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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062166
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】アーム装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/00 20060101AFI20240430BHJP
   B23P 19/00 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
B25J15/00 B
B23P19/00 304C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169998
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】FCLコンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】矢田 雄二
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS06
3C707DS01
3C707ES02
3C707ET02
3C707EU02
3C707EU08
3C707EU14
3C707EW09
3C707HS27
3C707KS01
3C707KS29
3C707KS36
3C707KV11
3C707KX07
3C707MT03
(57)【要約】
【課題】簡素な構成で、ワークを保持することができ、且つ、アームに作用する負荷の増大を抑制することが可能なアーム装置を提供すること。
【解決手段】アーム装置100は、回転するアームギア13と、回転と一体として揺動可能なアーム11と、アームギア13に噛み合い、軸回りに回転可能な駆動ギア21と、駆動ギア21を回転可能に支持する支持部23と、支持部23及びアーム11を保持するベース30と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転するアームギアと、
回転する前記アームギアと一体的に揺動可能なアームと、
前記アームギアに噛み合い、軸回りに回転可能な駆動ギアと、
前記駆動ギアを回転可能に支持する支持部と、
前記支持部及び前記アームを保持するベースと、を備えるアーム装置。
【請求項2】
前記駆動ギアは、前記駆動ギアの回転に伴って回転し前記アームギアに噛み合う中間ギアを含む、請求項1に記載のアーム装置。
【請求項3】
前記駆動ギアと前記アームギアとを接近させるように、前記支持部を付勢する付勢部をさらに備える請求項1又は請求項2に記載のアーム装置。
【請求項4】
前記アームの揺動とともに回転するラチェット歯車と、
前記ベースに保持され、前記ラチェット歯車の回転を停止する歯止めと、を有するラチェットを更に備える請求項1又は請求項2に記載のアーム装置。
【請求項5】
前記駆動ギアへ駆動トルクを供給する駆動モータの動作を制御する制御部と、
ワークが保持される領域への前記ワークの接近を検出する接近検出センサと、を備え、
前記制御部は、前記接近検出センサによる検出の結果に基づいて、前記駆動ギアへの前記駆動トルクの供給を開始するように、前記駆動モータの動作を制御する請求項1又は請求項2に記載のアーム装置。
【請求項6】
前記ベースに対する前記支持部の移動を検出する位置検出センサを備え、
前記制御部は、前記位置検出センサによる検出の結果に基づいて、前記駆動ギアへの前記駆動トルクの供給を停止するように、前記駆動モータの動作を制御する請求項5に記載のアーム装置。
【請求項7】
軸回りに回転し前記歯止めに接触可能なカムを更に備える請求項4に記載のアーム装置。
【請求項8】
非接触で物体を検出する非接触センサと、
前記非接触センサによる検出の結果に応じて、前記カムを回転させるモータと、を更に備える請求項7に記載のアーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アームを有し、部品を支持する部品支持装置が知られている。この部品支持装置は、部品を支持する支持面を有し、上方へ付勢された状態で昇降可能であり支持面に載せられた部品の荷重により下降する支持部と、支持部の昇降にともなって昇降する同期軸に支持され同期軸を中心に回動する同期回動アーム、及び同期回動アームの回動にともなって開閉して支持面上の部品を挟持する挟持部を含むリンク機構と、を備える。リンク機構は、挟持部による部品の挟持幅に応じた高さに支持部を位置させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-187723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の先行技術に係る部品支持装置は、構造が複雑であった。本開示は、簡素な構成で、部品を保持することができ、且つ、アームに作用する負荷の増大を抑制することが可能なアーム装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のアーム装置は、回転するアームギアと、回転する前記アームギアと一体的に揺動可能なアームと、前記アームギアに噛み合い、軸回りに回転可能な駆動ギアと、前記駆動ギアを回転可能に支持する支持部と、前記支持部及び前記アームを保持するベースと、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、簡素な構成で、ワークを保持することができ、且つ、アームに作用する負荷の増大を抑制することが可能なアーム装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】アーム装置の正面図である。
図2】アーム装置の背面図である。
図3】アーム装置の側面図である。
図4】アームの動きを示すアーム装置の正面図である。
図5】アームの動きを示すアーム装置の背面図である。
図6】中間ギアとアームギアとが噛み合っていないアーム装置の正面図である。
図7】中間ギアの動きを示す図である。
図8】アームが開いた状態のアーム装置の背面図である。
図9】アームが開いている状態のアーム装置の斜視図である。
図10】アームが閉じている状態のアーム装置の斜視図である。
図11】アームが閉じている状態のアーム装置の斜視図である。
図12】駆動ギア、中間ギア、アームギアの配置を示す断面図である。
図13】駆動ギア、中間ギア、アームギアの配置を示す断面図である。
図14】中間ギアとアームギアとの噛み合いが外れている状態を示す図である。
図15】アームが開いている状態のアーム装置の斜視図である。
図16】アームが閉じている状態のアーム装置の斜視図である。
図17】一実施形態に係るアーム装置の背面図である。
図18】アーム装置の制御部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施の形態に係るアーム装置について説明する。なお、各図において互いに直交するX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向を矢印でも図示する。Z軸方向は上下方向に沿う。
【0009】
<アーム装置の概略>
図1図8を参照して、アーム装置100について説明する。図1図8に図示されるアーム装置100は、例えばワークWを保持する。ワークWは例えば精密機械の部品である。ユーザは、アーム装置100によってワークWを保持しながら、ワークWに他の部品を組み付けることができる。
【0010】
図1に示されるように、アーム装置100は、移動可能なアームユニット10及びギアユニット20と、アームユニット10及びギアユニット20を支持するベース30とを備える。アームユニット10は、アーム11、保持部12、及びアームギア13を有する。ギアユニット20は、駆動ギア21、中間ギア22、及び駆動ギア21と中間ギア22を支持する支持部23を有する。
【0011】
アーム11は、回転するアームギア13と一体的に揺動可能である。保持部12は、アーム11の先端に設けられている。保持部12は、アーム11の揺動に伴って移動し、ワークWに接触可能である。ワークWは、壁41と保持部12とによって挟まれて、保持される。また、保持部12は、バネ14を介してアーム11に接続されている。保持部12は、アーム11の図示左右に対して移動可能である。アーム11は、保持部12によるワークWへの衝撃を吸収できる。バネ14は、ワークWを押圧する方向に保持部12を付勢し、ワークWへの接触圧を緩和する緩衝部の一例である。バネ14は例えば圧縮コイルバネであるが、緩衝部は圧縮コイルバネに限定されず、板バネ等その他のバネでもよい。緩衝部は、バネに限定されず、油圧シリンダ、又はゴムなどの弾性体など、力を減衰可能なものを含む。
【0012】
アームギア13は、アーム11の基端に設けられている。アームギア13は、軸13a回りに回転可能である。軸13aの軸線はY軸方向に沿う。軸13aは、アーム11に固定され、ベース30に対して回転可能に支持されている。アーム11は、軸13aを介して、ベース30に支持されている。アームギア13は、複数のギアを有する歯車列を備えてもよい。
【0013】
駆動ギア21は軸21a回りに回転可能である。軸21aの軸線は、Y軸方向に沿う。軸21aは、支持部23に回転可能に支持され、駆動モータに連結されている。駆動モータは、駆動ギア21に駆動トルクを供給し、駆動ギア21は、駆動モータによる駆動トルクを受けて回転する。
【0014】
中間ギア22は軸22a回りに回転可能である。軸22aの軸線は、Y軸方向に沿う。軸22aは、支持部23に回転可能に支持されている。中間ギア22は、駆動ギア21とアームギア13との間に配置され、駆動ギア21及びアームギア13と噛み合う。中間ギア22は、駆動ギア21の回転にともなって回転する。中間ギア22は、アームギア13に駆動トルクを伝達する。中間ギア22は、複数のギアを有する歯車列を備えてもよく、中間ギア22を省略してアームギア13に駆動ギア21を噛み合わせてもよい。
【0015】
支持部23は、駆動ギア21及び中間ギア22を回転可能に支持する。駆動ギア21、中間ギア22、及び支持部23は、一体として移動可能である。支持部23は、ベース30に固定された軸15を介してベース30に支持されている。軸15は、Y軸方向に延びる。支持部23は、軸15回りに揺動可能である。
【0016】
アーム装置100は、支持部23をベース30に向けて付勢するバネ32を有する。バネ32は、例えば引張コイルバネである。バネ32はX軸方向に延在する。バネ32の一端は支持部23に取り付けられ、他端はベース30に取り付けられている。バネ32によって付勢されることにより、中間ギア22はアームギア13に押し付けられる。バネ32は、中間ギア22とアームギア13とを接近させるように支持部23を付勢する付勢部の一例である。付勢部は、引張コイルバネに限定されず、圧縮コイルバネ、板バネ、その他のバネ、シリンダなどその他の押圧部材でもよい。
【0017】
アーム装置100は、ベース30に対する支持部23の相対的な位置を検出可能な位置検出センサの一例である検出スイッチ33を備える。検出スイッチ33はベース30に取り付けられており、支持部23の位置を検出可能である。検出スイッチ33は、中間ギア22とアームギア13とが噛み合っているか否かを検出可能なその他のセンサでもよい。
【0018】
アーム装置100は、ワークWを支持するテーブル42を備える。テーブル42は、下方からワークWを支持する。壁41と保持部12との間にワークWが挟まれている状態において、ワークWはテーブル42上に配置される。テーブル42には、ワークWを検出可能な接近検出センサの一例であるセンサ43が設けられている。センサ43は、テーブル42に対して接近するワークWを検出可能である。
【0019】
図2に示されるように、アーム装置100は、ラチェット50を備える。ラチェット50は、歯車51、歯止め52、バネ53、及びカム55を有する。歯車51はラチェット歯車の一例である。
【0020】
歯車51は、軸13a回りに回転可能である。歯車51は、アーム11及びアームギア13と一体として形成され、アーム11、アームギア13、及び歯車51は、一体として動く。図3に示されるように、歯車51は、Y軸方向において、ベース30及びアーム11に対して、アームギア13とは反対側に配置されている。
【0021】
歯止め52は、棒状を成し、Z方向に沿って配置されている。歯止め52は、軸54を介してベース30に連結されている。軸54は、Y軸方向に沿って配置されている。歯止め52は、軸54を中心として揺動可能である。軸54は、歯止め52の基端52bに設けられている。歯止め52の先端52aは、歯止め52の揺動に伴って歯車51に接近し、又は、歯車51から離れるように移動する。先端52aは、歯車51に噛み合って歯車51の回転を停止させる。先端52aが歯車51から離れることにより、歯車51は回転可能な状態となる。
【0022】
カム55は、軸57を介してベース30に連結されている。軸57は、Y軸方向に沿って配置されている。カム55は、軸57と一体として回転可能である。軸57は、カム55を駆動する駆動モータに連結されている。駆動モータの駆動トルクを受けて、カム55は軸57を中心として回転可能である。カム55が回転することにより、カム55が歯止め52に接触する。カム55の回転を受けて歯止め52が-X方向に押し出されることにより、先端52aが歯車51から離れるように移動する。
【0023】
バネ53は、例えば引張コイルバネである。バネ53は歯止め52の長手方向と交差する方向に配置されている。バネ53の一端は、歯止め52に取り付けられ、バネ53の他端は、ベース30に取り付けられている。歯止め52は、バネ53によって引っ張られることにより、先端52aは歯車51に押し当てられる。また、カム55の周囲には、カム55の移動を拘束するカムストッパ56a,56bが配置されている。バネ53は、引張コイルバネに限定されず、圧縮コイルバネでも、その他の付勢部材でもよい。
【0024】
アーム装置100の動作を説明する。図4及び図5において破線で示されるように、ワークWを保持していない初期状態では、アーム11は開いた状態であり、保持部12は、壁41から離れた位置に存在する。
【0025】
テーブル42の上方に存在するワークWが下方に移動して、テーブル42に接近すると、センサ43がワークWを検出する。センサ43がワークWを検出すると、駆動モータが駆動して、駆動ギア21がA1方向に回転する。
【0026】
駆動ギア21の回転にともなって、中間ギア22がA2方向に回転する。初期状態では、中間ギア22とアームギア13とは、かみ合っているので、駆動トルクが伝達される。中間ギア22の回転にともなって、アームギア13がA3方向に回転する。
【0027】
アームギア13が回転すると、軸13a、アーム11、保持部12、及び歯車51は、一体として動く。アームギア13がA3方向に回転すると、アーム11及び保持部12はA4方向に移動し、保持部12が壁41に接近する。保持部12が壁41に接近すると、保持部12はワークWと接触し、ワークWは壁41と保持部12とによって挟まれて保持される。保持部12がワークWに接触する際に、バネ14が収縮することにより、保持部12による接触圧が緩和される。図4及び図5において、互いに接触し始めた状態の保持部12及びワークWが、実線で図示されている。
【0028】
アームギア13がA3方向に回転すると、図5に示されるように、歯車51がA3方向に回転する。歯止め52はバネ53によって引っ張られた状態であり、先端52aは歯車51に接触している。先端52aは歯車51の歯形に応じて変位する。この状態において、歯車51はA3方向の回転が可能であり、歯止め52によりA3方向とは逆向きのC6方向への回転が防止される。
【0029】
歯車51のC6方向への回転が防止されるので、アーム11及び保持部12のC7方向への移動が防止され、同様にアームギア13のC6方向への回転が防止される。この状態において、カム55は歯止め52と接触していない、もしくは接触していても歯止め52を押し出していない。
【0030】
保持部12とワークWとが接触し始めた状態で駆動ギア21がA1方向に回転を継続すると、中間ギア22がA2方向に回転し、アームギア13がA3方向に回転する。これにより、アーム11及び保持部12は、A4方向にさらに移動して、壁41にさらに接近する。例えば図1に示されるように保持部12は、壁41との間にワークWを保持する。
【0031】
図1の状態において、保持部12はワークWに接触しており、壁41に接近するように移動することができない。このように、アーム11が閉じた状態において、アーム11の移動が停止する。このとき、アームギア13及び歯車51の回転も停止する。
【0032】
アームギア13の回転が停止している状態において、駆動ギア21によるA1方向の駆動トルクが中間ギア22に伝達されると、アームギア13と噛み合う中間ギア22に反力が生じる。この反力により、図6に示されるように、中間ギア22はB1方向に移動して、アームギア13との噛み合いが外れることになる。
【0033】
図7に示されるように、中間ギア22にA2方向の力が作用することにより、中間ギア22の歯先22tはB2方向に移動する。歯先22tがアームギア13の歯先13tを乗り越えると、中間ギア22とアームギア13との噛み合いが外れる。
【0034】
図6に示されるように、中間ギア22、駆動ギア21、及び支持部23は、一体としてB1方向に変位する。この変位により、支持部23の軸15に対して駆動ギア21とは反対側の部分23aは、ベース30の軸15に対してアームギア13とは反対側の部分30aと離れるように変位する。部分30aに設けられた検出スイッチ33は、支持部23の変位を検出する。支持部23の変位を検出したら、駆動ギア21を駆動する駆動モータが停止され、駆動ギア21の回転が停止する。
【0035】
この状態において、ワークWは壁41と保持部12との間に保持されている。ユーザは、アーム装置100によって保持されたワークWに他の部品を組み付けたり、ワークWに対してその他の加工を実施したりできる。
【0036】
ワークWの保持を解除するときのアーム装置100の動作について説明する。図2では、ワークWを保持している状態のアーム装置100が示されている。この状態において、カム55を駆動するモータを用いてカム55をC1方向に回転させる。カム55がC1方向に回転することにより、カム55は歯止め52をC2方向に押し出す。これにより、先端52aは歯車51から離れるようにC2方向に移動する。
【0037】
図8に示されるように、先端52aが歯車51から離れることにより歯車51の回転防止状態が解除され、歯車51はC3方向に回転できる状態となる。
【0038】
図4に示されるように、支持部23はバネ32によって付勢され、中間ギア22はアームギア13に押し当てられている。この状態において、駆動ギア21を駆動するモータを用いて、駆動ギア21をC4方向に回転させる。駆動ギア21の駆動トルクは中間ギア22に伝達され、中間ギア22はC5方向に回転する。中間ギア22の駆動トルクはアームギア13に伝達され、アームギア13はC6方向に回転する。
【0039】
保持部12及びアーム11は、アームギア13と一体としてC7方向に移動する。保持部12は壁41から離れるように移動し、ワークWを保持する力が無くなる。アーム11が開いた状態となり、ワークWを取り外すことができる。
【0040】
<一実施形態に係るアーム装置>
図9図17を参照して、一実施形態に係るアーム装置100aについて説明する。アーム装置100aの基本的な構造及び動作は、上述の通りである。図9図17に示すアーム装置100aの説明において、図1図8に示すアーム装置100と同様の説明は省略する。
【0041】
図9図11に示されるように、保持部12は、アーム11に対して移動が可能である。保持部12及びアーム11には、保持部12の移動を案内するガイドが設けられている。アーム11及び保持部12は箱型を成すように形成されている。保持部12とアーム11との間にはバネ14が配置され、保持部12はアーム11に対してスライド可能である。
【0042】
アーム装置100aは複数のアームギア13を備えていてもよい。アームギア13は複数段の歯車を有していてもよい。アームギア13は、図10に示されるように、アームギア13b,13cを有する。アームギア13b,13cは、互いに噛み合って回転する。ベース30は、第1部分30b、第2部分30c、及び第3部分30dを有する。第1部分30bはベース30の底部を構成する。第2部分30cは上下方向に延在し、アームギア13、アーム11、及び歯車51を支持する。第3部分30dはテーブル42及び壁41を含む。
【0043】
図12図14に示されるように、支持部23は、駆動ギア21及び中間ギア22を支持する。アーム装置100aは、複数の中間ギア22を備えていてもよい。複数の中間ギア22が設けられる場合、そのうち最終の中間ギア22が、アームギア13と噛み合う。複数の中間ギア22は、中間ギア22b,22c,22dを含み、2段ギアである。駆動ギア21は、中間ギア22bの大きい方の歯車と噛み合い、中間ギア22bの小さい方の歯車と中間ギア22cの大きい方の歯車が噛み合い、中間ギア22cの小さい方のギアと中間ギア22dの大きい方の歯車が噛み合い、中間ギア22dの小さい方の歯車とアームギア13bが噛み合う。図12は、中間ギア22c,22dのY方向の略中間部分で切った断面図である。中間ギア22dは、最終の中間ギアである。
【0044】
支持部23は、第1部材23b及び第2部材23cを有する。第1部材23bは、駆動ギア21及び複数の中間ギア22b,22c,22dを回転可能に支持する。第2部材23cは、第1部材23bを支持する。第2部材23cは、駆動ギア21及び複数の中間ギア22b,22c,22dを覆うように形成されている。支持部23は、軸15を中心として揺動可能である。支持部23は、軸15を受けるスリーブ30eを有する。
【0045】
図15に示されるように、アーム装置100aは、歯車51と歯止め52とを有するラチェット及びカム55を備える。歯止め52は、X軸方向に沿って配置されている。カム55は、駆動モータによって駆動されるものでも、手動により回転移動可能なものでもよい。図15のカム55には、ユーザによって操作可能なレバー55cが設けられている。図17に示されるバネ53は、歯止め52に対して歯車51とは反対側に配置されている。バネ53は、例えば圧縮コイルバネでもよい。バネ53が歯止め52を付勢することにより、先端52aは歯車51に押し当てられる。
【0046】
実施形態に係るアーム装置100aは、中間ギア22b,22c,22dの駆動トルクを受けて回転するアームギア13b,13cと、アームギア13b,13と一体的に回動可能なアーム11と、軸回りに回転可能な駆動ギア21と、駆動ギア21の回転に伴って回転し噛み合うアームギア13b,13cに駆動トルクを伝達可能な中間ギア22b,22c,22dと、駆動ギア21及び中間ギア22b,22c,22dを回転可能に支持する支持部23と、支持部23及びアーム11を保持するベース30と、を備える。
【0047】
このような構成のアーム装置100aによれば、駆動ギア21による駆動トルクは、中間ギア22b,22c,22dを介してアームギア13bに伝達される。アームギア13b,13cが回転することにより、アーム11が回動する。回動するアーム11の先端に設けられた保持部12を壁41に接近させることにより、壁41と保持部12との間にワークWを挟んで保持することができる。アーム装置100aでは、先行技術と比較して、部品数も少なく、簡素な構成となっている。
【0048】
アーム装置100aでは、ワークWを保持している状態でアーム11及びアームギア13b,13cの移動が停止する。停止状態のアームギア13b,13cに対して、駆動トルクが伝達され続けることにより、駆動トルクの反力を受けて、中間ギア22がアームギア13から外れる。これにより、中間ギア22dからアームギア13bへの駆動トルクの伝達が停止される。アーム装置100aでは、ワークWを保持している状態において、アームギア13bへの駆動トルクの伝達が中断されるので、アーム11に作用する負荷が軽減される。
【0049】
アーム装置100aは、中間ギア22dとアームギア13bとを接近させるように、支持部23を付勢するバネ32を備える。アーム装置100aによれば、バネ32によって中間ギア22dをアームギア13bに押し当てることができる。噛み合いが外れた状態の中間ギア22dをアームギア13bに押し当てることにより、中間ギア22dとアームギア13bとを噛み合わせることができる。
【0050】
アーム装置100aでは、支持部23はベース30に対して移動可能に保持されている。アーム装置100aによれば、駆動ギア21及び中間ギア22b,22c,22dを支持する支持部23をベース30に対して移動させることにより、中間ギア22dとアームギア13bとの噛み合いを解除したり、復帰させたりすることができる。これにより、アームギア13b,13cを駆動したり、駆動を中断したりできる。
【0051】
また、アーム装置100aでは、支持部23を移動させることにより、アームギア13b,13cを駆動したり、駆動を中断したりすることができるので、先行技術と比較して、簡素な構成とすることができる。アーム装置100aでは、駆動トルクの伝達を中断するための可動部の構成を小さくでき、装置の小型化を図ることができる。
【0052】
アーム装置100aは、ワークWが保持される領域へのワークWの接近を検出するセンサ43を備え、センサ43による検出の結果に基づいて駆動ギア21の駆動を開始するように、駆動モータの動作を制御することができる。アーム装置100aによれば、ワークWの検出をトリガーとして、駆動モータを作動させて駆動ギア21を駆動することにより、アーム11を動作させて、ワークWを保持することができる。
【0053】
アーム装置100aは、ベース30に対する支持部23の移動を検出する検出スイッチ33を備え、検出スイッチ33による検出結果に基づいて、駆動ギア21の駆動を停止するように、駆動モータを制御できる。支持部23が移動して中間ギア22dとアームギア13bとの噛み合いが解除されると、検出スイッチ33により支持部23の移動を検出して、駆動モータを停止させて、駆動ギア21の駆動を停止することができる。これにより、駆動モータ、駆動ギア21、中間ギア22b,22c,22d、アームギア13b等の故障を予防できる。
【0054】
アーム装置100aは、保持部12によるワークWへの接触圧を緩和するバネ14を有する。バネ14によって、保持部12がワークWに接触する際の衝撃を吸収することができ、ワークWへの接触圧を緩和することができる。アーム装置100aでは、ワークWに過度に力が作用することを防止することにより、ワークW、保持部12、アーム11等の損傷を抑制することができる。
【0055】
アーム装置100aは、軸57回りに回転し歯止め52に接触可能なカム55を備える。カム55を回転させることにより、カム55を歯止め52に押し当てて歯止め52を移動させることができる。これにより、歯車51の停止状態を解除して、歯車51、アームギア13b,13c、及びアーム11を駆動することができる。
【0056】
アーム装置100aは、非接触で物体を検出するセンサ58と、センサ58による検出の結果に応じてカム55を回転させるモータとを備えていてもよい。アーム装置100aによれば、例えば、ユーザがセンサ58に手をかざすことにより、センサ58が非接触でユーザの手を検出し、この検出に基づいて駆動モータを作動させてカム55を回転させることができる。これにより、ユーザがセンサ58に手をかざすだけで、カム55を回転させて歯止め52を移動させて、歯車51の停止状態を解除することができる。センサ58は、非接触センサの一例である。
【0057】
図18を参照して、アーム装置100、100aの制御部500について説明する。アーム装置100、100aは、アーム装置100、100aの動作を制御する制御部500を備える。
【0058】
制御部500は、CPU(Center Processing Unit)501、バスライン505、I/Oポート507、及び記憶部502を備える。記憶部502は、ROM(Read Only Memory)503、及びRAM(Random Access Memory)504を有する。
【0059】
CPU501は、ROM503に記憶されたプログラムを実行することにより処理を実行する演算装置である。CPU501は、アーム装置100、100a全体の制御を司る。
【0060】
ROM503は、CPU501で実行されるプログラム等が記憶された不揮発性記憶装置である。RAM504は、CPU501の動作のワークエリアとして機能するメモリである。バスライン505は、CPU501、ROM503、RAM504、I/Oポート507等の各構成要素を電気的に接続するアドレスバスやデータバス等である。
【0061】
I/Oポート507は、センサ類から出力された検知信号を取り込む入出力部である。センサ類は、検出スイッチ33、センサ43、及びセンサ58を含み、I/Oポート507に接続されている。検出スイッチ33、センサ43、及びセンサ58の出力信号は、I/Oポート507に入力される。
【0062】
I/Oポート507はまた、各種制御信号を出力するインタフェースである。I/Oポート507には、モータ61,62が接続されている。
【0063】
モータ61は、駆動ギア21を駆動するモータである。I/Oポート507は、モータ61を制御するための制御信号をモータ61に出力する。モータ62は、カム55を駆動するモータである。I/Oポート507は、モータ62の動作を制御するための制御信号をモータ62に出力する。
【0064】
アーム装置100、100aは、駆動ギア21を駆動するモータ61の動作を制御する制御部500と、ワークWが保持される領域へのワークWの接近を検出するセンサ43とを備え、制御部500は、センサ43の検出結果に基づいて駆動ギア21の駆動を開始するようにモータ61を制御する。
【0065】
なお、以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0066】
上記の実施形態によるアーム装置100、100aでは、支持部23が移動することにより中間ギア22とアームギア13との噛み合いが解除される構成について例示しているが、これに限定されず、例えば、アームギア13、アーム11、保持部12、ワークW、及び壁41が一体として移動することにより、中間ギア22とアームギア13との噛み合いが解除される構成でもよい。なお、支持部23を移動させた方が、装置の簡素化と小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0067】
100、100a アーム装置、11 アーム、12 保持部、13 アームギア、14 バネ、21 駆動ギア、22 中間ギア、23 支持部、30 ベース、32 バネ、33 検出スイッチ、43 センサ、51 歯車、52 歯止め、55 カム、58 センサ、61 駆動モータ、62 モータ、500 制御部、W ワーク
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