(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062226
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】多孔質揮散体及びそれを用いた液体揮発容器
(51)【国際特許分類】
A61L 9/12 20060101AFI20240430BHJP
D21H 21/14 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
A61L9/12
D21H21/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170089
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】神谷 俊史
(72)【発明者】
【氏名】和田 崇正
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 恵莉子
【テーマコード(参考)】
4C180
4L055
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA03
4C180AA07
4C180AA13
4C180AA16
4C180CA06
4C180EB02X
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4C180EC01
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4C180HH10
4L055AA11
4L055AC09
4L055BE10
4L055EA08
4L055GA05
(57)【要約】
【課題】 脱プラスチックの観点などから、環境に配慮した材料にて形成された多孔質揮散体及びそれを用いた液体揮発容器を提供する。
【解決手段】 本発明の多孔質揮散体は、揮発性液体を揮発させる多孔質揮散体であって、該多孔質揮散体はパルプを原料として形成されたことを特徴とする。
前記パルプは、再生紙及び/又は古紙を原料とした再生パルプであることが好ましい。
本発明の液体揮発容器は、少なくとも、直液状態の揮発性液体を収容する容器本体と、
前記容器本体に収容される揮発性液体を揮発させる請求項1又は2記載の多孔質揮散体とを備え、前記容器本体は揮発性液体の液残量を視認できる液体揮発容器であって、前記容器本体の先端部に、容器本体内の圧力変化に対して前記多孔質揮散体から噴き出す揮発性液体を貯留する液貯留部を設けたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性液体を揮発させる多孔質揮散体であって、該多孔質揮散体はパルプを原料として形成されたことを特徴とする多孔質揮散体。
【請求項2】
パルプは、再生紙及び/又は古紙を原料とした再生パルプであることを特徴とする請求項1記載の多孔質揮散体。
【請求項3】
少なくとも、直液状態の揮発性液体を収容する容器本体と、前記容器本体に収容される揮発性液体を揮発させる請求項1又は2記載の多孔質揮散体とを備え、前記容器本体は揮発性液体の液残量を視認できる液体揮発容器であって、前記容器本体の先端部に、容器本体内の圧力変化に対して前記多孔質揮散体から噴き出す揮発性液体を貯留する液貯留部を設けたことを特徴とする液体揮発容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱プラスチックの観点などから、環境に配慮した材料にて形成された多孔質揮散体及びそれを用いた液体揮発容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、アロマオイルや芳香剤などの揮発性液体の液貯留体や液揮散体は、合成樹脂繊維成形物や、天然材料が用いられている。
これまで、天然素材の揮散体としては、ラタン、多孔質の石、などがあるが、任意な形状に成形できる材料ではなかった。また、紙製の揮散体もあるが、紙自体は薄く、揮散液を十分な量保持できるものではなかった。
【0003】
合成樹脂繊維成形物を揮散体としたものとしては、例えば、1)揮散性薬剤、及び不揮発性ないし難揮散性の色素を保持して、当該揮散性薬剤を雰囲気中に揮散させると共に当該色素の模様により当該揮散性薬剤の終期が表される薬剤揮散体であって、前記揮散性薬剤を揮散させるための揮散部が、前記薬剤揮散体の本体の表面の一部分のみに設けられるように構成されることを特徴とする薬剤揮散体(例えば、特許文献1参照)、
【0004】
2)ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレン(PE)/PET、ポリ(乳酸)(PLA)/PLA、ポリプロピレン/ナイロン-6、ポリエステル/ポリエステルおよびポリウレタン/アセタールなどからなる焼結合成二成分繊維の間に孔を有する焼結合成二成分繊維を含む、親水性多孔性芯、この親水性多孔性芯には、天然単成分繊維または合成単成分繊維をさらに含む親水性多孔性芯(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
【0005】
上記特許文献1,2を含む合成樹脂繊維成形物は、脱プラスチックの観点から環境問題において好ましくなく、また、天然材料を用いた場合、任意形状に成形することが難しかった。天然由来および再利用可能な材料で、かつ任意な形状に成形できる技術などが必要であった。また、簡単な構造で多孔質揮散体を有効利用することができる液体揮発容器が切望されているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-148394号公報(特許請求の範囲、
図1~
図4)
【特許文献2】特表2012-514701号公報(特許請求の範囲、
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするものであり、脱プラスチックなどから環境対応を進め、循環型社会に寄与することができ、天然由来および再利用可能な材料で、かつ任意な形状に成形できる多孔質揮散体、並びに、簡単な構造で上記多孔質揮散体を有効利用することができる液体揮発容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記従来の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、揮発性液体を揮発させる多孔質揮散体を特定材料から構成させることにより、多孔質揮散体及びそれを用いた液体揮発容器得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0009】
すなわち、本発明の多孔質揮散体は、揮発性液体を揮発させる多孔質揮散体であって、該多孔質揮散体はパルプを原料として形成されたことを特徴とする。
前記パルプは、再生紙及び/又は古紙を原料とした再生パルプであることが好ましい。
本発明の液体揮発容器は、少なくとも、直液状態の揮発性液体を収容する容器本体と、前記容器本体に収容される揮発性液体を揮発させる上記構成の多孔質揮散体とを備え、前記容器本体は揮発性液体の液残量を視認できる液体揮発容器であって、前記容器本体の先端部に、容器本体内の圧力変化に対して前記多孔質揮散体から噴き出す揮発性液体を貯留する液貯留部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、脱プラスチックなどから環境対応を進め、循環型社会に寄与することができ、天然由来および再利用可能な材料で、かつ任意な形状に成形でき、しかも、使用済みで古くなり、汚れた多孔質揮散体も資源ごみ(紙ごみ)として処分でき、再利用も可能となる多孔質揮散体、並びに、簡単な構造で上記多孔質揮散体を有効利用及び再利用することができる液体揮発容器が提供される。
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるものである。上述の一般的な説明及び後述の詳細な説液体揮発容器明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】(a)~(c)は、本発明の多孔質揮散体の各形状(ハート状柱状体、星印状柱状体、円柱状体)の一例を示す斜視図である。
【
図2】本発明の多孔質揮散体を搭載した実施形態を示すものであり、(a)はクリップを備えた液体揮発容器の不使用(キャップスライドON)状態を示す斜視図、(b)は(a)の液体揮発容器の使用(キャップスライドOFF)状態を示す斜視図である。
【
図3】(a)~(e)は、順次、
図2(a)のクリップを除いた液体揮発容器の平面縦断面図、平面図、正面縦断面図、正面図、右側面図である。
【
図4】(a)~(e)は、順次、
図2(b)のクリップを除いた液体揮発容器の平面縦断面図、平面図、正面縦断面図、正面図、右側面図である。
【
図5】
図2の液体揮発容器の液体容器部の交換状態を示す後方斜視図である。
【
図6】
図2の液体揮発容器の容器本体を構成する液貯留部構成体の一例を示すものであり、(a)~(g)は、順次、前方側から見た斜視図、平面図、後方側から見た斜視図、左側面図、正面図、右側面図、縦断面図である。
【
図7】本発明の容器本体に有するカートリッジ本体(尾栓)の一例を示すものであり、(a)~(h)は、順次、前方側から見た斜視図、平面図、後方側から見た斜視図、平面図、左側面図、正面図、右側面図、正面縦断面図である。
【
図8】本発明の液体揮発容器の封止体の一例を示すものであり、(a)~(e)は、順次、前方側から見た斜視図、左側面図、正面図、(b)のx-x線断面図、後方側から見た斜視図である。
【
図9】本発明の液体揮発容器のキャップ本体の一例を示すものであり、(a)~(h)は、順次、前方側から見た斜視図、平面図、後方側から見た斜視図、平面縦断面図、左側面図、正面図、右側面図、正面縦断面図である。
【
図10】本発明の液体揮発容器のキャップ頂部の一例を示すものであり、(a)~(e)は、順次、前方側から見た斜視図、後方側から見た斜視図、左側面図、正面図、右側面図である。
【
図11】本発明の液体揮発容器のシャッター機構をなす開口調整部材の一例を示す図面であり、キャップON状態の際の部品図(縮んだ状態図)で、前方側から見た斜視図である。
【
図12】本発明の液体揮発容器のクリップの一例を示すものであり、(a)~(b)は、順次、前方側から見た斜視図、正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、各実施形態について図面を参照しながら詳しく説明する。但し、本発明の技術的範囲は下記で詳述するそれぞれの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
なお、各図面間で共通して付されている符号は、特に各図面の説明において言及がなくとも、同じ構成又は部材を表している。
【0013】
(多孔質揮散体)
本発明の多孔質揮散体は、揮発性液体を揮発させる多孔質揮散体であって、該多孔質揮散体はパルプを原料として形成されたことを特徴とするものである。
前記パルプは、再生紙及び/又は古紙を原料とした再生パルプであることが好ましい。
用いることができるパルプは、再生パルプなどを用いることができ、再生パルプは、再生紙、古紙を原料とすることができ、好ましくは、再生紙及び/又は古紙を原料とした再生パルプであることが好ましい。
また、本発明に用いることができる再生パルプには、古紙を離解した古紙パルプや古紙を離解後にインキを除去した脱墨パルプが含まれる。再生パルプの原料となる古紙としては、例えば、新聞紙、チラシ、雑誌、書籍、事務用紙、封書、感熱紙、ノーカーボン紙、その他複写機、OA機器から生ずる印刷紙などが含まれる。特に、粘着剤、接着剤、粘着テープ、雑誌の背糊等の粘着物を含む雑誌古紙等も本発明の再生パルプの原料として用いることができる。
【0014】
パルプの密度は、10~50質量%であり、気孔率は50~90%が好ましい。この多孔質揮散体の「気孔率」は、下記のようにして算出される。まず、既知の質量及び見掛け体積を有する多孔質揮散体を水中に浸し、十分に水を浸み込ませた後、水中から取り出した状態で質量を測定する。測定した質量から、多孔質揮散体に浸み込ませた水の体積が導出される。この水の体積を多孔質揮散体の気孔体積と同一として、下記式から、気孔率が算出される。
気孔率(単位:%)=(水の体積)/(多孔質揮散体の見掛け体積)×100
また、多孔質揮散体の形状は、特に限定されず、任意の形状とすることができ、例えば、
図1(a)に示すハート型形状、
図1(b)に示す星形形状、
図1(c)に示す円柱形状、また、円筒状、角形状などを各外形形状に成形したものが挙げられる。
多孔質揮散体の成形は、例えば、パルプや再生パルプ材料を円柱状などの型に入れて、成形することで、多孔質揮散体として使用でき、その成形方法としては、例えば、各形状となる型にパルプ粉体を圧入し、水を含侵させたのち、乾燥することで、成形することができる。
棒状の場合、多孔質成形物の上端面と下端面は、略同一形状であることが好ましい。
また、多孔質成形物の厚み(長さ)は、特に限定されないが、3mm以上400mm以下であることが好ましい。
【0015】
また、本発明の上記パルプを原料として形成された多孔質揮散体は、揮発性液体を揮発させるものであるので、揮発性液体の貯留体であり、また、貯留した揮発性液体の揮散体となるものである。
本発明に用いる揮発性液体としては、特に限定されないが、芳香を発する各種の合成香料、天然香料、及びこれらの組成物を構成する各成分、消臭作用のあるもの、森林浴効果などの有効な作用のあるもの、人を鎮静させる作用のあるもの、眠気を覚ましたりする覚醒作用を有する揮発性の各芳香消臭液状成分を各単独で又はこれらの2種以上のものを混合して用いることができる。
【0016】
芳香消臭成分としては、例えば、脂肪族炭化水素、テルペン炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素類、脂肪族アルコール、テルペンアルコール、芳香族アルコール等のアルコール類、脂肪族エーテル、芳香族エーテル等のエーテル類、脂肪族オキサイド、テルペン類のオキサイド等のオキサイド類、脂肪族アルデヒド、テルペン系アルデヒド、脂肪族環状アルデヒド、チオアルデヒド、芳香族アルデヒド等のアルデヒド類、脂肪族ケトン、テルペンケトン、脂肪族環状ケトン、非ベンゼン系芳香族ケトン、芳香族ケトン等のケトン類、アセタール類、ケタール類、フェノール類、フェノールエーテル類、脂肪酸、テルペン系カルボン酸、脂肪族環状カルボン酸、芳香族カルボン酸等の酸類、酸アマイド類、脂肪族ラクトン、大環状ラクトン、テルペン系ラクトン、脂肪族環状ラクトン、芳香族ラクトン等のラクトン類、脂肪族エステル、フラン系カルボン酸エステル、脂肪族環状カルボン酸エステル、シクロヘキシルカルボン酸エステル、テルペン系カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル等のエステル類、ニトロムスク類、ニトリル、アミン、ピリジン類、キノリン類、ピロール、インドール等の含窒素化合物等々の合成香料及び動物、植物からの天然香料、天然香料及び/又は合成香料を含む調合香料の1種又は、2種以上を混合し使用することができる。
例えば、合成香料としては、1996年化学工業日報社刊印藤元一著「合成香料 化学と商品知識」、1969年MONTCLAIR,N.J.刊ステファン・アークタンダー(STEFFEN ARCTANDER)著「パヒューム アンド フレーバー ケミカルズ(Perfume and Flavor Chemicals)」等に記載の香料が使用できる。天然香料としては、「香りの百科」日本香料協会編に記載の香料が使用できる。
【0017】
主な香料名を具体的に挙げると、アルデヒドC6~C12、アニスアルデヒド、アセタールR、アセトフェノン、アセチルセドレン、アドキサール、アリルアミルグリコレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、アンブロキサン、アミルシンナミックアルデヒド、アミルシンナミックアルデヒドジメチルアセタール、アミルバレリアネート、アミルサリシレート、イソアミルアセテート、イソアミルサリシレート、オウランチオール、アセチルオイゲノール、バクダノール、ベンジルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルサリシレート、ベルガミールアセテート、ボルニルアセテート、ブチルブチレート、p-t-ブチルシクロヘキサノール、p-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、o-t-ブチルシクロヘキサノール、o-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、ベンズアルデヒド、ベンジルフォーメート、カリオフィレン、カシュメラン、カルボン、セドロアンバー、セドリルアセテート、セドロール、セレストリッド、シンナミックアルコール、シンナミックアルデヒド、シスジャスモン、シトラール、シトラールジメチルアセタール、シトラサール、シトロネラール、シトロネロール、シトロネリルアセテート、シトロネリルフォーメート、シトロネリルニトリル、シクラセット、シクラメンアルデヒド、シクラプロップ、キャロン、クマリン、シンナミルアセテート、δ-C6~C13ラクトン、ジメチルベンジルカービノール、ジヒドロジャスモン、ジヒドロリナロール、ジヒドロミルセノール、ジメトール、ジミルセトール、ジフェニルオキサイド、エチルワニリン、オイゲノール、フルイテート、フェンチルアルコール、フェニルエチルフェニルアセテート、ガラクソリド、γ-C6~C13ラクトン、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、ミルセン、β-カリオフィレン、ゲラニオール、ゲラニルアセテート、ゲラニルフォーメート、ゲラニルニトリル、ヘディオン、ヘリオナール、ヘリオトロピン、cis-3-ヘキセノール、cis-3-ヘキセニールアセテート、cis-3-ヘキセニールサリシレート、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘキシルサリシレート、ヒヤシンスジメチルアセタール、ハイドロトロピックアルコール、ヒドロキシシトロネラール、インドール、イオノン、イソボルニルアセテート、イソシクロシトラール、イソEスーパー、イソオイゲノール、イソノニルアセテート、イソブチルキノリン、ジャスマール、ジャスモラクトン、ジャスモフィラン、コアボン、リグストラール、リリアール、ライムオキサイド、リナロール、リナロールオキサイド、リナリルアセテート、リラール、マンザネート、マイヨール、メンサニールアセテート、メンソネート、メチルアンスラニレート、メチルオイゲノール、メントール、α-メチルイオノン、β-メチルイオノン、γ-メチルイオノン、メチルイソオイゲノール、メチルラベンダーケトン、メチルサリシレート、ミューゲアルデヒド、ムゴール、ムスクTM-II、ムスク781、ムスクC14、ムスコン、シベトン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデセノン、シクロペンタデカノリド、アンブレッドリド、シクロヘキサデカノリド、10-オキサヘキサデカノリド、11-オキサヘキサデカノリド、12-オキサヘキサデカノリド、エチレンブラシレート、エチレンドデカンジオエート、オキサヘキサデセン-2-オン、14-メチル-ヘキサデセノリド、14-メチル-ヘキサデカノリド、ムスクケトン、ムスクチベチン、ノピルアルコール、ノピルアセテート、ネリルアセテート、ネロール、メチルフェニルアセテート、ミラックアルデヒド、ネオベルガメート、オークモスNo.1、オリボン、オキシフェニロン、p-クレジールメチルエーテル、ペンタリッド、フェニルエチルアルコール、フェニルエチルアセテート、ルバフラン、ダマセノン、ラズベリーケトン、ジメチルベンジルカービニルアセテート、ジャスマサイクレン、メチルナフチルケトン、ローズフェノン、ローズオキサイド、サンダロア、サンデラ、サンタレックス、スチラリールアセテート、スチラリールプロピオネート、ターピネオール、ターピニルアセテート、テトラヒドロリナロール、テトラヒドロリナリルアセテート、テトラヒドロゲラニオール、テトラヒドロゲラニルアセテート、トナリッド、トラセオライド、トリプラール、チモール、ワニリン、ベルドックス、ヤラヤラ、アニス油、ベイ油、ボアドローズ油、カナンガ油、カルダモン油、カシア油、シダーウッド油、オレンジ油、マンダリン油、タンジェリン油、バジル油、ナツメグ油、シトロネラ油、クローブ油、コリアンダー油、エレミ油、ユーカリ油、フェンネル油、ガルバナム油、ゼラニウム油、ヒバ油、桧油、ジャスミン油、ラバンジン油、ラベンダー油、レモン油、レモングラス油、ライム油、ネロリ油、オークモス油、オコチア油、パチュリ油、ペパーミント油、ペリラ油、プチグレン油、パイン油、ローズ油、ローズマリー油、樟脳油、芳油、クラリーセージ油、サンダルウッド油、スペアミント油、スパイクラベンダー油、スターアニス油、タイム油、トンカ豆チンキ、テレピン油、ワニラ豆チンキ、ベチバー油、イランイラン油、グレープフルーツ油、ゆず油、ベンゾイン、ペルーバルサム、トルーバルサム、チュベローズ油、ムスクチンキ、カストリウムチンキ、シベットチンキ、アンバーグリスチンキ等である。
【0018】
また、香料の溶剤又は保留剤としてジエチルフタレート、ジプロピレングリコール、ベンジルベンゾエート、イソプロピルミリステート、ハーコリン、イソペンタン、オレンジテルペン等を使用することができる。
これらの液状芳香消臭成分の配合量としては、通常、揮発性液体全量(組成物)中に0.1~10質量%、好ましくは1~8質量%の範囲から適宜選択される。この液状芳香消臭成分の配合量が0.1質量%未満では適度な効果が得られず、10質量%を超えると必要な界面活性剤の量などが多量となり、香りや消臭などの持続性維持が困難となる。また、コスト的にも不経済である。
【0019】
本発明に用いる揮発性液体は、溶剤として水(精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水等)を使用し、必要に応じて本開示の効果を損なわない範囲で、他の界面活性剤や従来から使用されてきた他の成分を添加しても良い。
他の界面活性剤におけるアニオン界面活性剤としては具体的には、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、脂肪酸セッケン、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシルアラニネートやアシルタウレート、N-アルキルイミノジカルボン酸に代表されるアミノ酸系アニオン界面活性剤又はその塩、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、アルキルフェニルエーテルリン酸塩、アルキルリン酸エステル塩等が好ましく挙げられる。
他の界面活性剤における両性又は半極性界面活性剤としては具体的には、アミンオキサイド、アルキルベタイン、脂肪酸アミドアルキルベタイン、ヒドロキシスルホベタイン、イミダゾリン、アルキルグリシン、アルキルアラニン等が好ましく挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアシルエステル、アルキルポリグリコシド、脂肪酸グリコシドエステル、脂肪酸メチルグリコシドエステル、アルキルメチルグルカミド、脂肪酸アルカノールアミド等が好ましく挙げられる。
他の添加可能な成分としては、安定な揮散を持続させる成分(炭酸プロピレン)、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、ハイドロトロープ剤、無機塩、色素等が挙げられる。
【0020】
用いる揮発性液体には、使用性、耐漏出性などの点から、擬塑性が付与されていてもよい。擬塑性の付与は、一般的に増粘剤(ゲル化剤)などを用いて行うことができる。なお、擬塑性とは、静止状態においては非流動性を示すものの、剪断力が加えられると流動性を示す性質をいう。
用いることができる増粘剤としては、例えば、アルカリ膨潤会合型エマルション、アルカリ膨潤型エマルション、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、キサンタンガム、サクシノグリカン、ダイユータンガム、グァーガム、カラギーナン、ペクチン、又はセルロース誘導体架橋形アクリル酸重合体、酸化セルロース、結晶セルロース、レオザンガム、ジェランガム、モンモリロナイト系粘土鉱物等無機系の増粘剤などから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0021】
このように構成される多孔質揮散体は、脱プラスチックなどから環境対応を進め、循環型社会に寄与することができ、天然由来および再利用可能な材料で、かつ任意な形状に成形でき、揮発性液体の貯留体として、また、貯留した揮発性液体の揮散体として好適に用いることができ、しかも、使用済みで古くなり、汚れた多孔質揮散体も資源ごみ(紙ごみ)として処分でき、再利用も可能となるものである。
【0022】
(液体揮発容器)
図2は、第1の実施の形態の液体揮発容器の一例を示すものであり、(a)はクリップを備えた液体揮発容器の不使用(キャップON)状態を示す斜視図、(b)は(a)の液体揮発容器の使用(キャップOFF)状態を示す斜視図であり、
図3(a)~(e)は、順次、
図1(a)のクリップを除いた液体揮発容器の平面縦断面図、平面図、正面縦断面図、正面図、右側面図であり、
図4(a)~(e)は、順次、
図1(b)のクリップを除いた液体揮発容器の平面縦断面図、平面図、正面縦断面図、正面図、右側面図である。
【0023】
本実施形態の液体揮発容器Aは、
図1~
図3に示すように、少なくとも、直液状態の揮発性液体を収容する容器本体100と、毛細管力を有し、前記容器本体100に収容される揮発性液体を揮発させる本発明の上記揮発性液体を揮発させる多孔質揮散体20とを備え、前記容器本体100は揮発性液体Hの液残量を視認できる液体揮発容器であって、前記容器本体100の先端部に、容器本体100内の圧力変化に対して前記多孔質揮散体20から噴き出す揮発性液体を貯留する液貯留部を設けたことを特徴とするものである。
【0024】
(各部品構成)
この実施形態の液体揮発容器Aでは、揮発性液体を収容する容器本体をカートリッジ式容器100としている。
このカートリッジ式容器100は、
図5、
図7及び
図8などに示すように、容器本体110と封止体120とを有している。
容器本体110は、
図2~
図4などに示すように、楕円状の底板部111を有する筒状本体部112と、筒状本体部112の先端側には開口部113と、上記底板部111の外周面上に嵌合面部114を有する嵌合部115とを有している。
筒状本体部112内には、
図3、
図7などに示すように、底板111の内壁部面に多孔質揮散体20の後端部21面に当接すると共に、中央部内周面には上記封止体120を嵌合により固着するための凹状の固着穴116と、筒状本体部112の内壁には、筒状本体部を補強するための補強用リブ117が4本、所定間隔度に一体に形成されている。この筒状本体部112の開口部113に、封止体120が固着される構成となっている。
この封止体120は、
図8(a)~(e)に示すように、楕円状の封止部121と、上記筒状本体部112の開口部113内に固着するための筒体部122とから構成され、該封止部121には中心部より下方側に多孔質揮散体20を挿通する挿通孔123と、封止部121の外周面の一端から内側に空気置換用のスリット部124が形成されている。
上記筒状本体部112の開口部113にシーリング用Oリング125を介在させて封止体120を固着せしめることにより、揮発性液体を収容(搭載)し、多孔質揮発体20を備えたカートリッジ式容器100が構成される。
上記筒状本体部112の開口部113にシーリング用Oリング125を介在させて封止体120を固着せしめることにより、揮発性液体を収容(搭載)し、上記パルプ等を原料として構成される多孔質揮散体20を備えたカートリッジ式容器100が構成される。
このカートリッジ式容器100の容器本体110を視認性のある材料(透明、半透明の材料)で構成すれば、簡単に容器内の揮発性液体の液残量を視認することができる。
【0025】
この実施形態の液体揮発容器Aにおいて、上記構成のカートリッジ式容器100を取付自在とすると共に、キャップを取り付けるための外箱体130が構成されている。
この外箱体130は、
図6(a)~(g)に示すように、上記構成のカートリッジ式容器100を取付自在とするための楕円状の筒状体部140と、この筒状体部140の前方側にキャップを取り付けるためのキャップ取付部150と、該キャップ取付部150の上面部に自動車のエアコン等のルーバー等に挟持により取り付けるためクリップ80を嵌合等により取り付けるための4本の支柱から構成される嵌合凹部160とを有している。
【0026】
この外箱体130の筒状体部140は、該筒状体部140内に上記構成のカートリッジ式容器100を取付自在に収容するものであり、内部前方側にはカートリッジ式容器100の前方側の外縁部を当接する周面上の当接段部141が形成されると共に、後方側の両側にはカートリッジ式容器100を取り外し用などのために略半円状の開放部142、142が形成されると共に、後方側の上下面内部には上述のカートリッジ式容器100の嵌合部115に嵌合するための嵌合用の突起143,143が形成されている。
また、キャップ取付部150は、前方側が蓋部151となっており、この蓋部151には多孔質揮散体20を挿通する円形状の挿通部152を有している。この挿通部152の内部には多孔質揮散体20を保持する所定間隔度に設けられたリブ153が6本形成されている。この挿通部152の一端側にガイド溝154が一体に形成されており、この挿通部152の外周とガイド溝154の外周にシャッター機構60を構成する開口調整部材70の枠部71が取り付けられる構成となっている。
更に、キャップ取付部150の外周面は、取付凹部155となっており、上面部にキャップ170の取り付けた位置を調整するための凹凸部からなる位置調整部156,156が形成されており、取付凹部155の両側面部にスライド型のガイドレール体157,157が形成されている。位置調整部156,156の前方側の突部155a,155aは抜け止め用突部である。
【0027】
前記外箱体130のキャップ取付部150に取り付けられるキャップ170は、本実施形態では、
図9などに示すように、二部品から構成されており、筒状のキャップ本体部180と、該キャップ本体180を施蓋する開口部を有する蓋体190とを有している。
キャップ本体部180は、
図9(a)~(g)に示すように、内部中央部に隔壁部181を有し、該隔壁部181の後方側は上面側に揮発性液体を注入する注入孔型開口部182となっており、該注入孔型開口部182の後方側には、キャップ取付部150の位置調整部156,156と摺動する摺動片183,183を有し、内部側面部にはガイドレール体157,157をガイドするガイド溝184,184が形成されている。また、隔壁部181の前方側の内部には円形状の開口部185を有する筒体186を有し、開口部185の一側面には、蓋体190を嵌入するための嵌入孔187が形成され、他側面には平板状のガイド部188が形成されている。
蓋体190は、
図10に示すように、キャップ本体部180を嵌合により施蓋すると共に、キャップ取付部150とキャップ本体部180とにより開口部185の開口面積の大きさを任意に調整可能なシャッター機構60が連動する構成となっている。この蓋体190には、円形状の開口部185と同じ大きさの開口部191を有し、嵌合用の筒体192にはシャッター機構60を構成する開口調整部材70をガイドするガイド溝193とガイド部194が形成されている。
【0028】
シャッター機構60を構成する開口調整部材70は、伸縮自在となる材質から構成されるものであり、
図11に示すように、円形状の枠部71と、枠部71に連結される連結部72、本体部73、前記開口部55を塞ぐ開口調整部74とが一体となっている。
このシャッター機構60を構成する開口調整部材70は、11(a)及び(b)などに示すように、円形状の枠部71が挿通部152の外周とガイド溝154に装着され、枠部71に連結される連結部72に連接される本体部73及び開口調整部74は前記キャップ本体部180ガイド部188と、蓋体190のガイド溝193とガイド部194にスライド自在となるように取り付けられている。
【0029】
この実施形態の液体揮発容器Aでは、キャップ取付部150の位置調整部156,156を前方側へとスライドさせると(キャップOFF状態にすると)、クリック音を感じながら、ガイド溝184,184によりガイドレール体157,157が滑らかにスライドし、開口調整部材70が伸びた状態となるものであり、
図3(b)、
図4(a)~(e)に示すように、キャップ170の開口部185(191)が開き多孔質揮散体20に吸蔵された揮発性液体の芳香が容器外へなされることとなる。また、このキャップOFF状態にすると、注入孔となる開口部182も開き、該開口部182から揮発性液体を補充することができる構成となっている。
このシャッター機構60は、キャップ170の開口部185(191)の大きさを任意に調整可能(ゼロ:開口部を閉鎖から最大:開口部の開口を全開)となるものであり、上述の如く、キャップ170の開閉動作(スライド動作)に連動する構成となっている。
【0030】
この実施形態の液体揮発容器Aにおける液貯留部構成体は、カートリッジ式容器100、外箱体130を取り付けた際にできるキャップ取付部150の内部空間158が液貯留部構成体となるものである。
本実施形態では、内部空間158で、カートリッジ式容器100の容器本体110内の圧力変化に対して前記多孔質揮散体20から噴き出す揮発性液体を貯留する液貯留部が構成されることとなる。この液貯留部の内容量は、前記容器本体110の内容量と同等の容量又はそれ以下の容量となっている。また、後述するように、内部空間158に圧力変化に対して多孔質揮散体20から噴き出し内部空間158に貯留された揮発性液体は、その後の圧力変化に応じて封止体120の空気置換用のスリット部124等を通して容器本体110に自動的に戻ることが可能となっている。
【0031】
クリップ80は、
図2~
図6、
図11(a)~(c)に示すように、容器100の上面側に形成した4本の支柱から構成される嵌合凹部160に嵌合する周面凸部85a,周面凸部85aを有する球状の嵌合凸部85、これに連結される支柱体部86と、該支柱体部86上に、挟持台部87を一体に有し、この挟持台部87に自動車のエアコン等のルーバー等に挟持により取り付けるためのはさみ状の弾性挟持片部88,88を一体に有し、弾性挟持片部88,88の内面側に凹凸状の挟持部89,89を有している。
【0032】
上記カートリッジ式容器100、外箱体130、キャップ170等の材質としては、貯留される揮発性液体の物性等に影響を及ぼさないものであれば、特に限定されず、例えば、金属や、ポリアセタール系樹脂、ポリエチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合系樹脂(EVOH)、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂などの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の少なくとも1種で形成することができ、好ましくは、空気バリア性の高い素材を含むもので形成されるものが挙げられる。
空気バリア性の高い素材としては、上記EVOH、金属箔、金属蒸着槽、カーボン材などが挙げられる。空気バリア性などの高いものとしては、上記EVOHの単独物や該EVOH、上記熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の少なくとも1種よりなる容器本体等に、更に内表面及び/又は外表面に、空気バリア性、湿度バリア性も兼ね備える金属箔、金属蒸着、カーボン材(ダイヤモンドライクカーボン材を含む)を接着や蒸着等した少なくとも2層以上の複合材などが挙げられ、これら複合材は、例えば、共押出、多層射出成型、多層ブローなどの各成形方法等で目的の所定の容器本体100などの各部品が成形されることとなる。
また、耐溶剤性の高い素材を含むもので形成される。耐溶剤性の高い素材としては、PEN(ポリエチレンナフタレート)、またはPPとPENとの複合材などが挙げられる。
本実施形態の容器本体10などを含む各部品は、外層と内層がポリプロピレン(PP)樹脂で形成され、外層と内層で挟まれた中間層がナイロン又はエチルビニルアルコール(EVOH)樹脂でブロー成形法により形成された多層構造から構成されている。
【0033】
また、前記開口調整部材70は、伸縮自在となる材質、例えば、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系などの熱可塑性エラストマーやシリコーンゴムなどのゴム材料で構成されるものであり、本実施形態では、ポリエステル系熱可塑性エラストマーから構成されている。
【0034】
このように構成される本実施形態の液体揮発容器Aは、液貯留部となる内部空間158の内容量は、カートリッジ式容器の容器本体110内と同等の容量を持ち、貯留された揮発性液体は、空気置換用のスリット124等を通して戻ることが可能である。また、本液体揮発容器Bは鉛直方向に対して垂直に使用するものであり、本液体揮発容器Aは±45度の傾きを許容する構成となっている。
この第2の実施形態の液体揮発容器Bは、
図5に示すように、揮発性液体を収容する容器本体をカートリッジ式容器100とし、このカートリッジ式容器100とキャップ170を取り付けるための外箱体130を設け、この外箱体130と二部品構成のキャップ170とが分離可能となっており、このキャップ170及び外箱体130に互いに凹凸突起による位置調整部170等を形成し、キャップ170のスライド位置を容易に調整可能とし、揮発開口部の開口面積を広くしたり、小さくしたりして揮発性液体の揮発量の調整を容易にできるものとしたものである。
【0035】
本実施形態の液体揮発容器Aでは、キャップ170をスライドさせることにより、開口部185などから揮発性液体に含まれる芳香を発する成分、消臭作用を有する成分、森林浴効果などの有効な作用を発する成分、人を鎮静させる作用のある成分、眠気を覚ましたりする覚醒作用を有する成分などの少なくとも1種の芳香・消臭成分が揮発することとなり、これにより用いる揮発性液体種を選択することにより、車内などに目的に応じた芳香や消臭などを発揮することができ、上記キャップ170を閉めると、液状芳香消臭剤などの揮発性液体の揮発は制限されるので、多孔質揮散体20での揮発が徐々になくなるものであり、キャップ170の開閉動作によりシャッター機構60を介して確実に密閉でき、携帯性を有し、過酷な温度変化に対しても揮発性液体の容器外への噴き出しなどの問題もなく対応することができると共に、容器本体を視認性のある材料で構成すれば、残液量の視認も容易となる車載用などに好適な液体揮発容器が提供されることとなる。
また、液体揮発容器に用いる多孔質揮散体は、天然由来および再利用可能なパルプ材料から構成されており、かつ任意な形状に成形できるものであり、しかも、交換により使用済みで古くなり、汚れた多孔質揮散体も資源ごみ(紙ごみ)として処分でき、再利用も可能となるものである。
【実施例0036】
次に、実施例により、本発明を更に詳述するが、本発明は下記実施例等により限定されるものではない。
【0037】
(実施例1)
再生パルプ1gを、縦26mm、横26mmハート型で、深さ10mmの容器に、充填し、水を含侵後、50℃恒温槽にて、24時間加熱乾燥した。上記操作によって得られたハート柱形状の再生パルプ製揮散体に、芳香アロマを3ml含浸させた。再生パルプ材料は、中部電磁器工業製紙漉き用再生パルプを用いた。
芳香アロマオイルは炭化水素系溶剤を主溶剤とするアロマオイルを用いた。
パルプ密度は、20wt%で、気孔率は、80%であった。平均細孔径は、約80μmであった。
以上の多孔質揮散体において、良好な揮散となることを確認した。
【0038】
(実施例2:
図1~
図12に準拠の液体揮発容器A)
下記構成の容器本体100、尾栓110、液貯留部構成体130、キャップ190、開口調整部材60などを用いて
図1~
図12に準拠する直液式の液体揮発容器を作製した。また、下記組成の揮発性液体を使用した。
【0039】
(直液式芳香消臭剤容器Aの主な構成)
容器本体100、尾栓110、液貯留部構成体130、キャップ190:
共にポリエチレンナフタレート製、開口部の面積:約80cm2
多孔質揮散体20:再生パルプ材料は、中部電磁器工業製紙漉き用再生パルプを用いた。パルプ密度は、20wt%で、気孔率は、80%であった。平均細孔径は、約80μmであった。多孔質揮散体の大きさ:φ10×20mm、気孔率60%
開口調整部材70(シャッター機構60):ポリエステル製熱可塑性エラストマー、厚さ:2mm
【0040】
(揮発性液体の配合組成)
下記組成の揮発性液体(合計100質量%)を使用した。
香料:1.5重量%
界面活性剤(ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル):3質量%
消臭剤(ベタイン化合物、アミン化合物、有機酸化合物の混合物):0.2質量%
防腐剤(2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン):0.03質量%
イオン交換水:95.27質量%
粘度(25℃):3mPa・s(E型粘度計、東機産業社製TV-25)
【0041】
上記実施例2で得られた液体揮発容器Aを用いて使用したところ、実施例1の液体揮発容器Aでは、キャップ190を開くことにより、揮発性液体に含まれる芳香・消臭成分が揮発し、心地の良い雰囲気下にすることが確認できた。また、キャップ190を閉じると、揮発性液体の揮発も徐々になくなることを確認した。また、過酷な温度変化に対しても揮発性液体の容器外への噴き出しなどの問題も液体揮発容器Aに設けた一次貯留となる液貯留部に収容することができると共に、残液量の視認も容器本体が視認性を有する材料で構成したので、容易となる車載用などに好適な液体揮発容器が得られることを確認した。
得られる多孔質揮散体は、循環型社会に寄与することができ、天然由来および再利用可能な材料で、かつ任意な形状に成形でき、しかも、使用済みで古くなり、汚れた多孔質揮散体も資源ごみ(紙ごみ)として処分でき、再利用も可能となり有用性に優れたものである。
上記多孔質揮散体は、例えば、液体揮発容器の揮散体に使用でき、この液体揮散容器は、過酷な温度変化に対しても揮発性液体の容器外への噴き出しなどの問題もなく対応することができると共に、残液量の視認も容易となる車載用などに好適な用いることができる。