(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062114
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】監視システム、監視装置、及び、監視方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/521 20170101AFI20240430BHJP
【FI】
G06T7/521
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169898
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】中村 翼
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA09
5L096BA02
5L096CA18
5L096FA52
5L096GA51
(57)【要約】
【課題】航空機用の舗装路面に取り残された異物を検出する技術を改良する。
【解決手段】三次元データ取得手段101は、航空機用の舗装路面をレーザ光を用いてスキャンする三次元測距センサから出力された三次元データを取得する。抽出手段102は、前記三次元データから、前記舗装路面上に存在する実像に相当する実像データと、前記実像に対応する蜃気楼像に相当する蜃気楼像データと、を抽出する。異物検出手段103は、前記実像データ及び前記蜃気楼像データを用いて前記舗装路面に取り残された異物を検出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機用の舗装路面をレーザ光を用いてスキャンする三次元測距センサから出力された三次元データを取得する三次元データ取得手段と、
前記三次元データから、前記舗装路面上に存在する実像に相当する実像データと、前記実像に対応する蜃気楼像に相当する蜃気楼像データと、を抽出する抽出手段と、
前記実像データ及び前記蜃気楼像データを用いて前記舗装路面に取り残された異物を検出する異物検出手段と、
を含む、
監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の監視システムであって、
前記三次元測距センサは、三次元Lidarスキャナであり、
前記三次元データは、点群データであり、
前記実像データは、実像点群データであり、
前記蜃気楼像データは、蜃気楼像点群データである、
監視システム。
【請求項3】
請求項2に記載の監視システムであって、
前記異物検出手段は、1つの像を構成する測距点の個数が所定値以上である場合、当該1つの像に対応する異物があると判定し、当該個数が所定値未満である場合、当該1つの像に対応する異物がないと判定するように構成され、
前記異物検出手段は、前記実像点群データが示す複数の測距点と前記蜃気楼像点群データが示す複数の測距点が共通する1つの結合像を構成するものとして前記異物の検出を実行する、
監視システム。
【請求項4】
請求項2に記載の監視システムであって、
前記異物検出手段は、前記蜃気楼像を上下反転させて前記実像に重ねるように、前記実像点群データ及び前記蜃気楼像点群データを合成して合成点群データを生成し、
前記合成点群データに基づいて前記異物の検出を実行する、
監視システム。
【請求項5】
請求項4に記載の監視システムであって、
前記異物検出手段は、前記合成点群データに基づいて前記異物の検出を実行するに際し、検出した異物の種類を前記合成点群データに基づいて推定する、
監視システム。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか1項に記載の監視システムであって、
前記舗装路面は、
前記三次元測距センサによって測距可能な近傍舗装路面と、
前記三次元測距センサから見て前記近傍舗装路面よりも遠く、前記三次元測距センサによって測距不能な遠方舗装路面と、
を含み、
前記実像と前記蜃気楼像は、前記遠方舗装路面を挟んで互いに対向するように位置している、
監視システム。
【請求項7】
航空機用の舗装路面をレーザ光を用いてスキャンする三次元測距センサから出力された三次元データを取得する三次元データ取得手段と、
前記三次元データから、前記舗装路面上に存在する実像に相当する実像データと、前記実像に対応する蜃気楼像に相当する蜃気楼像データと、を抽出する抽出手段と、
前記実像データ及び前記蜃気楼像データを用いて前記舗装路面に取り残された異物を検出する異物検出手段と、
を含む、
監視装置。
【請求項8】
請求項7に記載の監視装置であって、
前記三次元測距センサは、三次元Lidarスキャナであり、
前記三次元データは、点群データであり、
前記実像データは、実像点群データであり、
前記蜃気楼像データは、蜃気楼像点群データである、
監視装置。
【請求項9】
請求項8に記載の監視装置であって、
前記異物検出手段は、1つの像を構成する測距点の個数が所定値以上である場合、当該1つの像に対応する異物があると判定し、当該個数が所定値未満である場合、当該1つの像に対応する異物がないと判定するように構成され、
前記異物検出手段は、前記実像点群データが示す複数の測距点と前記蜃気楼像点群データが示す複数の測距点が共通する1つの結合像を構成するものとして前記異物の検出を実行する、
監視装置。
【請求項10】
請求項8に記載の監視装置であって、
前記異物検出手段は、前記蜃気楼像を上下反転させて前記実像に重ねるように、前記実像点群データ及び前記蜃気楼像点群データを合成して合成点群データを生成し、
前記合成点群データに基づいて前記異物の検出を実行する、
監視装置。
【請求項11】
請求項10に記載の監視装置であって、
前記異物検出手段は、前記合成点群データに基づいて前記異物の検出を実行するに際し、検出した異物の種類を前記合成点群データに基づいて推定する、
監視装置。
【請求項12】
請求項7から11までの何れか1項に記載の監視装置であって、
前記舗装路面は、
前記三次元測距センサによって測距可能な近傍舗装路面と、
前記三次元測距センサから見て前記近傍舗装路面よりも遠く、前記三次元測距センサによって測距不能な遠方舗装路面と、
を含み、
前記実像と前記蜃気楼像は、前記遠方舗装路面を挟んで互いに対向するように位置している、
監視装置。
【請求項13】
コンピュータが、
航空機用の舗装路面をレーザ光を用いてスキャンする三次元測距センサから出力された三次元データを取得する三次元データ取得ステップと、
前記三次元データから、前記舗装路面上に存在する実像に相当する実像データと、前記実像に対応する蜃気楼像に相当する蜃気楼像データと、を抽出する抽出ステップと、
前記実像データ及び前記蜃気楼像データを用いて前記舗装路面に取り残された異物を検出する異物検出ステップと、
を実行する、
監視方法。
【請求項14】
請求項13に記載の監視方法であって、
前記三次元測距センサは、三次元Lidarスキャナであり、
前記三次元データは、点群データであり、
前記実像データは、実像点群データであり、
前記蜃気楼像データは、蜃気楼像点群データである、
監視方法。
【請求項15】
請求項14に記載の監視方法であって、
前記異物検出ステップでは、1つの像を構成する測距点の個数が所定値以上である場合、当該1つの像に対応する異物があると判定し、当該個数が所定値未満である場合、当該1つの像に対応する異物がないと判定するように構成され、
前記異物検出ステップでは、前記実像点群データが示す複数の測距点と前記蜃気楼像点群データが示す複数の測距点が共通する1つの結合像を構成するものとして前記異物の検出を実行する、
監視方法。
【請求項16】
請求項14に記載の監視方法であって、
前記異物検出ステップでは、前記蜃気楼像を上下反転させて前記実像に重ねるように、前記実像点群データ及び前記蜃気楼像点群データを合成して合成点群データを生成し、
前記合成点群データに基づいて前記異物の検出を実行する、
監視方法。
【請求項17】
請求項16に記載の監視方法であって、
前記異物検出ステップでは、前記合成点群データに基づいて前記異物の検出を実行するに際し、検出した異物の種類を前記合成点群データに基づいて推定する、
監視方法。
【請求項18】
請求項13から17までの何れか1項に記載の監視方法であって、
前記舗装路面は、
前記三次元測距センサによって測距可能な近傍舗装路面と、
前記三次元測距センサから見て前記近傍舗装路面よりも遠く、前記三次元測距センサによって測距不能な遠方舗装路面と、
を含み、
前記実像と前記蜃気楼像は、前記遠方舗装路面を挟んで互いに対向するように位置している、
監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システム、監視装置、及び、監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空港に代表される航空機用の施設を運営するに際し、航空機用の舗装路面、即ち滑走路や誘導路、駐機場を綿密に点検することは重要な課題である。なぜなら、舗装路面に異物が取り残されている場合があるからである。異物としては、動物の死骸のような比較的大きなものもあれば、航空機を整備するための工具のような比較的小さなもの、ひいては、航空機や巡回車両から脱落した部品のような微小なものもある。これらの異物は、航空機のタイヤを破裂させたり、ジェットエンジンに吸い込まれることでジェットエンジンに致命的なダメージを与えたりする。このような事態を回避すべく、空港職員は、定期的に舗装路面を巡回し、異物の発見と除去に努めなければならない。しかしながら、舗装路面は極めて広大であり、上記の定期的な巡回には多大な費用を要していた。
【0003】
特許文献1は、LidarスキャナやX線カメラを含む検出ユニットを搭載し、滑走路を自律走行する空港整備装置を開示している。この空港整備装置は、検出ユニットによって異物を検出した場合、当該異物を排除又は回収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の構成では、空港整備装置が滑走路を巡回することが求められるので、航空整備装置自体が航空機の離発着を妨害することになり得る。即ち、空港整備装置が舗装路面を巡回できるのは航空機の離発着が行われないときに限られる。しかしながら、航空機の離発着が頻繁に行われる空港においては、離発着間の時間が短いので、空港整備装置が滑走路を巡回するのに十分な時間を離発着間に確保することができない。
【0006】
そこで、本願発明者らは、レーザ光を用いた三次元測距センサを用いて舗装路面を点検することを検討している。レーザ光を用いた三次元測距センサとは、典型的には、スキャン結果として三次元点群データを出力するものや、スキャン結果として三次元ポリゴンデータを出力するものが挙げられる。しかし、上記の異物が三次元測距センサから遠く離れている場合、当該異物を捕捉できるほどの十分なデータを得られないのが実情である。
【0007】
本開示の目的は、航空機用の舗装路面に取り残された異物を検出する技術を改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の観点によれば、
航空機用の舗装路面をレーザ光を用いてスキャンする三次元測距センサから出力された三次元データを取得する三次元データ取得手段と、
前記三次元データから、前記舗装路面上に存在する実像に相当する実像データと、前記実像に対応する蜃気楼像に相当する蜃気楼像データと、を抽出する抽出手段と、
前記実像データ及び前記蜃気楼像データを用いて前記舗装路面に取り残された異物を検出する異物検出手段と、
を含む、
監視システムが提供される。
【0009】
本開示の第2の観点によれば、
航空機用の舗装路面をレーザ光を用いてスキャンする三次元測距センサから出力された三次元データを取得する三次元データ取得手段と、
前記三次元データから、前記舗装路面上に存在する実像に相当する実像データと、前記実像に対応する蜃気楼像に相当する蜃気楼像データと、を抽出する抽出手段と、
前記実像データ及び前記蜃気楼像データを用いて前記舗装路面に取り残された異物を検出する異物検出手段と、
を含む、
監視装置が提供される。
【0010】
本開示の第3の観点によれば、
コンピュータが、
航空機用の舗装路面をレーザ光を用いてスキャンする三次元測距センサから出力された三次元データを取得する三次元データ取得ステップと、
前記三次元データから、前記舗装路面上に存在する実像に相当する実像データと、前記実像に対応する蜃気楼像に相当する蜃気楼像データと、を抽出する抽出ステップと、
前記実像データ及び前記蜃気楼像データを用いて前記舗装路面に取り残された異物を検出する異物検出ステップと、
を実行する、
監視方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、異物検出に供するデータ量が多くなるので、航空機用の舗装路面に取り残された異物の検出が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】監視装置の機能ブロック図である。(第1実施形態)
【
図5】
図4のサンプル空間における点群データを可視化した正面図である。
【
図6】実像と蜃気楼像を結合した結合像を示す図である。
【
図8】蜃気楼像点群データを上下反転させる様子を示す図である。
【
図9】実像と蜃気楼像を合成した合成像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本開示の概要)
以下、
図1を参照して、本開示の監視システムの概略を説明する。
図1は、監視システムの機能ブロック図である。
【0014】
図1に示すように、監視システム100は、三次元データ取得手段101、抽出手段102、異物検出手段103を含む。
【0015】
三次元データ取得手段101は、航空機用の舗装路面をレーザ光を用いてスキャンする三次元測距センサから出力された三次元データを取得する。
【0016】
抽出手段102は、前記三次元データから、前記舗装路面上に存在する実像に相当する実像データと、前記実像に対応する蜃気楼像に相当する蜃気楼像データと、を抽出する。
【0017】
異物検出手段103は、前記実像データ及び前記蜃気楼像データを用いて前記舗装路面に取り残された異物を検出する。
【0018】
以上の構成によれば、異物検出に供するデータ量が多くなるので、航空機用の舗装路面に取り残された異物の検出が改善される。
【0019】
(第1実施形態)
次に、
図2から
図7を参照して、本開示の第1実施形態を説明する。
【0020】
図2は、空港1の俯瞰図を示している。
図2に示すように、空港1には、主として、滑走路2と誘導路3、駐機場4が設けられている。
【0021】
滑走路2の長さは、典型的には、2000メートルから4000メートルである。滑走路2の幅は、典型的には、30メートルから60メートルである。
【0022】
そして、空港1には、滑走路2及び誘導路3、駐機場4を監視するための監視システム10が設けられている。監視システム10は、複数の三次元LiDARスキャナ11と、監視装置12と、を含む。
【0023】
本実施形態において、複数の三次元LiDARスキャナ11は、第1の三次元LiDARスキャナ11P及び第2の三次元LiDARスキャナ11Qを含む。第1の三次元LiDARスキャナ11Pは、広大な滑走路2の舗装路面5のうち複数の進入灯13から見て遠方となる第1の舗装路面5Pを監視する。第2の三次元LiDARスキャナ11Qは、広大な滑走路2の舗装路面5のうち複数の進入灯13の近傍である第2の舗装路面5Qを監視する。第1の舗装路面5P及び第2の舗装路面5Qは、滑走路2の舗装路面5を構成する。以下、主として、第1の三次元LiDARスキャナ11Pを用いて第1の舗装路面5Pを監視することについて説明する。一方、第2の三次元LiDARスキャナ11Qを用いて第2の舗装路面5Qを監視することについては説明が重複するため説明を省略する。
【0024】
本実施形態において、各三次元LiDARスキャナ11は、測距方式として、ToF(Time Of Flight)方式を採用している。しかし、これに代えて、各三次元LiDARスキャナ11は、測距方式として、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式やAMCW(Amplitude-modulated continuous wave)方式を採用してもよい。FMCW方式やAMCW方式は、indirect ToF方式と呼ばれる場合がある。
【0025】
各三次元LiDARスキャナ11の設置高さは、高ければ高いほど舗装路面5の監視に有利である。しかしながら、各三次元LiDARスキャナ11の設置高さは、航空法により厳しく制限されている。各三次元LiDARスキャナ11の設置高さは、典型的には、2メートルから5メートルである。
【0026】
各三次元LiDARスキャナ11は、典型的には、空港1の敷地内に固定的に設置される。即ち、各三次元LiDARスキャナ11は、非車載型である。しかし、これに代えて、各三次元LiDARスキャナ11は、可搬型であってもよい。即ち、各三次元LiDARスキャナ11は、車載型であってもよい。ただし、各三次元LiDARスキャナ11は、空間に対して静止した状態でスキャンを実行するように構成されている。
【0027】
図3に示すように、第1の三次元LiDARスキャナ11P及び第2の三次元LiDARスキャナ11Qは、監視装置12と双方向通信可能である。監視装置12は、中央演算処理器としてのCPU12a(Central Processing Unit)を備えている。監視装置12は、読み書き自由のRAM12b(Random Access Memory)を備えている。監視装置12は、読み出し専用のROM12c(Read Only Memory)を備えている。監視装置12は、更に、外部記憶装置であるHDD12d(Hard disk drive)、表示手段としてのLCD12e(Liquid crystal display)を備えている。
【0028】
そして、CPU12aは、ROM12cやHDD12dに記憶されている制御プログラムを読み出して実行する。これにより、制御プログラムは、CPU12aなどのハードウェアを、点群データ取得部15、抽出部16、異物検出部17、警報部18として機能させる。
【0029】
点群データ取得部15は、航空機用の舗装路面をレーザ光を用いてスキャンする三次元測距センサから出力された三次元データを取得する。具体的には以下の通りである。
【0030】
点群データ取得部15は、第1の舗装路面5Pをレーザ光を用いてスキャンする第1の三次元LiDARスキャナ11Pから出力された三次元データを取得する。第1の三次元LiDARスキャナ11Pは、三次元測距センサの一具体例である。航空機用の舗装路面は、滑走路2、誘導路3、駐機場4、図示しないヘリポートの少なくとも何れか1つであってもよい。
【0031】
上記の三次元データとは、典型的には、XYZ座標系で表された点群データである。第1の三次元LiDARスキャナ11Pは、点群データを出力し得る。これに代えて、三次元データは、極座標系で表された点群データであってもよい。この場合、点群データ取得部15は、第1の三次元LiDARスキャナ11Pから出力された点群データをXYZ座標系に変換する。本実施形態において、第1の三次元LiDARスキャナ11Pは、監視装置12から離れて配置されている。しかし、監視装置12が第1の三次元LiDARスキャナ11Pを含んでもよい。また、上記の三次元データは、点群データに代えて、ポリゴンデータであってもよい。
【0032】
図4には、第1の三次元LiDARスキャナ11Pから出力された点群データを構成する複数の測距点pを可視化した平面図を示している。
図4に示すように、第1の舗装路面5Pのうち、第1の三次元LiDARスキャナ11Pからの距離が所定値未満である近傍舗装路面5Aでは、近傍舗装路面5Aに相当する測距点pが大量に発生している。従って、近傍舗装路面5Aは、第1の舗装路面5Pのうち、第1の三次元LiDARスキャナ11Pによって測距可能な路面である。上記の所定値とは、典型的には、1.5kmである。
【0033】
これに対し、第1の舗装路面5Pのうち、第1の三次元LiDARスキャナ11Pからの距離が所定値以上の遠方舗装路面5Bでは、遠方舗装路面5Bに相当する測距点が全く発生していない。これは、第1の三次元LiDARスキャナ11Pから遠方舗装路面5Bに照射されたレーザ光の後方散乱光が弱く、第1の三次元LiDARスキャナ11Pの受光素子が当該後方散乱光を検出できないからである。従って、遠方舗装路面5Bは、第1の舗装路面5Pのうち、第1の三次元LiDARスキャナ11Pから見て近傍舗装路面5Aよりも遠く、第1の三次元LiDARスキャナ11Pによって測距不能な路面である。
【0034】
ここで、
図5を参照されたい。
図5は、
図4の平面図におけるサンプル空間Sを滑走路2の長手方向に沿って見たときの測距点pを可視化した図である。サンプル空間Sは、遠方舗装路面5Bよりも上方の空間と、遠方舗装路面5Bよりも下方の空間によって構成される。
【0035】
図5に示すように、抽出部16は、点群データ取得部15が取得した点群データから、異物検出用のデータを抽出する。具体的には、抽出部16は、点群データ取得部15が取得した点群データから、遠方舗装路面5Bの近傍に位置する実像E及び蜃気楼像Fにそれぞれ対応する実像点群データe及び蜃気楼像点群データfを抽出する。換言すれば、抽出部16は、点群データ取得部15が取得した点群データ(三次元データ)から、遠方舗装路面5B(舗装路面)上に存在する実像Eに相当する実像点群データe(実像データ)を抽出する。抽出部16は、点群データ取得部15が取得した点群データ(三次元データ)から、実像Eに対応する蜃気楼像Fに相当する蜃気楼像点群データf(蜃気楼像データ)を抽出する。
【0036】
即ち、遠方舗装路面5Bに異物が取り残されている場合、第1の三次元LiDARスキャナ11Pから見て、遠方舗装路面5Bの近傍には実像E及び蜃気楼像Fが出現する。実像Eは、遠方舗装路面5Bよりも上方に位置する像である。蜃気楼像Fは、実像Eの直下に出現する像であって、遠方舗装路面5Bよりも下方に位置する像である。実像Eと蜃気楼像Fは、遠方舗装路面5Bを挟んで鉛直方向で互いに対向するように出現する。
【0037】
蜃気楼像Fは、下位蜃気楼(inferior mirage)によって生じる像である。下位蜃気楼は、ある学説によれば、遠方舗装路面5Bから上方に離れるにつれて気温が下がるときにレーザ光の光路が下に向かって凸となるように湾曲することで、実像Eを上下反転したような像が遠方舗装路面5Bの下方に出現する現象と定義される。しかし、下位蜃気楼は、他のある学説によれば、遠方舗装路面5Bに対するレーザ光の入射角が所定値以上となったときに当該レーザ光が遠方舗装路面5Bで全反射することで、実像Eを上下反転した像が遠方舗装路面5Bの下方に出現する現象と定義される。何れの学説にせよ、蜃気楼像Fは、遠方舗装路面5Bを挟んで実像Eを上下反転させた像である。この意味で、蜃気楼像Fは、反転像とも言える。実像Eと蜃気楼像Fは、遠方舗装路面5Bに関して概ね対称の形状として出現することになる。
【0038】
そして、上記の蜃気楼像Fは、第1の三次元LiDARスキャナ11Pから遠く離れた場所で出現する性質を有する。従って、上記の蜃気楼像Fは、近傍舗装路面5Aの近傍では出現し難く、遠方舗装路面5Bの近傍で出現し易い。ただし、蜃気楼像Fが近傍舗装路面5Aの近傍で出現する場合もある。
【0039】
前述したように、抽出部16は、点群データ取得部15が取得した点群データから、遠方舗装路面5Bの近傍に位置する実像E及び蜃気楼像Fにそれぞれ対応する実像点群データe及び蜃気楼像点群データfを抽出する。従って、抽出部16は、点群データから実像点群データe及び蜃気楼像点群データfを抽出するに際し、遠方舗装路面5BのZ座標を把握する必要があるだろう。遠方舗装路面5BのZ座標を示す路面データが予めHDD12dに記憶されている場合は、抽出部16は、HDD12dから路面データを読み込むことで、遠方舗装路面5BのZ座標を把握することができる。これに対し、遠方舗装路面5BのZ座標を示す路面データが予めHDD12dに記憶されていない場合は、抽出部16は、種々の方法により、遠方舗装路面5BのZ座標を推定する。
【0040】
例えば、抽出部16は、近傍舗装路面5Aに対応する点群データに基づいて、遠方舗装路面5Bに対応する点群データを推定することにより、遠方舗装路面5BのZ座標を推定することができる。この場合、抽出部16は、第1の三次元LiDARスキャナ11Pから出力された近傍舗装路面5Aに対応する点群データを既知の舗装路面5の三次元形状データと位置合わせすることにより、遠方舗装路面5Bに対応する点群データを推定してもよい。位置合わせには、ICP(Iterative Closeset Point)技術を用いることができる。
【0041】
異物検出部17は、実像点群データe及び蜃気楼像点群データfを用いて遠方舗装路面5Bに取り残された異物を検出する。具体的には、以下の通りである。
【0042】
図5及び
図6に示すように、異物検出部17は、実像点群データeが示す複数の測距点pと、蜃気楼像点群データfが示す複数の測距点pが、共通する1つの結合像Gを構成するものとする。即ち、異物検出部17は、実像Eと蜃気楼像Fを結合して結合像Gを生成する。そして、異物検出部17は、結合像Gに対応する結合像点群データgに基づいて異物の検出を実行する。
【0043】
ここで、異物検出部17による異物検出の困難性を説明する。工具や部品のような小さい異物を三次元LiDARスキャナ11でスキャンした場合、このような小さな異物に対応する点群データのデータ量は少ない。また、遠方舗装路面5Bに取り残された異物を第1の三次元LiDARスキャナ11Pでスキャンした場合、当該異物に対応する点群データのデータ量は少ない。従って、遠方舗装路面5Bに取り残された小さな異物を第1の三次元LiDARスキャナ11Pでスキャンした場合、当該異物に対応する点群データのデータ量は極めて少なくなる。ここで、点群データのデータ量とは、典型的には、当該異物に対応する測距点の個数である。そして、異物検出部17は、外乱光などの外乱によって異物を誤検出することがないよう、1つの像を構成する測距点の個数が所定値以上である場合に限り、当該1つの像に対応する異物があると判定する。これに対し、異物検出部17は、当該個数が所定値未満である場合、当該1つの像に対応する異物がないと判定する。仮に、異物検出部17が、
図5に示す実像点群データeのみに基づいて異物検出する場合であって、上記所定値が30である場合、実像点群データeは外乱によるノイズであると判定し、結果として、当該実像Eに対応する異物がないと判定するだろう。そこで、本実施形態では、
図6に示すように、異物検出部17は、実像Eと蜃気楼像Fを結合して結合像Gを生成し、結合像Gに対応する結合像点群データgに基づいて異物の検出を実行する。以上の構成によれば、異物検出に供するデータ量が多くなるので、第1の三次元LiDARスキャナ11Pから遠く離れた遠方舗装路面5Bに取り残された小さな異物を検出することができるようになる。
【0044】
警報部18は、異物検出部17が異物を検出した場合、異物警報処理を実行する。異物警報処理とは、例えば、当該異物の検出場所をLCD12eに表示することである。
【0045】
次に、
図7を参照して、監視装置12の動作を説明する。
図7に示すように、まず、点群データ取得部15が、舗装路面5をレーザ光を用いてスキャンする第1の三次元LiDARスキャナ11Pから出力された点群データを取得する(S100)。次に、抽出部16が、点群データ取得部15が取得した点群データから、異物検出用のデータとして、実像点群データe及び蜃気楼像点群データfを抽出する(S110)。次に、異物検出部17が、実像点群データe及び蜃気楼像点群データfを用いて遠方舗装路面5Bに取り残された異物を検出する(S120)。異物検出部17が異物を検出した場合(S130:YES)、警報部18は、異物警報処理を実行し(S140)、処理をS100に戻す。異物検出部17が異物を検出しなかった場合(S130:NO)、警報部18は、異物警報処理を実行することなく、処理をS100に戻す。
【0046】
以上に、第1実施形態を説明したが、上記実施形態は以下の特徴を有する。
【0047】
監視システム10は、点群データ取得部15(三次元データ取得手段)、抽出部16(抽出手段)、異物検出部17(異物検出手段)を含む。点群データ取得部15は、航空機用の第1の舗装路面5P(舗装路面5)をレーザ光を用いてスキャンする第1の三次元LiDARスキャナ11P(三次元測距センサ)から出力された点群データ(三次元データ)を取得する。抽出部16は、点群データ取得部15が取得した点群データ(三次元データ)から、遠方舗装路面5B(舗装路面)上に存在する実像Eに相当する実像点群データe(実像データ)を抽出する。抽出部16は、点群データ取得部15が取得した点群データ(三次元データ)から、実像Eに対応する蜃気楼像Fに相当する蜃気楼像点群データf(蜃気楼像データ)を抽出する。異物検出部17は、実像点群データe及び蜃気楼像点群データfを用いて第1の舗装路面5Pに取り残された異物を検出する。以上の構成によれば、異物検出に供するデータ量が多くなるので、第1の舗装路面5Pに取り残された異物の検出が改善される。
【0048】
抽出部16は、換言すれば、点群データから、第1の舗装路面5Pの近傍に位置する実像E及び蜃気楼像Fそれぞれ対応する実像点群データe(実像データ)及び蜃気楼像点群データf(蜃気楼像データ)を抽出する。実像Eは、第1の舗装路面5Pの上方に位置する。蜃気楼像Fは実像Eの直下であって第1の舗装路面5Pの下方に位置する。
【0049】
また、異物検出部17は、1つの像を構成する測距点の個数が所定値以上である場合、当該1つの像に対応する異物があると判定する。異物検出部17は、当該個数が所定値未満である場合、当該1つの像に対応する異物がないと判定する。
図5及び
図6に示すように、異物検出部17は、実像点群データeが示す複数の測距点pと蜃気楼像点群データfが示す複数の測距点pが共通する1つの結合像Gを構成するものとして異物の検出を実行する。以上の構成によれば、異物の誤検出を防止しつつ、実像点群データeのデータ量が少ない場合でも、第1の舗装路面5Pに取り残された異物を検出できるようになる。
【0050】
第1の舗装路面5Pは、第1の三次元LiDARスキャナ11Pによって測距可能な近傍舗装路面5Aを含む。第1の舗装路面5Pは、第1の三次元LiDARスキャナ11Pから見て近傍舗装路面5Aよりも遠く、第1の三次元LiDARスキャナ11Pによって測距不能な遠方舗装路面5Bを含む。実像Eと蜃気楼像Fは、遠方舗装路面5Bを挟んで互いに対向するように位置している。このように、第1の三次元LiDARスキャナ11Pから遠方では、異物に対応するデータ量がそもそも少なくなるので、本実施形態にかかる異物検出技術は、遠方舗装路面5Bに取り残された異物の検出に特に有利である。ただし、本実施形態にかかる異物検出技術は、近傍舗装路面5Aに取り残された異物の蜃気楼像が出現するようであれば、近傍舗装路面5Aに取り残された異物の検出にも同様に有利であることは言うまでもない。
【0051】
(第2実施形態)
次に、
図8及び
図9を参照して、第2実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第1実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0052】
図5及び
図6を参照されたい。上記第1実施形態において、異物検出部17は、実像点群データeが示す複数の測距点pと、蜃気楼像点群データfが示す複数の測距点pが、共通する1つの結合像Gを構成するものとして、実像Eと蜃気楼像Fを結合して結合像Gを生成する。そして、異物検出部17は、結合像Gに対応する結合像点群データgに基づいて、異物の検出を実行する。
【0053】
これに対し、本実施形態では、
図8及び
図9に示すように、異物検出部17は、蜃気楼像Fを上下反転させて実像Eに重ねるように、実像点群データe及び蜃気楼像点群データfを合成して合成点群データhを生成する。即ち、異物検出部17は、蜃気楼像Fを上下反転させた反転蜃気楼像F2に実像Eを重ねるように反転蜃気楼像F2と実像Eを合成して合成像Hを生成する。そして、異物検出部17は、合成点群データhに基づいて異物の検出を実行する。
【0054】
更に、異物検出部17は、合成点群データhに基づいて異物の検出を実行するに際し、検出した異物の種類を合成点群データhに基づいて推定する。
図9には、合成点群データhが構成する合成像Hを示している。合成像Hは、前述したように、
図8に示す実像Eと、遠方舗装路面5Bを対称基準面として上下反転させた反転蜃気楼像F2と、を合成した像である。即ち、合成像Hは、実像Eを含むと同時に反転蜃気楼像F2を含む。従って、合成像Hは、実像Eや反転蜃気楼像F2と比較して異物の形状をより忠実に再現しているので、検出した異物の種類を推定するのに極めて適していると言える。
【0055】
以上に、第2実施形態を説明したが、上記第2実施形態は以下の特徴を有する。
【0056】
即ち、異物検出部17は、蜃気楼像Fを上下反転させて実像Eに重ねるように、実像点群データe及び蜃気楼像点群データfを合成して合成点群データhを生成する。そして、異物検出部17は、合成点群データhに基づいて異物の検出を実行する。以上の構成によれば、遠方舗装路面5Bよりも上方の測距点pのみに基づいて異物検出を実行することができる。
【0057】
また、異物検出部17は、合成点群データhに基づいて異物の検出を実行するに際し、検出した異物の種類を合成点群データhに基づいて推定する。即ち、合成点群データhに対応する合成像Hは、実像Eや反転蜃気楼像F2と比較して異物の形状をより忠実に再現しているので、以上の構成によれば、異物の種類の推定に寄与する。
【0058】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、更に、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROMを含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、更に、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0059】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0060】
(付記1)
航空機用の舗装路面をレーザ光を用いてスキャンする三次元測距センサから出力された三次元データを取得する三次元データ取得手段と、
前記三次元データから、前記舗装路面上に存在する実像に相当する実像データと、前記実像に対応する蜃気楼像に相当する蜃気楼像データと、を抽出する抽出手段と、
前記実像データ及び前記蜃気楼像データを用いて前記舗装路面に取り残された異物を検出する異物検出手段と、
を含む、
監視システム。
(付記2)
付記1に記載の監視システムであって、
前記三次元測距センサは、三次元Lidarスキャナであり、
前記三次元データは、点群データであり、
前記実像データは、実像点群データであり、
前記蜃気楼像データは、蜃気楼像点群データである、
監視システム。
(付記3)
付記2に記載の監視システムであって、
前記異物検出手段は、1つの像を構成する測距点の個数が所定値以上である場合、当該1つの像に対応する異物があると判定し、当該個数が所定値未満である場合、当該1つの像に対応する異物がないと判定するように構成され、
前記異物検出手段は、前記実像点群データが示す複数の測距点と前記蜃気楼像点群データが示す複数の測距点が共通する1つの結合像を構成するものとして前記異物の検出を実行する、
監視システム。
(付記4)
付記2に記載の監視システムであって、
前記異物検出手段は、前記蜃気楼像を上下反転させて前記実像に重ねるように、前記実像点群データ及び前記蜃気楼像点群データを合成して合成点群データを生成し、
前記合成点群データに基づいて前記異物の検出を実行する、
監視システム。
(付記5)
付記4に記載の監視システムであって、
前記異物検出手段は、前記合成点群データに基づいて前記異物の検出を実行するに際し、検出した異物の種類を前記合成点群データに基づいて推定する、
監視システム。
(付記6)
付記1から5までの何れか1項に記載の監視システムであって、
前記舗装路面は、
前記三次元測距センサによって測距可能な近傍舗装路面と、
前記三次元測距センサから見て前記近傍舗装路面よりも遠く、前記三次元測距センサによって測距不能な遠方舗装路面と、
を含み、
前記実像と前記蜃気楼像は、前記遠方舗装路面を挟んで互いに対向するように位置している、
監視システム。
(付記7)
航空機用の舗装路面をレーザ光を用いてスキャンする三次元測距センサから出力された三次元データを取得する三次元データ取得手段と、
前記三次元データから、前記舗装路面上に存在する実像に相当する実像データと、前記実像に対応する蜃気楼像に相当する蜃気楼像データと、を抽出する抽出手段と、
前記実像データ及び前記蜃気楼像データを用いて前記舗装路面に取り残された異物を検出する異物検出手段と、
を含む、
監視装置。
(付記8)
付記7に記載の監視装置であって、
前記三次元測距センサは、三次元Lidarスキャナであり、
前記三次元データは、点群データであり、
前記実像データは、実像点群データであり、
前記蜃気楼像データは、蜃気楼像点群データである、
監視装置。
(付記9)
付記8に記載の監視装置であって、
前記異物検出手段は、1つの像を構成する測距点の個数が所定値以上である場合、当該1つの像に対応する異物があると判定し、当該個数が所定値未満である場合、当該1つの像に対応する異物がないと判定するように構成され、
前記異物検出手段は、前記実像点群データが示す複数の測距点と前記蜃気楼像点群データが示す複数の測距点が共通する1つの結合像を構成するものとして前記異物の検出を実行する、
監視装置。
(付記10)
付記8に記載の監視装置であって、
前記異物検出手段は、前記蜃気楼像を上下反転させて前記実像に重ねるように、前記実像点群データ及び前記蜃気楼像点群データを合成して合成点群データを生成し、
前記合成点群データに基づいて前記異物の検出を実行する、
監視装置。
(付記11)
付記10に記載の監視装置であって、
前記異物検出手段は、前記合成点群データに基づいて前記異物の検出を実行するに際し、検出した異物の種類を前記合成点群データに基づいて推定する、
監視装置。
(付記12)
付記7から11までの何れか1項に記載の監視装置であって、
前記舗装路面は、
前記三次元測距センサによって測距可能な近傍舗装路面と、
前記三次元測距センサから見て前記近傍舗装路面よりも遠く、前記三次元測距センサによって測距不能な遠方舗装路面と、
を含み、
前記実像と前記蜃気楼像は、前記遠方舗装路面を挟んで互いに対向するように位置している、
監視装置。
(付記13)
コンピュータが、
航空機用の舗装路面をレーザ光を用いてスキャンする三次元測距センサから出力された三次元データを取得する三次元データ取得ステップと、
前記三次元データから、前記舗装路面上に存在する実像に相当する実像データと、前記実像に対応する蜃気楼像に相当する蜃気楼像データと、を抽出する抽出ステップと、
前記実像データ及び前記蜃気楼像データを用いて前記舗装路面に取り残された異物を検出する異物検出ステップと、
を実行する、
監視方法。
(付記14)
付記14に記載の監視方法であって、
前記三次元測距センサは、三次元Lidarスキャナであり、
前記三次元データは、点群データであり、
前記実像データは、実像点群データであり、
前記蜃気楼像データは、蜃気楼像点群データである、
監視方法。
(付記15)
付記14に記載の監視方法であって、
前記異物検出ステップでは、1つの像を構成する測距点の個数が所定値以上である場合、当該1つの像に対応する異物があると判定し、当該個数が所定値未満である場合、当該1つの像に対応する異物がないと判定するように構成され、
前記異物検出ステップでは、前記実像点群データが示す複数の測距点と前記蜃気楼像点群データが示す複数の測距点が共通する1つの結合像を構成するものとして前記異物の検出を実行する、
監視方法。
(付記16)
付記14に記載の監視方法であって、
前記異物検出ステップでは、前記蜃気楼像を上下反転させて前記実像に重ねるように、前記実像点群データ及び前記蜃気楼像点群データを合成して合成点群データを生成し、
前記合成点群データに基づいて前記異物の検出を実行する、
監視方法。
(付記17)
付記16に記載の監視方法であって、
前記異物検出ステップでは、前記合成点群データに基づいて前記異物の検出を実行するに際し、検出した異物の種類を前記合成点群データに基づいて推定する、
監視方法。
(付記18)
付記13から17までの何れか1項に記載の監視方法であって、
前記舗装路面は、
前記三次元測距センサによって測距可能な近傍舗装路面と、
前記三次元測距センサから見て前記近傍舗装路面よりも遠く、前記三次元測距センサによって測距不能な遠方舗装路面と、
を含み、
前記実像と前記蜃気楼像は、前記遠方舗装路面を挟んで互いに対向するように位置している、
監視方法。
(付記19)
コンピュータに、
航空機用の舗装路面をレーザ光を用いてスキャンする三次元測距センサから出力された三次元データを取得する三次元データ取得ステップと、
前記三次元データから、前記舗装路面上に存在する実像に相当する実像データと、前記実像に対応する蜃気楼像に相当する蜃気楼像データと、を抽出する抽出ステップと、
前記実像データ及び前記蜃気楼像データを用いて前記舗装路面に取り残された異物を検出する異物検出ステップと、
を実行させる、
プログラム。
(付記20)
付記19に記載のプログラムであって、
前記三次元測距センサは、三次元Lidarスキャナであり、
前記三次元データは、点群データであり、
前記実像データは、実像点群データであり、
前記蜃気楼像データは、蜃気楼像点群データである、
プログラム。
(付記21)
付記20に記載のプログラムであって、
前記異物検出ステップでは、1つの像を構成する測距点の個数が所定値以上である場合、当該1つの像に対応する異物があると判定し、当該個数が所定値未満である場合、当該1つの像に対応する異物がないと判定するように構成され、
前記異物検出ステップでは、前記実像点群データが示す複数の測距点と前記蜃気楼像点群データが示す複数の測距点が共通する1つの結合像を構成するものとして前記異物の検出を実行する、
プログラム。
(付記22)
付記20に記載のプログラムであって、
前記異物検出ステップでは、前記蜃気楼像を上下反転させて前記実像に重ねるように、前記実像点群データ及び前記蜃気楼像点群データを合成して合成点群データを生成し、
前記合成点群データに基づいて前記異物の検出を実行する、
プログラム。
(付記23)
付記22に記載のプログラムであって、
前記異物検出ステップでは、前記合成点群データに基づいて前記異物の検出を実行するに際し、検出した異物の種類を前記合成点群データに基づいて推定する、
プログラム。
(付記24)
付記19から23までの何れか1項に記載のプログラムであって、
前記舗装路面は、
前記三次元測距センサによって測距可能な近傍舗装路面と、
前記三次元測距センサから見て前記近傍舗装路面よりも遠く、前記三次元測距センサによって測距不能な遠方舗装路面と、
を含み、
前記実像と前記蜃気楼像は、前記遠方舗装路面を挟んで互いに対向するように位置している、
プログラム。
【符号の説明】
【0061】
1 空港
2 滑走路
3 誘導路
4 駐機場
5 舗装路面
5P 第1の舗装路面
5Q 第2の舗装路面
5A 近傍舗装路面
5B 遠方舗装路面
10 監視システム
11 三次元LiDARスキャナ
11P 第1の三次元LiDARスキャナ
11Q 第2の三次元LiDARスキャナ
12 監視装置
12a CPU
12b RAM
12c ROM
12d HDD
12e LCD
13 進入灯
15 点群データ取得部
16 抽出部
17 異物検出部
18 警報部
E 実像
e 実像点群データ
F 蜃気楼像
F2 反転蜃気楼像
f 蜃気楼像点群データ
G 結合像
g 結合像点群データ
H 合成像
h 合成点群データ
p 測距点
S サンプル空間