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特開2024-62117表示制御装置、コンピュータプログラム、およびモニタ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062117
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】表示制御装置、コンピュータプログラム、およびモニタ装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20240430BHJP
【FI】
G16H10/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169901
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀口 大介
(72)【発明者】
【氏名】松沢 航
(72)【発明者】
【氏名】大浦 光宏
(72)【発明者】
【氏名】藤本 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 晋一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 匡
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA23
(57)【要約】
【課題】複数の医療従事者による複数の対象者への医療提供を支援する。
【解決手段】入力インタフェース11は、トリガ信号TRを受け付ける。プロセッサ12は、トリガ信号TRに基づいて第一画面と第二画面のいずれかを表示装置20に表示させる。第一画面は、複数の対象者の各々について第一医療情報を提供する。第二画面は、複数の対象者の少なくとも一人について第一医療情報に含まれていない第二医療情報を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリガ信号を受け付けるインタフェースと、
前記トリガ信号に基づいて第一画面と第二画面のいずれかを表示装置に表示させるプロセッサと、
を備えており、
前記第一画面は、複数の対象者の各々について第一医療情報を提供し、
前記第二画面は、前記複数の対象者の少なくとも一人について前記第一医療情報に含まれていない第二医療情報を提供する、
表示制御装置。
【請求項2】
前記表示装置に前記第二画面を表示させるための前記トリガ信号は、医療従事者の属性情報を含んでおり、
前記プロセッサは、前記第二医療情報を前記属性情報に基づいて変更する、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記インタフェースは、前記第二画面に含まれる前記第二医療情報の表示態様を変更する指示を受け付け、
前記プロセッサは、前記第二画面に含まれる前記第二医療情報の表示態様を、前記指示に基づいて変更する、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、変更された表示態様に基づく前記第二医療情報を前記第二画面に表示させるためのデータを、読み出し可能にストレージに格納する、
請求項3に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、医療従事者の不在の検出に基づいて、前記第一画面を前記表示装置に表示させる、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項6】
表示制御装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記表示制御装置は、
トリガ信号を受け付け、
前記トリガ信号に基づいて第一画面と第二画面のいずれかを表示装置に表示させ、
前記第一画面は、複数の対象者の各々について第一医療情報を提供し、
前記第二画面は、前記複数の対象者の少なくとも一人について前記第一医療情報に含まれていない第二医療情報を提供する、
コンピュータプログラム。
【請求項7】
トリガ信号を受け付けるインタフェースと、
表示装置と、
前記トリガ信号に基づいて第一画面と第二画面のいずれかを前記表示装置に表示させるプロセッサと、
を備えており、
前記第一画面は、複数の対象者の各々について第一医療情報を提供し、
前記第二画面は、前記複数の対象者の少なくとも一人について前記第一医療情報に含まれていない第二医療情報を提供する、
モニタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療情報の表示を制御する装置に関連する。本開示は、当該装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムにも関連する。本開示は、当該医療情報をモニタする装置にも関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、医療臨床の現場で対象者を監視するための装置を開示している。当該装置は、医療従事者の属性を識別する情報が検出されると、ディスプレイに表示される情報を当該医療従事者の属性に応じて変更するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2019-525337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の医療従事者による複数の対象者の監視を支援することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示により提供される一態様例は、表示制御装置であって、
トリガ信号を受け付けるインタフェースと、
前記トリガ信号に基づいて第一画面と第二画面のいずれかを表示装置に表示させるプロセッサと、
を備えており、
前記第一画面は、複数の対象者の各々について第一医療情報を提供し、
前記第二画面は、前記複数の対象者の少なくとも一人について前記第一医療情報に含まれていない第二医療情報を提供する。
【0006】
本開示により提供される一態様例は、表示制御装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記表示制御装置は、
トリガ信号を受け付け、
前記トリガ信号に基づいて第一画面と第二画面のいずれかを表示装置に表示させ、
前記第一画面は、複数の対象者の各々について第一医療情報を提供し、
前記第二画面は、前記複数の対象者の少なくとも一人について前記第一医療情報に含まれていない第二医療情報を提供する。
【0007】
本開示により提供される一態様例は、モニタ装置であって、
トリガ信号を受け付けるインタフェースと、
表示装置と、
前記トリガ信号に基づいて第一画面と第二画面のいずれかを前記表示装置に表示させるプロセッサと、
を備えており、
前記第一画面は、複数の対象者の各々について第一医療情報を提供し、
前記第二画面は、前記複数の対象者の少なくとも一人について前記第一医療情報に含まれていない第二医療情報を提供する。
【0008】
医療現場における臨床判断に必要な情報の優先度は、医療従事者の職掌により相違する。例えば、指導医のような現場全体を総括する立場の医師にとっては、当該現場の概況を把握する必要がある。他方、担当医は、自身の担当患者の病態に関するより詳細な情報を必要とする。看護師は、指示された処置の確実な履行に重きが置かれる傾向にある。上記の各態様例に係る構成によれば、共通の表示装置において汎化性が相対的に高い第一画面と特化性が相対的に高い第二画面とを切り替え表示できるので、複数の対象者が監視される医療現場において各医療従事者の事情に応じた医療情報を迅速に提供できる。医療情報の選択自由度と集約性の双方が高められているので、複数の医療従事者による複数の対象者の監視を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る表示制御装置の機能構成を例示している。
図2図1の表示装置に表示される第一画面の一例を示している。
図3図1の表示装置に表示される第二画面の一例を示している。
図4図1の表示装置に表示される第二画面の別例を示している。
図5図1の表示装置に表示される第二画面の別例を示している。
図6図1の表示制御装置を含む表示制御システムの一例を示している。
図7図1の表示制御装置を含む表示制御システムの別例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例を以下詳細に説明する。
【0011】
AおよびBという二つの主体について本明細書で用いられる「AとBの少なくとも一方」という表現は、Aのみが特定される場合、Bのみが特定される場合、およびAとBの双方が特定される場合を含む意味である。AとBの各主体は、特に断りのない限り単数であってもよいし、複数であってもよい。
【0012】
A、B、およびCという三つの主体について本明細書で用いられる「A、B、およびCの少なくとも一つ」という表現は、Aのみが特定される場合、Bのみが特定される場合、Cのみが特定される場合、AとBが特定される場合、BとCが特定される場合、AとCが特定される場合、およびA、B、Cの全てが特定される場合を含む意味である。A、B、およびCの各主体は、特に断りのない限り単数であってもよいし、複数であってもよい。記述の対象となる主体が四つ以上の場合についても同様である。
【0013】
図1は、一実施形態に係る表示制御装置10の機能構成を例示している。表示制御装置10は、表示装置20に表示される医療情報の表示態様を制御するための装置である。
【0014】
表示制御装置10は、入力インタフェース11を備えている。入力インタフェース11は、ユーザインタフェース30から出力されるトリガ信号TRを受け付けるハードウェアインタフェースとして構成されている。トリガ信号TRは、ユーザインタフェース30の仕様に応じてデジタル信号であってもよいし、アナログ信号であってもよい。
【0015】
トリガ信号TRがアナログ信号である場合、入力インタフェース11は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。この説明は、後述される入力インタフェース11が受け付け可能な他の信号やデータについても同様に適用される。
【0016】
表示制御装置10は、プロセッサ12と出力インタフェース13を備えている。プロセッサ12は、トリガ信号TRに基づいて、第一画面21と第二画面22のいずれかを表示装置20に表示させる表示制御信号DCを、出力インタフェース13から出力するように構成されている。第一画面21と第二画面22については後述する。
【0017】
出力インタフェース13は、ハードウェアインタフェースとして構成されている。表示制御信号DCは、表示装置20の仕様に応じてデジタル信号であってもよいし、アナログ信号であってもよい。
【0018】
表示制御信号DCがアナログ信号である場合、出力インタフェース13は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を備える。この説明は、後述される出力インタフェース13が出力可能な他の信号やデータについても同様に適用される。
【0019】
図2は、第一画面21の一例を示している。第一画面21は、医療が提供されている複数の対象者の各々について第一医療情報を提供するように構成された画面である。第一画面21は、汎化性が相対的に高く、追加的な情報の参照が必要な対象者の特定を行なうことを想定した構成を有している。
【0020】
第一画面21は、複数の個人情報表示領域21aを含んでいる。各個人情報表示領域21aは、個人特定領域21bと医療情報表示領域21cを含んでいる。
【0021】
個人特定領域21bは、対象者の氏名と対象者を特定しうる識別情報の少なくとも一方が表示されるように構成されている。
【0022】
医療情報表示領域21cは、個人特定領域21bに表示された情報により特定される対象者に係る第一医療情報が表示されるように構成されている。第一医療情報は、対象者の属性情報、対象者のバイタルサイン、および対象者の重症度スコアの少なくとも一つを含んでいる。
【0023】
表示される属性情報の例としては、診療科名、主治医名、病名、施行手術名、年齢、性別、入床日、入床期間、在院日数、退室予定日、入室ルート、アレルギーの有無、感染症の有無、および積極的治療希望の有無の少なくとも一つが挙げられる。
【0024】
表示されるバイタルサインの例としては、心拍数、血圧、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)、呼吸数、体温、意識レベルなどが挙げられる。
【0025】
第一医療情報は、以下に列挙される情報の少なくとも一つを追加的に含みうる。

・検査結果
・対象者に装着された医療機器の名称、装着期間、および離脱目標時期の少なくとも一つ
・対象者に導入されている薬剤の名称、導入期間、および離脱目標時期の少なくとも一つ
・対象者に実施されている治療バンドルの名称、開始時期、終了時期、および遵守状況の少なくとも一つ
・必要な検査、計測、治療、および処置の実施率、および実施予定時間までの残り時間の少なくとも一つ
・リスクスコア
【0026】
図3は、第二画面22の一例を示している。第二画面22は、上記の複数の対象者の少なくとも一人について第二医療情報を提供するように構成された画面である。第二医療情報は、第一医療情報に含まれていない情報を含んでいる。すなわち、第二画面22は、特化性が相対的に高く、複数の対象者の少なくとも一人について追加的な情報の参照を行なうことを想定した構成を有している。
【0027】
本例においては、第二画面22は、識別情報「ABC」で特定される一人の対象者について第二医療情報を提供している。第二画面22は、履歴表示領域22aと医療情報表示領域22bを含んでいる。
【0028】
履歴表示領域22aは、当該対象者から取得された少なくとも一つのバイタルサインの経時変化が表示されるように構成されている。
【0029】
医療情報表示領域22bは、主として対象者の担当看護師により参照されることを想定した情報を表示するように構成されている。当該情報の例としては、定期的に行なわれるべき検査や処置の名称とその実施状況、指示された投薬の名称とその実施状況などが挙げられる。
【0030】
図2に例示されるように、第一画面21は、ユーザインタフェース30の一例としてのログインボタン画像31を表示している。ログインボタン画像31がクリックまたはタップされることにより、第二画面22への遷移を要求する情報を含むトリガ信号TRが出力される。このトリガ信号TRが表示制御装置10の入力インタフェース11により受け付けられると、プロセッサ12は、表示装置20に第二画面22を表示させる表示制御信号DCを、出力インタフェース13から出力する。
【0031】
図3に例示されるように、第二画面22は、ユーザインタフェース30の一例としてのログアウトボタン画像32を表示している。ログアウトボタン画像32がクリックまたはタップされることにより、第一画面21への遷移を要求する情報を含むトリガ信号TRが出力される。このトリガ信号TRが表示制御装置10の入力インタフェース11により受け付けられると、プロセッサ12は、表示装置20に第一画面21を表示させる表示制御信号DCを、出力インタフェース13から出力する。
【0032】
医療現場における臨床判断に必要な情報の優先度は、医療従事者の職掌により相違する。例えば、指導医のような現場全体を総括する立場の医師にとっては、当該現場の概況を把握する必要がある。他方、担当医は、自身の担当患者の病態に関するより詳細な情報を必要とする。看護師は、指示された処置の確実な履行に重きが置かれる傾向にある。上記のような構成によれば、共通の表示装置20において汎化性が相対的に高い第一画面21と特化性が相対的に高い第二画面22とを切り替え表示できるので、複数の対象者が監視される医療現場において各医療従事者の事情に応じた医療情報を迅速に提供できる。医療情報の選択自由度と集約性の双方が高められているので、複数の医療従事者による複数の対象者の監視を支援できる。
【0033】
図示を省略するが、第一画面21に表示されるログインボタン画像31を操作することにより、医療従事者の識別情報を入力するためのログイン画面が表示されうる。医療従事者が識別情報を入力することにより、表示装置20に第二画面22を表示させるためのトリガ信号TRに当該医療従事者の属性情報が含まれうる。
【0034】
なお、医療従事者の識別情報は、携帯可能なカードやタグなどに記憶されうる。当該識別情報は、光学的あるいは磁気的に読み出されることによって、もしくは近接無線通信を通じて読み出されることによって入力されてもよい。あるいは、生体認証を通じて医療従事者の識別がなされてもよい。
【0035】
属性情報は、氏名、性別、年齢、診療科名、所属組織名、職掌、職位、担当病室、担当患者、職歴期間、在院期間、専門技能、および取得資格の少なくとも一つを含みうる。
【0036】
第二画面22に表示される第二医療情報を特定するデータは、属性情報と関連付けられた状態で図1に例示されるストレージ40に格納されている。ストレージ40は、半導体メモリ、ハードディスク装置、磁気テープ装置などにより実現されうる記憶装置である。
【0037】
プロセッサ12は、トリガ信号TRに含まれる属性情報に関連付けられた第二医療情報を特定するデータをストレージ40から読み出し、当該データに対応する第二医療情報を表示装置20の第二画面22に表示させる表示制御信号DCを、出力インタフェース13から出力する。換言すると、プロセッサ12は、トリガ信号TRに含まれる属性情報に基づいて表示装置20に表示される第二画面22(第二医療情報)を変更できる。
【0038】
例えば、第一画面21に表示されている識別情報「ABC」で特定される対象者を担当する看護師が、ユーザインタフェース30を通じて自身の識別情報を入力した場合、当該識別情報に関連付けられた属性情報を含むトリガ信号TRが表示制御装置10の入力インタフェース11により受け付けられる。プロセッサ12は、識別情報「ABC」で特定される対象者に特化して第二医療情報を提供する第二画面22を表示装置20に表示させる表示制御信号DCを、出力インタフェース13から出力する。これにより、図3に例示される第二画面22が表示装置20に表示される。
【0039】
第一画面21に表示されている識別情報「DEF」で特定される対象者を担当する別の看護師が、ユーザインタフェース30を通じて自身の識別情報を入力した場合、当該識別情報に関連付けられた属性情報を含むトリガ信号TRが表示制御装置10の入力インタフェース11により受け付けられる。プロセッサ12は、識別情報「DEF」で特定される対象者に特化して第二医療情報を提供する第二画面22を表示装置20に表示させる表示制御信号DCを、出力インタフェース13から出力する。これにより、図3に例示されたものとは異なる、当該看護師による参照に特化された第二画面22が表示装置20に表示される。
【0040】
図4は、第二画面22の別例を示している。本例に係る第二画面22は、複数の個人情報表示領域22cを含んでいる。各個人情報表示領域22cは、個人特定領域22dと医療情報表示領域22eを含んでいる。
【0041】
個人特定領域22dは、対象者の氏名と対象者を特定しうる識別情報の少なくとも一方が表示されるように構成されている。
【0042】
医療情報表示領域22eは、個人特定領域22dに表示された情報により特定される対象者に係る第二医療情報が表示されるように構成されている。第二医療情報は、対象者の疾患名、対象者の重症度スコア、対象者に装着された医療機器の名称、対象者の退室予定日、対象者の担当看護師名、対象者の担当看護師の属性情報、および対象者の担当医師名の少なくとも一つを含んでいる。すなわち、医療情報表示領域22eは、複数の看護師を統括する看護師長などにより参照されることを想定した情報を表示するように構成されている。
【0043】
看護師長がユーザインタフェース30を通じて自身の識別情報を入力した場合、当該識別情報に関連付けられた属性情報を含むトリガ信号TRが表示制御装置10の入力インタフェース11により受け付けられる。プロセッサ12は、看護師長による参照に特化して第二医療情報を提供する第二画面22を表示装置20に表示させる表示制御信号DCを、出力インタフェース13から出力する。これにより、図4に例示される第二画面22が表示装置20に表示される。看護師長は、例えば各対象者の疾患名、重症度スコア、退室までの期間などと担当看護師の属性情報を比較することにより、適切な看護師の人員配置を含む看護計画を検討できる。
【0044】
図5は、第二画面22の別例を示している。本例においては、第二画面22は、識別情報「GHI」で特定される一人の対象者について第二医療情報を提供している。第二画面22は、履歴表示領域22f、医療情報表示領域22g、および判断支援領域22hを含んでいる。
【0045】
履歴表示領域22fは、当該対象者から取得された少なくとも一つのバイタルサインの経時変化が表示されるように構成されている。
【0046】
医療情報表示領域22gは、主として対象者の担当医師により参照されることを想定した情報を表示するように構成されている。当該情報の例としては、当該対象者について行なわれた検査の結果などが挙げられる。
【0047】
判断支援領域22hは、対象者の容態判断を行なうために必要な表示画面の切り替えや追加演算処理をおこなうために操作されるGUI(Graphical User Interface)を表示するように構成されている。
【0048】
第一画面21に表示されている識別情報「GHI」で特定される対象者を担当する医師が、ユーザインタフェース30を通じて自身の識別情報を入力した場合、当該識別情報に関連付けられた属性情報を含むトリガ信号TRが表示制御装置10の入力インタフェース11により受け付けられる。プロセッサ12は、識別情報「GHI」で特定される対象者に特化して第二医療情報を提供する第二画面22を表示装置20に表示させる表示制御信号DCを、出力インタフェース13から出力する。これにより、図5に例示される第二画面22が表示装置20に表示される。当該医師は、第二画面22に表示された第二医療情報を参照し、当該担当者の容態判断や今後の治療方針の検討を行なうことができる。
【0049】
複数の医療従事者が所属するチームによる参照に適した第二画面22が提供されてもよい。例えば、栄養管理を支援するチームに対しては、手術内容、入院予定期間、直近の食事内容、食事内容に対する指示などが第二医療情報として提供されうる。迅速な処置対応が求められるチームに対しては、重症度スコア、在院日数、重篤イベント(心停止など)の発生履歴、蘇生希望の有無などが第二医療情報として提供されうる。呼吸ケアを担当するチームに対しては、病名、入院予定期間、人工呼吸器の装着日数、人工呼吸器の設定などが第二医療情報として提供されうる。
【0050】
上記のような構成によれば、トリガ信号TRに医療従事者の属性情報を含めることによって、当該医療従事者の属性(職掌や担当対象者など)に適した第二医療情報を提供する第二画面22を表示できる。これにより、第一画面21から第二画面22への遷移後に当該医療従事者が所望する情報への到達を円滑化できる。
【0051】
表示制御装置10は、第二画面22における第二医療情報の表示態様を医療従事者が編集できるように構成されうる。医療従事者は、ユーザインタフェース30を通じて、第二画面22に表示される第二医療情報の項目の追加や削除、第二画面22における第二医療情報の表示レイアウトなどを変更する指示を入力できる。
【0052】
この場合、図1に例示されるように、変更指示に対応する編集信号EDがユーザインタフェース30から出力され、入力インタフェース11により受け付けられる。プロセッサ12は、編集信号EDに基づいて、第二画面22に含まれる第二医療情報の表示態様を表示装置20に変更させる表示制御信号DCを、出力インタフェース13から出力する。
【0053】
このように第二画面22のカスタマイズを許容することにより、医療従事者ごとの事情に応じた第二医療情報を、より柔軟に提供できる。これにより、第一画面21から第二画面22への遷移後に当該医療従事者が所望する情報への到達を円滑化できる。
【0054】
プロセッサ12は、変更後の表示態様に基づく第二医療情報を第二画面22に表示させるためのデータを、読み出し可能にストレージ40に格納してもよい。
【0055】
このような構成によれば、カスタマイズされた第二画面22を必要に応じて呼び出すことができるので、利便性を高めることができる。
【0056】
プロセッサ12は、医療従事者の不在の検出に基づいて、第一画面21を表示装置20に表示させる表示制御信号DCを出力インタフェース13から出力するように構成されうる。
【0057】
一例として、図1に例示されるように、表示装置20あるいはユーザインタフェース30の付近に医療従事者が不在であることを検出するセンサ50が設けられうる。センサ50は、カメラや人感センサにより実現されうる。センサ50は、医療従事者の不在を検出すると、検出信号DTを出力するように構成されうる。この場合、プロセッサ12は、検出信号DTが入力インタフェース11により受け付けられると、第一画面21を表示装置20に表示させる表示制御信号DCを出力インタフェース13から出力するように構成されうる。
【0058】
別例として、プロセッサ12は、表示装置20に第二画面22を表示させるためのトリガ信号TRを受け付けてからの経過時間を計測するように構成されうる。この場合、プロセッサは、当該経過時間が閾値を超えた場合に第一画面21を表示装置20に表示させる表示制御信号DCを出力インタフェース13から出力するように構成されうる。
【0059】
このような構成によれば、第二画面22を閲覧した医療従事者の不在が検出されると、第一画面21への遷移が自動的になされうる。何らかの事情により特化性が高い表示装置20の状態の維持が不要となった場合に、汎化性が相対的に高い状態への復帰が自動的になされることにより、複数の医療従事者に対する利便性の維持が容易とされる。
【0060】
上述した様々な機能を有する表示制御装置10のプロセッサ12は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、当該機能を実現するコンピュータプログラムが記憶されうる。ROMは、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。汎用マイクロプロセッサは、ROM上に記憶されたプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。当該コンピュータプログラムは、汎用メモリにプリインストールされてもよいし、通信ネットワークを介して外部サーバ装置からダウンロードされてから汎用メモリにインストールされてもよい。この場合、外部サーバ装置は、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。
【0061】
プロセッサ12は、上記のコンピュータプログラムを実行可能なマイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの専用集積回路によって実現されてもよい。この場合、当該専用集積回路に含まれる記憶素子に上記のコンピュータプログラムがプリインストールされる。当該記憶素子は、コンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ可読媒体の一例である。プロセッサ12は、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによっても実現されうる。
【0062】
これまで説明した表示制御装置10、表示装置20、ユーザインタフェース30、およびストレージ40は、様々な態様で表示制御システムを構成しうる。図6は、これら全ての要素が単一のモニタ装置60に搭載されている例を示している。前述のセンサ50もまた、当該モニタ装置60に搭載されうる。
【0063】
図7に例示されるように、表示装置20、ユーザインタフェース30、およびストレージ40の少なくとも一つは、通信ネットワークNを介して表示制御装置10と通信可能に接続されうる。すなわち、表示装置20、ユーザインタフェース30、およびストレージ40の少なくとも一つは、表示制御装置10が搭載されている装置とは独立して通信ネットワークN上に配置されうる。
【0064】
表示装置20、ユーザインタフェース30、およびストレージ40のうち少なくとも二つは、同じ装置の一部であってもよい。例えば、医療従事者により携帯可能なモバイル端末装置は、表示装置20とユーザインタフェース30の機能を提供しうる。
【0065】
センサ50から出力される検出信号DTは、直接的に表示制御装置10へ入力されてもよいし、通信ネットワークNを経由して表示制御装置10へ入力されてもよい。
【0066】
これまで説明した様々な構成は、本開示の理解を容易にするための例示にすぎない。各構成例は、適宜の変更や他の構成例との組合せがなされうる。
【0067】
第一画面21と第二画面22の切り替えは、必ずしも医療従事者の認証を伴うことを要しない。この場合、ユーザインタフェース30は、切り替えスイッチ(スイッチ画像を含む)の操作に加えてあるいは代えて、音声入力やジェスチャ入力に基づいてトリガ信号TRを生成するように構成されうる。
【0068】
以下に列挙される構成もまた、本開示の一部を構成する。

項目1:
トリガ信号を受け付けるインタフェースと、
前記トリガ信号に基づいて第一画面と第二画面のいずれかを表示装置に表示させるプロセッサと、
を備えており、
前記第一画面は、複数の対象者の各々について第一医療情報を提供しており、
前記第二画面は、前記複数の対象者の少なくとも一人について前記第一医療情報に含まれていない第二医療情報を提供している、
表示制御装置。

項目2:
前記表示装置に前記第二画面を表示させるための前記トリガ信号は、医療従事者の属性情報を含んでおり、
前記プロセッサは、前記第二医療情報を前記属性情報に基づいて変更する、
項目1に記載の表示制御装置。

項目3:
前記インタフェースは、前記第二画面に含まれる前記第二医療情報の表示態様を変更する指示を受け付け、
前記プロセッサは、前記第二画面に含まれる前記第二医療情報の表示態様を、前記指示に基づいて変更する、
項目1または2に記載の表示制御装置。

項目4:
前記プロセッサは、変更された表示態様に基づく前記第二医療情報を前記第二画面に表示させるためのデータを、読み出し可能にストレージに格納する、
項目3に記載の表示制御装置。

項目5:
前記プロセッサは、医療従事者の不在の検出に基づいて、前記第一画面を前記表示装置に表示させる、
項目1から4のいずれかに記載の表示制御装置。
【符号の説明】
【0069】
10:表示制御装置、11:入力インタフェース、12:プロセッサ、20:表示装置、21:第一画面、22:第二画面、40:ストレージ、60:モニタ装置、TR:トリガ信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7