(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062224
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】ズームレンズ及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 15/20 20060101AFI20240430BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20240430BHJP
【FI】
G02B15/20
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170087
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(72)【発明者】
【氏名】林 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】横田 耕一郎
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087MA14
2H087MA15
2H087PA11
2H087PA12
2H087PA13
2H087PA16
2H087PA19
2H087PA20
2H087PB13
2H087PB14
2H087PB15
2H087PB16
2H087QA02
2H087QA06
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA26
2H087QA37
2H087QA39
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA36
2H087RA42
2H087RA43
2H087RA44
2H087SA24
2H087SA26
2H087SA30
2H087SA32
2H087SA44
2H087SA46
2H087SA49
2H087SA53
2H087SA55
2H087SA62
2H087SA63
2H087SA64
2H087SA65
2H087SA66
2H087SB04
2H087SB05
2H087SB13
2H087SB15
2H087SB16
2H087SB24
2H087SB33
2H087SB34
2H087SB35
2H087SB36
2H087SB44
2H087SB45
(57)【要約】
【課題】 広画角で明るく、かつ小型ながらも高い結像性能を有するズームレンズ及び撮影装置を提供する。
【解決手段】 物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、1つ以上のレンズ群を有し合成の屈折力が正の屈折力を有する中間群と、負の屈折力を有する第L-1レンズ群と、正の屈折力を有する第Lレンズ群とから構成され、光軸に沿って隣り合うレンズ群の間隔を変化させることにより変倍を行い、所定の式を満足することを特徴とするズームレンズ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、1つ以上のレンズ群を有し合成の屈折力が正の屈折力を有する中間群と、負の屈折力を有する第L-1レンズ群と、正の屈折力を有する第Lレンズ群とから構成され、
光軸に沿って隣り合うレンズ群の間隔を変化させることにより変倍を行い、
以下の式を満足することを特徴とするズームレンズ。
1.00 < fL / |f1| < 2.10・・・・・(7)
1.90 < fL / |fL-1| < 10.00・・・・・(8)
0.50 < |βLt / βLw| < 5.50・・・・・(9)
但し、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
fL-1:前記第L-1レンズ群の焦点距離
fL:前記第Lレンズ群の焦点距離
βLw:前記第Lレンズ群の広角端における無限遠合焦時の横倍率
βLt:前記第Lレンズ群の望遠端における無限遠合焦時の横倍率
【請求項2】
開口絞りは、前記中間群内に配置され、以下の式の内少なくとも一方を満足する、請求項1に記載のズームレンズ。
-0.95 < fs-1 / ft < -0.25 ・・・・・(3)
-0.95 < fs+1 / ft < -0.25 ・・・・・(4)
但し、
fs-1:前記開口絞りの物体側に隣接するレンズ成分の焦点距離
fs+1:前記開口絞りの像側に隣接するレンズ成分の焦点距離
ft:当該ズームレンズの望遠端における焦点距離
【請求項3】
以下の式を満足する、請求項1に記載のズームレンズ。
0.01 < |fL-1| / fw < 2.00・・・・・(5)
但し、
fw:当該ズームレンズの広角端における焦点距離
【請求項4】
以下の式を満足する、請求項1に記載のズームレンズ。
1.850 < Ndave・・・・・(6)
但し、
Ndave:前記第L-1レンズ群を構成する各レンズの材料のd線の平均屈折率
【請求項5】
以下の式を満足する、請求項1に記載のズームレンズ。
0.18 < |βLt| ・・・・・(2)
【請求項6】
以下の式を満足する、請求項1に記載のズームレンズ。
2.00 < |βL-1t| < 10.00・・・・・(10)
但し、
βL-1t:前記第L-1レンズ群の望遠端における無限遠合焦時の横倍率
【請求項7】
以下の式を満足する、請求項1に記載のズームレンズ。
0.20 < fpt / ft < 1.50・・・・・(11)
但し、
fpt:前記中間群の望遠端における無限遠合焦時の合成焦点距離
ft:当該ズームレンズの望遠端における焦点距離
【請求項8】
以下の式を満足する、請求項1に記載のズームレンズ。
1.00 < fL / fpt < 6.00・・・・・(12)
但し、
fpt:前記中間群の望遠端における無限遠合焦時の合成焦点距離
【請求項9】
以下の式を満足する、請求項1に記載のズームレンズ。
0.01 < fL-1 / f1 < 2.00・・・・・(13)
【請求項10】
以下の式を満足する、請求項1に記載のズームレンズ。
-2.00 < fL-1 / fpt < -0.50・・・・・(14)
但し、
fpt:前記中間群の望遠端における無限遠合焦時の合成焦点距離
【請求項11】
以下の式を満足する、請求項1に記載のズームレンズ。
-2.00 < fpt / f1 < -0.01・・・・・(15)
但し、
fpt:前記中間群の望遠端における無限遠合焦時の合成焦点距離
【請求項12】
最も像側に負レンズが配置される、請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項13】
像側から2番目に負レンズが配置される、請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項14】
像側から2番目のレンズ成分の像側面は像側に凹面を向けた、請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項15】
無限遠から近距離物体への合焦の際、前記第L-1レンズ群は、像側に移動する請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項16】
前記第L-1レンズ群は、正レンズ1枚以上、負レンズ1枚以上を有する、請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項17】
以下の式を満足する、請求項1に記載のズームレンズ。
-7.00 < (1-βL-1t
2)×βLt
2 < -1.00・・(16)
但し、
βL-1t:前記第L-1レンズ群の望遠端における無限遠合焦時の横倍率
βLt:前記第Lレンズ群の望遠端における無限遠合焦時の横倍率
【請求項18】
前記第1レンズ群は、広角端から望遠端への変倍時に単調に像面側へ移動する請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項19】
前記中間群と前記第L-1レンズ群との間隔は、広角端から望遠端への変倍時に単調増加する請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項20】
前記第L-1レンズ群と前記第Lレンズ群との間隔は、広角端から望遠端への変倍時に単調増加する請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか一項に記載のズームレンズと、当該ズームレンズの像側に設けられた、当該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系、光学機器および撮像装置に関し、特に、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の固体撮像素子(CCDやCMOS等)を用いた撮像装置に好適なズームレンズおよび撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルスチルカメラの等の固体撮像素子を用いた撮影装置が普及している。それに伴い、光学系の高性能化、小型化が進み、小型の撮像装置システムが急速に普及してきている。従来のレンズにおいて、特に全長が短く小型な光学系が望まれる監視用レンズ、ビデオカメラ用レンズ、デジタルスチルカメラ用レンズ、一眼レフレックスカメラ用レンズ、ミラーレス一眼カメラ用レンズ等では高い光学性能を保ったまま、光学系を小型化する事が困難であった。本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、小型なズームレンズ及び当該ズームレンズを備える撮像装置を提供するものである。
【0003】
このような状況下、例えば、特許文献1、2には、光学系が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-140142
【特許文献2】特開2021-067805
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、物体側より順に、負の屈折力を有する第1レンズ群、正の屈折力を有する第2レンズ群、負の屈折力を有する第3レンズ群、正の屈折力を有する第4レンズ群の構成のズームレンズに関する発明である。このズームレンズは、広画角であるがFnoが4と暗く、また第4レンズ群の移動量が大きいため、Fnoを明るくしようとすると鏡筒の小型化の妨げとなる。
【0006】
特許文献2は、物体側より順に、負の屈折力を有する第1レンズ群、正の屈折力を有する第2レンズ群、負の屈折力を有する第3レンズ群、正の屈折力を有する第4レンズ群の構成のズームレンズに関する発明である。このズームレンズは、広画角であるが第4レンズ群の望遠端の横倍率が小さいため他の群で倍率補正が必要となり、対象群の移動量が大きくなったりパワー強くなったりして、変倍間での球面収差やコマ収差の補正がやりづらくなる。
【0007】
本発明の課題は、上記の問題に鑑みなされたものであって、広画角で明るく、かつ小型ながらも高い結像性能を有するズームレンズ及び当該ズームレンズを有する撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、1つ以上のレンズ群を有し合成の屈折力が正の屈折力を有する中間群と、負の屈折力を有する第L-1レンズ群と、正の屈折力有する第Lレンズ群とから構成され、
光軸に沿って隣り合うレンズ群の間隔を変化させることにより変倍を行い、
以下の式を満足することを特徴とするズームレンズ。
1.00 < fL / |f1| < 2.10・・・・・(7)
1.90 < fL / |fL-1| < 10.00・・・・・(8)
0.50 < |βLt / βLw| < 5.50・・・・・(9)
但し、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
fL-1:前記第L-1レンズ群の焦点距離
fL:前記第Lレンズ群の焦点距離
βLw:前記第Lレンズ群の広角端における無限遠合焦時の横倍率
βLt:前記第Lレンズ群の望遠端における無限遠合焦時の横倍率
【0009】
また、上記課題を解決するために本件発明に係る撮像装置は、上記ズームレンズと、当該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換にする撮像素子とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本件発明によれば、広画角で明るく、かつ小型ながらも高い結像性能を有するズームレンズ及び当該ズームレンズを有する撮像装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1のズームレンズのレンズ構成例を示す断面図である。
【
図2】実施例1のズームレンズの無限遠合焦時の広角端状態における縦収差図である。
【
図3】実施例1のズームレンズの無限遠合焦時の中間域状態における縦収差図である。
【
図4】実施例1のズームレンズの無限遠合焦時の望遠端状態における縦収差図である。
【
図5】実施例2のズームレンズのレンズ構成例を示す断面図である。
【
図6】実施例2のズームレンズの無限遠合焦時の広角端状態における縦収差図である。
【
図7】実施例2のズームレンズの無限遠合焦時の中間域状態における縦収差図である。
【
図8】実施例2のズームレンズの無限遠合焦時の望遠端状態における縦収差図である。
【
図9】実施例3のズームレンズのレンズ構成例を示す断面図である。
【
図10】実施例3のズームレンズの無限遠合焦時の広角端状態における縦収差図である。
【
図11】実施例3のズームレンズの無限遠合焦時の中間域状態における縦収差図である。
【
図12】実施例3のズームレンズの無限遠合焦時の望遠端状態における縦収差図である。
【
図13】実施例4のズームレンズのレンズ構成例を示す断面図である。
【
図14】実施例4のズームレンズの無限遠合焦時の広角端状態における縦収差図である。
【
図15】実施例4のズームレンズの無限遠合焦時の中間域状態における縦収差図である。
【
図16】実施例4のズームレンズの無限遠合焦時の望遠端状態における縦収差図である。
【
図17】実施例5のズームレンズのレンズ構成例を示す断面図である。
【
図18】実施例5のズームレンズの無限遠合焦時の広角端状態における縦収差図である。
【
図19】実施例5のズームレンズの無限遠合焦時の中間域状態における縦収差図である。
【
図20】実施例5のズームレンズの無限遠合焦時の望遠端状態における縦収差図である。
【
図21】実施例6のズームレンズのレンズ構成例を示す断面図である。
【
図22】実施例6のズームレンズの無限遠合焦時の広角端状態における縦収差図である。
【
図23】実施例6のズームレンズの無限遠合焦時の中間域状態における縦収差図である。
【
図24】実施例6のズームレンズの無限遠合焦時の望遠端状態における縦収差図である。
【
図25】実施例7のズームレンズのレンズ構成例を示す断面図である。
【
図26】実施例7のズームレンズの無限遠合焦時の広角端状態における縦収差図である。
【
図27】実施例7のズームレンズの無限遠合焦時の中間域状態における縦収差図である。
【
図28】実施例7のズームレンズの無限遠合焦時の望遠端状態における縦収差図である。
【
図29】実施例8のズームレンズのレンズ構成例を示す断面図である。
【
図30】実施例8のズームレンズの無限遠合焦時の広角端状態における縦収差図である。
【
図31】実施例8のズームレンズの無限遠合焦時の中間域状態における縦収差図である。
【
図32】実施例8のズームレンズの無限遠合焦時の望遠端状態における縦収差図である。
【
図33】実施例9のズームレンズのレンズ構成例を示す断面図である。
【
図34】実施例9のズームレンズの無限遠合焦時の広角端状態における縦収差図である。
【
図35】実施例9のズームレンズの無限遠合焦時の中間域状態における縦収差図である。
【
図36】実施例9のズームレンズの無限遠合焦時の望遠端状態における縦収差図である。
【
図37】本発明の一実施形態に係る撮像装置の構成の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本件発明に係るズームレンズ及び撮像装置の実施の形態を説明する。但し、以下に説明するズームレンズ及び撮像装置は、本件発明に係るズームレンズ及び撮像装置の一態様であって、本件発明に係るズームレンズ及び撮像装置は以下の態様に限定されるものではない。
【0013】
1.ズームレンズ
1-1.光学構成
本件発明に係るズームレンズは物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、1つ以上のレンズ群を有し合成の屈折力が正の屈折力を有する中間群と、負の屈折力を有する第L-1レンズ群と、正の屈折力を有する第Lレンズ群とから構成される。この構成によって、広画角で、かつ小型なズームレンズとすることが容易となる。
【0014】
(1)第1レンズ群
第1レンズ群は、負の屈折力を有するレンズ群である限り、その具体的な構成は特に限定されるものではない。第1レンズ群は、小型化にする上で、3枚以下のレンズで構成することが好ましい。また、第1レンズ群は、物体側から像側へ順に、2枚の負レンズと1枚の正レンズから構成されることが好ましく、特に負メニスカスレンズと、負メニスカスレンズと、正メニスカスレンズ、又は負メニスカスレンズと、両凹レンズと正メニスカスレンズで構成されることが好ましい。
【0015】
「レンズ群」は、1枚以上のレンズを有する。「レンズ群」とは、広角端及び望遠端間の変倍時に隣り合うレンズ群同士の間隔が変化する1枚のレンズ又は2枚以上のレンズの集合である。レンズ群が複数のレンズを有する場合では、複数のレンズは、広角端及び望遠端間の変倍時に相対的な位置関係を維持する。レンズ群は、光軸上を移動可能に構成されていてもよいし、固定されていてもよい。
【0016】
(2)中間群
中間群は、1つ以上のレンズ群を有し合成の屈折力が正の屈折力を有する限り、その具体的な構成は特に限定されるものではない。2つのレンズ群で構成されてもよいが、1つのレンズ群で構成されることが好ましい。
【0017】
(3)第L-1レンズ群
第L-1レンズ群は、中間群の像側に配置され、負の屈折力を有するレンズ群である限り、その具体的な構成は特に限定されるものではない。色収差を補正する上で、正ンズ1枚以上と、負レンズ1枚以上を有することが好ましい。物体側から像側へ順に、2枚の負レンズと1枚の正レンズから構成されることが好ましい。最も像側に、負レンズと正レンズの接合レンズを有することが好ましい。
【0018】
(4)第Lレンズ群
第Lレンズ群は、最も像側に配置され、負の屈折力を有するレンズ群である限り、その具体的な構成は特に限定されるものではない。収差を補正する上で、最も像側に負レンズを有することが好ましい。また、最も像側に負メニスカスレンズを有することが好ましい。像側から2番目に負レンズを有することが好ましい。像側から2番目のレンズ成分の像側面は像側に凹面を向けた形状が好ましい。収差を補正する上で、最も物体側に物体側に凸形状のレンズを有することが好ましい。また、最も物体側に両凸レンズを有することが好ましい。
【0019】
本明細書中において、レンズ成分には、レンズと、空気間隔を介することなく複数の当該レンズが一体化した接合レンズとが含まれる。当該レンズには、1枚の単レンズと、空気間隔を介することなく1枚の単レンズと樹脂とが一体化した複合レンズと、が含まれる。単レンズは、1つの材料からなる。具体的には、2枚の単レンズが接合した1つの接合レンズは、レンズ成分としては1つと数えられ、レンズとしては2枚と数えられる。レンズ(単レンズ及び複合レンズ)は、レンズ成分として1つと数えられ、またレンズとしては1枚と数えられる。ここで単レンズとは、球面レンズ及び非球面レンズ(複合非球面レンズを含む)を示すものである。
【0020】
(5)開口絞り
開口絞りは、中間群に配置されることが好ましい。この構成により、明るく、かつ小型ながらも高い結像性能のズームレンズとすることが容易となる。
【0021】
1-2.動作
(1)変倍
広角端から望遠端への変倍は、隣り合うレンズ群の間隔を変えることで行う。広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群は、単調に像側へ移動させることにより、また、中間群と第L-1レンズ群の間隔は、単調増加することにより、所望のズーム倍率を実現しつつ中間群以降の径小化を可能とし、鏡筒の小型化を実現することを容易とする。また、広角端から望遠端への変倍に際し、第L-1レンズ群と第Lレンズ群との間隔は、単調増加することがより好ましい。
【0022】
(2)合焦
当該ズームレンズは、第L-1レンズ群が、光軸上を移動することで合焦する。この構成によって、中間群の集束作用により合焦群を通過する光束径を小さくでき、製品の小型化に効果がある。
【0023】
1-3.式
当該ズームレンズは、上述した構成を採用すると共に、次に説明する式を少なくとも1つ以上満足することが望ましい。
【0024】
1-3-1.式(1)
-100.00 < M1 / ML < -2.85 ・・・・・(1)
但し、
M1:広角端から望遠端への変倍時の第1レンズ群の移動量(像側に移動を正とする)
ML:広角端から望遠端への変倍時の第Lレンズ群の移動量(像側に移動を正とする)
【0025】
式(1)は、広角端から望遠端への変倍時の第1レンズ群の移動量と第Lレンズ群の移動量の比を規定する。式(1)を満足することで、鏡筒の小型化、主に径方向の小型化を可能にしつつ、所望のズーム倍率を実現することが可能となる。
【0026】
式(1)の下限値を下回ると、第1レンズ群の移動量が大きくなることで、カム筒を1段で構成することが困難となり、鏡筒の小型化の妨げとなるため望ましくない。式(1)の上限値を超えると、第Lレンズ群の移動量が大きくなることで、Fnoを明るくしたままだと第Lレンズ群の径小化が困難となり、鏡筒の小型化の妨げとなるため望ましくない。
【0027】
上記効果を得るため、式(1)の下限値は、-80.00であることが好ましく、-60.00であることがより好ましい。また、式(1)の上限値は、-2.90、であることが好ましく、-3.00であることがより好ましい。なお、これらの好ましい下限値又は上限値を採用する場合、式(1)において等号付不等号(≦)を不等号(<)に置換してもよい。他の式についても原則として同様である。
【0028】
1-3-2.式(2)
0.18 < |βLt| ・・・・・(2)
但し、
βLt:第Lレンズ群の望遠端における無限遠合焦時の横倍率
【0029】
式(2)は、第Lレンズ群の望遠端の横倍率を規定する。式(2)を満足することで、他のレンズ群の倍率を適正化し、光学性能の高いズームレンズを実現することが可能となる。
【0030】
式(2)の下限値を下回ると、第Lレンズ群の望遠端の横倍率が小さくなり、他のレンズ群で倍率補正が必要となり、移動量が増えたり群のパワー高める必要性がでたりするため、球面収差やコマ収差等の諸収差の悪化につながり、光学性能の高いレンズを実現するために望ましくない。
【0031】
上記効果を得るため、式(2)の下限値は、0.20であることが好ましく、0.22であることがより好ましい。
【0032】
1-3-3.式(3)
-0.95 < fs-1 / ft < -0.25 ・・・・・(3)
但し、
fs-1:開口絞りの物体側に隣接するレンズ成分の焦点距離
ft:ズームレンズの望遠端における焦点距離
【0033】
式(3)は、開口絞りの物体側に隣接するレンズ成分の焦点距離とズームレンズの望遠端における焦点距離の比を規定する。
【0034】
1-3-4.式(4)
-0.95 < fs+1 / ft < -0.25 ・・・・・(4)
但し、
fs+1:前記開口絞りの像側に隣接するレンズ成分の焦点距離
ft:当該ズームレンズの望遠端における焦点距離
【0035】
式(3)又は式(4)の少なくとも一方を満足することで、絞り径を小さくすることができ、アイリスユニットの径小化、ひいては鏡筒の小型化が可能となる。
【0036】
式(3)又は式(4)の下限値を下回ると、絞りに隣接するレンズ成分のパワーが弱くなることで、絞り径の径小化が不十分となり、鏡筒の小型化の妨げとなるため望ましくない。式(3)又は式(4)の上限値を超えると、絞りに隣接するレンズ成分のパワーが強くなることで、球面収差やコマ収差等の諸収差の補正が困難となり、光学性能の高いレンズを実現するために望ましくない。
【0037】
式(3)の下限値は、-0.90であることが好ましく、-0.85であることがより好ましい。また、式(3)の上限値は、-0.30、であることが好ましく、-0.35であることがより好ましい。
【0038】
式(4)の下限値は、-0.90であることが好ましく、-0.85であることがより好ましい。また、式(4)の上限値は、-0.30、であることが好ましく、-0.35であることがより好ましい。
【0039】
1-3-5.式(5)
0.01 < |fL-1| / fw < 2.00・・・・・(5)
但し、
fL-1:第L-1レンズ群の焦点距離
fw:ズームレンズの広角端における焦点距離
【0040】
式(5)は、第L-1レンズ群の焦点距離とズームレンズの広角端における焦点距離の比を規定する。式(5)を満足することで、第L-1レンズ群の径小化と高性能の両立を図ることが可能となる。
【0041】
は式(5)の下限値を下回ると、第L-1レンズ群のパワーが強くなることで、球面収差の補正が困難となり、光学性能の高いレンズを実現するために望ましくない。式(5)の上限値を超えると、第L-1レンズ群のパワーが弱くなることで、第L-1レンズ群の径小化が不十分となり、鏡筒の小型化の妨げとなるため望ましくない。また、変倍時の第L-1レンズ群の移動量が大きくなり、全長方向の小型化の妨げともなるため望ましくない。
【0042】
式(5)の下限値は、0.10であることが好ましく、0.20であることがより好ましい。また、式(5)の上限値は、1.90であることが好ましく、1.80であることがより好ましい。
【0043】
1-3-6.式(6)
1.850 < Ndave・・・・・(6)
但し、
Ndave:第L-1レンズ群を構成する各レンズの材料のd線(587.5nm)の平均屈折率
【0044】
式(6)は、第L-1レンズ群を構成する各レンズの材料のd線の平均屈折率を規定する。式(6)を満足することで、第L-1レンズ群の径小化と高性能の両立を図ることが可能となる。
【0045】
式(6)の下限値を下回ると、径小化を維持しつつ諸収差の補正をすることが困難となり、鏡筒の小型化、高性能化の両方の観点で望ましくない。
【0046】
式(5)の下限値は、1.860であることが好ましく、1.870であることがより好ましい。
【0047】
1-3-7.式(7)
1.00 < fL / |f1| < 2.10・・・・・(7)
但し、
f1:第1レンズ群の焦点距離
fL:第Lレンズ群の焦点距離
【0048】
式(7)は、第1レンズ群の焦点距離の絶対値と第Lレンズ群の焦点距離の比を規定する。式(7)を満足することで、第Lレンズ群の径小化と高性能の両立を図ることができる。
【0049】
式(7)の下限値を下回ると、第Lレンズ群のパワーが強くなることで、像面湾曲の補正が困難となり、光学性能の高いレンズを実現するために望ましくない。式(7)の上限値を超えると、第Lレンズ群のパワーが弱くなることで、Fnoが明るい設計がしづらくなる。
【0050】
式(7)の下限値は、1.05であることが好ましく、1.10であることがより好ましい。また、式(7)の上限値は、2.05であることが好ましく、2.00であることがより好ましい。
【0051】
1-3-8.式(8)
1.90 < fL / |fL-1| < 10.00・・・・・(8)
但し、
fL-1:第L-1レンズ群の焦点距離
fL:第Lレンズ群の焦点距離
【0052】
式(8)は、第L-1レンズ群の焦点距離の絶対値と第Lレンズ群の焦点距離の比を規定する。式(8)を満足することで、第Lレンズ群の径小化と高性能の両立を図ることができる。
【0053】
式(8)の下限値を下回ると、第Lレンズ群のパワーが強くなることで、像面湾曲の補正が困難となり、光学性能の高いレンズを実現するために望ましくない。式(8)の上限値を超えると、第Lレンズ群のパワーが弱くなることで、Fnoが明るい設計がしづらくなる。
【0054】
式(8)の下限値は、1.95であることが好ましく、2.00であることがより好ましい。また、式(8)の上限値は、8.00であることが好ましく、6.00であることがより好ましい。
【0055】
1-3-9.式(9)
0.50 < |βLt / βLw| < 5.50・・・・・(9)
但し、
βLw:第Lレンズ群の広角端における無限遠合焦時の横倍率
βLt:第Lレンズ群の望遠端における無限遠合焦時の横倍率
【0056】
式(9)は、第Lレンズ群の広角端における無限遠合焦時の横倍率と第Lレンズ群の望遠端における無限遠合焦時の横倍率の比の絶対値を規定する。式(9)を満足することで、第Lレンズ群の変倍比を適正化し、鏡筒の小型化と所望のズーム倍率を実現することが可能となる。
【0057】
式(9)の下限値を下回ると、他のレンズ群の移動量が大きくなり、鏡筒の小型化が困難になるため望ましくない。式(9)の上限値を超えると、第Lレンズ群の移動量が大きくなり、鏡筒の小型化が困難になるため望ましくない。
【0058】
式(9)の下限値は、0.60であることが好ましく、0.70であることがより好ましい。また、式(9)の上限値は、5.00であることが好ましく、4.50であることがより好ましい。
【0059】
1-3-10.式(10)
2.00 < |βL-1t| < 10.00・・・・・(10)
但し、
βL-1t:第L-1レンズ群の望遠端における無限遠合焦時の横倍率
【0060】
式(10)は、第L-1レンズ群の望遠端における無限遠合焦時の横倍率の絶対値を規定する。式(10)を満足することで、他のレンズ群の倍率を適正化し、光学性能の高いズームレンズを実現することが可能となる。
【0061】
式(10)の下限値を下回ると、第L-1レンズ群の望遠端の横倍率が小さくなることで、他の群で倍率補正が必要となり、移動量が増えたり群のパワー高める必要性がでたりするため、球面収差やコマ収差等の諸収差の悪化につながり、光学性能の高いレンズを実現するために望ましくない。式(10)の上限値を超えると、第L-1レンズ群の望遠端の横倍率が大きくなることで、第L-1レンズ群で発生する諸収差の悪化につながり、光学性能の高いレンズを実現するために望ましくない。
【0062】
式(10)の下限値は、2.50であることが好ましく、3.00であることがより好ましい。また、式(10)の上限値は、9.00であることが好ましく、8.00であることがより好ましい。
【0063】
1-3-11.式(11)
0.20 < fpt / ft < 1.50・・・・・(11)
但し、
fpt:中間群の望遠端における無限遠合焦時の合成焦点距離
ft:ズームレンズの望遠端における焦点距離
【0064】
式(11)は、中間群の望遠端における無限遠合焦時の合成焦点距離とズームレンズの望遠端における焦点距離の比を規定する。式(11)を満足することで、中間群以降のレンズ群の径小化を図ることが可能となる。
【0065】
式(11)の下限値を下回ると、中間群のパワーが強くなることで、球面収差の補正が困難となり、光学性能の高いレンズを実現するために望ましくない。式(11)の上限値を超えると、中間群のパワーが弱くなることで、中間群以降のレンズ群の径小化が不十分となり、鏡筒の小型化の妨げとなるため望ましくない。
【0066】
式(11)の下限値は、0.30であることが好ましく、0.40であることがより好ましい。また、式(11)の上限値は、1.25であることが好ましく、1.00であることがより好ましい。
【0067】
1-3-12.式(12)
1.00 < fL / fpt < 6.00・・・・・(12)
但し、
fpt:中間群の望遠端における無限遠合焦時の合成焦点距離
fL:第Lレンズ群の焦点距離
【0068】
式(12)は、中間群の望遠端における無限遠合焦時の合成焦点距離と第Lレンズ群の焦点距離の比を規定する。式(12)を満足することで、第Lレンズ群の径小化と高性能の両立を図ることができる。
【0069】
式(12)の下限値を下回ると、第Lレンズ群のパワーが強くなることで、像面湾曲の補正が困難となり、光学性能の高いレンズを実現するために望ましくない。式(12)の上限値を超えると、第Lレンズ群のパワーが弱くなることで、Fnoが明るい設計がしづらくなる。
【0070】
式(12)の下限値は、1.25であることが好ましく、1.50であることがより好ましい。また、式(12)の上限値は、5.50であることが好ましく、5.00であることがより好ましい。
【0071】
1-3-13.式(13)
0.01 < fL-1 / f1 < 2.00・・・・・(13)
但し、
f1:第1レンズ群の焦点距離
fL-1:第L-1レンズ群の焦点距離
【0072】
式(13)は、第1レンズ群の焦点距離と第L-1レンズ群の焦点距離の比を規定する。式(13)を満足することで、第L-1レンズ群の径小化と高性能の両立を図ることが可能となる。
【0073】
式(13)の下限値を下回ると、第L-1レンズ群のパワーが強くなることで、球面収差の補正が困難となり、光学性能の高いレンズを実現するために望ましくない。式(13)の上限値を超えると、第L-1レンズ群のパワーが弱くなることで、第L-1レンズ群の径小化が不十分となり、鏡筒の小型化の妨げとなるため望ましくない。また、変倍時の第L-1レンズ群の移動量が大きくなり、全長方向の小型化の妨げともなるため望ましくない。
【0074】
式(13)の下限値は、0.15であることが好ましく、0.30であることがより好ましい。また、式(13)の上限値は、1.75であることが好ましく、1.50であることがより好ましい。
【0075】
1-3-14.式(14)
-2.00 < fL-1 / fpt < -0.50・・・・・(14)
但し、
fpt:中間群の望遠端における無限遠合焦時の合成焦点距離
fL-1:第L-1レンズ群の焦点距離
【0076】
式(14)は、中間群の望遠端における無限遠合焦時の合成焦点距離と第L-1レンズ群の焦点距離の比を規定する。式(14)を満足することで、第L-1レンズ群の径小化と高性能の両立を図ることが可能となる。
【0077】
は式(14)の下限値を下回ると、第L-1レンズ群のパワーが強くなることで、球面収差の補正が困難となり、光学性能の高いレンズを実現するために望ましくない。式(14)の上限値を超えると、第L-1レンズ群のパワーが弱くなることで、第L-1レンズ群の径小化が不十分となり、鏡筒の小型化の妨げとなるため望ましくない。また、変倍時の第L-1レンズ群の移動量が大きくなり、全長方向の小型化の妨げともなるため望ましくない。
【0078】
式(14)の下限値は、-1.90であることが好ましく、-1.80であることがより好ましい。また、式(14)の上限値は、-0.60であることが好ましく、-0.70であることがより好ましい。
【0079】
1-3-15.式(15)
-2.00 < fpt / f1 < -0.01・・・・・(15)
但し、
f1:第1レンズ群の焦点距離
fpt:中間群の望遠端における無限遠合焦時の合成焦点距離
【0080】
式(15)は、第1レンズ群の焦点距離と中間群の望遠端における無限遠合焦時の合成焦点距離の比を規定する。式(15)を満足することで、中間群以降のレンズ群の径小化を図ることが可能となる。
【0081】
式(15)の下限値を下回ると、中間群のパワーが強くなることで、球面収差の補正が困難となり、光学性能の高いレンズを実現するために望ましくない。式(15)の上限値を超えると、中間群のパワーが弱くなることで、中間群以降のレンズ群の径小化が不十分となり、鏡筒の小型化の妨げとなるため望ましくない。
【0082】
式(15)の下限値は、-1.75であることが好ましく、-1.50であることがより好ましい。また、式(15)の上限値は、-0.15であることが好ましく、-0.30であることがより好ましい。
【0083】
1-3-16.式(16)
-7.00 < (1-(βL-1t)2)×βLt
2 < -1.00・・(16)
但し、
βL-1t:第L-1レンズ群の望遠端における無限遠合焦時の横倍率
βLt:第Lレンズ群の望遠端における無限遠合焦時の横倍率
【0084】
式(16)は、第L-1レンズ群の望遠端における無限遠合焦時の横倍率と第Lレンズ群の望遠端における無限遠合焦時の横倍率の比を規定する。式(16)を満足することで、L-1群で合焦する場合、無限遠物体から有限距離物体への合焦時の移動量を抑えることができ、鏡筒の小型化が可能となる。
【0085】
式(16)の下限値を下回ると、第L-1レンズ群のピント感度が小さくなることで、無限遠物体から有限距離物体への合焦時の移動量が大きくなり、鏡筒の小型化の妨げとなるため望ましくない。条件式(16)の上限値を超えると、ピント感度が大きくなり、高精度の制御が必要となるため好ましくない。
【0086】
式(16)の下限値は、-6.50であることが好ましく、-6.00であることがより好ましい。また、式(16)の上限値は、-1.50であることが好ましく、-2.00であることがより好ましい。
【0087】
2.撮像装置
次に、本件発明に係る撮像装置について説明する。本件発明に係る撮像装置は、上記本件発明に係るズームレンズと、当該ズームレンズの像側に設けられた、当該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする。ここで、撮像素子等に特に限定はなく、CCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子等も用いることかでき、本件発明に係る撮像装置は、デジタルカメラやビデオカメラ等のこれらの固体撮像素子を用いた撮像装置に好適である。また、当該撮像装置は、レンズが筐体に固定されたレンズ固定式の撮像装置であってもよく、一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラ等のレンズ交換式の撮像装置であってもよいのは勿論である。
【0088】
図37は、本実施形態に係る撮像装置の構成の一例を模式的に示す図である。
図37に示されるように、撮像装置1は、カメラ2及びカメラ2に着脱可能なレンズ3を有している。撮像装置1は、撮像装置の一態様である。カメラ2は、撮像素子としてのCCDセンサ21及びカバーガラス22を有している。CCDセンサ21は、カメラ2における、カメラ2に装着されたレンズ3内のズームレンズの光軸が中心軸となる位置に配置されている。カメラ2は、カバーガラス22の代わりに、IRカットフィルター等を有していてもよい。
【0089】
次に、実施例を示して本件発明を具体的に説明する。但し、本件発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下に挙げる各実施例のズームレンズは、デジタルカメラ、ビデオカメラ、銀塩フィルムカメラ等の撮像装置に用いられる撮影ズームレンズである。また、レンズ断面図(
図1、
図5、
図9、
図13、
図17、
図21、
図25、
図29、
図33)において、図面に向かって左方が物体側、右方が像側である。
【実施例0090】
(1)ズームレンズの構成
図1は、本件発明に係る実施例1のズームレンズの構成を示すレンズ断面図である。当該ズームレンズは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。ここで、中間群は第2レンズ群G2であり、第L-1レンズ群は第3レンズ群G3であり、第Lレンズ群は第4レンズ群G4である。
【0091】
図1において、ズームレンズ中に示す「S」は開口絞りであり、ズームレンズの像側に示す「IP」は像面であり、具体的には、CCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子の撮像面、或いは、銀塩フィルムのフィルム面等を示す。また、像面IPの物体側には光学フィルターCGを備える。なお、これらの図面で示すものは他の実施例においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0092】
広角端から望遠端の変倍の際、光軸に沿って、第1レンズ群G1が物体側から像側へ移動し、第2レンズ群G2が像側から物体側へ移動し、第3レンズ群G3が像側から物体側へ移動し、第4レンズ群G4が像側から物体側へ移動する。
【0093】
無限遠物体から近接物体への合焦の際、第3レンズ群G3が光軸に沿って物体側から像側へ移動する。
【0094】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、負メニスカスレンズと、負メニスカスレンズと、正メニスカスレンズから構成されている。
【0095】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、負メニスカスレンズと正メニスカスレンズが接合された接合レンズと、両凹レンズと、両凸レンズと、両凸レンズとから構成されている。
【0096】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凹レンズと、負メニスカスレンズと両凸レンズが接合された接合レンズとから構成されている。
【0097】
第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸レンズと、負メニスカスレンズと、負メニスカスレンズとから構成されている。
【0098】
(2)数値実施例
次に、当該ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例1について説明する。
[レンズデータ]に、当該ズームレンズのレンズデータを示す。面番号は物体側から数えたレンズ面の順番、rはレンズ面の曲率半径、dはレンズ面の光軸上の間隔、ndはd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、vdはd線(波長λ=587.6nm)に対するアッベ数をそれぞれ示している。また、開口絞りSは、面番号にSTOPを付して示している。さらに、レンズ面が非球面である場合には、面番号にASPHを示し、曲率半径rの欄には近軸曲率半径を示している。[諸元表]に、当該ズームレンズの各焦点距離(f)におけるFナンバー(Fno.)、半画角(ω)を示す。[可変間隔]に当該ズームレンズの可変間隔を示す。
【0099】
[非球面係数]に、非球面の形状を次式で表した場合の非球面係数及び円錐定数を示す。非球面は次式で定義されるものとする。但し、zは光軸方向の基準面からの変位量、cは曲率(1/r)、hは光軸からの高さ、kは円錐係数、A4、A6、A8、A10、A12・・・は各次数の非球面係数を表す。
z=ch2/[1+{1-(1+k)c2h2}1/2]+A4h4+A6h6+A8h8+A10h10+A12h12・・・
【0100】
なお、これらの数値実施例における事項は他の実施例においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0101】
また、
図2、
図3、
図4に当該ズームレンズの広角端及び中間域及び望遠端の無限遠物体合焦時における縦収差図を示す。各図に示す縦収差図は、図面に向かって左側から順に、それぞれ球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)である。球面収差図は実線がd線(波長587.56nm)、長破線がF線(波長486.13nm)、短破線がC線(波長656.27nm)における球面収差をそれぞれ示す。非点収差図は縦軸が半画角(ω)、横軸がデフォーカスであり、実線がd線のサジタル像面(S)を示し、破線がd線のメリディオナル像面(M)をそれぞれ示す。歪曲収差図は、縦軸が半画角(ω)、横軸が歪曲収差である。これらの事項は、他の実施例において示す各収差図においても同じであるため、以後説明を省略する。また、各実施例のレンズ群の焦点距離と式(1)~式(16)の数値及び各レンズ群の焦点距離を[表1]に示す。
【0102】
[レンズデータ]
面番号 r d nd vd
物体面 ∞ d(0)
1 196.1988 2.0000 1.72916 54.67
2 26.4207 8.3956
3ASPH 450.0000 0.1500 1.53610 41.21
4 190.1258 1.5000 1.61800 63.39
5 34.7490 0.2000
6 30.9127 4.4803 1.92119 23.96
7 52.7466 d(7)
8 24.4880 2.3000 2.00100 29.13
9 14.9734 8.4803 1.80610 40.73
10 135.4271 2.5418
11STOP 0.0000 3.3034
12 -42.5254 1.0000 1.75520 27.53
13 36.3172 0.7294
14ASPH 24.6529 6.3641 1.49710 81.56
15ASPH -33.1227 0.1500
16 46.1629 3.8395 1.81600 46.62
17 -105.9938 d(17)
18 -134.3674 0.7500 1.91082 35.25
19 26.8976 1.3909
20 386.4937 0.7500 2.00100 29.13
21 26.2418 3.4000 1.86966 20.02
22 -78.1026 d(22)
23 42.8414 8.1175 1.59282 68.62
24 -28.9095 0.4774
25 58.1807 2.3781 1.64769 33.84
26 40.0000 7.4875
27ASPH -24.7873 0.2000 1.53610 41.21
28 -22.7284 1.5000 1.85451 25.15
29 -64.6878 d(29)
30 ∞ 2.5000 1.51680 64.20
31 ∞ 1.0000
像面 ∞
【0103】
[諸元表]
広角端 中間 望遠端
f 20.5972 31.5154 48.5030
Fno. 2.8840 2.8840 2.8840
ω 47.9625 34.6745 22.7164
【0104】
[可変間隔]
広角端 中間 望遠端 広角端 中間 望遠端
d(0) ∞ ∞ ∞ 151.4994 269.0881 277.0999
d(7) 42.8854 18.524 1.4308 42.8854 18.524 1.4308
d(17) 2.4396 7.0203 15.4465 3.4735 8.422 18.8078
d(22) 4.9147 5.6069 6.1999 3.8806 4.2052 2.8386
d(29) 12.8748 14.3748 14.4369 12.8748 14.3748 14.4369
【0105】
[非球面係数]
面番号 k A4 A6 A8 A10 A12
3 1.0000 3.59443E-06 -2.29549E-10 2.40032E-12 2.00892E-15 0.00000E+00
14 0.0000 -3.92939E-05 5.35795E-08 -4.69585E-10 1.06911E-12 0.00000E+00
15 0.0000 -2.08482E-06 -5.04189E-10 -2.24861E-10 0.00000E+00 0.00000E+00
27 1.0000 -9.99870E-06 1.09391E-07 -1.07303E-09 5.75479E-12 -1.09696E-14
広角端から望遠端の変倍の際、光軸に沿って、第1レンズ群G1が物体側から像側へ移動し、第2レンズ群G2が像側から物体側へ移動し、第3レンズ群G3が像側から物体側へ移動し、第4レンズ群G4が像側から物体側へ移動する。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、負メニスカスレンズと正メニスカスレンズが接合された接合レンズと、両凹レンズと、両凸レンズと、両凸レンズとから構成されている。