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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062091
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】インダクタ部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/00 20060101AFI20240430BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
H01F17/00 D
H01F27/29 123
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169867
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】阪口 慎悟
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB04
5E070AB06
5E070CB02
5E070CB13
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】インダクタ部品においてQ値の低下を抑制し、インダクタンス値の向上を図る。
【解決手段】インダクタ部品10は、素体11とインダクタ配線30とを備えている。素体11の外面のうち特定の1つの面を第1主面11A、第1主面11Aに垂直な面の1つを第1端面11C、第1主面11A及び第1端面11Cのいずれにも垂直な面の1つを底面11Eとする。インダクタ配線30は、巻き回し部分30Aを有している。巻き回し部分30Aは、上辺部分301、下辺部分302、第1側辺部分304Aを有している。第1側辺部分304Aは、下辺部分302における第1端面11C側の端から、第1端面11Cに垂直な方向において上辺部分301における第1端面11C側の端と同一位置まで直線状に延びている。第1側辺部分304Aは、その少なくとも一部は、上辺部分301における第1端面11C側の端に対して第1端面11C側に位置している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
6つの外面を有する直方体状の素体と、
前記素体の内部で延びているインダクタ配線と、
を備え、
前記素体は、前記インダクタ配線の第1端に接続している第1電極と、前記インダクタ配線の第2端に接続している第2電極と、を有し、
前記素体の6つの外面のうち、
特定の1つの面を主面とし、
前記主面に垂直な面の1つを端面とし、
前記主面及び前記端面のいずれにも垂直な面の1つを底面とし、
前記底面に平行な面を天面としたとき、
前記第1電極は、前記端面から前記底面にかけての領域で前記素体の外部に露出しており、
前記インダクタ配線は、前記主面に垂直な方向から視て、前記インダクタ配線同士が重なり合った環状の巻き回し部分を有し、
前記巻き回し部分は、
前記天面と平行な部分のうち、最も前記天面に近い上辺部分と、
最も前記底面に近い箇所から、前記端面に垂直な方向において前記上辺部分における前記端面側の端と同一位置まで延びる下辺部分と、
前記下辺部分における前記端面側の端と前記上辺部分における前記端面側の端とを繋ぐ側辺部分と、を有し、
前記側辺部分の少なくとも一部は、前記上辺部分における前記端面側の端に対して前記端面側に位置している
インダクタ部品。
【請求項2】
前記側辺部分の全体が、前記上辺部分における前記端面側の端に対して前記端面側に位置している
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項3】
前記側辺部分は、前記端面に向かって凸となる円弧状に延びている
請求項2に記載のインダクタ部品。
【請求項4】
前記側辺部分は、前記下辺部分における前記端面側の端から前記端面側且つ前記天面側へと斜めに直線状に延びる第1部分と、前記第1部分における前記端面側の端から前記上辺部分における前記端面側の端へと直線状に延びる第2部分と、を有する
請求項2に記載のインダクタ部品。
【請求項5】
前記側辺部分のうちの前記端面との距離が最も近い箇所は、前記第1電極における前記天面側の端に対して前記天面側に位置している
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項6】
前記巻き回し部分は、一定の線幅で延びる配線本体と、前記配線本体の縁から突出する突起部分と、を有している
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項7】
前記突起部分は、前記巻き回し部分の外周側から突出している
請求項6に記載のインダクタ部品。
【請求項8】
前記下辺部分は、前記底面に最も近い箇所で前記底面と平行に延びる部分を有する
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項9】
前記素体の6つの外面のうち、前記端面に平行な面を第2端面とし、
前記下辺部分は、前記底面に最も近い箇所まで前記底面側且つ前記第2端面側に斜めに延びる第1部分と、前記第1部分における前記底面側の端から前記天面側且つ前記第2端面側に延びる第2部分と、を有する
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項10】
前記下辺部分は、前記端面側の端から前記底面に最も近い箇所に向かって曲線状に延びる部分を有する
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項11】
6つの外面を有する直方体状の素体と、
前記素体の内部で延びているインダクタ配線と、
を備え、
前記素体は、前記インダクタ配線の第1端に接続している第1電極と、前記インダクタ配線の第2端に接続している第2電極と、を有し、
前記素体の6つの外面のうち、
特定の1つの面を主面とし、
前記主面に垂直な面の1つを第1端面とし、
前記第1端面に平行な面を第2端面とし、
前記主面及び前記第1端面のいずれにも垂直な面の1つを底面とし、
前記底面に平行な面を天面としたとき、
前記第1電極は、前記底面で前記素体の外部に露出しており、
前記第2電極は、前記底面のうち前記第1電極に対して前記第2端面側に離れた箇所で、前記素体の外部に露出しており、
前記インダクタ配線は、前記主面に垂直な方向から視て、前記インダクタ配線同士が重なり合った環状の巻き回し部分を有し、
前記巻き回し部分は、
前記天面と平行な部分のうち、最も前記天面に近い上辺部分と、
最も前記底面に近い箇所を含む下辺部分と、を有し、
前記下辺部分は、前記底面に最も近い箇所まで前記底面側且つ前記第2端面側に斜めに直線状に延びる第1部分と、前記第1部分における前記底面側の端から前記天面側且つ前記第2端面側に斜めに直線状に延びる第2部分と、を有する
インダクタ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタ部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のインダクタ部品は、6つの外面を有する直方体状の素体を備えている。素体の6つの外面のうちの1つは、インダクタ部品を基板などに実装するときに、基板と向かい合う底面である。そして、素体は、残りの5つの外面として、底面に垂直な第1主面と、第1主面に平行な第2主面と、実装面に垂直であり、第1主面及び第2主面を繋ぐ第1端面と、第1端面に平行な第2端面と、底面に平行な天面と、を備えている。また、素体は、第1電極及び第2電極を備えている。第1電極は、第1端面から底面にかけての領域で素体の外部に露出している。第2電極は、第2端面から底面にかけての領域で素体の外部に露出している。
【0003】
また、インダクタ部品は、インダクタ配線を備えている。インダクタ配線は、素体の内部に位置している。インダクタ配線は、第1主面に垂直な仮想直線を中心として巻き回されている。インダクタ配線の第1端は、第1電極に接続している。また、インダクタ配線の第2端は、第2電極に接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-73536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のようなインダクタ部品において、インダクタ部品の巻き回しの径を大きくすることで、インダクタンス値の向上等が期待できる。その一方で、インダクタ部品の巻き回しの径を大きくすると、インダクタ配線と各電極との間の距離が小さくなる。そのため、インダクタ配線と各電極との間で浮遊容量が発生しやすくなる。浮遊容量が発生すると、インダクタ部品の品質係数、いわゆるQ値が悪化する。したがって、Q値の悪化を最小限に留めつつインダクタンス値の向上が可能な、インダクタ配線の設計が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、6つの外面を有する直方体状の素体と、前記素体の内部で延びているインダクタ配線と、を備え、前記素体は、前記インダクタ配線の第1端に接続している第1電極と、前記インダクタ配線の第2端に接続している第2電極と、を有し、前記素体の6つの外面のうち、特定の1つの面を主面とし、前記主面に垂直な面の1つを端面とし、前記主面及び前記端面のいずれにも垂直な面の1つを底面とし、前記底面に平行な面を天面としたとき、前記第1電極は、前記端面から前記底面にかけての領域で前記素体の外部に露出しており、前記インダクタ配線は、前記主面に垂直な方向から視て、前記インダクタ配線同士が重なり合った環状の巻き回し部分を有し、前記巻き回し部分は、前記天面と平行な部分のうち、最も前記天面に近い上辺部分と、最も前記底面に近い箇所から、前記端面に垂直な方向において前記上辺部分における前記端面側の端と同一位置まで延びる下辺部分と、前記下辺部分における前記端面側の端と前記上辺部分における前記端面側の端とを繋ぐ側辺部分と、を有し、前記側辺部分の少なくとも一部は、前記上辺部分における前記端面側の端に対して前記端面側に位置しているインダクタ部品である。
【0007】
上記構成によれば、側辺部分が端面と平行な構成に比較して、インダクタ配線の巻き回しの径が大きい。したがって、上記構成によれば、インダクタンス値の向上が期待できる。また、側辺部分は、上辺部分と接続しているため、主面において比較的に天面の近くに位置する。そのため、側辺部分は、端面から底面にかけての領域に位置する第1電極と、底面に垂直な方向において、重複しにくい。すなわち、上記構成では、電極と重複しにくい側辺部分において、インダクタ配線の巻き回し径が拡大されている。これらのことから、上記構成によれば、Q値の低下を抑制しながら、インダクタンス値の向上が実現できる。
【0008】
また、上記課題を解決するため、本発明は、6つの外面を有する直方体状の素体と、前記素体の内部で延びているインダクタ配線と、を備え、前記素体は、前記インダクタ配線の第1端に接続している第1電極と、前記インダクタ配線の第2端に接続している第2電極と、を有し、前記素体の6つの外面のうち、特定の1つの面を主面とし、前記主面に垂直な面の1つを第1端面とし、前記第1端面に平行な面を第2端面とし、前記主面及び前記第1端面のいずれにも垂直な面の1つを底面とし、前記底面に平行な面を天面としたとき、前記第1電極は、前記底面で前記素体の外部に露出しており、前記第2電極は、前記底面のうち前記第1電極に対して前記第2端面側に離れた箇所で、前記素体の外部に露出しており、前記インダクタ配線は、前記主面に垂直な方向から視て、前記インダクタ配線同士が重なり合った環状の巻き回し部分を有し、前記巻き回し部分は、前記天面と平行な部分のうち、最も前記天面に近い上辺部分と、最も前記底面に近い箇所を含む下辺部分と、を有し、前記下辺部分は、前記底面に最も近い箇所まで前記底面側且つ前記第2端面側に斜めに直線状に延びる第1部分と、前記第1部分における前記底面側の端から前記天面側且つ前記第2端面側に斜めに直線状に延びる第2部分と、を有するインダクタ部品である。
【0009】
上記構成によれば、下辺部分が底面と平行な構成に比較して、インダクタ配線の巻き回しの径が大きい。したがって、上記構成によれば、インダクタンス値の向上が期待できる。また、第2電極は、底面のうちの第1電極と離間して位置している。下辺部分は、その離間したスペースに配置できる。すなわち、下辺部分は、第1電極及び第2電極と、第1端面に垂直な方向において、重複しにくい。すなわち、上記構成では、電極と重複しにくい下辺部分において、インダクタ配線の巻き回し径が拡大されている。これらのことから、上記構成によれば、Q値の低下を抑制しながら、インダクタンス値の向上が実現できる。
【発明の効果】
【0010】
インダクタ部品において、Q値の低下を抑制しながら、インダクタンス値の向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1実施形態のインダクタ部品の斜視図である。
図2図2は、第1実施形態のインダクタ部品の分解斜視図である。
図3図3は、第1実施形態のインダクタ部品を透過して模式的に示す図である。
図4図4は、第2実施形態のインダクタ部品を透過して模式的に示す図である。
図5図5は、第3実施形態のインダクタ部品を透過して模式的に示す図である。
図6図6は、インダクタ部品の変更例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、インダクタ部品の第1実施形態について説明する。なお、図面は理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、又は別の図中のものと異なる場合がある。
【0013】
<インダクタ部品の全体構成について>
図1に示すように、インダクタ部品10は、直方体状の素体11を備えている。また、図2及び図3に示すように、インダクタ部品10は、素体11の内部で延びているインダクタ配線30を備えている。素体11は、インダクタ配線30の第1端に接続している第1電極40と、インダクタ配線30の第2端に接続している第2電極50と、を有している。
【0014】
図2に示すように、インダクタ部品10は、全体として、複数の板状の層が積層されたような構造になっている。また、各層は、平面視で長方形状になっている。そして、素体11は直方体状であることから6つの外面を有している。図1に示すように、これら6つの外面のうち、各層の主面と平行な特定の1つの面を第1主面11Aとする。また、第1主面11Aと平行な面を第2主面11Bとする。そして、第1主面11Aに垂直な特定の1つの面を第1端面11Cとする。また、第1端面11Cに平行な面を第2端面11Dとする。さらに、第1主面11A及び第1端面11Cのいずれにも垂直な特定の1つの面を底面11Eとする。また、底面11Eに平行な面を天面11Fとする。
【0015】
なお、以下の説明では、複数の層が積層する方向に沿う軸、すなわち第1主面11Aに垂直な軸を第1軸Xとする。また、第1端面11Cに垂直な軸を第2軸Yとする。さらに、底面11Eに垂直な軸を第3軸Zとする。そして、第1軸Xに沿う方向のうちの第1主面11Aが向く方向を第1正方向X1とし、第1正方向X1と反対方向を第1負方向X2とする。また、第2軸Yに沿う方向のうちの第1端面11Cが向く方向を第2正方向Y1とし、第2正方向Y1と反対方向を第2負方向Y2とする。さらに、第3軸Zに沿う方向のうちの天面11Fが向く方向を第3正方向Z1とし、第3正方向Z1と反対方向を第3負方向Z2とする。
【0016】
図2に示すように、インダクタ部品10は、第1層L1~第9層L9を有している。第1層L1~第9層L9は、この順で第1負方向X2に並んでいる。第1層L1~第9層L9の厚み、すなわちX軸に沿う方向の寸法は、すべて略同一である。第1層L1は、第1電極部41と、第2電極部51と、第1配線部31と、第1絶縁部21と、によって構成されている。
【0017】
第1電極部41は、銀などの導電性材料からなっている。第1負方向X2を向いて第1層L1を視たときに、第1電極部41は、全体としてL字状になっている。第1電極部41は、第1負方向X2を向いて第1層L1を視たときに、第1層L1の中央に対して第2正方向Y1側且つ第3負方向Z2側に位置している。より具体的には、第1電極部41は、第1負方向X2を向いて第1層L1を視たときに、第1層L1の第2正方向Y1側且つ第3負方向Z2側の角を含む箇所に位置している。
【0018】
第1電極部41における第3軸Zに沿う方向の最大の寸法は、第1層L1における第3軸Zに沿う方向の寸法の2分の1以上、具体的には2分の1程度である。すなわち、第1電極部41における第3正方向Z1側の端は、第3軸Zに沿う方向での第1層L1の略中央、または中央よりも第3正方向Z1側に位置している。第1電極部41における第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第1層L1における第2軸Yに沿う方向の2分の1よりも小さい。すなわち、第1電極部41における第2負方向Y2側の端は、第2軸Yに沿う方向での第1層L1の中央に対して第2正方向Y1側に位置している。
【0019】
第2電極部51は、銀などの導電性材料からなっている。第1負方向X2を向いて第1層L1を視たときに、第2電極部51は、全体としてL字状になっている。第2電極部51は、第1負方向X2を向いて第1層L1を視たときに、第1層L1の中央に対して第2負方向Y2側且つ第3負方向Z2側に位置している。より具体的には、第2電極部51は、第1負方向X2を向いて第1層L1を視たときに、第1層L1の第2負方向Y2側且つ第3負方向Z2側の角を含む箇所に位置している。
【0020】
第2電極部51は、第2軸Yに沿う方向において、第1電極部41と対称形状をしている。すなわち、第2電極部51における第3正方向Z1側の端は、第3軸Zに沿う方向での第1層L1の略中央、または中央よりも第3正方向Z1側に位置している。また、第2電極部51における第2正方向Y1側の端は、第2軸Yに沿う方向での第1層L1の中央に対して第2負方向Y2側に位置している。
【0021】
第1配線部31は、銀などの導電性材料からなっている。第1負方向X2を向いて第1層L1を視たときに、第1配線部31は、全体として、概ね第1層L1の中央を中心とした渦巻状に延びている。第1配線部31の第1端部31Aは、第1負方向X2を向いて視たときに第1層L1~第9層L9の配線部が重なって構成される周回経路から外れた部分である。当該第1端部31Aは、第1電極部41の第3軸Zに沿う方向における第3正方向Z1側の端部に接続している。すなわち、第1端部31Aは、インダクタ配線30の第1端である。第1配線部31の第2端部31Bの第3軸Zに沿う方向における位置は、第1層L1の中央に対して第3正方向Z1側である。また、第1配線部31の第2端部31Bの第2軸Yに沿う方向における位置は、第1層L1の中央に対して第2正方向Y1側である。そして、第1負方向X2を向いて第1配線部31を視たときに、第1配線部31は、第1端部31Aから第2端部31Bに向かって時計回りに延びている。なお、第1配線部31を含むインダクタ配線30の詳細な構成については、後述する。第1配線部31の第2端部31Bは、後述するビア32と接続するためのランドとして機能している。第1負方向X2を向いて第1層L1を視たときに、第2端部31Bは、略円形状になっている。
【0022】
第1層L1において、第1電極部41と、第2電極部51と、第1配線部31と、を除く部分は、第1絶縁部21である。第1絶縁部21は、ガラス、樹脂、アルミナなど非磁性の絶縁体からなっている。
【0023】
図2に示すように、第2層L2は、第1層L1の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第2層L2を視たとき、第2層L2は、第1層L1と同じ長方形状である。第2層L2は、第3電極部42と、第4電極部52と、ビア32と、第2絶縁部22と、によって構成されている。
【0024】
第3電極部42は、第1電極部41と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第2層L2を視たとき、第3電極部42は、第1電極部41と同じ寸法のL字状であり、且つ第1電極部41と同じ箇所に位置している。したがって、第3電極部42は、第1電極部41の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0025】
第4電極部52は、第2電極部51と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第2層L2を視たとき、第4電極部52は、第2電極部51と同じ寸法のL字状であり、且つ第2電極部51と同じ箇所に位置している。したがって、第4電極部52は、第2電極部51の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0026】
ビア32は、第1配線部31と同じ材料からなっている。ビア32は、第1軸Xに沿う方向に延びる円柱状である。ビア32は、第1配線部31の第2端部31Bにおける第1負方向X2を向く面に積層されている。そのため、ビア32は、第1配線部31の第2端部31Bと電気的に接続している。そして、ビア32は、第1配線部31の第2端部31Bから第1負方向X2に延びている。
【0027】
第2層L2において、第3電極部42と、第4電極部52と、ビア32と、を除く部分は、第2絶縁部22である。第2絶縁部22は、第1絶縁部21と同じ材料の非磁性の絶縁体からなっている。
【0028】
第3層L3は、第2層L2の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第3層L3を視たとき、第3層L3は、第1層L1と同じ長方形状である。第3層L3は、第5電極部43と、第6電極部53と、第2配線部33と、第3絶縁部23と、によって構成されている。
【0029】
第5電極部43は、第1電極部41と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第3層L3を視たとき、第5電極部43は、第3電極部42と同じ寸法のL字状であり、且つ第3電極部42と同じ箇所に位置している。したがって、第5電極部43は、第3電極部42の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0030】
第6電極部53は、第2電極部51と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第3層L3を視たとき、第6電極部53は、第4電極部52と同じ寸法のL字状であり、且つ第4電極部52と同じ箇所に位置している。したがって、第6電極部53は、第4電極部52の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0031】
第2配線部33は、第1配線部31と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第3層L3を視たときに、第2配線部33は、全体として、概ね第3層L3の中央を中心とした渦巻状に延びている。具体的には、第2配線部33の第1端部33Aの位置は、ビア32の第1負方向X2を向く面上である。そのため、第2配線部33の第1端部33Aは、ビア32に接続している。第2配線部33の第2端部33Bの第3軸Zに沿う方向における位置は、第3層L3の中央に対して第3負方向Z2側である。第2配線部33の第2端部33Bの第2軸Yに沿う方向における位置は、第3層L3の中央に対して第2正方向Y1側である。また、第2配線部33の第2端部33Bの第2軸Yに沿う方向における位置は、第2配線部33の第1端部33Aの第2負方向Y2側である。そして、第1負方向X2を向いて第2配線部33を視たときに、第2配線部33は、第1端部33Aから第2端部33Bに向かって時計回りに延びている。
【0032】
第3層L3において、第5電極部43と、第6電極部53と、第2配線部33と、を除く部分は、第3絶縁部23である。第3絶縁部23は、第1絶縁部21と同じ材料の非磁性の絶縁体からなっている。
【0033】
第4層L4は、第3層L3の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第4層L4を視たとき、第4層L4は、第1層L1と同じ長方形状である。第4層L4は、第7電極部44と、第8電極部54と、ビア34と、第4絶縁部24と、によって構成されている。
【0034】
第7電極部44は、第1電極部41と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第4層L4を視たとき、第7電極部44は、第5電極部43と同じ寸法のL字状であり、且つ第5電極部43と同じ箇所に位置している。したがって、第7電極部44は、第5電極部43の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0035】
第8電極部54は、第2電極部51と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第4層L4を視たとき、第8電極部54は、第6電極部53と同じ寸法のL字状であり、且つ第6電極部53と同じ箇所に位置している。したがって、第8電極部54は、第6電極部53の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0036】
ビア34は、第1配線部31と同じ材料からなっている。ビア34は、第1軸Xに沿う方向に延びる円柱状である。ビア34は、第2配線部33の第2端部33Bにおける第1負方向X2を向く面に積層されている。そのため、ビア34は、第2配線部33の第2端部33Bと電気的に接続している。そして、ビア34は、第2配線部33の第2端部33Bから第1負方向X2に延びている。
【0037】
第4層L4において、第7電極部44と、第8電極部54と、ビア34と、を除く部分は、第4絶縁部24である。第4絶縁部24は、第1絶縁部21と同じ材料の非磁性の絶縁体からなっている。
【0038】
第5層L5は、第4層L4の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第5層L5を視たとき、第5層L5は、第1層L1と同じ長方形状である。第5層L5は、第9電極部45と、第10電極部55と、第3配線部35と、第5絶縁部25と、によって構成されている。
【0039】
第9電極部45は、第1電極部41と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第5層L5を視たとき、第9電極部45は、第7電極部44と同じ寸法のL字状であり、且つ第7電極部44と同じ箇所に位置している。したがって、第9電極部45は、第7電極部44の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0040】
第10電極部55は、第2電極部51と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第5層L5を視たとき、第10電極部55は、第8電極部54と同じ寸法のL字状であり、且つ第8電極部54と同じ箇所に位置している。したがって、第10電極部55は、第8電極部54の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0041】
第3配線部35は、第1配線部31と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第5層L5を視たときに、第3配線部35は、全体として、概ね第5層L5の中央を中心とした渦巻状に延びている。具体的には、第3配線部35の第1端部35Aの位置は、ビア34の第1負方向X2を向く面上である。そのため、第3配線部35の第1端部35Aは、ビア34に接続している。第3配線部35の第2端部33Bの第3軸Zに沿う方向における位置は、第5層L5の中央に対して第3負方向Z2側である。また、第2配線部33の第2端部33Bの第2軸Yに沿う方向における位置は、第5層L5の中央に対して第2負方向Y2側である。そして、第1負方向X2を向いて第3配線部35を視たときに、第3配線部35は、第1端部35Aから第2端部35Bに向かって時計回りに延びている。
【0042】
第5層L5において、第9電極部45と、第10電極部55と、第3配線部35と、を除く部分は、第5絶縁部25である。第5絶縁部25は、第1絶縁部21と同じ材料の非磁性の絶縁体からなっている。
【0043】
第6層L6は、第5層L5の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第6層L6を視たとき、第6層L6は、第1層L1と同じ長方形状である。第6層L6は、第11電極部46と、第12電極部56と、ビア36と、第6絶縁部26と、によって構成されている。
【0044】
第11電極部46は、第1電極部41と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第6層L6を視たとき、第11電極部46は、第9電極部45と同じ寸法のL字状であり、且つ第9電極部45と同じ箇所に位置している。したがって、第11電極部46は、第9電極部45の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0045】
第12電極部56は、第2電極部51と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第6層L6を視たとき、第12電極部56は、第10電極部55と同じ寸法のL字状であり、且つ第10電極部55と同じ箇所に位置している。したがって、第12電極部56は、第10電極部55の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0046】
ビア36は、第1配線部31と同じ材料からなっている。ビア36は、第1軸Xに沿う方向に延びる円柱状である。ビア36は、第3配線部35の第2端部35Bにおける第1負方向X2を向く面に積層されている。そのため、ビア36は、第3配線部35の第2端部35Bと電気的に接続している。そして、ビア36は、第3配線部35の第2端部35Bから第1負方向X2に延びている。
【0047】
第6層L6において、第11電極部46と、第12電極部56と、ビア36と、を除く部分は、第6絶縁部26である。第6絶縁部26は、第1絶縁部21と同じ材料の非磁性の絶縁体からなっている。
【0048】
第7層L7は、第6層L6の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第7層L7を視たとき、第7層L7は、第1層L1と同じ長方形状である。第7層L7は、第13電極部47と、第14電極部57と、第4配線部37と、第7絶縁部27と、によって構成されている。
【0049】
第13電極部47は、第1電極部41と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第7層L7を視たとき、第13電極部47は、第11電極部46と同じ寸法のL字状であり、且つ第11電極部46と同じ箇所に位置している。したがって、第13電極部47は、第11電極部46の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0050】
第14電極部57は、第2電極部51と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第7層L7を視たとき、第14電極部57は、第12電極部56と同じ寸法のL字状であり、且つ第12電極部56と同じ箇所に位置している。したがって、第14電極部57は、第12電極部56の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0051】
第4配線部37は、第1配線部31と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第7層L7を視たときに、第4配線部37は、全体として、概ね第7層L7の中央を中心とした渦巻状に延びている。具体的には、第4配線部37の第1端部37Aの位置は、ビア36の第1負方向X2を向く面上である。そのため、第4配線部37の第1端部37Aは、ビア36に接続している。第4配線部37の第2端部37Bの第3軸Zに沿う方向における位置は、第7層L7の中央対して第3正方向Z1側である。また、第4配線部37の第2端部37Bの第2軸Yに沿う方向における位置は、第7層L7の中央に対して第2負方向Y2側、且つ第1端部37Aに対して第2負方向Y2側である。そして、第1負方向X2を向いて第4配線部37を視たときに、第4配線部37は、第1端部37Aから第2端部37Bに向かって時計回りに延びている。また、第4配線部37は、第2正方向Y1及び第2負方向Y2において第2配線部33を反転させた形状となっている。
【0052】
第7層L7において、第13電極部47と、第14電極部57と、第4配線部37と、を除く部分は、第7絶縁部27である。第7絶縁部27は、第1絶縁部21と同じ材料の非磁性の絶縁体からなっている。
【0053】
第8層L8は、第7層L7の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第8層L8を視たとき、第8層L8は、第1層L1と同じ長方形状である。第8層L8は、第15電極部48と、第16電極部58と、ビア38と、第8絶縁部28と、によって構成されている。
【0054】
第15電極部48は、第1電極部41と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第8層L8を視たとき、第15電極部48は、第13電極部47と同じ寸法のL字状であり、且つ第13電極部47と同じ箇所に位置している。したがって、第15電極部48は、第13電極部47の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0055】
第16電極部58は、第2電極部51と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第8層L8を視たとき、第16電極部58は、第14電極部57と同じ寸法のL字状であり、且つ第14電極部57と同じ箇所に位置している。したがって、第16電極部58は、第14電極部57の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0056】
ビア38は、第1配線部31と同じ材料からなっている。ビア38は、第1軸Xに沿う方向に延びる円柱状である。ビア38は、第4配線部37の第2端部37Bにおける第1負方向X2を向く面に積層されている。そのため、ビア38は、第4配線部37の第2端部37Bと電気的に接続している。そして、ビア38は、第4配線部37の第2端部37Bから第1負方向X2に延びている。
【0057】
第8層L8において、第15電極部48と、第16電極部58と、ビア38と、を除く部分は、第8絶縁部28である。第8絶縁部28は、第1絶縁部21と同じ材料の非磁性の絶縁体からなっている。
【0058】
第9層L9は、第8層L8の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第9層L9を視たとき、第9層L9は、第1層L1と同じ長方形状である。第9層L9は、第17電極部49と、第18電極部59と、第5配線部39と、第9絶縁部29と、によって構成されている。
【0059】
第17電極部49は、第1電極部41と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第9層L9を視たとき、第17電極部49は、第15電極部48と同じ寸法のL字状であり、且つ第15電極部48と同じ箇所に位置している。したがって、第17電極部49は、第15電極部48の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0060】
第18電極部59は、第2電極部51と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第9層L9を視たとき、第18電極部59は、第16電極部58と同じ寸法のL字状であり、且つ第16電極部58と同じ箇所に位置している。したがって、第18電極部59は、第16電極部58の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0061】
第5配線部39は、第1配線部31と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第9層L9を視たときに、第5配線部39は、全体として、概ね第9層L9の中央を中心とした渦巻状に延びている。具体的には、第5配線部39の第1端部39Aの位置は、ビア38の第1負方向X2を向く面上である。そのため、第5配線部39の第1端部39Aは、ビア38に接続している。第5配線部39の第2端部39Bは、第1負方向X2を向いて視たときに第1層L1~第9層L9の配線部が重なって構成される周回経路から外れた部分である。当該第2端部39Bは、第18電極部59の第3軸Zに沿う方向における第3正方向Z1側の端部に接続している。そして、第1負方向X2を向いて第5配線部39を視たときに、第5配線部39は、第1端部39Aから第2端部39Bに向かって時計回りに延びている。なお、第5配線部39の第2端部39Bは、インダクタ配線30の第2端である。また、第5配線部39は、第2正方向Y1及び第2負方向Y2において第1配線部31を反転させた形状となっている。
【0062】
第9層L9において、第17電極部49と、第18電極部59と、第5配線部39と、を除く部分は、第9絶縁部29である。第9絶縁部29は、第1絶縁部21と同じ材料の絶縁体からなっている。
【0063】
素体11は、第1被覆絶縁層61と、第2被覆絶縁層62と、を有している。第1負方向X2を向いて第1被覆絶縁層61を視たとき、第1被覆絶縁層61は、第1層L1と同じ長方形状である。第1被覆絶縁層61は、第1層L1の第1正方向X1を向く主面に積層されている。第1正方向X1を向いて第2被覆絶縁層62を視たとき、第2被覆絶縁層62は、第1層L1と同じ長方形状である。第2被覆絶縁層62は、第9層L9の第1負方向X2を向く主面に積層されている。なお、第1被覆絶縁層61は、複数の絶縁層が積層されて構成されていてもよい。また、絶縁層のうちの一部の層が、着色されていてもよい。この点、第2被覆絶縁層62においても同様である。
【0064】
上述した第1絶縁部21~第9絶縁部29と、第1被覆絶縁層61と、第2被覆絶縁層62と、は一体化されている。したがって、第1絶縁部21~第9絶縁部29と、第1被覆絶縁層61と、第2被覆絶縁層62との間に、物理的な境界はないこともある。以下では、これらを区別する必要がない場合には、絶縁部20と総称する。
【0065】
また、第1配線部31と、第2配線部33と、第3配線部35と、第4配線部37と、第5配線部39と、ビア32と、ビア34と、ビア36と、ビア38と、は一体化されている。したがって、ビア32~ビア38の間に、物理的な境界はないこともある。以下では、これらを区別する必要がない場合には、インダクタ配線30と総称する。そして、インダクタ配線30は、全体として、螺旋状に巻き回されている。そして、インダクタ配線30における巻き回しの中心軸は、第1軸Xに沿う軸になっている。
【0066】
さらに、上述した第1電極部41と、第3電極部42と、第5電極部43と、第7電極部44と、第9電極部45と、第11電極部46と、第13電極部47と、第15電極部48と、第17電極部49と、は一体化している。そして、これらが合わさって、第1電極40になっている。
【0067】
同様に、上述した第2電極部51と、第4電極部52と、第6電極部53と、第8電極部54と、第10電極部55と、第12電極部56と、第14電極部57と、第16電極部58と、第18電極部59と、は一体化している。そして、これらが合わさって、第2電極50になっている。
【0068】
そして、本実施形態においては、絶縁部20と、第1電極40と、第2電極50と、によって、インダクタ部品10の素体11が構成されている。そして、インダクタ配線30は、素体11の内部で延びている。なお、インダクタ配線30と、第1電極40と、第2電極50とは、一体化していてもよい。したがって、インダクタ配線30と第1電極40との間、及びインダクタ配線30と第2電極50との間に、物理的な境界がないこともある。
【0069】
第1層L1~第9層L9、第1被覆絶縁層61、および第2被覆絶縁層62が積層された結果、図1に示すように、素体11は、全体として長方形状になっている。図3に示すように、第1電極40は、第1端面11Cから底面11Eにかけての領域で素体11の外部に露出している。また、第2電極50は、第2端面11Dから底面11Eにかけての領域で素体11の外部に露出している。
【0070】
図1に示すように、インダクタ部品10は、第1被覆電極71と、第2被覆電極72と、を備えている。第1被覆電極71は、第1電極40のうちの素体11から外部に露出している面を覆っている。第1被覆電極71は、図示は省略するが、ニッケルめっき、錫めっきの2層構造になっている。なお、第1電極40が素体11から外部に露出している箇所とは、第1電極40において素体11に覆われていない箇所を示す。したがって、第1電極40が他の層に覆われていても、素体11から外部に露出している、という。
【0071】
第2被覆電極72は、第2電極50のうちの素体11から外部に露出している面を覆っている。第2被覆電極72は、図示は省略するが、ニッケルめっき、錫めっきの2層構造になっている。なお、図2においては、第1被覆電極71と第2被覆電極72との図示を省略している。
【0072】
<インダクタ配線の形状について>
図2に示すように、インダクタ配線30は、全体として螺旋状になっている。ここで、インダクタ配線30のうち、螺旋状に延びている部分を、巻き回し部分30Aとする。換言すると、第1主面11Aに垂直な方向から視て、インダクタ配線30同士が重なり合った環状の部分を巻き回し部分30Aとする。
【0073】
図3に示すように、第1層L1の第1配線部31のうち、第1端部31Aを含む一部は、巻き回し部分30Aに含まれない。また、第9層L9の第5配線部39のうち、第2端部39Bを含む一部は巻き回し部分30Aに含まれない。したがって、第1負方向X2を向いてインダクタ部品10を透過して視たときに、巻き回し部分30Aは、環状になっている。以下では、第1配線部31~第5配線部39それぞれの境界については省略し、巻き回し部分30Aが環状であるものとして説明する。図3では、インダクタ配線30のうちの巻き回し部分30Aのみを図示し、ビア32、ビア34、ビア36、ビア38の図示を省略している。
【0074】
図3に示すように、巻き回し部分30Aは、上辺部分301と、下辺部分302と、第1側辺部分304Aと、第2側辺部分304Bと、を有している。また、巻き回し部分30Aは、第1突起部分320Aと、第2突起部分320Bと、を有している。
【0075】
上辺部分301は、巻き回し部分30Aにおいて、天面11Fと平行な部分のうち、最も天面11Fに近い部分である。つまり、上辺部分301は、第2軸Yに沿って延びている。上辺部分301は、素体11の第3軸Zに沿う方向における中央に対して第3正方向Z1側に位置している。上辺部分301の第1端は、第2軸Yに沿う方向における素体11の中央に対して第2正方向Y1側に位置している。上辺部分301の第2端は、第2軸Yに沿う方向における素体11の中央に対して第2負方向Y2側に位置している。また、上辺部分301の第2軸Yに沿う方向での長さを二等分する位置は、第2軸Yに沿う方向における略中央に位置している。上辺部分301の線幅は、一定である。
【0076】
なお、線幅の定義は、次のとおりである。すなわち、ある配線の縁上の任意の点からその反対側の縁へと引ける線分のうち、最も短い線分を特定する。この特定された線分の長さが、上記任意の点での配線の線幅である。また、線幅が一定とは、製造上の誤差等を含む。つまり、線幅が一定とは、配線の線幅の平均値に対する差が、当該平均値の20%以下であることをいう。
【0077】
下辺部分302は、第1下辺部分302Aと、第2下辺部分303Aと、第3下辺部分303Bと、を有している。
第1下辺部分302Aは、底面11Eに最も近い箇所で底面11Eと平行に延びている。第1下辺部分302Aは、第1主面11Aに垂直な第1負方向X2を向いて視たときに、素体11の第3軸Zに沿う方向における中央に対して第3負方向Z2側に位置している。すなわち、第1下辺部分302Aは、上辺部分301に対して底面11Eに近い側に位置している。第1下辺部分302Aの第1端は、第2軸Yに沿う方向における素体11の中央に対して第2正方向Y1側に位置している。また、第1下辺部分302Aの第1端は、上辺部分301の第1端の第2軸Yに沿う方向における位置に対して第2負方向Y2側に位置している。第1下辺部分302Aの第2端は、第2軸Yに沿う方向における素体11の中央に対して第2負方向Y2側に位置している。また、第1下辺部分302Aの第2端は、上辺部分301の第2端の第2軸Yに沿う方向における位置に対して第2正方向Y1側に位置している。また、第1下辺部分302Aの第2軸Yに沿う方向での長さを二等分する位置は、第2軸Yに沿う方向における素体11の略中央に位置している。
【0078】
第2下辺部分303Aは、第1負方向X2を向いて視たとき、直線状である。なお、配線の一方側の縁とその反対側の縁とが共に直線であり、且つ両直線が平行であれば、その配線は直線上に延びているといえる。第2下辺部分303Aの第1端は、第1下辺部分302Aの第1端に接続している。第2下辺部分303Aは、巻き回し部分30Aのうち、最も底面11Eに近い第1下辺部分302Aから、第1端面11Cに垂直な方向において上辺部分301の第1端面11C側の端と同一位置まで直線状に延びている。すなわち、第2下辺部分303Aの第2端の位置は、上辺部分301の第1端の第2軸Yに沿う方向における位置と同一位置である。なお、図3では、第2下辺部分303Aと第1下辺部分302Aとの境界を、仮想的に破線で図示している。
【0079】
第1側辺部分304Aは、第2下辺部分303Aにおける第1端面11C側の端と、上辺部分301の第1端面11C側の端と、を繋いでいる。すなわち、第1側辺部分304Aは、第2下辺部分303Aの第2端と、上辺部分301の第1端と、を繋いでいる。なお、図3では、第1側辺部分304Aと第2下辺部分303Aとの境界、及び第1側辺部分304Aと上辺部分301との境界を、仮想的に破線で図示している。
【0080】
第1負方向X2を向いて視たとき、第1側辺部分304Aは、第1端面11Cに向かって凸となる円弧状に延びている。また、第1側辺部分304Aの全体が、円弧状になっている。すなわち、第1側辺部分304Aの全体が、上辺部分301における第1端面11C側の端である第1端と、第1端面11Cとの間に位置している。換言すると、第1側辺部分304Aの全体が、上辺部分301における第1端面11C側の端に対して第1端面11C側に位置している。なお、第1側辺部分304Aのうちの第1端面11Cとの距離が最も近い箇所N1は、第1電極40における第3正方向Z1側の端に対して天面11F側に位置している。
【0081】
第3下辺部分303Bは、第1負方向X2を向いて視たとき、直線状である。第3下辺部分303Bの第1端は、第1下辺部分302Aの第2端に接続している。第3下辺部分303Bは、巻き回し部分30Aのうち、最も底面11Eに近い第1下辺部分302Aから、第2端面11Dに垂直な方向において上辺部分301の第2端面11D側の端と同一位置まで直線状に延びている。すなわち、第3下辺部分303Bの第2端の位置は、上辺部分301の第2端の第2軸Yに沿う方向における位置と同一位置である。なお、図3では、第3下辺部分303Bと第1下辺部分302Aとの境界を、仮想的に破線で図示している。
【0082】
第2側辺部分304Bは、第3下辺部分303Bにおける第2端面11D側の端と、上辺部分301の第2端面11D側の端と、を繋いでいる。すなわち、第2側辺部分304Bは、第3下辺部分303Bの第2端と、上辺部分301の第2端と、を繋いでいる。なお、図3では、第2側辺部分304Bと第3下辺部分303Bとの境界、及び第2側辺部分304Bと上辺部分301との境界を、仮想的に破線で図示している。
【0083】
第1負方向X2を向いて視たとき、第2側辺部分304Bは、第2端面11Dに向かって凸となる円弧状に延びている。また、第2側辺部分304Bの全体が、円弧状になっている。すなわち、第2側辺部分304Bの全体が、上辺部分301における第2端面11D側の端である第2端と、第2端面11Dとの間に位置している。換言すると、第2側辺部分304Bの全体が、上辺部分301における第2端面11D側の端に対して第2端面11D側に位置している。なお、第2側辺部分304Bのうちの第2端面11Dとの距離が最も近い箇所N2は、第2電極50における第3正方向Z1側の端に対して天面11F側に位置している。第2側辺部分304Bの線幅は、上辺部分301の線幅と同じである。
【0084】
上記構成において、下辺部分302の一部は、巻き回し部分30Aにおいて、最も底面11Eに近い箇所から、第1端面11Cに垂直な方向において、上辺部分301における第1端面11C側の端と同一位置まで延びている。同様に、下辺部分302の一部は、最も底面11Eに近い箇所から、第2端面11Dに垂直な方向において、上辺部分301における第2端面11D側の端と同一位置まで延びている。
【0085】
巻き回し部分30Aは、一定の線幅で延びる配線本体310を備えている。配線本体310は、上辺部分301、下辺部分302、第1側辺部分304A、及び第2側辺部分304Bにかけての略全域である。ただし、各部分の接続箇所近傍は、線幅が一定になっていない。すなわち、各部分の接続箇所近傍は、配線本体310に該当しない。
【0086】
第1突起部分320Aは、配線本体310の縁から第1端面11C側へと突出している。すなわち、第1突起部分320Aは、巻き回し部分30Aの外周側から突出している。第1突起部分320Aは、第1側辺部分304A及び第2下辺部分303Aの両方に跨る箇所に位置している。第1突起部分320Aは、第1負方向X2を向いて視たとき、半円状である。具体的には、第1突起部分320Aは、第1端面11C側且つ底面11E側に向かって凸となる半円状である。
【0087】
第2突起部分320Bは、配線本体310の縁から第2端面11D側へと突出している。すなわち、第2突起部分320Bは、巻き回し部分30Aの外周側から突出している。第2突起部分320Bは、第2側辺部分304B及び第3下辺部分303Bの両方に跨って位置している。第2突起部分320Bは、第1負方向X2を向いて視たとき、半円状である。具体的には、第2突起部分320Bは、第2端面11D側且つ底面11E側に向かって凸となる半円状である。
【0088】
<第1電極及び第2電極の形状について>
第1電極40は、第1底面電極401と、第1端面電極402と、を含んでいる。
図3に示すように、第1底面電極401は、第1負方向X2を向いて視たとき、三角形状である。第1底面電極401のうちの一辺は、第1端面11Cと底面11Eとの境界から延びている。また、第1底面電極401のうちの上記の一辺は、底面11Eの一部である。すなわち、第1底面電極401は、底面11Eにおける第1端面11Cとの境界箇所を含む領域で素体11の外部に露出している。
【0089】
ここで、第1負方向X2を向いて視たとき、底面11Eに垂直な方向での第1底面電極401の寸法を、第1底面電極401の厚み寸法P1とする。また、第1底面電極401のうち第1端面11Cから最も離れた箇所を先端PYとする。第1底面電極401の厚み寸法P1は、第1端面11Cと底面11Eとの境界から第2負方向Y2に向かう一部の区間で、一定の傾きで第1端面11Cから遠ざかるに従い連続的に大きくなっている。この厚み寸法P1が大きくなる区間は、第2軸Yに沿う方向において後述する第1端面電極402と重複する区間である。第1底面電極401の厚み寸法P1は、上記一部の区間で大きくなったのち、一定の傾きで先端PYに向かうに従い連続的に小さくなっている。すなわち、第1底面電極401のうち先端PYを含む少なくとも一部の厚み寸法P1は、先端PYに向かうほど小さくなっている。また、厚み寸法P1は、第2軸Yに沿う方向において第1端面電極402と重複しない区間全体で、先端PYに向かうほど小さくなっている。なお、図3において、第1電極40のうち第1底面電極401に該当する領域をドットで示している。
【0090】
第1端面電極402は、第1負方向X2を向いて視たとき、三角形状である。第1端面電極402のうちの一辺は、第1端面11Cと底面11Eとの境界から延びている。また、第1端面電極402のうちの上記の一辺は、第1端面11Cの一部である。すなわち、第1端面電極402は、第1端面11Cにおける底面11Eとの境界箇所を含む領域で素体11の外部に露出している。
【0091】
ここで、第1負方向X2を向いて視たとき、第1端面11Cに垂直な方向での第1端面電極402の寸法を、第1端面電極402の厚み寸法P2とする。また、第1端面電極402のうち底面11Eから最も離れた箇所を先端PZとする。第1端面電極402の厚み寸法P2は、第1端面11Cと底面11Eとの境界から第3正方向Z1に向かう一部の区間で、一定の傾きで底面11Eから遠ざかるに従い連続的に大きくなっている。この厚み寸法P2が大きくなる区間は、第3軸Zに沿う方向において上述した第1底面電極401と重複する区間である。第1端面電極402の厚み寸法P2は、上記一部の区間で大きくなったのち、一定の傾きで先端PZに向かうに従い連続的に小さくなっている。すなわち、第1端面電極402のうち先端PZを含む少なくとも一部の厚み寸法P2は、先端PZに向かうほど小さくなっている。また、厚み寸法P2は、第3軸Zに沿う方向において第1底面電極401と重複しない区間全体で、先端PZに向かうほど小さくなっている。なお、図3において、第1電極40のうち第1端面電極402に該当する領域を、第1底面電極401よりも細かなドットで示している。なお、実際には、第1底面電極401と、第1端面電極402との間に、物理的な境界はない。
【0092】
第2電極50は、第2底面電極501と、第2端面電極502と、を含んでいる。
図3に示すように、第2底面電極501は、第1負方向X2を向いて視たとき、三角形状である。第2底面電極501のうちの一辺は、第2端面11Dと底面11Eとの境界から延びている。また、第2底面電極501のうちの上記の一辺は、底面11Eの一部である。すなわち、第2底面電極501は、底面11Eにおける第2端面11Dとの境界箇所を含む領域で素体11の外部に露出している。
【0093】
ここで、第1負方向X2を向いて視たとき、底面11Eに垂直な方向での第2底面電極501の寸法を、第2底面電極501の厚み寸法Q1とする。また、第2底面電極501のうち第2端面11Dから最も離れた箇所を先端QYとする。第2底面電極501の厚み寸法Q1は、第2端面11Dと底面11Eとの境界から第2正方向Y1に向かう一部の区間で、一定の傾きで第2端面11Dから遠ざかるに従い連続的に大きくなっている。この厚み寸法Q1が大きくなる区間は、第2軸Yに沿う方向において後述する第2端面電極502と重複する区間である。第2底面電極501の厚み寸法Q1は、上記一部の区間で大きくなったのち、一定の傾きで先端QYに向かうに従い連続的に小さくなっている。すなわち、第2底面電極501のうち先端QYを含む少なくとも一部の厚み寸法Q1は、先端QYに向かうほど小さくなっている。また、厚み寸法Q1は、第2軸Yに沿う方向において第2端面電極502と重複しない区間全体で、先端QYに向かうほど小さくなっている。なお、図3において、第2電極50のうち第2底面電極501に該当する領域をドットで示している。
【0094】
第2端面電極502は、第1負方向X2を向いて視たとき、三角形状である。第2端面電極502のうちの一辺は、第2端面11Dと底面11Eとの境界から延びている。また、第2端面電極502のうちの上記の一辺は、第2端面11Dの一部である。すなわち、第2端面電極502は、第2端面11Dにおける底面11Eとの境界箇所を含む領域で素体11の外部に露出している。
【0095】
ここで、第1負方向X2を向いて視たとき、第2端面11Dに垂直な方向での第2端面電極502の寸法を、第2端面電極502の厚み寸法Q2とする。また、第2端面電極502のうち底面11Eから最も離れた箇所を先端QZとする。第2端面電極502の厚み寸法Q2は、第2端面11Dと底面11Eとの境界から第3正方向Z1に向かう一部の区間で、一定の傾きで底面11Eから遠ざかるに従い連続的に大きくなっている。この厚み寸法Q2が大きくなる区間は、第3軸Zに沿う方向において上述した第2底面電極501と重複する区間である。第2端面電極502の厚み寸法Q2は、上記一部の区間で大きくなったのち、一定の傾きで先端QZに向かうに従い連続的に小さくなっている。すなわち、第2端面電極502のうち先端QZを含む少なくとも一部の厚み寸法Q2は、先端QZに向かうほど小さくなっている。また、厚み寸法Q2は、第3軸Zに沿う方向において第2底面電極501と重複しない区間全体で、先端QZに向かうほど小さくなっている。なお、図3において、第2電極50のうち第2端面電極502に該当する領域を、第2底面電極501よりも細かなドットで示している。なお、実際には、第2底面電極501と、第2端面電極502との間に、物理的な境界はない。
【0096】
<第1実施形態のインダクタ部品の効果>
上記第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。なお、第1側辺部分304A及び第2側辺部分304Bに共通する効果は、第1側辺部分304Aを代表として説明する。第1電極40及び第2電極50に共通する効果は、第1電極40を代表として説明する。
【0097】
(1-1)上記第1実施形態によれば、仮に、第1側辺部分304Aが第1端面11Cと平行に延びている構成に比較して、巻き回し部分30Aの径が大きい。したがって、第1実施形態によれば、インダクタ部品10のインダクタンス値の向上が期待できる。また、第1側辺部分304Aは、上辺部分301と接続しているため、素体11において比較的に天面11Fの近くに位置する。そのため、第1側辺部分304Aは、第1電極40と、第3軸Zに沿う方向において重複しにくい。すなわち、第1実施形態では、第1電極40と重複しにくい第1側辺部分304Aにおいて巻き回し部分30Aの径が拡大されている。これらのことから、第1実施形態によれば、Q値の低下を抑制しながら、インダクタンス値の向上が実現できる。
【0098】
(1-2)上記第1実施形態では、第1側辺部分304Aの全体が、上辺部分301における第1端面11C側の端に対して第1端面11C側に位置している。この構成によれば、第1側辺部分304Aの一部が上辺部分301における第1端面11C側の端と第1端面11Cとの間に位置している場合に比較して、巻き回し部分30Aの径をより大きくできる。したがって、インダクタ部品10のインダクタンス値の向上が期待できる。
【0099】
(1-3)上記第1実施形態において、第1側辺部分304Aは、第1端面11C側に向かって凸となる円弧状に延びている。この構成によれば、上辺部分301と第1側辺部分304Aとの連結箇所において、直線同士が交差するような明確な角が生じない。同様に第1側辺部分304Aと第2下辺部分303Aとの連結箇所において、明確な角が生じない。これより、インダクタ部品10の電気取得効率が損なわれにくくなる。その結果、インダクタ部品10のQ特性の向上が期待できる。
【0100】
(1-4)上記第1実施形態では、第1側辺部分304Aのうちの第1端面11Cとの距離が最も近い箇所N1は、第1電極40における第3正方向Z1側の端に対して天面11F側に位置している。この構成によれば、第1負方向X2を向いて視たとき、第1側辺部分304Aのうちの第1端面11Cに最も近い箇所N1は、第1電極40と、第3軸Zに沿う方向において重複しない。したがって、第1側辺部分304Aと第1電極40との間で過度に大きな浮遊容量が発生することは防げる。
【0101】
(1-5)上記第1実施形態では、インダクタ配線30は、一定の線幅で延びる配線本体310と、配線本体310の縁から突出する第1突起部分320Aと、を有している。この構成によれば、第1突起部分320Aにおいて、電気抵抗の低下が期待できる。そのため、第1実施形態のインダクタ部品10では、Q特性の向上が期待できる。この点、第2突起部分320Bにおいても同様の効果が得られる。
【0102】
(1-6)上記第1実施形態において、第1突起部分320Aは、巻き回し部分30Aの外周側から突出している。この構成によれば、第1突起部分320Aが巻き回し部分30Aの内周側から突出している場合に比較して、巻き回し部分30Aの径を大きくしたかのような効果が得られる。すなわち、上記第1突起部分320Aは、インダクタ部品10のインダクタンス値の向上に寄与する。この点、第2突起部分320Bにおいても同様の効果が得られる。
【0103】
(1-7)上記第1実施形態において、第1底面電極401のうち先端PYを含む少なくとも一部の厚み寸法P1は、先端PYに向かうほど小さくなっている。この構成によれば、第1底面電極401の厚み寸法P1が小さくなっている分だけ、インダクタ配線30を配置できる領域が大きくなっている。したがって、この構成により、インダクタ部品10の巻き回し部分30Aの径を大きく設計することが可能である。そして、インダクタ部品10は、巻き回し部分30Aの径を大きく設計することにより、インダクタンス値の向上が期待できる。なお、第1端面電極402においても、第1底面電極401で得られる効果と同様の効果が得られる。
【0104】
<第2実施形態>
次に、インダクタ部品10の第2実施形態について説明する。第2実施形態のインダクタ部品10は、第1実施形態のインダクタ部品10と比較して、第1側辺部分304A及び第2側辺部分304Bに関する構成が異なる。その他の構成は、第1実施形態と同じである。以下では、第1側辺部分304A及び第2側辺部分304Bに関する箇所について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、説明を簡略化、または省略する。
【0105】
図4に示すように、巻き回し部分30Aは、第1側辺部分304A及び第2側辺部分304Bを有している。第1側辺部分304Aは、直線状の第1部分314Aと、直線状の第2部分324Aと、に大別できる。第1部分314Aの第1端は、第2下辺部分303Aの第1端面11C側の端に接続している。第1部分314Aの第2端は、第1部分314Aの第1端に対して第2正方向Y1側、且つ第3正方向Z1側に位置している。すなわち、第1部分314Aは、第2下辺部分303Aの第1端面11C側の端から第1端面11C側且つ天面11F側へと斜めに直線状に延びている。
【0106】
第2部分324Aの第1端は、第1部分314Aにおける第2端に接続している。第2部分324Aの第2端は、上辺部分301の第1端面11C側の端に接続している。すなわち、第2部分324Aは、第1部分314Aにおける第1端面11C側の端から上辺部分301における第1端面11C側の端へと斜めに直線状に延びている。なお、図4では、第1部分314Aと第2部分324Aとの境界を、仮想的に破線で図示している。また、第1部分314Aと第2下辺部分303Aとの境界、及び第2部分324Aと上辺部分301との境界を、仮想的に破線で図示している。
【0107】
上記構成により、すなわち、第1側辺部分304Aは、第1負方向X2を向いて視たとき、第1端面11Cに向かって凸となるように屈曲して延びている。そして、第1側辺部分304Aのうち、第1端面11Cとの距離が最も近い箇所N1の近傍が、上辺部分301における第1端面11C側の端に対して第1端面11C側に位置している。なお、第1側辺部分304Aにおける第2正方向Y1側の縁上であって、第1部分314Aと第2部分324Aとの接続箇所が、上記の箇所N1である。当該箇所N1は、第1電極40における第3正方向Z1側の端に対して天面11F側に位置している。
【0108】
第2側辺部分304Bは、直線状の第1部分314Bと、直線状の第2部分324Bと、に大別できる。第1部分314Bの第1端は、第3下辺部分303Bの第2端面11D側の端に接続している。第1部分314Bの第2端は、第1部分314Bの第1端に対して第2負方向Y2側、且つ第3正方向Z1側に位置している。すなわち、第1部分314Bは、第3下辺部分303Bの第2端面11D側の端から第2端面11D側且つ天面11F側へと斜めに直線状に延びている。
【0109】
第2部分324Bの第1端は、第1部分314Bにおける第2端に接続している。第2部分324Bの第2端は、上辺部分301の第2端面11D側の端に接続している。すなわち、第2部分324Bは、第1部分314Bにおける第2端面11D側の端から上辺部分301における第2端面11D側の端へと斜めに直線状に延びている。なお、図4では、第1部分314Bと第2部分324Bとの境界を、仮想的に破線で図示している。また、第1部分314Bと第3下辺部分303Bとの境界、及び第2部分324Bと上辺部分301との境界を、仮想的に破線で図示している。
【0110】
上記構成により、すなわち、第2側辺部分304Bは、第1負方向X2を向いて視たとき、第2端面11Dに向かって凸となるように屈曲して延びている。そして、第2側辺部分304Bのうち、第2端面11Dとの距離が最も近い箇所N2の近傍が、上辺部分301における第2端面11D側の端に対して第2端面11D側に位置している。なお、第2側辺部分304Bにおける第2負方向Y2側の縁上であって、第1部分314Bと第2部分324Bとの接続箇所が、上記の箇所N2である。当該箇所N2は、第2電極50における第3正方向Z1側の端に対して天面11F側に位置している。
【0111】
<第2実施形態のインダクタ部品の効果>
上述した第2実施形態のインダクタ部品10は、第1実施形態の(1-1)、(1-4)から(1-7)と同様の効果を奏する。
【0112】
<第3実施形態>
次に、インダクタ部品10の第3実施形態について説明する。第3実施形態のインダクタ部品10は、第1実施形態のインダクタ部品10と比較して、第1側辺部分304A、第2側辺部分304B、第1下辺部分302Aに関する構成が異なる。その他の構成は、第1実施形態と同じである。以下では、第1側辺部分304A、第2側辺部分304B、第1下辺部分302Aに関する箇所について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、説明を簡略化、または省略する。
【0113】
図5に示すように、巻き回し部分30Aは、上辺部分301、及び下辺部分302を有している。下辺部分302は、第1下辺部分302A、第2下辺部分303A、第3下辺部分303B、第1側下辺部分330A、及び第2側下辺部分330Bを有している。すなわち、下辺部分302は、巻き回し部分30Aにおいて上辺部分301以外の部分である。したがって下辺部分302は、巻き回し部分30Aにおいて最も底面11Eに近い箇所N3を含んでいる。
【0114】
第1側下辺部分330Aの第1端は、上辺部分301の第1端面11C側の端に接続している。第1側下辺部分330Aの第2端は、第2軸Yに沿う方向において上辺部分301の第1端面11C側の端と同じ位置且つ、上記第1端に対して第3負方向Z2側に位置している。すなわち、第1側下辺部分330Aは、第1端面11Cと平行に直線状に延びている。なお、第1側下辺部分330Aの第2端は、第2下辺部分303Aの第1端面11C側の端に接続している。
【0115】
第2側下辺部分330Bの第1端は、上辺部分301の第2端面11D側の端に接続している。第2側下辺部分330Bの第2端は、第2軸Yに沿う方向において上辺部分301の第2端面11D側と同じ位置且つ、上記第2端に対して第3負方向Z2側に位置している。すなわち、第2側下辺部分330Bは、第2端面11Dと平行に直線状に延びている。なお、第2側下辺部分330Bの第2端は、第3下辺部分303Bの第2端面11D側の端に接続している。
【0116】
第1下辺部分302Aは、第1負方向X2を向いて視たときに、第3軸Zに沿う方向における素体11の中央に対して第3負方向Z2側に位置している。すなわち、第1下辺部分302Aは、上辺部分301に対して底面11Eに近い側に位置している。
【0117】
第1下辺部分302Aは、直線状に延びる第1部分312と、直線状に延びる第2部分322と、を備えている。第1部分312の第1端は、第2下辺部分303Aにおける底面11E側の端に接続している。第1部分312の第2端は、上記第1端に対して第2負方向Y2側、且つ第3負方向Z2側に位置している。すなわち、第1部分312は、第2下辺部分303Aにおける底面11E側の端から、巻き回し部分30Aにおいて底面11Eに最も近い箇所N3まで、底面11E側且つ第2端面11D側に斜めに延びている。
【0118】
第2部分322の第1端は、第1部分312における底面11E側の端、すなわち第1部分312の第2端に接続している。第2部分322の第2端は、第3下辺部分303Bの底面11E側の端に接続している。すなわち、第2部分322は、第1部分312における底面11E側の端から天面11F側且つ第2端面11D側に斜めに延びている。
【0119】
上記構成により、第1下辺部分302Aは、第1負方向X2を向いて視たとき、底面11Eに向かって凸となるように屈曲して延びている。そして、第1下辺部分302Aにおける第3負方向Z2側の縁上であって、第1部分312と第2部分322との接続箇所が、第1下辺部分302Aのうちの底面11Eとの距離が最も近い箇所N3である。そして、第1下辺部分302Aにおける上記箇所N3の近傍は、第3軸Zに沿う方向において、第2下辺部分303Aにおける底面11E側の端と底面11Eとの間に位置している。上記箇所N3は、第1電極40の第2負方向Y2側の端に対して第2負方向Y2側に位置している。また、上記箇所N3は、第2電極50の第2正方向Y1側の端に対して第2正方向Y1側に位置している。すなわち、上記箇所N3は、第2軸Yに沿うにおいて第1電極40と第2電極50との間に位置している。なお、図5では、第1部分312と第2部分322との境界を、仮想的に破線で図示している。また、第1部分312と第2下辺部分303Aとの境界、及び第2部分322と第3下辺部分303Bとの境界を、仮想的に破線で図示している。なお、第3実施形態のインダクタ部品10は、第1実施形態と異なり、第1突起部分320A及び第2突起部分320Bを備えていない。
【0120】
<第3実施形態のインダクタ部品の効果>
次に、第3実施形態の効果を説明する。第3実施形態のインダクタ部品10は、以下の効果を奏する。
【0121】
(3-1)上記第3実施形態では、第1下辺部分302Aが底面11Eと平行な構成に比較して、巻き回し部分30Aの径が大きい。したがって、この構成によれば、インダクタ部品10のインダクタンス値の向上が期待できる。また、第1下辺部分302Aのうちの底面11Eとの距離が最も近い箇所N3は、第2軸Yに沿う方向において第1電極40及び第2電極50の間に位置している。したがって、上記箇所N3は、第1電極40及び第2電極50と、第2軸Yに沿う方向において重複しにくい。すなわち、上記構成では、第1電極40及び第2電極50と重複しにくい第1下辺部分302Aにおいて、巻き回し部分30Aの径が拡大されている。これらのことから、インダクタ部品10は、Q値の低下を抑制しながら、インダクタンス値の向上が実現できる。
【0122】
<変更例>
上記各実施形態は以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせて実施することができる。なお、第1側辺部分304A及び第2側辺部分304Bに共通する点は、第1側辺部分304Aを代表して説明し、第2側辺部分304Bの説明を省略する。
【0123】
・第1層L1~第9層L9の厚み、すなわちX軸に沿う方向の寸法は、すべて同一でなくてもよい。すべての厚みが互いに異なっていてもよいし、一部の層の厚みが他の層の厚みと異なっていてもよい。
【0124】
・素体11は、第1軸Xに沿う方向に長い直方体であってもよいし、第3軸Zに沿う方向に長い直方体であってもよい。また、素体11は、第1軸Xに沿う方向の寸法、第2軸Yに沿う方向の寸法、及び第3軸Zに沿う方向の寸法が等しい直方体であってもよい。
【0125】
・絶縁部20の材質は、上記実施形態の例に限られず、絶縁体であればよい。例えば、絶縁部20の材質は、磁性の絶縁体であってもよい。また、絶縁部20の一部が、他の部分と異なる非磁性または磁性の絶縁体であってもよい。
【0126】
・第1被覆電極71及び第2被覆電極72は、3層以上で構成されていてもよい。また、第1被覆電極71及び第2被覆電極72における各層の材質も、導電性の材質であれば採用できる。さらに、第1被覆電極71及び第2被覆電極72は、省略してもよい。
【0127】
・第1突起部分320Aの位置は、上記実施形態の例に限定されない。第1突起部分320Aの全体が第1側辺部分304Aの範囲内から突出していてもよい。また、第1突起部分320Aの全体が第2下辺部分303Aの範囲内から突出していてもよい。また、第1突起部分320Aが、上辺部分301または第1下辺部分302Aの範囲内から突出していてもよい。この点、第2突起部分320Bも同様である。
【0128】
・第1突起部分320Aは、巻き回し部分30Aの内周側から突出していてもよい。この点、第2突起部分320Bも同様である。
・第1突起部分320Aにおいて、第1負方向X2を向いて視たときの形状は、半円状に限定されない。第1突起部分320Aは、例えば、多角形状でもよいし、その他の形状でもよい。
【0129】
・巻き回し部分30Aは、第1負方向X2を向いて視たときに、1つの環状を成しているが、巻き回し部分30Aは、2周以上で渦巻き状に形成されていてもよい。その場合において、上辺部分301は、天面11Fと平行な部分のうち、最も天面11Fに近い部分を指す。すなわち、上辺部分301は、巻き回し部分30Aにおいて外周を成す部分のうち、天面11Fと平行な部分である。また、同様に、第1下辺部分302Aは、巻き回し部分30Aの外周を成す部分のうち、最も底面11Eに近い箇所から、第1端面11Cに垂直な方向において上辺部分301の第1端面11C側の端と同一位置まで延びる部分である。
【0130】
・上辺部分301、下辺部分302、第1側辺部分304A、及び第2側辺部分304Bは、それぞれ線幅が異なっていてもよい。
・第1側辺部分304Aの形状は、上記各実施形態の形状に限られない。例えば、第1側辺部分304Aのうちの一部分が円弧状に延びていてもよい。図6に示すインダクタ部品10の第1側辺部分304Aは、第2下辺部分303Aにおける第1端面11C側の端と、上辺部分301の第1端面11C側の端と、を繋いでいる。第1負方向X2を向いて視たとき、第1側辺部分304Aの第2下辺部分303Aと接続している側の一部分は、第1端面11Cに向かって凸となる円弧状に延びている。すなわち、当該円弧状の第1側辺部分304Aの底面11E側の端は、第2下辺部分303Aの第1端面11C側の端と接続している。また、当該円弧状の第1側辺部分304Aの天面11F側の端は、第2軸Yに沿う方向において、上辺部分301の第1端面11C側の端と同一位置である。第1側辺部分304Aの残りの部分は、第1端面11Cと平行に直線状に延びている。すなわち、直線状に延びる第1側辺部分304Aの底面11E側の端は、円弧状に延びる第1側辺部分304Aの天面11F側の端と接続している。また、直線状に延びる第1側辺部分304Aの天面11F側の端は、上辺部分301の第1端面11C側の端と接続している。
【0131】
・第1実施形態において第1側辺部分304A及び第2側辺部分304Bのうち、いずれか一方が直線状に延びていてもよい。この場合、直線状に延びる側辺部分の全体が、上辺部分301の端に対して中央側に位置することになる。
【0132】
・第1実施形態において、下辺部分302は、例えば、第1端面11C側の端から底面11Eに最も近い箇所に向かって曲線状に延びる部分を有していてもよい。すなわち、第1下辺部分302Aと、第2下辺部分303Aとの境界において角がなく、なだらかに繋がっていてもよい。
【0133】
・第1電極40及び第2電極50の形状は、上記各実施形態の例に限定されない。例えば、図6に示すインダクタ部品10の第1電極40は、第1底面電極401と、第1端面電極402と、を含んでいる。第1底面電極401は、第1負方向X2を向いて視たとき、矩形状の部分を含んでいる。具体的には、第1底面電極401の厚み寸法P1は、第1端面11Cと底面11Eとの境界から第2負方向Y2に向かう一部の区間で、一定の傾きで第1端面11Cから遠ざかるに従い連続的に大きくなっている。そして、第1底面電極401の厚み寸法P1は、上記一部の区間で大きくなったのち、先端PYまでの第2軸Yに沿う方向の区間において、一定になっている。なお、図6において、第1電極40のうち第1底面電極401に該当する領域をドットで示している。
【0134】
第1端面電極402は、第1負方向X2を向いて視たとき、矩形状の部分を含んでいる。具体的には第1端面電極402の厚み寸法P2は、第1端面11Cと底面11Eとの境界から第3正方向Z1に向かう一部の区間で、一定の傾きで第1端面11Cから遠ざかるに従い連続的に大きくなっている。そして、第1端面電極402の厚み寸法P2は、上記一部の区間で大きくなったのち、先端PZまでの第3軸Zに沿う方向の区間において、一定になっている。なお、図6において、第1電極40のうち第1端面電極402に該当する領域をドットで示している。このように、第1電極40は、図6に示す第1電極40のように、第1負方向X2を向いて視たとき、L字形状であってもよい。この点、第2電極50においても同様である。
【0135】
・第1電極40と第2電極50とで異なる形状をしていてもよい。例えば、第1電極40が図3に示す形状で、第2電極50が図6に示す形状であってもよい。また、第1電極40において、第1底面電極401と第1端面電極402とで対称形状でなくてよい。この点、第2電極50においても同様である。
【0136】
・第1実施形態及び第2実施形態において、第1側辺部分304Aのうちの第1端面11Cとの距離が最も近い箇所N1は、第1電極40における第3正方向Z1側の端に対して底面11E側に位置していてもよい。この点、第2側辺部分304Bのうちの第2端面11Dとの距離が最も近い箇所N2と第2電極50の関係も同様である。
【0137】
・第1実施形態及び第2実施形態において、第1突起部分320A及び第2突起部分320Bは省略可能である。この構成においても上述の(1-5)、(1-6)以外の効果は得られる。
【0138】
・第1実施形態と第3実施形態とを組み合わせてもよい。つまり、図3に示すインダクタ部品10の第1下辺部分302Aは、第1部分312及び第2部分322を備えていてもよい。また、その場合、第1部分312は、第1端面11C側の端から底面11Eに最も近い箇所に向かって曲線状に延びていてもよい。この点、第2部分322も同様に、曲線状に延びていてもよい。
【0139】
上記実施形態及び変更例から導き出せる技術思想を以下に記載する。
[1]6つの外面を有する直方体状の素体と、前記素体の内部で延びているインダクタ配線と、を備え、前記素体は、前記インダクタ配線の第1端に接続している第1電極と、前記インダクタ配線の第2端に接続している第2電極と、を有し、前記素体の6つの外面のうち、特定の1つの面を主面とし、前記主面に垂直な面の1つを端面とし、前記主面及び前記端面のいずれにも垂直な面の1つを底面とし、前記底面に平行な面を天面としたとき、前記第1電極は、前記端面から前記底面にかけての領域で前記素体の外部に露出しており、前記インダクタ配線は、前記主面に垂直な方向から視て、前記インダクタ配線同士が重なり合った環状の巻き回し部分を有し、前記巻き回し部分は、前記天面と平行な部分のうち、最も前記天面に近い上辺部分と、最も前記底面に近い箇所から、前記端面に垂直な方向において前記上辺部分における前記端面側の端と同一位置まで延びる下辺部分と、前記下辺部分における前記端面側の端と前記上辺部分における前記端面側の端とを繋ぐ側辺部分と、を有し、前記側辺部分の少なくとも一部は、前記上辺部分における前記端面側の端に対して前記端面側に位置しているインダクタ部品。
【0140】
[2]前記側辺部分の全体が、前記上辺部分における前記端面側の端に対して前記端面側に位置している[1]に記載のインダクタ部品。
[3]前記側辺部分は、前記端面に向かって凸となる円弧状に延びている[2]に記載のインダクタ部品。
【0141】
[4]前記側辺部分は、前記下辺部分における前記端面側の端から前記端面側且つ前記天面側へと斜めに直線状に延びる第1部分と、前記第1部分における前記端面側の端から前記上辺部分における前記端面側の端へと直線状に延びる第2部分と、を有する[2]に記載のインダクタ部品。
【0142】
[5]前記側辺部分のうちの前記端面との距離が最も近い箇所は、前記第1電極における前記天面側の端に対して前記天面側に位置している[1]~[4]のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0143】
[6]前記巻き回し部分は、一定の線幅で延びる配線本体と、前記配線本体の縁から突出する突起部分と、を有している[1]~[5]のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0144】
[7]前記突起部分は、前記巻き回し部分の外周側から突出している[6]に記載のインダクタ部品。
[8]前記下辺部分は、前記底面に最も近い箇所で前記底面と平行に延びる部分を有する[1]~[7]のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0145】
[9]前記素体の6つの外面のうち、前記端面に平行な面を第2端面とし、前記下辺部分は、前記底面に最も近い箇所まで前記底面側且つ前記第2端面側に斜めに延びる第1部分と、前記第1部分における前記底面側の端から前記天面側且つ前記第2端面側に延びる第2部分と、を有する[1]~[8]のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0146】
[10]前記下辺部分は、前記端面側の端から前記底面に最も近い箇所に向かって曲線状に延びる部分を有する[1]~[9]のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
[11]6つの外面を有する直方体状の素体と、前記素体の内部で延びているインダクタ配線と、を備え、前記素体は、前記インダクタ配線の第1端に接続している第1電極と、前記インダクタ配線の第2端に接続している第2電極と、を有し、前記素体の6つの外面のうち、特定の1つの面を主面とし、前記主面に垂直な面の1つを第1端面とし、前記第1端面に平行な面を第2端面とし、前記主面及び前記第1端面のいずれにも垂直な面の1つを底面とし、前記底面に平行な面を天面としたとき、前記第1電極は、前記底面で前記素体の外部に露出しており、前記第2電極は、前記底面のうち前記第1電極に対して前記第2端面側に離れた箇所で、前記素体の外部に露出しており、前記インダクタ配線は、前記主面に垂直な方向から視て、前記インダクタ配線同士が重なり合った環状の巻き回し部分を有し、前記巻き回し部分は、前記天面と平行な部分のうち、最も前記天面に近い上辺部分と、最も前記底面に近い箇所を含む下辺部分と、を有し、前記下辺部分は、前記底面に最も近い箇所まで前記底面側且つ前記第2端面側に斜めに直線状に延びる第1部分と、前記第1部分における前記底面側の端から前記天面側且つ前記第2端面側に斜めに直線状に延びる第2部分と、を有するインダクタ部品。
【符号の説明】
【0147】
10…インダクタ部品
11…素体
11A…第1主面
11B…第2主面
11C…第1端面
11D…第2端面
11E…底面
11F…天面
30…インダクタ配線
40…第1電極
50…第2電極
301…上辺部分
302…下辺部分
302A…第1下辺部分
303A…第2下辺部分
304A…第1側辺部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6