実施形態3に係る電流センサの構成を示す断面図である。図6は、本発明の実施形態3に係る電流センサの実装構造を示す斜視図である。
【0051】
図5および図6に示すように、本発明の実施形態3に係る電流センサ300は、3本のバスバーと、第1磁気検出素子121、第2磁気検出素子122、第3磁気検出素子123、第4磁気検出素子124、第5磁気検出素子125および第6磁気検出素子126と、第1処理回路131、第2処理回路132および第3処理回路133とを備える。3本のバスバーは、第3方向(Y軸方向)に延在している。
【0052】
第1磁気検出素子121、第2磁気検出素子122および第1処理回路131は、第1チップ141に搭載されている。第3磁気検出素子123、第4磁気検出素子124および第2処理回路132は、第2チップ142に搭載されている。第5磁気検出素子125、第6磁気検出素子126および第3処理回路133は、第3チップ143に搭載されている。第1チップ141、第2チップ142および第3チップ143は、基板150に実装されている。基板150は、3本のバスバー上に配置されている。
【0053】
第1チップ141において、第1磁気検出素子121と第2磁気検出素子122とは、互いに間隔をあけて並んで配置されており、第1磁気検出素子121の感度軸121aと、第2磁気検出素子122の感度軸122aとは、同一方向を向いている。
【0054】
第2チップ142において、第3磁気検出素子123と第4磁気検出素子124とは、互いに間隔をあけて並んで配置されており、第3磁気検出素子123の感度軸123aと、第4磁気検出素子124の感度軸124aとは、同一方向を向いている。
【0055】
第3チップ143において、第5磁気検出素子125と第6磁気検出素子126とは、互いに間隔をあけて並んで配置されており、第5磁気検出素子125の感度軸125aと、第6磁気検出素子126の感度軸126aとは、同一方向を向いている。
【0056】
第1磁気検出素子121、第2磁気検出素子122、第3磁気検出素子123、第4磁気検出素子124、第5磁気検出素子125および第6磁気検出素子126は、3本のバスバーに対して間隔をあけて配置されている。本実施形態においては、3本のバスバーの中で、第1バスバー111が、第1磁気検出素子121および第2磁気検出素子122に対して最も離れて位置している。3本のバスバーの中で、第3バスバー113が、第5磁気検出素子125および第6磁気検出素子126に対して最も離れて位置している。
【0057】
3本のバスバーの中で、第2バスバー112が、第1磁気検出素子121および第2磁気検出素子122に対して最も近くに位置している。3本のバスバーの中で、第3バスバー113が、第3磁気検出素子123および第4磁気検出素子124に対して最も近くに位置している。3本のバスバーの中で、第1バスバー111が、第5磁気検出素子125および第6磁気検出素子126に対して最も近くに位置している。
【0058】
第5磁気検出素子125および第6磁気検出素子126は、第1方向(X軸方向)および、第1方向(X軸方向)と直交する第2方向(Z軸方向)に延在しつつ3本のバスバーと直交する仮想平面(XZ平面)に沿って、配置されている。さらに、第5磁気検出素子125および第6磁気検出素子126は、第1方向(X軸方向)および第2方向(Z軸方向)の両方に対して交差する方向に並んで配置されている。
【0059】
第5磁気検出素子125は、感度軸125aを有している。第6磁気検出素子126は、感度軸126aを有している。第5磁気検出素子125の感度軸125aと、第6磁気検出素子126の感度軸126aとは、互いに平行である。
【0060】
第5磁気検出素子125および第6磁気検出素子126の各々は、感度軸方向の一方を向いた磁界成分を検出した場合に正の値で出力し、感度軸方向の他方を向いた磁界成分を検出した場合に負の値で出力する、奇関数入出力特性を有している。
【0061】
第5磁気検出素子125および第6磁気検出素子126の各々は、第3バスバー113に交流電流I3が流れた際に第3バスバー113の周囲に生ずる第3磁界B3が、第5磁気検出素子125の感度軸125aおよび第6磁気検出素子126の感度軸126aの各々に対して直交するように、配置されている。
【0062】
この配置により、第5磁気検出素子125および第6磁気検出素子126の各々は、第3磁界B3に対する出力が0となる。すなわち、第3バスバー113を流れる電流I3によって生ずる第3磁界B3の第5磁気検出素子125および第6磁気検出素子126に対する影響がキャンセルされる。
【0063】
第5磁気検出素子125および第6磁気検出素子126の各々は、第1磁気検出素子121、第2磁気検出素子122、第3磁気検出素子123および第4磁気検出素子124の各々と同様の構成を有している。
【0064】
第3処理回路133は、第5磁気検出素子125および第6磁気検出素子126の各々と電気的に接続され、第5磁気検出素子125および第6磁気検出素子126の各々からの検出信号を処理する。第3処理回路133は、第1処理回路131および第2処理回路132の各々と同様の構成を有している。
【0065】
第1バスバー111を流れる電流値をI1、第2バスバー112を流れる電流値をI2、第3バスバー113を流れる電流値をI3、第1磁気検出素子121の出力値をV1、第2磁気検出素子122の出力値をV2、第3磁気検出素子123の出力値をV3、第4磁気検出素子124の出力値をV4、第5磁気検出素子125の出力値をV5、第6磁気検出素子126の出力値をV6とすると、第1処理回路131は、V1=aI2+bI3およびV2=cI2+dI3の2元1次方程式から、I2∝V1-bV2/dの関係を満たすI2を算出可能であり、第2処理回路132は、V3=eI2+fI3およびV4=gI2+hI3の2元1次方程式から、I3∝V1-eV2/gの関係を満たすI3を算出可能であり、第3処理回路133は、V5=rI1+sI2およびV6=tI1+uI2の2元1次方程式から、I1∝V5-rV6/tの関係を満たすI1を算出可能である。
【0066】
具体的には、第3処理回路133は、V5=rI1+sI2およびV6=tI1+uI2の2元1次方程式を予め記憶しており、電流センサ300のキャリブレーション時に係数r~uを求めておくことにより、第1バスバー111を流れる電流値I1を算出することができる。
【0067】
電流センサ300のキャリブレーション時に係数r~uを求める方法は、電流センサ100のキャリブレーション時に係数a~dを求める方法、および、電流センサ200のキャリブレーション時に係数e~hを求める方法と同様である。
【0068】
まず、第2バスバー112に電流値I2の電流を流す。このとき、第1バスバー111および第3バスバー113には、電流が流されていない。そのため、電流値I1=0となる。
【0069】
第3処理回路133は、V5=rI1+sI2およびV6=tI1+uI2の2元1次方程式においてI1を0に代入することにより、V5=sI2、および、V6=uI2の関係式から、s=V5/I2、および、u=V6/I2を算出して記憶する。
【0070】
次に、第1バスバー111に電流値I1の電流を流す。このとき、第2バスバー112および第3バスバー113には、電流が流されていない。そのため、電流値I2=0となる。
【0071】
第3処理回路133は、V5=rI1+sI2およびV6=tI1+uI2の2元1次方程式においてI1を0に代入することにより、V5=rI1、および、V2=tI1の関係式から、r=V1/I1、および、t=V2/I1を算出して記憶する。上記のようにして、係数r~uを求めることができる。
【0072】
本発明の実施形態3に係る電流センサ300においては、第1バスバー111の近くに配置された第5磁気検出素子125および第6磁気検出素子126の各出力値に基づいて第1バスバー111を流れる電流値I1を算出し、第2バスバー112の近くに配置された第1磁気検出素子121および第2磁気検出素子122の各出力値に基づいて第2バスバー112を流れる電流値I2を算出し、第3バスバー113の近くに配置された第3磁気検出素子123および第4磁気検出素子124の各出力値に基づいて第3バスバー113を流れる電流値I3を算出するため、実施形態1に係る電流センサ100に比較して、第1バスバー111を流れる電流値I1、第2バスバー112を流れる電流値I2および第3バスバー113を流れる電流値I3の各々の測定精度を高くすることができる。
【0073】
本発明の実施形態3に係る電流センサ300においては、I1=-I2-I3の関係式から第1バスバー111を流れる電流値I1を算出するのではなく、第5磁気検出素子125および第6磁気検出素子126の各出力値に基づいて第1バスバー111を流れる電流値I1を算出するため、仮にI1+I2+I3=0の関係が満たされていないことが検出されたときに、3本のバスバーに3相交流を流すインバータが故障しているとを判別することができる。
【0074】
なお、3本のバスバーに3相交流を流すインバータの故障を判別するためには、第1磁気検出素子121および第2磁気検出素子122の各出力値に基づいて第2バスバー112を流れる電流値I2および第3バスバー113を流れる電流値I3を算出し、第5磁気検出素子125および第6磁気検出素子126の各出力値に基づいて第1バスバー111を流れる電流値I1を算出してもよい。すなわち、第3磁気検出素子123および第4磁気検出素子124と第2処理回路132とが設けられていなくてもよい。
【0075】
本発明の実施形態3に係る電流センサ300においては、第1バスバー111、第2バスバー112および第3バスバー113は、第1方向(X軸方向)に互いに間隔をあけて並行に配置されている。これにより、第1チップ141、第2チップ142および第3チップ143が実装された基板150を3本のバスバー上に配置することにより、3本のバスバーに対して第1磁気検出素子121、第2磁気検出素子122、第3磁気検出素子123、第4磁気検出素子124、第5磁気検出素子125および第6磁気検出素子126を簡易に配置することができる。
【0076】
本発明の実施形態3に係る電流センサ300においては、第1磁気検出素子121、第2磁気検出素子122、第3磁気検出素子123、第4磁気検出素子124、第5磁気検出素子125および第6磁気検出素子126は、第1方向(X軸方向)および、第1方向(X軸方向)と直交する第2方向(Z軸方向)に延在しつつ3本のバスバーと直交する仮想平面(XZ平面)に沿って、配置されている。これにより、第1磁気検出素子121、第2磁気検出素子122、第3磁気検出素子123、第4磁気検出素子124、第5磁気検出素子125および第6磁気検出素子126を構成するTMR素子、GMR素子およびAMR素子などの磁気抵抗素子の面内方向に測定磁界を印加することができるため、電流センサ300の測定精度を高くすることができる。
【0077】
本発明の実施形態3に係る電流センサ300においては、第1磁気検出素子121、第2磁気検出素子122、第3磁気検出素子123、第4磁気検出素子124、第5磁気検出素子125および第6磁気検出素子126は、第1方向(X軸方向)および第2方向(Z軸方向)の両方に対して交差する方向に並んで配置されている。これにより、第1チップ141、第2チップ142および第3チップ143の基板150上における配置の向き(XZ面内の向き)を傾けるだけで、それぞれのチップに搭載された磁気検出素子において、3相交流の電流のうちのいずれか1相の交流電流による磁界の影響をキャンセルすることができる。よって、3相交流の電流が流れる3本のバスバーの各々を流れる電流値を、簡易な構成で測定することができる。
【0078】
(付記)
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0079】
<1>
3相交流の電流が流れる、第1バスバー、第2バスバーおよび第3バスバーからなる3本のバスバーと、
前記3本のバスバーに対して間隔をあけて配置された、第1磁気検出素子および第2磁気検出素子と、
前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々と電気的に接続され、前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々からの検出信号を処理する第1処理回路とを備え、
前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々の感度軸同士は平行であり、
前記第1バスバーに電流が流れた際に前記第1バスバーの周囲に生ずる第1磁界が、前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々の感度軸に対して直交するように、前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々が配置されており、
前記第2バスバーを流れる電流値をI2、前記第3バスバーを流れる電流値をI3、前記第1磁気検出素子の出力値をV1、前記第2磁気検出素子の出力値をV2とすると、前記第1処理回路は、V1=aI2+bI3およびV2=cI2+dI3の2元1次方程式から、I2∝V1-bV2/d、および、I3∝V1-aV2/cの関係をそれぞれ満たすI2およびI3を算出可能である、電流センサ。
【0080】
<2>
前記3本のバスバーの中で、前記第1バスバーが、前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子に対して最も離れて位置している、<1>に記載の電流センサ。
【0081】
<3>
3相交流の電流が流れる、第1バスバー、第2バスバーおよび第3バスバーからなる3本のバスバーと、
前記3本のバスバーに対して間隔をあけて配置された、第1磁気検出素子、第2磁気検出素子、第3磁気検出素子および第4磁気検出素子と、
前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々と電気的に接続され、前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々からの検出信号を処理する第1処理回路と、
前記第3磁気検出素子および前記第4磁気検出素子の各々と電気的に接続され、前記第3磁気検出素子および前記第4磁気検出素子の各々からの検出信号を処理する第2処理回路とを備え、
前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々の感度軸同士は平行であり、
前記第3磁気検出素子および前記第4磁気検出素子の各々の感度軸同士は平行であり、
前記第1バスバーに電流が流れた際に前記第1バスバーの周囲に生ずる第1磁界が、前記第1磁気検出素子、前記第2磁気検出素子、前記第3磁気検出素子および前記第4磁気検出素子の各々の感度軸に対して直交するように、前記第1磁気検出素子、前記第2磁気検出素子、前記第3磁気検出素子および前記第4磁気検出素子の各々が配置されており、
前記3本のバスバーの中で、前記第2バスバーが、前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子に対して最も近くに位置しており、
前記3本のバスバーの中で、前記第3バスバーが、前記第3磁気検出素子および前記第4磁気検出素子に対して最も近くに位置しており、
前記第2バスバーを流れる電流値をI2、前記第3バスバーを流れる電流値をI3、前記第1磁気検出素子の出力値をV1、前記第2磁気検出素子の出力値をV2、前記第3磁気検出素子の出力値をV3、前記第4磁気検出素子の出力値をV4とすると、前記第1処理回路は、V1=aI2+bI3およびV2=cI2+dI3の2元1次方程式から、I2∝V1-bV2/dの関係を満たすI2を算出可能であり、前記第2処理回路は、V3=eI2+fI3およびV4=gI2+hI3の2元1次方程式から、I3∝V1-eV2/gの関係を満たすI3を算出可能である、電流センサ。
【0082】
<4>
3相交流の電流が流れる、第1バスバー、第2バスバーおよび第3バスバーからなる3本のバスバーと、
前記3本のバスバーに対して間隔をあけて配置された、第1磁気検出素子、第2磁気検出素子、第5磁気検出素子および第6磁気検出素子と、
前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々と電気的に接続され、前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々からの検出信号を処理する第1処理回路と、
前記第5磁気検出素子および前記第6磁気検出素子の各々と電気的に接続され、前記第5磁気検出素子および前記第6磁気検出素子の各々からの検出信号を処理する第3処理回路とを備え、
前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々の感度軸同士は平行であり、
前記第5磁気検出素子および前記第6磁気検出素子の各々の感度軸同士は平行であり、
前記第1バスバーに電流が流れた際に前記第1バスバーの周囲に生ずる第1磁界が、前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々の感度軸に対して直交するように、前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の各々が配置されており、
前記第3バスバーに電流が流れた際に前記第3バスバーの周囲に生ずる第3磁界が、前記第5磁気検出素子および前記第6磁気検出素子の各々の感度軸に対して直交するように、前記第5磁気検出素子および前記第6磁気検出素子の各々が配置されており、
前記3本のバスバーの中で、前記第1バスバーが、前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子に対して最も離れて位置しており、
前記3本のバスバーの中で、前記第3バスバーが、前記第5磁気検出素子および前記第6磁気検出素子に対して最も離れて位置しており、
前記第1バスバーを流れる電流値をI1、前記第2バスバーを流れる電流値をI2、前記第3バスバーを流れる電流値をI3、前記第1磁気検出素子の出力値をV1、前記第2磁気検出素子の出力値をV2、前記第5磁気検出素子の出力値をV5、前記第6磁気検出素子の出力値をV6とすると、
前記第1処理回路は、V1=aI2+bI3およびV2=cI2+dI3の2元1次方程式から、I2∝V1-bV2/d、および、I3∝V1-aV2/cの関係をそれぞれ満たすI2およびI3を算出可能であり、
前記第3処理回路は、V5=rI1+sI2およびV6=tI1+uI2の2元1次方程式から、I1∝V5-rV6/tの関係を満たすI1を算出可能である、電流センサ。
【0083】
<5>
前記第1バスバー、前記第2バスバーおよび前記第3バスバーは、第1方向に互いに間隔をあけて並行に配置されている、<1>から<4>のいずれか1つに記載の電流センサ。
【0084】
<6>
前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子は、前記第1方向および前記第1方向と直交する第2方向に延在しつつ前記3本のバスバーと直交する仮想平面に沿って、配置されている、<5>に記載の電流センサ。
【0085】
<7>
前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子は、前記第1方向および前記第2方向の両方に対して交差する方向に並んで配置されている、<6>に記載の電流センサ。
【0086】
上述した実施形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
【0087】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0088】
100,200,300 電流センサ、111 第1バスバー、112 第2バスバー、113 第3バスバー、121 第1磁気検出素子、121a,122a,123a,124a,125a,126a 感度軸、122 第2磁気検出素子、123 第3磁気検出素子、124 第4磁気検出素子、125 第5磁気検出素子、126 第6磁気検出素子、131 第1処理回路、131a 第1オペアンプ、131b 第2オペアンプ、131c 第3オペアンプ、132 第2処理回路、133 第3処理回路、141 第1チップ、142 第2チップ、143 第3チップ、150 基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6