(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062152
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】壁掛け支持具及び壁掛け物干し装置
(51)【国際特許分類】
D06F 57/12 20060101AFI20240430BHJP
A47G 25/02 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
D06F57/12 J
D06F57/12 N
D06F57/12 Z
A47G25/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169978
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】服部 真二
【テーマコード(参考)】
3K099
【Fターム(参考)】
3K099AA07
3K099AA30
3K099BA19
3K099CA08
3K099CB13
3K099EA02
3K099EA03
3K099EA06
(57)【要約】
【課題】物品を係止する位置を使用者が自由に選ぶことができる壁掛け支持具及び壁掛け物干し装置を提供すること。
【解決手段】基端から先端に亘って長尺に形成され、基端が壁面に当接した状態で、壁面に配置される吊具から吊り下げ支持される支持具本体と、支持具本体に取り付けられ、支持具本体の長さ方向にスライド移動可能且つ物品を係止可能な少なくとも1つの係止部材と、を備える、壁掛け支持具である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端から先端に亘って長尺に形成され、前記基端が壁面に当接した状態で、前記壁面に配置される吊具から吊り下げ支持される支持具本体と、
前記支持具本体に取り付けられ、前記支持具本体の長さ方向にスライド移動可能且つ物品を係止可能な少なくとも1つの係止部材と、を備える、壁掛け支持具。
【請求項2】
前記係止部材は、前記支持具本体に着脱可能に取り付けられる、請求項1に記載の壁掛け支持具。
【請求項3】
前記係止部材は、前記支持具本体に少なくとも一対取り付けられ、一対の前記係止部材の間に前記物品を嵌合して係止する、請求項1又は2に記載の壁掛け支持具。
【請求項4】
前記係止部材は、前記支持具本体の上面側及び下面側の少なくとも一方に突出するように取り付けられる、請求項1又は2に記載の壁掛け支持具。
【請求項5】
前記支持具本体は、前記壁面に対する傾斜角度を変更可能に前記吊具から吊り下げ支持される、請求項1又は2に記載の壁掛け支持具。
【請求項6】
前記支持具本体の長さ方向の少なくとも一部には、前記支持具本体の長さ方向に沿って延びる複数の棒状体が所定の間隔をおいて平行に配置されており、
前記係止部材は、前記複数の棒状体のうちの少なくとも2つの棒状体に嵌合して取り付けられる、請求項1又は2に記載の壁掛け支持具。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の壁掛け支持具を少なくとも一対有し、
前記少なくとも一対の前記壁掛け支持具の前記係止部材に亘って物干し竿が懸架される、壁掛け物干し装置。
【請求項8】
前記係止部材は、前記支持具本体の上面側に突出するように前記支持具本体に少なくとも一対取り付けられ、一対の前記係止部材の間に前記物干し竿を嵌合して係止する、請求項7に記載の壁掛け物干し装置。
【請求項9】
一対の前記係止部材は、前記物干し竿を上方から覆うように傾斜する係止爪部をそれぞれ有し、
前記係止爪部と前記物干し竿との接点は、前記物干し竿の中心軸よりも上方に配置される、請求項8に記載の壁掛け物干し装置。
【請求項10】
前記係止部材は、前記支持具本体の下面側に突出して前記支持具本体の下面側で前記物干し竿を係止する、請求項7に記載の壁掛け物干し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、壁掛け支持具及び壁掛け物干し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内の壁面に配設されたフックに係止されて斜め下方に延在する傾斜部と、傾斜部の下端部から壁面に向かって延在する吊下部と、を一体に備えるハンガー支持具が知られている(例えば、特許文献1参照)。傾斜部及び吊下部の所定の位置には、係止突起が位置固定で設けられている。このハンガー支持具は、同一壁面に2つ並設し、各ハンガー支持具の係止突起に亘って物干し竿を掛け渡すことによって、物干し具としても使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のハンガー支持具では、物干し竿等の物品の係止位置が係止突起の位置に限定される。そのため、物品を係止する位置を使用者が自由に選ぶことができる壁掛け支持具及び壁掛け物干し装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、基端から先端に亘って長尺に形成され、前記基端が壁面に当接した状態で、前記壁面に配置される吊具から吊り下げ支持される支持具本体と、前記支持具本体に取り付けられ、前記支持具本体の長さ方向にスライド移動可能且つ物品を係止可能な少なくとも1つの係止部材と、を備える、壁掛け支持具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図4】壁掛け物干し装置に使用される係止部材の一実施形態を示す側面図である。
【
図6】壁掛け物干し装置の使用例を示す側面図である。
【
図7】壁掛け物干し装置の使用例を示す側面図である。
【
図8】一対の係止部材が物干し竿を係止する状態を示す側面図である。
【
図9】一対の係止部材と物干し竿との関係を示する図である。
【
図10】傾斜角度を変更した壁掛け物干し装置の使用例を示す側面図である。
【
図11】傾斜角度を変更した壁掛け物干し装置の使用例を示す側面図である。
【
図12】壁面に収納した壁掛け物干し装置を示す側面図である。
【
図13】物干し竿を支持具本体の下面側に突出するように配置した壁掛け物干し装置を示す側面図である。
【
図14】
図13に示す壁掛け物干し装置に使用される係止部材の一実施形態を示す側面図である。
【
図15】
図13に使用される壁掛け物干し装置に使用される係止部材の一実施形態を示す正面図である。
【
図16】物干し竿を下面側に突出するように配置した壁掛け物干し装置の使用例を示す斜視図である。
【
図17】壁掛け支持具の使用例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1~
図3は、一実施形態に係る壁掛け物干し装置1を示す。壁掛け物干し装置1は、それぞれ室内の壁面Wに吊り下げて支持される一対の壁掛け支持具2によって構成される。一対の壁掛け支持具2,2は同一構成である。壁掛け物干し装置1の使用状態において、一対の壁掛け支持具2,2に亘って物干し竿3が懸架される。
【0008】
壁掛け支持具2は、支持具本体21と、支持具本体21を壁面Wに吊り下げ支持するための第1の吊り部材22A及び第2の吊り部材22Bと、支持具本体21に取り付けられる複数の係止部材4と、を含んで構成される。
【0009】
第1の吊り部材22A及び第2の吊り部材22Bは、金属ワイヤ等の索条体、金属チェーン、紐等によって形成される。本実施形態の第1の吊り部材22A及び第2の吊り部材22Bは、それぞれの一方端部が環状に形成された金属ワイヤからなる。第1の吊り部材22A及び第2の吊り部材22Bのそれぞれの環状の端部は、壁面Wに設けられた共通の吊具10に引っ掛けられている。これによって、第1の吊り部材22A及び第2の吊り部材22Bは、共通の吊具10から吊り下げられている。吊具10は、壁面Wに固定されて水平方向に延在するピクチャーレール100にスライド移動可能に取り付けられている。吊具10は、ピクチャーレール100に複数設けられる。
【0010】
支持具本体21は、棒状体211と、第1の吊り部材22A及び第2の吊り部材22Bをそれぞれ固定するための第1の固定具212A及び第2の固定具212Bと、によって構成される。
【0011】
棒状体211は、ステンレス鋼等の金属材からなる。棒状体211は、
図2に示すように、壁面Wに当接する基端211bから先端211aに亘って長尺に延在している。本実施形態の支持具本体21は、一対の棒状体211,211を有する。一対の棒状体211,211の基端211b,211bはそれぞれL型に屈曲している。一対の棒状体211,211は、L型の基端211b,211bを互いに反対方向に水平に向けた状態で、所定の間隔をおいて平行に配置されている。本実施形態の棒状体211は、円形断面を有する丸棒を使用しているが、四角形等の角形断面を有する角棒を使用してもよい。
【0012】
第1の固定具212Aは支持具本体21の先端211aの近傍に配置され、第2の固定具212Bは支持具本体21の基端211bの近傍に配置される。一対の棒状体211,211は、第1の固定具212A及び第2の固定具212Bをそれぞれ貫通することによって平行に保持された状態で、第1の固定具212A及び第2の固定具212Bに固定されている。
【0013】
第1の固定具212A及び第2の固定具212Bは、それぞれ図示しないワイヤ固定機構を内蔵し、第1の吊り部材22A及び第2の吊り部材22Bを貫挿して固定する。詳しくは、第1の固定具212Aは、保持した一対の棒状体211,211の間に、吊具10から吊り下げられた第1の吊り部材22Aを貫挿させるとともに、第1の吊り部材22Aの長さ方向の任意の位置で、第1の吊り部材22Aを固定する。第2の固定具212Bは、保持した一対の棒状体211,211の間に、吊具10から吊り下げられた第2の吊り部材22Bを貫挿させるとともに、第2の吊り部材22Bの長さ方向の任意の位置で、第2の吊り部材22Bを固定する。すなわち、第1の固定具212A及び第2の固定具212Bは、第1の吊り部材22A及び第2の吊り部材22Bの吊具10との間の長さを、それぞれ独立して任意に調節可能である。
【0014】
図1~
図3に示す壁掛け支持具2は、吊具10から第1の固定具212Aまでの第1の吊り部材22Aの長さが、吊具10から第2の固定具212Bまでの第2の吊り部材22Bの長さよりも長くなるように、第1の吊り部材22A及び第2の吊り部材22Bの長さを調節している。これによって、一対の壁掛け支持具2,2は、それぞれの支持具本体21を壁面Wから室内に向けて略垂直に突出するように配置させている。
【0015】
第1の吊り部材22A及び第2の吊り部材22Bを固定する第1の固定具212A及び第2の固定具212Bのワイヤ固定機構は、第1の固定具212A及び第2の固定具212Bを貫挿するワイヤを挟着して固定するもの、第1の固定具212A及び第2の固定具212Bを貫挿するワイヤを楔によって固定するもの等の適宜公知の固定機構を採用することができる。第1の固定具212A及び第2の固定具212Bは、第1の吊り部材22A及び第2の吊り部材22Bの種類に応じた様々な固定機構を備えることができる。
【0016】
係止部材4は、樹脂材によって形成され、支持具本体21の上面側に突出するように、支持具本体21の一対の棒状体211,211に亘って取り付けられている。これによって、係止部材4が棒状体211の周りに回転することが抑制される。係止部材4は、
図4及び
図5に示すように、一対の棒状体211,211を保持する係止部材本体41と、係止部材本体41から突出する1つの係止爪部42と、を有する。
【0017】
係止部材本体41は、一対の棒状体211,211を嵌合して保持する一対の嵌合溝411,411を有する。一対の嵌合溝411,411は同一構造である。嵌合溝411は、
図5に示すように、係止部材本体41における係止爪部42と反対側及び支持具本体21の長さ方向にそれぞれ開放している。嵌合溝411は、係止部材本体41に一体に設けられる一対の挟着片412,412の間に形成される。一対の挟着片412,412は、棒状体211を挟持するように設けられる。
【0018】
嵌合溝411は、棒状体211の断面形状に相似する形状を有する棒状体収容溝部411aと、棒状体収容溝部411aよりもやや幅狭に形成される一対の棒状体保持凸部411b,411bと、を有する。本実施形態の棒状体収容溝部411aは、嵌合溝411の溝底部を構成し、円形断面を有する棒状体211に対応する円筒形に形成される。棒状体収容溝部411aの内径は、棒状体211の外径に略等しい。
【0019】
一対の棒状体保持凸部411b,411bは、一対の挟着片412,412の対向する内面に形成され、互いに近接する方向に突出することによって、棒状体収容溝部411aの導入口側を部分的に幅狭状に形成する。すなわち、一対の棒状体保持凸部411b,411bの間隔は、棒状体211の直径よりもやや小さい。嵌合溝411は、棒状体211を棒状体収容溝部411aに導入し易くするため、一対の棒状体保持凸部411b,411bから係止爪部42と反対側に向かうに従って次第に幅広状に形成されている。
【0020】
係止爪部42は、係止部材本体41における嵌合溝411と反対側の面41aから離れるに従って滑らかに湾曲しながら傾斜するように、面41aから突出している。これによって、係止爪部42は、物品を係止可能なフック形状に形成される。
図1~
図5に示す係止部材4における係止爪部42は、係止部材本体41と同幅に形成されるが、係止する部材に応じて、係止部材本体41よりも小幅に形成されてもよいし、係止部材本体41よりも広幅に形成されてもよい。
【0021】
係止爪部42は、
図4に示すように、係止部材本体41の面41aにおける支持具本体21の長さ方向に沿う一方の端部に片寄った位置に、係止部材本体41と一体に設けられる。係止爪部42は、先端に向かうに従って係止部材本体41の一方の端部から遠ざかるように傾斜している。係止爪部42の傾斜方向の内面42aは、棒状体211の延び方向に沿う係止部材本体41の一方の端面41bから連続して形成されている。
【0022】
本実施形態の一対の壁掛け支持具2,2には、それぞれ4つずつの係止部材4が取り付けられている。各係止部材4は、棒状体211を、嵌合溝411の一対の棒状体保持凸部411b,411bの間を圧入させて棒状体収容溝部411aに収容している。これによって、各係止部材4は、支持具本体21の第1の固定具212Aと第2の固定具212Bとの間に、一対の棒状体211,211に沿ってスライド移動可能且つ着脱可能に取り付けられる。
【0023】
1つの壁掛け支持具2に取り付けられる4つの係止部材4は、2つずつの組に分けられている。各組の2つの係止部材4,4は、それぞれの係止爪部42,42の内面42a,42aが互いに向かい合うように支持具本体21に取り付けられる。向かい合う2つの係止爪部42,42は、互いに近づくように傾斜して配置され、一対の壁掛け支持具2,2の上面側に亘って懸架される物干し竿3の端部を挟んでいる。一対の係止爪部42,42は、物干し竿3を上方から覆うように傾斜して配置される。これによって、物干し竿3の両端部は、壁掛け支持具2,2において、それぞれ一対の係止部材4,4の係止爪部42,42の間に嵌合して係止される。
【0024】
このように構成される壁掛け物干し装置1は、
図6に例示されるように、物干し竿3にハンガーH1を掛け、このハンガーH1にシャツ等の洗濯物(図示せず)を干したり、物干し竿3にタオル等の洗濯物H2を直接干したりすることによって使用される。物干し竿3には、図示しないが、例えばプランター等を吊り下げることもできる。係止部材4は、棒状体211の延び方向に沿う奥行方向にスライド移動可能であるため、
図7に示すように、物干し竿3を係止する奥行方向の位置を使用者が自由に選ぶことができる。係止部材4は、嵌合溝411と棒状体211との間の摩擦によって、スライド移動させた任意の位置に保持される。そのため、壁掛け物干し装置1は使い勝手に優れる。
【0025】
物干し竿3を係止する一対の係止部材4,4と物干し竿3との関係について
図8を参照して説明する。一対の係止部材4,4が物干し竿3を挟んだ状態で、各係止爪部42,42の内面42a,42aと物干し竿3との接点P,Pは、物干し竿3の中心軸Oよりも上方、すなわち、支持具本体21から遠い位置に配置される。そのため、一対の係止爪部42,42の間で物干し竿3が上方に抜け出る方向に移動しようとした際、係止部材4,4は、係止爪部42,42の先端が互いに離れる方向に回転する。このとき、係止部材4の嵌合溝411は、棒状体211を、棒状体収容溝部411aと一対の棒状体保持凸部411b,411bとの間で、棒状体211の延び方向に沿って挟み付ける。これによって、係止部材4,4は棒状体211に対して移動し難くなるため、物干し竿3から離れる方向にスライド移動することはない。係止爪部42,42の先端が互いに離れる方向に係止部材4,4が最大限回転した状態で、係止爪部42,42の先端間の距離Lは、物干し竿3の直径以下となるように係止爪部42の傾斜角度が設定されている。したがって、物干し竿3が一対の係止部材4,4の間から抜け出てしまうおそれはない。
【0026】
このように、一対の係止部材4,4の係止爪部42,42によって物干し竿3を挟むように係止する場合の物干し竿3が上方に抜け出ないようにする条件を、
図9を参照して説明する。係止爪部42の曲率半径をR、物干し竿3の直径をB、係止爪部42の曲げの基端から物干し竿3の中心軸までの高さ方向の距離をAとしたとき、R>B/2+Aの関係を満たすことが望ましい。Rが小さい程、係止される物干し竿3は上方に抜け出しにくくなる。
【0027】
壁掛け物干し装置1は、第1の固定具212A及び第2の固定具212Bによって第1の吊り部材22A及び第2の吊り部材22Bを固定する位置を任意に調整することによって、支持具本体21の壁面Wに対する傾斜角度を任意に調節することができる。例えば、使用者は、
図2に示す壁掛け物干し装置1に対して、第1の吊り部材22Aの長さを長く、もしくは第2の吊り部材22Bの長さを短くするように、第1の固定具212A及び第2の固定具212Bによる固定位置を調節することによって、
図10に示すように、支持具本体21が壁面Wに対して任意の角度で下向きに傾斜するように壁掛け物干し装置1を設置して使用することができる。
【0028】
さらに、使用者は、
図2に示す壁掛け物干し装置1に対して、第1の吊り部材22Aの長さを短く、もしくは第2の吊り部材22Bの長さを長くするように、第1の固定具212A及び第2の固定具212Bによる固定位置を調節することによって、
図11に示すように、支持具本体21が壁面Wに対して任意の角度で上向きに傾斜するように壁掛け物干し装置1を設置して使用することができる。
【0029】
このように、支持具本体21が壁面Wに対して傾斜するように壁掛け物干し装置1を設置することによって、壁面Wからの壁掛け物干し装置1の突出量を抑制した状態で洗濯物等を掛け干すことができる。支持具本体21が壁面Wに対して傾斜するように壁掛け物干し装置1を設置しても、係止部材4は、支持具本体21の長さ方向にスライド移動することなく、物干し竿3を挟持した状態を保持することができる。支持具本体21が壁面Wに対して傾斜するように配置される場合、物干し竿3を挟む一対の係止部材4,4のうち、傾斜方向の上方に配置される係止部材4は必ずしもなくてもよい。
【0030】
壁掛け物干し装置1は、不使用時には、第1の吊り部材22Aの長さを長く、もしくは第2の吊り部材22Bの長さを短くすることによって、
図12に示すように、棒状体211の先端211aに対して基端211bが上方に配置されるように壁面Wに沿って収納することができる。壁掛け物干し装置1は、図示しないが、第1の吊り部材22Aの長さを短く、もしくは第2の吊り部材22Bの長さを長くすることによって、棒状体211の先端211aに対して基端211bが下方に配置されるように壁面Wに沿って収納してもよい。必要に応じて、収納状態の壁掛け物干し装置1の物干し竿3に洗濯物、その他の物品を掛けてもよい。
【0031】
壁掛け物干し装置1には、
図13に示すように、支持具本体21の下面側に物干し竿3が懸架されるように設けられてもよい。この場合の壁掛け物干し装置1には、各壁掛け支持具2の支持具本体21に、物干し竿3の端部を支持具本体21の下面側に突出して係止可能な係止部材4Aが使用される。
【0032】
係止部材4Aについて
図14及び
図15を参照して説明する。
図4及び
図5に示す係止部材4と同一符号の部位は同一構成の部位を示すため、それらの詳細な説明については
図4及び
図5に示す係止部材4の説明を援用し、以下の説明では省略する。
【0033】
係止部材4Aは、各嵌合溝411,411を上方に向けて開放するように配置させた一対の係止部材本体41,41を有し、一対の係止部材本体41,41を支持具本体21の棒状体211に対して下面側から取り付けている。すなわち、一対の係止部材本体41,41は、
図4及び
図5に示す係止部材4の係止部材本体41を上下逆に配置させた構成を有する。係止部材4Aの一対の係止部材本体41,41は、U字状の竿掛け部43によって一体に連結されている。竿掛け部43は、一対の係止部材本体41,41における嵌合溝411,411と反対側の面41a,41aに亘って設けられている。物干し竿3は、竿掛け部43に挿入されて係止部材4Aに係止される。
【0034】
物干し竿3を支持具本体21の下面側に配置させた壁掛け物干し装置1は、支持具本体21の上面側に突出するものがないため、
図16に示すように、一対の壁掛け支持具2,2の支持具本体21,21に亘って、例えば、網状体5を掛け渡して使用することができる。網状体5の上面を物置きとして利用することができるため、網状体5の上面に、例えばセーター等の洗濯物H3を平置きして干すことも可能である。網状体5の上面には、図示しないが、プランター、本、写真立て、置き時計、その他の物品を載置することもできる。係止部材4Aの竿掛け部43には、図示しないが、ハンガー等の物品を引っ掛けて吊り下げてもよい。係止部材4Aは、必要に応じて、竿掛け部43が支持具本体21の上面側に突出するように支持具本体21に取り付けられてもよい。
【0035】
物干し竿3を支持具本体21の下面側に配置させた壁掛け物干し装置1も、
図10及び
図11に示すように、壁面Wに対して傾斜するように配置させて使用することができ、
図12に示すように、壁面Wに沿うように収納することができる。
【0036】
網状体5は、図示しないが、例えば、物干し竿3を支持具本体21の上面側に配置させた
図1~
図3に示す壁掛け物干し装置1において、2本の物干し竿3,3の間の支持具本体21,21間等に掛け渡して使用してもよい。
【0037】
壁掛け物干し装置1を構成する壁掛け支持具2は、一対に限定されず、物干し竿3の長さ等に応じて3つ以上並設されてもよい。係止部材4、4Aは、支持具本体21に着脱可能であるため、必要に応じて取り付け数を容易に増減可能である。そのため、壁掛け物干し装置1に懸架される物干し竿3は2本に限定されず、必要に応じて、1本あるいは3本以上であってもよい。壁掛け物干し装置1は、係止部材4と係止部材4Aとの両方を備えてもよい。
【0038】
壁掛け物干し装置1を構成する壁掛け支持具2は、
図17に示すように、単独で壁面Wから吊り下げて使用することができる。この場合、壁掛け支持具2に取り付けられる係止部材4は、それぞれ物品を係止するために利用される。
図17は、1つの係止部材4にS字フック61を引っ掛け、このS字フック61にプランター6を引っ掛けて吊り下げている。係止部材4には、目的に応じて、絵画、ポスター、その他のデコレーション用途の物品を吊り下げてもよい。係止部材4には、ハンガーに掛けた洗濯物等をそれぞれ引っ掛けてもよい。壁掛け支持具2を単独で使用する場合、支持具本体21には少なくとも1つの係止部材4もしくは係止部材4Aが、スライド移動可能且つ着脱可能に取り付けられていればよい。
【0039】
本実施形態に示す壁掛け支持具2の支持具本体21は、互いに分離した一対の棒状体211,211を有するが、支持具本体21には、支持具本体21の長さ方向の一部分に、所定の間隔をおいて平行に配置される一対の棒状体211,211部分が形成されていればよい。したがって、支持具本体21に設けられる棒状体は、例えば、先端211aにおいて1本の棒状体をなし、基端211bに向かう途中で2本に枝分かれして平行に配置される一対の棒状体211,211部分を形成するものであってもよい。
【0040】
支持具本体21に設けられる棒状体は3本以上であってもよい。棒状体211が3本以上である場合、係止部材4,4Aは、全ての棒状体211に亘って嵌合して取り付けられてもよいし、3本以上の棒状体211のうちの少なくとも2本の棒状体211に亘って嵌合して取り付けられてもよい。角棒からなる棒状体を使用する場合等のように、係止部材4、4Aが棒状体の周りに回転することがない場合には、支持具本体21に設けられる棒状体は、1本だけであってもよい。
【0041】
本実施形態によれば以下の効果を奏する。
【0042】
(1) 基端211bから先端211aに亘って長尺に形成され、基端211bが壁面Wに当接した状態で、壁面Wに配置される吊具10から吊り下げ支持される支持具本体21と、支持具本体21に取り付けられ、支持具本体21の長さ方向にスライド移動可能且つ物品を係止可能な少なくとも1つの係止部材4,4Aと、を備える、壁掛け支持具2である。
【0043】
上記(1)によれば、係止部材4,4Aを支持具本体21の長さ方向の任意の位置にスライド移動させることができるため、物品を係止する位置を使用者が自由に選ぶことができる。
【0044】
(2) 上記(1)に記載の壁掛け支持具2において、係止部材4,4Aは、支持具本体21に着脱可能に取り付けられる。
【0045】
上記(2)によれば、使用者は、係止する物品の数等に応じて、支持具本体21に取り付けられる係止部材4,4Aの数を自由に選択可能である。
【0046】
(3) 上記(1)又は(2)に記載の壁掛け支持具2において、係止部材4は、支持具本体21に少なくとも一対取り付けられ、一対の係止部材4,4の間に物品を嵌合して係止する。
【0047】
上記(3)によれば、一対の係止部材4,4に物品を嵌合させて係止可能であるため、壁掛け支持具2を様々な形態で使用することができる。
【0048】
(4) 上記(1)又は(2)に記載の壁掛け支持具2において、係止部材4,4Aは、支持具本体21の上面側及び下面側の少なくとも一方に突出するように取り付けられる。
【0049】
上記(4)によれば、支持具本体21の上面側及び下面側の少なくとも一方において、係止部材4,4Aによって物品を係止することができる。係止部材4,4Aが支持具本体21の下面側に突出する場合は、支持具本体21の上面側を物品の載置場所として有効利用することができる。
【0050】
(5) 上記(1)~(4)のいずれかに記載の壁掛け支持具2において、支持具本体21は、壁面Wに対する傾斜角度を変更可能に吊具10から吊り下げ支持される。
【0051】
上記(5)によれば、壁掛け支持具2の壁面Wからの突出量を抑制した状態で、係止部材4,4Aによって物品を係止することができる。壁掛け支持具2は、壁面Wに沿うように配置させることも可能であり、不使用時に邪魔になることがない。
【0052】
(6) 上記(1)~(5)のいずれかに記載の壁掛け支持具2において、支持具本体21の長さ方向の少なくとも一部には、支持具本体21の長さ方向に沿って延びる複数の棒状体211が所定の間隔をおいて平行に配置されており、係止部材4,4Aは、複数の棒状体211のうちの少なくとも2つの棒状体211,211に嵌合して取り付けられる。
【0053】
上記(6)によれば、係止部材4,4Aが棒状体211の周りに回転することを抑制できるため、壁掛け支持具2は使い勝手に優れる。
【0054】
(7) 上記(1)~(6)のいずれかに記載の壁掛け支持具2を少なくとも一対有し、少なくとも一対の壁掛け支持具2,2の係止部材4,4Aに亘って物干し竿3が懸架される、壁掛け物干し装置1である。
【0055】
上記(7)によれば、係止部材4,4Aを支持具本体21の長さ方向の任意の位置にスライド移動させることができるため、物干し竿3の奥行方向の位置を使用者が自由に選ぶことができる。
【0056】
(8) 上記(7)に記載の壁掛け物干し装置1において、係止部材4は、支持具本体21の上面側に突出するように支持具本体21に少なくとも一対取り付けられ、一対の係止部材4,4の間に物干し竿3を嵌合して係止する。
【0057】
上記(8)によれば、一対の係止部材4,4を利用することによって、物干し竿3を支持具本体21の奥行方向の任意の位置に支持することができる。
【0058】
(9) 上記(8)に記載の壁掛け物干し装置1において、一対の係止部材4,4は、物干し竿3を上方から覆うように傾斜する係止爪部42.42をそれぞれ有し、係止爪部42,42と物干し竿3との接点は、物干し竿3の中心軸Oよりも上方に配置される。
【0059】
上記(9)によれば、物干し竿3が上方に移動しても、一対の係止部材4,4の係止爪部42,42の間から抜け出るおそれがない。
【0060】
(10) 上記(7)に記載の壁掛け物干し装置1において、係止部材4Aは、支持具本体21の下面側に突出して支持具本体21の下面側で物干し竿3を係止する。
【0061】
上記(10)によれば、係止部材4Aが支持具本体21の下面側で物干し竿3を係止するため、支持具本体21の上面側を物品の載置場所として有効利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 壁掛け物干し装置、 2 壁掛け支持具、 21 支持具本体、 211a 先端、 211b 基端、 3 物干し竿、 4,4A 係止部材、 42 係止爪部、 10 吊具、 O 中心軸、 P 接点、 W 壁面