(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062240
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】包装用箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/50 20060101AFI20240430BHJP
B65D 5/52 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
B65D5/50 Z
B65D5/52 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170106
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】391019500
【氏名又は名称】朝日印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144886
【弁理士】
【氏名又は名称】大坪 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】中道 薫
(72)【発明者】
【氏名】有井 純一
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060BC04
3E060CB02
3E060CB13
3E060CB16
3E060CB24
3E060CC02
3E060CC18
3E060CC33
3E060CF05
3E060DA17
3E060DA25
(57)【要約】
【課題】収容物の倒れ込みを抑制することのできる包装用箱を提供すること。
【解決手段】包装用箱1は、対向する前面板22および背面板24と、前面板22と背面板24を接続する第1側面板21および第2側面板23が筒体に組み立てられ、筒体の下側の開口が底面板26により閉鎖された箱体11を有し、第1側面板21および第2側面板23に背面板24を前方へ倒伏させるための変形用折罫線9が形成されている。また、変形用折罫線9は、第1,第2,第3折罫線91,92,93を有し、これらをそれぞれ正折りすることにより背面板24が前方へ倒伏する第1倒伏状態となる。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する前面板および背面板と、前記前面板と前記背面板を接続する第1側面板および第2側面板が筒体に組み立てられ、前記筒体の下側の開口が底面板により閉鎖された箱体を有し、
前記第1側面板および前記第2側面板に、前記背面板を前方へ倒伏させるための変形用折罫線が形成されていることを特徴とする包装用箱。
【請求項2】
前記変形用折罫線は、前記背面板に形成され横方向に沿う第1折罫線と、前記第1側面板に形成され前記第1側面板の上辺と前記第1折罫線の一端を接続する第2折罫線と、前記第2側面板に形成され前記第2側面板の上辺と前記第1折罫線の他端を接続する第3折罫線を有し、
前記第1折罫線、前記第2折罫線および前記第3折罫線をそれぞれ折り曲げることにより、前記背面板の前記第1折罫線よりも上側の部分を前方へ倒伏させた第1倒伏状態となる請求項1に記載の包装用箱。
【請求項3】
前記変形用折罫線は、さらに、前記第1側面板の前記第2折罫線よりも前方に形成され前記第1側面板の上辺と背面下側の角部を接続する第4折罫線と、前記第2側面板の前記第3折罫線よりも前方に形成され前記第2側面板の上辺と背面下側の角部を接続する第5折罫線を有し、
前記第4折罫線および前記第5折罫線をそれぞれ折り曲げることにより、前記背面板を前記第1倒伏状態よりもさらに前方へ倒伏させた第2倒伏状態となる請求項2に記載の包装用箱。
【請求項4】
前記背面板から上側に延設された上フラップを有する請求項1に記載の包装用箱。
【請求項5】
前記第1側面板の上辺は、前記第2折罫線との交点において屈曲し、
前記第2側面板の上辺は、前記第3折罫線との交点において屈曲している請求項2に記載の包装用箱。
【請求項6】
前記前面板は、前記前面板の上辺に形成された凹部を有する請求項1に記載の包装用箱。
【請求項7】
前記前面板、前記第1側面板および前記第2側面板の上辺は、それぞれ、開封用破断線で構成されており、
前記開封用破断線を介して前記箱体に接続され、前記箱体の開口を塞ぐ蓋体を有する請求項1に記載の包装用箱。
【請求項8】
前記蓋体は、前記前面板に形成された開封部と、前記開封部の上側に位置し上側に凸となるように湾曲した開封用折罫線を有する請求項7に記載の包装用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された包装用箱は、筒状の胴部と、胴部の上下の開口部に設けられた頂板および底板を有する。また、胴部は、前後の端壁および左右の側壁を有する。また、頂板には左右方向に延びる第一切断誘導線が形成され、底板には左右方向に延びる押罫が形成されている。また、両側壁には第一切断誘導線と押罫とを接続する第二切断誘導線が形成されている。包装用箱を開封するときには、頂板の第一切断誘導線および両側壁の第二切断誘導線を切り開いた後に、底板を押罫において正折りして前後に折り重ねる。これにより、前側の端壁を底板とする前側のトレイと後側の端壁を底板とする後側のトレイが前後に連結した状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような包装用箱では、箱内に並べられた商品の数量が減少すると商品が箱内で前方または後方に倒れ込んでしまい、商品の訴求力が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、箱内での収容物の倒れ込みを抑制し、優れた商品訴求力を発揮することのできる包装用箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、以下(1)~(8)の本発明により達成される。
【0007】
(1) 対向する前面板および背面板と、前記前面板と前記背面板を接続する第1側面板および第2側面板が筒体に組み立てられ、前記筒体の下側の開口が底面板により閉鎖された箱体を有し、
前記第1側面板および前記第2側面板に、前記背面板を前方へ倒伏させるための変形用折罫線が形成されていることを特徴とする包装用箱。
【0008】
(2) 前記変形用折罫線は、前記背面板に形成され横方向に沿う第1折罫線と、前記第1側面板に形成され前記第1側面板の上辺と前記第1折罫線の一端を接続する第2折罫線と、前記第2側面板に形成され前記第2側面板の上辺と前記第1折罫線の他端を接続する第3折罫線を有し、
前記第1折罫線、前記第2折罫線および前記第3折罫線をそれぞれ折り曲げることにより、前記背面板の前記第1折罫線よりも上側の部分を前方へ倒伏させた第1倒伏状態となる上記(1)に記載の包装用箱。
【0009】
(3) 前記変形用折罫線は、さらに、前記第1側面板の前記第2折罫線よりも前方に形成され前記第1側面板の上辺と背面下側の角部を接続する第4折罫線と、前記第2側面板の前記第3折罫線よりも前方に形成され前記第2側面板の上辺と背面下側の角部を接続する第5折罫線とを有し、
前記第4折罫線および前記第5折罫線をそれぞれ折り曲げることにより、前記背面板を前記第1倒伏状態よりもさらに前方へ倒伏させた第2倒伏状態となる上記(2)に記載の包装用箱。
【0010】
(4) 前記背面板から上側に延設された上フラップを有する上記(1)に記載の包装用箱。
【0011】
(5) 前記第1側面板の上辺は、前記第2折罫線との交点において屈曲し、
前記第2側面板の上辺は、前記第3折罫線との交点において屈曲している上記(2)に記載の包装用箱。
【0012】
(6) 前記前面板は、前記前面板の上辺に形成された凹部を有する上記(1)に記載の包装用箱。
【0013】
(7) 前記前面板、前記第1側面板および前記第2側面板の上辺は、それぞれ、開封用破断線で構成されており、
前記開封用破断線を介して前記箱体に接続され、前記箱体の開口を塞ぐ蓋体を有する上記(1)に記載の包装用箱。
【0014】
(8) 前記蓋体は、前記前面板に形成された開封部と、前記開封部の上側に位置し上側に凸となるように湾曲した開封用折罫線を有する上記(7)に記載の包装用箱。
【発明の効果】
【0015】
このような本発明によれば、包装用箱内の収容物の数量が減少した際に、包装用箱の背面板を前方へ倒伏させることにより、背面板によって商品を後方から支えることができ、収容物の倒れ込みを抑制することができる。したがって、優れた商品訴求力を発揮することのできる包装用箱となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】包装用箱形成片を表面側から見た展開図である。
【
図2】包装用箱形成片の組み立て方法を説明する平面図である。
【
図3】包装用箱形成片の組み立て方法を説明する平面図である。
【
図4】包装用箱形成片の組み立て方法を説明する平面図である。
【
図5】包装用箱形成片を組み立てて形成された包装用箱の底面図である。
【
図6】包装用箱形成片を組み立てて形成された包装用箱の斜視図である。
【
図7】包装用箱への収容物の収容方法を説明する斜視図である。
【
図8】包装用箱への収容物の収容方法を説明する斜視図である。
【
図9】包装用箱の開封方法を説明する斜視図である。
【
図10】包装用箱の開封方法を説明する斜視図である。
【
図11】包装用箱の開封方法を説明する斜視図である。
【
図13】包装用箱内で収容物が倒れ込んだ様子を示す斜視図である。
【
図14】包装用箱の第1倒伏状態を示す斜視図である。
【
図15】包装用箱の第1倒伏状態を示し、収容物の図示を省略した斜視図である。
【
図16】包装用箱の第2倒伏状態を示す斜視図である。
【
図17】包装用箱の第2倒伏状態を示し、収容物の図示を省略した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
包装用箱1は、収容物Pを包装する包装用箱としての機能に加えて、陳列棚などに収容物Pを陳列するディスプレイ箱としての機能を有する。なお、収容物Pとしては、薄型パウチ包装などの厚みが小さく自立できないものが適している。ただし、収容物Pとしては、特に限定されない。
【0018】
包装用箱1は、紙製等の一枚のブランクシートを打ち抜いて一体的に形成された包装用箱形成片10を組み立てて形成される。
図1は、包装用箱形成片10を表面から見た展開図である。なお、以下では、
図1中の上側を「上」、下側を「下」、左側を「左」、右側を「右」とする。
【0019】
図1に示すように、包装用箱形成片10は、横方向に連接する糊代板20、第1側面板21、前面板22、第2側面板23および背面板24を有する。また、糊代板20、第1側面板21、前面板22、第2側面板23および背面板24は、それぞれ、縦方向に延びる折罫線301,302,303,304で区切られている。
【0020】
具体的には、糊代板20と第1側面板21が折罫線301で区切られ、第1側面板21と前面板22が折罫線302で区切られ、前面板22と第2側面板23が折罫線303で区切られ、第2側面板23と背面板24が折罫線304で区切られている。特に、本実施形態では、折罫線301,304がミシン目入りの折罫線となっている。これにより、折罫線301,304がより折り曲げ易くなり、後述するような包装用箱1の変形が容易となる。
【0021】
包装用箱形成片10では、第1側面板21と第2側面板23が互いに同じ幅であり、前面板22と背面板24が互いに同じ幅である。以下では、第1側面板21および第2側面板23の幅をW1とし、前面板22および背面板24の幅をW2とする。なお、図示の構成では、W1>W2であり、奥行き方向に長い包装用箱1となる。
【0022】
また、第1側面板21の上端部には蓋面板41が延設されている。第1側面板21と蓋面板41は、横方向に延びる折罫線311で区切られている。さらに、蓋面板41の上端部には差込片411が延設されている。蓋面板41と差込片411は、横方向に延びる折罫線412で区切られている。
【0023】
また、前面板22の上端部には上フラップ42が延設されている。前面板22と上フラップ42は、横方向に延びる折罫線312で区切られている。また、背面板24の上端部には上フラップ44が延設されている。背面板24と上フラップ44は、横方向に延びる折罫線314で区切られている。また、上フラップ44は、上フラップ42よりも長く形成されている。
【0024】
また、第1側面板21の下端部には底フラップ81が延設されている。底フラップ81は、第1側面板21から延設された基部811と、基部811から突出する差込片812と、基部811に接続された糊付片813を有する。
【0025】
基部811と第1側面板21は、横方向に延びる折罫線321で区切られている。また、基部811の長さL1は、前面板22および背面板24の幅W2の略半分である。差込片812は、基部811の左側端部から下側へ突出している。また、差込片812の幅W3は、第1,第2側面板21,23の幅W1の略半分である。糊付片813は、略三角形であり、基部811の右側端部から延設されている。また、基部811と糊付片813は、斜めに延びる折罫線814で区切られている。
【0026】
また、第2側面板23の下端部には底フラップ83が延設されている。底フラップ83は、前述した底フラップ81と同様の構成である。つまり、底フラップ83は、第2側面板23から延設された基部831と、基部831から突出する差込片832と、基部831に接続された糊付片833を有する。
【0027】
基部831と第2側面板23は、横方向に延びる折罫線323で区切られている。また、基部831の長さL1は、前面板22および背面板24の幅W2の略半分である。差込片832は、基部831の左側端部から下側へ突出している。また、差込片832の幅W3は、第1,第2側面板21,23の幅W1の略半分である。糊付片833は、略三角形であり、基部831の右側端部から延設されている。また、基部831と糊付片833は、斜めに延びる折罫線834で区切られている。
【0028】
また、前面板22の下端部には底フラップ82が延設されている。前面板22と底フラップ82は、横方向に延びる折罫線322で区切られている。また、背面板24の下端部には底フラップ84が延設されている。背面板24と底フラップ84は、横方向に延びる折罫線324で区切られている。
【0029】
以上、包装用箱形成片10の外形について説明した。次に、包装用箱形成片10に形成された折罫線や破断線について説明する。
【0030】
包装用箱形成片10には、箱状に組み立てられた包装用箱1を開封するための開封用破断線6が形成されている。開封用破断線6は、前面板22、第1側面板21および第2側面板23を上下に二分割するように、前面板22から第1,第2側面板21,23に跨って形成されている。
【0031】
開封用破断線6は、前面板22に形成されたU字状の中央部61と、前面板22と第1側面板21とに跨って形成され、中央部61の一端と第1側面板21の左上側の角部を接続する第1端部62と、前面板22と第2側面板23とに跨って形成され、中央部61の他端と第2側面板23の右上側の角部を接続する第2端部63を有する。なお、第1,第2端部62,63は、中央部61に対して対称的に形成されている。
【0032】
また、第1端部62は、中央部61側(包装用箱1が組み立てられた状態の前方側)に向けて下に傾斜し、その途中に位置する屈曲点P1において屈曲している。つまり、第1端部62は、「く」の字状である。屈曲点P1は、第1側面板21の中心よりも左側に偏った位置に設けられ、屈曲点P1よりも端側部分の傾斜角θ1が中央部61側部分の傾斜角θ2よりも大きい。同様に、第2端部63は、中央部61側(包装用箱1が組み立てられた状態の前方側)に向けて下に傾斜し、その途中に位置する屈曲点P2において屈曲している。つまり、第2端部63は、「く」の字状である。屈曲点P2は、第2側面板23上の中心よりも右側に偏った位置に設けられ、屈曲点P2よりも端側部分の傾斜角θ1が中央部61側部分の傾斜角θ2よりも大きい。
【0033】
なお、θ1,θ2としては、それぞれ、特に限定されないが、例えば、θ1を30°~45°程度とし、θ1を10°~20°程度とすることができる。
【0034】
ただし、第1端部62の構成は、特に限定されず、例えば、屈曲点P1を有さないストレート状であってもよい。第2端部63の構成についても同様である。
【0035】
また、包装用箱形成片10には、包装用箱1の開封を容易とするための開封用折罫線7が形成されている。開封用折罫線7は、前面板22に形成されており、中央部61の上側に位置する第1開封用折罫線71と、中央部61の上端に沿う第2開封用折罫線72と、中央部61内に位置する第3開封用折罫線73を有する。
【0036】
第1開封用折罫線71は、上側に凸となるように湾曲した略円弧状の折罫線であり、第1端部62と折罫線302の交点と第2端部63と折罫線303の交点を結んでいる。また、第2開封用折罫線72は、横方向に真っ直ぐに延び、中央部61と第1端部62の交点と中央部61と第2端部63の交点を結んでいる。また、第3開封用折罫線73は、横方向に真っ直ぐに延び、中央部61を上下に二分割している。なお、以下では、開封用破断線6と第1開封用折罫線71で囲まれた部分を「開封部220」とも言う。
【0037】
また、包装用箱形成片10は、開封後の包装用箱1を変形させるための変形用折罫線9を有する。変形用折罫線9は、背面板24および糊代板20に形成された2本の第1折罫線91と、第1側面板21に形成された第2折罫線92および第4折罫線94と、第2側面板23に形成された第3折罫線93および第5折罫線95を有する。このうち、第2,第3折罫線92,93が互いに対称的に形成され、第4,第5折罫線94,95が互いに対称的に形成されている。また、各折罫線91,92,93,94,95は、ミシン目入りの折罫線である。これにより、各折罫線91,92,93,94,95を折り曲げ易くなり、包装用箱1を変形させ易くなる。ただし、各折罫線91,92,93,94,95の構成は、特に限定されない。
【0038】
2本の第1折罫線91は、それぞれ、横方向に真っ直ぐ延びており、包装用箱1が組み立てられた状態では、互いに重なり合って1本の折罫線となる。このような第1折罫線91は、背面板24の中心よりも下側に位置している。ただし、第1折罫線91の高さは、特に限定されず、背面板24の中心に位置してもよいし、中心よりも上側に位置していてもよい。第1折罫線91の位置は、包装用箱1のサイズや形状、収容物Pのサイズや形状、折罫線92,93,94,95の配置や傾きなどによって適宜設定することができる。
【0039】
また、第2折罫線92は、第1折罫線91と折罫線301の交点と開封用破断線6の屈曲点P1を結ぶ直線状であり、斜めに形成されている。同様に、第3折罫線93は、第1折罫線91と折罫線304の交点と開封用破断線6の屈曲点P2を結ぶ直線状であり、斜めに形成されている。
【0040】
また、第4折罫線94は、第2折罫線92よりも前面板22側(包装用箱1が組み立てられた状態の前方側)に位置している。第4折罫線94は、第1側面板21の左下側の角と開封用破断線6を結ぶ直線状であり、斜めに形成されている。第2,第4折罫線92,94は、互いに略平行である。同様に、第5折罫線95は、第3折罫線93よりも前面板22側(包装用箱1が組み立てられた状態の前方側)に位置している。第5折罫線95は、第2側面板23の右下側の角と開封用破断線6を結ぶ直線状であり、斜めに形成されている。第3,第5折罫線93,95は、略平行である。ただし、第2,第4折罫線92,94は、非平行であってもよい。同様に、第3,第5折罫線93,95は、非平行であってもよい。
【0041】
各折罫線92,93,94,95の傾斜角θ3としては、特に限定されないが、例えば、50°~70°程度とすることができ、図示の構成では略60°となっている。
【0042】
以上、包装用箱形成片10の構成について説明した。次に、包装用箱形成片10の組立方法について説明する。なお、以下では、包装用箱形成片10の表面が凸になる折り方を「正折り」と言い、裏面が凸になる折り方を「逆折り」と言う。
【0043】
まず、
図2に示すように、包装用箱形成片10を裏返し、折罫線321,322,323,324で各底フラップ81,82,83,84を正折りし、さらに、折罫線814,834で糊付片813,833を逆折りする。次に、糊付片813,833の裏面に糊Bを塗布する。
【0044】
次に、
図3に示すように、折罫線302で第1側面板21を正折りし、糊付片813の裏面を底フラップ82の表面に重ね合わせる。これにより、糊付片813と底フラップ82が糊付けされる。次に、糊代板20の表面に糊Bを塗布する。
【0045】
次に、
図4に示すように、折罫線304で背面板24を正折りし、底フラップ84の表面を糊付片833の裏面に重ね合わせると共に、背面板24の裏面を糊代板20の表面に重ね合わせる。これにより、糊付片833と底フラップ84が糊付けされると共に、背面板24と糊代板20が糊付けされる。
【0046】
以上により、包装用箱形成片10が折り畳み状態となる。ただし、折り畳み状態までの組み立て方法は、特に限定されない。例えば、まず、折罫線321,322,323,324で各底フラップ81,82,83,84を正折りし、さらに、折罫線814,834で糊付片813,833を逆折りする。次に、糊付片813,833の裏面および糊代板20の表面にほぼ同時に糊Bを塗布する。次に、折罫線302,304でほぼ同時に第1側面板21と背面板24を正折りする。これにより、糊付片813,833と底フラップ82,84が糊付けされると共に背面板24と糊代板20が糊付けされ、包装用箱形成片10が折り畳み状態となる。
【0047】
包装用箱形成片10は、この折り畳み状態で収容物Pを収容・包装する工場へ出荷される。なお、以下では、糊付けにより一体化された底フラップ81,82を第1底蓋片85とも言い、糊付けにより一体化された底フラップ83,84を第2底蓋片86とも言う。
【0048】
次に、収容物Pを収容・包装する工場において折罫線301,302,303,304をそれぞれ90°に正折りして包装用箱形成片10を四角形の筒体にする。これにより、前面板22と背面板24が対向し、第1側面板21と第2側面板23が対向する。また、この時、折罫線814,834により二つ折りされていた第1,第2底蓋片85,86が共に自動的に引き起こされ、さらにその最中において差込片812が第2底蓋片86の裏面に差し込まれ、差込片832が第1底蓋片85の裏面に差し込まれる。これにより、
図5に示すように、第1,第2底蓋片85,86が係合して底面板26が形成され、
図6に示す箱状の包装用箱1となる。
【0049】
このように、本実施形態では底面板26を所謂「ワンタッチ底」で構成しているが、底面板26の構成は、特に限定されない。
【0050】
次に、
図7に示すように、複数個の収容物Pを起立させて一列に整列した状態で包装用箱1に収容する。次に、折罫線312,314で上フラップ42,44を90°に正折りし、折罫線311で蓋面板41を90°に正折りする。さらに、折罫線412で差込片411を正折りし、差込片411を第2側面板23の裏面(第2側面板23と上フラップ42,44の間)に差し込んで係止する。これにより、
図8に示すように、収容物Pの包装が完了する。
【0051】
この状態では、包装用箱1は、開封用破断線6の下側の部分で構成された箱体11と上側の部分で構成された蓋体12を有し、箱体11と蓋体12が開封用破断線6を介して接続されている。
【0052】
包装用箱1を開封して陳列する際は、まず、
図9に示すように、前面板22の開封部220を指で押して開封用破断線6の中央部61を破断し、前面板22から開封部220を切り離す。開封部220を有することにより、包装用箱1の開封を容易に開始することができる。そして、そのまま、指を前面板22の内側に引っ掛けて前面板22の上側部分(開封用破断線6よりも上側の部分)を引き起こすと、
図10に示すように、第1開封用折罫線71が正折りされて前面板22の上側部分が第1開封用折罫線71に沿って円弧状に湾曲する。これにより、当該部分の強度(コシ)が増し、力を効率的に蓋体12に加えることができる。
【0053】
特に、本実施形態では、前述したように、第1開封用折罫線71の下側に第2,第3開封用折罫線72,73が形成されており、段階的に開封部220を折り曲げ易くなっている。そのため、中央部61を破断してから第1開封用折罫線71を正折りするまでの作業をよりスムーズに行うことができる。
【0054】
さらに力を加えて蓋体12を引き起こすと、開封用破断線6の第1,第2端部62,63がそれぞれ前方側から徐々に破断し、最終的に、
図11に示すように、蓋体12が離脱する。これにより、箱体11の開口部から収容物Pが露出する。なお、蓋体12が離脱した状態では、開封用破断線6が箱体11の前面板22および第1,第2側面板21,23の上辺を構成する。ここで、蓋体12は、開封用破断線6以外の部分において箱体11に接続されていない。そのため、開封用破断線6を破断させた後、速やかに蓋体12を離脱させることができる。
【0055】
蓋体12を離脱させると、上フラップ44が現れるため、
図12に示すように、背面板24から延設された上フラップ44を正折りし、最後方の収容物Pと背面板24との間に折り込む。以上により、初期状態となり、まずは、この状態で陳列される。箱体11では、蓋体12が離脱したことによって前面板22の上辺に凹部221が形成される。これにより、包装用箱1内の収容物Pの視認性が高まり、商品訴求力が向上する。
【0056】
ここで、収容物Pは、自立が困難なため、包装用箱1内の収容物Pの数量が減っていくと、
図13に示すように、収容物Pが前方または後方に倒れ込んでしまう。すると、収容物Pのパッケージが視認され難くなったり、収容物Pが見えなくなってしまったりし、収容物Pの需要者に対する商品訴求力が低下する。そこで、包装用箱1では、包装用箱1内の収容物Pの数量が減っても収容物Pの倒れ込みを抑制し、自立した状態を保つことを可能にしている。
【0057】
初期状態では、上フラップ44の復元力によって収容物Pが前方へ付勢される。そのため、包装用箱1内の収容物Pの数量がある程度減っても、収容物Pの倒れ込みを抑制することができる。特に、前述したように、上フラップ44を上フラップ42よりも長くしているため、その効果がより長く持続される。
【0058】
上フラップ44によっても収容物Pの倒れ込みを抑制できない程に包装用箱1内の収容物Pの数量が減った場合、
図14および
図15に示すように、変形用折罫線9の第1,第2,第3折罫線91,92,93をそれぞれ正折りすると共に、折罫線301,304をそれぞれ逆折する。これにより、背面板24の第1折罫線91よりも上側の部分が前方に倒れ込んだ第1倒伏状態Q1となる。前述したように、これら第1,第2,第3折罫線91,92,93および折罫線301,304は、全てミシン目入りの折罫線であり折り曲げ容易であるため、当該変形を容易に行うことができる。また、前述したように、第2,第3折罫線92,93が第1、第2側面板21,23の上辺の屈曲点P1,P2に接続されており、屈曲点P1,P2が折り曲げの起点として作用するため、当該変形を容易に行うことができる。
【0059】
第1倒伏状態Q1では、背面板24によって収容物Pが前方へ寄せられると共に収容物Pの背面が支えられ、収容物Pの後方への倒れ込みを抑制することができる。特に、本実施形態では、第2,第3折罫線92,93の傾斜角θ3を略60°に設定しているため、背面板24の上端を収容物Pの中心よりも上側の部分に当接させることができ、上述の効果がより顕著となる。また、第1倒伏状態Q1では、上フラップ44が下側に垂れ下がって、後方の空間(背面板24直下の空間)を塞ぐため、収容物Pの前方側への倒れ込みについても効果的に抑制することができる。そのため、収容物Pの数量が減少しても、収容物Pが起立して並ぶ状態が維持される。
【0060】
なお、第1倒伏状態Q1における背面板24の上端の位置は、特に限定されないが、例えば、初期状態からの前方への変位量が、第1,第2側面板21,23の幅W1(包装用箱1の奥行き)の1/4~1/2程度であることが好ましい。これにより、初期状態から第1倒伏状態Q1への切り替えタイミングが適切となり、初期状態において倒れ込みを抑制できなくなってから、後述する第2倒伏状態Q2において倒れ込みを抑制できるまでの間、収容物Pの倒れ込みをより確実に抑制することができる。
【0061】
第1倒伏状態Q1によっても収容物Pの倒れ込みを抑制できない程に包装用箱1内の収容物Pの数量がさらに減った場合、
図16および
図17に示すように、変形用折罫線9の第4,第5折罫線94,95をそれぞれ正折りすると共に、折罫線301,304をそれぞれ逆折する。これにより、背面板24が第1倒伏状態Q1よりもさらに前方に倒れ込んだ第2倒伏状態Q2となる。前述したように、これら第4,第5折罫線94,95および折罫線301,304は、全てミシン目入りの折罫線であり折り曲げ容易であるため、当該変形を容易に行うことができる。
【0062】
第2倒伏状態Q2では、背面板24によって収容物Pが第1倒伏状態Q1よりもさらに前方へ寄せられると共に収容物Pの背面が支えられ、収容物Pの後方への倒れ込みを抑制することができる。特に、本実施形態では、第4,第5折罫線94,95の傾斜角θ3を略60°に設定しているため、背面板24の上端を収容物Pの中心よりも上側の部分に当接させることができ、上述の効果がより顕著となる。また、第2倒伏状態Q2では、上フラップ44が下側に垂れ下がって、後方の空間(背面板24直下の空間)を塞ぐため、収容物Pの前方側への倒れ込みについても効果的に抑制することができる。そのため、収容物Pの数量がさらに減少しても、収容物Pが整頓されて並ぶ状態が維持される。
【0063】
なお、第2倒伏状態Q2における背面板24の上端の位置は、特に限定されないが、例えば、初期状態からの前方への変位量が、第1,第2側面板21,23の幅W1(包装用箱1の奥行き)の3/4以上であることが好ましい。これにより、第1倒伏状態Q1から第2倒伏状態Q2への切り替えタイミングが適切となり、包装用箱1から収容物Pが無くなるまで、つまり、最後の1つまでより確実に収容物Pの倒れ込みを抑制することができる。
【0064】
以上、本発明の包装用箱については説明した。なお、包装用箱は、前述した実施形態に限定されるものではなく、大きさ、素材、各部材の形状等は適宜変更可能である。
【0065】
また、前述した実施形態では、包装用箱1が初期状態から第1,第2倒伏状態Q1,Q2の2形態に変形することができたが、これに限定されず、第1,第2倒伏状態Q1,Q2のいずれか一方だけに変形できる構成であってもよいし。つまり、前述した実施形態から、第4,第5折罫線94,95を省略して第1倒伏状態Q1だけに変形できる構成としてもよいし、前述した実施形態から、第1,第2,第3折罫線91,92,93を省略して第2倒伏状態Q2だけに変形できる構成としてもよい。また、さらに、第3,第4…倒伏状態に変形できる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…包装用箱、10…包装用箱形成片、11…箱体、12…蓋体、20…糊代板、21…第1側面板、22…前面板、220…開封部、221…凹部、23…第2側面板、24…背面板、26…底面板、301…折罫線、302…折罫線、303…折罫線、304…折罫線、311…折罫線、312…折罫線、314…折罫線、321…折罫線、322…折罫線、323…折罫線、324…折罫線、41…蓋面板、411…差込片、412…折罫線、42…上フラップ、44…上フラップ、6…開封用破断線、61…中央部、62…第1端部、63…第2端部、7…開封用折罫線、71…第1開封用折罫線、72…第2開封用折罫線、73…第3開封用折罫線、81…底フラップ、811…基部、812…差込片、813…糊付片、814…折罫線、82…底フラップ、83…底フラップ、831…基部、832…差込片、833…糊付片、834…折罫線、84…底フラップ、85…第1底蓋片、86…第2底蓋片、9…変形用折罫線、91…第1折罫線、92…第2折罫線、93…第3折罫線、94…第4折罫線、95…第5折罫線、B…糊、P…収容物、P1…屈曲点、P2…屈曲点、Q1…第1倒伏状態、Q2…第2倒伏状態、θ1…傾斜角、θ2…傾斜角、θ3…傾斜角