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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062167
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】皮膚用化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20240430BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240430BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20240430BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240430BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20240430BHJP
   A61K 8/9794 20170101ALI20240430BHJP
【FI】
A61K8/34
A61Q19/00
A61K8/81
A61K8/73
A61K8/9789
A61K8/9794
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169999
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】502439647
【氏名又は名称】株式会社ダリヤ
(72)【発明者】
【氏名】大島 伸二
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA122
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC432
4C083AC482
4C083AC532
4C083AC581
4C083AC582
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD351
4C083AD352
4C083CC02
4C083CC04
4C083DD27
4C083EE06
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】本発明は、塗布時にあつみや保湿感があり、べたつきのない皮膚用化粧料を提供する。
【解決手段】(A)カルボキシビニルポリマーまたはキサンタンガムから選ばれる1種以上、(B)エタノール、(C)トリメチルグリシン、(D)アロエベラエキスまたはビルベリーエキスから選ばれる1種以上を含有する皮膚用化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)カルボキシビニルポリマーまたはキサンタンガムから選ばれる1種以上
(B)エタノール
(C)トリメチルグリシン
(D)アロエベラエキスまたはビルベリーエキスから選ばれる1種以上
を含有する皮膚用化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚用化粧料に関する。さらに詳しくは塗布時にあつみや保湿感があり、べたつきのない皮膚用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚用化粧料には、化粧水、乳液、クリーム、オイル等様々な剤型が存在する。一般的に使用される化粧水の剤型では粘度がないと手から零れ易く、また、保湿効果が持続しにくい。上記問題を解決するために、増粘剤等で適度な粘度を出し、塗布時にあつみ感のある化粧水があるが、その代わり皮膚へ塗布した際に、べたつきを感じやすいのが現状である。
【0003】
特許文献1では水溶性保湿剤、液状油、アクリル酸系水溶性高分子、ガム系水溶性高分子および乳化剤を組み合わせることで、保湿効果が高いにも関わらず、べたつきが少ない水中油型乳化化粧料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-59114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の水中油型乳化化粧料は保湿効果は満たすものの、塗布時にあつみがあり、かつ、べたつきのなさについては依然として改良の余地があった。
【0006】
したがって本発明は、塗布時にあつみや保湿感があり、べたつきのない皮膚用化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、このような状況に鑑み、鋭意研究した結果、(A)カルボキシビニルポリマーまたはキサンタンガムから選ばれる1種以上、(B)エタノール、(C)トリメチルグリシン、(D)アロエベラエキスまたはビルベリーエキスから選ばれる1種以上を含有することによって、塗布時にあつみがあり、塗布後の保湿感やべたつきのない皮膚用化粧料を見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、塗布時にあつみや保湿感があり、べたつきのない皮膚用化粧料を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、含有量を示す単位は、特に明記しない限り全て質量%である。
【0010】
本発明は、(A)カルボキシビニルポリマーまたはキサンタンガムから選ばれる1種以上、(B)エタノール、(C)トリメチルグリシン、(D)アロエベラエキスまたはビルベリーエキスから選ばれる1種以上を含有する皮膚用化粧料である。
【0011】
本発明は、塗布時のあつみの観点から(A)カルボキシビニルポリマーまたはキサンタンガムから選ばれる1種以上を含有する。
【0012】
本発明で用いられるカルボキシビニルポリマーの市販品としては、CARBOPOL ULTREZ 10 POLYMER(日本ルーブリゾール株式会社製)、カーボポール 980(日本ルーブリゾール株式会社製)等が挙げられる。
【0013】
本発明で用いられるキサンタンガムの市販品としては、エコーガム(CP Kelco U.S., Inc.)、ラボールガムGS-C(住友ファーマフード&ケミカル株式会社製)等が挙げられる。
【0014】
本発明で用いられる前記(A)成分の含有量は、好ましくは0.03~0.6%、より好ましくは0.05~0.5%、さらに好ましくは0.1~0.4%がよい。前記(A)成分の含有量が0.03%未満の場合、塗布時のあつみが感じられない恐れがある。前記(A)成分の含有量が0.6%を超える場合、べたつきを感じる恐れがある。
【0015】
本発明で用いられる前記(A)成分は、塗布時のあつみを向上させる観点からカルボキシビニルポリマーおよびキサンタンガムを併用することが好ましい。
【0016】
本発明は、べたつきのなさの観点から(B)エタノールを含有する。
【0017】
本発明で用いられる前記(B)成分の含有量は、好ましくは1~12%、より好ましくは3~10%、さらに好ましくは4~8%がよい。前記(B)成分の含有量が1%未満の場合、べたつきを感じる恐れがある。前記(B)成分の含有量が12%を超える場合、保湿感が得られない恐れがある。
【0018】
本発明は、保湿感の観点から(C)トリメチルグリシンを含有する。
【0019】
本発明で用いられる前記(C)成分の含有量は、好ましくは0.3~3%、より好ましくは0.5~2%、さらに好ましくは0.8~1.5%がよい。前記(C)成分の含有量が0.3%未満の場合、塗布時の保湿感が得られない恐れがある。前記(C)成分の含有量が3%を超える場合、べたつきを感じる恐れがある。
【0020】
本発明は、保湿感の観点から(D)アロエベラエキスまたはビルベリーエキスから選ばれる1種以上を含有する。
【0021】
本発明で用いられるアロエベラとは、ユリ科に属する多肉植物であり、使用し得るアロエベラエキスの構成部位としては、例えば、葉部、花部等が挙げられるが、好ましくは葉部である。また、抽出・圧搾・蒸留方法は特に限定されず、例えば、加熱抽出したものであってもよいし、常温抽出したものであってもよい。さらに、植物をそのまま抽出してもよいし、乾燥してから抽出してもよい。圧搾法としては、手締法,油圧法,加圧圧搾法によって得られる脂肪油であってもよい。また、水蒸気蒸留して得られる水相であってもよい。
【0022】
本発明で用いられるアロエベラエキスとしては、アロエベラAloe vera (L.) Burm.f.(Aloe barbadensis Mill.)(Liliaceae)又はキダチアロエAloe arborescens Mill.(Liliaceae)およびその変種の葉部から得られた液汁より得られた粉末を水、エタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールから選ばれる一種もしくはこれらの混液にて抽出または溶解して得られたものである。
【0023】
本発明で用いられるアロエベラエキスの市販品としては、和ism<沖縄アロエベラ>(丸善製薬株式会社製)が挙げられる。
【0024】
本発明で用いられるビルベリーとは、ツツジ科に属する、スノキ属(Vaccinium)の植物:ビルベリー(Vaccinium myrtillus L.)であり、使用し得るビルベリーエキスの構成部位としては、例えば、葉部、芽部、果実、種子部等が挙げられるが好ましくは葉部である。また、抽出・圧搾・蒸留方法は特に限定されず、例えば、加熱抽出したものであってもよいし、常温抽出したものであってもよい。さらに、植物をそのまま抽出してもよいし、乾燥してから抽出してもよい。圧搾法としては、手締法,油圧法,加圧圧搾法によって得られる脂肪油であってもよい。また、水蒸気蒸留して得られる水相であってもよい。
【0025】
本発明で用いられるビルベリーエキスとしてはビルベリーVaccinium myrtillus L. (Ericaceae)の葉部を洗浄した後、これにエタノール溶液を加えて抽出し、ろ過して得られたものである。
【0026】
本発明で用いられるビルベリーエキスの市販品としては、エコファーム ビルベリーリーフ E(一丸ファルコス株式会社製)が挙げられる。
【0027】
本発明で用いられる前記(D)成分の固形残分の含有量は、好ましくは0.000002~0.1%、より好ましくは0.00001~0.01%、さらに好ましくは0.00005~0.005%がよい。前記(D)成分の固形残分の含有量が0.000002%未満の場合、保湿感が得られない恐れがある。前記(D)成分の固形残分の含有量が0.1%を超える場合、べたつきを感じる恐れがある。
【0028】
本発明で用いられる前記(D)成分は、保湿感を向上させる観点から、アロエベラエキスおよびビルベリーエキスを併用することが好ましい。
【0029】
本発明の組成物には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、前記成分の他、通常化粧品に用いられる成分として、前記(A)成分以外の増粘剤、前記(B)成分以外のアルコール類、前記(D)成分以外の植物抽出物、界面活性剤、シリコーン油、シリコーン油以外の油性成分、pH調整剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、香料、酸化防止剤、防腐剤、清涼剤、ビタミン類、タンパク質加水分解物、着色剤等を含有することが可能であり、これらは1種以上含有してもよい。
【0030】
本発明における皮膚用化粧料の20℃条件下での粘度は、特には限定されないが、好ましくは1,000~5,000mPa・sであり、より好ましくは1,500~4,500mPa・sがよい。
【0031】
本発明における皮膚用化粧料の20℃条件下での粘度は、常法にて調製して得られた皮膚用化粧料をサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に130mL充填し、20℃条件下で24時間調温した後に、B型粘度計(モデル:デジタル粘度計TVB-10M、東機産業株式会社製)により、M3号ローターを用いて12rpmで1分間回転させた後に測定したものである。
【0032】
本発明における皮膚用化粧料の20℃条件下でのpHは、特には限定されないが、好ましくは5.0~6.5であり、より好ましくは5.5~6.2が良い。
【0033】
本発明における皮膚用化粧料の20℃の条件下でのpHは、常法にて調製して得られた皮膚用化粧料を20℃で1日間静置し調温した後に、ガラス電極式水素イオン濃度指示計(F-71、株式会社堀場製作所製)にて測定したものである。
【0034】
本発明における皮膚用化粧料の剤型としては、特には限定されないが、例えば、ジェル状、乳液状、クリ-ム状等であり、ロ-ション、化粧水、パック、美容液等の各種化粧料が挙げられる。
【0035】
本発明における皮膚用化粧料の容器としては、特には限定されないが、ボトル容器、パウチ容器、チューブ容器、ジャー容器、含浸シート等が挙げられる。
【0036】
本発明における皮膚用化粧料の使用方法としては、ポンプもしくは容器を傾けて手のひらに出す、もしくは含浸シートを利用して直接塗布する等が挙げられる。
【実施例0037】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0038】
本明細書に示す評価試験において、皮膚用化粧料に含まれる成分、およびその含有量を種々変更しながら実施した。各成分の含有量を示す単位は全て質量%であり、これを常法にて調製した。
【0039】
本明細書に示す評価試験において、「塗布時のあつみ」、「保湿感」、「べたつきのなさ」について以下の方法で評価した。
【0040】
「塗布時のあつみ」
実施例および比較例で得られた皮膚用化粧料を、パネラー20名が、20℃に調温した皮膚用化粧料を20℃、湿度50%の条件下で、内腕に0.2g塗布し、手で3cm四方に伸ばす際に感じるあつみを官能にて評価した。
(評価基準)
◎:とても良好 15名以上が塗布時のあつみがあると評価した。
○:良好 10名~14名が塗布時のあつみがあると評価した。
△:普通 5名~9名が塗布時のあつみがあると評価した。
×:悪い 4名以下が塗布時のあつみがあると評価した。
【0041】
「保湿感」
実施例および比較例で得られた皮膚用化粧料を、パネラー20名が、20℃に調温した皮膚用化粧料を20℃、湿度50%の条件下で、内腕に0.2g塗布し、手で3cm四方に伸ばした後の塗布後の保湿感を官能にて評価した。
(評価基準)
◎:とても良好 15名以上が保湿感があると評価した。
○:良好 10名~14名が保湿感があると評価した。
△:普通 5名~9名が保湿感があると評価した。
×:悪い 4名以下が保湿感があると評価した。
【0042】
「べたつきのなさ」
実施例および比較例で得られた皮膚用化粧料を、パネラー20名が、20℃に調温した皮膚用化粧料を20℃、湿度50%の条件下で、内腕に0.2g塗布し、手で3cm四方に伸ばした後の塗布後のべたつきのなさを官能にて評価した。
(評価基準)
◎:とても良好 15名以上がべたつかないと評価した。
○:良好 10名~14名がべたつかないと評価した。
△:普通 5名~9名がべたつかないと評価した。
×:悪い 4名以下がべたつかないと評価した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
表1から表4に示す実施例1~29から、「塗布時のあつみ」、「保湿感」および「べたつきのなさ」について良好な結果を得ることが確認された。
【0048】
実施例30を調製して各種試験を行っても、「塗布時のあつみ」、「保湿感」および「べたつきのなさ」について良好な結果を得ることが確認された。
【0049】
実施例30
<化粧水>
成 分 含有量(質量%)
(A)カルボキシビニルポリマー 0.140
(A)キサンタンガム 0.100
(B)エタノール 4.700
(C)トリメチルグリシン 1.000
(D)アロエベラエキス(固形残分)※1 0.001
(D)ビルベリーエキス(固形残分)※2 0.001
濃グリセリン 3.000
1, 3-ブチレングリコール 2.000
L-アルギニン 0.125
ベルガモット果実油 0.001
ローズマリー油 0.001
セイヨウハッカエキス 0.010
カモミラエキス 0.010
ローズマリーエキス 0.010
フェノキシエタノール 0.300
パラオキシ安息香酸メチル 0.150
エデト酸二ナトリウム 0.010
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.500
香料 0.200
精製水 87.741
合計 100.000
粘度(20℃):3,800mPa・s
pH(20℃):6.08
【0050】
なお、実施例に記載された原料の製品名の詳細は下記の通りである。
※1和ism<沖縄アロエベラ>(丸善製薬株式会社製)
※2エコファーム ビルベリーリーフ E(一丸ファルコス株式会社製)
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、塗布時にあつみや保湿感があり、べたつきのない皮膚用化粧料を得ることができる。