(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062148
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】光ファイババンドルおよび光スイッチ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/04 20060101AFI20240430BHJP
G02B 6/35 20060101ALI20240430BHJP
G02B 6/02 20060101ALI20240430BHJP
G02B 6/26 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
G02B6/04 B
G02B6/35
G02B6/02 461
G02B6/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169961
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】島川 修
(72)【発明者】
【氏名】田澤 英久
(72)【発明者】
【氏名】田中 正人
【テーマコード(参考)】
2H137
2H141
2H250
【Fターム(参考)】
2H137AA04
2H137AB01
2H137BA16
2H137BA18
2H137BC08
2H137BC51
2H137BC61
2H137CA15A
2H141MA15
2H141MB40
2H141MC04
2H141MD03
2H141ME01
2H141ME06
2H141ME09
2H250AC63
2H250AC64
2H250AC94
2H250AC95
2H250AC97
2H250CA03
2H250CA42
2H250CD22
2H250CZ11
(57)【要約】
【課題】マルチコアファイバにおける接続先の切り替えを行うことができる光ファイババンドルおよび光スイッチを提供する。
【解決手段】一実施形態に係る光ファイババンドルでは、断面において、第1マルチコアファイバのコアの配置、および第2マルチコアファイバのコアの配置が互いに同一であり、第3マルチコアファイバのコアの配置、および第4マルチコアファイバのコアの配置が互いに同一であり、かつ、第1マルチコアファイバを第1マルチコアファイバの周方向に180°回転させたときの第1マルチコアファイバのコアの配置が、第4マルチコアファイバのコアの配置と同一である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4本以上のマルチコアファイバと、
前記4本以上のマルチコアファイバを束ねて保持するフェルールと、
を備え、
前記4本以上のマルチコアファイバのうちの第1マルチコアファイバ、第2マルチコアファイバ、第3マルチコアファイバ、および第4マルチコアファイバは、各前記マルチコアファイバが延在する方向に直交する平面で切断したときの断面において、前記マルチコアファイバそれぞれの外形中心位置を結ぶ線が正方形状をなすように配置されており、
前記断面において、
前記第1マルチコアファイバおよび前記第2マルチコアファイバがこの順で第1方向に沿って並び、
前記第1マルチコアファイバおよび前記第4マルチコアファイバがこの順で前記第1方向に直交する第2方向に沿って並び、かつ、
前記第4マルチコアファイバおよび前記第3マルチコアファイバがこの順で前記第1方向に沿って並んでおり、
前記断面において、
前記第1マルチコアファイバのコアの配置、および前記第2マルチコアファイバのコアの配置が互いに同一であり、
前記第3マルチコアファイバのコアの配置、および前記第4マルチコアファイバのコアの配置が互いに同一であり、かつ、
前記第1マルチコアファイバを前記第1マルチコアファイバの周方向に180°回転させたときの前記第1マルチコアファイバのコアの配置が、前記第4マルチコアファイバのコアの配置と同一である、
光ファイババンドル。
【請求項2】
前記フェルールは、前記4本以上のマルチコアファイバが挿入される1つの光ファイバ保持孔を有し、
前記断面において、前記光ファイバ保持孔は長方形状を呈する、
請求項1に記載の光ファイババンドル。
【請求項3】
前記フェルールは、前記4本以上のマルチコアファイバが挿入される1つの光ファイバ保持孔を有し、
前記断面において、前記光ファイバ保持孔は円形状を呈する、
請求項1に記載の光ファイババンドル。
【請求項4】
前記フェルールは、前記4本以上のマルチコアファイバのそれぞれが挿入される複数の光ファイバ保持孔を有する、
請求項1に記載の光ファイババンドル。
【請求項5】
前記第1マルチコアファイバ、前記第2マルチコアファイバ、前記第3マルチコアファイバ、および前記第4マルチコアファイバのうち、
1つのマルチコアファイバから光を出射し、
前記1つのマルチコアファイバ以外の2つのマルチコアファイバは前記光の出射によって反射した反射光を受光し、
前記断面における前記2つのマルチコアファイバのコアの配置が互いに同一である、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光ファイババンドル。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光ファイババンドルと、
前記光ファイババンドルから出射した光を反射するミラーと、
前記光ファイババンドルから出射した光の光路に挿抜されるプリズムと、
を備える、
光スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光ファイババンドルおよび光スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光スイッチが記載されている。光スイッチは、互いに対向する一対のGRINレンズと、一対のGRINレンズの間に挿抜されるミラーとを備える。光スイッチは、各GRINレンズのミラーとは反対側に延在する複数の光ファイバと、複数の光ファイバを保持するスリーブとを有する。光スイッチでは、一対のGRINレンズの間にミラーが挿抜されることによって、接続先の光ファイバを切り替えることが可能とされている。
【0003】
特許文献2には、ミラーブロックを備えた光スイッチが記載されている。ミラーブロックは、第1の光反射面と、第1の光反射面に隣接する位置に設けられる第2の光反射面とを有する。第1の光反射面はV字状を呈する。第2の光反射面はW字状を呈する。光スイッチでは、光を反射させる領域が電磁石によって第1の光反射面または第2の光反射面に切り替えられる。
【0004】
特許文献3には、互いに対向する多心コリメータと、2枚の透過プリズムとを備えた光スイッチが記載されている。多心コリメータは、光ファイバと、光ファイバを保持するフェルールと、フェルールと透過プリズムの間に位置するコリメートレンズとを有する。光スイッチは、各透過プリズムを光軸回りに回転させるプリズム回転機構を備える。プリズム回転機構が透過プリズムを回転させることにより、接続先の光ファイバが切り替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5742712号明細書
【特許文献2】特開2004-37652号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0152312号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特に近年、データ伝送容量が増え続けており、データ伝送容量の増大に合わせて複数のコアを有するマルチコアファイバを用いた空間分割多重伝送技術の開発が進んでいる。一方、シングルコアファイバが用いられたネットワークでは、光ファイバの線路で故障が生じた場合に備えた光スイッチが知られている。この光スイッチによってシングルコアファイバにおける接続先の切り替えを行うこと可能である。しかしながら、マルチコアファイバにおいては、マルチコアファイバの各コアを一旦シングルコアファイバに分割接続しなければ接続先の切り替えを行うことができないという課題がある。
【0007】
本開示は、マルチコアファイバにおける接続先の切り替えを行うことができる光ファイババンドルおよび光スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る光ファイババンドルは、4本以上のマルチコアファイバと、4本以上のマルチコアファイバを束ねて保持するフェルールと、を備える。4本以上のマルチコアファイバのうちの第1マルチコアファイバ、第2マルチコアファイバ、第3マルチコアファイバ、および第4マルチコアファイバは、各マルチコアファイバが延在する方向に直交する平面で切断したときの断面において、マルチコアファイバそれぞれの外形中心位置を結ぶ線が正方形状をなすように配置されている。断面において、第1マルチコアファイバおよび第2マルチコアファイバがこの順で第1方向に沿って並び、第1マルチコアファイバおよび第4マルチコアファイバがこの順で第1方向に直交する第2方向に沿って並び、かつ、第4マルチコアファイバおよび第3マルチコアファイバがこの順で第1方向に沿って並んでいる。断面において、第1マルチコアファイバのコアの配置、および第2マルチコアファイバのコアの配置が互いに同一であり、第3マルチコアファイバのコアの配置、および第4マルチコアファイバのコアの配置が互いに同一であり、かつ、第1マルチコアファイバを第1マルチコアファイバの周方向に180°回転させたときの第1マルチコアファイバのコアの配置が、第4マルチコアファイバのコアの配置と同一である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、マルチコアファイバにおける接続先の切り替えを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る光スイッチを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の光スイッチの光路を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、
図1の光スイッチの光路を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、プリズム抜去時およびプリズム挿入時のそれぞれにおける光路を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る光ファイババンドルの断面を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る光ファイババンドルにおける光路のパターンを模式的に示す図である。
【
図8】
図8は、変形例に係る光ファイババンドルにおける光路のパターンを模式的に示す図である。
【
図9】
図9は、変形例に係る光ファイババンドルの断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示に係る光ファイババンドルおよび光スイッチの実施形態を列挙して説明する。一実施形態に係る光ファイババンドルは、(1)4本以上のマルチコアファイバと、4本以上のマルチコアファイバを束ねて保持するフェルールと、を備える。4本以上のマルチコアファイバのうちの第1マルチコアファイバ、第2マルチコアファイバ、第3マルチコアファイバ、および第4マルチコアファイバは、各マルチコアファイバが延在する方向に直交する平面で切断したときの断面において、マルチコアファイバそれぞれの外形中心位置を結ぶ線が正方形状をなすように配置されている。断面において、第1マルチコアファイバおよび第2マルチコアファイバがこの順で第1方向に沿って並び、第1マルチコアファイバおよび第4マルチコアファイバがこの順で第1方向に直交する第2方向に沿って並び、かつ、第4マルチコアファイバおよび第3マルチコアファイバがこの順で第1方向に沿って並んでいる。断面において、第1マルチコアファイバのコアの配置、および第2マルチコアファイバのコアの配置が互いに同一であり、第3マルチコアファイバのコアの配置、および第4マルチコアファイバのコアの配置が互いに同一であり、かつ、第1マルチコアファイバを第1マルチコアファイバの周方向に180°回転させたときの第1マルチコアファイバのコアの配置が、第4マルチコアファイバのコアの配置と同一である。
【0012】
この光ファイババンドルでは、第1マルチコアファイバの各コアから出射した光は、例えばミラーにおいて反射され、第3マルチコアファイバの各コアに入射する。光ファイババンドルと当該ミラーとの間にプリズムが介在すると、第1マルチコアファイバの各コアから出射した光は、第3マルチコアファイバに隣接する第4マルチコアファイバの各コアに入射する。このように、光ファイババンドルとミラーとの間にプリズムを挿抜することによって、第1マルチコアファイバが出射した光の接続先を第3マルチコアファイバまたは第4マルチコアファイバから選択できる。さらに、光を出射させるマルチコアファイバを第1マルチコアファイバから変更した場合には、接続先のマルチコアファイバを変更することができる。したがって、マルチコアファイバにおける接続先の切り替えを行うことができる。このように、接続先のマルチコアファイバを選択できるので、光学特性が良好な光ファイバの選択幅を広げることができる。
【0013】
(2)上記(1)において、フェルールは、4本以上のマルチコアファイバが挿入される1つの光ファイバ保持孔を有してもよい。断面において、光ファイバ保持孔は長方形状を呈してもよい。この場合、フェルールの光ファイバ保持孔を画成する内面とマルチコアファイバとの間に形成される隙間を低減でき、当該隙間に充填される接着剤の量を減らすことができる。光ファイバ保持孔が長方形状を呈することにより、回転させたときの各マルチコアファイバの位置を把握しやすくすることができる。
【0014】
(3)上記(1)において、フェルールは、4本以上のマルチコアファイバが挿入される1つの光ファイバ保持孔を有し、断面において、光ファイバ保持孔は円形状を呈していてもよい。この場合、光ファイバ保持孔が円形状を呈することにより、フェルールにおける光ファイバ保持孔の形成を容易に、かつ高精度に行うことができる。
【0015】
(4)上記(1)において、フェルールは、4本以上のマルチコアファイバのそれぞれが挿入される複数の光ファイバ保持孔を有してもよい。この場合、各マルチコアファイバを各光ファイバ保持孔に挿入することが可能である。
【0016】
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、第1マルチコアファイバ、第2マルチコアファイバ、第3マルチコアファイバ、および第4マルチコアファイバのうち、1つのマルチコアファイバから光を出射し、当該1つのマルチコアファイバ以外の2つのマルチコアファイバは光の出射によって反射した反射光を受光してもよい。断面における当該2つのマルチコアファイバのコアの配置が互いに同一であってもよい。この場合、1つのマルチコアファイバが出射した光の接続先を当該2つのマルチコアファイバから選択することができる。
【0017】
(6)一実施形態に係る光スイッチは、(1)から(5)のいずれかの光ファイババンドルと、光ファイババンドルから出射した光を反射するミラーと、光ファイババンドルから出射した光の光路に挿抜されるプリズムと、を備えてもよい。この場合、光ファイババンドルに束ねられている複数のマルチコアファイバのうちの1つから出射した光は、ミラーにおいて反射されて当該1つとは異なるマルチコアファイバに結合する。そして、光ファイババンドルとミラーとの間にプリズムが挿入される場合には、当該1つから出射した光は、当該異なるマルチコアファイバとは更に異なるマルチコアファイバに結合する。したがって、プリズムの挿抜によって接続先のマルチコアファイバを切り替えることができる。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る光ファイババンドルおよび光スイッチの具体例を以下で図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示され、特許請求の範囲と均等の範囲における全ての変更が含まれることが意図される。図面の説明において同一または相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化または誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載したものに限定されない。
【0019】
図1は、一例としての光スイッチ1を示す斜視図である。
図2は、光スイッチ1を示す縦断面図である。
図1および
図2に示されるように、光スイッチ1は、例えば、第1基板2と、第1基板2に搭載された第2基板3およびプリズム挿抜装置4とを備える。第1基板2は、第1方向D1に厚みを有する。第1基板2は、第1方向D1に交差する第2方向D2、および第1方向D1と第2方向D2の双方に交差する第3方向D3に延在する主面2bを有する。実施形態において、第1方向D1は第1基板2の厚さ方向であり、第2方向D2は第1基板2の短手方向であり、第3方向D3は第1基板2の長手方向である。一例として、第1方向D1、第2方向D2および第3方向D3は互いに直交している。
【0020】
第2基板3およびプリズム挿抜装置4は、第1基板2の主面2bに搭載される。主面2bにおいて、第2基板3およびプリズム挿抜装置4は第3方向D3に沿って並んでいる。プリズム挿抜装置4は、例えば、電磁リレー(電磁継電器)と同等の機能を有する。この場合、プリズム挿抜装置4は、電磁石ユニット4bと、電磁石ユニット4bによる駆動力を受けて揺動する揺動部材4cと、電磁石ユニット4bから突出する複数の電極4gとを有する。
【0021】
電磁石ユニット4bは、例えば、電磁石(不図示)と、揺動部材4cを付勢するバネ(不図示)と、当該電磁石およびバネを収容する筐体4tとを有する。電極4gは、電磁石ユニット4bの電磁石に電圧を印加する。プリズム挿抜装置4は、さらに、電磁石ユニット4bおよび揺動部材4cから第2基板3に向かって延び出すアーム4dと、プリズム10とを有する。アーム4dは電磁石ユニット4bおよび揺動部材4cから延び出す部分である延出部4fを有し、プリズム10は延出部4fに取り付けられている。
【0022】
例えば、第1基板2は穴あき基板である。この場合、第1基板2は、第1基板2を第1方向D1に貫通する複数の貫通孔2cを有する。例えば、第1方向D1に沿って第1基板2を見た場合において、複数の貫通孔2cは格子状に配列されている。複数の貫通孔2cのいずれかにはプリズム挿抜装置4の電極4gが通される。電極4gは、電磁石ユニット4bに電圧を印加するために設けられる。すなわち、複数の電極4gが光スイッチ1の外部から電磁石ユニット4bに電圧を印加する。
【0023】
以下では、電磁石ユニット4bから電極4gが延び出す方向を「下」、「下方」または「下側」とし、電磁石ユニット4bから電極4gが延び出す方向の反対方向を「上」、「上方」または「上側」として説明することがある。しかしながら、これらの方向は、説明の便宜のためのものであり、各部品の配置位置または方向等を限定するものではない。
【0024】
例えば、電磁石ユニット4bは箱状を呈する。例えば、揺動部材4cは、電磁石ユニット4bの電極4gとは反対側に位置する上面に固定された支点4jと、支点4jからプリズム10に向かって延びる第1揺動部4kと、支点4jから第1揺動部4kとは反対方向に延びる第2揺動部4pとを有する。例えば、揺動部材4cは上方に突出する凸部4qを有し、凸部4qにアーム4dが固定されている。より具体的には、アーム4dは揺動部材4cに対向する下面4rと下面4rから窪む凹部4sとを有し、揺動部材4cの凸部4qが凹部4sに嵌まり込んだ状態でアーム4dが揺動部材4cに固定されている。
【0025】
揺動部材4cの動作の例について説明する。電磁石ユニット4bの前述した電磁石は電圧が印加されたときに第1揺動部4kを吸着し、例えば、電磁石ユニット4bの前述したバネは第2揺動部4pを下方に付勢する。電磁石ユニット4bに電圧が印加されると、電磁石の磁力によって第1揺動部4kが電磁石ユニット4bに吸い寄せられる。第1揺動部4kが電磁石ユニット4bに吸い寄せられると、支点4jに対して第1揺動部4k、延出部4fおよびプリズム10が下方に移動する。電磁石ユニット4bへの通電が停止すると、バネの付勢力によって第2揺動部4pが支点4jに対して下方に移動する。支点4jに対して第2揺動部4pが下方に移動すると、第1揺動部4k、延出部4fおよびプリズム10が上方に移動する。以上は1つの電磁石とバネで2つのポジション(状態)が得られる電磁石ユニットであるが、電磁石を2つ搭載し、プラスの電圧とマイナスの電圧で2つのポジションが得られる電磁石ユニットを使用してもよい。
【0026】
第2基板3は、例えば、延出部4fおよびプリズム10の下方に配置されている。光スイッチ1は、第2基板3に搭載されるミラー15および光ファイババンドル20をさらに有する。光ファイババンドル20は、例えば、コリメータを構成する。光ファイババンドル20とミラー15の間には、プリズム10が挿入および抜去されるプリズム挿抜空間Sが形成されている。プリズム挿抜空間Sには、下方に移動したプリズム10が挿入される。プリズム10が上方に移動することによってプリズム挿抜空間Sからプリズム10が抜去される。
【0027】
第2基板3は、光ファイババンドル20が搭載される第1搭載面3bと、ミラー15が搭載される第2搭載面3cとを有する。第2搭載面3cは、第1搭載面3bと電磁石ユニット4bとの間に形成されている。第1搭載面3bおよび第2搭載面3cのそれぞれは、第2方向D2および第3方向D3の双方に延在している。例えば、第1基板2の主面2bに対する第2搭載面3cの高さは、第1基板2の主面2bに対する第1搭載面3bの高さよりも高い。第2搭載面3cにはミラー15が接着剤によって固定されており、第1搭載面3bには光ファイババンドル20が接着剤によって固定されている。
【0028】
光ファイババンドル20は、ミラー15またはプリズム10に対向するレンズ21と、レンズ21から見てミラー15またはプリズム10とは反対側に位置する複数のマルチコアファイバ22と、複数のマルチコアファイバ22を保持する筒状のフェルール23とを有する。
図1および
図2では、複数のマルチコアファイバ22を簡略化して示している。光ファイババンドル20は、さらに、レンズ21およびフェルール23を保持する第1ガラスチューブ24と、第1ガラスチューブ24から見てミラー15から遠い位置においてフェルール23を保持する第2ガラスチューブ25とを有する。第2ガラスチューブ25は、手で光ファイババンドル20を把持しやすくするために設けられる。しかしながら、第2ガラスチューブ25を省略することも可能である。
【0029】
図3および
図4は、プリズム10の挿抜時における光ファイババンドル20の光学系を模式的に示す図である。
図3および
図4に示されるように、光ファイババンドル20では、複数のマルチコアファイバ22のうちのいずれかがレンズ21を介してミラー15またはプリズム10に光Lを出射する。例えば、プリズム10は、光ファイババンドル20からの光Lが入射する第1面11と、第1面11とは反対方向を向いておりミラー15からの光Lが入射する第2面12とを有する。第1面11は、第1方向D1および第2方向D2の双方に延在している。第2面12は、第2方向D2に延在するとともに、第1方向D1に対して傾斜する方向に延在している。第2面12は、下方に向かうに従ってプリズム10が薄くなるように第1方向D1に対して傾斜している。
【0030】
図5は、プリズム挿抜空間Sからプリズム10が抜去されているとき、およびプリズム挿抜空間Sにプリズム10が挿入されているときにおける光ファイババンドル20の光学系を拡大して示す模式図である。
図3および
図5に示されるように、プリズム10が抜去されている状態において、フェルール23の軸線Xよりも上方に位置するマルチコアファイバ22が光Lを出射すると、ミラー15において反射した光Lは軸線Xよりも下方に位置するマルチコアファイバ22に入射する。このとき、光Lが入射するマルチコアファイバ22、および光Lを出射したマルチコアファイバ22は、軸線Xに対して互いに対称となる位置に配置されている。
【0031】
図4および
図5に示されるように、プリズム挿抜空間Sにプリズム10が挿入されている状態において、軸線Xよりも上方に位置するマルチコアファイバ22が光Lを出射すると、ミラー15において反射した光Lは軸線Xよりも上方に位置するマルチコアファイバ22に入射する。このとき、光Lが入射するマルチコアファイバ22の第1方向D1の位置、および光Lを出射したマルチコアファイバ22の第1方向D1の位置、は互いに同一である。
【0032】
図6は、各マルチコアファイバ22が延在する方向に直交する平面で光ファイババンドル20を切断したときの断面(以下では単に「断面」と称することがある)を示している。
図6に示されるように、光ファイババンドル20は、4本以上のマルチコアファイバ22と、4本以上のマルチコアファイバ22を束ねて保持するフェルール23とを有する。なお、
図6では、マルチコアファイバ22の数が4である例を示している。
【0033】
フェルール23は、例えば、4本のマルチコアファイバ22が挿入される光ファイバ保持孔23bを有する。光ファイバ保持孔23bは、断面において長方形状を呈する。光ファイバ保持孔23bには、フェルール23にマルチコアファイバ22を固定するための接着剤が充填される。一例として、断面における光ファイバ保持孔23bの形状は正方形状である。
【0034】
断面では、4本のマルチコアファイバ22のうちの第1マルチコアファイバ22A、第2マルチコアファイバ22B、第3マルチコアファイバ22C、および第4マルチコアファイバ22Dが、マルチコアファイバ22それぞれの外形中心位置を結ぶ線が正方形をなすように配置されている。以下では、第1マルチコアファイバ22A、第2マルチコアファイバ22B、第3マルチコアファイバ22Cおよび第4マルチコアファイバ22Dを識別して説明する必要がない場合には、これらをマルチコアファイバ22として説明する。
【0035】
断面において、第1マルチコアファイバ22Aおよび第2マルチコアファイバ22Bがこの順で第1方向D1に沿って並び、かつ、第1マルチコアファイバ22Aおよび第4マルチコアファイバ22Dがこの順で第2方向D2に沿って並んでいる。さらに、断面において、第4マルチコアファイバ22Dおよび第3マルチコアファイバ22Cがこの順で第1方向D1に沿って並んでいる。
【0036】
各マルチコアファイバ22は、第3方向D3に沿って延在する複数のコア26と、複数のコア26を覆うクラッド27とを有する。例えば、複数のコア26は、断面において複数のコア26それぞれのコア中心位置を結ぶ線が正方形状をなすように配置された第1コア26A、第2コア26B、第3コア26Cおよび第4コア26Dである。
【0037】
例えば、マルチコアファイバ22は、第1コア26A、第2コア26B、第3コア26Cおよび第4コア26Dを識別するためのマーカ28を有していてもよい。断面におけるマーカ28の位置および各コア26の位置から、複数のコア26のうちどのコア26が第1コア26A、第2コア26B、第3コア26Cまたは第4コア26Dであるかが認識される。
【0038】
第1マルチコアファイバ22Aおよび第2マルチコアファイバ22Bのそれぞれの断面において、第1コア26Aおよび第2コア26Bがこの順で第1方向D1に沿って並び、かつ、第1コア26Aおよび第4コア26Dがこの順で第2方向D2に沿って並んでいる。第1マルチコアファイバ22Aおよび第2マルチコアファイバ22Bのそれぞれの断面において、第4コア26Dおよび第3コア26Cがこの順で第1方向D1に沿って並んでいる。
【0039】
一方、第3マルチコアファイバ22Cおよび第4マルチコアファイバ22Dのそれぞれの断面において、第1コア26Aおよび第2コア26Bはこの順で第1方向D1の反対方向に沿って並び、かつ第1コア26Aおよび第4コア26Dがこの順で第2方向D2の反対方向に沿って並んでいる。第3マルチコアファイバ22Cおよび第4マルチコアファイバ22Dのそれぞれの断面において、第4コア26Dおよび第3コア26Cがこの順で第1方向D1の反対方向に沿って並んでいる。
【0040】
以上のように、断面において、第1マルチコアファイバ22Aのコア26の配置、および第2マルチコアファイバ22Bのコア26の配置が互いに同一であり、かつ、第3マルチコアファイバ22Cのコア26の配置、および第4マルチコアファイバ22Dのコア26の配置が互いに同一である。そして、第1マルチコアファイバ22Aを第1マルチコアファイバ22Aの周方向D4に180°回転させたときの第1マルチコアファイバ22Aのコア26の配置は、第4マルチコアファイバ22Dのコア26の配置と同一である。
【0041】
マルチコアファイバ22への光Lの入射および出射についてより詳細に説明する。プリズム10が抜去されている状態において、第1マルチコアファイバ22Aの第1コア26Aが光Lを出射すると、ミラー15において反射した光Lは第3マルチコアファイバ22Cの第1コア26Aに入射する。この状態において、第1マルチコアファイバ22Aの第2コア26Bが光Lを出射すると、ミラー15において反射した光Lは第3マルチコアファイバ22Cの第2コア26Bに入射する。この場合、第1マルチコアファイバ22Aの接続先のマルチコアファイバ22は第3マルチコアファイバ22Cとなる。
【0042】
以上のように、マルチコアファイバ22の第1コア26Aから出射した光Lは、当該マルチコアファイバ22とは異なるマルチコアファイバ22の第1コア26Aに入射する。同様に、マルチコアファイバ22の第2コア26B、第3コア26Cまたは第4コア26Dから出射した光Lは、当該マルチコアファイバ22とは異なるマルチコアファイバ22の第2コア26B、第3コア26Cまたは第4コア26Dに入射する。
【0043】
そして、プリズム10が抜去されている状態では、光Lが入射するマルチコアファイバ22(例えば第3マルチコアファイバ22C)の各コア26、および光Lを出射したマルチコアファイバ22(例えば第1マルチコアファイバ22A)の各コア26は、断面の中心Cに対して互いに点対称となる位置に配置されている。以下では、光Lが入射するマルチコアファイバ22を接続先ポート、光Lを出射するマルチコアファイバ22を共通ポート、と称することがある。
【0044】
一方、プリズム10が挿入されている状態において、第1マルチコアファイバ22Aの第1コア26Aが光Lを出射すると、ミラー15において反射した光Lは、第4マルチコアファイバ22Dの第1コア26Aに入射する。この状態において、第1マルチコアファイバ22Aの第2コア26Bが光Lを出射すると、ミラー15において反射した光Lは第4マルチコアファイバ22Dの第2コア26Bに入射する。この場合、第1マルチコアファイバ22Aの接続先のマルチコアファイバ22は第4マルチコアファイバ22Dとなる。
【0045】
プリズム10が挿入されている状態では、マルチコアファイバ22の第1コア26Aから出射した光Lは、当該マルチコアファイバ22に第2方向D2に沿って隣接するマルチコアファイバ22の第1コア26Aに入射する。同様に、マルチコアファイバ22の第2コア26B、第3コア26Cまたは第4コア26Dから出射した光Lは、当該マルチコアファイバ22に第2方向D2に沿って隣接するマルチコアファイバ22の第2コア26B、第3コア26Cまたは第4コア26Dに入射する。
【0046】
前述したように、プリズム10が抜去されている状態では、共通ポートの各コア26、および接続先ポートの各コア26は、断面の中心Cに対して互いに点対称となる位置に配置されている。これに対し、プリズム10が挿入されている状態では、共通ポートの各コア26、および接続先ポートの各コア26は、共通ポートの中心O1と接続先ポートの中心O2とを結ぶ線分の中点Mに対して互いに点対称となる位置に配置されている。
【0047】
以上のように、プリズム挿抜空間Sに対するプリズム10の挿抜によって、接続先ポートが切り替えられる。
図7は、共通ポートおよび接続先ポートのパターンの例を示している。以下では、プリズム10が抜去されている状態における接続先ポートを第1接続先ポート、プリズム10が挿入されている状態における接続先ポートを第2接続先ポートとして説明する。
【0048】
パターン1では、第1マルチコアファイバ22Aが共通ポートであり、第3マルチコアファイバ22Cが第1接続先ポート、第4マルチコアファイバ22Dが第2接続先ポートである。このとき、第2マルチコアファイバ22Bはダミーポートである。ダミーポートは、光Lの入出射がなされないマルチコアファイバ22である。共通ポート、第1接続先ポート、第2接続先ポートおよびダミーポートは選択可能である。例えばパターン4では、第4マルチコアファイバ22Dが共通ポートであり、第2マルチコアファイバ22Bが第1接続先ポートであり、第1マルチコアファイバ22Aが第2接続先ポートであり、第3マルチコアファイバ22Cがダミーポートである。
【0049】
挿入するプリズム10の向きが変更されることによって、第1接続先ポートおよび第2接続先ポートを切り替えることが可能である。すなわち、上記の例では、ミラー15からの光Lが入射する第2面12が下方に向かうに従ってプリズム10が薄くなるように傾斜するプリズム10を挿抜した。しかしながら、第2面12が下方に向かうに従ってプリズム10が厚くなるように傾斜するプリズム10を挿抜してもよい。
【0050】
すなわち、上下を逆にしたプリズム10を挿抜してもよい。この場合、例えばパターン2では、第2マルチコアファイバ22Bが共通ポートであり、第4マルチコアファイバ22Dが第1接続先ポートであり、第3マルチコアファイバ22Cが第2接続先ポートであり、第1マルチコアファイバ22Aがダミーポートである。パターン3では、第3マルチコアファイバ22Cが共通ポートであり、第1マルチコアファイバ22Aが第1接続先ポートであり、第2マルチコアファイバ22Bが第2接続先ポートであり、第4マルチコアファイバ22Dがダミーポートである。
【0051】
次に、本実施形態に係る光ファイババンドル20および光スイッチ1から得られる作用効果について説明する。光ファイババンドル20では、例えば、第1マルチコアファイバ22Aの各コア26から出射した光は、ミラー15において反射され、第3マルチコアファイバ22Cの各コア26に入射する。光ファイババンドル20とミラー15との間にプリズム10が介在すると、第1マルチコアファイバ22Aの各コア26から出射した光Lは、第3マルチコアファイバ22Cに隣接する第4マルチコアファイバ22Dの各コア26に入射する。このように、光ファイババンドル20とミラー15との間にプリズム10を挿抜することによって、第1マルチコアファイバ22Aが出射した光Lの接続先を第3マルチコアファイバ22Cまたは第4マルチコアファイバ22Dから選択できる。
【0052】
さらに、光Lが出射するマルチコアファイバ22(共通ポート)を第1マルチコアファイバ22Aから変更した場合には、接続先のマルチコアファイバ22(接続先ポート)を変更することができる。したがって、マルチコアファイバ22における接続先の切り替えを行うことができる。このように、接続先のマルチコアファイバ22を選択できるので、光学特性が良好な光ファイバの選択幅を広げることができる。
【0053】
前述したように、フェルール23は、4本以上のマルチコアファイバ22が挿入される光ファイバ保持孔23bを有してもよい。断面において、光ファイバ保持孔23bは長方形状を呈してもよい。この場合、フェルール23の光ファイバ保持孔23bを画成する内面とマルチコアファイバ22との間に形成される隙間を低減でき、当該隙間に充填される接着剤の量を減らすことができる。光ファイバ保持孔23bが長方形状を呈することにより、回転させたときの各マルチコアファイバ22の位置を把握しやすくすることができる。
【0054】
前述したように、第1マルチコアファイバ22A、第2マルチコアファイバ22B、第3マルチコアファイバ22C、および第4マルチコアファイバ22Dのうち、1つのマルチコアファイバ22から光Lを出射し、当該1つのマルチコアファイバ22以外の2つのマルチコアファイバ22は光Lの出射によって反射した反射光を受光する。そして、断面における当該2つのマルチコアファイバ22のコア26の配置が互いに同一である。この場合、1つのマルチコアファイバ22が出射した光Lの接続先を2つのマルチコアファイバ22から選択することができる。
【0055】
本実施形態に係る光スイッチ1は、光ファイババンドル20と、光ファイババンドル20から出射した光Lを反射するミラー15と、光ファイババンドル20から出射した光Lの光路に挿抜されるプリズム10と、を備える。この場合、光ファイババンドル20に束ねられている複数のマルチコアファイバ22のうちの1つから出射した光Lは、ミラー15において反射されて当該1つとは異なるマルチコアファイバ22に結合する。そして、光ファイババンドル20とミラー15との間にプリズム10が挿入される場合には、当該1つから出射した光Lは、当該異なるマルチコアファイバ22とは更に異なるマルチコアファイバ22に結合する。したがって、プリズム10の挿抜によって接続先のマルチコアファイバ22を切り替えることができる。
【0056】
次に、本開示に係る光ファイババンドルの変形例について説明する。変形例に係る光ファイババンドルの一部の構成は、前述した光ファイババンドル20の一部の構成と同一である。よって、以下では、光ファイババンドル20の構成と重複する説明を同一の符号を付して適宜省略する。
【0057】
図8は、第1変形例に係る光ファイババンドル30の複数のマルチコアファイバ32、およびフェルール23を示す断面図である。複数のマルチコアファイバ32は、前述したマルチコアファイバ22と同様、第1マルチコアファイバ32A、第2マルチコアファイバ32B、第3マルチコアファイバ32Cおよび第4マルチコアファイバ32Dである。各マルチコアファイバ32は、前述したコア26とは異なる配置態様とされた複数のコア36を有する。
【0058】
複数のコア36は、断面において複数のコア36それぞれの中心位置を結ぶ線が三角形状をなすように配置された第1コア36A、第2コア36Bおよび第3コア36Cである。一例として、第1コア36A、第2コア36Bおよび第3コア36Cは、断面においてそれぞれの中心位置を結ぶ線が正三角形状をなすように配置されている。第1マルチコアファイバ32Aおよび第2マルチコアファイバ32Bのそれぞれの断面において、第2コア36Bおよび第3コア36Cがこの順で第2方向D2に沿って並び、かつ、第1コア36Aと第2コア36Bおよび第3コア36Cを結ぶ線分の中点とが、この順で第1方向D1に沿って並んでいる。
【0059】
一方、第3マルチコアファイバ32Cおよび第4マルチコアファイバ32Dのそれぞれの断面において、第2コア36Bおよび第3コア36Cがこの順で第2方向D2の反対方向に沿って並び、かつ、第1コア36Aと第2コア36Bおよび第3コア36Cを結ぶ線分の中点とが、この順で第1方向D1の反対方向に沿って並んでいる。
【0060】
以上のように、断面において、第1マルチコアファイバ32Aのコア36の配置、および第2マルチコアファイバ32Bのコア36の配置が互いに同一であり、かつ、第3マルチコアファイバ32Cのコア36の配置、および第4マルチコアファイバ32Dのコア36の配置が互いに同一である。そして、第1マルチコアファイバ32Aを第1マルチコアファイバ32Aの周方向D4に180°回転させたときの第1マルチコアファイバ32Aのコア36の配置は、第4マルチコアファイバ32Dのコア36の配置と同一である。
【0061】
マルチコアファイバ32への光Lの入射および出射は、マルチコアファイバ22への光Lの入射および出射と同様である。例えばパターン1のように第1マルチコアファイバ32Aが共通ポートである場合、第3マルチコアファイバ32Cが第1接続先ポート、第4マルチコアファイバ32Dが第2接続先ポートである。そして、第2マルチコアファイバ32Bがダミーポートである。マルチコアファイバ32では、パターン2、パターン3およびパターン4における共通ポート、第1接続先ポート、第2接続先ポートおよびダミーポートの関係もマルチコアファイバ22の場合と同様である。
【0062】
以上のように、第1変形例に係る光ファイババンドルでは、複数のマルチコアファイバ32とミラー15との間にプリズム10を挿抜することによって、マルチコアファイバ32が出射した光Lの接続先を2つのマルチコアファイバ32から選択できる。そして、光Lを出射するマルチコアファイバ32(共通ポート)を変更した場合には、接続先のマルチコアファイバ32(接続先ポート)を変更することができる。したがって、マルチコアファイバ32における接続先の切り替えを行うことができるので、光ファイババンドル20の場合と同様の作用効果が得られる。このように、本開示に係る光ファイババンドルおよび光スイッチでは、マルチコアファイバのコアの数、およびコアの配置態様は特に限定されない。
【0063】
次に、第2変形例に係る光ファイババンドル40について
図9を参照しながら説明する。
図9に示されるように、第2変形例に係る光ファイババンドル40は、フェルール23とは異なるフェルール23Aを有する。フェルール23Aは、4本のマルチコアファイバ22が挿入される光ファイバ保持孔23cを有する。光ファイバ保持孔23cは、断面において円形状を呈する。その他は前記実施形態で説明した構成と同一であり、4本のマルチコアファイバ22のうちの第1マルチコアファイバ22A、第2マルチコアファイバ22B、第3マルチコアファイバ22C、および第4マルチコアファイバ22Dが、マルチコアファイバ22それぞれの外形中心位置を結ぶ線が正方形をなすように配置されている。
【0064】
以上、第2変形例に係る光ファイババンドル40では、断面において、光ファイバ保持孔23cが円形状を呈する。したがって、光ファイバ保持孔23cが円形状を呈することにより、フェルール23Aにおける光ファイバ保持孔23cの形成を容易に、かつ高精度に行うことができる。
【0065】
第3変形例に係る光ファイババンドル50について
図10を参照しながら説明する。
図10に示されるように、フェルール23Bは、各マルチコアファイバ22が個別に挿入される光ファイバ保持孔23dを有する。断面において、4つの光ファイバ保持孔23dは、それぞれの内径中心位置を結ぶ線が正方形をなすように配置されている。断面における光ファイバ保持孔23dの外径は、断面における各マルチコアファイバ22の外径よりも0.5μmから3.0μm大きい。各マルチコアファイバ22を、断面内でその中心軸まわりに回転調整できるようにするためである。以上、第3変形例に係る光ファイババンドル50の場合、フェルール23Bは、4本以上のマルチコアファイバ22のそれぞれが挿入される複数の光ファイバ保持孔23dを有する。この場合、各マルチコアファイバ22を断面内で精度良く配置することが可能である。
【0066】
以上、本開示に係る光モジュールの実施形態および種々の変形例について説明した。しかしながら、本発明は、前述した実施形態または実施例に限定されない。すなわち、本発明が特許請求の範囲に記載された要旨を変更しない範囲において種々の変形及び変更が可能であることは、当業者によって容易に認識される。例えば、光ファイババンドルおよび光スイッチの各部品の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、前述した内容に限られず適宜変更可能である。
【0067】
例えば、前述の実施形態では、4本のマルチコアファイバ22を保持するフェルール23を有する光ファイババンドル20について説明した。しかしながら、フェルールが保持するマルチコアファイバの数は、4本より多くてもよい。例えば、光ファイババンドル20は複数のダミーポートを備えていてもよい。具体例として、1本のマルチコアファイバ22が共通ポート、当該1本のマルチコアファイバ22とは異なる2本のマルチコアファイバ22が接続先ポートであり、共通ポートおよび接続先ポート以外に複数のダミーポートが設けられていてもよい。例えば、複数のダミーポートのいずれかは、断面における複数のマルチコアファイバ22の間、または断面における複数のマルチコアファイバ22の外側、に配置されていてもよい。このように、ダミーポートの数および配置態様は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0068】
1…光スイッチ
2…第1基板
2b…主面
2c…貫通孔
3…第2基板
3b…第1搭載面
3c…第2搭載面
4…プリズム挿抜装置
4b…電磁石ユニット
4c…揺動部材
4d…アーム
4f…延出部
4g…電極
4j…支点
4k…第1揺動部
4p…第2揺動部
4q…凸部
4r…下面
4s…凹部
4t…筐体
10…プリズム
11…第1面
12…第2面
15…ミラー
20…光ファイババンドル
21…レンズ
22…マルチコアファイバ
22A…第1マルチコアファイバ
22B…第2マルチコアファイバ
22C…第3マルチコアファイバ
22D…第4マルチコアファイバ
23,23A,23B…フェルール
23b,23c,23d…光ファイバ保持孔
24…第1ガラスチューブ
25…第2ガラスチューブ
26…コア
26A…第1コア
26B…第2コア
26C…第3コア
26D…第4コア
27…クラッド
28…マーカ
30…光ファイババンドル
32…マルチコアファイバ
32A…第1マルチコアファイバ
32B…第2マルチコアファイバ
32C…第3マルチコアファイバ
32D…第4マルチコアファイバ
36…コア
36A…第1コア
36B…第2コア
36C…第3コア
40,50…光ファイババンドル
C…中心
D1…第1方向
D2…第2方向
D3…第3方向
D4…周方向
L…光
M…中点
O1,O2…中心
S…プリズム挿抜空間
X…軸線