(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062137
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】熱伝導部材
(51)【国際特許分類】
F28D 15/02 20060101AFI20240430BHJP
H01L 23/427 20060101ALI20240430BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
F28D15/02 101H
F28D15/02 102A
F28D15/02 102G
F28D15/02 M
H01L23/46 B
H05K7/20 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169938
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村木 拓也
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA03
5E322DB05
5E322DB08
5E322FA04
5F136CC14
5F136FA51
5F136FA52
(57)【要約】
【課題】ベーパーチャンバーに使用され、製造時において容器の反りや歪みが少なく、放熱の効率も良い熱伝導部材を提供する。
【解決手段】対向する第1シートおよび第2シートの外縁部を、シーラント層を介して加熱圧着して接合し、密封された内部空間を形成した容器と、前記内部空間に封入された作動液と、前記第1シートまたは前記第2シートまたはその両者の内面側に設けられ、毛細管現象によって前記作動液を移動する層であるウィックと、を有する熱伝導部材であって、前記シーラント層は、ポリオレフィン骨格を有するシーラントまたはエポキシ骨格を有するシーラントを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1シートおよび第2シートの外縁部を、シーラント層を介して加熱圧着して接合し、密封された内部空間を形成した容器と、
前記内部空間に封入された作動液と、
前記第1シートまたは前記第2シートまたはその両者の内面側に設けられ、毛細管現象によって前記作動液を移動する層であるウィックと、
を有する熱伝導部材であって、
前記シーラント層は、ポリオレフィン骨格を有するシーラントまたはエポキシ骨格を有するシーラントを含むことを特徴とする熱伝導部材。
【請求項2】
前記前記第1シートおよび第2シートは金属であり、前記シーラント層はポリオレフィン骨格を有するシーラントであり、少なくとも1層以上であって、前記第1シートおよび第2シートと接する層に極性基を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導部材。
【請求項3】
前記シーラント層はポリオレフィン骨格を有するシーラントであり、前記第1シートおよび第2シートと接する層の融点が90℃以上、170℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導部材。
【請求項4】
前記シーラント層が酸変性ポリオレフィン/ポリオレフィン/酸変性ポリオレフィンからなる3層構成であり、その融点がポリオレフィン>酸変性ポリオレフィンであることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導部材。
【請求項5】
前記ポリオレフィンのメルトフローレートが3g/10min以下であることを特徴とする請求項4に記載の熱伝導部材。
【請求項6】
前記シーラント層の厚みが20μm以上300μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導部材。
【請求項7】
前記エポキシ骨格を有するシーラント層がキュアにより硬化するものであることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子デバイスの高性能化、小型化、薄型化などが進み、CPUなどの素子からの発熱量が増大していることから、これを効果的に冷却するための熱輸送力の高い熱伝導部材の開発が進められている。なかでも、ヒートパイプの原理を応用した平板状のベーパーチャンバーは、優れた放熱性とスペース効率を有することから注目を集めている。
【0003】
一般的なベーパーチャンバーの動作原理を、ベーパーチャンバーの断面図である
図4を参照しながら説明する。ベーパーチャンバー本体は、熱伝導性の良い金属材料、例えば銅やアルミなどの板、箔などを接合して形成され密封された容器となっている。ベーパーチャンバーの内部には、減圧された閉空間があり、熱を移動させるための液体、例えば水が、作動流体として封入されている。また、ウィックと称される多孔質状で毛細管力により作動流体を輸送することができる構造体が容器内面に沿うように設けられている。また内部の空間を確保するためにスペーサが設けられることもある。
【0004】
ベーパーチャンバーの一方の面側は吸熱部とされ、CPUやMPUなどの外部の熱源に近接または接触して装着される。熱源から発生する熱を吸熱部で吸収し、その熱で作動流体(例えば水)が吸熱部側のウィックから気化して反対側の放熱部側に移動する。気化した水蒸気が放熱部側のウィックを通過して銅容器に触れて冷却され、再凝集して水になる。この際に銅容器に移行した潜熱は、広い面積の放熱部から容器の外部へと拡散されて容器が冷却される。再凝集した水はウィック内で毛細管現象と重力により吸熱部側に移動し、再度熱源から発生する熱を吸収して気化する。このサイクルを繰り返すことで、熱源から発生した熱を広い面積の放熱部から拡散させることができ、効率的に熱源の冷却が行える。
【0005】
従来のベーパーチャンバーでは、
図5に示した様に、容器が第1シートと第2シートの2枚の金属シートを外縁部で接合して構成されるのが一般的であり、第1シートと第2シートの外縁部は一般的にレーザー溶接、拡散接合、ホットプレス、ロウ接合など高温・長時間で接合・封止を行っている。その際の課題として、
図6に示した様に、高温・長時間で接合を行う熱の歪みや残留応力の開放によって容器が反ってしまうという問題があった。この対策として、容器を支える支柱を形成する提案がされている(特許文献1)が、形状が複雑になり製造が煩雑になっていた。
【0006】
また容器は金属製で熱伝導性が良く、外縁部で金属同士を接合しているため、
図7に示したように、熱源からの熱が外縁部を通じて放熱部側に伝導し、吸熱部でのウィックからの気化に加わる熱が少なくなってしまうという問題があった。また、放熱部側に熱が伝わりやすいことで、放熱の効率が悪くなってしまう、などの問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、ベーパーチャンバーに使用され、製造時において容器の反りや歪みが
少なく、放熱の効率も良い熱伝導部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、
対向する第1シートおよび第2シートの外縁部を、シーラント層を介して加熱圧着して接合し、密封された内部空間を形成した容器と、
前記内部空間に封入された作動液と、
前記第1シートまたは前記第2シートまたはその両者の内面側に設けられ、毛細管現象によって前記作動液を移動する層であるウィックと、
を有する熱伝導部材であって、
前記シーラント層は、ポリオレフィン骨格を有するシーラントまたはエポキシ骨格を有するシーラントを含むことを特徴とする熱伝導部材である。
【0010】
上記熱伝導部材において、
前記前記第1シートおよび第2シートは金属であり、前記シーラント層はポリオレフィン骨格を有するシーラントであり、少なくとも1層以上であって、前記第1シートおよび第2シートと接する層に極性基を有するものであって良い。
【0011】
シーラント層が金属と接する面に極性基を有することで金属密着性が向上する。
【0012】
上記熱伝導部材において、
前記シーラント層はポリオレフィン骨格を有するシーラントであり、前記第1シートおよび第2シートと接する層の融点が90℃以上、170℃以下であって良い。
【0013】
これにより、低温、短時間でのシールが可能となる。
【0014】
上記熱伝導部材において、
前記シーラント層が酸変性ポリオレフィン/ポリオレフィン/酸変性ポリオレフィンからなる3層構成であり、その融点がポリオレフィン>酸変性ポリオレフィンであって良い。
【0015】
上記熱伝導部材において、
前記ポリオレフィンのメルトフローレートが3g/10min以下であって良い。
【0016】
上記熱伝導部材において、
前記シーラント層の厚みが20μm以上300μm以下であって良い。
【0017】
これにより熱伝導部材の薄型化が可能となる。
【0018】
上記熱伝導部材において、
前記エポキシ骨格を有するシーラントがキュアにより硬化するものであって良い。
【発明の効果】
【0019】
本発明の熱伝導部材によれば、製造時において反りや歪みが発生する恐れがなく、CPUやアプリケーションプロセッサ(AP)などから発生する熱を効率的に放熱部へ運んで冷却することができ、その異常動作の発生を抑えることができる熱伝導部材が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の熱伝導部材の一形態の断面模式図である。
【
図2】本発明の熱伝導部材の外縁部をシールする態様の説明図である。
【
図3】本発明の熱伝導部材で熱源を冷却する状況の説明図である。
【
図4】本発明の熱伝導部材で熱源から放熱する状況の説明図である。
【
図6】従来の熱伝導部材の外縁部をシールする態様の説明図である。
【
図7】従来の熱伝導部材で熱源を冷却する状況の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また以下に示す実施形態では、発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定は本発明の必須要件ではない。
【0022】
図1は、本発明の熱伝導部材の一形態の断面模式図である。熱伝導部材1は、第1シート3と第2シート4を外縁部で接合して密封された内部空間を形成した容器2を有している。第1シート3と第2シート4は、外縁部の接合部12でシーラント樹脂からなるシーラント層5を介して熱圧着されて接合されている。容器2の一方の面(
図1では第2シート4側の面)は外部の熱源に接して熱を吸収する吸熱部10となっており、それに対向する面(
図1では第1シート3側の面)は、吸収した熱を容器2の外部へと拡散させる放熱部9となっている。
【0023】
第1シート3および第2シート4は、熱伝導性が良く、良好な加工性を有する材料で形成され、典型的には金属箔や金属薄板が使用される。なかでも、熱伝導性に優れる銅、アルミニウムなどが好ましい。なおここで第1シート、第2シートというのは、単に区別のためであってそれ以外の特段の差異はない。ただし、加工上の便宜のために、一方のシート(
図1では第2シート4)を平坦なシートとし、もう一方(
図1では第1シート3)に、内部空間を形成するために絞り加工などにより凹状部分が形成されている。
【0024】
内部空間には、吸熱部10から放熱部9への熱の移動の媒体となる作動液7が封入されている。また第1シート3と第2シート4の内面に沿って、多孔性または毛細管構造が形成された材料からなるウィック6が設けられている。ウィック6は毛細管現象によって作動液7を移動する層であり、作動液7が液状である状態では大半がウィック6に含浸された状態となる。また内部空間は、作動液7の気化を容易にするために、大気圧に対して若干減圧された状態とされるため、容器2が潰れない様に維持するためのスペーサ8が設けられている。
【0025】
吸熱部10側の作動液7は、熱源からの熱で気化し、気体となって容器2内を放熱部9側に移動して熱を放出して液体に戻る。液体に戻った作動液7は、ウィック6による毛細管現象により再び吸熱部10側に戻り、熱源からの熱を吸収して再び気化する。このサイクルが繰り返されることで、熱源の熱が外部へ拡散され、熱源が冷却される。従って作動液7は一定の温度範囲で気体から液体へ、またその逆に変化し、金属製の容器2との反応性のない液体が用いられ、例えば純水が好適に用いられる。
【0026】
ウィック6は、気体となった作動液7が通過でき、かつ毛細管現象を利用して液体となった作動液7を移動させるもので、作動液7との濡れ性が良好なものが使用され、具体的には多孔質焼結体や網状金属、極細線束、不織布などが例示できる。ウィック6の形状は、作動液7を移動させることができれば特に限定されず、シート状などとすることができ、またその厚さや構造は、一定であっても、部分的に異なっていてもよい。またウィック6は、容器2の内面全体に形成されていても、部分的に形成されていてもよい。
【0027】
シーラント層5としては、ポリオレフィン骨格またはエポキシ骨格を有するシーラントが用いられる。具体的にはポリオレフィン(PO)フィルム、エポキシフィルムが挙げら
れる。
【0028】
従来の金属同士を直接接合する接合方法では、高いものでは数100℃、長いもので数10分の加熱が必要となっており、容器に加わる熱量が大きいことが反りや歪みの発生の原因となっていた。本発明の熱伝導部材では、第1シートと第2シートの外縁部の間にシーラント層5を設け、比較的低温でかつ、数秒のヒートシールで封止することでこの反りや歪みを防ぐことができる。
【0029】
ポリオレフィンフィルムまたはエポキシフィルムを使用することで、
図2に示す様に、接合部12でのヒートシールは数秒~数10秒の加熱で融着が完了するため、従来の様に高温・長時間の接合が不要であり、低温・短時間のヒートシールで残留応力による歪みを小さくでき、反りの発生を防止できる。また、製造上のタクトタイムも大きく短縮できる。またこれらのフィルムは熱伝導率が低く、第1シート3と第2シート4の間にシーラント層5の厚み分の間隔ができることも合わせて、
図3に示す様に、熱源11で発生した熱に対して、外縁部から放熱部9側へ伝わる熱量を低くすることが可能となり、その分がウィック6での作動液7の気化に加わる熱量が増えることになり、放熱の効率を高めることができる。
【0030】
また、構造上、容器2中では作動液7が熱源によって気化されるため、シーラント層5にバリア性がないと気化した作動液7が徐々に外へ出て行ってしまい性能を発揮しなくなることから、バリア性が重要となる。これに対し、ポリオレフィン骨格、またはエポキシ骨格はバリア性が高く、安定して使用することができる。
【0031】
シーラント層5は1層に限らず、複数層の構成としても良い。またシーラント層5の第1シート3および第2シート4と接する層に極性基を有するものとすると好ましい。第1シート3および第2シート4は熱伝導の関係から銅またはアルミが使用されるが、熱伝導を妨げることがあるため、極力これらの表層には処理がされない。このため、通常のシーラントでは金属との密着性が低くなってしまう場合があることから、酸変性基などの極性基をもつシーラントを使用することで密着性が向上し、内圧が上がったときに破裂しなくなる。この場合においても、シーラント層5は単層でも複数層としても良い。
【0032】
またシーラント層5の第1シート3および第2シート4と接する層の融点が90℃以上、170℃以下とすると好ましい。ヒートシールの温度・時間は用いるシーラントの融点でコントロールが可能であり、低温短時間シールにするためには、170℃以下の融点が好ましい。一方で熱伝導部材であるため耐熱性が必要となるが、携帯電話などの電子機器では半導体の耐熱性は80℃であるため、融点を90℃以上とすることで、電子機器の耐熱温度範囲内ではシーラント層5が溶融することなく、強度を担保しつつ比較低温かつ短時間シールが可能となる。
【0033】
また、シーラント層5の構成を、酸変性ポリオレフィン(PO)/ポリオレフィン(PO)/酸変性ポリオレフィンからなる3層構成とし、その融点がポリオレフィン>酸変性ポリオレフィンとすると好ましい。3層構成で中間層に酸変性POより高い融点のPO樹脂を構成することで、ヒートシールによる厚み変動を少なくすることができる。ヒートシールによる接合を行うと、熱によりシーラント樹脂が流れてしまい、厚みが変動しやすい。しかし、上記のように酸変性POより融点が高いPO層を設けることで、POは溶けず、または溶けづらく、樹脂が流れづらくなり、厚みを維持することができる。このようにシーラント層5の厚みを維持することで、接合部12での第1シート3と第2シート4の間の熱伝導を安定的に少なくすることができる。
【0034】
またシーラント層5を上記の3層構成としたときの中間層のポリオレフィンのメルトフ
ローレート(MFR)が3g/10min以下とすると好ましい。中間層のPOのMFRを小さくすることでヒートシールによって溶融しても樹脂が流れづらくなるため、厚み変動を小さくすることができる。
【0035】
またシーラント層5の厚みは、20μm以上、300μm以下であると好ましい。厚みを厚くしすぎると薄膜化が難しくなり、薄すぎると強度が弱くなる。
【0036】
またシーラント層5がエポキシ系シーラントであるとき、該エポキシ系シーラントがキュアによる硬化するものであると好ましい。キュア効果によって耐熱性と密着性を付与することができる。
【実施例0037】
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
下記の部材を使用し、表1に示す各条件の様に、シーラント層を単層または3層とし、またその融点、厚みなどを変えた試料を作成し、実施例1~17の試料とした。またシーラント層を設けない構成の比較例1、シーラント層をアモルファスPET(A-PET)とした比較例2の試料を作成した。
第1シート : 90mm×100mmの電解銅箔(厚さ20μm)を、成型ポケットが
70mm×80mmの成型機で冷間成型し深さ300μmの凹部を形成。
第2シート : 90mm×100mmの電解銅箔(厚さ20μm)
作動媒体 : 純水
ウィック : 銅メッシュ
支柱 : 銅支柱
シーラント層: 表1参照
比較例1以外は、第1シートの外縁部に10mm幅にカットしたシーラントフィルムを置き、3辺をヒートシーラーにて190℃×0.65MPa×2sでヒートシールし、残りの未シール部から純水3gを内部に入れ、真空シーラーにて-90kPaまで減圧した状態でヒートシールを上記と同一条件で行った。比較例1は、一般的な金属接合の条件で接合した。各資料につき、下記の様に評価を行った。
【0038】
◇反り
全辺を封止後に平滑面に作成した試料を第2シートが下になる様に置き、四隅の平滑面からの高さを定規にて測定。その全ての高さの合計値を反り値として算出。
10mm未満 :〇
10mm以上 :×
⇒ 〇以上を合格とした。
【0039】
◇バリア性
作成した試料を60℃湿度フリーの環境に1w保管し、サンプルの重量変化から作動液の減少量を測定。このときのシール幅は3mmとした。
減少量が0.1%未満 :〇
減少量が0.1~0.2%未満 :△
減少量が0.2%以上 :×
⇒ 〇以上を合格とした。
【0040】
◇熱伝導
作成した試料の第2シート側に80℃の発熱体を取付け、発熱体より10mm離れた第1シートの10s後の温度を測定。
40℃未満 :◎
40℃~50℃未満 :〇
50℃以上 :×
⇒ 〇以上を合格とした。
【0041】
◇シール残存
シーラント層が厚いほど外縁部の熱伝導が低下するため、外縁部の厚みを接触式膜厚計で測定し、シーラント層の厚みを測定。
50μm以上 :◎
30μm~50μm未満 :〇~◎
10μm~30μm未満 :〇
5μm~10μm未満 :△
5μm未満 :×
⇒ △以上を合格とした。
【0042】
◇シートとの密着性
引張試験機にて、第1シートと第2シートをチャッキングでつかみ速度50mm/minで引張り、剥離する強度を測定。
3N/15mm以上 :〇
3N/15mm未満 :×
⇒ 〇以上を合格とした。
【0043】
◇耐熱性
熱源によりより加熱されるため、高温環境下でもシートとの密着性が必要になる。80℃環境下に5min放置後、引張試験機で第1シートと第2シートをチャッキングでつかみ速度50mm/minで引張り、剥離する強度を測定。
1N/15mm以上 :〇
1N/15mm未満 :×
⇒ 〇以上を合格とした。
【0044】
評価結果を合わせて表1に示す。本発明の熱伝導部材によれば、反り、バリア性、熱伝導、シール残存、密着性、耐熱性のいずれの項目においても良好な結果であった。一方比較例においては、シーラント層がないものは反り、熱伝導、シール残存において不合格であり、シーラント層をA-PETとしたものはバリア性が不十分であった。
【0045】