(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062150
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
F01P 11/14 20060101AFI20240430BHJP
F01P 11/16 20060101ALI20240430BHJP
F01P 11/18 20060101ALI20240430BHJP
G01M 3/02 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
F01P11/14 D
F01P11/16 E
F01P11/18 B
G01M3/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169967
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 克太
(72)【発明者】
【氏名】山下 将司
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA27
2G067AA28
2G067BB05
2G067BB22
2G067CC02
2G067DD07
2G067DD08
2G067EE12
2G067EE13
(57)【要約】
【課題】電動ポンプを用いることなく、より適切に内燃機関の冷却水の漏れの発生を検出可能な作業機械を提供することにある。
【解決手段】ホイールローダ1は、過去冷却水温T1と過去冷却水量V1とに基づいて、冷却水温Tが予め設定した基準温度Trefである場合における過去のエンジン11の運転停止時の冷却水量Vである比較用過去冷却水量V´を求め(ステップS13)、現在冷却水温Tnと現在冷却水量Vnとに基づいて、冷却水温Tが基準温度Trefである場合における現在のエンジン11の運転停止時の冷却水量Vである比較用現在冷却水量Vn´を求め(ステップS15)、比較用現在冷却水量Vn´と比較用過去冷却水量V1´とから冷却水漏れの発生を判定する(ステップS16~S18)、制御装置を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、
前記内燃機関を冷却する冷却水が流れる冷却回路と、
前記内燃機関により駆動されて前記冷却回路内の冷却水を循環させるポンプと、
前記冷却回路内に配置されたラジエータと、
前記冷却回路上で前記内燃機関と前記ラジエータとの間に配置されて冷却水を貯留するリザーバタンクと、
前記リザーバタンク内の冷却水量を検出する冷却水量検出センサと、
冷却水の冷却水温を検出する冷却水温検出センサと、
を備えた作業機械であって、
過去の前記内燃機関の運転停止時に、前記冷却水量検出センサにより検出された過去冷却水量と前記冷却水温検出センサにより検出された過去冷却水温とを取得し、
現在の前記内燃機関の運転停止時に、前記冷却水量検出センサにより検出された現在冷却水量と前記冷却水温検出センサにより検出された現在冷却水温とを取得し、
前記過去冷却水温と前記過去冷却水量とに基づいて、冷却水温が予め設定した基準温度である場合における前記過去の前記内燃機関の運転停止時の冷却水量である比較用過去冷却水量を求め、
前記現在冷却水温と前記現在冷却水量とに基づいて、冷却水温が前記基準温度である場合における前記現在の前記内燃機関の運転停止時の冷却水量である比較用現在冷却水量を求め、
前記比較用現在冷却水量と前記比較用過去冷却水量とから冷却水漏れの発生を判定する制御装置を備える作業機械。
【請求項2】
前記基準温度は、前記内燃機関が冷機状態における冷却水温である請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記制御装置は、前記過去冷却水温または前記現在冷却水温を前記基準温度に設定する請求項1に記載の作業機械。
【請求項4】
前記リザーバタンクの冷却水の交換作業が行われた場合に、前記過去冷却水量および前記過去冷却水温の情報をリセットするためのクリアスイッチをさらに備え、
前記制御装置は、前記クリアスイッチが押された後の1回目の前記内燃機関の運転停止時に検出された冷却水量および冷却水温を前記過去冷却水量および前記過去冷却水温として取得する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業機械に関し、特に内燃機関を冷却する冷却水の漏れを検出する作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機械の内燃機関を冷却する冷却水の漏れを検出するための技術が知られている。例えば、特許文献1には、内燃機関を冷却する水冷式の冷却装置と、冷却水を貯めるリザーブタンクと、冷却水を循環させる電動ポンプとを備え、エンジン運転停止時に電動ポンプを駆動し、電動ポンプの空転を検出した場合に冷却水漏れが発生していると判定する内燃機関用吸気冷却装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、エンジンにより駆動される機械式のポンプではなく、電動ポンプが必須構成要素となってしまう。また、冷却水の体積は、冷却水自体の温度に応じて変化するため、冷却水の温度が上昇し体積が膨張している場合には、実際には冷却水漏れが発生しているにも関わらず電動ポンプが空転しないということが生じ得る。その結果、冷却水漏れの発生を適切に検出できない可能性がある。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電動ポンプを用いることなく、より適切に内燃機関の冷却水の漏れの発生を検出可能な作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の作業機械は、内燃機関と、前記内燃機関を冷却する冷却水が流れる冷却回路と、前記内燃機関により駆動されて前記冷却回路内の冷却水を循環させるポンプと、前記冷却回路内に配置されたラジエータと、前記冷却回路上で前記内燃機関と前記ラジエータとの間に配置されて冷却水を貯留するリザーバタンクと、前記リザーバタンク内の冷却水量を検出する冷却水量検出センサと、冷却水の冷却水温を検出する冷却水温検出センサと、を備えた作業機械であって、過去の前記内燃機関の運転停止時に、前記冷却水量検出センサにより検出された過去冷却水量と前記冷却水温検出センサにより検出された過去冷却水温とを取得し、現在の前記内燃機関の運転停止時に、前記冷却水量検出センサにより検出された現在冷却水量と前記冷却水温検出センサにより検出された現在冷却水温とを取得し、前記過去冷却水温と前記過去冷却水量とに基づいて、冷却水温が予め設定した基準温度である場合における前記過去の前記内燃機関の運転停止時の冷却水量である比較用過去冷却水量を求め、前記現在冷却水温と前記現在冷却水量とに基づいて、冷却水温が前記基準温度である場合における前記現在の前記内燃機関の運転停止時の冷却水量である比較用現在冷却水量を求め、前記比較用現在冷却水量と前記比較用過去冷却水量とから冷却水漏れの発生を判定する制御装置を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の作業機械によれば、電動ポンプを用いることなく、より適切に内燃機関の冷却水の漏れの発生を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第一実施形態にかかる作業機械としてのホイールローダを示す概略構成図である。
【
図2】エンジンの冷却装置を示す概略構成図である。
【
図3】第一実施形態における冷却水漏れ検出判定制御の処理を示すフローチャートである。
【
図4】第一実施形態における冷却水漏れ検出判定制御で検出および算出される冷却水量および冷却水温を示した説明図である。
【
図5】第二実施形態における冷却水漏れ検出判定制御の処理を示すフローチャートである。
【
図6】第二実施形態における冷却水漏れ検出判定制御で検出および算出される冷却水量および冷却水温を示した説明図である。
【
図7】第三実施形態における冷却水漏れ検出判定制御の処理を示すフローチャートである。
【
図8】第三実施形態における冷却水漏れ検出判定制御で検出および算出される冷却水量および冷却水温を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。以下の説明では、作業機械としてのホイールローダ1に搭乗した運転者を基準として、作業機械の機体前後方向、左右方向、上下方向を規定する。
【0010】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態にかかる作業機械としてのホイールローダを示す概略構成図である。
図1に示すホイールローダ1は、例えば、作業現場において土石物などの運搬作業や、例えばダンプトラックといった他の車両などへの積み込み作業などに用いられる作業機械である。
【0011】
(ホイールローダ)
ホイールローダ1は、バケット3、ベルクランク4、バケットシリンダ5、アーム6、アームシリンダ7、前輪タイヤ8などを有する前部車体1aと、運転室2、エンジン室10、エンジン11(内燃機関)、後輪タイヤ9などを有する後部車体1bとで構成される。アーム6は、前部車体1aに対して上下方向に回動可能に取り付けられており、アームシリンダ7の伸縮によって回動駆動される。バケット3は、アーム6の先端において、アーム6に対して上下方向に回動可能に取り付けられ、バケットシリンダ5の伸縮によってベルクランク4を介して回動駆動される。また、エンジン11は、例えばディーゼルエンジンであり、エンジン室10内に配置されて前輪タイヤ8および後輪タイヤ9へと走行用駆動力を出力する。
【0012】
また、ホイールローダ1は、制御装置30(
図2参照)を備えている。制御装置30は、ホイールローダ1の全体制御を行うメインコントローラ31と、エンジン11の制御を行うエンジンコントローラ32とを含む。メインコントローラ31およびエンジンコントローラ32は、各種の演算処理を行う中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)と、各種の制御プログラム及び各種のデータを記憶する記憶装置(例えばハードディスクドライブなどのストレージやRAM(Random Access Memory)などのメモリ)とを有する。メインコントローラ31およびエンジンコントローラ32は、CAN(Controller Area Network)により接続されており、互いにデータをやり取りすることができる。メインコントローラ31は、後述する冷却水漏れ検出判定制御を実行する。また、エンジンコントローラ32は、エンジン11の稼働状態の情報を取得し、メインコントローラ31に出力する。
【0013】
(エンジンの冷却装置)
図2は、エンジン11の冷却装置を示す概略構成図である。ホイールローダ1は、上述した構成に加えて、
図2に示すように、エンジン11の冷却装置40を備えている。冷却装置40は、ウォータポンプ41と、ウォータジャケット42と、エンジンオイルクーラ43と、ラジエータ44と、サーモスタット45と、エキスパンションタンク46とを備えている。これらの機器は、ホイールローダ1の後部車体1bに搭載され、エンジン11を冷却するための冷却水が循環する冷却回路L内に配置される。なお、
図2において、実線矢印は、冷却水が流れる冷却回路Lの流路および流れの方向を示している。
【0014】
ウォータポンプ41は、エンジン11に搭載され、エンジン11の動力により駆動されて機械式ポンプである。ウォータポンプ41は、ウォータジャケット42およびエンジンオイルクーラ43と熱交換した冷却水または後述するラジエータ44のロアタンク44cから吸引した冷却水を、ウォータジャケット42およびエンジンオイルクーラ43に吐出し、冷却回路L内で冷却水を循環させる。
【0015】
ウォータジャケット42は、エンジン11の図示しないシリンダの周囲に設けられ、ウォータポンプ41から吐出された冷却水により上記シリンダと熱交換を行ってエンジン11を冷却する。エンジンオイルクーラ43は、ウォータポンプ41から吐出された冷却水と上記シリンダとの間で熱交換を行ってエンジン11を冷却する。エンジンオイルクーラ43は、エンジンオイルが流れる図示しないオイル配管の周囲に設けられ、ウォータポンプ41から吐出された冷却水とオイル配管との間で熱交換を行ってエンジンオイルを冷却する。なお、エンジンオイルクーラ43が空冷式である場合には、
図2の構成から省略される。また、エンジン11は、図示しないEGR配管と、当該EGR配管の周囲に設けられてEGR配管とウォータポンプ41から吐出された冷却水との間で熱交換を行うEGRクーラを備えてもよい。
【0016】
ラジエータ44は、冷却回路Lに含まれるラジエータアッパーホースL1を介してエンジン11側(後述するサーモスタット45)に接続されたアッパータンク44aと、アッパータンク44aに接続されて冷却水を放熱させるラジエータコア44bと、ラジエータコア44bに接続されると共に、冷却回路Lに含まれるラジエータロアホースL2を介してエンジン11側(ウォータポンプ41)に接続されたロアタンク44cとを含む。ラジエータコア44bに流入した冷却水は、エンジン11により駆動される図示しない冷却ファンからの冷却風と熱交換することで冷却される。
【0017】
サーモスタット45は、エンジン11に搭載され、冷却水の温度である冷却水温に応じて開閉する弁である。サーモスタット45は、ウォータジャケット42およびエンジンオイルクーラ43とラジエータアッパーホースL1との間に設けられる。サーモスタット45は、冷却水温が所定値以上であるときに開弁し、それにより、ウォータジャケット42およびエンジンオイルクーラ43と熱交換した冷却水がラジエータ44へと流れる。一方、サーモスタット45は、冷却水温が所定値未満であるときに閉弁し、それにより、ウォータジャケット42およびエンジンオイルクーラ43と熱交換した冷却水がウォータポンプ41へと流れる。
【0018】
エキスパンションタンク46は、冷却回路L内を流れる冷却水からのエア抜きを行うと共に、冷却水の体積変換に伴う圧力変動を吸収する密閉式のリザーバタンクである。エキスパンションタンク46内には、開閉自在の図示しない給水ポートから作業員が給水を行うことができる。作業員は、冷却水の交換時に、エキスパンションタンク46に示された目視可能な水量マークの位置まで給水を行う。それにより、エキスパンションタンク46内の冷却水量が設定された初期値となる。エキスパンションタンク46内の冷却水量は、冷却回路L内からの冷却水漏れがなく、作業員による交換作業が行われない限り、エンジン11が運転停止されている場合には、冷却水温の変化による冷却水の体積変化分を除き、基本的に同一となる。
【0019】
エキスパンションタンク46は、冷却回路Lに含まれるエア抜きラインL3を介してラジエータ44のアッパータンク44aに接続されたエア抜きポート46aと、冷却回路Lに含まれるエア抜きラインL4を介してウォータジャケット42およびエンジンオイルクーラ43に接続されたエア抜きポート46bとを有する。また、エキスパンションタンク46は、冷却回路Lに含まれるメイクアップラインL5を介してラジエータロアホースL2に接続されたメイクアップポート46cを有する。エキスパンションタンク46は、エア抜きポート46a、46bから供給された冷却水を図示しない複数の分離室で気液分離してエアを除去し、メイクアップポート46cからメイクアップラインL5を介してラジエータロアホースL2へと送出する。
【0020】
また、冷却装置40は、冷却水量検出センサ51と冷却水温検出センサ52とを備えている。冷却水量検出センサ51は、エキスパンションタンク46内の冷却水量を検出する。冷却水量検出センサ51は、制御装置30のメインコントローラ31に接続されており、検出した冷却水量をメインコントローラ31に出力する。冷却水温検出センサ52は、エンジン11に搭載され、ウォータジャケット42およびエンジンオイルクーラ43とウォータポンプ41およびサーモスタット45との間で、ウォータジャケット42およびエンジンオイルクーラ43と熱交換した冷却水の冷却水温を検出する。冷却水温検出センサ52は、制御装置30のエンジンコントローラ32に接続されており、検出した冷却水温をエンジンコントローラ32に出力する。
【0021】
さらに、第一実施形態において、冷却装置40は、クリアスイッチ53を備える。クリアスイッチ53は、後述する制御装置30による冷却水漏れ検出判定制御において、制御装置30が記憶している過去のエキスパンションタンク46内の冷却水量および冷却水温の情報をリセットするためのスイッチである。クリアスイッチ53は、作業員がエキスパンションタンク46内の冷却水の交換作業を行ったときに、作業員により押される。クリアスイッチ53は、メインコントローラ31に接続されており、作業者により押されたとき、冷却水の交換作業が行われた旨をメインコントローラ31に出力する。以下の説明では、「作業員によりクリアスイッチ53が押された後」を単に「クリア後」と称する。
【0022】
(冷却水漏れの検出判定制御)
次に、
図3および
図4を参照しながら、冷却水漏れ検出判定制御について説明する。
図3は、第一実施形態における冷却水漏れ検出判定制御の処理を示すフローチャートである。
図4は、第一実施形態における冷却水漏れ検出判定制御で検出および算出される冷却水量および冷却水温を示した説明図である。
【0023】
図3に示す処理は、ホイールローダ1のシステム起動中において、エンジン11が運転停止されているときに、制御装置30のメインコントローラ31により実行される。メインコントローラ31は、冷却水量検出センサ51で検出されたエキスパンションタンク46内の冷却水量Vを取得すると共に、エンジンコントローラ32から冷却水温検出センサ52で検出された冷却水温Tを取得する(ステップS10)。
【0024】
次に、メインコントローラ31は、本ルーチンの実行、すなわち、ホイールローダ1のシステム起動中においてエンジン11が運転停止されている状態が、クリア後の2回目以降であるか否かを判定する(ステップS11)。クリア後の2回目以降ではない場合は、クリア後の1回目に本ルーチンが実行されたことを意味する。クリアスイッチ53は、エキスパンションタンク46を含む冷却装置40内に冷却水を投入した直後や冷却水の交換作業を行った直後に操作されることが好ましい。このタイミングでクリアスイッチ53が操作されることで、ステップS10で取得された冷却水量Vが、確実に漏れが生じていないときの水量となる。
【0025】
メインコントローラ31は、本ルーチンの実行が作業者によりクリアスイッチ53が押されてからの1回目であると判定した場合(ステップS11でNo)、ステップS10で取得した冷却水量Vを過去冷却水量V1として記憶すると共に、ステップS10で取得した冷却水温Tを過去冷却水温T1として記憶する(ステップS12)。すなわち、メインコントローラ31は、クリアスイッチ53が押された後の1回目のエンジン11の運転停止時に検出された冷却水量Vおよび冷却水温Tを過去冷却水量V1および過去冷却水温T1として取得して記憶する。
【0026】
次に、メインコントローラ31は、予め設定された基準温度Trefでの比較用過去冷却水量V1´を算出して記憶する(ステップS13)。具体的には、メインコントローラ31は、ステップS11で記憶した過去冷却水量V1と過去冷却水温T1と基準温度Trefと冷却水の熱膨張率βとに基づいて、例えば次式(1)にしたがって比較用過去冷却水量V1´を算出する。なお、比較用過去冷却水量V1´は、式(1)によらず、周知の水の物性値に基づいて算出されるものであればよい。例えば、式(1)では、熱膨張率βを一定として取り扱うものとしたが、基準温度Trefおよび過去冷却水温T1に応じて熱膨張率βが変化することを前提に、比較用過去冷却水量V1´を算出してもよい。
【0027】
これにより、
図4の白色矢印に示すように、冷却水温を過去冷却水温T1から基準温度Trefとした場合の過去冷却水量V1の値である比較用過去冷却水量V1´を得ることができる。基準温度Trefは、任意の温度とされてもよいが、第一実施形態においては、エンジン11の冷機状態での冷却水の温度として予め定められる。ここでのエンジン11の冷機状態とは、冷却回路L内の冷却水温Tが概ね同一となる状態である。例えば、冷却水温検出センサ52により検出される冷却水温が気温と同程度である場合や、エンジン11が運転停止されてから所定時間が経過した状態などである場合に、エンジン11が冷機状態であるとすればよい。基準温度Trefは、例えば季節や気温の変化に応じて適宜変更されてもよい。メインコントローラ31は、比較用過去冷却水量V1´を記憶すると本ルーチンの実行を停止する。
【0028】
V1´=V1・(1+β・(Tref-T1))…(1)
【0029】
一方、メインコントローラ31は、本ルーチンの実行がクリア後の2回目以降、すなわちn回目(nは2以上の整数)であると判定した場合(ステップS11でYes)、ステップS10で取得した冷却水量Vを現在冷却水量Vnとして記憶すると共に、ステップS10で取得した冷却水温Tを現在冷却水温Tnとして記憶する(ステップS14)。すなわち、メインコントローラ31は、クリア後の2回目以降のエンジン11の運転停止時に検出された冷却水量Vおよび冷却水温Tを現在冷却水量Vnおよび現在冷却水温Tnとして取得して記憶する。
【0030】
次に、メインコントローラ31は、予め定められた基準温度Trefでの比較用現在冷却水量Vn´を算出して記憶する(ステップS15)。具体的には、メインコントローラ31は、ステップS14で記憶した現在冷却水量Vnと現在冷却水温Tnと現在冷却水温Tnでの冷却水の熱膨張率βとに基づいて、比較用現在冷却水量Vn´を算出する。比較用現在冷却水量Vn´は、例えば上記式(1)の“V1´”を“Vn´”、“V1”を“Vn”、“T1をTn”に置き換えて算出されればよい。比較用現在冷却水量Vn´は、比較用過去冷却水量V1´と同様の算出手法であれば、周知の水の物性値に基づいて算出されるものであってよい。これにより、例えば
図4の灰色矢印に示すように、冷却水温を現在冷却水温Tnから基準温度Trefとした場合の現在冷却水量Vnの値である比較用現在冷却水量Vn´を得ることができる。
【0031】
次に、メインコントローラ31は、記憶した比較用現在冷却水量Vn´が比較用過去冷却水量V1´未満であるか否か、すなわち、比較用現在冷却水量Vn´が比較用過去冷却水量V1´よりも減っているか否かを判定する(ステップS16)。
【0032】
ここで、上述したように、エキスパンションタンク46内の冷却水量は、冷却回路L内からの冷却水漏れがなく、作業員による交換作業が行われない限り、エンジン11が運転停止されている場合には、冷却水温の変化による冷却水の体積変化分を除き、基本的に同一となる。そのため、冷却水漏れが発生していない場合には、
図4の“Vn´(正常例)”に示すように、比較用過去冷却水量V1´と、
図4の“Vn(正常例)”から算出される比較用現在冷却水量Vn´とが、冷却水温を基準温度Trefで揃えられることで、同一の値となる。一方、冷却水漏れが発生している場合、
図4の“Vn´(異常例)”に示すように、
図4の“Vn(異常例)”から算出される比較用現在冷却水量Vn´が比較用過去冷却水量V1´よりも少ない値となる。なお、ここでは、説明のため過去冷却水量V1と比較用過去冷却水量V1´とを異なる値としている。ただし、クリア後の1回目の本ルーチンの実行において、冷却水温Tが基準温度Trefと同じ値である場合には、過去冷却水量V1と比較用過去冷却水量V1´とが一致した値となる。
【0033】
そこで、メインコントローラ31は、比較用現在冷却水量Vn´が比較用過去冷却水量V1´未満でない、すなわち、比較用現在冷却水量Vn´と比較用過去冷却水量V1´とが同一であると判定した場合(ステップS16でNo)、冷却回路L内からの冷却水漏れが発生していないと判定し(ステップS17)、本ルーチンの実行を停止する。なお、ステップS16の処理は、冷却水の自然蒸発による冷却水量の変化や、冷却水量検出センサ51および冷却水温検出センサ52の検出誤差、比較用現在冷却水量Vn´および比較用過去冷却水量V1´の算出誤差などを考慮し、比較用現在冷却水量Vn´と比較用過去冷却水量V1´とが所定のマージンの範囲内において同一であると判定されるものであってもよい。
【0034】
一方、メインコントローラ31は、比較用現在冷却水量Vn´が比較用過去冷却水量V1´未満であると判定した場合(ステップS16でYes)、冷却回路L内からの冷却水漏れが発生していると判定する(ステップS18)。そして、メインコントローラ31は、冷却水漏れ発生のエラーを報知する(ステップS19)。具体的には、メインコントローラ31は、図示しないモニタといった表示装置や警報装置などを介して、作業員に冷却水漏れが発生している旨を報知する。また、メインコントローラ31は、例えば、基準温度Tref、過去冷却水量V1、過去冷却水温T1、比較用過去冷却水量V1´、現在冷却水量Vn、現在冷却水温Tnおよび比較用現在冷却水量Vn´といった本ルーチンで算出した各値を報知する。メインコントローラ31は、その後、本ルーチンの実行を停止する。
【0035】
メインコントローラ31は、システム起動中にエンジン11が運転停止されるごとに、本ルーチンの処理を毎回実行する。それにより、エンジン11が運転停止されるごとに、比較用現在冷却水量Vn´が比較用過去冷却水量V1´よりも減っているか否かを毎回判定し、冷却水漏れの発生の有無を速やかに検出することができる。
【0036】
(第一実施形態の効果)
以上説明したように、第一実施形態のホイールローダ1(作業機械)は、エンジン11(内燃機関)と、エンジン11を冷却する冷却水が流れる冷却回路Lと、エンジン11により駆動されて冷却回路L内の冷却水を循環させるウォータポンプ41(ポンプ)と、冷却回路L内に配置されたラジエータ44と、冷却回路L上でエンジン11とラジエータ44との間に配置されて冷却水を貯留するエキスパンションタンク46(リザーバタンク)と、エキスパンションタンク46内の冷却水量Vを検出する冷却水量検出センサ51と、冷却水の冷却水温Tを検出する冷却水温検出センサ52と、を備えたホイールローダ1であって、過去のエンジン11の運転停止時に、冷却水量検出センサ51により検出された過去冷却水量V1と冷却水温検出センサ52により検出された過去冷却水温T1とを取得し(ステップS10~S12)、現在のエンジン11の運転停止時に、冷却水量検出センサ51により検出された現在冷却水量Vnと冷却水温検出センサ52により検出された現在冷却水温Tnとを取得し(ステップS10、S11、S14)、過去冷却水温T1と過去冷却水量V1とに基づいて、冷却水温Tが予め設定した基準温度Trefである場合における過去のエンジン11の運転停止時の冷却水量Vである比較用過去冷却水量V´を求め(ステップS13)、現在冷却水温Tnと現在冷却水量Vnとに基づいて、冷却水温Tが基準温度Trefである場合における現在のエンジン11の運転停止時の冷却水量Vである比較用現在冷却水量Vn´を求め(ステップS15)、比較用現在冷却水量Vn´と比較用過去冷却水量V1´とから冷却水漏れの発生を判定する(ステップS16~S18)、制御装置30(メインコントローラ31)を備える。
【0037】
この構成により、エンジン11の過去の運転停止時および現在の運転停止時に検出された冷却水量Vおよび冷却水温Tに基づいて冷却水漏れを判定するため、エンジン11の運転停止時にポンプを駆動する必要がなく、電動ポンプが不要となる。また、比較用過去冷却水量V1´と比較用現在冷却水量Vn´とを、冷却水温Tを基準温度Trefで揃えることにより、冷却水温Tの変化による冷却水の体積変化を排除した上で、比較用現在冷却水量Vn´と比較用過去冷却水量V1´とから冷却水漏れの発生を判定することができる。したがって、第一実施形態のホイールローダ1によれば、電動ポンプを用いることなく、より適切にエンジン11の冷却水の漏れの発生を検出することができる。
【0038】
また、基準温度Trefは、エンジン11が冷機状態における冷却水温Tである。エンジン11の停止直後は、エキスパンションタンク46内の冷却水温と、冷却水温検出センサ52が設置されている一般的な箇所での冷却水温Tとの間で差が生じていることが多い。この差が極小となる冷機状態の冷却水温Tを基準温度Trefとすることで、直接エキスパンションタンク46内の冷却水温を計測するセンサを用いることなく、正確に冷却水漏れの発生を検知できるようになる。
【0039】
また、上記ホイールローダ1は、エキスパンションタンク46の冷却水の交換作業(すなわち、冷却装置40内の冷却水の交換作業)が行われた場合に、過去冷却水量V1および過去冷却水温T1の情報をリセットするためのクリアスイッチ53をさらに備え、制御装置30(メインコントローラ31)は、クリアスイッチ53が押された後の1回目のエンジン11の運転停止時に検出された冷却水量Vおよび冷却水温Tを過去冷却水量V1および過去冷却水温T1として取得する。
【0040】
この構成により、エキスパンションタンク46の冷却水の交換作業(すなわち、冷却装置40内の冷却水の交換作業)が行われ、エキスパンションタンク46に貯留される冷却水量Vが変化したとしても、クリアスイッチ53が押されたことを基点として新たに過去冷却水量V1および過去冷却水温T1を取得して記憶するため、冷却水の交換後も冷却水漏れの発生をより確実に実行することができる。
【0041】
また、基準温度Trefは、予め任意に設定される温度である。この構成により、設計者が所望する予め任意に設定される基準温度で揃えた比較用過去冷却水量V1´と比較用現在冷却水量Vn´とを比較して、冷却水漏れの発生の有無を判定することができる。
【0042】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態のホイールローダ1による冷却水漏れ検出判定制御について説明する。第二実施形態のホイールローダ1は、冷却水漏れ検出判定制御の処理が変更されることを除き、第一実施形態のホイールローダ1と同一の構成を有するため、構成についての説明は省略し、各構成について第一実施形態と同一の符号を付して説明する。
図5は、第二実施形態における冷却水漏れ検出判定制御の処理を示すフローチャートである。
図6は、第二実施形態における冷却水漏れ検出判定制御で検出および算出される冷却水量および冷却水温を示した説明図である。
図5に示す処理は、第一実施形態と同様に、ホイールローダ1のシステム起動中において、エンジン11が運転停止されているときに、制御装置30のメインコントローラ31により実行される。
【0043】
メインコントローラ31は、
図3のステップS10と同様に、エキスパンションタンク46内の冷却水量Vと、冷却水の冷却水温Tとを取得する(ステップS20)。次に、メインコントローラ31は、ステップS11と同様に、本ルーチンの実行がクリア後の2回目以降であるか否かを判定する(ステップS21)。
【0044】
メインコントローラ31は、本ルーチンの実行がクリア後の1回目であると判定した場合(ステップS21でNo)、ステップS12と同様に、ステップS20で取得した冷却水量Vを過去冷却水量V1として記憶し、ステップS20で取得した冷却水温Tを過去冷却水温T1として記憶する(ステップS22)。次に、メインコントローラ31は、ステップS21で記憶した過去冷却水温T1を基準温度Trefに設定すると共に、過去冷却水量V1を比較用過去冷却水量V1´に設定し(ステップS23)、本ルーチンを停止する。
【0045】
一方、メインコントローラ31は、本ルーチンの実行がクリア後の2回目以降であると判定した場合(ステップS21でYes)、ステップS24からステップS29の処理を実行する。ステップS24からステップS29の処理は、
図3のステップS14からステップS19の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0046】
これにより、
図6に示すように、1回目のエンジン11の運転停止時に検出された過去冷却水温T1が基準温度Trefと同一の値となり、過去冷却水量V1が比較用過去冷却水量V1´と同一の値となる。そして、冷却水漏れが発生していない場合には、現在冷却水量Vn(正常例)から算出される比較用現在冷却水量Vn´(正常例)と比較用過去冷却水量V1´とが同一の値となる。一方、冷却水漏れが発生している場合には、現在冷却水量Vn(異常例)から算出される比較用現在冷却水量Vn´(異常例)が比較用過去冷却水量V1´よりも少ない値となる。このように、基準温度Trefとして、クリア後の1回目のエンジン11の運転停止時に検出された冷却水温Tを設定するものとしても、第一実施形態と同様に冷却水漏れの発生の有無を判定することができる。
【0047】
以上説明したように、第二実施形態において、制御装置30(メインコントローラ31)は、過去冷却水温T1を基準温度Trefに設定する(ステップS23)。この構成により、自動的に過去冷却水温T1を基準温度Trefに設定し、比較用過去冷却水量V1´および比較用現在冷却水量Vn´を求めて比較して冷却水漏れの発生の有無を判定することができる。
【0048】
なお、第二実施形態において、過去冷却水温T1は、エンジン11の停止後の任意のタイミングで取得される温度であってよい。ただし、過去冷却水温T1が取得されるタイミングが、エンジン11が冷機状態のときであれば、冷機状態での冷却水温Tが基準温度Trefとなり、上述したように既存の冷却装置の構成のまま小さい誤差で冷却水温の取得が可能になる。
【0049】
(第三実施形態)
次に、第三実施形態のホイールローダ1による冷却水漏れ検出判定制御について説明する。第三実施形態のホイールローダ1は、冷却水漏れ検出判定制御の処理が変更されることを除き、第一実施形態および第二実施形態のホイールローダ1と同一の構成を有するため、構成についての説明は省略し、各構成について第一実施形態および第二実施形態と同一の符号を付して説明する。
図7は、第三実施形態における冷却水漏れ検出判定制御の処理を示すフローチャートである。
図8は、第三実施形態における冷却水漏れ検出判定制御で検出および算出される冷却水量および冷却水温を示した説明図である。
図7に示す処理は、第一実施形態および第二実施形態と同様に、ホイールローダ1のシステム起動中において、エンジン11が運転停止されているときに、制御装置30のメインコントローラ31により実行される。
【0050】
メインコントローラ31は、
図3のステップS10と同様に、エキスパンションタンク46内の冷却水量Vと、冷却水の冷却水温Tとを取得する(ステップS30)。次に、メインコントローラ31は、ステップS11と同様に、本ルーチンの実行がクリア後の2回目以降であるか否かを判定する(ステップS31)。
【0051】
メインコントローラ31は、本ルーチンの実行がクリア後の1回目であると判定した場合(ステップS31でNo)、ステップS12と同様に、ステップS30で取得した冷却水量Vを過去冷却水量V1として記憶し、ステップS30で取得した冷却水温Tを過去冷却水温T1として記憶し(ステップS32)、本ルーチンを停止する。
【0052】
一方、メインコントローラ31は、本ルーチンの実行がクリア後の2回目以降であると判定した場合(ステップS31でYes)、ステップS14と同様に、ステップS30で取得した冷却水量Vを現在冷却水量Vnとして記憶すると共に、ステップS30で取得した冷却水温Tを現在冷却水温Tnとして記憶する(ステップS33)。
【0053】
次に、メインコントローラ31は、記憶した現在冷却水温Tnを基準温度Trefに設定し、記憶した現在冷却水量Vnを比較用現在冷却水量Vn´に設定する(ステップS34)。続いて、メインコントローラ31は、基準温度Trefでの比較用過去冷却水量V1´を算出して記憶する(ステップS35)。具体的には、メインコントローラ31は、ステップS32で記憶した過去冷却水量V1および過去冷却水温T1と、基準温度Trefと冷却水の熱膨張率βとに基づいて、例えば上記式(1)にしたがって比較用過去冷却水量V1´を算出する。比較用過去冷却水量V1´は、周知の水の物性値に基づいて算出されるものであればよい。これにより、冷却水温を過去冷却水温T1から基準温度Trefとした場合の過去冷却水量V1の値である比較用過去冷却水量V1´を得ることができる。そして、メインコントローラ31は、ステップS36からステップS39として、
図4のステップS16からステップS19と同様の処理を実行する。
【0054】
これにより、
図8に示すように、2回目以降(n回目)のエンジン11の運転停止時に検出された現在冷却水温Tnが基準温度Trefと同一の値となり、現在冷却水量Vnが比較用現在冷却水量Vn´と同一の値となる。そして、冷却水漏れが発生していない場合には、現在冷却水量Vn(正常例)が設定される比較用現在冷却水量Vn´(正常例)と、過去冷却水量V1から算出される比較用過去冷却水量V1´とが同一の値となる。一方、冷却水漏れが発生している場合には、現在冷却水量Vn(異常例)が設定される比較用現在冷却水量Vn´(異常例)が、比較用過去冷却水量V1´よりも少ない値となる。これにより、第一実施形態と同様に冷却水漏れの発生の有無を判定することができる。
【0055】
以上説明したように、第三実施形態のホイールローダ1において、制御装置30(メインコントローラ31)は、現在冷却水温Tnを基準温度Trefに設定する(ステップS34)。この構成により、第二実施形態と同様に、自動的に現在冷却水温Tnを基準温度Trefに設定し、比較用過去冷却水量V1´および比較用現在冷却水量Vn´を設定して比較して冷却水漏れの発生の有無を判定することができる。
【0056】
(変形例)
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、第一実施形態から第三実施形態では、ホイールローダ1を作業機械の例として説明したが、本発明は、油圧ショベル等のホイールローダ1以外の作業機械に適用されてもよい。
【0057】
また、冷却水温検出センサ52は、エンジン11での冷却水温Tを検出するものに限らず、冷却回路L内の冷却水温Tを検出するものであればよい。ただし、ラジエータ44により冷却された後の冷却水温Tを検出した場合、エキスパンションタンク46内の冷却水温Tと差が大きくなり、当該温度差による冷却水の体積変化を別に算出する必要が生じる。そのため、計算負荷や精度への影響を考慮すると、少なくともラジエータ44で冷却される前の冷却水温Tを検出するものであることが好ましい。
【0058】
また、第一実施形態から第三実施形態では、確実に漏れが生じていない状態の比較用過去冷却水量V1´を利用することを目的に、クリア後の1回目のルーチン実行時の過去冷却水量V1および過去冷却水温T1を用いている。ただし、クリア後の2回目以降のルーチンで取得される冷却水量Vnであっても、漏れが生じていないと判定されればそのときの冷却水量Vnを、次回以降のルーチンにおける比較用過去冷却水量V1´としてもよい。例えば、2回目のルーチンで漏れが生じていないと判定されれば、2回目のルーチンで取得された冷却水温および冷却水量は、3回目または3回目以降のルーチンにおいて比較用過去冷却水量V1´として利用してもよい。言い換えると、冷却水漏れが生じていないと判定されたあとに、過去冷却水温T1および過去冷却水量V1を直前に取得した現在冷却水温Tnおよび現在冷却水量Vnにデータを入れ替えるという制御を入れることも可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 ホイールローダ
11 エンジン
30 制御装置
31 メインコントローラ
32 エンジンコントローラ
40 冷却装置
44 ラジエータ
46 エキスパンションタンク(リザーバタンク)
51 冷却水量検出センサ
52 冷却水温検出センサ
53 クリアスイッチ
L 冷却回路
T 冷却水温
T1 過去冷却水温
Tn 現在冷却水温
Tref 基準温度
V 冷却水量
V1 過去冷却水量
V1´ 比較用過去冷却水量
Vn 現在冷却水量
Vn´ 比較用現在冷却水量