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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062212
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】判定システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240430BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20240430BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240430BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240430BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20240430BHJP
【FI】
G08G1/16 F
G06Q50/30
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170066
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】井上 雄太
(72)【発明者】
【氏名】松下 陽介
(72)【発明者】
【氏名】長田 圭介
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC27
5H181EE02
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL20
5H181MB12
5H181MC27
5L049CC41
5L050CC41
(57)【要約】
【課題】眠気が正常であるか否かを判定できる判定システムを提供する。
【解決手段】判定システム10は、車両100を運転する運転者の眠気に関する眠気データと、運転者の眠気が正常であるか否かを判定するための基準となる眠気に関する基準データとに基づいて、運転者の眠気が正常であるか否かを判定する判定部18を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を運転する運転者の眠気に関する眠気データと、前記運転者の眠気が正常であるか否かを判定するための基準となる眠気に関する基準データとに基づいて、前記運転者の眠気が正常であるか否かを判定する判定部を備える、
判定システム。
【請求項2】
前記判定部は、前記眠気データが示す眠気の変化速度である第1変化速度と前記基準データが示す眠気の変化速度である第2変化速度とを比較し、前記第1変化速度が前記第2変化速度よりも大きい場合、前記運転者の眠気が正常でないと判定する、
請求項1に記載の判定システム。
【請求項3】
前記判定部は、前記眠気データを補正するための補正値を算出する、
請求項1または2に記載の判定システム。
【請求項4】
前記判定部は、眠気に影響を与える外的要因による前記運転者の眠気の変化を小さくする前記補正値を算出する、
請求項3に記載の判定システム。
【請求項5】
前記判定部は、前記運転者が昼食を摂取することによる前記運転者の眠気の変化を小さくする前記補正値を算出する、
請求項3に記載の判定システム。
【請求項6】
前記判定部は、前記眠気データが示しかつ前記運転者が前記移動体の運転を開始した運転開始地点における前記運転者の眠気である第1眠気と前記基準データが示しかつ前記運転開始地点における前記運転者の過去の眠気である第2眠気とを比較し、前記第1眠気が前記第2眠気よりも大きい場合、前記運転者の眠気が正常でないと判定する、
請求項1または2に記載の判定システム。
【請求項7】
前記判定部は、増加傾向である眠気を示す前記眠気データと前記基準データとに基づいて、前記運転者の眠気が正常であるか否かを判定する、
請求項1または2に記載の判定システム。
【請求項8】
前記判定部によって前記運転者の眠気が正常でないと判定された場合、前記運転者の眠気が正常でない要因を推定する推定部を備える、
請求項1または2に記載の判定システム。
【請求項9】
前記推定部は、前記眠気データと前記基準データとに基づいて、前記要因を推定する、
請求項8に記載の判定システム。
【請求項10】
前記推定部は、前記判定部によって前記運転者の眠気が正常でないと判定された区間、前記運転者が前記移動体の運転を開始した運転開始地点における前記運転者の眠気、および前記運転者の生体情報の少なくとも1つに基づいて、前記要因を推定する、
請求項8に記載の判定システム。
【請求項11】
前記推定部は、眠気に影響を与える内的要因を、前記要因として推定する、
請求項8に記載の判定システム。
【請求項12】
前記判定部の判定結果に基づいて、前記移動体への報告を制御する制御部を備える、
請求項1または2に記載の判定システム。
【請求項13】
前記眠気データが取得された経路と前記眠気データが取得された時間帯とに基づいて過去の眠気に関する1以上の過去データを抽出し、前記1以上の過去データに基づいて前記基準データを生成する生成部を備える、
請求項1または2に記載の判定システム。
【請求項14】
前記生成部は、前記眠気データが取得された経路と一致する経路において取得されかつ過去の眠気に関する複数の過去データ、前記眠気データが取得された経路と部分一致する経路において取得されかつ過去の眠気に関する複数の過去データ、または前記眠気データが取得された経路と始点が一致する経路における前記始点から所定区間において取得されかつ過去の眠気に関する複数の過去データを、前記1以上の過去データとして抽出する、
請求項13に記載の判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、眠気レベルが上昇するかを予測する眠気予測装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5696632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の眠気予測装置では、眠気が正常であるか否かを判定することは想定されていないという課題がある。
【0005】
そこで、本開示は、眠気が正常であるか否かを判定できる判定システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る判定システムは、移動体を運転する運転者の眠気に関する眠気データと、前記運転者の眠気が正常であるか否かを判定するための基準となる眠気に関する基準データとに基づいて、前記運転者の眠気が正常であるか否かを判定する判定部を備える。
【0007】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。また、記録媒体は、非一時的な記録媒体であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の判定システムは、眠気が正常であるか否かを判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る判定システム等を示す模式図である。
図2図2は、図1の判定システム等の機能構成を示すブロック図である。
図3図3は、図1の判定システムの機能構成を示すブロック図である。
図4図4は、図1の判定システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、図4のステップS2における動作の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、図4のステップS3における動作の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、図4のステップS4における動作の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、図7のステップS31における動作の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、図7のステップS32における動作の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、図9の動作の続きの動作の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、図4のステップS7における動作の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、図1の判定システムの他の動作の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、図4のステップS7における動作の他の一例を示すフローチャートである。
図14図14は、図13のステップS93における動作の一例を示すフローチャートである。
図15図15は、図4のステップS4における動作の他の一例を示すフローチャートである。
図16図16は、正常な眠気および異常な眠気の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一態様に係る判定システムは、移動体を運転する運転者の眠気に関する眠気データと、前記運転者の眠気が正常であるか否かを判定するための基準となる眠気に関する基準データとに基づいて、前記運転者の眠気が正常であるか否かを判定する判定部を備える。
【0011】
これによれば、眠気データと基準データとに基づいて、運転者の眠気が正常であるか否かを判定できる。
【0012】
また、本開示の一態様に係る判定システムにおいて、前記判定部は、前記眠気データが示す眠気の変化速度である第1変化速度と前記基準データが示す眠気の変化速度である第2変化速度とを比較し、前記第1変化速度が前記第2変化速度よりも大きい場合、前記運転者の眠気が正常でないと判定してもよい。
【0013】
これによれば、第1変化速度が第2変化速度よりも大きい場合、運転者の眠気が正常でないと判定できる。
【0014】
また、本開示の一態様に係る判定システムにおいて、前記判定部は、前記眠気データを補正するための補正値を算出してもよい。
【0015】
これによれば、補正値を用いて補正された眠気データと基準データとに基づいて、運転者の眠気が正常であるか否かを判定できるので、運転者の眠気が正常であるか否かをより精度良く判定できる。
【0016】
また、本開示の一態様に係る判定システムにおいて、前記判定部は、眠気に影響を与える外的要因による前記運転者の眠気の変化を小さくする前記補正値を算出してもよい。
【0017】
これによれば、外的要因による運転者の眠気の変化が小さくなるように補正された眠気データと基準データとに基づいて、運転者の眠気が正常であるか否かを判定できるので、外的要因以外の要因によって眠気が正常でなくなっているか否かをより精度良く判定できる。
【0018】
また、本開示の一態様に係る判定システムにおいて、前記判定部は、前記運転者が昼食を摂取することによる前記運転者の眠気の変化を小さくする前記補正値を算出してもよい。
【0019】
これによれば、昼食を摂取することによる運転者の眠気の変化が小さくなるように補正された眠気データと基準データとに基づいて、運転者の眠気が正常であるか否かを判定できるので、昼食を摂取すること以外の要因によって眠気が正常でなくなっているか否かをより精度良く判定できる。
【0020】
また、本開示の一態様に係る判定システムにおいて、前記判定部は、前記眠気データが示しかつ前記運転者が前記移動体の運転を開始した運転開始地点における前記運転者の眠気である第1眠気と前記基準データが示しかつ前記運転開始地点における前記運転者の過去の眠気である第2眠気とを比較し、前記第1眠気が前記第2眠気よりも大きい場合、前記運転者の眠気が正常でないと判定してもよい。
【0021】
これによれば、第1眠気が第2眠気よりも大きい場合、運転者の眠気が正常でないと判定できる。
【0022】
また、本開示の一態様に係る判定システムにおいて、前記判定部は、増加傾向である眠気を示す前記眠気データと前記基準データとに基づいて、前記運転者の眠気が正常であるか否かを判定してもよい。
【0023】
これによれば、運転者の眠気の増大が進んでいる状態における、運転者の眠気が正常であるか否かを判定できる。
【0024】
また、本開示の一態様に係る判定システムは、前記判定部によって前記運転者の眠気が正常でないと判定された場合、前記運転者の眠気が正常でない要因を推定する推定部を備えてもよい。
【0025】
これによれば、運転者の眠気が正常でない要因を推定できる。
【0026】
また、本開示の一態様に係る判定システムにおいて、前記推定部は、前記眠気データと前記基準データとに基づいて、前記要因を推定してもよい。
【0027】
これによれば、眠気データと基準データとに基づいて運転者の眠気が正常でない要因を推定できるので、運転者の眠気が正常でない要因をより精度良く推定できる。
【0028】
また、本開示の一態様に係る判定システムにおいて、前記推定部は、前記判定部によって前記運転者の眠気が正常でないと判定された区間、前記運転者が前記移動体の運転を開始した運転開始地点における前記運転者の眠気、および前記運転者の生体情報の少なくとも1つに基づいて、前記要因を推定してもよい。
【0029】
これによれば、判定部によって運転者の眠気が正常でないと判定された区間、運転者が移動体の運転を開始した運転開始地点における運転者の眠気、および運転者の生体情報の少なくとも1つに基づいて、運転者の眠気が正常でない要因を推定できるので、運転者の眠気が正常でない要因をより精度良く推定できる。
【0030】
また、本開示の一態様に係る判定システムにおいて、前記推定部は、眠気に影響を与える内的要因を、前記要因として推定してもよい。
【0031】
これによれば、運転者の眠気が正常でない内的要因を推定できる。
【0032】
また、本開示の一態様に係る判定システムは、前記判定部の判定結果に基づいて、前記移動体への報告を制御する制御部を備えてもよい。
【0033】
これによれば、判定部の判定結果に基づいて移動体への報告を制御できるので、移動体の運転者は、運転者の眠気が正常である場合には特に報告を受けず、運転者の眠気が正常でない場合に報告を受けることができる。
【0034】
また、本開示の一態様に係る判定システムは、前記眠気データが取得された経路と前記眠気データが取得された時間帯とに基づいて過去の眠気に関する1以上の過去データを抽出し、前記1以上の過去データに基づいて前記基準データを生成する生成部を備えてもよい。
【0035】
これによれば、眠気データが取得された経路および時間帯に基づいて抽出された1以上の過去データを用いて基準データを生成できるので、運転者の眠気が正常であるか否かをより精度良く判定できる。
【0036】
また、本開示の一態様に係る判定システムにおいて、前記生成部は、前記眠気データが取得された経路と一致する経路において取得されかつ過去の眠気に関する複数の過去データ、前記眠気データが取得された経路と部分一致する経路において取得されかつ過去の眠気に関する複数の過去データ、または前記眠気データが取得された経路と始点が一致する経路における前記始点から所定区間において取得されかつ過去の眠気に関する複数の過去データを、前記1以上の過去データとして抽出してもよい。
【0037】
これによれば、眠気データが取得された経路と一致または類似している経路において取得された1以上の過去データを用いて基準データを生成できるので、運転者の眠気が正常であるか否かをより精度良く判定できる。
【0038】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0039】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0040】
(実施の形態)
図1は、実施の形態に係る判定システム10等を示す模式図である。
【0041】
判定システム10は、車両100の運転者の眠気が正常であるか否かを判定するシステムである。図1に示すように、判定システム10は、処理サーバ12と、データベース14とを備える。処理サーバ12は、種々の処理を行う。データベース14は、処理サーバ12による処理に用いられる種々のデータ等を含むデータベースである。たとえば、判定システム10は、クラウドによって実現される。
【0042】
車両100は、移動体の一例である。たとえば、車両100は、自動車である。なお、たとえば、移動体は、車輪のない乗物等であってもよい。車両100の運転者は、車両100に乗って車両100を運転する。たとえば、車両100は、荷物を配送するための車両であり、運転者は、予め決められた経路にしたがって車両100を走行させる。たとえば、車両100は、1以上のセンサを有し、1以上のセンサを用いて取得されたセンサデータを判定システム10に送信する。たとえば、1以上のセンサは、運転者の眠気を推定するためのセンサ、運転者の生体情報を検出するためのセンサ、車両100が走行する経路に関する経路情報を検出するためのセンサ、および車両100に関する車両情報を検出するためのセンサ等を含む。本実施の形態では、1以上のセンサは、ドライブレコーダ101と、ドライバモニタリングシステム102とを含む。
【0043】
運行管理システム200は、車両100の運行を管理する。運行管理システム200は、データベース201を有する。データベース201は、車両100の運行管理に関する運行管理データ等を含むデータベースである。たとえば、運行管理データは、車両100が走行する経路、および車両100が経路を走行する時間帯等を示す。運行管理システム200は、運行管理データを判定システム10に送信する。たとえば、運行管理システム200は、コンピュータ等によって実現される。
【0044】
判定システム10は、センサデータおよび運行管理データに基づいて運転者の眠気が正常であるか否かの判定処理等を行い、処理結果を車両100および運行管理システム200に送信する。
【0045】
図2は、図1の判定システム10等の機能構成を示すブロック図である。
【0046】
図2に示すように、車両100は、眠気推定部103をさらに有する。眠気推定部103は、運転者の眠気を推定する。たとえば、眠気推定部103は、運転者の眠気レベルを推定する。眠気レベルは、眠気の大きさ(強さ)を示す指標であり、眠気レベルが高い程、大きい(強い)眠気を感じていることを示す。つまり、たとえば、眠気推定部103は、運転者がどれくらいの大きさの眠気を感じているかを推定する。たとえば、眠気推定部103は、ドライバモニタリングシステム102によって得られた運転者の瞬きの頻度および運転者の口の動き等に基づいて、運転者の眠気を推定する。たとえば、眠気推定部103は、運転者の瞬きの頻度が多い程、運転者の眠気レベルが高いと推定する。また、たとえば、眠気推定部103は、運転者の口が動く頻度が低い程、運転者の眠気レベルが高いと推定する。たとえば、眠気推定部103は、所定時間間隔で繰り返し運転者の眠気を推定する。眠気推定部103は、運転者の眠気を示す眠気データを判定システム10に送信する。たとえば、眠気データは、運転者の眠気レベルの時系列データである。たとえば、眠気推定部103は、プロセッサ等によって実現される。なお、たとえば、車両100ではなく、判定システム10が、眠気推定部103を有していてもよい。
【0047】
判定システム10は、生成部16と、判定部18と、要因推定部20と、制御部22とを備える。たとえば、生成部16、判定部18、要因推定部20、および制御部22は、プロセッサ、メモリ、および無線通信モジュール等によって実現される。
【0048】
生成部16は、眠気データが取得された経路と眠気データが取得された時間帯とに基づいて過去の眠気に関する1以上の過去データを抽出し、1以上の過去データに基づいて基準データを生成する。基準データは、運転者の眠気が正常であるか否かを判定するための基準となる眠気に関するデータである。たとえば、基準データは、眠気レベルの時系列データである。たとえば、生成部16は、車両100が走行している経路、車両100が経路を走行している時間帯、および車両100が走行している経路の交通状況等に基づいて、基準データを生成する。たとえば、車両100が走行している経路、車両100が経路を走行している時間帯、および車両100が走行している経路の交通状況等を示す情報は、センサデータおよび運行管理データ等に含まれる。
【0049】
判定部18は、運転者の眠気が正常であるか否かを判定する。判定部18は、車両100を運転する運転者の眠気に関する眠気データと、運転者の眠気が正常であるか否かを判定するための基準となる眠気に関する基準データとに基づいて、運転者の眠気が正常であるか否かを判定する。たとえば、判定部18は、運転者の眠気レベルの上昇速度(増加速度)と、許容できる眠気の上昇速度(増加速度)である許容上昇速度とを比較し、運転者の眠気レベルの上昇速度が許容上昇速度よりも大きい場合、運転者の眠気が正常でないと判定する。また、たとえば、判定部18は、運転者の眠気レベルと、許容できる眠気レベルである許容眠気レベルとを比較し、運転者の眠気レベルが許容眠気レベルよりも大きい場合、運転者の眠気が正常でないと判定する。たとえば、許容上昇速度は、基準データが示す眠気レベルの上昇速度に閾値を加算した上昇速度であり、許容眠気レベルは、基準データが示す眠気レベルに閾値を加算した眠気レベルである。図16は、正常な眠気および異常な眠気の一例を示すグラフである。ここでは、図16に示すように、退屈、長時間運転等が原因の眠気については、正常な眠気とする。一方、睡眠不足、疲労等が原因の眠気については、正常でない眠気つまり異常な眠気とする。睡眠不足等の運転者の体調に関わる要因により、眠気が早急に進む状態(眠気レベルの上昇速度が許容上昇速度よりも大きい状態)である場合(図16の二点鎖線で囲まれた部分を参照)、眠気に異常性があるつまり運転者の眠気が正常でないとする。
【0050】
判定部18は、判定結果を出力する。たとえば、判定結果は、運転者の眠気が正常であるか否か、および運転者の眠気が正常でない場合における眠気の異常の現れ方等を示す。たとえば、運転者の眠気が正常でない場合における眠気の異常の現れ方は、運転者の眠気の変化速度、運転者の眠気の大きさ、運転者の眠気が正常でない(異常である)区間、および運転者の眠気が正常でなくなった(異常になった)タイミング等によって示される。
【0051】
要因推定部20は、判定部18によって運転者の眠気が正常でないと判定された場合、運転者の眠気が正常でない要因を推定する推定部の一例である。たとえば、要因推定部20は、判定部18の判定結果、車両100が走行している経路、車両100が経路を走行している時間帯、および車両100が走行している経路の交通状況等に基づいて、運転者の眠気が正常でない要因を推定する。たとえば、車両100が走行している経路、車両100が経路を走行している時間帯、および車両100が走行している経路の交通状況等を示す情報は、センサデータおよび運行管理データ等に含まれる。要因推定部20は、推定結果を出力する。たとえば、推定結果は、運転者の眠気が正常でない要因を示す。具体的には、たとえば、推定結果は、服薬が要因である可能性の度合い、睡眠不足が要因である可能性の度合い、および前日疲労が要因である可能性の度合い等を示す。
【0052】
制御部22は、判定部18の判定結果に基づいて、車両100への報告を制御する。たとえば、制御部22は、判定部18によって運転者の眠気が正常でないと判定された場合、車両100に対して、運転者の眠気が正常でないことの報告を行う。たとえば、制御部22は、運転者の眠気が正常でないことを示す情報を車両100に送信することによって、車両100に対して、運転者の眠気が正常でないことの報告を行う。また、たとえば、制御部22は、要因推定部20によって要因が推定された場合、車両100に対して、運転者の眠気が正常でない要因の報告を行う。たとえば、制御部22は、要因推定部20によって推定された要因を示す情報を車両100に送信することによって、車両100に対して、運転者の眠気が正常でない要因の報告を行う。また、たとえば、制御部22は、判定部18によって運転者の眠気が正常であると判定された場合、車両100に対して報告を行わない。制御部22は、同様に、運行管理システム200への報告も制御する。
【0053】
図3は、図1の判定システム10の機能構成を示すブロック図である。
【0054】
図3に示すように、判定システム10は、データ取得部24をさらに備える。
【0055】
データ取得部24は、センサデータを取得するセンサデータ取得部26と、眠気データを取得する眠気データ取得部28と、運行管理データを取得する運行管理データ取得部30とを有する。データ取得部24は、取得したセンサデータと眠気データと運行管理データとを、生成部16と判定部18と要因推定部20とに送信する。たとえば、データ取得部24は、無線通信モジュール等によって実現される。
【0056】
生成部16は、データベース32と、抽出部34と、基準データ生成部36とを有する。データベース32は、過去の眠気に関する1以上の過去データを含むデータベースである。たとえば、1以上の過去データのそれぞれは、眠気レベルの時系列データである。抽出部34は、眠気データが取得された経路と眠気データが取得された時間帯とに基づいて、1以上の過去データを抽出する。本実施の形態では、抽出部34は、データベース32から1以上の過去データを抽出する。基準データ生成部36は、抽出された1以上の過去データに基づいて基準データを生成する。
【0057】
判定部18は、データベース38と、処理部40と、補正部42と、比較部44とを有する。データベース38は、基準データ等を含むデータベースである。処理部40は、種々の処理を行う。たとえば、処理部40は、データ取得部24によって取得された眠気データが運転者の眠気が正常であるか否かを判定するためのデータとして適切か否かを判定するための処理等を行う。補正部42は、眠気データを補正するための補正値を算出し、補正値を用いて眠気データを補正する。比較部44は、眠気データと基準データとを比較する。
【0058】
センサデータ取得部26、眠気データ取得部28、運行管理データ取得部30、抽出部34、基準データ生成部36、処理部40、補正部42、比較部44、要因推定部20、および制御部22は、処理サーバ12に含まれる。また、データベース32およびデータベース38は、データベース14に含まれる。
【0059】
図4は、図1の判定システム10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0060】
図4に示すように、まず、判定システム10は、センサデータ、眠気データ、および運行管理データを取得する(ステップS1)。本実施の形態では、データ取得部24が、センサデータ、眠気データ、および運行管理データを取得する。
【0061】
判定システム10は、基準データ生成用の1以上の過去データを抽出する(ステップS2)。本実施の形態では、生成部16が、1以上の過去データを抽出する。
【0062】
判定システム10は、基準データを生成する(ステップS3)。本実施の形態では、生成部16が、1以上の過去データを用いて基準データを生成する。
【0063】
判定システム10は、運転者の眠気が正常であるか否かを判定する(ステップS4)。本実施の形態では、判定部18が、運転者の眠気が正常であるか否かを判定する。
【0064】
判定システム10は、運転者の眠気が正常であると判定されたか否かを判定する(ステップS5)。本実施の形態では、判定部18が、運転者の眠気が正常であると判定されたか否かを判定する。
【0065】
判定システム10は、運転者の眠気が正常であると判定された場合(ステップS5でYes)、報告を行わず(ステップS6)、処理を終了する。たとえば、制御部22は、運転者の眠気が正常であると判定された場合、報告を行わない。
【0066】
判定システム10は、運転者の眠気が正常でないと判定された場合(ステップS5でNo)、運転者の眠気が正常でない要因を推定する(ステップS7)。たとえば、要因推定部20は、運転者の眠気が正常でないと判定された場合、運転者の眠気が正常でない要因を推定する。
【0067】
判定システム10は、運転者の眠気が正常でない要因を推定すると、報告を行う(ステップS8)。たとえば、制御部22は、運転者の眠気が正常でないと判定された場合、報告を行う。
【0068】
図5は、図4のステップS2における動作の一例を示すフローチャートである。
【0069】
図5に示すように、まず、抽出部34は、運転者が車両100の運転を開始した運転開始地点から車両100の現在地点までの経路と一致する経路に係る過去データが所定数以上あるか否かを判定する(ステップS11)。たとえば、運転者が車両100の運転を開始した運転開始地点から車両100の現在地点までの経路と一致する経路は、運転者が車両100の運転を開始した運転開始地点から車両100の現在地点までの経路の全部と一致する経路である。たとえば、過去データは、過去の眠気に関するデータであり、眠気レベルの時系列データである。たとえば、運転者が車両100の運転を開始した運転開始地点から車両100の現在地点までの経路と一致する経路に係る過去データは、運転者が過去に当該経路にしたがって車両100を走行させているときに取得された運転者の眠気レベルの時系列データである。たとえば、抽出部34は、現在から遡って所定年数の範囲において取得された複数の過去データのうちから、過去データが所定数以上あるか否かを判定する。
【0070】
抽出部34は、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と一致する経路に係る過去データが所定数以上ある場合(ステップS11でYes)、当該過去データが取得された時間帯を取得する(ステップS12)。たとえば、過去データには当該過去データが取得された時刻を示すタイムスタンプが紐付けられている。具体的には、たとえば、過去データには当該過去データが示す各眠気レベルが得られた時刻を示すタイムスタンプが紐付けられている。
【0071】
抽出部34は、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と一致する経路に係る過去データが所定数以上ない場合(ステップS11でNo)、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と部分一致する経路に係る過去データが所定数以上あるか否かを判定する(ステップS13)。たとえば、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と部分一致する経路に係る過去データは、運転者が過去に当該経路にしたがって車両100を走行させているときに取得された運転者の眠気レベルの時系列データである。
【0072】
抽出部34は、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と部分一致する経路に係る過去データが所定数以上ある場合(ステップS13でYes)、一致区間に係る過去データが取得された時間帯を取得する(ステップS14)。一致区間は、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と部分一致する経路のうち、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と一致する区間である。
【0073】
抽出部34は、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と部分一致する経路に係る過去データが所定数以上ない場合(ステップS13でNo)、運転開始地点が一致する経路に係る過去データが所定数以上あるか否かを判定する(ステップS15)。つまり、抽出部34は、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と部分一致する経路に係る過去データが所定数以上ない場合、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と始点が一致する経路に係る過去データが所定数以上あるか否かを判定する。
【0074】
抽出部34は、運転開始地点が一致する経路に係る過去データが所定数以上ある場合(ステップS15でYes)、所定区間に係る過去データが取得された時間帯を取得する(ステップS16)。たとえば、所定区間は、運転開始から数十分程度の時間区間である。
【0075】
抽出部34は、運転開始地点が一致する経路に係る過去データが所定数以上ない場合(ステップS15でNo)、処理を終了する。
【0076】
抽出部34は、時間帯一致率が閾値より高い過去データを抽出する(ステップS17)。たとえば、24時間(1日)を4時間毎に6つの時間帯に分け、過去データが取得された時間帯が、眠気データが取得された時間帯と同じ時間帯であれば一致率を100とし、眠気データが取得された時間帯と隣り合う時間帯であれば一致率を80とし、眠気データが取得された時間帯と1つの時間帯を挟んで隣り合う時間帯であれば一致率を60とし、眠気データが取得された時間帯と2つの時間帯を挟んで隣り合う時間帯であれば一致率を40とする。たとえば、閾値は50であり、抽出部34は、ステップS11、ステップS13、またはステップS15であると判定された所定数以上の過去データのうち、一致率が50よりも大きい過去データを抽出する。
【0077】
抽出部34は、抽出された過去データが所定数以上あるか否かを判定する(ステップS18)。具体的には、抽出部34は、ステップS17で抽出された過去データが所定数以上あるか否かを判定する。
【0078】
抽出部34は、抽出された過去データが所定数以上ある場合(ステップS18でYes)、処理を終了する。
【0079】
抽出部34は、抽出された過去データが所定数以上ない場合(ステップS18でNo)、過去データが所定数以上になるように、時間帯一致率が閾値以下の過去データのうち時間帯一致率がより高い過去データから順番に抽出し(ステップS19)、処理を終了する。
【0080】
このように、生成部16は、眠気データが取得された経路と一致する経路において取得されかつ過去の眠気に関する複数の過去データ、眠気データが取得された経路と部分一致する経路において取得されかつ過去の眠気に関する複数の過去データ、または眠気データが取得された経路と始点が一致する経路における始点から所定区間において取得されかつ過去の眠気に関する複数の過去データを、1以上の過去データとして抽出する。
【0081】
図6は、図4のステップS3における動作の一例を示すフローチャートである。
【0082】
図6に示すように、まず、基準データ生成部36は、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と一致する経路に係る過去データか否かを判定する(ステップS21)。たとえば、基準データ生成部36は、ステップS2において抽出された1以上の過去データが車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と一致する経路に係る過去データであるか否かを判定する。
【0083】
基準データ生成部36は、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と一致する経路に係る過去データでない場合(ステップS21でNo)、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と部分一致する経路に係る過去データか否かを判定する(ステップS22)。たとえば、基準データ生成部36は、ステップS2において抽出された1以上の過去データが車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と部分一致する経路に係る過去データであるか否かを判定する。
【0084】
基準データ生成部36は、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と部分一致する経路に係る過去データである場合(ステップS22でYes)、一致区間に係る過去データを抽出する(ステップS23)。
【0085】
基準データ生成部36は、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と部分一致する経路に係る過去データでない場合(ステップS22でNo)、運転開始地点が一致する経路に係る過去データか否かを判定する(ステップS24)。たとえば、基準データ生成部36は、ステップS2において抽出された1以上の過去データが運転開始地点が一致する経路に係る過去データであるか否かを判定する。
【0086】
基準データ生成部36は、運転開始地点が一致する経路に係る過去データでない場合(ステップS24でNo)、処理を終了する。
【0087】
基準データ生成部36は、運転開始地点が一致する経路に係る過去データである場合(ステップS24でYes)、所定区間に係る過去データを抽出する(ステップS25)。
【0088】
基準データ生成部36は、時間帯が一致しているか否かを判定する(ステップS26)。たとえば、基準データ生成部36は、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と一致する経路に係る1以上の過去データのそれぞれが取得された時間帯が、眠気データが取得された時間帯と一致していれば、時間帯が一致していると判定する。一方、基準データ生成部36は、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と一致する経路に係る1以上の過去データの少なくとも1つが取得された時間帯が、眠気データが取得された時間帯と一致していなければ、時間帯が一致していないと判定する。また、たとえば、基準データ生成部36は、ステップS23またはステップS25で抽出した1以上の過去データのそれぞれが取得された時間帯が、眠気データが取得された時間帯と一致していれば、時間帯が一致していると判定する。一方、基準データ生成部36は、ステップS23またはステップS25で抽出した1以上の過去データの少なくとも1つが取得された時間帯が、眠気データが取得された時間帯と一致していなければ、時間帯が一致していないと判定する。
【0089】
基準データ生成部36は、時間帯が一致している場合(ステップS26でYes)、(Σ(過去データ))/(過去データ数)によって基準データを算出する(ステップS27)。たとえば、基準データ生成部36は、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と一致する経路に係る1以上の過去データを合算し、合算したデータを1以上の過去データの個数で除算することによって基準データを算出する。また、たとえば、基準データ生成部36は、ステップS23またはステップS25で抽出した1以上の過去データを合算し、合算したデータを1以上の過去データの個数で除算することによって、基準データを算出する。たとえば、1以上の過去データを合算することは、1以上の過去データが示す各時刻の眠気レベルを合算することであり、合算したデータを1以上の過去データの個数で除算することは、合算して得られた各時刻の眠気レベルを1以上の過去データの個数で除算することである。
【0090】
基準データ生成部36は、時間帯が一致していない場合(ステップS26でNo)、(Σ(重み係数×過去データ))/(Σ(重み係数))によって眠気データを算出する(ステップS28)。重み係数は、時間帯の一致率が高い程大きい値に設定される。たとえば、時間帯の一致率が100の過去データには、10という重み係数が乗算され、時間帯の一致率が80の過去データには、8という重み係数が乗算され、時間帯の一致率が60の過去データには、6という重み係数が乗算され、時間帯の一致率が40の過去データには、4という重み係数が乗算され、時間帯の一致率が20の過去データには、2という重み係数が乗算される。たとえば、基準データ生成部36は、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と一致する経路に係る1以上の過去データのそれぞれに重み係数をかけて合算し、合算したデータを1以上の過去データに乗算された1以上の重み係数の値を合算した値で除算することによって基準データを算出する。また、たとえば、基準データ生成部36は、ステップS23またはステップS25で抽出した1以上の過去データのそれぞれに重み係数をかけて合算し、合算したデータを1以上の過去データに乗算された1以上の重み係数の値を合算した値で除算することによって、基準データを算出する。たとえば、1以上の過去データのそれぞれに重み係数をかけて合算することは、1以上の過去データが示す各時刻の眠気レベルに重み係数をかけ、重み係数をかけて得られた各時刻の眠気レベルを合算することであり、合算したデータを1以上の過去データに乗算された1以上の重み係数の値を合算した値で除算することは、合算して得られた各時刻の眠気レベルを1以上の過去データに乗算された1以上の重み係数の値を合算した値で除算することである。
【0091】
図7は、図4のステップS4における動作の一例を示すフローチャートである。
【0092】
図7に示すように、まず、判定部18は、眠気データを補正する(ステップS31)。
【0093】
判定部18は、基準データと眠気データとを比較して眠気が正常か否か判定する(ステップS32)。
【0094】
図8は、図7のステップS31における動作の一例を示すフローチャートである。
【0095】
図8に示すように、まず、補正部42は、外的要因に応じた補正値を取得する(ステップS41)。外的要因は、眠気に影響を与える外的な要因である。外的要因に応じた補正値は、外的要因による運転者の眠気の変化を小さくする補正値である。たとえば、外的要因は、天気、渋滞、月、日、および室温等である。
【0096】
補正部42は、補正値を用いて眠気データを補正する(ステップS42)。
【0097】
補正部42は、全ての外的要因について補正が終了したか否かを判定する(ステップS43)。
【0098】
補正部42は、全ての外的要因について補正が終了していない場合(ステップS43でNo)、まだ取得していない外的要因に応じた補正値を取得する(ステップS41)。
【0099】
補正部42は、全ての外的要因について補正が終了している場合(ステップS43でYes)、処理を終了する。
【0100】
図9は、図7のステップS32における動作の一例を示すフローチャートである。図10は、図9の動作の続きの動作の一例を示すフローチャートである。
【0101】
図9に示すように、まず、処理部40は、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と一致する経路に係る基準データか否かを判定する(ステップS51)。車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と一致する経路に係る基準データは、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と一致する経路に係る1以上の過去データを用いて生成された基準データである。
【0102】
処理部40は、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と一致する経路に係る基準データである場合(ステップS51でYes)、眠気データと基準データとの比較の時間窓を運転開始地点から現在地点に設定する(ステップS52)。
【0103】
処理部40は、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と一致する経路に係る基準データでない場合(ステップS51でNo)、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と部分一致する経路に係る基準データであるか否かを判定する(ステップS53)。車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と部分一致する経路に係る基準データは、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と部分一致する経路に係る1以上の過去データを用いて生成された基準データである。
【0104】
処理部40は、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と部分一致する経路に係る基準データである場合(ステップS53でYes)、眠気データと基準データとの比較の時間窓を一致区間に設定する(ステップS54)。
【0105】
処理部40は、時間窓を設定すると、眠気データが増加傾向であるか否かを判定する(ステップS55)。たとえば、処理部40は、眠気データ(時系列データ)をローパスフィルタに通し、小さな振動の無い眠気データを生成した後、当該眠気データに対して時間差分値を計算し、単調増加性を判定し、眠気データが増加傾向であるか否かを判定する。
【0106】
処理部40は、眠気データが増加傾向でない場合(ステップS55でNo)、処理を終了する。
【0107】
比較部44は、眠気データが増加傾向である場合(ステップS55でYes)、図10に示すように、運転開始地点において眠気が基準眠気よりも閾値以上大きいか否かを判定する(ステップS56)。基準眠気は、基準データが示す眠気である。たとえば、閾値が0.5である場合、比較部44は、運転開始地点における眠気の眠気レベルが、運転開始地点における基準眠気の眠気レベルに0.5を加算したレベル以上か否かを判定する。
【0108】
比較部44は、運転開始地点において眠気が基準眠気よりも閾値以上大きい場合(ステップS56でYes)、初期の眠気が正常でないと判定する(ステップS57)。
【0109】
比較部44は、運転開始地点において眠気が基準眠気よりも閾値以上大きくない場合(ステップS56でNo)、眠気の変化速度が基準眠気の変化速度より閾値以上に大きいか否かを判定する(ステップS58)。たとえば、閾値が0.5である場合、比較部44は、眠気が上昇する速度(変化速度)が、基準眠気が上昇する速度(変化速度)に0.5を加算した速度以上か否かを判定する。
【0110】
比較部44は、眠気の変化速度が基準眠気の変化速度より閾値以上に大きい場合(ステップS58でYes)、眠気の変化速度が正常でないと判定する(ステップS59)。
【0111】
比較部44は、眠気の変化速度が基準眠気の変化速度より閾値以上に大きくない場合(ステップS58でNo)、初期の眠気が正常でないと判定したか否かを判定する(ステップS60)。
【0112】
比較部44は、眠気の変化速度が正常でないと判定した場合(ステップS59)、および初期の眠気が正常でないと判定した場合(ステップS60でYes)、眠気が正常でないと判定する(ステップS61)。
【0113】
比較部44は、初期の眠気が正常でないと判定されていない場合(ステップS60でNo)、眠気が正常であると判定し(ステップS62)、処理を終了する。
【0114】
図9に戻って、処理部40は、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路と部分一致する経路に係る基準データでない場合(ステップS53でNo)、運転開始地点が一致する経路に係る過去データであるか否かを判定する(ステップS63)。
【0115】
比較部44は、運転開始地点が一致する経路に係る過去データである場合(ステップS63でYes)、図10に示すように、運転開始地点において眠気が基準眠気よりも閾値以上大きいか否かを判定する(ステップS64)。比較部44は、ステップS56と同様にして、運転開始地点において眠気が基準眠気よりも閾値以上大きいか否かを判定する。
【0116】
比較部44は、運転開始地点において眠気が基準眠気よりも閾値以上大きい場合(ステップS64でYes)、初期の眠気が正常でないと判定する(ステップS65)。
【0117】
比較部44は、運転開始地点において眠気が基準眠気よりも閾値以上大きくない場合(ステップS64でNo)、眠気が正常であると判定し(ステップS62)、処理を終了する。
【0118】
図9に戻って、処理部40は、運転開始地点が一致する経路に係る過去データでない場合(ステップS63でNo)、図10に示すように、処理を終了する。
【0119】
このように、判定部18は、眠気データが示す眠気の変化速度である第1変化速度と基準データが示す眠気の変化速度である第2変化速度とを比較し、第1変化速度が第2変化速度よりも大きい場合、運転者の眠気が正常でないと判定する。
【0120】
また、判定部18は、眠気データが示しかつ運転者が車両100の運転を開始した運転開始地点における運転者の眠気である第1眠気と基準データが示しかつ運転開始地点における運転者の過去の眠気である第2眠気とを比較し、第1眠気が第2眠気よりも大きい場合、運転者の眠気が正常でないと判定する。
【0121】
また、判定部18は、増加傾向である眠気を示す眠気データと基準データとに基づいて、運転者の眠気が正常であるか否かを判定する。
【0122】
図11は、図4のステップS7における動作の一例を示すフローチャートである。
【0123】
図11に示すように、まず、要因推定部20は、要因推定用の参考データがあるか否かを判定する(ステップS71)。たとえば、参考データは、眠気データが取得された月または日等を示すデータである。
【0124】
要因推定部20は、参考データがある場合(ステップS71でYes)、参考データに基づいて要因を推定する(ステップS72)。たとえば、要因推定部20は、参考データが示す月が花粉が多い花粉月である場合、花粉症による服薬が要因であると推定する。このように、たとえば、要因推定部20は、内的要因を、運転者の眠気が正常でない要因として推定する。たとえば、内的要因は、服薬、睡眠不足、および前日疲労等である。
【0125】
要因推定部20は、参考データがない場合(ステップS71でNo)、処理を終了する。
【0126】
図12は、図1の判定システム10の他の動作の一例を示すフローチャートである。
【0127】
図12に示すように、まず、補正部42は、過去データを外的要因の種別毎に分類する(ステップS81)。たとえば、外的要因が、天気の場合、外的要因の種別は、晴れ、曇り、雨、および雪等である。また、たとえば、外的要因が、渋滞の場合、外的要因の種別は、有り、および無し等である。また、たとえば、外的要因が、室温、湿度、気圧、照度の場合、外的要因の種別は、各範囲である。また、たとえば、外的要因が、月の場合、外的要因の種別は、1から12月である。たとえば、補正部42は、晴れのときに取得された過去データ、曇りのときに取得された過去データ、雨のときに取得された過去データ、および雪のときに取得された過去データに分類する。
【0128】
補正部42は、どの種別についても所定数以上の過去データがある経路を抽出する(ステップS82)。たとえば、補正部42は、晴れのときに取得された過去データ、曇りのときに取得された過去データ、雨のときに取得された過去データ、および雪のときに取得された過去データのそれぞれが所定数以上ある経路を抽出する。
【0129】
補正部42は、影響を受ける外的要因があるか否かを判定する(ステップS83)。たとえば、天気、渋滞、室温、湿度、気圧、照度は、影響を受けない外的要因であり、月は、影響を受ける外的要因である。たとえば、補正部42は、天気の種別毎に分類した複数の過去データが取得された月の種別が異なっている場合、影響を受ける外的要因があると判定する。
【0130】
補正部42は、影響を受ける外的要因がある場合(ステップS83でYes)、影響を受ける外的要因について過去データを補正する(ステップS84)。たとえば、補正部42は、天気の種別毎に分類した複数の過去データのうち花粉月(たとえば、3月、4月)に分類された過去データを小さくするように補正する。
【0131】
補正部42は、影響を受ける外的要因がない場合(ステップS83でNo)、および影響を受ける外的要因について過去データを補正した場合(ステップS84)、外的要因の種別毎に平均データを算出し、複数の平均データを比較する(ステップS85)。たとえば、補正部42は、晴れのときに取得された1以上の過去データを平均した平均データ、曇りのときに取得された1以上の過去データを平均した平均データ、雨のときに取得された1以上の過去データを平均した平均データ、および雪のときに取得された1以上の過去データを平均した平均データを算出し、これらの複数の平均データを比較する。
【0132】
補正部42は、複数の平均データに有意な差があるか否かを判定する(ステップS86)。たとえば、有意な差は、所定以上の眠気レベルの差、および所定以上の眠気レベルの変化速度(上昇速度)の差等である。
【0133】
補正部42は、複数の平均データに有意な差がある場合(ステップS86でYes)、有意な差がなくなるような値を補正値として記憶する(ステップS87)。
【0134】
補正部42は、全ての外的要因について終了したか否かを判定する(ステップS88)。
【0135】
補正部42は、全ての外的要因について終了していない場合(ステップS88でNo)、まだ終了していない外的要因について、過去データを当該外的要因の種別毎に分類する(ステップS81)。
【0136】
補正部42は、複数の平均データに有意な差がない場合(ステップS86でNo)、および全ての外的要因について終了した場合(ステップS88でYes)、処理を終了する。
【0137】
このように、判定部18は、眠気に影響を与える外的要因による運転者の眠気の変化を小さくする補正値を算出する。たとえば、判定部18は、天気による運転者の眠気の変化を小さくする補正値を算出する。
【0138】
図13は、図4のステップS7における他の動作の一例を示すフローチャートである。
【0139】
図13に示すように、要因推定部20は、参考データに基づいて要因を推定すると(ステップS72)、参考データに基づいて眠気データを補正する(ステップS91)。たとえば、要因推定部20は、眠気データが花粉月に取得されたものであれば、眠気の変化速度が小さくなるように眠気データを補正する。
【0140】
要因推定部20は、補正後の眠気の変化速度が基準眠気の変化速度より大きいか否かを判定する(ステップS92)。補正後の眠気の変化速度は、ステップS91において補正された眠気データによって示される眠気の変化速度である。
【0141】
要因推定部20は、補正後の眠気の変化速度が基準眠気の変化速度より大きい場合(ステップS92でYes)、運転者由来の要因を推定する(ステップS93)。たとえば、運転者由来の要因は、内的要因の一例である。
【0142】
要因推定部20は、補正後の眠気の変化速度が基準眠気の変化速度より大きくない場合(ステップS92でNo)、および運転者由来の要因を推定した場合(ステップS93)、主要因を推定する(ステップS94)。たとえば、要因推定部20は、眠気データが花粉月に取得されたものであって、眠気の変化速度が小さくなるように補正した眠気データが示す補正後の眠気の変化速度が基準眠気の変化速度より大きくない場合、花粉症による服薬が主要因であると推定する。また、たとえば、要因推定部20は、運転者由来の要因を推定した場合には、運転者由来の要因を主要因と推定する。
【0143】
図14は、図13のステップS93における動作の一例を示すフローチャートである。
【0144】
図14に示すように、要因推定部20は、前半の区間の眠気が正常であるか否かを判定する(ステップS101)。前半の区間は、車両100の運転開始地点から現在地点までの経路における前半の区間である。たとえば、要因推定部20は、眠気データと基準データとに基づいて、前半の区間の眠気が正常であるか否かを判定する。
【0145】
要因推定部20は、前半の区間の眠気が正常でない場合(ステップS101でNo)、前日疲労という要因候補および睡眠不足という要因候補に重み付けをする(ステップS102)。
【0146】
要因推定部20は、初期の眠気が正常であるか否かを判定する(ステップS103)。たとえば、要因推定部20は、眠気データと基準データとに基づいて、運転開始地点において眠気が基準眠気よりも閾値以上大きいか否かを判定し、運転開始地点において眠気が基準眠気よりも閾値以上大きくない場合には初期の眠気が正常であると判定し、運転開始地点において眠気が基準眠気よりも閾値以上大きい場合には初期の眠気が正常でないと判定する。
【0147】
要因推定部20は、初期の眠気が正常でない場合(ステップS103でNo)、前日疲労という要因候補に重み付けをする(ステップS104)。
【0148】
要因推定部20は、前半の区間の眠気が正常である場合(ステップS101でYes)、初期の眠気が正常である場合(ステップS103でYes)、および前日疲労という要因候補に重み付けをした場合(ステップS104)、運転者が直前に降車および乗車をしたか否かを判定する(ステップS105)。たとえば、要因推定部20は、車両100の運転席のドアの開閉記録から、運転席のドアが2回開閉されていると判定した場合、運転者が降車および乗車したと判定する。たとえば、要因推定部20は、現在時刻から遡った所定時間以内に運転者が降車および乗車をしていれば、運転者が直前に降車および乗車をしたと判定する。
【0149】
要因推定部20は、運転者が直前に降車および乗車をしていない場合(ステップS105でNo)、運転者のストレス度が高いか否かを判定する(ステップS106)。具体的には、要因推定部20は、運転者のストレス度が閾値よりも高いか否かを判定する。たとえば、要因推定部20は、運転者の生体情報に基づいて、運転者のストレス度を算出する。たとえば、生体情報は、心拍、体温、および呼吸数等を含む。
【0150】
要因推定部20は、運転者のストレス度が高い場合(ステップS106でYes)、ストレスという要因候補に重み付けをする(ステップS107)。
【0151】
要因推定部20は、運転者が直前に降車または乗車をしている場合(ステップS105でYes)、運転者のストレス度が高くない場合(ステップS106でNo)、およびストレスという要因候補に重み付けをした場合(ステップS107)、所定日数分の心拍、体温、および呼吸数を抽出する(ステップS108)。たとえば、要因推定部20は、生体情報から抽出する。
【0152】
要因推定部20は、所定日数におけるストレス度が高いか否かを判定する(ステップS109)。ここでは、要因推定部20は、所定日数における運転者のストレス度が、ステップS106で用いた閾値よりも小さい閾値よりも高いか否かを判定する。つまり、ステップS106で用いられる閾値は、ステップS109で用いられる閾値よりも大きい。
【0153】
要因推定部20は、所定日数におけるストレス度が高い場合(ステップS109でYes)、睡眠不足という要因候補に重み付けをする(ステップS110)。
【0154】
要因推定部20は、所定日数におけるストレス度が高くない場合(ステップS109でNo)、および睡眠不足という要因候補に重み付けをした場合(ステップS110)、基準データに比べて心拍、体温、および呼吸数が増加しているか否かを判定する(ステップS111)。
【0155】
要因推定部20は、基準データに比べて心拍、体温、および呼吸数が増加している場合(ステップS111でYes)、風邪という要因候補に重み付けする(ステップS112)。
【0156】
要因推定部20は、基準データに比べて心拍、体温、および呼吸数が増加していない場合(ステップS111でNo)、および風邪という要因候補に重み付けした場合(ステップS112)、処理を終了する。
【0157】
要因推定部20は、最も重みが大きい要因候補を、主要因として推定する(ステップS94)(図13を参照)。
【0158】
このように、要因推定部20は、判定部18によって運転者の眠気が正常でないと判定された区間、運転者が車両100の運転を開始した運転開始地点における運転者の眠気、および運転者の生体情報の少なくとも1つに基づいて、要因を推定する。
【0159】
また、要因推定部20は、眠気に影響を与える内的要因を、要因として推定する。
【0160】
図15は、図4のステップS4における動作の他の一例を示すフローチャートである。
【0161】
図15に示すように、判定部18は、眠気データを補正すると(ステップS31)、眠気データが取得された時間帯が昼であるか否かを判定する(ステップS121)。
【0162】
判定部18は、眠気データが取得された時間帯が昼である場合(ステップS121でYes)、運転者が降車および乗車したか否かを判定する(ステップS122)。たとえば、判定部18は、車両100の運転席のドアの開閉記録から運転者が降車および乗車したか否かを判定する。
【0163】
判定部18は、運転者が降車および乗車した場合(ステップS122でYes)、運転者が昼食を摂取したと判定し、眠気の変化速度を遅くなるように補正する(ステップS123)。たとえば、判定部18は、昼食を摂取することによって眠気の変化速度がどれくらい大きくなるかを予め計測する等して取得し、昼食を摂取することによる眠気の変化が小さくなる補正値を予め算出している。判定部18は、当該補正値を眠気データに乗算することによって、眠気の変化速度を遅くなるように補正する。
【0164】
判定部18は、眠気データが取得された時間帯が昼でない場合(ステップS121でNo)、運転者が降車および乗車していない場合(ステップS122でNo)、および眠気の変化速度を遅くなるように補正した場合(ステップS123)、基準データと眠気データとを比較して判定する(ステップS32)。
【0165】
このように、判定部18は、運転者が昼食を摂取することによる運転者の眠気の変化を小さくする補正値を算出し、当該補正値を用いて眠気データを補正し、補正後の眠気データと基準データとを比較して運転者の眠気が正常であるか否か判定する。
【0166】
本実施の形態に係る判定システム10は、移動体(車両100)を運転する運転者の眠気に関する眠気データと、運転者の眠気が正常であるか否かを判定するための基準となる眠気に関する基準データとに基づいて、運転者の眠気が正常であるか否かを判定する判定部18を備える。
【0167】
これによれば、眠気データと基準データとに基づいて、運転者の眠気が正常であるか否かを判定できる。
【0168】
また、本実施の形態に係る判定システム10において、判定部18は、眠気データが示す眠気の変化速度である第1変化速度と基準データが示す眠気の変化速度である第2変化速度とを比較し、第1変化速度が第2変化速度よりも大きい場合、運転者の眠気が正常でないと判定する。
【0169】
これによれば、第1変化速度が第2変化速度よりも大きい場合、運転者の眠気が正常でないと判定できる。
【0170】
また、本実施の形態に係る判定システム10において、判定部18は、眠気データを補正するための補正値を算出する。
【0171】
これによれば、補正値を用いて補正された眠気データと基準データとに基づいて、運転者の眠気が正常であるか否かを判定できるので、運転者の眠気が正常であるか否かをより精度良く判定できる。
【0172】
また、本実施の形態に係る判定システム10において、判定部18は、眠気に影響を与える外的要因による運転者の眠気の変化を小さくする補正値を算出する。
【0173】
これによれば、外的要因による運転者の眠気の変化が小さくなるように補正された眠気データと基準データとに基づいて、運転者の眠気が正常であるか否かを判定できるので、外的要因以外の要因によって眠気が正常でなくなっているか否かをより精度良く判定できる。
【0174】
また、本実施の形態に係る判定システム10において、判定部18は、運転者が昼食を摂取することによる運転者の眠気の変化を小さくする補正値を算出する。
【0175】
これによれば、昼食を摂取することによる運転者の眠気の変化が小さくなるように補正された眠気データと基準データとに基づいて、運転者の眠気が正常であるか否かを判定できるので、昼食を摂取すること以外の要因によって眠気が正常でなくなっているか否かをより精度良く判定できる。
【0176】
また、本実施の形態に係る判定システム10において、判定部18は、眠気データが示しかつ運転者が移動体(車両100)の運転を開始した運転開始地点における運転者の眠気である第1眠気と基準データが示しかつ運転開始地点における運転者の過去の眠気である第2眠気とを比較し、第1眠気が第2眠気よりも大きい場合、運転者の眠気が正常でないと判定する。
【0177】
これによれば、第1眠気が第2眠気よりも大きい場合、運転者の眠気が正常でないと判定できる。
【0178】
また、本実施の形態に係る判定システム10において、判定部18は、増加傾向である眠気を示す眠気データと基準データとに基づいて、運転者の眠気が正常であるか否かを判定する。
【0179】
これによれば、運転者の眠気の増大が進んでいる状態における、運転者の眠気が正常であるか否かを判定できる。
【0180】
また、本実施の形態に係る判定システム10は、判定部18によって運転者の眠気が正常でないと判定された場合、運転者の眠気が正常でない要因を推定する推定部(要因推定部20)を備える。
【0181】
これによれば、運転者の眠気が正常でない要因を推定できる。
【0182】
また、本実施の形態に係る判定システム10において、推定部(要因推定部20)は、眠気データと基準データとに基づいて、要因を推定する。
【0183】
これによれば、眠気データと基準データとに基づいて運転者の眠気が正常でない要因を推定できるので、運転者の眠気が正常でない要因をより精度良く推定できる。
【0184】
また、本実施の形態に係る判定システム10において、推定部(要因推定部20)は、判定部18によって運転者の眠気が正常でないと判定された区間、運転者が移動体(車両100)の運転を開始した運転開始地点における運転者の眠気、および運転者の生体情報の少なくとも1つに基づいて、要因を推定する。
【0185】
これによれば、判定部18によって運転者の眠気が正常でないと判定された区間、運転者が移動体(車両100)の運転を開始した運転開始地点における運転者の眠気、および運転者の生体情報の少なくとも1つに基づいて、運転者の眠気が正常でない要因を推定できるので、運転者の眠気が正常でない要因をより精度良く推定できる。
【0186】
また、本実施の形態に係る判定システム10において、推定部(要因推定部20)は、眠気に影響を与える内的要因を、要因として推定する。
【0187】
これによれば、運転者の眠気が正常でない内的要因を推定できる。
【0188】
また、本実施の形態に係る判定システム10は、判定部18の判定結果に基づいて、移動体(車両100)への報告を制御する制御部22を備える。
【0189】
これによれば、判定部18の判定結果に基づいて移動体(車両100)への報告を制御できるので、移動体(車両100)の運転者は、運転者の眠気が正常である場合には特に報告を受けず、運転者の眠気が正常でない場合に報告を受けることができる。
【0190】
また、本実施の形態に係る判定システム10は、眠気データが取得された経路と眠気データが取得された時間帯とに基づいて過去の眠気に関する1以上の過去データを抽出し、1以上の過去データに基づいて基準データを生成する生成部16を備える。
【0191】
これによれば、眠気データが取得された経路および時間帯に基づいて抽出された1以上の過去データを用いて基準データを生成できるので、運転者の眠気が正常であるか否かをより精度良く判定できる。
【0192】
また、本実施の形態に係る判定システム10において、生成部16は、眠気データが取得された経路と一致する経路において取得されかつ過去の眠気に関する複数の過去データ、眠気データが取得された経路と部分一致する経路において取得されかつ過去の眠気に関する複数の過去データ、または眠気データが取得された経路と始点が一致する経路における始点から所定区間において取得されかつ過去の眠気に関する複数の過去データを、1以上の過去データとして抽出する。
【0193】
これによれば、眠気データが取得された経路と一致または類似している経路において取得された1以上の過去データを用いて基準データを生成できるので、運転者の眠気が正常であるか否かをより精度良く判定できる。
【0194】
(他の実施の形態等)
以上、一つまたは複数の態様に係る判定システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものも、本開示の範囲内に含まれてもよい。
【0195】
なお、上述した実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)またはプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上述した実施の形態の装置等を実現するソフトウェアは、図4から図15に示すフローチャートに含まれる各ステップをコンピュータに実行させるプログラムである。
【0196】
なお、以下のような場合も本開示に含まれる。
【0197】
(1)上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムである。前記RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0198】
(2)上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0199】
(3)上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。前記ICカードまたは前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。前記ICカードまたは前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカードまたは前記モジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0200】
(4)本開示は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0201】
また、本開示は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしてもよい。
【0202】
また、本開示は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0203】
また、本開示は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。
【0204】
また、前記プログラムまたは前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、または前記プログラムまたは前記デジタル信号を前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【0205】
(5)上記実施の形態及びその他の形態を組み合わせてもよい。
【0206】
(付記)
以上の実施の形態等の記載により、下記の技術が開示される。
【0207】
(技術1)
移動体を運転する運転者の眠気に関する眠気データと、前記運転者の眠気が正常であるか否かを判定するための基準となる眠気に関する基準データとに基づいて、前記運転者の眠気が正常であるか否かを判定する判定部を備える、
判定システム。
【0208】
(技術2)
前記判定部は、前記眠気データが示す眠気の変化速度である第1変化速度と前記基準データが示す眠気の変化速度である第2変化速度とを比較し、前記第1変化速度が前記第2変化速度よりも大きい場合、前記運転者の眠気が正常でないと判定する、
技術1に記載の判定システム。
【0209】
(技術3)
前記判定部は、前記眠気データを補正するための補正値を算出する、
技術1または2に記載の判定システム。
【0210】
(技術4)
前記判定部は、眠気に影響を与える外的要因による前記運転者の眠気の変化を小さくする前記補正値を算出する、
技術3に記載の判定システム。
【0211】
(技術5)
前記判定部は、前記運転者が昼食を摂取することによる前記運転者の眠気の変化を小さくする前記補正値を算出する、
技術3に記載の判定システム。
【0212】
(技術6)
前記判定部は、前記眠気データが示しかつ前記運転者が前記移動体の運転を開始した運転開始地点における前記運転者の眠気である第1眠気と前記基準データが示しかつ前記運転開始地点における前記運転者の過去の眠気である第2眠気とを比較し、前記第1眠気が前記第2眠気よりも大きい場合、前記運転者の眠気が正常でないと判定する、
技術1から5のいずれか1つに記載の判定システム。
【0213】
(技術7)
前記判定部は、増加傾向である眠気を示す前記眠気データと前記基準データとに基づいて、前記運転者の眠気が正常であるか否かを判定する、
技術1から6のいずれか1つに記載の判定システム。
【0214】
(技術8)
前記判定部によって前記運転者の眠気が正常でないと判定された場合、前記運転者の眠気が正常でない要因を推定する推定部を備える、
技術1に記載の判定システム。
【0215】
(技術9)
前記推定部は、前記眠気データと前記基準データとに基づいて、前記要因を推定する、
技術8に記載の判定システム。
【0216】
(技術10)
前記推定部は、前記判定部によって前記運転者の眠気が正常でないと判定された区間、前記運転者が前記移動体の運転を開始した運転開始地点における前記運転者の眠気、および前記運転者の生体情報の少なくとも1つに基づいて、前記要因を推定する、
技術8または9に記載の判定システム。
【0217】
(技術11)
前記推定部は、眠気に影響を与える内的要因を、前記要因として推定する、
技術8から10のいずれか1つに記載の判定システム。
【0218】
(技術12)
前記判定部の判定結果に基づいて、前記移動体への報告を制御する制御部を備える、
技術1から11のいずれか1つに記載の判定システム。
【0219】
(技術13)
前記眠気データが取得された経路と前記眠気データが取得された時間帯とに基づいて過去の眠気に関する1以上の過去データを抽出し、前記1以上の過去データに基づいて前記基準データを生成する生成部を備える、
技術1から12のいずれか1つに記載の判定システム。
【0220】
(技術14)
前記生成部は、前記眠気データが取得された経路と一致する経路において取得されかつ過去の眠気に関する複数の過去データ、前記眠気データが取得された経路と部分一致する経路において取得されかつ過去の眠気に関する複数の過去データ、または前記眠気データが取得された経路と始点が一致する経路における前記始点から所定区間において取得されかつ過去の眠気に関する複数の過去データを、前記1以上の過去データとして抽出する、
技術13に記載の判定システム。
【産業上の利用可能性】
【0221】
本開示は、運転者の眠気が正常であるか否かを判定するシステム等に利用可能である。
【符号の説明】
【0222】
10 判定システム
12 処理サーバ
14,32,38,201 データベース
16 生成部
18 判定部
20 要因推定部
22 制御部
24 データ取得部
26 センサデータ取得部
28 眠気データ取得部
30 運行管理データ取得部
34 抽出部
36 基準データ生成部
40 処理部
42 補正部
44 比較部
100 車両
101 ドライブレコーダ
102 ドライバモニタリングシステム
103 眠気推定部
200 運行管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16