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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062126
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】磁着可能なラック
(51)【国際特許分類】
   A47B 96/02 20060101AFI20240430BHJP
   A47K 4/00 20060101ALI20240430BHJP
   A47B 81/00 20060101ALI20240430BHJP
   A47G 29/00 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
A47B96/02 C
A47K4/00
A47B81/00 J
A47G29/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169916
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】591092523
【氏名又は名称】株式会社伸晃
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】岩上 和人
(72)【発明者】
【氏名】坂田 新
(72)【発明者】
【氏名】山口 明
【テーマコード(参考)】
2D132
3K100
【Fターム(参考)】
2D132GA04
3K100AA13
3K100AE01
3K100AE11
3K100AF03
3K100AJ05
(57)【要約】
【課題】磁着力を超える荷重が作用する場合でも磁性壁から脱落しないラックを提供する。
【解決手段】背面に磁石を有した背板部の前面に棚板部を突設したL字状のラック本体と、該ラック本体の左右両側に設けた一対の側板部とからなり、前記側板部は前記背板部と前記棚板部の間に斜辺部を有した側面視三角形状に形成してなり、棚板部は、表裏両面それぞれを物品の載置面とする一方、排水勾配を有して傾斜すると共に、前記排水勾配の上位と下位それぞれに表裏貫通する排水孔を設けなり、前記背板部を上向きとした使用態様と前記背板部を下向きとした使用態様を選択可能とした。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面に磁石を有した背板部の前面に棚板部を突設したL字状のラック本体と、該ラック本体の左右両側に設けた一対の側板部とからなり、前記側板部は前記背板部と前記棚板部の間に斜辺部を有した側面視三角形状に形成してなり、棚板部は、表裏両面それぞれを物品の載置面とする一方、排水勾配を有して傾斜すると共に、前記排水勾配の上位と下位それぞれに表裏貫通する排水孔を設けてなり、前記背板部を上向きとした使用態様と前記背板部を下向きとした使用態様を選択可能としたことを特徴とするラック。
【請求項2】
棚板部の表裏両面には頂面を同一水平面とした複数のリブを前記棚板部の傾斜方向に沿って設け、該リブの間を排水溝として排水孔に連通した請求項1記載のラック。
【請求項3】
棚板部に周囲には、背板部及び側板部と周方向に連続して前記棚板部の表裏両面を取り囲む低壁部をさら設けた請求項1または2項記載のラック。
【請求項4】
側板部の斜辺部は背板部の先端部を起点として棚板部の前端部よりも内側に接続した請求項3記載のラック。
【請求項5】
背板部の背面には、矩形板状のゴム磁石を前記背面から僅かに出っ張って埋設すると共に、該ゴム磁石の左右それぞれには上下に長い帯状のクッションゴムを前記ゴム磁石よりも僅かに出っ張って埋設した請求項1記載のラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浴室等の磁性壁面に磁着可能なラックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、浴室壁に磁性を有する鋼板を使用したユニットバスが普及していることを背景に、シャンプーボトルなどを置く浴室用のラックとしてゴム磁石により浴室壁に磁着可能としたものが数多く提案されている(例えば、特許文献1・2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-129935号公報
【特許文献2】特開2021-129933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした磁着可能なラックは浴室壁などの磁性壁に手軽に着脱できるのが最大の利点であるが、磁着力が強すぎると、配置替えや撤去時に磁性壁から取り外しにくく、無理に取り外すとゴム磁石がラック本体から剥がれてしまうこともある。逆に、磁着力が弱いと、シャンプーボトルをポンピングするなどの荷重によってラック自体が浴室壁から脱落してしまうこともある。
【0005】
このように、磁着可能なラックは、物品の支持力と取り外し易さという、相反する目的を達成するために、磁着力の調整を最適化することが困難であるという根本的な課題が残されていた。
【0006】
本発明は上述した課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、磁着力を超える荷重が作用する場合でも磁性壁から脱落しないラックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために本発明では、背面に磁石を有した背板部の前面に棚板部を突設したL字状のラック本体と、該ラック本体の左右両側に設けた一対の側板部とからなり、前記側板部は前記背板部と前記棚板部の間に斜辺部を有した側面視三角形状に形成してなり、棚板部は、表裏両面それぞれを物品の載置面とする一方、排水勾配を有して傾斜すると共に、前記排水勾配の上位と下位それぞれに表裏貫通する排水孔を設けてなり、前記背板部を上向きとした使用態様と前記背板部を下向きとした使用態様を選択可能とするという手段を用いた。
【0008】
この手段によれば、背板部を上向きとした使用態様と、この態様から上下180度反転して前記背板部を下向きとした使用態様の二態様で棚板部の表裏両面それぞれに物品を同じように載置することができる。そして、これら態様のうち後者の反転態様では、下向きの側板部を磁性壁に既設されたタオルハンガーに上から差し込んだ状態で磁着できるため、シャンプーボトルをポンピングする力など、棚板部に磁着力を超える荷重がかかったとしても、側板部がタオルハンガーに干渉してラックの脱落を回避することができる。なお、この反転態様では、タオルハンガーが設けられている壁が仮に磁性を有さず、本ラックを磁着できない場合でも、タオルハンガーに差し込んで使用することが可能である。
【0009】
また、棚板部は排水勾配を有して傾斜し、前記排水勾配の上位と下位それぞれに表裏貫通する排水孔を設けなるので、棚板部に溜まった湯水やシャンプー等の液体を速やかに排水孔から排出することができる。このため、棚板部のぬめり等を回避でき、また清掃も簡単に行える。なお、この手段では、棚板部が全体的に傾斜しているため、上下反転すれば傾斜の向きも上下で逆になるが、排水勾配は同じであるため、何れの態様においても排水作用は担保される。
【0010】
さらに、棚板部の表裏両面には頂面を同一水平面とした複数の突条のリブを前記棚板部の傾斜方向に沿って設け、該リブの間を排水溝として排水孔に連通するという手段では、棚板部は排水勾配を有しつつも複数のリブによって平坦面が形成されるため、物品を水平に載置することができる。
【0011】
さらにまた、棚板部の周囲には、背板部及び側板部と周方向に連続して前記棚板部の表裏両面を取り囲む低壁部をさら設けることで、低壁部によって棚板部の周囲(特に前側)に浅めのポケットが形成され物品が滑り落ちることを防止することができる。
【0012】
また、低壁部を設けた手段において、側板部の斜辺部は背板部の先端部を起点として棚板部の前端部よりも内側に接続するものとすれば、上述した反転態様時に、側板部から突出する棚板部の前方部分を囲う低壁部をタオルハンガーに係止することが可能となると同時に、当該係止時には低壁部が棚板部の前方突出部分の補強部として機能し、棚板部の破損を防止することができる。
【0013】
さらに、背板部の背面には、矩形板状のゴム磁石を前記背面から僅かに出っ張って埋設すると共に、該ゴム磁石の左右それぞれには上下に長い帯状のクッションゴムを前記ゴム磁石よりも僅かに出っ張って埋設するようにすれば、磁着時に背板部(の背面)が磁性壁に直接触れないため、磁性壁表面が傷つくことを回避できると共に、クッションゴムによる摩擦抵抗でラックが下方にずり落ちることを防止するといった磁着補助を行う。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上下反転の二態様から使用者が選択的に使用することができ、そのうちの一態様では磁着力を超えるような荷重が作用する場合でもラックが脱落することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るラックの斜視図
図2】同、(a)正面図、(b)平面図、(c)底面図、(d)左側面図、(e)右側面図
図3】同、背面図
図4】同、A-A線断面図
図5】同、B-B線拡大断面図
図6】同、使用態様を示した斜視図
図7】同、もう一つの別使用態様を示した設置説明図
図8】同、上記別使用態様を示した斜視図
図9】同、上記別使用態様を示した断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。図1~5は本発明の一実施形態に係るラックの斜視図、基本六面図、及び断面図であり、図中、1は背板部、2は棚板部、3・3は側板部、4は低壁部である。
【0017】
背板部1は、浴室壁などの磁性壁に本ラックを磁着する部分であり、その背面には、図3図5に示すように、横長矩形板状のゴム磁石1aと、該ゴム磁石1aの左右それぞれに、上下に長い帯状のシリコーンゴムなどからなるクッションゴム1b・1bを埋設している。ここでゴム磁石1aは、図5の断面図に示したように、背面から僅かに出っ張って埋設している。これに対して、クッションゴム1bは、図2の(d)(e)に示すように、さらにゴム磁石1aよりも僅かに出っ張るように埋設している。
【0018】
棚板部2は、物品を載置する部分であり、背板部1の前面の片端から前方に突設している。したがって、棚板部2と背板部3によってL字状のラック本体が構成される。ここで棚板部2は、図5に示したように、手前から背板部1に向かって排水勾配を有して傾斜している。そして、この排水勾配の上位と下位それぞれには、図2(b)・(c)からも明らかなように、横長の排水孔2a・2bを左右方向に設けている。さらに、棚板部2の表裏両面には、棚板部2の傾斜方向に沿って複数の突条のリブ2cを設けている。これらのリブ2cは、棚板部2において実際に物品を載置する部分であり、これらリブ2cの頂面は、図4・5から明らかなように、全て同一水平面としている。したがって、棚板部2自体は傾斜しているが、リブ2cによって物品を水平に載置できるようにしている。また、リブ2cの間の溝2dは排水溝として排水孔2a・2bと連通している。
【0019】
側板部3は、背板部1と棚板部2からなるL字状のラック本体の左右両側に設けた三角形状の壁部であって、背板部1を上向きとした使用態様では、図6に示すように、棚板部2の左右から物品Gが落ちることを防止する。一方、背板部1を下向きとした使用態様では、図7・8に示すように、壁面から突出する左右一対の固定部に棒体を掛け渡してなる既設のタオルハンガーTHに上から楔のように差し込んで磁着することが可能となり、図9に示すように、棚板部2に載置したシャンプーボトルSBをポンピングした際、仮に背板部1の磁着力を超える荷重が作用した場合でも、側板部3の斜辺部3aがタオルハンガーTHに干渉することで本ラックが前転して磁性壁から脱落することがない。ただし、図9の使用態様は壁が磁性を有するか否かを問わず、タオルハンガーTHに差し込むことで本ラックを壁面に沿って設置でき、同様に物品を載置することができる。
【0020】
なお、この実施形態では、側板部3の斜辺部3aを、背板部1の先端部を起点として棚板部2の前端部よりも内側に接続させている。言い換えれば、棚板部2は側板部3から前方にはみ出るように突出して、物品の載置面を拡大している。そして、この突出した部分に、その表裏両面を同時に取り囲むように低壁部4を設けている。この低壁部4は、図6・9に示した二つの使用態様の双方で、棚板部2の突出部分に浅めのポケットが形成されて、物品が脱落するのを規制する。また、図9の使用態様にあっては、タオルハンガーTHの係止部としても作用する。これら作用を範囲において低壁部4の高さを決定することができるが、図9の使用態様において側板部3の斜辺部3aによる干渉作用(ラックの脱落防止作用)を得るために、背板部1の三分の一以下程度の高さとすることが好ましい。一方、棚板部2の突出部分から低壁部4を省略した場合でも、当該突出部分に直接タオルハンガーTHを係止させることは可能であるが、その場合は過度な力によって棚板部2の突出部分が撓んで破損するおそれがある。これに対して、棚板部2の突出部分の周囲に低壁部4を設けた場合には、この低壁部2が補強部となって棚板部2の破損を防止することができる。
【0021】
上述のように、本実施形態では、背板部1を上向きとする使用態様と、背板部1を下向きとする使用態様の二つ態様の双方で、棚板部2に物品を載置することができる。そして、前者(図6)の使用態様では、棚板部2に溜まった湯水等の液体は、そのときの排水勾配によって排水溝2dから排水孔2a・2bから排出される。即ち、図6中、棚板部2は右下がりに傾斜するので、液体は背板部1側の排水孔2aから排出され、図9では逆の排水勾配となるので、前方の排水孔2bから液体を排出することができる。
【0022】
なお、棚板部2の傾斜方向は上記実施形態では前後方向としたが、左右方向であってもよく、この場合、リブ2cも左右方向に形成すると共に、排水孔2a・2bは棚板部2の左右両端に設ければよい。また、上記実施形態のラックは浴室壁に磁着して使用するバスラックであるため排水機能を持たせているが、こうした水気がない場所で使用する場合には、棚板部1を水平として、排水孔2a・2bやリブ2cは省略することができる。
【0023】
また、側板部3・3は、その斜辺部3aを背板部1の先端部と棚板部2の前端部同士を接続させることで、棚板部2の出っ張りをなくしたものであってもよい。斜辺部3の角度も限定しないが、図9の使用態様においてラックの前転をより確実に防止するには、より深くタオルハンガーに差し込むことができる角度とするのが好ましい。
【0024】
さらに、背板部1の背面に磁石は必要であるが、必ずしもゴム磁石1aでなくてもよく、物品を静置の状態で支持する磁着力さえ有すれば、シャンプーボトルのポンピング力を凌駕する磁着力までは必要がない。さらに、クッションゴム1bも磁着時の緩衝作用や、摩擦抵抗によってラックのずり落ちを防止する利点があるが、省略することも可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 背板部
1a ゴム磁石
1b クッションゴム
2 棚板部
2a・2b 排水孔
2c リブ
2d 排水溝
3・3 側板部
3a 斜辺部
4 低壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9