(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062078
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】耐候性試験装置、及び耐候性試験方法
(51)【国際特許分類】
G01N 17/00 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
G01N17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169844
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】宮本 慎一
(72)【発明者】
【氏名】栃木 華恵
(72)【発明者】
【氏名】柏女 恵
【テーマコード(参考)】
2G050
【Fターム(参考)】
2G050BA04
2G050BA09
2G050CA03
2G050DA03
(57)【要約】
【課題】耐候性試験を促進することができる耐候性試験装置を提供する。
【解決手段】耐候性試験装置1は、試料Sを保持可能な保持部10と、保持部10を内部に収納する試験容器11と、光照射及び液体噴霧の少なくとも一方の劣化環境を試験容器11内の試料に対して供与する劣化環境供与部(光照射装置12、液体噴霧装置13)と、を備える。耐候性試験装置1は、劣化環境供与部が試料Sに対して劣化環境を供与する際に試験容器11内の雰囲気にオゾンガスを含ませるように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を保持可能な保持部と、
前記保持部を内部に収納する試験容器と、
光照射及び液体噴霧の少なくとも一方の劣化環境を前記試験容器内の前記試料に対して供与する劣化環境供与部と、を備え、
前記劣化環境供与部が前記試料に対して前記劣化環境を供与する際に前記試験容器内の雰囲気にオゾンガスを含ませるように構成されている、耐候性試験装置。
【請求項2】
前記劣化環境供与部は、前記試料に対して光を照射するように構成された光照射装置と、前記試料に対して液体を噴霧するように構成された液体噴霧装置とを有する、
請求項1に記載の耐候性試験装置。
【請求項3】
前記試験容器は、光を透過可能な光透過部を有し、
前記光照射装置は、前記試験容器の外に配置され、前記光照射装置の光源からの光を前記透過部を介して前記保持部に保持された前記試料に照射する、
請求項2に記載の耐候性試験装置。
【請求項4】
前記光源は、15mW/cm2以上60mW/cm2以下の光量を有する、
請求項3に記載の耐候性試験装置。
【請求項5】
前記光照射装置は、前記光源からの光を平行光にする光学系を有し、
前記光学系は、少なくとも1つのコリメートレンズを含む、
請求項3に記載の耐候性試験装置。
【請求項6】
前記光源は、キセノンランプである、
請求項3に記載の耐候性試験装置。
【請求項7】
オゾンガスを生成するオゾン生成器を更に備え、
前記オゾン生成器は、前記試験容器の内又は外に設けられる、
請求項1に記載の耐候性試験装置。
【請求項8】
前記試験容器内のオゾンガス濃度を測定可能なオゾン検出器を更に備える、
請求項7に記載の耐候性試験装置。
【請求項9】
前記オゾン生成器及びオゾン検出器を制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記オゾン検出器で検出されたオゾンガス濃度が設定値となるように前記オゾン生成器によって生成するオゾンの量を制御する、
請求項8に記載の耐候性試験装置。
【請求項10】
前記試験容器内の雰囲気におけるオゾンガス濃度は0.2ppm以上である、
請求項1に記載の耐候性試験装置。
【請求項11】
前記試験容器は、第1試験容器及び第2試験容器を含み、
前記劣化環境供与部は、前記第1試験容器及び前記第2試験容器の一方に収納された前記試料に対して光を照射するように構成された光照射装置と、前記第1試験容器及び前記第2試験容器の他方に収納された前記試料に対して液体を噴霧するように構成された液体噴霧装置とを有し、
前記試料を前記第1試験容器と前記第2試験容器との間で搬送可能なように構成されている、
請求項1に記載の耐候性試験装置。
【請求項12】
オゾンガスを生成する第1オゾン生成器と、
オゾンガスを生成する第2オゾン生成器と、を更に備え、
前記第1オゾン生成器で生成されたオゾンガスは、前記第1試験容器内に含まれ、
前記第2オゾン生成器で生成されたオゾンガスは、前記第2試験容器内に含まれる、
請求項11に記載の耐候性試験装置。
【請求項13】
前記試験容器内の圧力を調整する圧力調整部と、
前記試験容器内に気体を導入するガス導入部と、
前記気体を加湿する加湿部と、
前記試料の温度を調整する温度調整部と、
前記圧力、前記気体の導入量、前記気体の湿度、及び前記試料の温度の少なくとも1つを計測する計測部と、
前記計測部による計測値に基づいて、前記圧力調整部、前記ガス導入部、前記加湿部、前記温度調整部、及び、前記劣化環境供与部の少なくとも1つを制御する制御部と、を更に備える、
請求項1に記載の耐候性試験装置。
【請求項14】
請求項1~13の何れか一項に記載の耐候性試験装置を用いて前記試料の耐候性を評価する耐侯性試験方法であって、
前記劣化環境供与部によって前記試験容器内の前記試料に対して前記劣化環境を継続的に供与する工程を備え、
前記劣化環境を供与する工程は、前記試験容器内の雰囲気にオゾンガスが含まれた雰囲気下で実施される、耐候性試験方法。
【請求項15】
前記劣化環境を提供する工程では、前記試験容器内の雰囲気におけるオゾンガス濃度が0.2ppm以上となるようにオゾンガスの生成が制御される、
請求項14に記載の耐候性試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐候性試験装置、及び耐候性試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機材料や無機材料が太陽などの光や熱、雨などの水分、大気中の酸素等によってどのくらいで劣化するかという耐候性試験を行う場合、実環境下で試験を行うことが最良である。しかし、実環境下での試験では、試験結果を得るまでに長期間を要してしまうことがある。そこで、太陽光よりも高光量の光源を有する耐候促進試験装置を用いて耐候性試験を行い、各種材料の耐候性の試験結果を早期に取得することが行われている。このような耐候性試験装置として、サンシャインウェザオメーター(SWOM)、メタルウェザーメーター(MW)、スーパーUV(SUV)、キセノンウェザーメーター(例えば特許文献1,2を参照)などが知られている。
【0003】
サンシャインウェザオメーターは、カーボンアークからなる光源を備え、紫外部から可視光部の波長を含む光をこの光源から試料に照射すると共に、水噴霧装置により一定時間試料に水を噴霧することにより、短期間で耐候性試験を実現する装置である。この装置では、ある程度の試験期間の短縮を行うことができる。また、メタルウェザーメーター及びスーパーUVは、サンシャインウェザオメーターよりも強力な光源であるメタルハライドランプを備え、紫外部から可視光部までの高光量の光をこの光源から試料に照射すると共に、水噴霧装置により一定時間試料に水を噴霧する装置である。これらの装置では、高光量の光源を用いているため、サンシャインウェザオメーターよりも短期間で耐候性試験を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平1-21891号公報
【特許文献2】特公平1-28897号公報
【特許文献3】特公昭49-27072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1~3に記載の耐候性試験装置では、高光量の光源を用いることに加えて、試料を配置する装置容器内の圧力や酸素濃度などを大気圧よりも高くして、実環境下と同等の試験結果を早期に得ることが試みられている。しかしながら、これらの装置構成において耐候性試験時間を更に短くするには、試験に用いる光量と圧力を更に高くする必要があり、例えば、容器の厚みを更に厚くして高圧力に耐えうる容器にすることが必要とされる。この場合、容器が更に大型化され、それに伴って装置重量も重くなってしまう。そこで、光量と圧力を大きく変更することなく、耐候性試験を促進できる装置構成や試験方法の開発が望まれている。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためのものであり、耐候性試験を促進することができる耐候性試験装置及び耐候性試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明は、一側面として、耐候性試験装置に関する。この耐候性試験装置は、試料を保持可能な保持部と、保持部を内部に収納する試験容器と、光照射及び液体噴霧の少なくとも一方の劣化環境を試験容器内の試料に対して供与する劣化環境供与部と、を備える。この耐候性試験装置は、劣化環境供与部が試料に対して劣化環境を供与する際に試験容器内の雰囲気にオゾンガスを含ませるように構成されている。
【0008】
本発明者らの検討によれば、試料の劣化は、光による試料の構成材料の結合の切断、酸素等による試料の酸化、及び、水等による試料の構成材料の加水分解等が相互に影響し合って引き起こされることがわかってきている。そこで、本発明者らは、このうちの酸化に着眼し、酸素よりも強力なオゾンガスにより酸化を促進させることで、光量と圧力を大きく変更することなく耐候性試験を促進できることに想到した。この耐候性試験装置は、光照射及び液体噴霧の少なくとも一方の劣化環境を試料に対して供与する劣化環境供与部を備えており、この劣化環境供与部が試料に対して劣化環境を供与する際に試験容器内の雰囲気にオゾンガスを含ませるように構成されている。このように、この耐候性試験装置では、オゾンガスを含む雰囲気下で耐候性試験を行うことができるため、光照射や液体噴霧等による耐候性試験を、光量や圧力を大きく変更することなく、促進することが可能である。なお、酸化の促進の方法としては、液体噴霧の際に過酸化水素を噴霧することも考えられるが、強酸化性の物質であり、装置に使用する材料の選定が限定されたり、また取り扱いに注意が必要となる。これに対し、オゾンガスの場合、取り扱いが比較的容易であることから、設計自由度の高い耐候性試験装置とすることができる。
【0009】
[2]上記[1]の耐候性試験装置では、劣化環境供与部は、試料に対して光を照射するように構成された光照射装置と、試料に対して液体を噴霧するように構成された液体噴霧装置とを有していることが好ましい。この場合、光照射による試料の劣化と液体噴霧により試料の劣化とを行うことができ、実環境下と同等の試験結果を早期に得ることができる。
【0010】
[3]上記[2]の耐候性試験装置では、試験容器は、光を透過可能な光透過部を有し、光照射装置は、試験容器の外に配置され、光照射装置の光源からの光を透過部を介して保持部に保持された試料に照射してもよい。この場合、光照射装置が試験容器の外にあるため、試験容器内を高圧雰囲気等にして試験を行った場合に高圧雰囲気等による光照射装置の破損を防ぐことができる。これにより、試験容器内の圧力を耐候性試験に好適な値にして実環境下と同等の試験結果を容易に得ることができる。また、光照射装置を試験容器の外に配置することで、光照射装置の設計自由度を高めることができ、試料に照射する光量等を耐候性試験に好適なものとして実環境下と同等の試験結果を容易に得ることができる。
【0011】
[4]上記[3]の耐候性試験装置では、光源は、15mW/cm2以上60mW/cm2以下の光量を有してもよい。この場合、高光量の光を試料に照射することができるため、耐候性試験を容易に促進することが可能となる。
【0012】
[5]上記[3]又は[4]の耐候性試験装置では、光照射装置は、光源からの光を平行光にする光学系を有し、光学系は、少なくとも1つのコリメートレンズを含んでもよい。この場合、平行光を試料に照射することで、試料の各部における照射強度のずれを抑制することができ、より正確な耐候性試験を行うことができる。
【0013】
[6]上記[3]~[5]のいずれかの耐候性試験装置では、光源は、キセノンランプであってもよい。この場合、キセノンランプから照射される光の波長の波形は太陽光の波形に近いため、実環境下での試験に近い試験結果を容易に得ることが可能となる。即ち、実環境下での耐候性試験を再現した試験結果を早期に得ることが可能となる。
【0014】
[7]上記[1]~[6]のいずれかの耐候性試験装置は、オゾンガスを生成するオゾン生成器を更に備え、オゾン生成器は、試験容器の内又は外に設けられていることが好ましい。この場合、オゾンガスを含む雰囲気下での耐候性試験をより確実に行うことができ、耐候性試験を促進することが可能となる。
【0015】
[8]上記[7]の耐候性試験装置は、試験容器内のオゾンガス濃度を測定可能なオゾン検出器を更に備えてもよい。この場合、試験容器内のオゾンガス濃度が耐候性試験の促進に適切な値となっているかを知ることができ、耐候性試験の促進をより確実に行うことが可能となる。
【0016】
[9]上記[8]の耐候性試験装置は、オゾン生成器及びオゾン検出器を制御する制御部を更に備えてもよく、制御部は、オゾン検出器で検出されたオゾンガス濃度が設定値となるようにオゾン生成器によって生成するオゾンの量を制御してもよい。この場合、試験容器内のオゾンガス濃度が耐候性試験の促進に適切な設定値となっているかを調整することができ、耐候性試験の促進をより確実に行うことが可能となる。
【0017】
[10]上記[1]~[9]のいずれかの耐候性試験装置では、試験容器内の雰囲気におけるオゾンガス濃度は0.2ppm以上であることが好ましい。この場合、オゾンガスによる耐候性試験装置の促進をより確実に実施することが可能となる。
【0018】
[11]上記[1]~[10]のいずれかの耐候性試験装置において、試験容器は、第1試験容器及び第2試験容器を含んでもよく、劣化環境供与部は、第1試験容器及び第2試験容器の一方に収納された試料に対して光を照射するように構成された光照射装置と、第1試験容器及び第2試験容器の他方に収納された試料に対して液体を噴霧するように構成された液体噴霧装置とを有してもよい。この耐候性試験装置は、試料を第1試験容器と第2試験容器との間で搬送可能なように構成されていてもよい。この場合、他方の試験容器内において試料に対して液体噴霧試験を行った後に、試料を、一方の試験容器へ搬送することができる。これにより、液体噴霧試験後における試験容器内の湿度を調整しなくても、別の試験容器内において光照射による耐候性試験を行える。したがって、この耐候性試験装置によれば、耐候性試験を促進しつつ、効率的に耐候性試験を実施することができる。
【0019】
[12]上記[11]の耐候性試験装置は、オゾンガスを生成する第1オゾン生成器と、オゾンガスを生成する第2オゾン生成器と、を更に備えてもよく、第1オゾン生成器で生成されたオゾンガスは、第1試験容器内に含まれ、第2オゾン生成器で生成されたオゾンガスは、第2試験容器内に含まれてもよい。この場合、片方の容器内にのみオゾン生成器を備えた場合よりも耐候性試験を更に促進することが可能となる。更に、各試験容器内のオゾン濃度を個別に設定できるため、各試験容器内での試験に応じた試験条件を設定して、より効果的な耐候性試験を実施することが可能となる。
【0020】
[13]上記[1]~[12]のいずれかの耐候性試験装置は、試験容器内の圧力を調整する圧力調整部と、試験容器内に気体を導入するガス導入部と、気体を加湿する加湿部と、試料の温度を調整する温度調整部と、圧力、気体の導入量、気体の湿度、及び試料の温度の少なくとも1つを計測する計測部と、計測部による計測値に基づいて、圧力調整部、ガス導入部、加湿部、温度調整部、及び、劣化環境供与部の少なくとも1つを制御する制御部と、を更に備えてもよい。この場合、熱、水(雨)、酸素による試料の劣化を評価する耐候性試験をより具体的に行うことができ、また加圧することによりその耐候性試験を促進することが可能となる。すなわち、酸素による試料の劣化が促進され、光照射による劣化と、酸素、水(雨)、温度等による劣化とをバランスよく進行させることができ、実環境下で長時間かけて行った耐候性試験と同様の試験結果をより短時間で再現することが可能となる。
【0021】
[14]本発明は、別の側面として、耐候性試験方法に関する。この耐候性試験方法は、上記[1]~[13]のいずれかの耐候性試験装置を用いて試料の耐候性を評価する耐侯性試験方法であって、劣化環境供与部によって試験容器内の試料に対して劣化環境を継続的に供与する工程を備える。劣化環境を供与する工程は、試験容器内の雰囲気にオゾンガスが含まれた雰囲気下で実施される。この耐候性試験方法では、オゾンガスを含む雰囲気下で耐候性試験を行うことができるため、光照射や液体噴霧等による耐候性試験を、光量や圧力を大きく変更することなく、促進することが可能である。
【0022】
[15]上記[14]の耐候性試験方法において、劣化環境を提供する工程では、試験容器内の雰囲気におけるオゾンガス濃度が0.2ppm以上となるようにオゾンガスの生成が制御されることが好ましい。この場合、オゾンガスによる耐候性試験方法の促進をより確実に実施することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、耐候性試験を促進することができる耐候性試験装置及び耐候性試験方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る耐候性試験装置を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す耐候性試験装置の変形例を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第2実施形態に係る耐候性試験装置を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第3実施形態に係る耐候性試験装置を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す耐候性試験装置の変形例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る耐候性試験装置及び耐候性試験方法について詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いる場合があり、重複する説明は省略する。
【0026】
[第1実施形態]
図1を参照して、第1実施形態に係る耐候性試験装置1について説明する。
図1は、第1実施形態に係る耐候性試験装置1を模式的に示す断面図である。耐候性試験装置1は、各種の耐侯性試験を実施する試験装置である。耐候性試験装置1は、
図1に示すように、保持部10、試験容器11、光照射装置12(劣化環境付与部)、液体噴霧装置13(劣化環境付与部)、排水機構14、オゾン生成器15、オゾンガスセンサ16(オゾン検出器)、及び、制御部17を備えている。耐候性試験装置1は、更に、圧力調整器18(圧力調整部)、ガス導入部19、加湿部20、温度調整部21、圧力計22、ガス濃度計23、湿度計24、温度計25、水位センサ26、及び、温度センサ27を備えていてもよい。
【0027】
耐候性試験装置1では、試験容器11において、試料Sを保持部10に保持させた上で、光照射装置12により試料Sに対して光を継続的に照射して試料Sの劣化を評価する耐候性試験(以下、「光照射試験」とも称す)を行う。また、耐候性試験装置1では、試験容器11において、試料Sを保持部10に保持させた上で、液体噴霧装置13により試料Sに対して液体(例えば水)を継続的に噴霧して試料Sの劣化を評価する耐候性試験(以下、「液体噴霧試験」とも称す。)を行う。耐候性試験装置1では、試料Sに対して、光の照射、液体の噴霧等を行う。これら耐候性試験により、試料Sが太陽などの光や熱、雨などの水分、大気中の酸素等によってどのくらいで劣化するかという耐候性試験を行う。
【0028】
保持部10は、耐候性試験に用いられる試料Sを保持する平板状の部材である。試料Sは、例えば、保持部10上に配置されて、アルミテープなどで貼り付けられることにより保持される。なお、保持部10に、試料Sを保持可能な構造を設けておいてもよい。
【0029】
試験容器11は、試料Sに対して光照射や液体噴霧等の各種の耐候性試験を行う際に用いられる圧力容器である。試験容器11は、容器外形を形成する側壁及び底である箱部11aと、箱部11aの上部に設けられる蓋部11bとを有している。箱部11a及び蓋部11bにより、試料S及び保持部10を収納する内部空間Tが形成される。蓋部11bは、試料Sを内部空間T内に収納したり及び取り出したりできるよう開閉可能に箱部11aに取り付けられている。また、蓋部11bは、耐候性試験においては内部空間T内の雰囲気や圧力を維持して気密を保つように箱部11aに取り付けられている。試験容器11の材料は、試験容器内の圧力に対する耐圧性を有するものであれば、各種の材料を用いることができるが、例えば、SUS、アルミニウム合金、鉄、チタン合金、タングステン合金、及び、炭素鋼繊維のうちのいずれか、又は、これらのうち少なくとも2つを組み合わせたもの等から構成することができる。また、試験容器11の内面は、被覆材により被覆されていてもよい。当該被覆材を構成する材料は、当該被覆材が光照射装置12から照射される光等により劣化しない、又は、耐候性試験に影響を与えるガス等を発生させなければ、特に限定されない。当該被覆材を構成する材料は、有機物及び無機物のうち少なくとも一方、又は、これらを組み合わせたもの等であってもよい。
【0030】
試験容器11の蓋部11bは、その中央に、保持部10(試料S)に対向する開口を有しており、当該開口には光透過部11cが気密に嵌め込まれている。光透過部11cは、保持部10に対向するように位置し、光照射装置12から照射される光Lを著しく減衰させることなく透過させて試料Sに光Lがそのまま照射されるように構成されている。光透過部11cは、光照射装置12から照射される光L(特に紫外線)を透過可能な材料から構成されればよく、例えば石英ガラス板である。なお、光透過部11cは、試験容器11の一部を構成することから、試験容器11内の雰囲気や圧力を保つ構造となっている。
【0031】
光照射装置12は、試料Sに対して光照射といった劣化環境を継続的に供与する装置であり、光Lを照射する光源12aを有する。光照射装置12は、試験容器11の外に配置され、光源12aからの光Lを光透過部11cを介して保持部10に保持された試料Sに照射する。光源12aは、例えば、15mW/cm2以上60mW/cm2以下の光量を有する。なお、ここで用いる「光量(mW/cm2)」は、光源12aから照射される光の波長365nmでの光量(照度)を意味しており、例えば、紫外線積算光量計(ウシオ電機株式会社製UIT-250 受光器UVD-S365)といった方法で測定した値である。
【0032】
光照射装置12は、平行光を試料Sに照射する構成であってもよい。光照射装置12は、光源12aからの光を平行光にするコリメートレンズ12bを含む光学系を更に有してもよい。また、光照射装置12の光源12aは、例えばキセノンランプであってもよい。光源12aからの光Lは、少なくとも紫外線を含んでいてもよい。この場合、太陽光に含まれ、かつ、材料等の劣化に影響を与えやすい紫外線を照射光に含むことになり、実環境下での試験を再現した試験結果を容易に得ることが可能となる。
【0033】
液体噴霧装置13は、試験容器11において、保持部10により保持された試料Sに対して液体を噴霧する装置である。液体噴霧装置13は、試料Sに対して液体(例えば水)を噴霧する噴霧部13aと、噴霧する液体を収納する噴霧タンク13bとを有している。噴霧部13aは、試料Sに水等の液体を噴霧できればよく、例えばスプレーノズルである。液体噴霧装置13で噴霧する液体は、純水、水道水、酸性雨を模したペーハー(pH)を調整した水、金属イオンを含んだ水、またはこれらを混合した水等であってもよい。これにより、実環境下での雨を模擬することができる。
【0034】
排水機構14は、試験容器11内において液体噴霧装置13から噴霧された液体を試験容器11の外部へ排出する機構である。排水機構14は、排水管14a、上流バルブ14b、下流バルブ14c、及び、排水タンク14dにより構成される。排水機構14は、試験容器11の底部に設けられている。排水管14aには、排水タンク14dが設けられ、排水タンク14dの上流側には上流バルブ16bが、下流側には下流バルブ16cが設けられている。下流バルブ16cを閉じた状態で上流バルブ16bを開くことで、試験容器11及び排水タンク14dの圧力を略等しくすることができる。これにより、水の排出時における試験容器11内の圧力変化及びガス濃度変化を抑制することができる。この際、水の排出前に排水タンク14d内の圧力及びガス濃度を、試験容器11内の圧力及びガス濃度に近づけてもよい。この場合、排出時における試験容器11内の圧力変化及びガス濃度変化を抑制することができる。上流バルブ14bを閉じた後、下流バルブ14cを開くことで、試験容器11の圧力やガス濃度等の変化を抑制しつつ、排水タンク14dに溜まった水を外部に排出することができる。
【0035】
オゾン生成器15は、オゾンガスを生成する装置であり、試験容器11の内部に取り付けられている。オゾン生成器15としては、各種のオゾンガス生成装置を用いることができ、沿面放電式、無声放電式、紫外線ランプ式、コロナ放電式、プラズマオゾン等の各種発生方法を用いた装置を使用することができる。オゾン生成器15によって生成されたオゾン濃度は、オゾンガスセンサ16によって検出され、制御部17による制御の下、試験容器11内のオゾン濃度が所定の設定値となるように調整されてもよい。オゾン濃度の設定値は特に限定されるものではなく、耐候性試験の種類に応じて変更してもよいが、耐候性試験の促進という観点から、大気中のオゾン濃度よりも高い0.2ppm以上の濃度であることが好ましい。
【0036】
従来の耐候性試験装置(例えばメタルウェザー等)では、劣化を促進するため、試料に照射する光の光量を高くしている。試料の光による劣化(光酸化劣化)は、光を照射した際に、試料で生成されるラジカルに酸素が結合し、劣化していく。そのため、照射する光の光量を高くした場合、試料で生成されるラジカルも増加するので、導入する酸素もそれに伴って増加させなければならない。しかしながら、従来の耐候性試験装置では、酸素は大気のまま(酸素濃度が約20%)であることが多い。このため、試料で生成したラジカルに結合する酸素が不足し、実環境下での劣化を再現出しづらいことが多い。これに対し、本実施形態に係る耐候性試験装置1では、オゾンガスを生成して、試験容器11内に含ませるようにしている。このため、試料Sで生成されるラジカルの増加に対応することができる。
【0037】
制御部17は、例えば、コンピュータ等から構成され、耐候性試験装置1の各種の計測器、各種センサ、及び、各種調整器等に電気的に接続されており、試験容器11内における温度、圧力、水位、湿度、ガス濃度等の試験条件を調整する。制御部17は、光照射装置12及び液体噴霧装置13にも接続されており、光照射装置12からの光照射の量や時間、液体噴霧装置13から噴霧される液体(水)の量や時間を制御する。
【0038】
圧力調整器18は、例えば、バネなどの機械的な機構により圧力を制御することが可能なバルブ、例えば背圧バルブにより、試験容器11内の圧力を調整する。圧力調整器18による圧力調整は、圧力計22により計測された圧力情報に基づいて、制御部17により制御されてもよい。圧力調整器18及びガス導入部19により、試験容器11内の絶対圧を、例えば0MPa~1.0MPaの間に調整することができる。これにより、試験容器11内に収納される試料Sに対するオゾンガスや酸素ガスによる劣化を更に促進させて、実環境下に近い耐候性試験とすることができる。なお、ここで用いる圧力は、大気圧を0MPaとした場合の装置内の圧力の値である。圧力調整器18による圧力調整の一例としては、上述した機械的な機構を有するバルブ(背圧バルブ)において、バルブ本体に取り付けられている調整バルブを目標とする圧力に設定する。その後、試験容器11内の圧力が上昇して所定値を超えた場合、バルブに内蔵されたバネが縮むことで当該バルブが開放されて試験容器11内のガスが外部へ放出される。これにより、試験容器11内の圧力が調整される。また、当該バルブの開閉操作は、バネではなく、電気的に制御してもよい。この場合、試験容器11内の圧力を圧力計22により計測し、当該圧力の情報を制御部17へ送る。計測された圧力が設定した圧力より高くなったら、制御部17により当該バルブを開放して圧力を調整する。一方、計測された圧力が設定した圧力より低くなったら、制御部17により当該バルブを閉じて圧力を調整する。なお、圧力調整器18のバルブは、圧力計22により計測された圧力と設定した圧力との差分をバルブ開度の関数として制御部17において設定し、かかる関数に基づいてバルブ開度を可変に制御してもよい。
【0039】
ガス導入部19は、酸素ガス及び窒素ガスを含むガスを試験容器11内に導入する装置である。ガス導入部19は、ガス導入管19a、酸素流量調整器19b、窒素流量調整器19c、及び、ガス温度調整器19dにより構成される。ガス導入管19aに加湿部20が取り付けられていてもよい。加湿部20は、ガス導入管19aによって導入されるガスに所定の湿度を付与する。外部から供給される酸素ガス及び窒素ガスは、ガス導入管19aを通じて試験容器11に供給される。供給されるガスの流量は、酸素流量調整器19b及び窒素流量調整器19cにより調整される。ガス導入部19により、試験容器11内のガス濃度を0%~100%までの間に調整することができる。
【0040】
ガス導入部19により導入されるガスの流量は、一定の流量に調整されてもよい。ガスの流量は、圧力計22により計測した圧力、又は、ガス濃度センサ23により検知したガス濃度が所定の値に達するまで、所定の流量に調整され、当該所定の値に達した後、もしくは、当該所定の値に近づいたら、当該所定の流量以下に調整されてもよい。この場合、導入するガスの量を減らすことができる。また、ガスの流量は、計測した圧力と当該所定の設定値との差分に基づいて調整されてもよい。
【0041】
ガス温度調整器19dは、ガス導入管19aにより導入されるガスを加熱又は冷却することにより、試験容器11内の温度を調整する。ガス温度調整器19dによる加熱又は冷却は、温度計25により計測された温度情報に基づいて、制御部17により制御されてもよい。
【0042】
加湿部20は、加湿装置内の水をバブリングし、ガス導入管19aにより導入されるガスを加湿する。これにより、試験容器11内の湿度が調整される。加湿部20による加湿は、湿度計24により計測された湿度情報に基づいて、制御部17により制御されてもよい。本実施形態では、加湿部20は、ガス導入管19aに組み込まれているが、試験容器11内の湿度を調整できれば、加湿部20の設置場所は限定されず、直接、試験容器11に接続されていてもよい。
【0043】
温度調整部21は、その一部が保持部10に内蔵され、ヒータ及び冷却用流路から構成される。温度センサ27を構成する熱電対等の値に基づいて、制御部17により試料Sに対する加熱又は冷却が調整される。これにより、保持部10に保持される試料Sを所定の温度に加熱又は冷却したりして耐候性試験を行うことが可能となる。
【0044】
圧力計22、湿度計24、及び、温度計25のそれぞれは、試験容器11内の圧力、湿度、及び、温度のそれぞれを計測する計器である。温度センサ27、水位センサ26、及び、ガス濃度センサ23のそれぞれは、試料Sの温度、試験容器11内の水位、及び、試験容器11内のガス濃度のそれぞれを検出するセンサである。温度センサ27は、温度を適切に測定できるものであればよく、例えば熱電対、白金測温抵抗体(Pt)、又は、ブラックパネル温度計(BPT)である。なお、圧力計22、ガス濃度センサ23、湿度計24、温度計25、水位センサ26、及び、温度センサ27は、制御部17に電気的に接続されており、各種の検出値を制御部17に提供する。制御部17は、取得した検出値に基づいて各種の装置の動作を制御し、耐候性試験装置1において耐候性試験を実施する。
【0045】
[第1実施形態に係る変形例]
次に、
図2を参照して、耐候性試験装置1の変形例(耐候性試験装置1A)について説明する。
図2は、
図1に示す耐候性試験装置の変形例を模式的に示す断面図である。以下では、耐候性試験装置1と相違する点を主に説明し、その他の説明は省略することがある。
【0046】
変形例に係る耐候性試験装置1Aは、
図2に示すように、オゾン生成器15Aが試験容器11内ではなく、試験容器11の外に配置される構成を有している。具体的には、オゾン生成器15Aは、ガス導入部19Aに組み込まれており、酸素流量調整器19b及び窒素流量調整器19cによって流量が調整された酸素ガス及び窒素ガスに対して、試験容器11の外でオゾンガスを含ませるように構成されている。この耐候性試験装置1Aでは、このように酸素ガスと窒素ガスにオゾンガスが含まれるように調整され、調整されたガスがガス温度調整器19dで温度調整された後に、試験容器11内に導入される。この装置の場合、試験容器11内のガス雰囲気における温度の変動を少なくすることができる。
【0047】
[耐候性試験方法]
ここで、上述した構成を有する耐候性試験装置1,1Aを用いた耐侯性試験方法の一例について説明する。この耐侯性試験方法では、例えば、光照射試験、液体噴霧試験、及び、暗黒試験を順に実施すると共に、これらの試験を繰り返す。この耐候性試験方法では、まず、各試験における試験容器11内の圧力等の設定値を制御部17に入力する。また、光照射試験における光照射装置12の光量、及び、液体噴霧試験における液体噴霧装置13の噴霧量を制御部17に入力する。また、耐候性試験パターンと各試験の時間(光照射時間や液体噴霧時間等)を制御部17に入力する。本実施形態では、一例として、光照射試験、液体噴霧試験、及び、暗黒試験の試験を順に繰り返すが、これらの一部のみを行ってもよい。なお、暗黒試験とは、光照射は行わずに、オゾンガスや酸素ガスを含む雰囲気下で加圧することにより劣化を促進させる試験である。
【0048】
まず、耐候性試験に用いる試料Sを準備し、試料Sを保持部10に保持させる。次に、試験容器11内の圧力等、及び、光照射装置12の光量が光照射試験における設定値となるように、制御部17により各種機器を操作する。設定値となったら、光照射装置12により光Lを試料Sに継続的に照射し、光照射試験(第1耐候性試験)を行う。この試験の際に、オゾン生成器15によって試験容器11内にオゾンを発生させて、所定のオゾン濃度で光照射試験を行う。これにより、光照射による試料Sの劣化が促進される。
【0049】
光照射試験が終了したら、試験容器11内の圧力等、及び、液体噴霧装置13の噴霧時間が液体噴霧試験における設定値となるように、制御部17により各種機器を操作する。設定値となったら、液体噴霧装置13により液体を試料Sに継続的に噴霧し、液体噴霧試験(第2耐候性試験)を行う。この試験の際にも、オゾン生成器15によって試験容器11内にオゾンを発生させて、所定のオゾン濃度で液体噴霧試験を行う。これにより、液体噴霧による試料Sの劣化が促進される。
【0050】
液体噴霧試験が終了したら、試験容器11内の圧力等が暗黒試験における設定値となるように、制御部17により各種機器を操作する。設定値となったら、試料Sを一定時間放置し、暗黒試験を行う。暗黒試験では、光の照射等は行わない。この試験の際にも、オゾン生成器15によって試験容器11内にオゾンを発生させて、所定のオゾン濃度で圧力等を付与する。これにより、暗黒試験による試料Sの劣化が促進される。暗黒試験が終了したら、再び光照射試験から順に耐候性試験を開始する。
【0051】
なお、耐候性試験における試験パターンとしては、光照射試験を試料温度63℃で20時間実施し、暗黒試験を試料温度30℃で4時間実施し、更に、暗黒試験の前後に液体噴霧試験を試料温度30℃で数分実施してもよい。若しくは、光照射試験を試料温度63℃で4時間実施し、暗黒試験を試料温度30℃で20時間実施し、更に、暗黒試験の前後に液体噴霧試験を試料温度30℃で数分実施してもよい。試験パターンは、耐候性試験に用いられる試料Sの用途等に応じて、適宜、設定することができる。
【0052】
このような光照射試験、液体噴霧試験、及び暗黒試験を続けた状態を継続的に行って試料Sの劣化状態を試験する。このような試験は、例えば、3ヶ月~6ヶ月間連続して行ってもよいし、6ヶ月以上又は1年以上継続してもよい。また、所定の加圧及び温度調整を行った状態で、光の照射、水の噴霧等を所定の周期で繰り返してもよい。本実施形態に係る耐候性試験装置では、このように劣化環境を継続的に供与する際に、試験容器11内の雰囲気にオゾンガスが含まれた状態とし、そのような環境下で光照射試験、液体噴霧試験及び暗黒試験の少なくとも何れかの耐候性試験を行う。
【0053】
以上、耐候性試験装置1,1Aは、光照射及び液体噴霧といった劣化環境を試料Sに対して供与する光照射装置12及び液体噴霧装置13を備えており、これら装置が試料Sに対して劣化環境を供与する際に試験容器11内の雰囲気にオゾンガスを含ませる。このように、耐候性試験装置1,1Aでは、オゾンガスを含む雰囲気下で耐候性試験を行うため、光照射や液体噴霧等による耐候性試験を、光量や圧力を大きく変更することなく、促進することが可能である。
【0054】
耐候性試験装置1,1Aでは、試験容器11は、光を透過可能な光透過部11cを有し、光照射装置12は、試験容器11の外に配置され、光照射装置12の光源12aからの光を光透過部11cを介して保持部10に保持された試料Sに照射する。このように光照射装置12が試験容器11の外にあるため、試験容器11内を高圧雰囲気等にして試験を行った場合に高圧雰囲気等による光照射装置の破損を防ぐことができる。これにより、試験容器11内の圧力を耐候性試験に好適な値にして実環境下と同等の試験結果を容易に得ることができる。また、光照射装置12を試験容器11の外に配置することで、光照射装置12の設計自由度を高めることができ、試料に照射する光量等を耐候性試験に好適なものとして実環境下と同等の試験結果を容易に得ることができる。
【0055】
耐候性試験装置1,1Aでは、光源12aは、15mW/cm2以上60mW/cm2以下の光量を有している。高光量の光を試料に照射することができるため、耐候性試験を容易に促進することが可能となる。
【0056】
耐候性試験装置1,1Aでは、光照射装置12は、光源12aからの光を平行光にする光学系を有し、光学系は、少なくとも1つのコリメートレンズ12bを含んでいる。平行光を試料に照射することで、試料の各部における照射強度のずれを抑制することができ、より正確な耐候性試験を行うことができる。
【0057】
耐候性試験装置1,1Aでは、光源12aは、キセノンランプであることが好ましい。キセノンランプから照射される光の波長の波形は太陽光の波形に近いため、実環境下での試験に近い試験結果を容易に得ることが可能となる。すなわち、実環境下での耐候性試験を再現した試験結果を早期に得ることが可能となる。
【0058】
耐候性試験装置1,1Aは、オゾンガスを生成するオゾン生成器15,15Aを更に備え、オゾン生成器15,5Aは、試験容器11の内又は外に設けられている。この場合、オゾンガスを含む雰囲気下での耐候性試験をより確実に行うことができ、耐候性試験を促進することが可能となる。
【0059】
耐候性試験装置1,1Aは、試験容器11内のオゾンガス濃度を測定可能なオゾンガスセンサ16を更に備えてもよい。これにより、試験容器11内のオゾンガス濃度が耐候性試験の促進に適切な値となっているかを知ることができ、耐候性試験の促進をより確実に行うことが可能となる。
【0060】
耐候性試験装置1,1Aは、オゾン生成器15,15A及びオゾンガスセンサ16を制御する制御部17を更に備えており、制御部17は、オゾンガスセンサ16で検出されたオゾンガス濃度が設定値となるようにオゾン生成器15,15Aによって生成するオゾンの量を制御する。これにより、試験容器11内のオゾンガス濃度が耐候性試験の促進に適切な設定値となっているかを調整することができ、耐候性試験の促進をより確実に行うことが可能となる。
【0061】
耐候性試験装置1,1Aでは、試験容器11内の雰囲気におけるオゾンガス濃度は0.2ppm以上である。これにより、オゾンガスによる耐候性試験装置の促進をより確実に実施することが可能となる。
【0062】
耐候性試験装置1,1Aは、試験容器11内の圧力を調整する圧力調整器18と、試験容器11内に酸素ガスを含む気体を導入するガス導入部19と、気体を加湿する加湿部20と、試料の温度を調整する温度調整部21と、圧力、気体の導入量、気体の湿度、及び試料の温度のそれぞれを計測する圧力計22,ガス濃度計23,湿度計24,温度計25等の計測部と、計測部による計測値に基づいて、圧力調整器18、ガス導入部19、加湿部20、温度調整部21、光照射装置12、及び、液体噴霧装置13等を制御する制御部17とを更に備えている。これにより、熱、水(雨)、酸素による試料の劣化を評価する耐候性試験をより具体的に行うことができ、また加圧することによりその耐候性試験を促進することが可能となる。すなわち、酸素による試料の劣化が促進され、光照射による劣化と、酸素、水(雨)、温度等による劣化とをバランスよく進行させることができ、実環境下で長時間かけて行った耐候性試験と同様の試験結果をより短時間で再現することが可能となる。
【0063】
[第2実施形態]
次に、
図3を参照して、第2実施形態に係る耐候性試験装置2を説明する。
図3は、第2実施形態に係る耐候性試験装置を模式的に示す図である。以下では、第1実施形態に係る耐候性試験装置1,1Aと相違する点を主に説明し、その他の説明は省略することがある。
【0064】
耐候性試験装置2は、
図3に示すように、第1保持部30、第1試験容器31、光照射装置32(劣化環境付与部)、排水機構34、第1オゾン生成器35、オゾンガスセンサ36(オゾン検出器)、第2保持部50、第2試験容器51、液体噴霧装置53(劣化環境付与部)、排水機構54、第2オゾン生成器55、オゾンガスセンサ56(オゾン検出器)、及び、制御部57を備えている。耐候性試験装置2では、第1試験容器31と第2試験容器51とが隣接して配置されており、第1試験容器31内に収納された試料Sを、第1試験容器31の開口31aと第2試験容器51の開口51aとを通って、第2試験容器51内に搬送可能となっている。同様に、耐候性試験装置2では、第2試験容器51内に収納された試料Sを、開口51aと開口31aとを通って、第1試験容器31内に搬送可能となっている。このような搬送は、開口31a,51aに設けれた搬送装置48によって行われる。
【0065】
耐候性試験装置2では、第1試験容器31において、試料Sを第1保持部30に保持させた上で、光照射装置32により試料Sに対して光を継続的に照射して試料Sの劣化を評価する耐候性試験を行う。耐候性試験装置2では、第1試験容器31とは別の第2試験容器51において、試料Sを第2保持部50に保持させた上で、液体噴霧装置53により試料Sに対して液体を継続的に噴霧して試料Sの劣化を評価する耐候性試験を行う。耐候性試験装置2では、第1試験容器31及び第2試験容器51の何れかにおいて、試料Sに光の照射、及び、液体の噴霧を行わない試験(以下、「暗黒試験」とも称す。)を行う。これら耐候性試験により、試料Sが太陽などの光や熱、雨などの水分、大気中の酸素等によってどのくらいで劣化するかという耐候性試験を行う。
【0066】
図3に示すように、搬送装置48は、シャッタ部材49を更に有しており、シャッタ部材49を開けた上で、第1試験容器31及び第2試験容器51間において試料Sを搬送する。即ち、搬送装置48は、シャッタ部材49を開けた状態で、試料Sを第1試験容器31から第2試験容器51に、又は、試料Sを第2試験容器51から第1試験容器31に搬送する。このような構成により、第1試験容器31及び第2試験容器51において、条件が異なる耐侯性試験を繰り返し行うことができる。搬送装置48は、例えばレールと、レール上を移動可能であって試料Sを保持できる機構とから構成される。搬送装置48の操作は、制御部57により制御される。
【0067】
第1保持部30は、第1実施形態の保持部10に対応する部材であり、光照射試験に用いられる試料Sを保持する部材である。第1試験容器31は、第1実施形態の試験容器11に対応し、試料Sに対する光照射試験等を行う試験容器である。第1試験容器31には、光透過部31cが嵌め込まれている。光透過部31cにより、光照射装置32から照射される光Lを減衰させることなく透過させて試料Sに光Lがそのまま照射される。
【0068】
第1試験容器31は、第2試験容器51と隣接する壁部に、試料Sを取出し可能な開口31aを有する。開口31aは、シャッタ部材49によって開閉され、搬送装置48が通過できる。第1試験容器31は、開口31aが後述する開口51aと向かい合うように、第2試験容器51と隣接して設置される。これにより、第1試験容器31と第2試験容器51とは、開口31a及び開口51aを通して、それぞれの内部空間が連通可能となっている。
【0069】
第1試験容器31には、圧力調整器38(圧力調整部)、ガス導入部39、加湿部40、温度調整部41、圧力計42、ガス濃度計43、湿度計44、温度計45、水位センサ46、及び、温度センサ47が設けられている。圧力調整器38、ガス導入部39、加湿部40、温度調整部41、圧力計42、ガス濃度計43、湿度計44、温度計45、水位センサ46及び温度センサ47のそれぞれは、第1実施形態に係る耐候性試験装置1の圧力調整器18、ガス導入部19、加湿部20、温度調整部21、圧力計22、ガス濃度計23、湿度計24、温度計25、水位センサ26及び温度センサ27に対応する。よって、詳細な説明は省略する。
【0070】
第2保持部50は、第1実施形態の保持部10に対応する部材であり、液体噴霧試験に用いられる試料Sを保持する部材である。第2試験容器51は、第1実施形態の試験容器11に対応し、試料Sに対する液体噴霧試験等を行う試験容器である。第2試験容器51は、第1試験容器31と隣接する壁部に、試料Sを取出し可能な開口51aを有する。開口51aは、シャッタ部材49によって開閉され、搬送装置48が通過できる。第2試験容器51は、開口51aが開口31aと向かい合うように、第1試験容器31と隣接して設置される。これにより、第1試験容器31と第2試験容器51とは、開口31a及び開口51aを通して、それぞれの内部空間が連通可能となっている。
【0071】
第2試験容器51では、液体噴霧試験により生じる液体を容器内に滞留させておく必要があるため、第2試験容器51の容積は、第1試験容器31の容積より大きいことが好ましい。すなわち、第1試験容器31は、第2試験容器51よりも小さい容積であることが好ましい。
【0072】
第2試験容器51には、圧力調整器58(圧力調整部)、ガス導入部59、加湿部60、温度調整部61、圧力計62、ガス濃度計63、湿度計64、温度計65、水位センサ66、及び、温度センサ67が設けられている。圧力調整器58、ガス導入部59、加湿部60、温度調整部61、圧力計62、ガス濃度計63、湿度計64、温度計65、水位センサ66及び温度センサ67のそれぞれは、第1実施形態に係る耐候性試験装置1の圧力調整器18、ガス導入部19、加湿部20、温度調整部21、圧力計22、ガス濃度計23、湿度計24、温度計25、水位センサ26及び温度センサ27に対応する。よって、詳細な説明は省略する。
【0073】
この耐候性試験装置2では、第1試験容器31内に第1オゾン生成器35及びオゾンガスセンサ36が設けられ、第2試験容器51内に第2オゾン生成器55及びオゾンガスセンサ56が設けられている。第1オゾン生成器35及び第2オゾン生成器55は、第1実施形態のオゾン生成器15に対応し、オゾンガスセンサ36,56は、第1実施形態のオゾンガスセンサ16に対応する。オゾンガスセンサ36,56からの検出値を制御部57に出力し、制御部57が取得したオゾンガス濃度に基づいて、第1オゾン生成器35及び第2オゾン生成器55によるオゾンの生成を制御する点は、第1実施形態と同様である。
【0074】
この耐候性試験装置2においても、第1実施形態と同様に、光照射試験、液体噴霧試験、及び、暗黒試験を含む耐候性試験を行うことができる。但し、本実施形態に係る耐候性試験装置では、光照射試験は第1試験容器31において行い、液体噴霧試験は第2試験容器51にて行う。この際、各試験に用いる試料Sは、搬送装置48によって、第1試験容器31と第2試験容器51との間を搬送される。また、第1試験容器31において光照射試験を行う際には、第1オゾン生成器35によってオゾンを生成してから試験を行い、第2試験容器51において液体噴霧試験を行う際には、第2オゾン生成器55によってオゾンを生成してから試験を行う。
【0075】
以上、耐候性試験装置2では、第1実施形態と同様に、光照射及び液体噴霧といった劣化環境を試料Sに対して供与する光照射装置32及び液体噴霧装置53を備えており、これら装置が試料Sに対して劣化環境を供与する際に第1試験容器31及び第2試験容器51内の雰囲気にオゾンガスを含ませる。このように、耐候性試験装置2では、オゾンガスを含む雰囲気下で耐候性試験を行うことができるため、光照射や液体噴霧等による耐候性試験を、光量や圧力を大きく変更することなく、促進することが可能である。
【0076】
耐候性試験装置2は、第1試験容器31及び第2試験容器51を含んでおり、劣化環境供与部として、第1試験容器31に収納された試料Sに対して光を照射するように構成された光照射装置32と、第2試験容器51に収納された試料Sに対して液体を噴霧するように構成された液体噴霧装置53とを有している。そして、耐候性試験装置2は、試料Sを第1試験容器31と第2試験容器51との間で搬送可能なように構成されている。このため、第2試験容器51内において試料Sに対して液体噴霧試験を行った後に、試料Sを、第1試験容器31へすぐに搬送することができる。これにより、液体噴霧試験後における試験容器内の湿度を調整しなくても、別の試験容器内において光照射による耐候性試験を行える。したがって、耐候性試験装置2によれば、耐候性試験を促進しつつ、効率的に耐候性試験を実施することができる。
【0077】
耐候性試験装置2は、オゾンガスを生成する第1オゾン生成器35と、オゾンガスを生成する第2オゾン生成器55とを備えており、第1オゾン生成器35で生成されたオゾンガスは第1試験容器31内に含まれ、第2オゾン生成器55で生成されたオゾンガスは、第2試験容器51内に含まれるようになっている。この場合、片方の容器内にのみオゾン生成器を備えた場合よりも耐候性試験を更に促進することが可能となる。更に、各試験容器内のオゾン濃度を個別に設定できるため、各試験容器内での試験に応じた試験条件を設定して、より効果的な耐候性試験を実施することが可能となる。なお、
図2に示す耐候性試験装置2では、第1オゾン生成器35及び第2オゾン生成器55が試験容器内に含まれる構成となっているが、変形例に係る耐候性試験装置1Aのように、第1オゾン生成器35及び第2オゾン生成器55を試験容器の外に配置してもよい。この場合、第1オゾン生成器35は、ガス導入部39に組み込んでもよく、第2オゾン生成器55は、ガス導入部59に組み込んでもよい。
【0078】
[第3実施形態]
次に、
図4を参照して、第3実施形態に係る耐候性試験装置3を説明する。
図4は、第3実施形態に係る耐候性試験装置を模式的に示す図である。以下では、第1実施形態に係る耐候性試験装置1等と相違する点を主に説明し、その他の説明は省略することがある。
【0079】
耐候性試験装置3は、
図4に示すように、保持部70、試験容器71、光照射装置72(劣化環境付与部)、液体噴霧装置73(劣化環境付与部)、排水機構74、オゾン生成器75、オゾンガスセンサ76(オゾン検出器)、及び、制御部77を備えている。耐候性試験装置3は、更に、圧力調整器78(圧力調整部)、ガス導入部79、加湿部80、圧力計82、ガス濃度計83、湿度計84、温度計85、水位センサ86、及び、温度センサ87を備えていてもよい。圧力調整器78、ガス導入部79、加湿部80、圧力計82、ガス濃度計83、湿度計84、温度計85、水位センサ86、及び、温度センサ87のそれぞれは、第1実施形態に係る圧力調整器18、ガス導入部19、加湿部20、圧力計22、ガス濃度計23、湿度計24、温度計25、水位センサ26、及び、温度センサ27に対応する。
【0080】
保持部70は、
図4に示すように、耐候性試験に用いられる試料Sを保持する部材である。試料Sは、例えば、保持部70上に配置されて、アルミテープなどで貼り付けられることにより保持される。保持部70は、例えば複数の試料Sを保持可能な部材であり、光照射装置72の周囲を回転可能なように構成されている。つまり、耐候性試験装置3では、複数の試料Sを同心円状に配置することができる。保持部70は、複数の試料Sを保持できるように複数の平面部が連結される構成であってもよい。保持部70には、温度センサ87が取り付けられており、保持部70に保持された試料Sの温度が測定される。
【0081】
試験容器71は、試料Sに対して光照射や液体噴霧等の各種の耐候性試験を行うための圧力容器であり、基本的な構成は、試験容器11と同様である。但し、試験容器71内には、光照射装置72及び液体噴霧装置73の両方が配置されており、その分、試験容器71が大きくなるように構成されている。但し、試験容器71には、試験容器11のような光透過部11cは設けられていない。
【0082】
光照射装置72は、試験容器71の上下方向に延在する光源を有し、試料Sに対して光照射といった劣化環境を供与する装置である。光照射装置72は、当該装置の周りを回転する試料Sに対して均等に光を照射するように構成されていることが好ましく、例えば、光照射装置72を中心軸として360度の回転方向に光を照射する。光照射装置72から照射される光は、少なくとも紫外線を含んでいることが好ましい。
【0083】
液体噴霧装置73は、試験容器71において、保持部70により保持された複数の試料Sに対して液体を噴霧する装置である。液体噴霧装置73は、光照射装置72に近接して設けてもよく、保持部70によって光源の周りを回転する試料Sに対して所定量の液体を噴霧する。液体噴霧装置73は、試料Sに対して液体(例えば水)を噴霧する複数の噴霧部73aと、噴霧する液体を収納する噴霧タンク73bとを有している。複数の噴霧部73aは、例えば、各試料Sに対応する。噴霧部73aは、試料Sに例えば液体を噴霧できればよく、例えばスプレーノズルである。液体噴霧装置73で噴霧する液体は、純水、水道水、酸性雨を模したペーハー(pH)を調整した水、金属イオンを含んだ水、またはこれらを混合した水等であってもよい。これにより、実環境下での雨を模擬することができる。
【0084】
オゾン生成器75は、第1実施形態のオゾン生成器15,15Aに対応し、オゾンガスを生成する装置である。オゾン生成器75は、試験容器71内に酸素等を含むガスを導入するガス導入部79内に組み込まれており、酸素等を含むガスと共にオゾンガスを試験容器71内に導入する。これにより、耐候性試験装置3において、光照射や液体噴霧といった劣化環境を付与して耐候性試験を行う場合、試料Sの劣化を促進させて試験を行うことができる。なお、オゾンガスセンサ76からの検出値を制御部77に出力し、制御部77が取得したオゾンガス濃度に基づいて、オゾン生成器75によるオゾンの生成を制御する点は、第1実施形態等と同様である。
【0085】
ガス導入部79は、第1実施形態のガス導入部19に対応し、酸素ガス及び窒素ガスを含むガスを試験容器71内に導入する装置である。ガス導入部79は、ガス導入管79a、酸素流量調整器79b、窒素流量調整器79c、及び、ガス温度調整器79dにより構成される。オゾン生成器75は、ガス導入管79aに取り付けられており、酸素及び窒素を含むガスにオゾンガスを含ませて、試験容器71内にオゾンガスを導入する。
【0086】
この耐候性試験装置3においても、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、オゾンガスを試験容器71内に導入した雰囲気下において、光照射試験、液体噴霧試験、及び、暗黒試験を含む耐候性試験を行うことができる。
【0087】
以上、耐候性試験装置3は、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、光照射及び液体噴霧といった劣化環境を試料Sに対して供与する光照射装置72及び液体噴霧装置73を備えており、これら装置が試料Sに対して劣化環境を供与する際に試験容器71内の雰囲気にオゾンガスを含ませることができる。このように、耐候性試験装置3では、オゾンガスを含む雰囲気下で耐候性試験を行うことができるため、光照射や液体噴霧等による耐候性試験を、光量や圧力を大きく変更することなく、促進することが可能である。
【0088】
なお、
図4に示す耐候性試験装置3では、オゾン生成器75をガス導入部79に組み入れる構成であったが、この構成に限られない。例えば、
図5に示す変形例のように、オゾン生成器75Aを試験容器71内に配置した耐候性試験装置3Aとしてもよい。この場合であっても、オゾンガスを含む雰囲気下で耐候性試験を行って、試料Sの劣化を促進することが可能である。
【0089】
以上、本実施形態に係る耐候性試験装置について説明してきたが、本発明に係る耐候性試験装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形を適用することができる。
【符号の説明】
【0090】
1,1A,2,3,3A…耐候性試験装置、10,70…保持部、11,71…試験容器、11c…光透過部、12,32,72…光照射装置(劣化環境供与部)、12a…光源、12b…コリメートレンズ、13,53,73…液体噴霧装置(劣化環境供与部)、15,75,75A…オゾン生成器、16,76…オゾンガスセンサ(オゾン検出器)、17,57,77…制御部、18,38,58…圧力調整器、19,39,59,79…ガス導入部、20,40,60,80…加湿部、21,41,61…温度調整部、30…第1保持部、31…第1試験容器、35…第1オゾン生成器、50…第2保持部、51…第2試験容器、55…第2オゾン生成器。