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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006211
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】エアコンプレッサ
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/12 20060101AFI20240110BHJP
   F04B 39/00 20060101ALI20240110BHJP
   F04B 41/02 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
F04B39/12 101J
F04B39/00 101M
F04B41/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106901
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西土 典之
(72)【発明者】
【氏名】黒川 恵寿
(72)【発明者】
【氏名】蜂須賀 智弘
【テーマコード(参考)】
3H003
3H076
【Fターム(参考)】
3H003AA02
3H003AC02
3H003BA08
3H003BG04
3H003CD07
3H076AA01
3H076AA35
3H076BB01
3H076CC39
3H076CC41
3H076CC44
3H076CC95
(57)【要約】
【課題】従来のドレン排出構造では排出される圧縮エアとドレンの勢いが十分に抑制されないため、圧縮エアの排気時の騒音やドレンが壁部貫通用の隙間を経て外部に洩れ出ることが想定される。本開示では、排気時の騒音やドレンの洩れがより確実に抑制されるようにすることを目的とする。
【解決手段】ドレン排出管21の中途にソケット25を介在させる。仕切り板3の外面側においてソケット25の挿通孔25fに下流管26を横方向に挿通させる。下流管26と挿通孔25fとの間はシール部材27で密封する。下流管26を仕切り板3の内側に配置した消音室30に進入させる。これにより消音室30に排出されたドレンと圧縮エアが仕切り板3の外部に洩れ出ることを抑制する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアコンプレッサであって、
圧縮機から吐出された圧縮エアを貯留し、かつ相互に並設された2つのタンクと、
前記2つのタンクの間に設けられて前記2つのタンクの間を覆う仕切り板と、
前記タンクから延出してドレンを排出する排出管と、
前記仕切り板の外面に装着され、かつ前記排出管が挿通される挿通孔を具備するソケットと、
前記ソケットの前記挿通孔の内周面と前記排出管の間を密封するシール部材と、
前記仕切り板より内側に位置し、かつ前記排出管の先端が挿通される消音室を有するエアコンプレッサ。
【請求項2】
請求項1記載のエアコンプレッサであって、
前記2つのタンクは、相互に左右に並設され、
前記仕切り板は、前記エアコンプレッサの設置面に対して起立し、
前記排出管は、前記仕切り板と前記ソケットを前後方向に貫通するエアコンプレッサ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のエアコンプレッサであって、
前記消音室は、下方に開口する開口部を備える本体と、前記開口部を覆いかつ前記本体との間に排出隙間を形成する下カバーを有するエアコンプレッサ。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1つに記載のエアコンプレッサであって、
前記消音室に収容される消音部材を有するエアコンプレッサ。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1つに記載のエアコンプレッサであって、
前記ソケットは、前記排出管が挿通される筒部と、前記筒部の両側に位置しかつ前記仕切り板の前記外面に結合される結合部を有するエアコンプレッサ。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1つに記載のエアコンプレッサであって、
前記排出管には、開閉弁と、前記開閉弁を操作するレバーが設けられ、前記レバーが前記ソケットの上方に位置するエアコンプレッサ。
【請求項7】
請求項6記載のエアコンプレッサであって、
前記レバーの全体が前記2つのタンクの間の領域内に配置されるエアコンプレッサ。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1つに記載のエアコンプレッサであって、
前記排出管は、前記タンクから延出する上流管と、前記上流管に着脱可能に接続される下流管を有し、
前記下流管に代えて前記上流管に接続されるアダプタを有し、
前記アダプタは、前記ソケットに取り付けられる取付部と、前記ソケットの外側に開口する開口部を有するエアコンプレッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導入された空気を圧縮して圧縮エアを生成するエアコンプレッサに関する。
【背景技術】
【0002】
エアコンプレッサは、外気をシリンダに導入し、ピストンで圧縮することで圧縮エアを生成する圧縮機構を備える。生成された圧縮エアは、タンクへと送られて貯留される。タンクに貯留された圧縮エアは、例えばエア駆動式の釘打機やエアタッカ等の工具を駆動させるために工具へと供給される。圧縮エアをタンク外へと供給する際、タンク内に残留している圧縮エアが膨張して冷却する。これによりタンク内に残留している圧縮エアに含まれている水蒸気が凝結し、タンク内にドレン(ドレン水)として蓄積する。タンク内に蓄積したドレンは、タンク内に錆等を発生させたり、圧縮エアの貯留量の減少等を生じさせたりする場合がある。そのため、特許文献1に記載されるように、エアコンプレッサにドレンをタンク外へ排出するためのドレン排出部を備える構成が一般的に利用されている。
【0003】
特許文献1に記載のドレン排出部は、タンク内と連通しているドレン排出管と、ドレン排出管を開閉するドレンコックを有する。ドレンコックを開くことで、ドレン排出管の先端の排出口からタンク内の圧縮エアとドレンが排出される。ドレン排出管は、例えば2つのタンクを相互に結合する壁部を貫通して、コンプレッサ本体の下方に設けられた消音室に配管される。消音室には消音部材が収容されている。これにより、ドレン排出管の排出口から排出される圧縮エアの騒音が抑制されるとともに、排出口から排出されるドレンの飛散が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-157791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の消音室では排出される圧縮エアとドレンの勢いが十分に抑制されないため、圧縮エアの排気時の騒音やドレンが壁部貫通用の隙間を経て外部に洩れ出ることが想定される。本開示では、排気時の騒音やドレンの洩れがより確実に抑制されるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つの局面によれば、エアコンプレッサは、例えば圧縮機から吐出された圧縮エアを貯留し、かつ相互に並設された2つのタンクを有する。エアコンプレッサは、例えば2つのタンクの間に設けられて2つのタンクの間を覆う仕切り板を有する。エアコンプレッサは、例えばタンクから延出してドレンを排出する排出管と、仕切り板の外面に装着され、かつ排出管が挿通される挿通孔を具備するソケットを有する。エアコンプレッサは、例えばソケットの挿通孔の内周面と排出管の間を密封するシール部材を有する。エアコンプレッサは、例えば仕切り板より内側に位置し、かつ排出管の先端が挿通される消音室を有する。
【0007】
従って、挿通孔の内周面と排出管との間の隙間がシール部材により密封されることで、排気時の騒音やドレンの洩れが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】エアコンプレッサを前方から見た斜視図である。
図2】本体カバーを取り外したエアコンプレッサを前方から見た斜視図である。
図3図1中III矢視図であって、ドレン排出部の前面図である。
図4】ドレン排出部の縦断面図である。本図ではドレンレバーが閉じられた状態を示している。
図5】ドレン排出部の縦断面図である。本図ではドレンレバーが開かれた状態を示している。
図6】ドレン排出部の分解断面斜視図である。
図7】ドレン排出部の縦断面図である。本図は、下流管に代えてアダプタを取り付けた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば2つのタンクは、相互に左右に並設される、例えば、仕切り板は、エアコンプレッサの設置面に対して起立し、排出管は、仕切り板とソケットを前後方向に貫通する。従って、エアコンプレッサの設置状態のままで、排出管の取り付け、取り外しが可能となる。これにより、排出管の組み付け性及びメンテナンス性が良くなる。
【0010】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば消音室は、下方に開口する開口部を備える本体と、開口部を覆いかつ本体との間に排出隙間を形成する下カバーを有する。従って、排出隙間からドレンが排水されて周囲への飛散が抑制される。
【0011】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば消音室に消音部材が収容される。従って、ドレンの排気音がより確実に抑制される。消音部材には例えばスチールウールを用いることができる。
【0012】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばソケットは、排出管が挿通される筒部と、筒部の両側に位置しかつ仕切り板の外面に結合される結合部を有する。従って、筒部に排出管を挿通させた状態でソケットが仕切り板の外面に結合される。
【0013】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば排出管には、開閉弁と、開閉弁を操作するレバーが設けられ、レバーがソケットの上方に位置する。従って、ドレン排出時の操作性が良くなる。
【0014】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばレバーの全体が2つのタンクの間の領域内に配置される。従って、レバーの不用意な開閉操作が防止される。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば排出管はタンクから延出する上流管と、上流管に着脱可能に接続される下流管を有する。例えば、下流管に代えて上流管にアダプタを接続可能である。例えばアダプタは、ソケットに取り付けられる取付部と、ソケットの外側に開口する開口部を有する。従って、ドレンを消音室内ではなく、ソケットの外側に排出できる。例えばアダプタの開口部にホースを接続することで、ドレンをエアコンプレッサから離れた場所で容易に回収できる。下流管が、仕切り板とソケットを前後方向に貫通する状態で接続されることにより、ソケットに対する下流管及びアダプタの脱着をエアコンプレッサの設置状態のまま行うことができる。
【実施例0016】
次に、本開示に係る一つの実施例を図1~7に基づいて説明する。図1~3に示すようにエアコンプレッサ1は、前後方向に延出する略円筒状の2つのタンク2を有する。2つのタンク2は、左右に横並びで配置され、連結ベース2aにより相互に結合されている。2つのタンク2の隙間は、前後の仕切り板3により覆われている。前後の仕切り板3は、2つのタンク2に跨って結合されている。図1では前側の仕切り板3が見えている。2つのタンク2の上方には、コンプレッサ本体10が設けられる。コンプレッサ本体10は連結ベース上に支持される。コンプレッサ本体10は、下方が開口した略箱形の本体カバー4で覆われる。
【0017】
2つのタンク2の前後両端の下部には、脚部5が設けられる。4箇所の脚部5が2つのタンク2とコンプレッサ本体10を支持することで、エアコンプレッサ1が地面、床面等の設置面Fに設置される。以下の説明において上下方向は設置面F側を下方とし、前後方向は後述するドレン排出部20が設けられる側を前方と規定する。左右方向はエアコンプレッサ1を前方から見た時を基準にして規定する。
【0018】
本体カバー4の上方に、ループ形のハンドル7が設けられている。ハンドル7はコンプレッサ本体10に支持されて前後方向に沿って延在されている。ハンドル7を把持することでエアコンプレッサ1を持ち運びできる。本体カバー4の上面でハンドル7の前方には、エアコンプレッサ1を操作するための操作部6が設けられる。操作部6には、起動ボタン6aの他、各種の操作ボタンが配置される。起動ボタン6aのオンオフ操作により、エアコンプレッサ1が起動、停止される。
【0019】
本体カバー4の前面側に、低圧出力用の吐出口8と高圧出力用の吐出口9がそれぞれ左右に2口ずつ配置されている。左側の高圧出力用の吐出口8からは、例えば2.5MPaの圧縮エアが供給される。右側の低圧出力用の吐出口9からは、例えば1MPaの圧縮エアが供給される。吐出される圧縮エアのエア圧は調整ダイヤル8a,9aにより調整できる。
【0020】
図2に示すように本体カバー4を取り外すと、コンプレッサ本体10が露出される。コンプレッサ本体10は、前側の第1圧縮部11と後側の第2圧縮部12を有する。第1圧縮部11と第2圧縮部12にはそれぞれピストンが内装されている。
【0021】
第1圧縮部11と第2圧縮部12との間に駆動部13が配置されている。駆動部13の右側部に電動モータ14が配置されている。電動モータ14には、比較的大きな起動トルクが得られるブラシレスモータが用いられている。電動モータ14の出力軸の右端部には冷却ファン15が支持されている。電動モータ14とは反対側において駆動部13の出力軸には吸気ファン18が支持されている。
【0022】
電動モータ14の起動によりなされる駆動部13のクランク動作により第1圧縮部11のピストンと第2圧縮部12のピストンが往復動して交互に圧縮動作がなされる。前側の第1圧縮部11に外気が導入されて一定圧の圧縮エアが生成される。前側の第1圧縮部11で圧縮生成された圧縮エアがエア配管16を経て後側の第2圧縮部12に供給される。供給された圧縮エアが第2圧縮部12でさらに圧縮されてより高圧(例えば4.5MPa)の圧縮エアが生成される。生成された圧縮エアは、エア配管17を経て右側のタンク2に貯留される。右側のタンク2と左側のタンク2は、図では見えていない連通管を経て相互に連通されている。
【0023】
2つのタンク2内に発生するドレン(ドレン水)は、ドレン排出部20で排出される。ドレンは、圧縮エアに混じって排出される。図3~6に示すようにドレン排出部20は前側の仕切り板3の前面側(外面側)に設けられている。
【0024】
ドレン排出部20は、タンク2内の圧縮エアとドレンを排出するドレン排出管21を有する。図3に示すように左側のタンク2に上流管22が接続されている。上流管22がドレン排出管21の上流側に相当する。上流管22はL字形の継ぎ手23に接続されている。継ぎ手23は、仕切り板3の内側(後面側)から外側(前面側)に貫通する経路で配置されている。仕切り板3の外側において、継ぎ手23の下流側に開閉弁24が接続されている。開閉弁24には開閉操作用のレバー24aが設けられている。レバー24aを約90°の範囲で回転操作することでドレン排出管21が開閉される。
【0025】
図4に示すようにレバー24aを横向き姿勢(長手方向を左右方向に沿わせた姿勢)に回転操作すると開閉弁24が閉じられる。開閉弁24が閉じられている場合、タンク2内の圧縮エアとドレンはドレン排出管21から排出されない。図5に示すようにレバー24aを縦向き姿勢(長手方向を上下方向に沿わせた姿勢)に回転操作すると開閉弁24が開かれる。開閉弁24が開かれると、その開き量に応じてタンク2内の圧縮エアとドレンがドレン排出管21から排出される。
【0026】
開閉弁24の下流側にL字形のソケット25が接続されている。ソケット25は、L字形の筒部25aを有する。筒部25aは上下方向に延びる縦部25bと前後方向に延びる横部25cを有する。筒部25aの両側にねじ止め用の結合部25dが設けられている。結合部25dによりソケット25が仕切り板3の外面(前面)に固定される。
【0027】
縦部25bの上部が開閉弁24に接続されている。縦部25bの内周孔25eが開閉弁24に連通されている。本実施例では縦部25bがドレン排出管21の一部を構成する。
【0028】
横部25cの中心に沿って挿通孔25fが設けられている。挿通孔25fに下流管26が着脱可能に挿通される。下流管26に雄ねじ部26aが設けられている。挿通孔25fに雌ねじ部25gが設けられている。雄ねじ部26aと雌ねじ部25gの螺合により下流管26が挿通孔25fに挿通された状態に取り付けられる。下流管26の前部にはスパナ掛け用の六角形の頭部26cが設けられている。
【0029】
下流管26は、横部25cの前部から後方へ向けてほぼ水平姿勢で挿通孔25fに差し込まれて取り付けられる。挿通させた下流管26の内周孔26bは、縦部25bの内周孔25eに連通される。下流管26の内周孔26bから圧縮エアとドレンが排出される。本実施例では下流管26がドレン排出管21の下流側を構成する。
【0030】
下流管26の周囲には複数のシール部材27が装着されている。シール部材27により、挿通孔25fの内周面と下流管26との間が密封される。これにより、圧縮エアの排出音(騒音)やドレンが、仕切り板3の外側に洩れ出ることが抑制される。下流管26は前方へ移動させることで、挿通孔25fから抜き出すことができる。
【0031】
横部25cは、仕切り板3の挿通孔3aを経て仕切り板3を前後に貫通する。このため、下流管26の先端側は、仕切り板3の内方(後方)に突き出されている。仕切り板3の挿通孔3aと横部25cとの間の隙間は最小限に抑制されている。これにより挿通孔3aは横部25cによりほぼ隙間なく塞がれた状態になっている。これによっても圧縮エアの排出音(騒音)やドレンが、仕切り板3の外側に洩れ出ることが抑制される。
【0032】
仕切り板3の内方に円筒形の消音室30が配置されている。仕切り板3の内方に突き出された下流管26の先端部は、消音室30に差し込まれている。ドレン排出管21の下流管26は、前後方向に延在されて消音室30に対して横方向から差し込まれる。
【0033】
消音室30は下方へ開口されている。消音室30は、2つのタンク2の間の下方を覆うアンダーカバー32に一体に設けられている。2つのタンク2の間の長手方向のほぼ全領域の下方がアンダーカバー32に覆われている。
【0034】
アンダーカバー32の前部に消音室30が設けられている。消音室30の前部に挿通孔30aが設けられている。挿通孔30aに下流管26の先端部が挿通される。挿通孔30aの上部には半円筒形のガード部30bが設けられている。ガード部30bは前方に張り出している。ガード部30bによりドレンの洩れや圧縮エアの吹き出し音の洩れが抑制される。
【0035】
消音室30には、消音部材31が収容される。消音部材31は、金属を材料として、微細な繊維状部材が絡み合った形状の金属製ウールで構成される。消音部材31は、例えば鉄を材料とするスチールウールや、ステンレス材を材料とするステンレスウールである。消音部材31は、内部を通る空気の流れを分散できる微細な隙間を多数有する。また、消音部材31は、通水性(透水性、排水性)が高く、かつ吸水性(保水性)が極めて低い。消音部材31は、少なくとも挿通孔30aの周囲を覆うように消音室30内に充填される。
【0036】
消音室30の下側の開口は、下カバー33により塞がれる。下カバー33により消音部材31の消音室30内からの脱落が防止される。下カバー33は円盤形を有している。下カバー33の上面には複数の壁部33aが設けられている。複数の壁部33aは放射方向に配置されて、それぞれ上方へ張り出している。複数の壁部33aにより消音部材31が下カバー33の上面から適度な隙間を開けた位置に保持される。
【0037】
隣接する2つの壁部33a間にドレンの排水路33bが形成される。下カバー33は3本のねじ34により消音室30の開口にを塞ぐように結合される。下カバー33の取り付け状態において、下カバー33の周縁と消音室30の開口縁部との間に隙間が開けられる。これにより各排水路33bが外部に連通される。各排水路33bを経てドレンが消音室30の外部に排水される。
【0038】
雄ねじ部26aと雌ねじ部25gの螺合を緩めることで、下流管26を挿通孔25fから前方へ抜き出すことができる。これにより下流管26がソケット25から取り外される。従って、消音室30から下流管26が抜き出される。
【0039】
図7に示すようにソケット25の挿通孔25fには、下流管26に代えてアダプタ40を取り付けることができる。アダプタ40の雄ねじ部40aがソケット25の雌ねじ部25gに螺合されてアダプタ40が挿通孔25fに取り付けられる。下流管26と同じく、アダプタ40の外周にシール部材28が装着されている。これによりアダプタ40と挿通孔25fとの間が水密にシールされる。
【0040】
下流管26に代えてアダプタ40を取り付けると、挿通孔25fの後部側の開口がアダプタ40により塞がれる。従って、アダプタ40を取り付ける場合には、消音室30は用いられない。従って、図示するようにこの場合には、消音部材31を消音室30から取り外しておくことができる。
【0041】
アダプタ40の内周孔40bは、ソケット25の内周孔25eに連通される。アダプタ40の内周孔40bは、前面側に開口されている。継ぎ手41を介して内周孔40bに、ドレンホース42が接続される。アダプタ40を介してドレンホース42がソケット25に接続される。従って、ドレンホース42から圧縮エア及びドレンが排出される。十分に長いドレンホース42を接続することで、圧縮エア及びドレンをエアコンプレッサ1から離れた部位に排出することができる。
【0042】
以上説明した実施例によれば、ドレン排出管21を仕切り板3の外側から内側に貫通させる部位において、ソケット25の挿通孔25fの内周面と下流管26(ドレン排出管21)との間の隙間がシール部材27により密封される。これにより、仕切り板3の内側においてなされる圧縮エアとドレンの排出時の騒音やドレンの外側への洩れが抑制される。
【0043】
実施例によれば、ドレン排出管21(下流管26)が、エアコンプレッサ1の設置面Fに対して起立して起立する仕切り板3とソケット25を前後方向(横方向)に貫通する状態に取り付けられる。従って、エアコンプレッサ1の設置状態のままで、ドレン排出管21の取り付け、取り外しが可能となる。これにより、ドレン排出管21の組み付け性及びメンテナンス性が良くなる。
【0044】
実施例によれば、下流管26を経て圧縮エアとドレンが消音室30内に排出される。消音室30は、排水路33bにより下方に開口する。従って、消音室30内に排出されたドレンが排水路33bから排出されて周囲への飛散が抑制される。
【0045】
実施例によれば、消音室30に消音部材31が収容される。従って、ドレンの排気音がより確実に抑制される。
【0046】
実施例によれば、ソケット25は、ドレン排出管21(下流管26)が挿通される筒部25aと、筒部25aの両側に位置しかつ仕切り板3の外面に結合される結合部25dを有する。従って、筒部25aにドレン排出管21を挿通させた状態でソケット25が仕切り板3の外面に結合される。
【0047】
実施例によれば、ドレン排出管21には、開閉操作用のレバー24aを備えた開閉弁24を有する。レバー24aはソケット25の上方に位置する。従って、ドレン排出時のレバー24aの操作性が良くなる。
【0048】
実施例によれば、開閉弁24のレバー24aは2つのタンク2の間の領域内に配置される。従って、レバー24aに対して他部材の干渉が回避されることでその不用意な開閉操作が防止される。
【0049】
実施例によれば、下流管26に代えてソケット25にアダプタ40を接続可能である。従って、ドレンを消音室30内ではなく、仕切り板3の外側に排出できる。十分な長さのドレンホース42をアダプタ40の開口部に接続することで、ドレンをエアコンプレッサ1から離れた場所で容易に回収できる。
【0050】
下流管26と同じく、アダプタ40はソケット25の挿通孔25fに対して前後方向に移動させて脱着される。これにより、ソケット25に対してアダプタ40の脱着をエアコンプレッサ1の設置状態のまま行うことができる。従って、エアコンプレッサ1のメンテナンス性が良くなる。
【0051】
以上説明した実施例には種々変更を加えることができる。例えば、ドレン排出部20は前面側の仕切り板3に設ける構成を例示したが、後側の仕切り板の後面側に設ける構成としてもよい。また、例示したドレン排出部20は、1つの仕切り板3あるいは3つ以上の仕切り板であっても同様に適用できる。
【0052】
さらに、消音部材31はスチールウールに代えて、例えばガラス繊維からなるいわゆるグラスウール等で構成されていてもよい。また、繊維状の部材に限らず、例えば複数の小さな金属球を焼結させて形成される微細な隙間の多い多孔質部材を消音部材としてもよい。
【0053】
下流管26に代えて取り付け可能なアダプタ40は省略してもよい。従って、2つのタンク2間に配置した消音室30に常時排出するドレン排出部としてもよい。この場合にも、シール部材27により下流管26の密閉性が確保されることで排出時の騒音低減及びドレン洩れの低減が図られるとともに、下流管26の取り外しの便宜が図られてエアコンプレッサ1のメンテナンス性が高められる。
【0054】
実施例のエアコンプレッサ1が本開示の1つの局面におけるエアコンプレッサの一例である。実施例のコンプレッサ本体10が本開示の1つの局面における圧縮機の一例である。実施例のタンク2が本開示の1つの局面におけるタンクの一例である。実施例の仕切り板3が本開示の1つの局面における仕切り板の一例である。実施例のドレン排出管21が本開示の1つの局面における排出管の一例である。
【0055】
実施例のソケット25が本開示の1つの局面におけるソケットの一例である。実施例の挿通孔25fが本開示の1つの局面における挿通孔の一例である。実施例のシール部材27,28が本開示の1つの局面におけるシール部材の一例である。実施例の消音室30が本開示の1つの局面における消音室の一例である。
【符号の説明】
【0056】
F…設置面
1…エアコンプレッサ
2…タンク
2a…連結ベース
3…仕切り板
3a…挿通孔
4…本体カバー
5…脚部
6…操作部
6a…起動ボタン
7…ハンドル
8…吐出口(高圧出力用)
9…吐出口(低圧出力用)
10…コンプレッサ本体
11…第1圧縮部
12…第2圧縮部
13…駆動部
14…電動モータ
15…冷却ファン
16,17…エア配管
18…吸気ファン
20…ドレン排出部
21…ドレン排出管
22…上流管
23…継ぎ手
24…開閉弁
24a…レバー
25…ソケット
25a…筒部、25b…縦部、25c…横部、25d…結合部
25e…内周孔、25f…挿通孔、25g…雌ねじ部
26…下流管
26a…雄ねじ部、26b…内周孔、26c…頭部
27…シール部材(下流管26)
28…シール部材(アダプタ40)
30…消音室
30a…挿通孔、30b…ガード部
31…消音部材
32…アンダーカバー
33…下カバー
33a…壁部、33b…排水路
34…ねじ
40…アダプタ
40a…雄ねじ部、40b…内周孔
41…継ぎ手
42…ドレンホース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7