(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000622
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】置き型浴槽の設置構造
(51)【国際特許分類】
A47K 3/16 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
A47K3/16
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099401
(22)【出願日】2022-06-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)株式会社サンワカンパニーが、サイト名「Sanwacompany online store」にて、2022年5月9日に公表。(2)株式会社サンワカンパニーが、カタログ名「Best Selection Vol.29」にて、2022年5月9日に公表。
(71)【出願人】
【識別番号】596094773
【氏名又は名称】株式会社サンワカンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001391
【氏名又は名称】弁理士法人レガート知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 太一
(72)【発明者】
【氏名】布目 菜々子
(72)【発明者】
【氏名】小田川 智
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 篤行
(72)【発明者】
【氏名】米田 正克
(72)【発明者】
【氏名】日高 淳
(72)【発明者】
【氏名】脇田 貴志
【テーマコード(参考)】
2D132
【Fターム(参考)】
2D132EA02
(57)【要約】
【課題】この発明は、置き型浴槽において、第一に、追い炊き用の給湯器を取り付けた場合において、その配管を露出させないようにすること、第二に浴槽の安定性を向上させること、そして浴槽下方の清掃を不要とすることを課題とするものである。
【解決手段】置き型浴槽4の浴槽本体5の全周にエプロン6を設け、前記浴槽本体の底面は浴室床面より上に位置して両者間に空隙9を設け、前記エプロン6の下縁は浴室床面に接し、シーリング7を施す。前記浴槽本体5の周壁に追い炊き用の循環金具10を取り付け、前記循環金具に往き戻り管11の基端を接続する。そして、前記往き戻り管11は、浴槽本体5とエプロン6の間、及び浴槽本体5と浴室床面との間を引き回して、浴室床に設けられた給湯器の管との接続金具14を介して、給湯器12に接続して、置き型浴槽の設置構造を構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
置き型浴槽の浴槽本体の全周にエプロンが設けられ、
前記浴槽本体の底面は浴室床面より上に位置して両者間に空隙があり、
前記エプロンの下縁は浴室床面に接し、シーリングが施され、
浴槽本体の周壁に追い炊き用の循環金具が取り付けられ、
前記循環金具に往き戻り管の基端が接続され、
前記往き戻り管は、浴槽本体とエプロンの間、及び浴槽本体と浴室床面との間を引き回され、浴室床に設けられた給湯器の管との接続金具に接続された、
置き型浴槽の設置構造。
【請求項2】
浴室床には溝が形成され、この溝に給湯器の管との接続金具が装着された、
請求項1に記載の置き型浴槽の設置構造。
【請求項3】
浴槽本体はネジ溝を備えた脚で支承され、この脚に浴室床面への固定金物が取り付けられた、
請求項1又は2に記載の置き型浴槽の設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、安定性に優れ、追い炊き装置の設置も可能な、置き型浴槽の設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
浴槽には、大別して置き型浴槽とユニットバスに組み込まれた浴槽とがある。
ユニットバスに組み込まれた浴槽は、浴室の壁面に固定されている。そのために、浴槽が独立して動くことはなく安定性に不足はなく、また、追い炊き用の配管(往き戻り管)は、浴槽の側壁から浴室の壁を挿通することによって、浴室内に露出させることなく配管することができる。
他方、置き型浴槽は、浴室の床面に浴槽を載置するようにしたものであり、通常、浴室の壁面から離れた位置に設置される。そのために、浴槽は壁面で支えられることはなく、安定性に欠け、浴槽の側壁上面に腰掛けた場合に浴槽が傾くことがある。また、浴槽の側壁と浴室の壁との間に空隙があるために、追い炊き用の配管が浴室内に露出して、美観を損なうという問題がある。
【0003】
浴槽本体の全周にエプロンを設けたものとして、特開2000-217731号の発明がある。この発明は、介護浴槽に関するものであって、手すりを取り付けるためにエプロンの上面を利用するものである。
【0004】
置き型浴槽は、浴槽の下面を床面から浮かせて設置することが通常である。この構造においては、浴槽の排水は浴槽の底に設けた排水口から床面に排出される。加えて、日本の入浴習慣では洗い場で体を洗うので、その際の汚水も浴槽の下方に流れ込む。そのために、浴槽下方の床面が汚れ、清掃が必要となる。また、追い炊きできるようにするためには、浴槽の周壁から湯水の往き戻り管を露出させて給湯器に接続する必要がある。
【0005】
置き型浴槽においても、浴槽の下部を僅かに床面に埋めることによって、床面の汚れを排除することもできる、しかしながら、置き型浴槽の需要者は、置き型浴槽ならではのデザイン性、とりわけ浴槽全体の形状を見ることができることを望む場合が多く、浴槽の下部を床面に埋めることは、浴槽のデザイン性を損なうものであって採用しにくい。
【0006】
後者は、浴槽はユニットバスのパネルと一体化されているので、洗い場の汚水が浴槽の下方に流れ込むことはない。そして、追い炊き用の湯水の往き戻り管及び給湯器の取付にも支障はないが、好みの形状の浴槽を選択しにくい、という問題がある。
【0007】
置き型の浴槽において、清掃に考慮した発明として実開昭61-24889号の発明がある。
この発明は、置き型の浴槽において、少なくとも浴室壁面と接する部位の浴槽上端外周縁に、上方へ突出する水返し部を形成することにより、湯水が浴室壁面と直接接触することを防止し、また浴槽と浴室壁面との間の清掃が容易になるようにしたものである。
【特許文献1】特開2000-217731号公報
【特許文献2】実開昭61-23889号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、置き型浴槽において、第一に、追い炊き用の給湯器を取り付けた場合において、その配管を露出させないようにすること、第二に浴槽の安定性を向上させること、そして浴槽下方の清掃を不要とすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、置き型浴槽の浴槽本体の全周にエプロンを設け、前記浴槽本体の底面は浴室床面より上に位置して両者間に空隙を設け、前記エプロンの下縁は浴室床面に接し、シーリングを施す。前記浴槽本体の周壁に追い炊き用の循環金具を取り付け、前記循環金具に往き戻り管の基端を接続する。そして、前記往き戻り管は、浴槽本体とエプロンの間、及び浴槽本体と浴室床面との間を引き回して、浴室床に設けられた給湯器の管との接続金具を介して給湯器に接続して、置き型浴槽の設置構造を構成するものである。
【0010】
前記浴槽本体とエプロンとは一体成型することにより、エプロンの浴槽を支承する機能が向上する。
前記浴槽本体の底面と浴室床面との間の空隙は、追い炊き用の管を配置するためのものであるから、追い炊き用の管を配置できるだけの高さがあれば足りる。
前記シーリングは、浴槽本体の下方に洗い場の汚水が流れ込むことを防止するものであり、エプロンの下縁にパッキンを取り付けても、コーキングを施してもよいが、コーキングによってエプロンを床面に固着することによって、浴槽の安定性を向上させることができる。
【0011】
浴室床に設けられた給湯器の管との接続金具は、浴室床に溝を設けて、この溝に装着することが好ましい(請求項2)。このように構成することによって、浴槽本体と浴室床面との間の間隙を低くすることができ、その結果、浴槽の高さを低く抑えることができる。
【0012】
請求項3の発明は、浴槽の安定性を一層高めるための構造であり、浴槽本体をネジ溝を備えた脚で支承し、この脚に浴室床面への支持金物を取り付けたものである。なお、浴槽本体の脚全てをネジ溝を備えた脚としなくともよく、浴槽の上縁部に腰掛けたときの浴槽の傾きを阻止するために最も必要とされる部位である、洗い場と反対側の両側の脚を、ネジ溝を備えた脚とすれば足りる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、置き型浴槽の浴槽本体の全周にエプロンを設け、前記浴槽本体の底面は浴室床面より上に位置して両者間に空隙を設け、前記エプロンの下縁は浴室床面に接し、前記浴槽本体の周壁に追い炊き用の循環金具を取り付け、前記循環金具に往き戻り管の基端を接続する。そして、前記往き戻り管は、浴槽本体とエプロンの間、及び浴槽本体と浴室床面との間を引き回して、浴室床に設けられた給湯器の管との接続金具に接続したので、置き型浴槽でありながら、追い炊き用の往き戻り管を露出させることなく給湯器に接続することができる。
また、浴槽の全周に設けたエプロンの下縁が浴室床面に接していることと、浴槽に回転力がかかった際に、浴槽本体に湯が回転力を減殺する力として働くので、浴槽の安定性が向上する。そして、エプロン下縁のシーリングにより、汚水の浴槽下方への流入を阻止することができる。
【0014】
請求項3の発明においては、浴槽本体の脚が固定金具によって浴槽床に固定されているので、浴槽の安定性は一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下この発明の実施例を説明する。
【実施例0017】
浴室Aの一側は浴槽設置部1、他側は洗い場2としてあり、双方に亘り床板3が面一に敷設してある。前記床板3には溝3aが形成してある。
前記浴槽設置部1には、浴槽4が設置してある。この浴槽4は、浴槽本体5の全周にエプロン6が、一体成型で設けてある。前記エプロン6の下縁は前記床板3の表面に接しており、両者間はシーリング7が施され、コーキング剤によって接着されている。
前記浴槽本体5は脚8で支承され、その下面5bと床板3の表面との間には空隙9が形成されている。
【0018】
前記浴槽本体5の周壁に追い炊き用の循環金具10が取り付けてあり、この循環金具10に往き戻り管11の基端が接続してある。この往き戻り管11は、浴槽本体5とエプロン6の間、及び浴槽本体5と浴室床板3との間を引き回され、浴室床に設けられた、給湯器12の往き戻り管13との接続金具14に接続してある。
前記接続金具14は、床板3に形成された溝3aに装着してある。その装着位置は、溝3aの側面又は底面のいずれでもよい。
【0019】
前記溝3aは洗い場2のトラップ15に至っており、前記浴槽本体5の底に接続された排水管16から流れる排水をトラップ15に導くようにしてある。
このような構造とすることにより、浴槽本体5の排水を、床板3の表面を汚すことなく、トラップ15から排出することができる。
【0020】
図3は、脚の固定装置を示すものである。
前記脚8のうち、洗い場と反対側の2本の脚8aは、先端部にネジ溝が設けてあり、このネジ溝部分に、転倒防止金具17が、上下をナット18,19で挟み込んで固定してある。前記転倒防止金具17はクランク状に屈曲された板であって、前記床板3に当接する面17aを備え、この面17aをボルト20で床板3に固定してある。
図中、符号21は樹脂製の脚カバーである。
【0021】
この実施例によれば、追い炊き用の湯水の往き戻り管11を露出させずに、追い炊き用の給湯器を設置することができ、エプロンの存在、エプロンと床板との接着、そして転倒防止金具の取付により、浴槽の傾動が防止される。また、エプロン下縁のシーリングにより浴槽下方の清掃も不要となる。
この発明は、置き型浴槽において、追い炊き用の給湯器を取り付けた場合において、その配管を露出させないようにすることを可能とすることができ、浴槽の安定性を高め、加えて浴槽下方の床面の清掃を不要とするものであり、産業上の利用可能性を有するものである。