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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062135
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】包装容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 3/30 20060101AFI20240430BHJP
   B65D 43/04 20060101ALI20240430BHJP
   B65D 3/12 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
B65D3/30
B65D43/04 100
B65D3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169936
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村井 竜一朗
(72)【発明者】
【氏名】倉田 照久
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA06
3E084AA12
3E084AA24
3E084AA34
3E084AB01
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084FB01
3E084HB01
3E084HB08
3E084HC03
3E084HD03
3E084LA17
3E084LB02
(57)【要約】
【課題】本発明の解決しようとする課題は、2種類以上の液を混合して使用するための包装容器であって、液漏れの心配がなくて安全に使用でき、プラスチックの使用量も少なくて済み、廃棄も容易な包装容器を提案するものである。
【解決手段】2種類以上の薬剤を混合して使用するための包装容器1であって、容器本体2と合成樹脂製のキャップ3とから構成され、容器本体は、紙層5と、内面の合成樹脂層6とを有するカップ型紙容器4と、該カップ型紙容器の開口部に融着された、雄ねじ部を有する合成樹脂製の環状部材7とを有し、前記環状部材の雄ねじ部に螺合する合成樹脂製のキャップ3によって密封することを可能としたことを特徴とする包装容器である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種類以上の薬剤を混合して使用するための包装容器であって、
容器本体と合成樹脂製のキャップとから構成され、
容器本体は、紙層と、内面の合成樹脂層とを有するカップ型紙容器と、
該カップ型紙容器の開口部に融着された、雄ねじ部を有する合成樹脂製の環状部材とを有し、
前記環状部材の雄ねじ部に螺合する前記キャップによって密封することを可能としたことを特徴とする包装容器。
【請求項2】
2種類以上の薬剤を混合して使用するための包装容器であって、
容器本体と合成樹脂製のキャップとから構成され、
容器本体は、カップ型紙容器と、
前記カップ型紙容器の開口部に形成された、雄ねじ部を有する合成樹脂製の環状部材と、
前記環状部材と連設して形成された、カップ内面を保護する合成樹脂層とを有し、
前記環状部材の雄ねじ部に螺合する前記キャップによって密封することを可能としたことを特徴とする包装容器。
【請求項3】
2種類以上の薬剤を混合して使用するための包装容器であって、
容器本体と合成樹脂製のキャップとから構成され、
容器本体は、紙層と、内面の合成樹脂層とを有する円筒型紙容器と、
該円筒型紙容器の開口部に融着された、雄ねじ部を有する合成樹脂製の環状部材とを有し、
前記環状部材の雄ねじ部に螺合する前記キャップによって密封することを可能としたことを特徴とする包装容器。
【請求項4】
容器内面に撥水加工が施されており、前記環状部材の内径は、10cm以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器に関し、特に2種類以上の薬液を混合して使用するための包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば毛染め剤は、染色効果を高めるために主剤と発色剤のように2種類の薬剤を混合して使用するものが多い。通常の毛染め剤は、比較的粘度が高いため、例えばA液とB液の2液がそれぞれチューブ状の容器に収納されていて、別の混合用のトレーに等量を押し出し、攪拌用のへら等で攪拌混合して使用するものが多かった。
【0003】
特許文献1に記載された染毛剤は、内部を2分割された可撓性容器の各室に夫々酸化染毛料及び発色剤が個別に収納されていると共に、前記容器の注出口に対し塗布装置が装着され、又は装着しうるよう構成されていることを特徴とする染毛剤である。
【0004】
特許文献1に記載された染毛剤は、2液を別々に押し出して混合する手間を省き、1回の押出しで2液を同時に押し出すと共に、自動的に混合して吐出するように考案されたものである。
【0005】
しかしこの容器では、2液が完全に均一に混合されることは期待できず、また保存中に容器の吐出口付近において、少量ではあるが2液が接触して反応してしまうという問題が懸念される。
【0006】
近年、毛染め剤も粘度の低いタイプが開発され、プラスチック製の混合容器に2液を投入し、カクテルを作る時に使用するシェーカーのように上下に振って混合するものが登場した。
【0007】
この従来の混合容器は、容器本体とねじ式のキャップとから成るプラスチック製の容器であるが、キャップの嵌合が甘いと内容物が漏れ出す恐れがあるため、ある程度頑丈な作りとする必要があり、使い捨てとするには、難点があった。また廃棄する際にも嵩張るため廃棄することも容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平2-1003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は、2種類以上の液を混合して使用するための包装容器であって、液漏れの心配がなくて安全に使用でき、プラスチックの使用量も少なくて済み、廃棄も容易な包装容器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、2種類以上の薬剤を混合して使用するための包装容器であって、容器本体と合成樹脂製のキャップとから構成され、容器本体は、紙層と、内面の合成樹脂層とを有するカップ型紙容器と、該カップ型紙容器の開口部に融着された、雄ねじ部を有する合成樹脂製の環状部材とを有し、前記環状部材の雄ねじ部に螺合する前記キャップによって密封することを可能としたことを特
徴とする包装容器である。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、2種類以上の薬剤を混合して使用するための包装容器であって、容器本体と合成樹脂製のキャップとから構成され、容器本体は、カップ型紙容器と、前記カップ型紙容器の開口部に形成された、雄ねじ部を有する合成樹脂製の環状部材と、前記環状部材と連設して形成された、カップ内面を保護する合成樹脂層とを有し、前記環状部材の雄ねじ部に螺合する前記キャップによって密封することを可能としたことを特徴とする包装容器である。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、2種類以上の薬剤を混合して使用するための包装容器であって、容器本体と合成樹脂製のキャップとから構成され、容器本体は、紙層と、内面の合成樹脂層とを有する円筒型紙容器と、該円筒型紙容器の開口部に融着された、雄ねじ部を有する合成樹脂製の環状部材とを有し、前記環状部材の雄ねじ部に螺合する前記キャップによって密封することを可能としたことを特徴とする包装容器である。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、容器内面に撥水加工が施されており、前記環状部材の内径は、10cm以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の包装容器である。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る包装容器は、環状部材とキャップによって密封される構造であるため、通常の使い方において内容物が漏れ出す恐れはなく、2種類以上の薬剤を安全に混合することができる。このため、2種類の薬剤を混合して使用する毛染め剤用の容器として好適に使用できる。
【0015】
紙の重量が50%以上となるように設計することにより、プラスチックの体積が削減され、プラスチックの使用削減に貢献できる。また、紙容器としての扱いとなるため、廃棄も容易であり、環境に対する負荷も小さくて済む。
【0016】
製品の外表面が紙であることから、印刷表現が自由にでき、面積も十分であることから、取り扱い上の注意事項等も詳細に表示することができる。
【0017】
請求項1に記載の包装容器は、一般的なカップ型紙容器を基本として構成されているので、技術応用することで製造が容易であり、金型の応用等で安価に製造できる。
【0018】
請求項2に記載の発明においては、環状部材とカップ内面を保護する合成樹脂層とを同時に射出成型法によって一体として形成することができるので、カップ型紙容器と環状部材と内面合成樹脂層の3者が強固に一体となるため、しっかりとした剛性の高い製品とすることができる。
【0019】
請求項3に記載の発明のように、紙容器本体を円筒型とすることで、持ち易くなり手で持って振る混合作業がやり易くなる。また、紙の表面に滑り止め加工を施すなどすることにより、より一層の作業性向上を図ることもできる。
【0020】
請求項4に記載の発明のように、容器内面に撥水加工を施した場合、液残りを削減することが可能となる。また、環状部材の内径を、10cm以上とした場合には、手を入れて内容物を掬うことが可能となるため、最後の一滴まで無駄なく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明に係る包装容器の第1の実施形態を示した斜視説明図である。
図2図2は、図1のA-A´断面を示した断面説明図である。
図3図3は、図1、2に示した実施形態における容器本体の作成方法を示した斜視説明図である。
図4図4は、本発明に係る包装容器の第2の実施形態を示した斜視説明図である。
図5図5は、図4のB-B´断面を示した断面説明図である。
図6図6は、図4、5に示した実施形態における容器本体の作成方法を示した断面説明図である。
図7図7は、本発明に係る包装容器の第3の実施形態を示した斜視説明図である。
図8図8は、図7のC-C´断面を示した断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る包装容器について詳細に説明する。図1は、本発明に係る包装容器の第1の実施形態を示した斜視説明図である。図2は、図1のA-A´断面を示した断面説明図である。
【0023】
本発明に係る包装容器1の第1の実施形態は、2種類以上の薬剤を混合して使用するための包装容器であって、容器本体1と合成樹脂製のキャップ3とから構成され、容器本体1は、紙層5と、内面の合成樹脂層6とを有するカップ型紙容器4と、該カップ型紙容器4の開口部に融着された、雄ねじ部を有する合成樹脂製の環状部材7とを有し、前記環状部材7の雄ねじ部に螺合する合成樹脂製のキャップ3によって密封することを可能としたことを特徴とする包装容器である。
【0024】
図3は、図1、2に示した実施形態における容器本体2の作成方法を示した斜視説明図である。カップ型紙容器4の開口部に合成樹脂製の環状部材7を嵌め込み、カップ型紙容器4の内面の合成樹脂層6と環状部材7とを融着させることにより、一体化したものである。なお両者の一体化には、接着剤やホットメルトを利用しても良く、接着方法は問われない。
【0025】
包装容器1は、カップ型紙容器4と環状部材7とが、隙間なく一体化されることにより、キャップ3によって密封することができ、2種類以上の薬剤を混合する際に、薬剤が漏れ出したりする恐れがなくなった。
【0026】
図1、2に示した実施形態においては、カップ型紙容器4として、ごく一般的なカップ型紙容器を使用しているので、初期設備投資も少なくて済み、従って安価に製造することができる。
【0027】
本発明に係る包装容器1は、紙容器の一般的な特性である環境に対する適合性や、廃棄における容易さ、さらには、印刷表現の自由度の高さ等は、共通して保持されている。
【0028】
図4は、本発明に係る包装容器1の第2の実施形態を示した斜視説明図である。また、図5は、図4のB-B´断面を示した断面説明図である。
【0029】
この実施形態においては、容器本体2は、カップ型紙容器4と、カップ型紙容器4の開口部に形成された、雄ねじ部を有する合成樹脂製の環状部材7と、環状部材7と連設して形成された、カップ内面を保護する合成樹脂層6とを有する。この例では、環状部材7と合成樹脂層6を射出成型法によって同時に形成することができる。
【0030】
図6は、図4、5に示した実施形態における容器本体2の作成方法を示した断面説明図である。一般的にインサートモールド成形法と呼ばれる方法であり、射出成形金型10の内部にカップ型紙容器4を設置し、環状部材7と内面の合成樹脂層6とを同時に射出成形法によって形成する方法である。
【0031】
この方法によれば、紙カップと環状部材7と内面の保護層を同時に1工程で作成することができるため、極めて能率よく容器本体2を製造することができる。また製品は、この3者が強固に一体化されているため、しっかりした剛性の高い製品が得られる。
【0032】
図7は、本発明に係る包装容器1の第3の実施形態を示した斜視説明図である。また、図8は、図7のC-C´断面を示した断面説明図である。
【0033】
この実施形態においては、容器本体2は、紙層5と、内面の合成樹脂層6とを有する円筒型紙容器8と、該円筒型紙容器8の開口部に融着された、雄ねじ部を有する合成樹脂製の環状部材7とを有する。
【0034】
容器本体2に円筒型紙容器8を用いたことにより、容器を手で持ちやすくなり手で持って振る操作がし易くなる。また円筒型紙容器8は、カップ型紙容器に比較して剛性の高い容器を作りやすいため、この点においても、使い易いものとなる。
【0035】
本発明に係る包装容器1に使用する紙材料については、両面カード紙、裏白ボール紙、アイボリー紙、カートン原紙、カップ原紙等を使用することができる。
【0036】
環状部材7に使用する材料としては、射出成型が可能な各種合成樹脂材料を使用することができる。具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、ポリメチルメタアクリレート樹脂(PMMA)、エチレン-酢酸ビニル系共重合樹脂(EVA)、アイオノマー樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ナイロン-6、ナイロン-66等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂(PS)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)、ポリカーボネート樹脂(PC)等の合成樹脂材料である。
【0037】
本発明に係る包装容器1の内面に使用する合成樹脂層6に使用する材料については、各種合成樹脂材料が用いられる。具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂(PMMA)、エチレン-酢酸ビニル系共重合樹脂(EVA)、アイオノマー樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ナイロン-6、ナイロン-66等のポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)、ポリカーボネート樹脂(PC)等の各種合成樹脂材料である。
【0038】
合成樹脂層6としては、ガスバリア層、接着剤層、シーラント層等を含む複層構成とすることができる。複層構成とすることにより、使用する薬剤に対する耐薬品性や、耐汚染性を向上させることが可能となり、複数回の使用も可能となる。
【符号の説明】
【0039】
1・・・包装容器
2・・・容器本体
3・・・キャップ
4・・・カップ型紙容器
5・・・紙層
6・・・合成樹脂層
7・・・環状部材
8・・・円筒型紙容器
10・・・射出成形金型
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8