(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062170
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】制御装置、ストッカシステム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20240430BHJP
G08B 21/10 20060101ALI20240430BHJP
G06T 7/254 20170101ALI20240430BHJP
【FI】
H04N7/18 D
G08B21/10
G06T7/254 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170003
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上垣内 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】細井 亘
【テーマコード(参考)】
5C054
5C086
5L096
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054FC01
5C054FC12
5C054HA19
5C086AA11
5C086BA17
5C086CA23
5C086EA40
5C086EA45
5C086FA06
5C086FA18
5L096DA03
5L096GA08
(57)【要約】
【課題】ストッカに生じた異変を検出する。
【解決手段】本開示の制御装置は、外部を撮像可能な撮像部と物品を収容する収容部とを備えたストッカと、ストッカと電気通信回線を介して情報をやりとりしストッカを管理する管理装置とを含むストッカシステムに用いられる。この制御装置は、撮像部が撮像した所定タイミングより前の前画像と、撮像部が撮像した所定タイミングよりあとの後画像と、を取得し、前画像及び後画像の差分に基づいてストッカの移動を伴う異変の有無を判定し、異変があると判定したときには判定結果を出力する制御部、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部を撮像可能な撮像部と物品を収容する収容部とを備えたストッカと前記ストッカと電気通信回線を介して情報をやりとりし前記ストッカを管理する管理装置とを含むストッカシステムに用いられる制御装置であって、
前記撮像部が撮像した所定タイミングより前の前画像と、前記撮像部が撮像した所定タイミングよりあとの後画像と、を取得し、前記前画像及び前記後画像の差分に基づいて前記ストッカの移動を伴う異変の有無を判定し、前記異変があると判定したときには判定結果を出力する制御部、
を備えた制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、災害が発生した旨の災害発生情報を取得し、前記災害発生情報の取得時を前記所定のタイミングとして前記異変の有無を判定する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ストッカの転倒及び/又は移動が発生している旨の異変警告、前記電気通信回線が遮断されている旨の通信遮断警告、及び前記ストッカ電源が遮断されている旨の電源遮断警告、のうち1以上の警告情報を出力する、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記管理装置の表示部、前記ストッカの表示部、前記ストッカシステムの管理者の端末及び前記ストッカシステムの利用者の端末のうち1以上へ前記判定結果を出力する、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ストッカ及び前記ストッカの周囲で配置変更を行う旨の配置変更の入力がされているときには、前記異変の有無の判定を実行しない、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記管理装置に備えられており、
前記制御部は、災害発生情報を取得し、前記災害発生情報の災害発生地域に配設されたストッカを抽出し、抽出された前記ストッカに対して前記異変の有無を判定する、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記ストッカに備えられており、
前記制御部は、災害発生情報を取得し、前記災害発生情報の災害発生地域に自己のストッカが配設されているときには、前記異変の有無を判定する、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記ストッカに備えられており、
前記制御部は、前記異変の有無を判定し、前記異変があると判定した場合に、前記電気通信回線が遮断されているときには、前記異変があるとの判定結果を記憶し、前記電気通信回線の遮断が回復したときには、外部端末に対して前記電気通信回線を介して前記判定結果を出力する、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の制御装置を備えた前記管理装置と、前記ストッカとを備えるか、又は請求項1又は2に記載の制御装置を備えた前記ストッカと、前記管理装置とを備える、ストッカシステム。
【請求項10】
外部を撮像可能な撮像部と物品を収容する収容部とを備えたストッカと前記ストッカと電気通信回線を介して情報をやりとりし前記ストッカを管理する管理装置とを含むストッカシステムに用いられる、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
(a)前記撮像部が撮像した所定タイミングより前の前画像と、前記撮像部が撮像した所定タイミングよりあとの後画像と、を取得するステップと、
(b)前記前画像及び前記後画像の差分に基づいて前記ストッカの移動を伴う異変の有無を判定するステップと、
(c)前記異変があると判定したときには判定結果を出力するステップと、
を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、制御装置、ストッカシステム及び情報処理方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、ストッカとしては、各種の防災用品を収容可能な防災用品収容ロッカーを備えた防災ボックスを含み、宅配ボックスが所定の災害発生信号を受信した場合、防災ボックスの防災用品収容ロッカーの施錠を解除するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このストッカでは、防災用品収容ロッカーに収納された各種の防災用品を何人も直ちに利用可能にすることができ、防災用品を何時何人にも自由に利用させることができる、としている。また、ストッカとしては、利用者を撮影するためのビデオカメラと、エンドレス録画装置として構成された監視システムを有するものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。このストッカでは、必要に応じて画像配信サーバを接続して遠隔地からの視覚的な状態監視ができるようにし、録画によって犯罪を抑制し、万一犯罪が発生した場合や犯罪に利用された場合などに事件の解明のため利用することができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-148866号公報
【特許文献2】特開2002-304559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この特許文献1、2に記載されたストッカでは、例えば、ストッカの転倒や移動などの異変を検出することは考慮されていなかった。ストッカに異変が生じた場合は、利用者は物品の受け渡しを行うことができないにもかかわらず、ストッカへ移動するなど、無駄が生じることがあった。このように、ストッカでは、ストッカの異変を検出することができることが求められていた。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、ストッカの異変を検出することができる制御装置、ストッカシステム及び情報処理方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の制御装置は、
外部を撮像可能な撮像部と物品を収容する収容部とを備えたストッカと前記ストッカと電気通信回線を介して情報をやりとりし前記ストッカを管理する管理装置とを含むストッカシステムに用いられる制御装置であって、
前記撮像部が撮像した所定タイミングより前の前画像と、前記撮像部が撮像した所定タイミングよりあとの後画像と、を取得し、前記前画像及び前記後画像の差分に基づいて前記ストッカの移動を伴う異変の有無を判定し、前記異変があると判定したときには判定結果を出力する制御部、
を備えたものである。
【0008】
この制御装置では、所定タイミングの前後の画像の差分から、ストッカの移動を伴う異変を判定することができ、ストッカの異変を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ストッカシステム10の一例を示す概略説明図。
【
図2】ストッカ11及び管理装置12の一例を示す説明図。
【
図3】外部監視処理ルーチンの一例を表すフローチャート。
【
図5】外部監視処理ルーチンの一例を表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態を、図面を用いて説明する。
図1は、ストッカシステム10の一例を表す概略説明図である。
図2は、ストッカ11及び管理装置12の一例を示す説明図である。なお、本実施形態において、左右方向、前後方向及び上下方向は、各図に示した通りとする。
【0011】
ストッカシステム10は、1又は2以上のストッカ11と、管理装置12とを備えている。ストッカシステム10は、
図1に示すように、地域A~Dの各々にストッカ11が設置されており、各地域のストッカ11へ物品19を収容させて、物品19を配送、回収するシステムである。地域A~Dには、1以上のストッカ11が設置されている。ストッカ11は、外部を撮像可能な撮像部としての監視カメラ35と物品19を収容する収容部21とを備えた電子ロック付きロッカーとして構成されている。管理装置12は、電気通信回線としてのネットワーク13を介してストッカ11と情報をやりとりし、ストッカ11に関する情報を管理するサーバとして構成されている。この管理装置12は、地域A~Dなどに設置されているストッカ11の利用状況などを管理する。ネットワーク13は、LAN(Local Area Network)としてもよいし、WAN(Wide Area Network)としてもよい。
【0012】
ネットワーク13には、情報提供サーバ15が接続されている。情報提供サーバ15は、地震などの災害情報などを収集、提供するサーバである。情報提供サーバ15は、例えば、地域A~Dに設置された検出装置から災害の発生に関する情報を取得し、この地域A~Dのいずれかで発生した災害情報を、ネットワーク13を介して管理装置12など他の情報処理装置へ出力する。
【0013】
ストッカ11は、
図2に示すように、1以上の納品庫20と、制御装置30と、操作パネル34と、監視カメラ35とを備える。納品庫20は、物品19を納入可能な箱状の収容部21を有する。制御装置30は、各納品庫20への物品19の納入や取り出しに関する各種操作を受け付け、各納品庫20の施錠や解錠に関する各種処理を行うものである。ストッカ11は、上下に複数個(
図1では4個)ずつの納品庫20が左右に複数列(
図1では5列)並んで配置されており、左端の列の1の納品庫20に代えて制御装置30が配置されている。このストッカ11は、オフィスやコンビニエンスストア、駅、学校、マンション、ショッピングセンタなど様々な場所に設置され、屋内だけでなく屋外にも設置可能に構成されている。ストッカ11は、いずれかの納品庫20を配達先として配達者により物品19が納入された後に、物品19を受け取る使用者Mがこの納品庫20から物品19を取り出して物品19を受け取ることで、配達者により配達される物品19の受け渡しに用いられる。
【0014】
納品庫20は、
図2に示すように、収容部21と、扉22と、扉駆動部23とを備える。収容部21は、物品19を収容する直方体状の空間を有する箱体である。納品庫20は、扉22を開いて収容部21内の空間に物品19を納入可能となっている。収容部21には図示しないロック機構が配設されており、このロック機構により扉22が施錠される。ロック機構は、駆動部により駆動され機械的にロックする機構としてもよいし、電磁的にロックする機構としてもよい。扉22は、収容部21の開口部を開放及び閉鎖し施錠可能な矩形板状の部材である。この扉22は、支持軸に支持され回動して納品庫を開放、閉鎖するものである。扉駆動部23は、扉22を駆動し開放及び閉鎖するものであり、例えば、モータとしてもよいし、アクチュエータとしてもよいし、電力不要のバネ機構としてもよい。この扉駆動部23は、支持軸に直結されていてもよいし、支持軸にギアを介して接続されているものとしてもよい。また、扉駆動部23は、ロック機構を含んで構成されていてもよい。
【0015】
制御装置30は、制御部32と、記憶部33とを備える。制御部32は、各納品庫20と同じサイズの直方体状の本体内の空間に配置されている。制御部32は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、ストッカ11の全体を制御するものである。記憶部33は、各種データを記憶する大容量メモリである。記憶部33には、ストッカ11に収容される物品19の情報や、扉22を開放するのに必要な情報などが記憶されている。制御装置30は、扉駆動部23や操作パネル34、監視カメラ35などへの制御信号を出力し、操作パネル34、監視カメラ35などからの信号を入力する。
【0016】
操作パネル34は、制御装置30が配設された納品庫20の前面パネル31の中央に配設されている。操作パネル34は、使用者Mからの入力を受け付けるものであり、タッチ操作が可能な画面を有している。この操作パネル34は、例えば、物品19の納入や取り出しに関する操作案内などを表示する案内画像や物品19の納入や取り出しに関する入力操作などを受け付ける操作画像などを画面に表示する。この前面パネル31には、そのほかの機器として、カードリーダ、コードリーダ、受領印モジュール、カメラモジュール、シリンダ錠、音声ユニット、人感センサ及び監視カメラ35などが配設されている。制御部32は、前面パネル31に配設された操作パネル34やその他の機器の操作により配達者や受取者などの使用者が入力した情報などに基づいて扉22の開錠や施錠などを行う。
【0017】
監視カメラ35は、ストッカ11の外部かつ周囲画像を撮像し、長期間(例えば1週間など)に亘って撮像画像を保存するものである。監視カメラ35は、大容量の記憶部を備えており、最古の撮像画像を削除しつつ最新の撮像画像を保持する機能を有する。この監視カメラ35は、バッテリで駆動し、ストッカ11の電源の遮断時においても作動するものとする。
【0018】
管理装置12は、ストッカシステム10の各装置の情報を管理するサーバとして構成されている。管理装置12は、制御装置41と、通信部44と、表示部17と、入力装置18とを備えている。制御装置41は、制御部42と、記憶部43とを備えている。制御部42は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、管理装置12の全体を制御する。記憶部43は、各種データを記憶する大容量メモリである。記憶部43には、各ストッカ11に収容される物品19の情報や、物品19の出し入れの際に扉22を開放するのに必要な情報などが記憶されている。通信部44は、ネットワーク13を介して外部機器と情報をやりとりするインターフェイスである。表示部17は、画面を表示するディスプレイである。入力装置18は、使用者Mが操作することによって種々の入力を受け付ける装置であり、マウスやキーボードなどを含む。
【0019】
使用者Mは、例えば、ストッカ11の管理者や、ストッカ11へ物品19を配達する配送者、ストッカ11から物品19を受け取る一般ユーザなどが含まれる。使用者Mは、物品19の受け渡しに携帯端末50を用いる。携帯端末50は、装置全体を制御する図示しない制御部と、タッチパネルからの入力操作が可能な画面である表示部51とを備える。携帯端末50は、ネットワーク13などを介してストッカ11の解錠鍵の受け取りや、物品19の収容の有無などストッカ11の状況に関する情報をやりとりする。
【0020】
次に、このように構成されたストッカシステム10において、ストッカ11の移動を伴う異変を検知する処理について説明する。まず、管理装置12が主体となり、ストッカ11の異変を検知する処理について説明する。
図3は、管理装置12の制御部42が実行する外部監視処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。外部監視処理ルーチンは、制御装置41が有する記憶部43に記憶され、管理装置12が起動されたあと、実行される。このルーチンを開始すると、制御部42は、ストッカシステム10に含まれるストッカ11に対して監視処理の開始指令を出力する(S100)。監視処理とは、監視カメラ35を起動し、撮像画像を更新しながら記録し続ける処理をいうものとする。
【0021】
次に、制御部42は、情報提供サーバ15から災害発生情報を取得したか否かを判定する(S110)。ストッカシステム10では、情報提供サーバ15から地震や台風などの災害の発生状況に関する情報を取得するものとする。災害発生情報を取得したときには、制御部42は、災害発生地域に設置されているストッカ11を抽出する(S120)。制御部42は、例えば、地域Bで災害発生が確認されると、地域Bに配設されたストッカ11の識別情報などを抽出し、リストを作成する。次に、制御部42は、異変発生の有無を判定する処理対象のストッカ11を設定する(S130)。制御部42は、作成したリストの順番に処理対象を設定するものとしてもよい。
【0022】
次に、制御部42は、設定された処理対象のストッカ11に配置変更入力がされているか否かを判定する(S140)。ストッカ11の管理者は、例えば、ストッカ11の設置場所を移動する場合や、ストッカ11の周囲に配置されている物自体やその位置を変更する場合に、操作パネル34から配置変更入力を行うものとする。この配置変更入力を行えば、ストッカ11の移動を伴う異変発生の誤検出を防止することができる。なお、管理者は、ストッカ11及びその周辺の配置変更が終了したあとは、この配置変更入力を解除するものとする。処理対象のストッカ11が配置変更入力を取得中でないときには、制御部42は、所定タイミングとしての災害発生時の前後に該当する撮像画像を直接的に監視カメラ35から、もしくは間接的に制御装置30から取得する(S150)。制御部42は、監視カメラ35が撮像した、災害発生時に対して所定時間以前の前画像と、災害発生時に対して所定時間以降の後画像とを取得する。ここで、所定時間は、所定タイミングの前後において同じ値としてもよいし、異なる値としてもよい。この所定時間は、ストッカ11の外部の変化が検出可能な時間、例えば5分や10分、1時間などに経験的に定めることができる。
【0023】
S150のあと、制御部42は、撮像画像の取得の可否などに基づいて、処理対象であるストッカ11の電源の遮断、あるいはネットワーク13を介した通信の遮断があるか否かを判定する(S160)。電源遮断及び/又は通信遮断があるときには、制御部42は、その異変内容を該当するストッカ11の情報に対応付けて記憶部43に記憶させる(S170)。災害発生時には、ストッカ11の電源や通信が遮断されることがあるため、管理装置12は、その情報を記録、保存するのである。
【0024】
一方、S160で電源遮断及び/又は通信遮断がないときには、制御部42は、上記取得した前画像及び後画像の差分を取得し(S180)、ストッカ11の移動を伴うような異変があるか否かを判定する(S190)。ストッカ11に移動を伴う異変があるときには、前画像と後画像との差分は大きくなる一方、ストッカ11に移動を伴う異変がないときには、前画像と後画像とは近い画像になり、その差分はより小さくなる。ここでは、前画像と後画像との不一致度合いを数値として求め、その数値を差分値とし、ストッカ11の異変の発生と画像の差分値との関係を経験的に求め、差分値が所定の閾値を超えたときに異変が発生したと判定可能な閾値を予め設定するものとする。例えば、通行人の有無などでも画像に差が生まれることから、このような差においては、ストッカ11に異変がないと判定可能な閾値を設定するものとする。
図4は、撮像画像80,81の一例の説明図であり、
図4Aが所定タイミングより前の前画像であり、
図4Bが所定タイミングよりあとの後画像である。
図4に示すように、例えば、災害の発生によってストッカ11が転倒した場合、前画像と後画像とには、ストッカ11の周囲が異なる画像となる。したがって、制御部42は、監視カメラ35の撮像画像に基づいて、ストッカ11の移動を伴うような異変を判定することができる。このように、制御部42は、ストッカ11の周囲を監視する撮像画像を利用し、災害発生時の前後の画像の差分を用いて、ストッカ11の移動や転倒などの異変発生の有無を判定するのである。
【0025】
S190でストッカ11の移動を伴うような異変がないときには、制御部42は、ストッカ11が正常である旨の情報をストッカ11の識別情報に対応付けて記憶部43に記憶させる(S200)。一方、S190でストッカ11の移動を伴うような異変があるときには、制御部42は、ストッカ11の移動を伴うような異変がある旨の情報をストッカ11の識別子に対応付けて記憶部43へ記憶させる(S210)。S210のあと、またはS200のあと、制御部42は、次に判定するストッカ11があるか否かを判定し(S220)、次のストッカ11があるときには、S130以降の処理を実行する。即ち、制御部42は、災害発生地域に設置されたストッカ11として抽出されたなかから、未処理のストッカ11を処理対象に設定し(S130)、通信遮断及び電源遮断があるかを判定し、撮像画像に基づいてストッカ11に移動を伴う異変の有無を判定し、判定結果を記憶部43へ記憶させる。
【0026】
一方、S220で次のストッカ11がないときには、制御部42は、判定結果を出力し、使用者Mなどへ報知させる(S230)。制御部42は、例えば、判定結果を管理装置12の表示部17へ表示出力してもよいし、携帯端末50の表示部51へ表示出力してもよいし、ストッカ11の操作パネル34に表示出力してもよい。また、制御部42は、ストッカ11の転倒及び/又は移動が発生している旨の異変警告、ネットワーク13が遮断されている旨の通信遮断警告、及びストッカ11の電源が遮断されている旨の電源遮断警告などの警告情報を出力するものとしてもよい。また、制御部42は、ストッカ11の状態を示す状態情報や、ストッカ11を特定するための名称、識別情報、設置位置の情報などを画面に表示するものとしてもよい。また、制御部42は、管理者のほか、異変が生じたストッカ11を利用する配送者や一般ユーザなどの利用者を抽出し、この管理者や利用者へ向けて判定結果を出力するものとしてもよい。この判定結果を確認した利用者は、例えば、災害時などにおいて、ストッカ11の利用が困難であることを事前に把握することができる。
【0027】
そして、S230のあと、制御部42は、全ての処理が完了したか否かを、例えば、管理装置12の電源がオフされたか否かや、このルーチンの終了が入力されたか否かなどに基づいて判定する(S240)。全ての処理が完了していないときには、制御部42は、S110以降の処理を実行する。即ち、制御部42は、災害発生情報を取得するたびに、ストッカ11の異変発生を判定し、異変発生の判定結果を使用者Mなどへ出力、報知する処理を繰り返し実行する。一方、S240で全ての処理が完了したときには、監視カメラ35の監視処理の中断指令をそれぞれのストッカ11へ出力し(S250)、このルーチンを終了する。
【0028】
次に、ストッカシステム10において、ストッカ11の移動を伴う異変を検知する処理について、ストッカ11が主体となり、ストッカ11の異変を所定タイミングにおいて検知する処理について説明する。ここでは、ストッカ11の制御装置30は、ネットワーク13を介して情報提供サーバ15から情報を取得可能に構成されているものとする。また、ストッカ11は、操作パネル34への入力や、管理装置12などからの遠隔入力、図示しないセンサからの信号入力を契機とし、ストッカ11の状態を判定する機能を有するものとして説明する。ここでは、ストッカ11は、災害時の異変のほか、不正な解錠行為やストッカ11へのいたずらなども検知するものとする。
図5は、制御装置30の制御部32が実行する外部監視処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。外部監視処理ルーチンは、制御装置30が有する記憶部33に記憶され、ストッカ11が起動されたあと、実行される。このルーチンを開始すると、制御部32は、監視カメラ35に監視処理を開始させる(S300)。監視処理とは、監視カメラ35を起動し、撮像画像を更新しながら記録し続ける処理をいうものとする。
【0029】
次に、制御部32は、所定タイミングとして、所定の入力があるか否かを判定する(S310)。ここで、「所定タイミング」とは、例えば、ストッカ11に異変が生じる可能性のあるタイミングとしてもよいし、ストッカ11に異変が生じたタイミングとしてもよい。所定の入力は、例えば、ストッカ11が振動したなどのセンサからの入力や、管理装置12からの遠隔入力、操作パネル34からの使用者Mによる入力などが挙げられる。所定の入力がないときには、制御部32は、情報提供サーバ15から災害発生情報を取得したか否かを判定する(S320)。ストッカ11は、情報提供サーバ15から地震や台風などの災害の発生状況に関する情報を取得するものとする。災害発生情報を取得したときには、制御部32は、自己のストッカ11が災害発生地域に含まれているか否かを判定する(S330)。制御部32は、例えば、自己が地域Bに設置されているときは、この災害が地域Bで派生したか否かを判定する。
【0030】
S330で自己のストッカ11が災害発生地域内であるとき、または、S310で所定の入力があったときには、制御部32は、設定された処理対象のストッカ11に配置変更入力がされているか否かを判定する(S340)。配置変更の入力がされているときには、制御部32は、ストッカ11の移動を伴う異変の発生の判定を行わない。ストッカ11が配置変更入力がなされていないときには、制御部32は、所定タイミングの前後に該当する撮像画像を監視カメラ35から、もしくは制御装置30の記憶部33から取得する(S350)。制御部32は、監視カメラ35が撮像した、所定タイミングに対して所定時間以前の前画像と、所定タイミングに対して所定時間以降の後画像とを取得する。ここで、所定時間は、上述のように設定してもよい。
【0031】
次に、制御部32は、上記取得した前画像及び後画像の差分を取得し(S360)、ストッカ11の移動を伴うような異変があるか否かを判定する(S370)。制御部32は、
図4に示すのと同様に、監視カメラ35の撮像画像に基づいて、ストッカ11の移動を伴うような異変を判定することができる。S370でストッカ11の移動を伴うような異変がないときには、制御部32は、ストッカ11が正常である旨の情報をストッカ11の識別情報に対応付けて記憶部33に記憶させる(S380)。一方、S370でストッカ11の移動を伴うような異変があるときには、制御部32は、ストッカ11の移動を伴うような異変がある旨の情報をストッカ11の識別子に対応付けて記憶部33に記憶させる(S390)。
【0032】
S390のあと、またはS380のあと、制御部32は、ネットワーク13を介した通信の遮断があるか否か、あるいは、ストッカ11の電源の遮断があったか否かを判定する(S400)。ここでは、制御部32は、例えば、災害などの異変時にストッカ11の電源が遮断されたあと、復旧して再起動した場合などを判定するものとする。電源遮断及び/又は通信遮断があるときには、制御部32は、その異変内容をストッカ11の識別情報に対応付けて記憶部33に記憶させる(S410)。災害などの異変の発生時には、ストッカ11の電源や通信が遮断することがあるため、制御装置30は、その情報をログとして記録、保存するのである。次に、制御部32は、通信遮断が解消したか否かを判定し(S420)、通信遮断が解消されていないときにはそのまま待機する。一方、通信遮断が解消されたとき、または、S400で通信遮断がないときには、制御部32は、記憶した判定結果を管理装置12や携帯端末50などの外部端末へ出力し、使用者Mなどへ情報を報知する(S430)。制御部32は、上述したS230と同様の処理を実行するものとしてもよい。この判定結果を確認した管理者や利用者は、例えば、災害時などにおいて、ストッカ11の利用が困難であることを事前に把握することができる。
【0033】
S430のあと、または、S320で災害発生情報を取得していないとき、あるいは、S330で自己のストッカ11が災害発生地域内にないとき、さらにはS340で配置変更入力中であるときには、制御部32は、全ての処理が完了したか否かを、例えば、ストッカ11の電源がオフされたか否かや、このルーチンの終了が入力されたか否かなどに基づいて判定する(S440)。全ての処理が完了していないときには、制御部32は、S310以降の処理を実行する。即ち、制御部32は、災害発生時を含む所定タイミングのたびに、ストッカ11の異変発生を判定し、異変発生の判定結果を使用者Mなどへ出力、報知する処理を繰り返し実行する。一方、S440で全ての処理が完了したときには、監視カメラ35の監視処理を中断し(S450)、このルーチンを終了する。
【0034】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の制御装置30及び制御装置41が本開示の制御装置の一例であり、制御部32及び制御部42が制御部の一例であり、監視カメラ35が撮像部の一例であり、収容部21が収容部の一例である。なお、本実施形態では、制御装置30,41の動作を説明することにより本開示の情報処理方法の一例も明らかにしている。
【0035】
以上説明した本実施形態の制御装置41は、外部を撮像可能な撮像部としての監視カメラ35と物品19を収容する収容部21とを備えたストッカ11と、ストッカ11と電気通信回線としてのネットワーク13を介して情報をやりとりしストッカ11を管理する管理装置12とを含むストッカシステム10に用いられる。この制御装置41は、監視カメラ35が撮像した所定タイミングより前の前画像と監視カメラ35が撮像した所定タイミングよりあとの後画像とを取得し、前画像及び後画像の差分に基づいてストッカ11の移動を伴う異変の有無を判定し、異変があると判定したときには判定結果を出力する制御部42を備える。この制御装置41では、所定タイミングの前後の画像の差分から、ストッカの移動11を伴う異変を判定することができ、ストッカ11の異変を検出することができる。
【0036】
また、制御部42は、災害が発生した旨の災害発生情報を取得し、災害発生情報の取得時を所定のタイミングとしてストッカ11の異変の有無を判定する。この制御装置41では、災害の発生によってストッカ11に異変が生じているかを検出することができる。
更に、制御部42は、ストッカ11の転倒及び/又は移動が発生している旨の異変警告、電気通信回線としてのネットワーク13が遮断されている旨の通信遮断警告、及びストッカ11の電源が遮断されている旨の電源遮断警告を含む警告情報を出力する。この制御装置41では、異変警告や、通信遮断警告、電源遮断警告などの警告を管理者や使用者Mへ報知することができる。
【0037】
また、制御部42は、管理装置12の表示部17、ストッカ11の操作パネル34の表示部、ストッカシステム10の管理者の端末及びストッカシステム10の利用者の携帯端末50へ、移動を伴う異変の判定結果を出力する。この制御装置41では、管理装置12の使用者や、ストッカ11の使用者、ストッカシステム10の管理者及び利用者などへ、ストッカ11の異変を報知することができる。また、制御部42は、ストッカ11及びストッカ11の周囲で配置変更を行う旨の配置変更の入力がされているときには、異変の有無の判定を実行しない。この制御装置42では、ストッカ11及びストッカ11周辺の配置変更によるストッカ11の異変の誤判定を防止することができる。なお、上記制御装置4での効果は、制御装置30においても奏する。
【0038】
更に、制御装置41は、管理装置12に備えられており、制御部42は、災害発生情報を取得し、災害発生情報の災害発生地域に配設されたストッカ11を抽出し、抽出されたストッカ11に対して異変の有無を判定する。この制御装置41では、管理装置12側で、遠隔的に災害発生利地域にある特定のストッカ11の異変を検出することができる。更にまた、制御装置30は、ストッカ11に備えられており、制御部32は、災害発生情報を取得し、災害発生情報の災害発生地域に自己のストッカ11が配設されているときには、異変の有無を判定する。この制御装置30では、ストッカ側で、災害発生利地域にある特定のストッカの異変を検出することができる。そして、制御装置30は、ストッカ11に備えられており、制御部32は、異変の有無を判定し、異変があると判定した場合に、電気通信回線としてのネットワーク13が遮断されているときには、異変があるとの判定結果を記憶し、ネットワーク13の遮断が回復したときには、外部端末に対してネットワーク13を介して判定結果を出力する。この制御装置30では、ネットワーク13が遮断された状況において、このネットワーク13が回復すると遅滞なくストッカ11の異変を管理装置12などの外部端末へ出力することができる。
【0039】
また、ストッカシステム10は、上述した制御装置41を備えた管理装置12と、ストッカ11とを備えるか、又は上述した制御装置30を備えたストッカ11と、管理装置12とを備える。このストッカシステム10では、管理装置12とストッカ11とのいずれかが上記制御装置を備えるため、上記制御装置と同様に、撮像画像の差分に基づいてストッカ11の異変を検出することができる。
【0040】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0041】
例えば、上述した実施形態では、制御部32,42は、災害が発生した旨の災害発生情報を情報提供サーバ15から取得するものとしたが、特にこれに限定されず、使用者Mなどからの入力により、災害発生情報を取得するものとしてもよい。また、制御部32,42は、電源遮断や通信遮断などの異変を検出し、災害時のストッカ11の異変を検出するものとして説明したが、特にこれに限定されず、これらのうち1以上を省略するものとしてもよい。
【0042】
上述した実施形態では、ストッカシステム10は、異変警告、通信遮断警告及び電源遮断警告を含む警告情報を出力するものとしたが、特にこれに限定されず、これらのうち1以上を省略してもよいし、これら以外の警告情報、例えば、不正解錠警告などを加えてもよい。
【0043】
上述した実施形態では、ストッカシステム10は、管理装置12の表示部17、ストッカ11の表示部、ストッカシステム10の管理者の端末及びストッカシステム10の利用者の携帯端末50へ判定結果を出力するものとしたが、特にこれに限定されず、これらのうち1以上を省略してもよいし、これら以外に出力するものとしてもよい。また、上述した実施形態では、判定結果を表示出力するものとしたが、出力形態はこれに限定されず、例えば、音声出力や印刷出力としてもよい。
【0044】
上述した実施形態では、ストッカシステム10は、ストッカ11及びストッカ11の周囲で配置変更を行う旨の配置変更の入力がされているときには、異変の有無の判定を実行しないものとしたが、特にこれに限定されず、この処理を省略してもよい。なお、ストッカシステム10では、この処理を実行した方が、誤判定をより低減することができ、好ましい。
【0045】
上述した実施形態において、
図3に示す外部監視処理ルーチンでは、災害発生時を所定タイミングとして説明したが、特にこれに限定されず、
図5のように、災害発生時以外の所定タイミングにおいても、ストッカ11の移動を伴う異変の発生を判定するものとしてもよい。
【0046】
上述した実施形態では、管理装置12は、災害発生したときに、災害発生地域に配設されているストッカ11を抽出するものとしたが、特にこれに限定されず、この処理を省略してもよい。このとき、管理装置12は、比較的狭い地域の管理を行うものとしてもよい。また、上述した実施形態では、ストッカ11は、自機が災害発生地域に配設されているときに、異変の有無を判定するものとしたが、特にこれに限定されず、この処理を省略してもよい。また、上述した実施形態では、ストッカ11は、通信遮断が解消されたあと、異変の有無の判定結果を出力するものとしたが、特にこれに限定されず、この処理を省略してもよい。このようなストッカシステム10においても、撮像画像を用いて、ストッカ11の異変を検出することができる。
【0047】
上述した実施形態では、制御装置30,41やストッカシステム10として本開示を説明したが、特にこれに限定されず、情報処理方法としてもよい。
【0048】
ここで、本開示の情報処理方法は、以下のように構成してもよい。例えば、本開示の情報処理方法は、
外部を撮像可能な撮像部と物品を収容する収容部とを備えたストッカと前記ストッカと電気通信回線を介して情報をやりとりし前記ストッカを管理する管理装置とを含むストッカシステムに用いられる、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
(a)前記撮像部が撮像した所定タイミングより前の前画像と、前記撮像部が撮像した所定タイミングよりあとの後画像と、を取得するステップと、
(b)前記前画像及び前記後画像の差分に基づいて前記ストッカの移動を伴う異変の有無を判定するステップと、
(c)前記異変があると判定したときには判定結果を出力するステップと、
を含むものである。
【0049】
この情報処理方法は、上述した制御装置と同様に、所定タイミングの前後の画像の差分から、ストッカの移動を伴う異変を判定することができ、ストッカの異変を検出することができる。なお、この情報処理方法において、上述したストッカやストッカシステムの種々の態様を採用してもよいし、また、上述したストッカやストッカシステムの各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【0050】
本明細書では、出願当初の請求項4において「請求項1又は2に記載の制御装置」を「請求項1~3のいずれか1項に記載の制御装置」に変更した技術思想や、出願当初の請求項5において「請求項1又は2に記載の制御装置」を「請求項1~4のいずれか1項に記載の制御装置」に変更した技術思想、出願当初の請求項6において「請求項1又は2に記載の制御装置」を「請求項1~5のいずれか1項に記載の制御装置」に変更した技術思想、出願当初の請求項7において「請求項1又は2に記載の制御装置」を「請求項1~5のいずれか1項に記載の制御装置」に変更した技術思想、出願当初の請求項8において「請求項1又は2に記載の制御装置」を「請求項1~5、7のいずれか1項に記載の制御装置」に変更した技術思想、出願当初の請求項9において「請求項1又は2に記載の制御装置」を「請求項1~8のいずれか1項に記載の制御装置」に変更した技術思想も開示されている。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本開示のストッカは、商品を配送する商品流通システムの技術分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
10 ストッカシステム、11 ストッカ、12 管理装置、13 ネットワーク、15 情報提供サーバ、17 表示部、18 入力装置、19 物品、20 納品庫、21 収容部、22 扉、23 扉駆動部、30 制御装置、31 前面パネル、32 制御部、33 記憶部、34 操作パネル、35 監視カメラ、41 制御装置、42 制御部、43 記憶部、44 通信部、50 携帯端末、51 表示部、80,81 撮像画像、A~D 地域、M 使用者。