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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062086
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】研磨材
(51)【国際特許分類】
   B24D 11/00 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
B24D11/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169860
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005061
【氏名又は名称】バンドー化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】ヨン イエンキ
【テーマコード(参考)】
3C063
【Fターム(参考)】
3C063AA02
3C063BA03
3C063BA34
(57)【要約】
【課題】板材の厚さのばらつきを従来よりも抑えることが可能となる研磨材を提供する。
【解決手段】研磨材10は、環状の基材20、および、砥粒24を含み基材20の第一面21に多数設けられている凸部23を有する。第一面21は、基材20の外周側に位置する環状の第一領域K1と、前記第一領域K1の内周側に位置する第二領域K2とを有する。第二領域K2における凸部23の密度は、第一領域K1における凸部23の密度よりも低い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の基材、および、砥粒を含み前記基材の第一面に多数設けられている凸部を有し、
前記第一面は、
前記基材の外周側に位置する環状の第一領域と、
前記第一領域の内周側に位置する第二領域と、を有し、
前記第二領域における前記凸部の密度は、前記第一領域における前記凸部の密度よりも低い、
研磨材。
【請求項2】
第一中心を基準とする環状のエリアに配置され前記第一中心まわりに回転する板材の表面を研磨するため、第二中心まわりに回転する環状の研磨材であって、
前記第一面は、前記第二領域の内周側に位置する第三領域を有し、
前記第一面に直交する方向から見た場合の前記第一中心と前記第二中心とを結ぶ線分と、前記第一領域と前記第二領域との境界線との交点は、前記板材の内接円よりも前記第一中心に近い位置にあり、
前記第三領域は、前記板材の外接円よりも前記第一中心に近い側で、前記線分と交差する領域である、請求項1に記載の研磨材。
【請求項3】
前記第三領域における前記凸部の密度は、前記第二領域における前記凸部の密度よりも高い、請求項2に記載の研磨材。
【請求項4】
前記第二領域は、前記凸部の密度が低い第一弧領域と、前記第一弧領域よりも前記凸部の密度が高い第二弧領域と、を有し、
前記第一弧領域と前記第二弧領域とは周方向に沿って交互に配置されている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の研磨材。
【請求項5】
前記第二領域は、周方向に沿って前記凸部の密度が一定である領域を有する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の研磨材。
【請求項6】
第二中心まわりに回転する研磨材であって、
前記第二領域は、前記第二中心を基準とした放射方向に向かうにしたがって回転方向の前方または後方に向かう仮想線に沿って、前記凸部が配置されている領域を有する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の研磨材。
【請求項7】
前記第三領域における前記凸部の密度は、前記第二領域における前記凸部の密度よりも高く、
前記線分と、前記第二領域と前記第三領域との境界線との交点は、前記内接円よりも前記第二中心に近い位置であって、前記板材の前記表面の中央点を通過する仮想円よりも前記第一中心に近い位置にある、請求項2に記載の研磨材。
【請求項8】
第二中心まわりに回転する研磨材であって、
前記第二領域は、前記第二中心を基準とする放射方向の幅寸法が前記第一領域よりも小さい領域であって、かつ、前記凸部が周方向に沿って連続して設けられている領域を有する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の研磨材。
【請求項9】
前記第三領域は、周方向に沿って前記凸部が間欠的となって配置されている間欠領域と、前記間欠領域の内周側および外周側に前記凸部が周方向に沿って連続的となって配置されている連続領域と、を有する、請求項2または請求項3に記載の研磨材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨材に関する。
【背景技術】
【0002】
板材の表面を研磨するために研磨材が用いられる。例えば特許文献1に、円環状の研磨材が開示されている。板材の厚さにばらつきが生じないように研磨することが必要となる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2017-514716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
研磨材は、環状の基材、および、その基材に多数設けられている凸部を有する。各凸部に砥粒が含まれる。図9は、従来の研磨材90を用いた研磨装置のイメージ図である。研磨装置は、第一中心C1まわりに回転する下定盤91と、第二中心C2まわりに回転する上定盤92とを有する。
【0005】
下定盤91に研磨対象となる板材99が固定され、上定盤92に研磨材90が固定される。下定盤91に環状のエリア93が設けられていて、そのエリア93に板材99が配置される。図9では、板材99の外周輪郭形状と環状のエリア93の外周輪郭形状とを同じ形状としている。図9に示す研磨材90の場合、砥粒を含む凸部95は、円環状である基材94の全面に均等に分布して設けられている。上定盤92とともに研磨材90は高速回転するのに対して、下定盤91上の板材99は低速回転する。
【0006】
環状のエリア93と、上定盤92における研磨材90の円形取り付け面とが重なる範囲が研磨領域となる。板材99が前記研磨領域を通過する間、その板材99の表面のうち、第一中心C1に近い側である内寄り面98を、高速回転する研磨材90は、連続的に通過する。このため、図9に示す研磨材90の場合、外寄り面97と比べて内寄り面98で凸部95の接触頻度が高くなる。その結果、板材99の表面において、外寄り面97と比べて内寄り面98で研磨量が多くなり、研磨後の板材99の厚さにばらつきが生じることが考えられる。
【0007】
特に片面研磨方式の場合、研磨後の板材99の厚さ(例えば、TTV)の管理が難しい。研磨精度を高めるため、例えば、研磨材90の切込み量を調整したり、研磨材90の再ドレスによる研磨レートの回復を頻繁に行ったりするなどの対策が行われる。しかし、この場合、工程が安定せず、作業が標準化されず、作業者の経験が板材99の厚さ管理に大きな影響を与える。
【0008】
そこで、本発明は、板材の厚さのばらつきを従来よりも抑えることが可能となる研磨材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の研磨材は、環状の基材、および、砥粒を含み前記基材の第一面に多数設けられている凸部を有し、前記第一面は、前記基材の外周側に位置する環状の第一領域と、前記第一領域の内周側に位置する第二領域と、を有し、前記第二領域における前記凸部の密度は、前記第一領域における前記凸部の密度よりも低い。
前記研磨材によれば、研磨対象となる板材の表面の各部において、凸部の接触頻度に大きな差が生じないようにすることが可能となる場合がある。その結果、研磨後において、板材の厚さのばらつきを抑えることが可能となる。
【0010】
(2)第一中心を基準とする環状のエリアに配置され前記第一中心まわりに回転する板材の表面を研磨するため、第二中心まわりに回転する環状の研磨材であって、前記第一面は、前記第二領域の内周側に位置する第三領域を有し、前記第一面に直交する方向から見た場合の前記第一中心と前記第二中心とを結ぶ線分と、前記第一領域と前記第二領域との境界線との交点は、前記板材の内接円よりも前記第一中心に近い位置にあり、前記第三領域は、前記板材の外接円よりも前記第一中心に近い側で、前記線分と交差する領域である。
【0011】
前記研磨材によれば、板材の表面のうち、板材の内接円に近い側の内寄り面に対して、研磨材は連続的に通過する。これに対して、板材の表面のうち、板材の外接円に近い側の外寄り面に対して、研磨材は非連続的で通過する。研磨材の第一領域と第三領域との間に、凸部の密度が低い第二領域が設けられていて、第一中心と第二中心とを結ぶ線分と、第一領域と第二領域との境界線との交点が、前記位置にある。この構成により、内寄り面に対する凸部の接触頻度を下げることが可能となる。その結果、内寄り面で研磨量が偏って多くならず、板材の厚さのばらつきを抑えることが可能となる。
【0012】
(3)好ましくは、前記第三領域における前記凸部の密度は、前記第二領域における前記凸部の密度よりも高い。
前記構成によれば、第二領域における凸部の密度が低くなる。板材の表面のうち、内寄り面に対する凸部の接触頻度を下げることが可能となる。板材の表面のうち、外寄り面に対する凸部の接触頻度が確保され、外寄り面における研磨量が極端に少なくならず、板材の厚さのばらつきをより効果的に抑えることが可能となる。
【0013】
(4)前記(1)から(3)のいずれか一項に記載の研磨材において、好ましくは、前記第二領域は、前記凸部の密度が低い第一弧領域と、前記第一弧領域よりも前記凸部の密度が高い第二弧領域と、を有し、前記第一弧領域と前記第二弧領域とは周方向に沿って交互に配置されている。
前記構成によれば、第一領域と比較して第二領域では凸部が粗であるが、第二領域において凸部が点在する。研磨材と板材との摺接状態が安定する。
【0014】
(5)前記(1)から(3)のいずれか一項に記載の研磨材において、好ましくは、前記第二領域は、周方向に沿って前記凸部の密度が一定である領域を有する。
前記構成によれば、第一領域と比較して第二領域では凸部が粗であるが、第二領域において凸部が点在する。研磨材と板材との摺接状態が安定する。
【0015】
(6)前記(1)から(5)のいずれか一つの研磨材において、好ましくは、第二中心まわりに回転する研磨材であって、前記第二領域は、前記第二中心を基準とした放射方向に向かうにしたがって回転方向の前方または後方に向かう仮想線に沿って、前記凸部が配置されている領域を有する。
前記構成によれば、研磨の際にクーラントが用いられる場合、研磨材の回転によって、クーラントが研磨材の全体に供給されやすい場合がある。また、研磨によって生じる切り屑の排出性能を高めることが可能となる場合がある。
【0016】
(7)前記(2)の研磨材において、好ましくは、前記第三領域における前記凸部の密度は、前記第二領域における前記凸部の密度よりも高く、前記線分と、前記第二領域と前記第三領域との境界線との交点は、前記内接円よりも前記第二中心に近い位置であって、前記板材の前記表面の中央点を通過する仮想円よりも前記第一中心に近い位置にある。
前記構成によれば、板材の表面のうち、内寄り面で研磨量が偏って多くならないとともに、外寄り面における研磨量が極端に少なくならず、板材の厚さのばらつきをより効果的に抑えることが可能となる。
【0017】
(8)前記(1)から(7)のいずれか一つの研磨材において、好ましくは、第二中心まわりに回転する研磨材であって、前記第二領域は、前記第二中心を基準とする放射方向の幅寸法が前記第一領域よりも小さい領域であって、かつ、前記凸部が周方向に沿って連続して設けられている領域を有する。
前記構成によれば、板材の表面のうち、外寄り面に対する凸部の接触頻度が確保される。
【0018】
(9)前記(2)から(7)のいずれか一つの研磨材において、好ましくは、前記第三領域は、周方向に沿って前記凸部が間欠的となって配置されている間欠領域と、前記間欠領域の内周側および外周側に前記凸部が周方向に沿って連続的となって配置されている連続領域と、を有する。
前記構成によれば、板材の各部において、凸部の接触頻度の最大値と最小値との差を、より小さくすることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、研磨材が有する凸部の配置によって、研磨対象となる板材の厚さのばらつきを、従来よりも抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】研磨材を用いた研磨装置のイメージ図である。
図2】研磨材の一部を模式的に示す断面図である。
図3図1に示す研磨材の説明図である。
図4】研磨材の変形例(その1)を示す説明図である。
図5】研磨材の変形例(その2)を示す説明図である。
図6】板材の各位置と、その板材と凸部との接触頻度との関係を示すグラフである。
図7】研磨材の変形例(その3)を示す説明図である。
図8】板材の各位置と、その板材と凸部との接触頻度との関係を示すグラフである。
図9】従来の研磨材を用いた研磨装置のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、研磨材を用いた研磨装置のイメージ図である。図1に示す研磨装置5は、研磨対象となる板材9が固定される下定盤6と、研磨材10が固定される上定盤7とを有する。下定盤6は、第一中心C1まわりに回転する。上定盤7は、第二中心C2まわりに回転する。上定盤7とともに研磨材10は高速回転するのに対して、下定盤6上の板材9は上定盤7よりも低速回転する。例えば、板材9側の回転速度は研磨材10側の回転速度の1/30である。
【0022】
下定盤6に、第一中心C1を基準とする環状のエリア8が設けられている。なお、前記「基準とする」は「中心とする」と同じ意味である。そのエリア8に板材9が配置される。板材9の固定は例えばエアを用いた吸引により行われる。図1は、板材9の形状を環状のエリア8の形状と同じとして示しているが、板材9の形状は様々である。環状のエリア8の範囲内に、例えば矩形の板材9が第一中心C1を基準として複数配置されていてもよく、1枚の板材9が第一中心C1を基準として配置されていてもよい。例えば、板材9が矩形の薄板部材である場合、その板材9の長手方向が、第一中心C1を基準とする放射方向と一致するようにして、板材9は下定盤6に固定される。板材9の材質は、例えば、金属、樹脂、シリコン、シリコンカーバイド、ガラス、または、サファイアなどである。
【0023】
研磨材10は環状である。図2は、研磨材10の一部を模式的に示す断面図である。研磨材10は、研磨パッド11と支持体12とを備える。研磨パッド11は、環状の基材20と、その基材20の表面となる第一面21に多数設けられている凸部23とを有する。多数の凸部23は第一面21に沿って点在していて、これら凸部23により研磨層が構成される。各凸部23は、砥粒24を含む。研磨材10が第二中心C2(図1参照)まわりに回転し、第一中心C1まわりに回転する板材9の表面を研磨する。研磨材10の研磨層が、板材9の表面に摺接する。
【0024】
研磨材10は、第一接着層13と第二接着層14とを備える。第一接着層13は、研磨パッド11の裏面となる第二面22と、支持体12の表面16とを接着する。第二接着層14は、支持体12の裏面17と、上定盤7とを接着する。研磨材10を構成する各部については後に説明する。
【0025】
研磨材10が有する基材20の第一面21に直交する方向から、研磨装置5を見た場合(図1参照)、第一中心C1と第二中心C2との距離は、板材9の外接円Q2の半径r1と、研磨パッド11の外周における半径r2との和よりも小さい。第一中心C1と第二中心C2との距離は、半径r1よりも大きく、半径r2よりも大きい。第一中心C1と第二中心C2との距離は、半径r2以下であってもよい。環状のエリア8と、上定盤7における研磨材10の円形取り付け面とが重なる範囲が、研磨領域となる。言い換えると、環状のエリア8と、研磨材10の外周輪郭線で囲われる範囲の全部とが重なる範囲が、研磨領域となる。
【0026】
下定盤6の環状のエリア8において、同じ形状である複数の板材9が配置される場合、これら板材9は、第一中心C1を基準として周方向に等間隔で並んで配置される。このため、環状のエリア8に、複数の板材9の内接円Q1を定義することができ、また、複数の板材9の外接円Q2を定義することができる。複数の板材9それぞれの表面の中央点Gを通過する仮想の円を「仮想円Z」と定義する。仮想円Zの中心は、第一中心C1と一致する。
【0027】
また、内接円Q1、外接円Q2および仮想円Zは、次のように定義することができる。内接円Q1は、第一中心C1を基準とする円であって、環状のエリア8に配置された板材9のうち第一中心C1に最も近い点を通過する円である。外接円Q2は、第一中心C1を基準とする円であって、環状のエリア8に配置された板材9のうち第一中心C1から最も離れる点を通過する円である。仮想円Zは、第一中心C1を基準とする円であって、環状のエリア8に配置された板材9の表面の放射方向について中心の一点(中央点G)を通過する円である。
【0028】
〔研磨材10の各部について〕
図2に示すように、研磨パッド11と支持体12とが積層されて一体となることで、研磨材10が構成される。
研磨パッド11の基材20は、特に限定されないが、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、アラミド、アルミニウム、銅などが挙げられる。
【0029】
研磨パッド11の各凸部23は、砥粒24とバインダ25とを有する。凸部23は、基材20の第一面21から突出して設けられている。各凸部23は柱状であり、本実施形態では円柱状である。凸部23の大きさは、全て同じであってもよく、異なっていてもよい。本実施形態では、全ての凸部23の形状および大きさが同じである。
砥粒24として、ダイヤモンド砥粒、アルミナ砥粒、シリカ砥粒、セリア砥粒、炭化ケイ素砥粒などが挙げられる。砥粒24の平均粒子径は、研磨レートと研磨後の板材9の表面粗さとの観点から適宜選択される。
【0030】
バインダ25は、特に限定されないが、その主成分として、樹脂又は無機物が挙げられる。樹脂の場合、例えば、ポリウレタン、ポリフェノール、エポキシ樹脂、ポリエステル、セルロース、エチレン共重合体、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド等が挙げられる。無機物の場合、例えば、ケイ酸塩、リン酸塩、多価金属アルコキシド等が挙げられる。
【0031】
支持体12は、研磨パッド11と同じ円環形状を有する薄いシートである。支持体12は、特に限定されないが、その主成分として、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性を有する樹脂、または、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのエンジニアリングプラスチックが挙げられる。
【0032】
第一接着層13は、基材20と支持体12とを接着する。第一接着層13は、接着剤を有する。その接着剤は、特に限定されないが、例えば反応型接着剤、瞬間接着剤、ホットメルト接着剤、貼り替え可能な接着剤などが挙げられる。
第二接着層14は、支持体12と上定盤7とを接着する。第二接着層14は、支持体12の裏面17に沿って設けられている接着剤の層と、その接着剤の層を覆う離型シートとを有する。離型シートを剥がすことで、支持体12を上定盤7に固定することが可能となる。
【0033】
〔凸部23の配置について〕
図3は、図1に示す研磨材10の説明図である。図1および図3に示すように、基材20の第一面21は、基材20の外周側に位置する環状の第一領域K1と、第一領域K1の内周側に位置する第二領域K2とを有する。第一面21は、さらに、第二領域K2の内周側に位置する第三領域K3を有する。つまり、第一面21は、基材20の外周側に位置する環状の第一領域K1と、基材20の内周側に位置する環状の第三領域K3と、第一領域K1と第三領域K3との間に位置する環状の第二領域K2とを有する。本実施形態では、第一領域K1の外周縁が、基材20(第一面21)の外周縁と一致し、第三領域K3の内周縁が、基材20(第一面21)の内周縁と一致する。このため、基材20の第一面21は、基材20の外周縁27を含む環状の第一領域K1と、基材20の内周縁28を含む環状の第三領域K3と、第一領域K1と第三領域K3との間に位置する環状の第二領域K2とを有する。第一領域K1、第二領域K2および第三領域K3は、同心状に形成されている。研磨材10が上定盤7に固定された状態で、第一領域K1、第二領域K2および第三領域K3の中心は第二中心C2と一致する。なお、第一領域K1の外周縁の直径が、基材20(第一面21)の外周縁の直径よりも僅かに小さくてもよく、第三領域K3の内周縁の直径が、基材20(第一面21)の内周縁の直径よりも僅かに大きくてもよい。
【0034】
ここで、研磨材10における方向を定義する。研磨材10の中心(第二中心C2)を基準とする円に沿った方向を「周方向」と定義する。中心(第二中心C2)を基準とした放射方向を「径方向」と呼ぶこともできる。
【0035】
第一面21に直交する方向から見た場合の第一中心C1と第二中心C2とを結ぶ線分を「L」とする。線分Lと、第一領域K1と第二領域K2との境界線F1との交点を「P1」とする。線分L上の交点P1は、板材9の内接円Q1よりも、第一中心C1に近い位置にある。
【0036】
第三領域K3は、板材9の外接円Q2よりも、第一中心C1に近い側で、線分Lと交差する領域である。線分Lと、第二領域K2と第三領域K3との境界線F2との交点を「P2」とする。線分L上の交点P2は、内接円Q1よりも第二中心C2に近い位置であって、前記仮想円Zよりも第一中心C1に近い位置にある。
【0037】
以上のように区画された各領域における凸部23の密度および配置について説明する。なお、密度は、第一面21における、単位面積当たりの凸部23の面積であり、面積率と呼ぶこともできる。なお、前記「凸部23の面積」は、板材9に対する凸部23の接触面積であり、単位面積に含まれる複数の凸部23の総接触面積である。
【0038】
図3に示すように、第二領域K2における凸部23の密度は、第一領域K1における凸部23の密度よりも低い。第三領域K3における凸部23の密度は、第二領域K2における凸部23の密度よりも高い。このように、凸部23の密度が、放射方向(径方向)に沿った各領域で異なっている。なお、図示しないが、第二領域K2に凸部23が設けられていなくてもよく、この場合、第二領域K2における凸部23の密度はゼロ%となる。
【0039】
各領域における凸部23の密度の一例について説明する。第一領域K1における密度は30%以上であるのが好ましい。第一領域K1における密度は65%以下であるのが好ましい。第一領域K1における密度を30%以上として、密度を高く設定することで、研磨材10による研磨効率の低下が抑えられる。第一領域K1における密度を65%以下とすることで、研磨により生じる切り屑の排出性能を確保することが可能となる。
第一領域K1と第三領域K3とで凸部23の密度は同じであってもよい。または、凸部23の密度について、第三領域K3よりも第一領域K1の方が高くてもよく、第一領域K1よりも第三領域K3の方が高くてもよい。
【0040】
第二領域K2における密度はゼロ%以上である。第二領域K2における密度は30%以下であるのが好ましい。第二領域K2における密度を30%以下とすることで、後に説明するが、板材9の表面のうちの内寄り面32に対する凸部23の接触頻度を効果的に下げることが可能となる。
【0041】
第一領域K1と第二領域K2との密度の比は、次の式(1)を満たすように設定されていてもよい。
(第一領域K1の密度)/(第二領域K2の密度)≧3 ・・・ 式(1)
これにより、全体としての研磨効率の低下が抑えられるともに、板材9の表面の各部において、凸部23の接触頻度に大きな差が生じないようにすることが可能となる。
なお、前記式(1)で定義する比については、第一領域K1、第二領域K2および第三領域K3それぞれの密度を前記の値のように設定した上で、満たしてもよく、または、前記の値の範囲外で、満たしてもよい。
【0042】
また、第一領域K1全体に対する、その第一領域K1に含まれる全ての凸部23の総面積(総接触面積)の割合を「第一領域K1の全体密度」と定義する。第二領域K2全体に対する、その第二領域K2に含まれる全ての凸部23の総面積(総接触面積)の割合を「第二領域K2の全体密度」と定義する。第三領域K3全体に対する、その第三領域K3に含まれる全ての凸部23の総面積(総接触面積)の割合を「第三領域K3の全体密度」と定義する。本実施形態では、第二領域K2の全体密度は、第一領域K1の全体密度よりも低い。また、第三領域K3の全体密度は、第二領域K2の全体密度よりも高い。
【0043】
図3に示す研磨材10において、第二領域K2を周方向に沿って複数に均等に区画した場合に、その第二領域K2は、周方向に沿って交互に配置される第一弧領域M1と第二弧領域M2とを有する。第一弧領域M1は、凸部23の密度が低い領域であり、第二弧領域M2は、第一弧領域M1よりも凸部23の密度が高い領域である。なお、第二弧領域M2は、第一領域K1と比較して、凸部23の密度が低い。
【0044】
図4は、研磨材10の変形例(その1)を示す説明図である。図4に示す研磨材10は、図3に示す研磨材10と比較すると、第二領域K2における凸部23の配置が異なるが、それ以外は、同じである。同じ構成については、同じ符号が付されており、同じ構成の説明をここでは省略する。
【0045】
図4に示す研磨材10の場合、第二領域K2は、周方向に沿って凸部23の密度が一定である領域を有する。図4に示す形態では、第二領域K2の全体が、周方向に沿って凸部23の密度が一定である。凸部23の密度は、第二領域K2の全周で一定である。
【0046】
図3に示す形態、および、図4に示す変形例(その1)の場合、第一領域K1と比較して第二領域K2では凸部23が粗であるが、第二領域K2において凸部23が点在する。このため、研磨材10の研磨層と板材9の表面との摺接状態が安定し、研磨精度が向上する。第二領域K2において凸部23が点在することで、研磨の際に、第二領域K2の落ち込み(つまり、板材9に対する第二領域K2の接近)を抑えることができる。その結果、板材9および凸部23の破損を防ぐことが可能となる。
【0047】
図5は、研磨材10の変形例(その2)を示す説明図である。図5に示す研磨材10は、図3に示す研磨材10と比較して、第二領域K2と第三領域K3との境界線F2の位置、および、第二領域K2における凸部23の配置が異なるが、それ以外は、同じである。同じ構成については、同じ符号が付されており、同じ構成の説明をここでは省略する。
【0048】
図5に示す研磨材10は、図3に示す研磨材10と比較すると、第二領域K2の放射方向についての範囲(幅)が広い。図5に示す第二領域K2は、外周側の外領域N1と、内周側の内領域N2とを有する。
外領域N1に、仮想線Sに沿って複数の凸部23が並んで設けられている。前記仮想線Sは、第二中心C2を基準とした放射方向に向かうにしたがって、研磨材10の回転方向の前方に向かう仮想の線である。前記放射方向は、第二中心C2から径方向について外側に向かう方向である。または、仮想線Sは、放射方向に向かうにしたがって、研磨材10の回転方向の後方に向かう仮想の線であってもよい。
【0049】
仮想線Sに沿って並ぶ複数の凸部23を一つの「グループ」とした場合、外領域N1に、前記グループが周方向に沿って間隔をあけて複数設けられている。
第二領域K2は、仮想線Sに沿って凸部23が配置されている領域を有していればよく、その領域は、外領域N1ではなく、図示しないが内領域N2であってもよい。
【0050】
外領域N1と内領域N2との間に、凸部23が周方向に沿って連続して設けられている。ただし、その周方向に沿って連続する複数の凸部23が形成されている領域N3は、第一領域K1および第三領域K3それぞれよりも放射方向についての範囲(幅)が狭い。
【0051】
〔各研磨材10について〕
図3に示す形態、変形例(1)および変形例(2)を含む本発明の実施形態に係る研磨材10によれば、次に説明するように、研磨後において、板材9の厚さのばらつきを抑えることが可能となる。つまり、研磨対象となる板材9の外接円Q2に近い側の部分と内接円Q1に近い側の部分とで厚さのばらつきを、できるだけ小さくすることが可能となる。なお、板材9の表面のうち、外接円Q2に近い側の面を「外寄り面31」と呼び、内接円Q1に近い側の面を「内寄り面32」と呼ぶ。
【0052】
板材9は第一中心C1まわりに低速回転するが、前記研磨領域では(図1参照)、板材9の表面のうち、内寄り面32に対して、研磨材10は連続的に通過する。これに対して、板材9の表面のうち、外寄り面31に対して、研磨材10は非連続的で通過する。そこで、研磨材10の第一領域K1と第三領域K3との間に、凸部23の密度が低い第二領域K2が設けられている。第一中心C1と第二中心C2とを結ぶ線分Lと、第一領域K1と第二領域K2との境界線F1との交点P1が、内接円Q1よりも第一中心C1に近い位置にある。この構成により、内寄り面32に対する凸部23の接触頻度を下げることが可能となる。その結果、内寄り面32で研磨量が偏って多くならず、板材9の厚さのばらつきを従来よりも抑えることが可能となる。
【0053】
ここで、図6は、板材9の各位置と、その板材9と凸部23との接触頻度との関係を示すグラフである。グラフの横軸は、板材9の表面における位置を示し、横軸の左側が中心C1に近い側(内寄り面32側)である。グラフの縦軸は、凸部23の接触頻度を示す。グラフは、コンピュータを用いたシミュレーションにより得られた結果である。グラフ中の点線は、従来(図9参照)の研磨材90を用いた場合を示す。グラフ中の実線は、図1および図3に示す研磨材10を用いた場合を示す。
【0054】
図6に示すように、点線で示す従来の研磨材90の場合、内寄り面98側で接触頻度が高くなり、外寄り面97側で接触頻度が低くなり、内寄り面98と外寄り面97とで接触頻度に大きな差が生じる。その結果、板材99において、内寄り面98側と外寄り面97側とで厚さのばらつきが大きくなる。
【0055】
これに対して、図1および図3に示す研磨材10の場合、内寄り面32側と外寄り面31側とで、接触頻度の差が、従来よりも小さくなる(図6参照)。その結果、板材9において、内寄り面32側と外寄り面31側とで厚さのばらつきが小さくなる。
【0056】
以上のように、本発明の実施形態に係る研磨材10では、第二領域K2における凸部23の密度が、第一領域K1における凸部23の密度よりも低い。この構成により、板材9の表面において、外寄り面31と内寄り面32とで、凸部23の接触頻度に大きな差が生じないようにすることが可能となる。その結果、研磨後において、板材9の厚さのばらつきを抑えることが可能となる。また、第一領域K1で凸部23の密度が高く設定されることで、全体としての研磨効率の低下が抑えられる。
【0057】
図3に示す形態、変形例(1)および変形例(2)を含む本発明の実施形態に係る研磨材10では、第三領域K3における凸部23の密度は、第二領域K2における凸部23の密度よりも高い。この構成により、外寄り面31に対する凸部23の接触頻度が確保される(図6参照)。その結果、外寄り面31における研磨量が極端に少なくならず、板材9の厚さのばらつきをより効果的に抑えることが可能となる。
【0058】
図3に示す形態、変形例(1)および変形例(2)を含む本発明の実施形態に係る研磨材10では、中心C1と中心C2とを結ぶ線分Lと、第二領域K2と第三領域K3との境界線F2との交点P2は、内接円Q1よりも第二中心C2に近い位置であって、前記仮想円Zよりも第一中心C1に近い位置にある。前記交点P2は、前記研磨領域において、低速回転する板材9の内寄り面32の通過範囲に存在する。この構成により、図6により説明したように、内寄り面32で研磨量が偏って多くならないとともに、外寄り面31における研磨量が極端に少なくならない。板材9の厚さのばらつきをより効果的に抑えることが可能となる。
【0059】
図5に示す研磨材10の場合、第二領域K2は、前記仮想線Sに沿って複数の凸部23が配置されている領域を有する。この構成によれば、研磨の際にクーラントが用いられるが、研磨材10の回転によってクーラントが誘導され、クーラントが研磨材10の全体に供給されやすい。
また、研磨材10の回転方向に応じて仮想線Sの方向を設定することで、研磨によって生じる切り屑を、放射方向(径方向について外側)に誘導して流すことができる。つまり、切り屑の排出性能を高めることが可能となる。なお、前記仮想線Sは、直線であってもよく、曲線であってもよい。また、凸部23の中心が、厳密に仮想線S上に存在していなくてもよい。凸部23が仮想線Sの近傍に存在していればよく、凸部23の一部が仮想線S上に存在していてもよい。
【0060】
図5に示す研磨材10の場合、第二領域K2は、放射方向の幅寸法が第一領域K1よりも小さい領域N3であって、かつ、凸部23が周方向に沿って連続して設けられている領域N3を有する。この構成によれば、外寄り面31に対する凸部23の接触頻度が確保される。その結果、外寄り面31における研磨量が極端に少なくならない。板材9の厚さのばらつきをより効果的に抑えることが可能となる。
【0061】
図7は、研磨材10の変形例(その3)を示す説明図である。図7に示す研磨材10は、図4に示す研磨材10と比較して、第三領域K3における凸部23の配置が異なるが、それ以外は、同じである。同じ構成については、同じ符号が付されており、同じ構成の説明をここでは省略する。図7に示す研磨材10の場合、第三領域K3は、周方向に沿って凸部23が間欠的となって配置されている間欠領域N4を有する。第三領域K3は、さらに、間欠領域N4の内周側および外周側に隣の連続領域N5を有する。連続領域N5それぞれでは、凸部23が周方向に沿って連続的となって配置されている。つまり、間欠領域N4では、周方向に沿って隣り合う2つの凸部23の間に、少なくとも一つの凸部23が占める面積について、欠損部分が存在している。間欠領域N4のみにおける凸部23の密度は、連続領域N5のみにおける凸部23の密度よりも小さい。なお、図4に示す研磨材10の場合、第三領域K3の全体が、凸部23が周方向に沿って連続的となって配置されている。
【0062】
図8は、板材9の各位置と、その板材9と凸部23との接触頻度との関係を示すグラフである。グラフの横軸は、板材9の表面における位置を示し、横軸の左側が中心C1に近い側(内寄り面32側)である。グラフの縦軸は、凸部23の接触頻度を示す。グラフは、コンピュータを用いたシミュレーションにより得られた結果である。グラフ中の一点鎖線は、図4に示す研磨材10を用いた場合を示す。グラフ中の実線は、図7に示す研磨材10を用いた場合を示す。
【0063】
図4及び図7に示す研磨材10によれば、他の形態と同様、内寄り面32側と外寄り面31側とで、接触頻度の差が、従来よりも小さくなる。その結果、板材9において、内寄り面32側と外寄り面31側とで厚さのばらつきが小さくなる。
さらに、図7に示す研磨材10の場合、図8の実線で示すように、板材9の内寄り面32側と外寄り面31側とにおける、凸部23の接触頻度の最大値と最小値との差を、より小さくすることが可能となる。よって、板材9において、内寄り面32側と外寄り面31側とで厚さのばらつきがより一層小さくなる。
【0064】
〔その他〕
図5に示す研磨材10の第二領域K2において、仮想線Sに沿って凸部23が並んで配置される構成(第一の構成)、および、第一領域K1よりも放射方向の幅寸法が小さいが、凸部23が周方向に沿って連続して設けられている構成(第二の構成)のいずれか一方が省略されていてもよい。
または、前記第一の構成と前記第二の構成との少なくとも一方を、図3に示す研磨材10に適用してもよく、図4に示す研磨材10に適用してもよく、また、図7に示す研磨材10に適用してもよい。
各領域における凸部23の配置は、図示した以外であってもよく、本発明の範囲内で変更されてもよい。
【0065】
前記の各研磨材10は、1枚の円環部材により構成されているが、複数枚の扇形部材(例えば中心角が120度である3枚の扇形部材)により構成されていてもよい。この場合、複数枚の扇形部材が上定盤7の円形取り付け面に固定されることで、一つの環状の研磨材10となる。
【0066】
前記の各研磨材10の第一面21は、外周側の領域となる環状の第一領域K1と、内周側の領域となる環状の第三領域K3と、第一領域K1と第三領域K3との間に位置する環状の第二領域K2とを有する。
別の形態として、第一面21は、外周縁27を含む環状の第一領域K1と、その第一領域K1の内周側に位置する第二領域K2とを有する構成であってもよい。つまり、第三領域K3が省略されていて、第二領域K2が、基材20の内周縁28を含む構成であってもよい。
【0067】
前記実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、前記実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0068】
8 エリア
9 板材
10 研磨材
20 基材
21 第一面
23 凸部
24 砥粒
27 外周縁
28 内周縁
C1 第一中心
C2 第二中心
F1 境界線
F2 境界線
G 中央点
K1 第一領域
K2 第二領域
K3 第三領域
L 線分
M1 第一弧領域
M2 第二弧領域
N3 領域
P1 交点
P2 交点
Q1 内接円
Q2 外接円
S 仮想線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9