(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062151
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】端子接続構造および電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/50 20210101AFI20240430BHJP
H01M 50/298 20210101ALI20240430BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20240430BHJP
【FI】
H01M50/50 101
H01M50/298
H01M50/296
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169968
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】湯本 満
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA07
5H040AA19
5H040AT01
5H040DD07
5H040JJ03
5H043AA01
5H043AA02
5H043AA19
5H043BA15
5H043BA19
5H043CA03
5H043FA06
5H043FA37
5H043HA09F
5H043HA13F
5H043JA02F
5H043LA11F
(57)【要約】
【課題】端子に複数の電源線を、電源線の太さや本数に関わらず容易に確実に接続すること。
【解決手段】接続される電池の電極側から突出する接続面部を有する金属端子と、接続面部に接続される複数の電源線との端子接続構造であって、接続面部は、複数の電源線が挿通される一つの貫通孔と、貫通孔を挿通した複数の電源線の端部を夫々半田付けする余白部と、を有し、貫通孔縁部には、複数の電源線の夫々に対応して係合し、端部の夫々を余白部に案内する複数の係合縁部が設けられ、余白部は、係合縁部に係合した電源線の端部の夫々と半田により接合されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続される電池の電極側から突出する接続面部を有する金属端子と、前記接続面部に接続される複数の電源線との端子接続構造であって、
前記接続面部は、
前記複数の電源線が挿通される一つの貫通孔と、
前記貫通孔を挿通した前記複数の電源線の端部を夫々半田付けする余白部と、を有し、
前記貫通孔の縁部には、前記複数の電源線の夫々に対応して係合し、前記端部の夫々を前記余白部に案内する複数の係合縁部が設けられ、
前記余白部は、前記係合縁部に係合した前記電源線の端部の夫々と半田により接合されている、
端子接続構造。
【請求項2】
前記係合縁部は、前記複数の電源線の夫々の端部を互いが重ならない位置で前記余白部に案内するように前記貫通孔の縁部に設けられている、
請求項1記載の端子接続構造。
【請求項3】
前記余白部は、前記複数の係合縁部の夫々に対応して隣接配置されている、
請求項1記載の端子構造。
【請求項4】
前記余白部は、前記貫通孔を有する前記接続面部において70%の領域を有する、
請求項1記載の端子接続構造。
【請求項5】
前記貫通孔は、三角形であり、
前記係合縁部は、前記三角形の角部である、
請求項1記載の端子接続構造。
【請求項6】
前記貫通孔は、三角形であり、
前記係合縁部は、前記三角形の角部であり、
前記係合縁部の夫々に対応する電源線が係合して互いに重ないように前記余白部に半田接合されている、
請求項2記載の端子接続構造。
【請求項7】
前記貫通孔は、挿通する複数の前記電源線の本数に対応した数の角部を有する多角形状孔であり、
前記角部が前記係合縁部であり、前記角部の夫々に電源線が係合して半田接合されている、
請求項1記載の端子接続構造。
【請求項8】
互いに接続される複数の電池と、
前記電池の電極側から突出する接続面部を有する金属端子と、
前記接続面部に接続される複数の電源線とを有し、
前記接続面部は、
前記複数の電源線が挿通される一つの貫通孔と、
前記貫通孔を挿通した前記複数の電源線の端部を夫々半田付けする余白部と、を有し、
前記貫通孔の縁部には、前記複数の電源線の夫々に対応して係合し、前記端部の夫々を前記余白部に案内する複数の係合縁部が設けられ、
前記余白部は、前記係合縁部に係合した前記電源線の端部の夫々と半田により接合されている、
電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子接続構造および電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の電池を直列或いは並列に接続して構成される電池パックでは、電池の電極にリード板を接続し、このリード板に接続される電源線を介して電池同士が接続される構成が知られている。例えば、特許文献1に示すバッテリシステムでは、電池に接続されるリード板である端子に切欠を設け、この切欠に電源線の端部を通して係止させて保持し、電源線の先端部を端子の第一面の接続領域に接続している。
【0003】
また、電池パックから突出して設けられた板状のリード板に、電源線の端部において露出する芯を係合させるため、芯を嵌め込む切欠に替えて、芯を挿通する貫通穴を設け、この貫通穴に電源線を通過させて半田接続を行う構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、リード板に電源線を接続する場合、従来の構造では、リード板には、接続対象の電源線の太さに応じた形状の切欠や貫通孔が形成され、これら対応した切欠や貫通孔に電源線を係止、挿入して互いを接続している。よって、リード板によっては、電源線の太さが変更された場合、その太さに対応できず接続できないという問題があった。
【0006】
また、複数の電源線を接続する場合、電源線の数に応じた切欠や貫通孔を設ける必要があるので、その切欠や貫通孔の夫々に対応した電源線を夫々挿入して係合して接続する必要があり、その作業に手間が掛かっていた。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、端子に複数の電源線を、電源線の太さや本数に関わらず容易に確実に接続できる端子接続構造および電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る端子接続構造の一態様は、
接続される電池の電極側から突出する接続面部を有する金属端子と、前記接続面部に接続される複数の電源線との端子接続構造であって、
前記接続面部は、
前記複数の電源線が挿通される一つの貫通孔と、
前記貫通孔を挿通した前記複数の電源線の端部を夫々半田付けする余白部と、を有し、
前記貫通孔の縁部には、前記複数の電源線の夫々に対応して係合し、前記端部の夫々を前記余白部に案内する複数の係合縁部が設けられ、
前記余白部は、前記係合縁部に係合した前記電源線の端部の夫々と半田により接合されている構成を採る。
【0009】
本発明に係る電池パックの一態様は、
互いに接続される複数の電池と、
前記電池の電極側から突出する接続面部を有する金属端子と、
前記接続面部に接続される複数の電源線とを有し、
前記接続面部は、
前記複数の電源線が挿通される一つの貫通孔と、
前記貫通孔を挿通した前記複数の電源線の端部を夫々半田付けする余白部と、を有し、
前記貫通孔の縁部には、前記複数の電源線の夫々に対応して係合し、前記端部の夫々を前記余白部に案内する複数の係合縁部が設けられ、
前記余白部は、前記係合縁部に係合した前記電源線の端部の夫々と半田により接合されている構成を採る。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、端子に複数の電源線を、電源線の太さや本数に関わらず容易に確実に接続できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態に係る端子接続構造を備える電池パックの正面図である。
【
図2】端子接続構造を有する電池パックの斜視図である。
【
図3】電池パックの端子接続構造の拡大斜視図である。
【
図4】半田接続する前の電池パックの端子接続構造の拡大斜視図である。
【
図5】電池パックの有するリード板の斜視図である。
【
図7】
図6の矢印A方向から見たリード板の接続面部を示す部分拡大図である。
【
図8】貫通孔の角部を鋭角にしたリード板を有する端子接続構造の一例を示す部分拡大正面図である。
【
図10】従来のリード板と複数のリード線との接続状態を示す部分拡大図である。
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、電池パック10の正面図であり、
図2は、端子接続構造を有する電池パック10の斜視図である。
【0014】
電池パック10は、例えば、繰り返し放充電可能な複数の電池11を接続して構成される。
【0015】
図1及び
図2に示すように、電池パック10は、板状に配置される複数の電池11及び絶縁表裏板部121、122を有するパック本体101と、パック本体101と複数の電源線17とを接続するリード板15とを有する。パック本体101、リード板15及び電源線17は、半田部159(
図3参照)を含めて端子接続構造100を構成する。
【0016】
パック本体101では、複数の電池11が並べて形成された板状の電池体の表裏面は、夫々絶縁表板部121、絶縁裏板部122により覆われている。また、電池体の上下端面は、絶縁板124で仕切られている。長手方向(縦方向)で隣り合う電池11同士は、絶縁板124で仕切られ、横方向で隣り合う複数の電池11同士はバスバー130で接続されている。これにより、電池パック10がプラスとマイナスを有するように構成される。
【0017】
複数の電池11は、例えば、放充電可能な二次電池であり、ニッケル・カドミウム蓄電池、リチウムイオン電池等としてもよい。本実施の形態では、複数の電池11は、バスバー130を介して直列で接続され、電池パック10の電極となる部位からリード板15が突出して設けられている。
【0018】
リード板15は、導電性を有する材料により構成され、例えば、ニッケル板により構成される。リード板15は、電極に電気的に接続されており、電源線17、18に接続することで、複数の電池11、つまり、電池パック10からの電力を電源線17、18介して外部に出力できる。なお、電池パック10では、先端にコネクタ21が設けられ、電池11の温度を計測するためのサーミスタ線22が接続されている。
【0019】
図3は、電池パック10の端子接続構造100の拡大斜視図である。なお、
図3ではリード板15と電源線17との端子接続構造100を示すが、この構造100は、リード板15と電源線18との接続構造100-1と比較して、リード板15が接続される電池11の極性が異なるだけで、同じ構造である。よって、電源線18を含む接続構造の説明は省略する。
【0020】
図3に示すように電池パック10では、複数の電池11は、リード板15に電源線17、18を半田(
図3では半田部159で示す)で接続することにより、電源線17、18を介してコネクタ19に接続されている。
【0021】
リード板15は、電池11側、具体的には電極に接続される固定面部152と、貫通孔156(
図4参照)を有し電源線17、18に接続される接続面部154とを有する。リード板15は、例えば、板状であり、導電性を有し長手方向に延びる板金の中央部を折曲して形成されている。
【0022】
固定面部152は、接続面部154を突出させた状態で、電池11の所定の電極に接続され、絶縁板124で覆われている。接続面部154は、電池11側(固定面部152)から、電源線17の基端部側(図では下方)に向かって傾斜するように延在する。
【0023】
図4は、半田接続する前の電池パックの端子接続構造の拡大斜視図である。
接続面部154は、複数の電源線172、174、176を挿通する貫通孔156を有する。接続面部154は、貫通孔156に複数の電源線172、174、176を挿通し、貫通孔156から突出する端部に半田部159を介して半田接合される。
リード板15について詳細に説明する。
【0024】
図5は、電池パックの有するリード板の斜視図であり、
図6は、同リード板の側面図であり、
図7は、
図6の矢印A方向から見たリード板の接続面部を示す部分拡大図である。
【0025】
図5~
図7に示すように、固定面部152は、基端部側に、幅広に形成され、電極側との接続部である電極側接続部158を有する。電極側接続部158では、電極側と面接触することにより好適に導通する形状となっている。
【0026】
接続面部154は、電源線172、174、176の延在方向と交差する面状に配置されることが好ましく、電源線172、174、176の延在方向に突き当たるように配置され、貫通孔156に電源線172、174、176が挿通する。
【0027】
接続面部154は、固定面部152に対して傾斜面状に形成されており、貫通孔156に加えて、貫通孔156の周囲に余白部157を有する。なお、
図5の余白部157の領域は一例として示している。接続面部154は固定面部152とでリード板15として板金を折曲して構成する場合、固定面部152に対して角度aで折曲する。角度aは例えば120~150度の角度、好ましくは、130度~140度の間の角度、例えば、135度で構成される。
【0028】
貫通孔156は、複数の電源線172、174、176を一度に挿通可能な一つの穴である。貫通孔156は、挿通する電源線172、174、176の本数に対応して、それぞれの電源線172、174、176が係合する係合縁部1562、1564、1566を有する。
【0029】
係合縁部1562、1564、1566は、貫通孔156の貫通孔縁部(縁部)に設けられ、貫通孔156を挿通する電源線172、174、176に当接して折り返し可能な部位である。係合縁部1562、1564、1566は、複数の電源線172、174、176に対応して、貫通孔縁部に所定間隔を空けて設けられている
【0030】
係合縁部1562、1564、1566は、折り返された電源線172、174、176の端部を余白部157と半田で接続可能な位置に案内する。なお、電源線172、174、176は、例えば,リッツ線により構成される。
【0031】
係合縁部1562、1564、1566は、貫通孔156のエッジ部分を構成しており、本実施の形態では、係合縁部1562、1564、1566は、三角形状の貫通孔156における3つの角部(入り隅部)により構成されている。
【0032】
係合縁部1562、1564、1566は、例えば、
図4及び
図5に示すように、折り返された電源線172、174、176の端部を余白部157上に案内する。
【0033】
余白部157は、電源線172、174、176と半田を介して接合されるスペースであり、半田を配設可能なスペースであり、半田との接合面を構成する。
【0034】
余白部157は、貫通孔156に挿通する電源線172、174、176の端部と密着或いは近接して半田部159により接合されることで電気的に接続可能である。余白部157は、その面積に比例して半田との接合領域が大きくなる。
【0035】
これにより、余白部157は、半田を介してリード板15と電源線172、174、176に確実に導通した状態で接続させることができる。余白部157が半田との接合領域が大きくなるほど、つまり、接続面部154において広い面積を有すればする程、半田の濡れ性を確保できる。しかしながら、貫通孔156内の電源線172、174、176との接合面積が小さくなり、貫通孔156内の電源線172、174、176を挿通方向と交差する方向に引っ張った際の接続面部154の引張強度が小さくなる可能性がある。
【0036】
接続面部154の引張強度を確保するために余白部157は、貫通孔156が形成された部位(接続面部154)において、その表面積の略70%となるように構成されている。言い換えれば、貫通孔156は、接続面部154において余白部157の領域が70%となるように穿孔されている。電源線172、174、176が電気的に接続可能な余白部157の領域が、電源線172、174、176が電気的に接続可能な面積の70%であれば、半田付けにより外れることなく確実に安定して接合できる。
【0037】
余白部157は、貫通孔156の周囲に配置され、接続面部154において貫通孔156を除く部位である。
【0038】
接続面部154において、係合縁部1562、1564、1566から最も短い外縁である端面までの長さL1、L2、L3は、接続面部154が引っ張り強度を向上させる長さを有する。また、L1、L2、L3は同じ長さとしてもよい。これら係合縁部1562、1564、1566に隣接して一定の面積の余白部157を有する。例えば、電源線172、174、176の合計の直径に対応する大きさで貫通孔156は形成される。なお、長さL6は、接続面部154において固定面部152と貫通孔156との間の強度を確保する長さであり、一定の面積の余白部157を有する構成であれば無くてもよい。
【0039】
係合縁部1562、1564、1566は、接続面部154において、貫通孔156に挿通される電源線172、174、176の延在方向側に折曲可能に構成されている。係合縁部1562、1564、1566は、3本の電源線172、174、176に対応しているが、これに限らず貫通孔156は、貫通孔156に挿通される電源線の本数に応じた数の係合縁部としての角部を有する多角形状の貫通孔としてもよい。
【0040】
係合縁部1562、1564、1566は、夫々に対応する電源線172、174、176が係合した際に、電源線172、174、176が重ならない位置に配置されていることが好ましい。
【0041】
本実施の形態では、三角形の貫通孔156を挿通して貫通孔156の表面側から突出する電源線172、174、176の先端部は、
図5に示すように、互いが重ならないように係合縁部1562、1564、1566である角部の夫々に係合される。加えて、電源線172、174、176の先端部は、角部に隣接する余白部157に半田部159を介して導通した状態で接続される(
図4参照)。電源線172、174、176の先端部は、それぞれ余白部157に当接した状態で半田部159を介して接続されることが好ましい。
【0042】
本実施の形態では、接続面部154では、貫通孔156が空いたその余白部分のスペース(余白部157)に半田が盛られるため、スペース形状が半田部159の形状を決定する。余白部157は半田を介して電源線172、174、176と確実に電気的な接続が行われる。また、貫通孔156が多角形状孔である場合、その角部は貫通孔に挿通される電極線の本数に対応する。
【0043】
図8は、貫通孔の角部を鋭角にしたリード板を有する端子接続構造の一例を示す部分拡大正面図である。
【0044】
例えば、
図8に示すリード板150の接続面部254は貫通孔256を有し、貫通孔256は、リード板15における3角形の貫通孔156(
図7参照)のエッジ部分である角部を、鋭角な角部2562、2564、2566にした構成である。貫通孔256には、複数の電源線172、174、176が挿通され、電源線172、174、176の端部172a、174a、176aの夫々を係合させて、半田259(半田が盛られる大凡の領域を示す)により余白部に接合させている。
【0045】
この構成により、貫通孔256は、各角部2562、2564、2566を基準に、電源線172、174、176を分けて、電源線172、174、176が互いに重ならないように配線し、夫々を確実に接続面部254に電気的に接続できる。なお、角部は、アール形状である角部、或いは、頂点を有する角部(ここでは鋭角状の角部)等どのような形状でもよいが、頂点を有する構造であれば、電源線を径の大きさに関わらず掛止できる。
【0046】
図9は、従来のリード板の斜視図であり、
図10は、従来のリード板と複数のリード線との接続状態を示す部分拡大図である。
【0047】
図9に示すように、複数の電源線172、174、176を接続する従来のリード板15は、複数の電源線172、174、176がそれぞれ挿通可能な複数の貫通孔51を有する。
【0048】
貫通孔51は、複数の電源線172、174、176を夫々挿通可能な径(例えば複数の電源線172、174、176の外径と同様の内径)を有する。これら貫通孔51の夫々に複数の電源線172、174、176を挿通し、貫通孔51から突出する複数の電源線172、174、176の先端部を半田によりリード板15の面状接続部52の外面に、接続対象物を電気的に接合されている。
【0049】
この構造は、電池に接続され、複数の電源線172、174、176の数に応じて形成された貫通孔51毎に、電源線172、174、176を挿通する必要があり手間が掛かっていた。
【0050】
これに対して、本実施の形態の端子接続構造によれば、電池11に接続されたリード板15の接続面部154は、電池11側から突出して設けられている。接続面部154は、複数の電源線172、174、176が纏めて挿通される貫通孔156と、貫通孔156から導出する電源線172、174、176の先端部が半田付けを介して接合される余白部157とを有する。貫通孔156が一つの孔であり、一つの貫通孔156に纏めて複数の電源線172、174、176を挿通しているので、複数の電源線による貫通不具合が解消され、それぞれ確実に余白部157で半田付け接合可能となる。
【0051】
貫通孔156は、係合縁部1562、1564、1566を介して電源線172、174、176のそれぞれが係合し、電源線172、174、176の先端部の夫々を余白部157上に、互いが重ならないように案内する。これにより、電源線172、174、176は半田接合されることにより、夫々リード板15から抜けにくい状態でリード板15に接合される。
【0052】
余白部157のそれぞれに電源線172、174、176が夫々半田部159を介して電気的に接続できる。
【0053】
このように複数の電源線との接続作業を容易に、確実に行うことができる。
【0054】
また、複数の電源線172、174、176の径(太さ)が異なる電源線の組に変更する場合、各電源線の太さに対応した複数の貫通孔を設ける必要がない。すなわち、本実施の形態では、貫通孔の大きさを、複数の電源線を纏めて挿通できる大きさであるので、その径よりも小さい複数の電線線の組を用いる場合でもリード板15を変更することなく、対応できる。
【0055】
また、複数の電源線172、174、176の径、つまり太さに差がある場合でも、複数の電源線172、174、176を貫通孔156に挿通させて、係合縁部1562、1564、1566のそれぞれに係合させることができる。加えて、複数の電源線172、174、176の夫々を余白部157に案内して、半田の濡れ性を確保して、半田を介して接続面部154に電気的に接続させた状態で双方を確実に接合できる。
【0056】
本実施の形態の端子接続構造100は、接続される電池11の電極側から突出する接続面部154を有するリード板(金属端子)15と、接続面部154に接続される複数の電源線172、174、176とを接続する。接続面部154は、複数の電源線172、174、176が挿通される一つの貫通孔156と、貫通孔156を挿通した複数の電源線172、174、176の端部を夫々半田付けする余白部157とを有する。貫通孔156の縁部には、複数の電源線172、174、176の夫々に対応して係合し、電源線172、174、176の端部の夫々を余白部157に案内する複数の係合縁部1562、1564、1566が設けられている。余白部157は、係合縁部1562、1564、1566に係合した電源線172、174、176の端部の夫々と半田159により接合されている。
【0057】
このように本実施の形態の端子接続構造100によれば、貫通孔156を電源線172、174、176の径に対応して複数の電源線172、174、176を纏めて挿通して余白部157に接合できる構成である。よれにより、複数の電源線の本数が増減する場合、複数の電源線の夫々の径が異なる場合があっても、これらを貫通孔154に容易に挿通させて、確保した余白部157で半田を介して好適に接合できる。
よって、金属端子であるリード板15に複数の電源線172、174、176を、電源線172、174、176の太さや本数に関わらず容易に確実に接続すること。
【0058】
<変形例1>
図11は、リード板の変形例1を示す斜視図である。
【0059】
図11に示すリード板15Aは、電極に接続される面状の固定面部152Aから折曲した状態で突出して設けられた接続面部154Aに、複数の電源線が挿通される貫通孔156Aと、その周囲の余白部157Aとを有する。なお、リード板15Aは、リード板15の電極側接続部158と同様の機能を有する電極側接続部158Aを有し、リード板15Aは、電極側接続部158Aで電極側に接触(例えば面接触)させて導通した状態で固定されている。
【0060】
貫通孔156Aは、電源線172、174、176が係合する係合縁部1562A、1564A、1566Aを、その貫通口縁部に有する大径の貫通孔である。係合縁部1562A、1564A、1566Aは、複数の電源線172、174、176に対応して、貫通孔縁部に所定間隔を空けて設けられている。これら係合縁部1562A、1564A、1566Aに隣接して余白部157Aが設けられている。
【0061】
貫通孔156Aは、複数の電源線172、174、176を挿通する中央部1568Aを有し、中央部1568Aは、係合縁部1562A、1564A、1566Aの中央に、係合縁部1562A、1564A、1566Aの夫々と連続して設けられている。
【0062】
余白部157Aは、接続面部154Aの表面全面に対して70%である。余白部157Aは、係合縁部1562A、1564A、1566Aと電源線172、174、176との係合により案内された電源線172、174、176の先端部(貫通孔156Aから表面側に突出する部位)に電気的に接合される。
【0063】
係合縁部1562A、1564A、1566Aは、係合する電源線172、174、176の先端部の互いが重ならないように、夫々の先端部を余白部157A上に案内する。
【0064】
余白部157Aは、電源線172、174、176の先端部が当接し、半田により電気的に接続した状態で接合される。
【0065】
変形例1を用いた端子接続構造は、本実施の形態のリード板15を用いた端子接続構造と同様の効果を得ることができる。
【0066】
なお、係合縁部1562A、1564A、1566Aは、夫々電源線の外周に対応した内周の3/4の長さの内周縁を有した形状を有する。これにより、電源線172、174、176を抜けにくい状態で係合させることができる。これにより、係合縁部1562A、1564A、1566Aは、電源線172、174、176において、係合縁部1562A、1564A、1566Aと係合する部位から突出する部位(先端部)を確実に余白部157Aに案内できる。
【0067】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係る端子接続構造は、端子に複数の電源線を、電源線の太さや本数に関わらず容易に確実に接続できる効果を有し、電池パック、電池パックを複数有する蓄電ユニット等に用いるものとして有用である。
【符号の説明】
【0069】
1 蓄電ユニット
3 フレーム
5 基板
10 電池パック
11 電池
15、15A リード板
17、18 電源線(リード線)
19、22 コネクタ
21 サーミスタ
51 貫通孔
52 面状接続部
101 パック本体
121 絶縁表板部
122 絶縁裏板部
124 絶縁板
130 バスバー
152、152A 固定面部
154、154A 接続面部
156、156A 貫通孔
157、157A 余白部
158、158A 電極側接続部
159 半田部
172、174、176 電源線
1562、1562A、1564、1564A、1566、1566A 係合縁部
1568A 中央部