(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062243
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】ロボット用架台
(51)【国際特許分類】
B25J 5/00 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
B25J5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170109
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000149066
【氏名又は名称】オークマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 和将
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS05
3C707BS10
3C707CS08
3C707CS10
3C707CY37
3C707WA16
(57)【要約】
【課題】工作機械に近接設置しても作業者による作業を阻害しないようにする。
【解決手段】架台本体2の上面部7に多関節ロボット20を備え、工作機械30に近接した設置状態で、工作機械30に対して多関節ロボット20による作業を可能とするロボット用架台1であって、設置状態で架台本体2における工作機械30の正面に沿った左右方向での右端部10に、後面部4を左端部よりも工作機械30から離れて位置させる切除部11が形成されている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台本体の上面に産業用ロボットを備え、工作機械の外面に近接した設置状態で、前記工作機械に対して前記産業用ロボットによる作業を可能とするロボット用架台であって、
前記設置状態で前記架台本体における前記外面に沿った水平方向での少なくとも一方の端部に、前記工作機械側の面を他方の端部よりも前記工作機械から離れて位置させる切除部が形成されていることを特徴とするロボット用架台。
【請求項2】
前記切除部は、前記工作機械側の面を、前記一方の端部側へ向かうに従って前記工作機械から離れる方向へ傾斜する傾斜面とすることで形成されていることを特徴とする請求項1に記載のロボット用架台。
【請求項3】
前記傾斜面は、前記一方の端部側で部分的に形成されており、
前記産業用ロボットは、前記一方の端部の上面に設置されていることを特徴とする請求項2に記載のロボット用架台。
【請求項4】
前記傾斜面は、平面視で前記産業用ロボットの設置位置を中心として対称となるように一対設けられて、前記一方の端部が先細り形状となっていることを特徴とする請求項3に記載のロボット用架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、産業用ロボットを移動可能に支持するロボット用架台に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械に対してワークを出し入れしたりする際に、多関節ロボット等の産業用ロボットが用いられる場合がある。この産業用ロボットは、工作機械に対する位置を調整できるように、例えば特許文献1に記載されているように、走行可能な台車(ロボット用架台)上に支持されている。よって、作業者は、台車に設けられたハンドルを把持して任意の位置に台車ごと産業用ロボットを移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の台車は、平面視が四角形状となっているため、工作機械の扉の前側に横付けする格好で近接させて設置すると、産業用ロボット及び台車がスペースを取ってしまう。このため、工作機械の正面側で作業者が工作機械の操作やメンテナンスを行う際に台車が作業の邪魔になって作業しづらくなるおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は、工作機械に近接設置しても作業者による作業を阻害しないロボット用架台を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示は、架台本体の上面に産業用ロボットを備え、工作機械の外面に近接した設置状態で、前記工作機械に対して前記産業用ロボットによる作業を可能とするロボット用架台であって、
前記設置状態で前記架台本体における前記外面に沿った水平方向での少なくとも一方の端部に、前記工作機械側の面を他方の端部よりも前記工作機械から離れて位置させる切除部が形成されていることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、前記切除部は、前記工作機械側の面を、前記一方の端部側へ向かうに従って前記工作機械から離れる方向へ傾斜する傾斜面とすることで形成されていることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、前記傾斜面は、前記一方の端部側で部分的に形成されており、
前記産業用ロボットは、前記一方の端部の上面に設置されていることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、前記傾斜面は、平面視で前記産業用ロボットの設置位置を中心として対称となるように一対設けられて、前記一方の端部が先細り形状となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、設置状態で架台本体の少なくとも一方の端部に、工作機械側の面を他方の端部よりも工作機械から離れて位置させる切除部が形成されているので、架台本体を工作機械に近接設置しても、工作機械との間に切除部を含む広いスペースが形成される。よって、作業者による作業を阻害することがなくなる。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、切除部は、工作機械側の面を、一方の端部側へ向かうに従って工作機械から離れる方向へ傾斜する傾斜面とすることで形成されているので、切除部が簡単に形成可能となる。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、傾斜面は、一方の端部側で部分的に形成されて、産業用ロボットは、一方の端部の上面に設置されているので、工作機械側で多関節ロボットの作業位置に架台本体が張り出す量を抑えて作業者が作業するスペースをより広く確保することができる。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、傾斜面は、平面視で産業用ロボットの設置位置を中心として対称となるように一対設けられて、一方の端部が先細り形状となっているので、架台本体を設置する向きが逆になっても同様にスペースを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図9】ロボット用架台の使用状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、ロボット用架台の一例を示す斜視図で、
図2は正面図、
図3は背面図、
図4は左側面図、
図5は右側面図、
図6は平面図、
図7は底面図である。
ロボット用架台1は、架台本体2を備えている。架台本体2は、前面部3と、後面部4と、左側面部5と、右側面部6と、上面部7と、底面部8とで囲まれるボックス状である。架台本体2の左側では、前面部3と後面部4とは平行に形成されているが、架台本体2の右側では、前面部3と後面部4とは、右側へ向かうに従って互いに近づく平面状の傾斜面9,9となって、前後幅が左側面部5よりも小さい右側面部6と繋がっている。この傾斜面9,9により、架台本体2の右端部10は、前後に切除部11,11が形成された平面視台形状となっている。
【0010】
右端部10の上面部7には、多関節ロボット20が設置されている。多関節ロボット20は、それぞれ図示しないモータにより稼動する複数のアーム21,21・・を連結してなり、先端には、ハンド22が設けられている。
図8に示すように、架台本体2の内部には、多関節ロボット20の制御装置23が設けられている。
架台本体2の底面部8には、複数のキャスタ12,12・・と、複数のフロアストッパ13,13・・とが設けられている。
架台本体2の左側面部5には、
図4に示すように、電源ケーブル等の接続部14、スイッチ15、操作表示部16が設けられている。左側面部5の上部には、前後方向に延びるハンドル17が設けられている。
【0011】
以上の如く構成されたロボット用架台1は、
図9に示すように、工作機械30の正面側に、右端部10を右側に向けて、後面部4が工作機械30の正面と平行に近接した状態で横付け設置される。この設置状態で右端部10が加工室31の前方に位置するため、多関節ロボット20により、ドアを開放した加工室31にワークを出し入れすることができる。
このときロボット用架台1を設置したまま作業者Mが工作機械30の正面側で操作盤32の操作や加工室31内のメンテナンス等を行うことがあるが、平面視台形状の右端部10によって工作機械30との間には、切除部11を含む広いスペースSが生じている。よって、作業者Mは、ロボット用架台1に阻害されることなく作業を行うことができる。
【0012】
このように、上記形態のロボット用架台1は、架台本体2の上面部7(上面の一例)に多関節ロボット20(産業用ロボットの一例)を備え、工作機械30の正面(外面の一例)に近接した設置状態で、工作機械30に対して多関節ロボット20による作業を可能とする。
そして、設置状態で架台本体2における工作機械30の正面に沿った左右方向(水平方向の一例)での右端部10(一方の端部の一例)に、後面部4(工作機械30側の面の一例)を左端部(他方の端部の一例)よりも工作機械30から離れて位置させる切除部11が形成されている。
この構成によれば、架台本体2を工作機械30に近接設置しても、工作機械30との間に切除部11を含む広いスペースSが形成される。よって、作業者による作業を阻害することがなくなる。
【0013】
切除部11は、後面部4を、右端部10側へ向かうに従って工作機械30から離れる方向へ傾斜する傾斜面9とすることで形成されている。
よって、切除部11が簡単に形成可能となる。
傾斜面9は、右端部10側で部分的に形成されており、多関節ロボット20は、右端部10の上面に設置されている。
よって、工作機械30の正面側で多関節ロボット20の作業位置に架台本体2が張り出す量を抑えて作業者Mが作業するスペースSをより広く確保することができる。
傾斜面9は、平面視で多関節ロボット20の設置位置を中心として対称となるように一対設けられて、右端部10が平面視台形状(先細り形状の一例)となっている。
よって、架台本体2を設置する向きが左右逆になっても同様にスペースSを形成することができる。
【0014】
上記形態では、切除部を形成する傾斜面を平面状としているが、傾斜面は、凹曲面や凸曲面であってもよい。右端部の先細り形状は、台形状でなく三角形状等であってもよい。
上記形態では、傾斜面を架台本体の前後面の一部に形成しているが、
図10に示すように、架台本体2の前後面の全体に亘って傾斜面9,9とすることで切除部11,11を形成してもよい。すなわち、架台本体2の平面視全体が右端部10へ向かって先細り状になる台形状や三角形状であってもよい。
切除部は、上記形態のような傾斜面による形成に限らない。例えば
図11に示すように、切除部11,11は、前面部3と後面部4との右端部側を前後中央側へ段差状に凹ませて右端部10を凸形状とすることで形成してもよい。
切除部を設ける端部は、左端部であってもよい。
切除部は、上記形態のように架台本体の前後面の両方に形成する形態に限らず、前後面の何れか一方のみに形成してもよい。
上記形態では、切除部を架台本体の一方の端部のみに形成しているが、両方の端部に形成してもよい。
【0015】
底面部のフロアストッパに代えて、ストッパ付きのキャスタを設けてもよい。架台本体は、モータ等で駆動する駆動輪を設けて自走可能としてもよい。
多関節ロボットのアームの数やハンドの形状等は上記形態に限定されない。他の産業用ロボットを設置してもよい。設置位置も適宜変更できる。
工作機械の形状も上記形態に限定されない。ロボット用架台を近接させる工作機械の外面は正面に限らない。
【符号の説明】
【0016】
1・・ロボット用架台、2・・架台本体、3・・前面部、4・・後面部、5・・左側面部、6・・右側面部、7・・上面部、8・・底面部、9・・傾斜面、10・・右端部、11・・切除部、20・・多関節ロボット、30・・工作機械、M・・作業者、S・・スペース。