(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062239
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】振動装置
(51)【国際特許分類】
B06B 1/04 20060101AFI20240430BHJP
B65D 83/06 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
B06B1/04 Z
B65D83/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170105
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】397069868
【氏名又は名称】アズワン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 翔一
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107CC09
5D107DD09
(57)【要約】
【課題】複数種の容器の各々から粉体を落下させるために使用可能な振動装置を提供する。
【解決手段】本発明の振動装置1は、容器2の側方に配置される筐体10と、筐体10の内部に設けられる振動モーターと、筐体10に支持されるベルト12,13とを備える。ベルト12,13は、容器2の外周に巻き付ける輪を構成するものであって、当該輪の形状を複数種の容器の各々に対応した形状に変更可能である。振動装置1は、ベルト12,13の輪を容器2の外周に巻き付けることによりベルト12,13を容器2に緊結して筐体10が容器2に取り付けられた状態で、振動モーターを作動させて当該振動モーターが発する振動を筐体10を介して容器2に伝達することで、容器2内に収容された粉体3を容器2から落下させることが可能である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の側方に配置される筐体と、
前記筐体の内部に設けられる振動モーターと、
前記筐体に支持される取付手段とを備え、
前記取付手段は、前記容器に緊結することで前記筐体を前記容器に取り付けるものであって、複数種の前記容器の各々に対応した形状に変更可能であることで、複数種の前記容器の各々に前記筐体を取り付け可能であり、
前記筐体が前記容器に取り付けられた状態で、前記振動モーターを作動させて当該振動モーターが発する振動を前記筐体を介して前記容器に伝達することで、前記容器内に収容された粉体を前記容器から落下させることが可能である振動装置。
【請求項2】
前記取付手段は、前記筐体に支持されるベルトであり、
前記ベルトは、前記容器の外周に巻き付けられる輪を構成するものであって、前記輪の形状を複数種の前記容器の各々に対応した形状に変更可能であり、
前記ベルトの輪を前記容器の外周に巻き付けることにより前記ベルトを前記容器に緊結して記筐体が前記容器に取り付けられた状態で、前記振動モーターを作動させて当該振動モーターが発する振動を前記筐体を介して前記容器に伝達することで、前記容器内に収容された粉体を前記容器から落下させることが可能である請求項1に記載の振動装置。
【請求項3】
前記振動装置は、前記ベルトとして、前記筐体の長手方向の途中位置に支持される一のベルトを備えており、
前記筐体は、当該筐体の外面の一部をなし、前記途中位置を通過するように前記筐体の長手方向に延びる面部と、当該面部から突出する第一突起とを有しており、
前記第一突起は、前記途中位置よりも前記筐体の長手方向の一方側に設けられる請求項2に記載の振動装置。
【請求項4】
前記振動モーターは、前記途中位置よりも前記筐体の長手方向の一方側に設けられる請求項3に記載の振動装置。
【請求項5】
前記筐体は、前記面部から突出する第二突起を有し、
前記第二突起は、前記途中位置よりも前記筐体の長手方向の他方側に設けられており、
前記第一突起が前記面部から突出する高さは、前記第二突起が前記面部から突出する高さよりも大きい請求項3に記載の振動装置。
【請求項6】
前記筐体に取り付けられるトグルスイッチをさらに備え、
前記トグルスイッチは、前記面部の反対側で前記筐体の外面から突出するレバーを備えており、
前記レバーは、外力が加えられることで初期位置から前記筐体の長手方向の一方側及び他方側に傾斜することが可能なものであり、前記レバーが前記長手方向の一方側又は他方側に傾斜している間、前記振動モーターは作動して振動を発し、
前記レバーが前記筐体の長手方向の一方側に傾斜した状態では、前記レバーを前記初期位置側に付勢する力が弾性体によって前記レバーに加えられており、前記弾性体による力に抗する前記外力を前記レバーに加えることを中止した際に、前記レバーは、前記弾性体による力で、前記初期位置に復帰する請求項3乃至5のいずれかに記載の振動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に収容された粉体を前記容器から落下させるための振動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、振動モーターが内部に設けれる筐体を容器に取り付けて、振動モーターが発する振動を容器に伝達することで、容器内に収容された粉体を容器から落下させる振動装置が開示されている。上記の筐体は、雄型の連結具を備えており、容器に設けられる雌側の連結具に上記の雄型の連結具を結合することで、筐体が容器に取り付けられて、振動モーターが発する振動を容器に加えることが可能とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1に開示される振動装置は、筐体を取り付けて、粉体を落下させることが可能な容器が、上記雌型の連結具を備えた容器に限定される。
【0005】
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであって、その目的は、容器内に収容された粉体を容器から落下させるための振動装置であって、複数種の容器の各々から粉体を落下させるために使用可能な振動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、次の項に記載の主題を包含する。
【0007】
項1.容器の側方に配置される筐体と、
前記筐体の内部に設けられる振動モーターと、
前記筐体に支持される取付手段とを備え、
前記取付手段は、前記容器に緊結することで前記筐体を前記容器に取り付けるものであって、複数種の前記容器の各々に対応した形状に変更可能であることで、複数種の前記容器の各々に前記筐体を取り付け可能であり、
前記筐体が前記容器に取り付けられた状態で、前記振動モーターを作動させて当該振動モーターが発する振動を前記筐体を介して前記容器に伝達することで、前記容器内に収容された粉体を前記容器から落下させることが可能である振動装置。
【0008】
項2.前記取付手段は、前記筐体に支持されるベルトであり、
前記ベルトは、前記容器の外周に巻き付けられる輪を構成するものであって、前記輪の形状を複数種の前記容器の各々に対応した形状に変更可能であり、
前記ベルトの輪を前記容器の外周に巻き付けることにより前記ベルトを前記容器に緊結して記筐体が前記容器に取り付けられた状態で、前記振動モーターを作動させて当該振動モーターが発する振動を前記筐体を介して前記容器に伝達することで、前記容器内に収容された粉体を前記容器から落下させることが可能である項1に記載の振動装置。
【0009】
項3.前記振動装置は、前記ベルトとして、前記筐体の長手方向の途中位置に支持される一のベルトを備えており、
前記筐体は、当該筐体の外面の一部をなし、前記途中位置を通過するように前記筐体の長手方向に延びる面部と、当該面部から突出する第一突起とを有しており、
前記第一突起は、前記途中位置よりも前記筐体の長手方向の一方側に設けられる項2に記載の振動装置。
【0010】
項4.前記振動モーターは、前記途中位置よりも前記筐体の長手方向の一方側に設けられる項3に記載の振動装置。
【0011】
項5.前記筐体は、前記面部から突出する第二突起を有し、
前記第二突起は、前記途中位置よりも前記筐体の長手方向の他方側に設けられており、
前記第一突起が前記面部から突出する高さは、前記第二突起が前記面部から突出する高さよりも大きい項3又は4に記載の振動装置。
【0012】
項6.前記筐体に取り付けられるトグルスイッチをさらに備え、
前記トグルスイッチは、前記面部の反対側で前記筐体の外面から突出するレバーを備えており、
前記レバーは、外力が加えられることで初期位置から前記筐体の長手方向の一方側及び他方側に傾斜することが可能なものであり、前記レバーが前記長手方向の一方側又は他方側に傾斜している間、前記振動モーターは作動して振動を発し、
前記レバーが前記筐体の長手方向の一方側に傾斜した状態では、前記レバーを前記初期位置側に付勢する力が弾性体によって前記レバーに加えられており、前記弾性体による力に抗する前記外力を前記レバーに加えることを中止した際に、前記レバーは、前記弾性体による力で、前記初期位置に復帰する項3乃至5のいずれかに記載の振動装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明の振動装置によれば、複数種の容器の各々から粉体を落下させるために使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る振動装置の筐体が容器に取り付けられた状態を示す斜視図である
【
図2】本発明の実施形態に係る振動装置の筐体が容器に取り付けられた状態を示す斜視図であり、
図1とは異なる視点から振動装置及び容器を視た状態を示す。
【
図3】本発明の実施形態に係る振動装置を示す斜視図である。
【
図4】振動装置が備える筐体本体の内部を示す平面図である。
【
図5】振動装置の筐体が容器に取り付けられた状態を示す側面図であり、振動装置が振動していないときの状態を示す。
【
図6】振動装置の筐体が容器に取り付けられた状態を示す側面図であり、振動装置が振動しているときの状態を示す。
【
図7】振動装置の筐体が容器に取り付けられた状態を示す側面図であり、振動装置が振動しているときの状態を示す。
【
図8】(A)は、
図1,
図2,
図5~
図7に示す容器に振動装置を取り付けた状態を示し、(B)は、(A)に示す容器よりも小さいサイズの容器に振動装置を取り付けた状態を示し、(C)は、(A)に示す容器よりも大きいサイズの容器に振動装置を取り付けた状態を示す
【
図9】本発明の変形例に係る振動装置が容器に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1及び
図2は、本発明の実施形態に係る振動装置1の筐体10が容器2に取り付けられた状態を示す斜視図である(
図2は、
図1とは異なる視点から振動装置1及び容器2を視た状態を示す)。
図3は、振動装置1を示す斜視図である。
図4は、振動装置1が備える筐体本体20の内部の状態を示す平面図である。
図5~
図7は、振動装置1の筐体10が容器2に取り付けられた状態を示す側面図である。
図5は、振動装置1が振動していないときの状態を示し、
図6及び
図7は、振動装置1が振動しているときの状態を示す。
【0016】
本発明の実施形態に係る振動装置1は、容器2内に収容された粉体3(
図5~
図7)を容器2から落下させるために使用される。容器2は、有底筒状の胴部4と、胴部4よりも小径の筒状を呈する口部5とを備える。当該容器2は、口部5の開口6から容器2内に粉体3を収容することや、容器2内の粉体3を開口6から吐出することが可能である。本発明は、容器2内に収容される粉体3を特に限定するものではなく、粉体3は、薬剤、調味料、化粧品(人体の頭部に付着させる微毛髪など)などとされ得る。
【0017】
振動装置1は、容器2に側方に配置される筐体10と、筐体10の内部に設けられる振動モーター11(
図4)と、筐体10を容器2に取り付けるための取付手段としての一及び二のベルト12,13と、筐体10に取り付けられるトグルスイッチ14とを備える。筐体10は、細長の中空体であり、樹脂がら形成される。筐体10を形成する樹脂として、例えばABS(Acrylonitrile-butadiene-styrene)樹脂が使用される。なお筐体10は樹脂以外の材料(金属など)から形成されてもよい。一及び二のベルト12,13は、それぞれ筐体10に支持されており、容器2に緊結することで、筐体10を容器2に取り付け可能である。一のベルト12は、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ゴム等から形成された繊維帯体であり、筐体10の長手方向の途中位置Sに支持される。一のベルト12は、一端側12a及び他端側12bがそれぞれ筐体10から延び出るように筐体10の位置Sに支持されており(
図3)、一端側12aの表面には第一面ファスナー15が設けられ、他端側12bの裏面には第二面ファスナー16が設けられる。二のベルト13は、伸縮素材から形成された環状体であり、二のベルト13を形成する伸縮素材として例えばゴムを使用できる。当該二のベルト13は、一のベルト12が支持される途中位置Sよりも筐体10の長手方向の一方側の位置Tで筐体10に支持される。振動モーター11(
図4)は、上記の途中位置Sよりも筐体10の長手方向の一方側に設けられる。なお
図4に示すように、二のベルト12が支持される位置Tよりも筐体10の長手方向の一方側に振動モーター11を設けることがより好ましいが、必ずしもそのように振動モーター11を配置する必要はない。
【0018】
筐体10は、有底箱状の筐体本体20と、筐体本体20の開口21(
図4)を塞ぐ蓋体22(
図1~
図3)とを備える。
【0019】
図4に示すように、筐体本体20の内面には、リブ23と、ボス部24と、ボス部25とが設けけられる。
【0020】
リブ23は、筐体10の幅方向に延びるものであって、筐体10の長手方向に間隔をあけて複数設けられる、これら複数のリブ23は、いずれも、一のベルト12が支持される途中位置Sよりも筐体10の長手方向の一方側に設けられる。
【0021】
振動モーター11は、電力が供給されることで作動して振動を発するモーターである。当該振動モーター11として、例えば、、電力が供給される間、回転軸に偏心させて取り付けられた偏心子が、偏心回転することで、振動を発するモーターを使用できる(この場合、偏心子が偏心回転することが、上記の振動モーター11が作動することに相当する)。振動モーター11は、複数のリブ23に支持された状態で、アングル材26を介して筐体本体20に固定される(
図4に示すように、位置Tよりも筐体10の長手方向の一方側に振動モーター11が設けられる場合には、複数のリブ23も、位置Tよりも筐体10の長手方向の一方側に設けられる)。アングル材26は、筐体10の幅方向に視る側面視で、一片26aが他片26bに対して直角に曲がったL字状を呈しており、一片26aを貫通する螺子27が振動モーター11にねじ込まれ、他片26bを貫通する螺子28がボス部24にねじ込まれることで、振動モーター11が筐体本体20に固定される。
【0022】
本実施形態の振動装置1では、振動モーター11に電力を供給するための構成として、DCジャック30と、ケーブル31,32とが設けられる。DCジャック30は、筐体本体20の端部に取り付けられる(当該筐体本体20の端部は、筐体10の長手方向の他方側の端部を構成する)。当該DCジャック30には、電源ケーブル33の端に設けられたDCプラグ34が接続される。ケーブル31,32は、筐体本体20の内部に配置される。ケーブル31は、DCジャック30のプラス端子と振動モーター11のプラス端子とをスイッチ14を介して接続する。ケーブル32は、DCジャック30のマイナス端子と振動モーター11のマイナス端子とを接続する。
【0023】
トグルスイッチ14は、レバー40(
図1~
図3,
図5~
図7)の操作によって、振動モーター11への電力の供給と遮断とを切り替え可能なスイッチである。
図5~
図7に示すように、レバー40は、後述する面部60の反対側で筐体10の外面(詳細には筐体本体20の外面)から突出する。トグルスイッチ14は、手の指でレバー40に外力を加えることで、レバー40を初期位置から筐体10の長手方向の一方側及び他方側に傾斜させることが可能である(
図5は、レバー40が初期位置にあるときの状態を示し、
図6は、レバー40を筐体10の長手方向の一方側に傾斜させたときの状態を示し、
図7は、レバー40を筐体10の長手方向の他方側に傾斜させたときの状態を示す)。レバー40が初期位置にある間では(
図5)、振動モーター11への電力の供給が遮断されることで。振動モーター11は作動しない。レバー40が筐体10の長手方向の一方側又は他方側に傾斜する間では(
図6,
図7)、電源ケーブル33を介して電源から供給される電力が、ケーブル31,32を介して振動モーター11に供給されることで、振動モーター11が作動して振動を発する。
図6に示すようにレバー40が筐体10の長手方向の一方側に傾斜した状態では、図示しない弾性体によってレバー40を初期位置側に付勢する力がレバー40に加えられており、弾性体の力に抗する外力をレバー40に加えることを中止した際に、レバー40は、前記弾性体による力で、初期位置に復帰する、
図7に示すようにレバー40が筐体10の長手方の他方側に傾斜した状態は、レバー40を初期位置に戻す力を加えない限り、維持される。
【0024】
筐体本体20の外壁の開口縁には、一対の切り欠け50,50と、一対の切り欠け51,51とが設けられる(
図4)。一対の切り欠け50,50は、筐体10の幅方向に相対するものであって、筐体10の途中位置S(一のベルト12が支持される位置S)に設けられる。一対の切り欠け51,51も、筐体10の幅方向に相対するものであって、途中位置Sよりも筐体10の長手方向の一方側の位置T(二のベルト13が支持される位置T)に設けられる。
【0025】
振動装置1を組み立てる際には、ベルト12を切り欠け50,50に差し込むことや、ベルト13を切り欠け51,51に差し込むことが行われる。ついで、筐体本体20の開口21(
図4)を蓋体22で塞いだ状態で、蓋体22を貫通させた螺子52(
図3)をボス部25(
図4)にねじ込むことが行われる。これにより、振動装置1が組み立てられて、一のベルト12が筐体10の位置Sに支持され、二のベルト13が筐体10の位置Tに支持された状態になる。
【0026】
図3に示すように、蓋体22は、面部60と、第一突起61と、第二突起62と、格納部63とを有する。面部60は、筐体10の外面の一部を構成するものであって、途中位置Sを通過するように筐体10の長手方向に延びる。切り欠け50,50に差し込まれたベルト12は、面部60と筐体本体20の外壁とに挟み込まれることで、筐体10の位置Sに支持される。第一突起61及び第二突起62は、それぞれ面部60から突出する。格納部63は、振動モーター11の一部を格納するために設けられる。
【0027】
第一突起61は、途中位置Sよりも筐体10の長手方向の一方側に設けられる。第二突起62は、途中位置Sよりも筐体10の長手方向の他方側に設けられる。第一突起61が面部60から突出する高さは、第二突起62が面部60から突出する高さよりも大きい。
【0028】
格納部63は、筐体10の長方向の一方側の端を構成する端板64(
図1,
図2)と、端板64と第一突起61とを繋ぐ斜板65,66(
図1,
図3)とを備える、端板64は、筐体10の長手方向に視る側面視で二等辺三角形を呈する。斜板65は端板64の一の斜辺から筐体10の長方向の他方側に延び、斜板66は端板64の二の斜辺から筐体10の長方向の他方側に延びており、端板64と斜板65,66と第一突起61とによって囲まれる蓋体22の内部の空間に振動モーター11の一部が格納される。振動モーター11の残部は筐体本体20の内部に格納される。切り欠け51,51に差し込まれた二のベルト13は、斜板65,66と筐体本体20の外壁とに挟み込まれることで、筐体10の位置Tに支持される。
【0029】
一のベルト12及び二のベルト13は、それぞれ容器2の外周に巻き付ける輪を構成する。一のベルト12は、一端側12aの第一面ファスナー15と他端側12bの第二面ファスナー16とを重ね合わせて締結することで、上記の輪を構成するものであり、第一及び第二面ファスナー15,16の一方の他方に対する締結位置を変更することで、輪の形状(輪の大きさ)を複数種の容器の各々に対応した形状に変更できる。二のベルト13は、これを形成する材料(ゴムなど)の伸縮性によって、輪の形状(輪の大きさ)を複数種の容器の各々に対応した形状に変更できる。
【0030】
振動装置1の使用時には、一のベルト12によって構成される輪を容器2の胴部4の外周に巻き付けることで一のベルト12が容器2に緊結し、二のベルト13によって構成される輪を容器2の口部5の外周に巻き付けて二のベルト13が容器2に緊結し、第一突起61が口部5に接し、第二突起62が胴部4に接した状態とされる。この状態で、レバー40を筐体10の長手方向の一方側又は他方側に傾斜させて、当該振動モーター11が発する振動を筐体10を介して容器2に伝達することで、容器2内に収容された粉体3を容器2から落下させることが行われる。なお上記の一のベルト12によって構成される輪を胴部4の外周に巻き付け、二のベルト13によって構成される輪を口部5の外周に巻き付けた状態とするために、一のベルト12によって構成される輪は、二のベルト13によって構成される輪よりも径が大きなものとされる。
【0031】
本実施形態の振動装置1は、当該一及び二のベルト12,13によって構成される輪の形状(輪の大きさ)を複数種の容器の各々に対応した形状に変更可能であることで、筐体10を複数種の容器の各々に取り付け可能である。(
図8(A)は、
図1,
図2,
図5~
図7に示す容器2に振動装置1を取り付けた状態を示し、
図8(B)は、容器2よりも小さいサイズの容器70に振動装置1を取り付けた状態を示し、
図8(C)は、容器2よりも大きいサイズの容器71に振動装置1を取り付けた状態を示す)。このため本実施形態の振動装置1は、複数種の容器の各々から粉体3を落下させるために使用できる。
【0032】
また振動装置1によれば、第一突起61が容器2の口部5に接するように振動装置1を容器2に取り付けることで、第一突起61によって口部5に強い振動を加えることができる。これにより単位時間あたりに容器2から落下する粉体3の量を多くすることができるので、容器2から所望量の粉体3を落下させることを短時間で実現できる。
【0033】
また振動装置1によれば、第一突起61及び振動モーター11が、ベルト12が支持される途中位置Sよりも筐体10の長手方向一方側に設けられるため、、振動モーター11の重量によって、第一突起61から口部5に加えられる振動を強くすることができる。これにより、単位時間あたりに容器2から落下する粉体3の量をより多くすることができる。
【0034】
また振動装置1によれば、第二突起62が、一のベルト12が支持される途中位置Sよりも筐体10の長手方向の他方側に設けられることで、振動モーター11が振動する間において、筐体10は、第二突起62を支点として容器2を叩きつける動作を行うものとなる。この点からも、単位時間あたりに容器2から落下する粉体3の量を多くすることができる。
【0035】
また振動モーター11を振動させるべく、レバー40が筐体10の長手方向の一方側に傾斜するように、レバー40に外力を加える間では、上記の外力によって第一突起61を強く口部5に押し付けて口部5に強い振動を伝えることができる。この点からも、単位時間あたりに容器2から落下する粉体3の量を多くすることができる。また上記の外力を加えることを止めさえすれば、弾性体による力でレバー40が初期位置に復帰するので、振動モーター11を断続的に振動させることを簡易な操作で実現できる。このため振動装置1は、容器2から落下させる粉体3の量を所望量に調整することに適する。
【0036】
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々改変できる。
【0037】
例えば、上記実施形態では、一のベルト12の一端側12aと他端側12bとを面ファスナー15,16を用いて締結する例を示したが、一のベルト12の一端側12aと他端側12bとを締結する手段は、上記の面ファスナー15,16に限定されない。例えば、一のベルト12の一端側12aと他端側12bの一方に、一のベルト12の長手方向に間隔をあけて複数の貫通孔を形成し、一のベルト12の一端側12aと他端側12bの他方に「基端を支点として揺動可能なツク棒を備えるバックル」を取り付けて、上記複数の貫通孔の一つにツク棒を通すことで、一のベルトの一端側と他端側とを締結するようにしてもよい。この場合でも、ツク棒を通す貫通孔を変更することで、一のベルトによって構成される輪の大きさを変更できるので、振動装置1を様々な容器に取り付けることが可能になる。また二のベルト13も、一のベルト12と同様に、一端側と他端側とを締結することで容器の外周に巻き付ける輪を構成し、且つ、一端側及び他端側の一方の他方に対する締結位置を変更することで、輪の大きさを変更可能なものとしてもよい、
【0038】
またベルト12,13は、一端側と他端側とを締結する締結具として、一端側及び他端側の少なくとも一方を引っ張ることで、輪の大きさを変更可能な締結具を備えるものでああってもよい。当該締結具は、例えば、一端側及び他端側を挿通させる空間と、当該空間内に存在する一端側及び他端側の部分を空間内に留置させるための摩擦片とを備えたものとされ得る。この場合、空間内に存在する一端側及び他端側の部分と摩擦片との間の摩擦力によってベルト12,13の輪の大きさが維持される。そして摩擦力を越える引っ張り力を一端側及び他端側の少なくとも一方に加えることで、輪の形状が複数種の容器の各々に対応した形状に変更可能とされる。
【0039】
また本発明の振動装置は、
図9に示すように変形できる。
図9に示す振動装置80は、上記実施形態に示す振動装置1から一のベルトを変更したものである。
図9に示す振動装置80では、一のベルト81が、伸縮素材(ゴム等)から形成された環状体とされており、筐体本体20に形成された一対の切り欠け50,50に一のベルト81が差し込まれた状態で蓋体22が筐体本体20に取り付けられることで(
図9では切り欠け50,50の一方のみを図示)、ベルト81が筐体10の途中位置Sに支持されている。この場合でも、一のベルト12によって構成される輪を容器2の胴部4の外周に巻き付けて一のベルト12を容器2に緊結し、二のベルト13によって構成される輪を容器2の口部5の外周に巻き付けて二のベルト13を容器2に緊結し、第一突起61を口部5に接触させ、第二突起62を胴部4に接触させた状態にすることで、上記実施形態と同様の効果が得られる(第二突起62については
図5~
図7を参照)。
【0040】
また振動装置1では、一及び二のベルト12,13の一方は省略されてもよく、振動装置80では、一及び二のベルト81,13の一方は省略されてもよい。例えば二のベルト13を振動装置1,80に設けずに(すなわち一のベルト12或いは81のみを振動装置に設けて)、一のベルト12或いは81によって構成される輪を容器2の胴部4の外周に巻き付け、第一突起61を口部5に接触させ、第二突起62が胴部4に接触させる場合には、二のベルト13による拘束が無くなることで、
図1,
図2,
図5~
図7に示すように振動装置1を容器2に取り付ける場合に比して、筐体10が第二突起62を支点として容器2を叩きつける動作を、より強めることができる。なお振動装置1,80を容器2に取り付けた状態を安定して維持する観点からは、上記の一及び二のベルトの双方を振動装置1,80に設けることが好ましい。
【0041】
また振動モーター11に電力を供給するためのバッテリーを筐体本体20の内部に設けてもよい。この場合、例えば、トグルスイッチ14によって、振動モーター11への電力の供給と遮断とを切り替え可能とすべく、バッテリーのプラス端子と振動モーター11のプラス端子とをスイッチ14を介して接続するケーブルと、バッテリーのマイナス端子と振動モーター11のマイナス端子とを接続するケーブルとが、筐体本体20の内部に配置される。
【0042】
また上記実施形態では、レバー40を初期位置から筐体10の長手方向の一方側及び他方側に傾斜させる場合に振動モーター11が振動する例を示したが、レバー40を初期位置から筐体10の長手方向向の一方側に傾斜させた場合のみにおいて、振動モーター11が振動するものとしてもよく、またレバー40を初期位置から筐体10の長手方向の他方側に傾斜させた場合のみにおいて、振動モーター11が振動するものとしてもよい。
【0043】
また筐体本体20に取り付けるスイッチは、トグルスイッチ14に限定されず、振動モーター11への電力の供給と遮断とを切り替え可能な様々なスイッチが筐体本体20に取り付けられ得る。
【0044】
また筐体10の構造も、上記実施形態に示した構造に限定されない。例えば、振動モーター11(
図4)を、必ずしも、上記の途中位置Sよりも筐体10の長手方向の一方側に設ける必要はなく、振動モーター11は筐体10の任意の位置に設けられ得る。また第一突起61及び第二突起62の一方又は双方は筐体10から省略されてもよい。また上記実施形態では、筐体本体20と蓋体22とが別個の部材である例を示したが、筐体本体20と蓋体22とは一体に成形されるものであってもよい。なお上記実施形態に示したように、筐体本体20と蓋体22とを別個の部材として蓋体22を筐体本体20に着脱自在とすれば、筐体本体の内部に設けられる部品(振動モーター11など)の点検、修理、及び交換を容易に行うことができる。
【0045】
また上記実施形態では、筐体10を容器2に取り付けるための取付手段がベルトである例を示したが、本発明の振動装置が備える取付手段は、容器に緊結することで筐体を容器に取り付けることが可能であるとともに、複数種の容器の各々に対応した形状に変更可能であることで、筐体を複数種の容器の各々に取り付け可能なベルト以外の手段とされ得る。当該ベルト以外の取付手段として、例えば、一及び二のクランプ部材の間に容器を挟み込むことで容器に緊結するクランプが使用される。当該クランプは、一のクランプ部材と二のクランプ部材との間の間隔を変更可能であることで(上記の間隔が複数種の容器の各々に対応した間隔になる形状に変更可能であることで)、複数種の容器の各々に締結することが可能であり、公知の手段によって筐体に支持される。上記のクランプとして、例えば、弾性力によって一のクランプ部材と二のクランプ部材とが互いに接近する方向に付勢された金属製或いは樹脂製のクランプを使用できる。この場合、弾性力に抗した外力を一及び二のクランプに加えて一のクランプ部材と二のクランプ部材との間の間隔を拡げることで、一のクランプ部材と二のクランプ部材との間に容器を挟み込んで、筐体を容器に取り付けた状態にすることができる。また上記ベルト以外の取付手段として、容器を内部に収容した状態で締付具による締め付けで容器を緊結する袋が使用されてもよい。当該袋は、収縮及び拡張が可能であることで、複数種の容器の各々に対応した形状に変更可能であり(複数種の容器の各々を内部に収容可能な形状に変更可能であり)、公知の手段によって筐体に支持される。上記の締結具は、例えば、袋の周回りに延びる紐或いはベルトとされる。この場合、締付具(紐或いはベルト)による締め付けをきつくすることで袋を収縮でき、締付具による締め付けを緩くすることで袋を拡張できる。
【符号の説明】
【0046】
1,80 振動装置
2 容器
3 粉体
10 筐体
11 振動モーター
12,13,81 ベルト(取付手段)
14 トグルスイッチ
40 レバー
60 面部
61 第一突起
62 第二突起
S 途中位置