(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062253
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】水処理システム、制御装置、水処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B01D 21/30 20060101AFI20240430BHJP
B01D 21/00 20060101ALI20240430BHJP
B01D 21/01 20060101ALI20240430BHJP
B01D 21/02 20060101ALI20240430BHJP
B01D 21/08 20060101ALI20240430BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20240430BHJP
B01D 61/10 20060101ALI20240430BHJP
B01D 61/20 20060101ALI20240430BHJP
C02F 1/52 20230101ALI20240430BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240430BHJP
G06V 10/44 20220101ALI20240430BHJP
【FI】
B01D21/30 A
B01D21/00 B
B01D21/00 C
B01D21/01 B
B01D21/01 C
B01D21/02
B01D21/08 A
C02F1/44 K
B01D61/10
B01D61/20
B01D21/01 102
C02F1/52
G06T7/00 300F
G06V10/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170120
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】福水 圭一郎
【テーマコード(参考)】
4D006
4D015
5L096
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006GA06
4D006GA07
4D006KA01
4D006KA52
4D006KA57
4D006KB13
4D006KC03
4D006KC13
4D006KD08
4D006KE07P
4D006KE08P
4D006LA08
4D006PA01
4D006PB08
4D006PB59
4D015BB09
4D015BB12
4D015DA04
4D015DA05
4D015DA13
4D015DA16
4D015DB01
4D015EA03
4D015EA37
5L096FA06
5L096FA54
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】最適な量の凝集剤を添加する。
【解決手段】被処理水に凝集剤を添加する添加装置700と、添加装置700から凝集剤が添加された水中の凝集物の状態を撮像する撮像装置500と、添加装置700から凝集剤が添加された水をろ過するろ過膜300と、ろ過膜300の入口の圧力と、ろ過膜300のろ過流量と、ろ過膜300における水位と、の少なくとも1つを測定する測定手段と、撮像装置500が撮像した凝集物の状態と、測定手段が測定した値とに基づいて、添加装置700が添加する凝集剤の添加量を制御する制御装置600とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水に凝集剤を添加する添加手段と、
前記添加手段から前記凝集剤が添加された水中の凝集物の状態を撮像する撮像手段と、
前記添加手段から前記凝集剤が添加された水をろ過するろ過手段と、
前記ろ過手段の入口の圧力と、前記ろ過手段のろ過流量と、前記ろ過手段における水位と、の少なくとも1つを測定する測定手段と、
前記撮像手段が撮像した前記凝集物の状態と、前記測定手段が測定した値とに基づいて、前記添加手段が添加する前記凝集剤の添加量を制御する制御手段とを有する水処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の水処理システムにおいて、
前記制御手段は、前記撮像手段が撮像した画像から、前記凝集物の状態として特徴量を算出する水処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の水処理システムにおいて、
前記制御手段は、前記特徴量を前記凝集物のエッジピクセル数に基づいて算出する水処理システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の水処理システムにおいて、
前記制御手段は、前記測定手段が測定した値の変化量に基づいて、前記添加手段が添加する前記凝集剤の添加量の下限値を制御する水処理システム。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の水処理システムにおいて、
前記添加手段は、前記凝集剤として無機凝集剤を添加する水処理システム。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載の水処理システムにおいて、
前記被処理水が流入する水槽を有し、
前記添加手段は、前記水槽に流入された前記被処理水に前記凝集剤を添加する水処理システム。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項に記載の水処理システムにおいて、
前記ろ過手段を逆洗する逆洗手段を有し、
前記制御手段は、前記逆洗手段を用いて前記ろ過手段を逆洗する前と後とにおいて、前記測定手段が測定した値の変化量に基づいて、前記添加手段が添加する前記凝集剤の添加量の下限値を制御する水処理システム。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか1項に記載の水処理システムにおいて、
前記添加手段から前記凝集剤が添加された水について固液分離を行う固液分離手段を前記ろ過手段の前段に有する水処理システム。
【請求項9】
添加手段から凝集剤が添加された水中の凝集物の状態を撮像した画像に基づいて、前記凝集物の状態を数値化する画像処理部と、
前記画像処理部が数値化した前記凝集物の状態、および前記凝集剤が添加された水をろ過するろ過手段の入口の圧力と、前記ろ過手段のろ過流量と、前記ろ過手段における水位との少なくとも1つに基づいて、前記添加手段が添加する前記凝集剤の添加量を制御する制御部とを有する制御装置。
【請求項10】
添加手段から凝集剤が添加された水中の凝集物の状態を撮像した画像に基づいて、前記凝集物の状態を数値化する処理と、
前記凝集剤が添加された水をろ過するろ過手段の入口の圧力と、前記ろ過手段のろ過流量と、前記ろ過手段における水位と、の少なくとも1つを取得する処理と、
前記数値化した前記凝集物の状態と前記取得した値と基づいて、前記添加手段が添加する前記凝集剤の添加量を制御する処理とを行う水処理方法。
【請求項11】
コンピュータに、
添加手段から凝集剤が添加された水中の凝集物の状態を撮像した画像に基づいて、前記凝集物の状態を数値化する手順と、
前記凝集剤が添加された水をろ過するろ過手段の入口の圧力と、前記ろ過手段のろ過流量と、前記ろ過手段における水位と、の少なくとも1つを取得する手順と、
前記数値化した前記凝集物の状態と前記取得した値と基づいて、前記添加手段が添加する前記凝集剤の添加量を制御する手順とを実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理システム、制御装置、水処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
浄水場や下水処理場、工業用水の用水処理、半導体工場の排水処理、その他の排水処理設備においては、被処理水に凝集剤を添加し、被処理水中の懸濁物質(SS)を凝集させてフロックを形成させ、フロックを沈殿分離や浮上分離等で分離する処理が行われている。その際、例えば、被処理水である原水中の濁度を測定し、測定した濁度に基づいて、凝集剤の添加量を算出する技術が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水中の濁度が互いに同等な値であっても、周囲の環境等の影響を受けると、水中に含まれる物質が異なるものとなり、その結果、水中に凝集された凝集物の状態が異なる場合がある。そのため、被処理水の濁度だけを監視しても最適な量の凝集剤を添加できないおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、最適な量の凝集剤を添加することができる水処理システム、制御装置、水処理方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の水処理システムは、
被処理水に凝集剤を添加する添加手段と、
前記添加手段から前記凝集剤が添加された水中の凝集物の状態を撮像する撮像手段と、
前記添加手段から前記凝集剤が添加された水をろ過するろ過手段と、
前記ろ過手段の入口の圧力と、前記ろ過手段のろ過流量と、前記ろ過手段における水位と、の少なくとも1つを測定する測定手段と、
前記撮像手段が撮像した前記凝集物の状態と、前記測定手段が測定した値とに基づいて、前記添加手段が添加する前記凝集剤の添加量を制御する制御手段とを有する。
【0007】
また、本発明の制御装置は、
添加手段から凝集剤が添加された水中の凝集物の状態を撮像した画像に基づいて、前記凝集物の状態を数値化する画像処理部と、
前記画像処理部が数値化した前記凝集物の状態、および前記凝集剤が添加された水をろ過するろ過手段の入口の圧力と、前記ろ過手段のろ過流量と、前記ろ過手段における水位との少なくとも1つに基づいて、前記添加手段が添加する前記凝集剤の添加量を制御する制御部とを有する。
【0008】
また、本発明の水処理方法は、
添加手段から凝集剤が添加された水中の凝集物の状態を撮像した画像に基づいて、前記凝集物の状態を数値化する処理と、
前記凝集剤が添加された水をろ過するろ過手段の入口の圧力と、前記ろ過手段のろ過流量と、前記ろ過手段における水位と、の少なくとも1つを取得する処理と、
前記数値化した前記凝集物の状態と前記取得した値と基づいて、前記添加手段が添加する前記凝集剤の添加量を制御する処理とを行う。
【0009】
また、本発明のプログラムは、
コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
添加手段から凝集剤が添加された水中の凝集物の状態を撮像した画像に基づいて、前記凝集物の状態を数値化する手順と、
前記凝集剤が添加された水をろ過するろ過手段の入口の圧力と、前記ろ過手段のろ過流量と、前記ろ過手段における水位と、の少なくとも1つを取得する手順と、
前記数値化した前記凝集物の状態と前記取得した値と基づいて、前記添加手段が添加する前記凝集剤の添加量を制御する手順とを実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、最適な量の凝集剤を添加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の水処理システムの第1の実施の形態を示す図である。
【
図2】
図1に示した制御装置に具備された構成要素の一例を示す図である。
【
図3】濃淡処理および微分処理の一例を説明するための図である。
【
図4】
図2に示した制御部が制御する凝集剤の添加量の時間的変化の一例を示す図である。
【
図5】
図1に示した水処理システムにおける水処理方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図6】
図1に示した水処理システムにおける水処理方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図7】本発明の水処理システムの第2の実施の形態を示す図である。
【
図8】本発明の水処理システムの第3の実施の形態を示す図である。
【
図9】
図8に示した制御装置に具備された構成要素の一例を示す図である。
【
図10】
図8に示した水処理システムにおける水処理方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図11】本発明の水処理システムの第4の実施の形態を示す図である。
【
図12】本発明の水処理システムの第5の実施の形態を示す図である。
【
図13】本発明の水処理システムの第6の実施の形態を示す図である。
【
図14】
図13に示した2つの圧力センサが測定した圧力のろ過圧の時間的変化の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
【0013】
図1は、本発明の水処理システムの第1の実施の形態を示す図である。本形態における水処理システムは
図1に示すように、反応槽100と、中継槽110と、ポンプ200と、ろ過膜300と、圧力センサ410,420と、撮像装置500と、制御装置600と、添加装置700と、凝集剤貯槽710とを有する。
【0014】
反応槽100は、原水である被処理水が流入し、流入された被処理水を貯留する水槽である。反応槽100は、所定の容量を持つ。反応槽100は、添加装置700が被処理水に凝集剤を添加してフロックが形成されるために必要な時間(以下、反応時間と称する)、被処理水を貯留する。この反応時間は、被処理水および凝集剤(添加量や種類等)に基づいて設定される。反応槽100は、密閉型のものでも良い。密閉型の反応槽100の内部の水を撮像装置500が撮影する場合、反応槽100に透明のアクリル板等の撮影窓を設置しても良い。この場合、撮影窓の汚れ防止のため、撮影窓にワイパーや洗浄用空気を吹き付ける機構等を設けても良い。反応槽100は、攪拌機101を設けても良い。攪拌機101は、反応槽100内に設置され、反応槽100に貯留された被処理水を攪拌する。攪拌機101の構造は、例えば、回転モータが羽根部材を回転させる構造である。羽根部材の形状は、プロペラ型やパドル型の形状が挙げられる。また、攪拌機101は、水中ポンプを用いて被処理水を攪拌するものでも良い。反応槽100に流入される被処理水は、凝集させることで除去できる懸濁物質や溶存物質等の物質が含まれた水で良い。また、反応槽100には、苛性ソーダや塩酸など、pH調整剤が添加でき、凝集pHを調整できるものを注入しても良い。反応槽100にpH計が具備されていても良い。添加装置700は、反応槽100に貯留された水に凝集剤貯槽710に貯められた凝集剤を添加する添加手段である。添加装置700は、制御装置600からの指示に基づいた添加量の凝集剤を凝集剤貯槽710から反応槽100に貯留された水に添加する。反応槽100に貯留された水に添加装置700が凝集剤を添加することで、十分な反応時間を確保して、より強固なフロック形成が可能となり、形成されたフロックをろ過手段が除去しやすくなり、且つろ過手段の閉塞を抑制することができる。中継槽110は、反応槽100にて凝集剤が添加された水を貯留する貯留槽である。
【0015】
ポンプ200は中継槽110に貯留されている水をろ過膜300へ送液する。ろ過膜300は、ポンプ200を用いて中継槽110から送液されてきた水をろ過する膜(ろ過手段)である。ろ過膜300として、例えば、精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)、ナノろ過膜(NF膜)、逆浸透膜(RO膜)などのいずれか用いる、または、これらの任意の組み合わせが挙げられるが、凝集処理による閉塞を抑制する目的としては、MF膜またはUF膜の後段にRO膜を設ける組み合わせが望ましい。ろ過膜300の通水方式は、クロスフロー方式でもデッドエンド方式でも良い。圧力センサ410は、ポンプ200を用いて中継槽110から送液されてきた水の圧力を測定する測定手段である。つまり、圧力センサ410は、ろ過膜300の前段となる入口(一次側)の圧力を測定する。圧力センサ420は、ろ過膜300を透過した水の圧力を測定する測定手段である。つまり、圧力センサ420は、ろ過膜300の後段となる出口(二次側)の圧力を測定する。圧力センサ410,420それぞれは、測定した圧力の値を制御装置600へ通知する。
【0016】
撮像装置500は、反応槽100に貯留された被処理水に添加装置700から凝集剤が添加された水中の凝集物(フロック)の状態を撮像する撮像手段である。撮像装置500は、フロックを撮像できるものであれば特に制限はないが、例えば、メンテナンス性の観点から、水の画像を撮像する非接液の画像センサ(カメラ)が好ましい。撮像装置500は、赤外線センサであることが好ましい。撮像装置500は、反応槽100内の水の画像をあらかじめ設定された時間間隔以下の時間間隔で撮像するカメラ(例えば、継続的に撮像を行う動画撮像用カメラ)であっても良い。撮像装置500は、撮像した画像を示す画像データを制御装置600へ出力する。制御装置600は、撮像装置500から出力されてきた画像データが示す画像中の凝集物の状態と、圧力センサ410,420それぞれが測定した値とに基づいて、添加装置700が添加する凝集剤の添加量を制御する制御手段である。
【0017】
図2は、
図1に示した制御装置600に具備された構成要素の一例を示す図である。
図1に示した制御装置600は
図2に示すように、画像処理部610と、制御部620とを有する。なお、
図2には、
図1に示した制御装置600が有する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
【0018】
画像処理部610は、撮像装置500から出力されてきた画像データが示す画像に含まれる凝集物の特徴量を当該凝集物の凝集状態として数値化する。凝集物(フロック)の凝集状態を特徴量のような数値とし、この数値を演算処理に用いることで、凝集状態に基づいた制御(例えば、凝集剤の注入制御)を実現することができる。画像処理部610は、撮像装置500から出力されてきた画像データが示す画像中の互いに隣接する画素の色差(例えば、RGBの値の差)が閾値以上である画素を検出し、その検出された画素数の単位面積当たり(撮像範囲)の総和であるエッジピクセルを凝集物の特徴量として数値化しても良い。ろ過装置は微細なフロックによっても閉塞の影響を受ける。そのため、微細なフロックを数値化するためには、フロックよりも小さな単位でフロックを数値化する必要がある。エッジピクセル数を用いると、フロックの表面積を画素数として数値化することができる。そのため、エッジピクセル数を用いれば、ろ過装置を閉塞させるような微細なフロックに対しても、安定して注入制御を行うことができる。画像処理部610は、数値化した凝集物の状態(特徴量)を制御部620へ通知する。なお、画像処理部610は、撮像装置500から出力されてきた画像データを入力することでその画像データが示す画像に含まれる凝集物の特徴量や、必要な凝集物の添加量、凝集剤の添加のタイミング等を出力する学習済みモデルを用いて、学習済みモデルから取得(推論)した情報を制御部620へ通知するものでも良い。
【0019】
画像処理部610は、例えば、撮像装置500から出力されてきた画像データについて、濃淡処理および微分処理を行うことで特徴量を算出しても良い。この場合の画像処理部610における処理を以下に説明する。画像処理部610は、撮像装置500から出力されてきた画像データについて濃淡処理を施す。この濃淡処理は、投影処理ともいい、画像の濃淡(明暗)を、3段階以上の階調、例えば256段階の階調(0~255階調)に数値化する処理である。画像処理部610は、濃淡処理を施した結果について微分処理を行う。具体的には、画像処理部610は、濃淡処理を行った結果である数値データを微分処理することにより、その数値データ(階調)の変化の割合を算出する。画像処理部610は、微分処理を行った結果に基づいて特徴量を算出する。
【0020】
図3は、濃淡処理および微分処理の一例を説明するための図である。
図3(a)は、撮像装置500が撮像した画像の一例を示す。
図3(a)に示した画像には、2つの凝集物がそれらの一部が互いに重なり合って存在している。画像処理部610は、この画像の濃淡(明度)を判定し、それを数値化(濃淡処理)する。
図3(b)は、
図3(a)に示した画像のA-A’における濃淡(明度)を数値化したものをグラフに示した図である。
図3(b)に示すように、
図3(a)に示した画像のA-A’における各濃淡(各明度)のそれぞれが、それぞれに応じた数値となり、グラフに示される。画像処理部610は、
図3(b)に示すように濃淡処理により算出された数値をもとに微分処理することで、濃淡(明度)の変化率(絶対値)を算出する。つまり、画像処理部610は、グラフで示された濃淡(明度)の数値データの変化点(エッジ)を検出する。
図3(c)は、濃淡処理を行った結果について微分処理を行った結果を示すグラフである。
図3(c)に示すように、濃淡(明度)の数値データの変化点および変化率が検出されている。
図3(c)のおけるシグナルは、濃淡(明度)の変化率(絶対値)を示す。エッジとなり得る濃淡変化が大きな箇所は微分値が大きくなる。画像処理部610は、微分処理の結果得られたエッジのピクセル数を特徴量として算出するものであっても良いし、所定の変化率以上であるエッジのピクセル数を特徴量として算出するものであっても良い。このような処理によって、エッジピクセル数を特徴量として凝集物の状態を判定することができる。また、画像処理部610は、微分処理の結果得られたエッジのピクセル数(濃淡の変化点の数)に、その変化率の大きさに応じた係数を乗じて特徴量を算出するものであっても良い。
【0021】
制御部620は、画像処理部610が数値化した凝集物の状態(特徴量)と、圧力センサ410,420それぞれから通知された圧力の値とに基づいて、添加装置700が添加する凝集剤の添加量を制御する。具体的には、制御部620は、圧力センサ410から通知された圧力の値と圧力センサ420から通知された圧力の値との差を算出し、算出した差(ろ過圧)と画像処理部610が数値化した凝集物の状態(特徴量)とに基づいて、添加装置700が添加する凝集剤の添加量を制御する。なお、各装置間の信号や通知のやり取り(送受信)には、無線を用いても良いし、有線を用いても良い(以下の説明についても同じ)。
【0022】
制御部620における処理の具体例を以下に説明する。制御部620は、あらかじめ設定された第1の規定時間が経過するごとに、画像処理部610が数値化した凝集物の状態に基づいて、凝集剤貯槽710から添加する凝集剤の添加量を変化させていくように添加装置700を制御する。第1の規定時間は、凝集剤を添加する反応槽100からろ過膜300装置の入り口までの滞留時間以下とすることが望ましく、反応槽100よりも後段の滞留時間とすることがより望ましい。制御部620は、第1の規定時間が経過後、あらかじめ設定された第2の規定時間が経過するごとに、圧力センサ410から通知された圧力の値と圧力センサ420から通知された圧力の値との差分(ろ過圧)の変化量(例えば、単位時間の変化量)に基づいて、凝集剤貯槽710から添加する凝集剤の添加量の下限値を変化させていくように添加装置700を制御する。第2の規定時間は、ろ過膜300装置の逆洗工程直後の間隔とすることが望ましい。ろ過圧は、ろ過膜300の一次側(入口側)の圧力PI1、または、ろ過膜300の一次側(入口側)の圧力PI1と所定の値との差分である。また、ろ過圧として、ろ過膜300の一次側(入口側)の圧力PI1と、ろ過膜300の二次側(出口側)の圧力PI2との差分を用いることが望ましい。ろ過圧の算出に、ろ過膜300の二次側(出口側)の圧力PI2を用いることで、ろ過膜300におけるろ過圧の測定精度が向上する。ろ過膜300の入口に複数の圧力センサを具備し、複数の圧力センサそれぞれが測定した圧力値の平均値を一次側の圧力値としても良い。また、このろ過圧の算出に用いる数式は、ろ過水量が一定になるように供給ポンプの出力やバルブ開度を調整する定流量ろ過運転に用いると良い。また、この第2の規定時間は、第1の規定時間よりも長い時間である。例えば、
第2の規定時間=第1の規定時間×n(nは2以上の自然数)
であっても良い。例えば、第1の規定時間は例えば5分間であり、第2の規定時間は例えば30分間である。制御部620は、第1の規定時間および第2の規定時間それぞれを測定する2つのタイマを具備し、それぞれのタイマが第1の規定時間に達した時および第2の規定時間に達した時に、それぞれがリセットされる。
【0023】
図4は、
図2に示した制御部620が制御する凝集剤の添加量の時間的変化の一例を示す図である。
図4に示した縦軸は、例えば、被処理水量に対する凝集剤添加濃度mg/L、mol/Lなどで管理する。なお、縦軸は、凝集剤の添加量(割合)がわかるような添加装置700の出力を示す値でも良い。出力を示す値としては、例えば、ポンプ出力(%)、ポンプ周波数(Hz)、ポンプ回転数(rpm)等が挙げられる。
図4に示した例では、凝集剤の添加を開始する時点で、所定の添加量の凝集剤が添加されるように添加装置700が制御されている。また、そのときの下限値は、あらかじめ決められている値である。その後、第1の規定時間に到達するまでは、画像処理部610が数値化した凝集物の状態(特徴量)に応じた添加量の凝集剤が添加される。第1の規定時間に到達すると、画像処理部610は、撮像装置500から出力されてきた画像データが示す画像に含まれる凝集物の状態(特徴量)を数値化し、制御部620は、画像処理部610が算出した特徴量に基づいて凝集剤貯槽710から添加する凝集剤の添加量を変化させる。このとき、制御部620は、画像処理部610が算出した特徴量と、あらかじめ設定された閾値とを比較する。比較の結果、画像処理部610が算出した特徴量が閾値よりも小さな場合、制御部620は、凝集剤貯槽710から添加する凝集剤の添加量を増加させる。一方、比較の結果、画像処理部610が算出した特徴量が閾値よりも大きな場合、制御部620は、凝集剤貯槽710から添加する凝集剤の添加量を減少させる。増加させる量(増加幅)および減少させる量(減少幅)は、あらかじめ設定された量である。増加幅および減少幅は、例えば、反応槽100に水質計や水温計、pH計を設け、それぞれが測定した水質(SS濃度や濁度等)や水温、pH値に基づいて、算出されても良い。また、増加幅および減少幅は、その他の運転データ等のパラメータも用いて機械学習させた学習モデルから取得した値でも良い。
図4に示した例では、開始から第1の規定時間が経過した時、画像処理部610が算出した特徴量が閾値を下回っているため、制御部620は、凝集剤貯槽710から添加する凝集剤の添加量を増加させる。その後、第2の規定時間に到達するまで、第1の規定時間ごとに制御装置600は、上記の比較および添加量の変更の処理を繰り返す。
【0024】
第2の規定時間(
図4に示したt1)に到達すると、制御部620は、第2の規定時間の開始時における圧力センサ410から通知された圧力の値と圧力センサ420から通知された圧力の値との差分から、第2の規定時間の到達時における圧力センサ410から通知された圧力の値と圧力センサ420から通知された圧力の値との差分までの単位時間当たりの変化量を算出する。制御部620は算出した圧力の差の変化量(ろ過圧の上昇速度)と、あらかじめ設定された閾値とを比較する。算出した圧力の差の変化量が閾値よりも小さな場合、制御部620は、凝集剤貯槽710から添加する凝集剤の添加量の下限値を下げる。一方、算出した圧力の差の変化量が閾値よりも大きな場合、制御部620は、凝集剤貯槽710から添加する凝集剤の添加量の下限値を上げる(
図4に示した「変更後の下限値」)。その後は、第2の規定時間に到達するまでに行われた処理と同じ処理が、次に第2の規定時間が到達するまで繰り返される。下限値の上げ下げの幅は、あらかじめ設定された量である。下限値の上げ下げの幅は、例えば、制御の精度向上の観点から、反応槽100に水質計や水温計、pH計を設け、それぞれが測定した水質や水温、pH値に基づいて、算出されても良い。また、下限値の上げ下げの幅は、その他の凝集剤の添加量やろ過膜装置の運転データ等のパラメータも用いて機械学習させた学習モデルから取得した値でも良い。
【0025】
以下に、
図1に示した水処理システムにおける水処理方法について説明する。
図5および
図6は、
図1に示した水処理システムにおける水処理方法の一例を説明するためのフローチャートである。ここでは、画像処理部610が上述した濃淡処理および微分処理を行って凝集物の特徴量を算出する場合を例に挙げて説明する。
【0026】
まず、制御部620は、所定の量の凝集剤が凝集剤貯槽710から反応槽100に貯留されている水へ添加されるように添加装置700を制御する。また、制御部620は、上述した第1の規定時間および第2の規定時間それぞれを測定するタイマを起動する。その後、制御部620は、第2の規定時間が経過したかどうかを判定する(ステップS1)。第2の規定時間が経過していない場合、制御部620は、第1の規定時間が経過したかどうかを判定する(ステップS2)。第1の規定時間が経過していない場合、ステップS1の処理が行われる。
【0027】
第1の規定時間が経過した場合、撮像装置500が、反応槽100内の画像を撮像し、撮像した画像を制御装置600が取得する(ステップS3)。すると、画像処理部610が、制御装置600内に取得した画像について濃淡処理を施す(ステップS4)。続いて、画像処理部610が、濃淡処理を行った結果である数値データを微分する(ステップS5)。すると、画像処理部610が、微分処理を行った結果に基づいて特徴量を算出する(ステップS6)。これにより、画像処理部610は、撮像装置500から出力されてきた画像データが示す画像中の互いに隣接する画素の色差が閾値以上である画素を検出し、その検出された画素数の単位面積当たり(撮像範囲)の総和であるエッジピクセルを算出することとなる。
【0028】
制御部620は、算出した特徴量とあらかじめ設定された閾値(特徴量閾値)とを比較する(ステップS7)。算出した特徴量が特徴量閾値よりも小さな値である場合、制御部620は、凝集剤貯槽710から添加する凝集剤の添加量を増加させるように添加装置700を制御する(ステップS8)。また、算出した特徴量と特徴量閾値とが互いに同じ値である場合、制御部620は、凝集剤貯槽710から添加する凝集剤の添加量を維持するように添加装置700を制御する(ステップS9)。また、算出した特徴量が特徴量閾値よりも大きな値である場合、制御部620は、凝集剤貯槽710から添加する凝集剤の添加量を減少させるように添加装置700を制御する(ステップS10)。ステップS8,S9,S10それぞれの処理が行われた後、ステップS1の処理が行われる。
【0029】
ステップS1にて、第2の規定時間が経過した場合、制御部620は、圧力センサ410および圧力センサ420からそれぞれ通知された圧力のろ過圧を算出する(ステップS11)。制御部620は、算出したろ過圧の単位時間当たりの変化量となるろ過圧上昇速度を算出する(ステップS12)。制御部620は、算出したろ過圧上昇速度とあらかじめ設定された閾値(速度閾値)とを比較する(ステップS13)。
【0030】
算出したろ過圧上昇速度が速度閾値よりも小さな値である場合、制御部620は、凝集剤貯槽710から添加する凝集剤の添加量を変化させる際の下限値を下げる(ステップS14)。また、算出したろ過圧上昇速度と速度閾値とが互いに同じ値である場合、制御部620は、凝集剤貯槽710から添加する凝集剤の添加量を変化させる際の下限値を維持する(ステップS15)。また、算出したろ過圧上昇速度が速度閾値よりも大きな値である場合、制御部620は、凝集剤貯槽710から添加する凝集剤の添加量を変化させる際の下限値を上げる(ステップS16)。ステップS14,S15,S16それぞれの処理が行われた後、ステップS1の処理が行われる。
【0031】
上述した形態においては、被処理水は、懸濁物質や不溶化したい物質を含むものであれば良い。また、凝集剤貯槽710から添加される凝集剤は、無機凝集剤、有機凝結剤やポリマー(高分子凝集剤)でも良い。凝集剤貯槽710から添加される凝集剤が無機凝集剤である場合、当該凝集剤はアルミニウム系(PAC、硫酸バンド等)、鉄系(ポリ鉄、塩化第二鉄)等でも良く、特に限定しない。また、凝集剤貯槽710から添加される凝集剤がポリマーである場合、当該凝集剤はカチオンでもアニオンでも良い。凝集処理においては無機凝集剤の調整が重要であるため、無機凝集剤を用いて制御するのが良い。無機凝集剤は被処理水中に分散する懸濁物質の荷電中和を行い、フロック形成の核となるマイクロフロックを形成させる。無機凝集剤による荷電中和が良好に行われない場合、その後に添加する高分子凝集剤の効果も十分に発揮できないため、処理水質が悪化する。また、無機凝集剤が過剰に添加されると、無機凝集剤自体が余剰な汚泥となるため、汚泥処分費などのランニングコストが増大してしまう。
【0032】
また、特徴量としてエッジピクセル数を例に挙げたが、特徴量は以下に示す(式1)を用いて算出される凝集変化量でも良い。
【数1】
ここで、C
nは凝集変化量、A
n-1は凝集剤の添加量変更前のエッジピクセル数、A
nは凝集剤の添加量変更後のエッジピクセル数、P
n-1は凝集剤の添加量変更前の添加量、P
nは凝集剤の添加量変更後の添加量である。
【0033】
上述した例では、ろ過膜300の前段(一次側)の圧力と後段(二次側)の圧力との差圧(ろ過圧)を用いて制御を行ったが、ろ過膜300のろ過流量を用いて上述した制御を行っても良い。この場合、圧力センサ410,420の代わりに流量計を測定手段として設け、ろ過膜300への流量の値が所定の閾値よりも小さな値である場合、下限値を上げ、ろ過膜300への流量の値が所定の閾値よりも大きな値である場合、下限値を下げる制御を行っても良い。また、ろ過圧と流量とを用いる場合、以下に示す(式2)を用いて単位圧力当たりのろ過流束を算出し、凝集剤の添加量の制御に用いても良い。
単位圧力当たりのろ過流束=ろ過流量/ろ過面積/ろ過圧・・・(式2)
ろ過流量は、ろ過装置の二次側(透過側)の流量を直接測定した値の他、ろ過装置への供給流量から循環流量を除した値等、ろ過装置に通水される液体の流量の値を取得するために間接的に測定した値でも良い。ろ過面積は、限外ろ過膜または逆浸透膜の膜面積や、砂ろ過のろ材断面積である。また、ろ過流束算出の際、被処理水の水温や密度に応じて補正しても良い。
【0034】
このように、本形態においては、制御装置600が、凝集剤を添加した被処理水内の凝集物の状態と、その後段に設けられたろ過膜300の前後の圧力の差分、つまり、ろ過膜300の入口の圧力と出口の圧力との差分の変化量とに基づいて、添加装置700が被処理水に添加する凝集剤の添加量を制御する。このとき、制御装置600が、撮像装置500を用いて撮像した画像に基づいて凝集物の状態(特徴量)を数値化し、被処理水の水質に基づいて算出された添加量を、凝集物の状態(特徴量)に応じて変化させていく。また、制御装置600が、ろ過膜300の前後の圧力の差分の変化量(上昇速度)に応じて、添加量を変化させる下限値を制御する。これにより、最適な添加量の凝集剤を添加することができる。特徴量に基づいた凝集剤添加量の制御に加えて、流量や圧力等の運転データに基づいて凝集剤添加量の下限値を制御することで、よりろ過装置の閉塞等を回避し、水処理設備全体を安定運転することができる。ろ過膜のろ過圧が上昇した場合、凝集剤添加量の下限値を上げることで、凝集処理の除去対象でありろ過膜の閉塞原因物質となる有機物やSS等の除去率が上がるため、ろ過膜のろ過圧上昇を抑制することができる。一方、ろ過膜のろ過圧上昇が緩やかな場合、凝集剤添加量の下限値を下げることで凝集剤添加量を削減することができる。これらの効果により、ろ過膜のろ過圧上昇を抑制しつつ、凝集剤等のランニングコストを最適化することができる。
【0035】
圧力センサは、絶対圧またはゲージ圧を検出可能なセンサであれば良い。ゲージ圧は大気圧の変化に連動するため、圧力センサは絶対圧を検出可能なセンサであることが好ましい。また、圧力センサが測定する圧力は水圧(kPa)であることが望ましいが、水頭差(mmH2O)や水銀柱(mmHg)等を圧力の代替として測定し、測定した値を制御に用いても良く、また、測定した値を圧力に換算して制御に用いても良い。
【0036】
水処理設備において、被処理水である原水中の懸濁物質を除去するため、原水に凝集剤を添加し、懸濁物質を粗大化させる凝集処理および凝集処理により発生した凝集物(フロック)を固液分離する沈降分離処理や浮上分離処理等の水処理技術が広く用いられている。原水の懸濁物質の濃度や性状は経時変化するケースがあり、懸濁物質の安定した除去処理を行うには、原水の変化に合わせて凝集剤の注入量も適切に調整しなければならない。一般的な技術として、被処理水の濁質濃度や微粒子カウンタの値に基づいて、必要な凝集剤注入量を算出するための関係式をあらかじめ算出しておき、凝集剤の注入制御に用いる方法がある。
【0037】
しかしながら、被処理水の濁度が同等であっても、必要な凝集剤添加量が異なる場合がある。あらかじめ設定した条件から逸脱した被処理水が流入した場合、凝集剤添加量が不足したりして適正に制御されず、固液分離処理水が悪化してしまうおそれがある。また、凝集した水を、ろ過装置を用いてろ過処理する場合、凝集剤添加量が少ないと処理水中に残留する有機物などの溶存物質によって、ろ過装置の前後のろ過圧が上昇し、処理水量が低下してしまうおそれがある。また、被処理水に凝集剤が過剰に添加された場合、後段の固液分離装置への負荷が高くなる。その結果、SSリークやろ過装置の閉塞を引き起こすおそれがある。また、被処理水に添加する凝集剤およびpH調整剤(苛性ソーダ等)の薬品コストが膨らむ他、凝集剤由来の汚泥発生量が多くなるため汚泥処分コストも増加してしまう。さらに、ろ過装置として膜ろ過を用いた場合、ろ過装置の前後のろ過圧上昇が顕著になると、酸やアルカリを用いた薬品洗浄を実施する必要があり、洗浄コストが発生してしまう。薬品洗浄を行うために装置の運転を停止しなければならないというデメリットや、予備系列を増設しなければならない等のデメリットがある。
【0038】
本形態においては、変動する原水に対し、ろ過装置の前後のろ過圧上昇を抑制しつつ、凝集剤添加量を最適に制御することができる。これにより、水処理システム全体を安定運転することができ、さらに発生するコストを最適化できる。
(第2の実施の形態)
【0039】
図7は、本発明の水処理システムの第2の実施の形態を示す図である。本形態における水処理システムは
図7に示すように、反応槽100と、中継槽110と、ポンプ200と、砂ろ過装置301と、圧力センサ410,420と、撮像装置500と、制御装置600と、添加装置700と、凝集剤貯槽710とを有する。反応槽100、中継槽110、ポンプ200、圧力センサ410,420、撮像装置500、制御装置600、添加装置700および凝集剤貯槽710それぞれは、
図1に示した実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。
【0040】
砂ろ過装置301は、第1の実施の形態におけるろ過膜300に置き換わって配置されたろ過手段である。砂ろ過装置301は、砂層をろ材として被処理水をろ過する。圧力センサ410が砂ろ過装置301の前段に配置され、圧力センサ420が砂ろ過装置301の後段に配置される。この構成により、砂ろ過装置301の前後の圧力がそれぞれ測定される。制御装置600におけるこれらの圧力に基づいた制御は第1の実施の形態と同様である。
【0041】
このように、本形態においては、制御装置600が、凝集剤を添加した被処理水内の凝集物の状態と、その後段に設けられた砂ろ過装置301の前後の圧力の差分の変化量とに基づいて、添加装置700が被処理水に添加する凝集剤の添加量を制御する。このとき、制御装置600が、撮像装置500を用いて撮像した画像に基づいて凝集物の状態(特徴量)を数値化し、被処理水の水質に基づいて算出された添加量を、凝集物の状態(特徴量)に応じて変化させていく。また、制御装置600が、砂ろ過装置301の前後の圧力の差分の変化量(上昇速度)に応じて、添加量を変化させる下限値を制御する。これにより、最適な添加量の凝集剤を添加することができる。特徴量に基づいた凝集剤添加量の制御に加えて、流量や圧力等の運転データに基づいて凝集剤添加量の下限値を制御することで、よりろ過装置の閉塞等を回避し、水処理設備全体を安定運転することができる。このように、変動する原水に対し、ろ過装置の前後のろ過圧上昇を抑制しつつ、凝集剤添加量を最適に制御することができる。これにより、水処理システム全体を安定運転することができ、さらに発生するコストを最適化できる。
(第3の実施の形態)
【0042】
図8は、本発明の水処理システムの第3の実施の形態を示す図である。本形態における水処理システムは
図8に示すように、反応槽100と、砂ろ過装置302と、水位計430と、撮像装置500と、制御装置601と、添加装置700と、凝集剤貯槽710とを有する。反応槽100、撮像装置500、添加装置700および凝集剤貯槽710それぞれは、
図1に示した実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。
【0043】
砂ろ過装置302は、重力式の砂ろ過装置であって、上部から被処理水を流入して、ろ材である砂層を透過した処理水を下部から抽出するろ過手段である。水位計430は、砂ろ過装置302の被処理水の水位を測定する。水位計430は測定した水位の値を制御装置601へ通知する。
【0044】
図9は、
図8に示した制御装置601に具備された構成要素の一例を示す図である。
図8に示した制御装置601は
図9に示すように、画像処理部610と、制御部621とを有する。画像処理部610は、第1の実施の形態におけるものと同じものである。なお、
図9には、
図8に示した制御装置601が具備する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
【0045】
制御部621は、画像処理部610が数値化した凝集物の状態(特徴量)と、水位計430ら通知された水位の値とに基づいて、添加装置700が添加する凝集剤の添加量を制御する。具体的には、制御部620は、画像処理部610が数値化した凝集物の状態(特徴量)に基づいて、添加装置700が添加する凝集剤の添加量を制御する際、水位計430ら通知された水位の値に基づいて、添加量の下限値を制御する。
【0046】
以下に、
図8に示した水処理システムにおける水処理方法について説明する。
図10は、
図8に示した水処理システムにおける水処理方法の一例を説明するためのフローチャートである。まず、
図5に示したフローチャートを用いて説明したステップS1~S10の処理が行われる。
【0047】
ステップS1にて、第2の規定時間が経過した場合、制御部621は、水位計430から通知された水位の値を取得する(ステップS21)。制御部621は、取得した水位値の単位時間当たりの変化量となる水位上昇速度を算出する(ステップS22)。制御部621は、算出した水位上昇速度とあらかじめ設定された閾値(速度閾値)とを比較する(ステップS23)。
【0048】
算出した水位上昇速度が速度閾値よりも小さな値である場合、制御部621は、凝集剤貯槽710から添加する凝集剤の添加量を変化させる際の下限値を下げる(ステップS24)。また、算出した水位上昇速度と速度閾値とが互いに同じ値である場合、制御部621は、凝集剤貯槽710から添加する凝集剤の添加量を変化させる際の下限値を維持する(ステップS25)。また、算出した水位上昇速度が速度閾値よりも大きな値である場合、制御部621は、凝集剤貯槽710から添加する凝集剤の添加量を変化させる際の下限値を上げる(ステップS26)。ステップS24,S25,S26それぞれの処理が行われた後、ステップS1の処理が行われる。例えば、許容上限水位を100%とした場合、水位上昇速度が10%/h以上であれば下限値を上げ、10から5%/hであれば下限値を維持し、5%/h未満であれば下限値を下げる制御などを行う。
【0049】
このように、本形態においては、制御装置601が、凝集剤を添加した被処理水内の凝集物の状態と、その後段に設けられた砂ろ過装置302の被処理水の水位の変化量とに基づいて、添加装置700が被処理水に添加する凝集剤の添加量を制御する。このとき、制御装置601が、撮像装置500を用いて撮像した画像に基づいて凝集物の状態(特徴量)を数値化し、被処理水の水質に基づいて算出された添加量を、凝集物の状態(特徴量)に応じて変化させていく。また、制御装置601が、砂ろ過装置302の被処理水の水位の変化量(上昇速度)に応じて、添加量を変化させる下限値を制御する。これにより、最適な添加量の凝集剤を添加することができる。特徴量に基づいた凝集剤添加量の制御に加えて、ろ過装置の被処理水の水位に基づいて凝集剤添加量の下限値を制御することで、よりろ過装置の閉塞等を回避し、水処理設備全体を安定運転することができる。このように、変動する原水に対し、ろ過装置のろ過能力の低下を抑制しつつ、凝集剤添加量を最適に制御することができる。これにより、水処理システム全体を安定運転することができ、さらに発生するコストを最適化できる。本形態のように重力ろ過器等、水頭差を利用して、ろ過装置に通水する場合は、ろ過装置の前後の圧力のろ過圧を用いて制御するよりも水位を用いて制御する方が望ましい。
(第4の実施の形態)
【0050】
図11は、本発明の水処理システムの第4の実施の形態を示す図である。本形態における水処理システムは
図11に示すように、原水槽120と、ポンプ200と、攪拌装置800と、ろ過膜300と、圧力センサ410,420と、撮像装置500と、制御装置600と、添加装置700と、凝集剤貯槽710とを有する。ポンプ200、ろ過膜300、圧力センサ410,420、撮像装置500、制御装置600、添加装置700および凝集剤貯槽710それぞれは、
図1に示した実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。
【0051】
原水槽120は、被処理水が貯留される水槽である。攪拌装置800は、ポンプ200を用いて原水槽120から吸い上げられ、添加装置700から凝集剤が添加された水を攪拌する。攪拌装置800の形状や構造は、水を攪拌できるものであれば良く、特に規定しない。攪拌装置800として、例えば、インラインミキサーやオリフィスプレート等が挙げられる。撮像装置500は、攪拌装置800が攪拌した水を撮像する。撮像装置500が撮像するポイントは、攪拌装置800内の水であっても良いし、攪拌装置800からろ過膜300までの流路(配管)を流れる水でも良いし、攪拌装置800とろ過膜300との間に水槽が設けられていれば当該水槽に貯留された水であっても良い。このとき、攪拌装置800や、流路、水槽は、水中にフロックが形成されるフロック形成手段となる。フロック形成における撹拌条件の指標の1つとして撹拌強度(撹拌G値)がある。撹拌G値は、一般に、以下に示す(式2)を用いて表される。被処理水への凝集剤の添加によるフロック形成において、撹拌強度(撹拌G値)が小さ過ぎるとフロックの成長が遅くなってしまう。一方、撹拌強度(撹拌G値)が大き過ぎるとせん断力によりフロックが破壊されてしまう。凝集剤が添加された被処理水を攪拌する撹拌強度は、例えば100~300/s程度にすれば良い。
【数2】
(式2)における各パラメータを以下に示す。
Ai:撹拌翼iの運動方向に直角な面積(m
2)
vi:撹拌翼iの平均速度(m/s)
ν:水の動粘性係数(m
2/s)(1.004×10
-6m
2/s)
V:反応槽容量(m
3)
C:撹拌翼の抵抗係数(-)(1.5)
【0052】
このように、本形態においては、制御装置600が、凝集剤を添加した被処理水内の凝集物の状態と、その後段に設けられたろ過膜300の前後の圧力の差分の変化量とに基づいて、添加装置700が被処理水に添加する凝集剤の添加量を制御する。このとき、制御装置600が、撮像装置500を用いて撮像した画像に基づいて凝集物の状態(特徴量)を数値化し、被処理水の水質に基づいて算出された添加量を、凝集物の状態(特徴量)に応じて変化させていく。また、制御装置600が、ろ過膜300の前後の圧力の差分の変化量(上昇速度)に応じて、添加量を変化させる下限値を制御する。特徴量に基づいた凝集剤添加量の制御に加えて、流量や圧力等の運転データに基づいて凝集剤添加量の下限値を制御することで、よりろ過装置の閉塞等を回避し、水処理設備全体を安定運転することができる。さらに、本形態においては、撮像装置500が撮像する被処理水は、凝集剤が添加されて攪拌された後の被処理水であれば良く、流路を流れるものや水槽に貯留されたものに限定されない。そのため、撮像のために被処理水を貯留しておく水槽等の設備を準備することなく、最適な添加量の凝集剤を添加することができる。
(第5の実施の形態)
【0053】
図12は、本発明の水処理システムの第5の実施の形態を示す図である。本形態における水処理システムは
図12に示すように、反応槽100と、凝集槽130と、浮上槽140と、中継槽110と、ポンプ200と、ろ過膜300と、圧力センサ410,420と、撮像装置500と、制御装置600と、添加装置700と、凝集剤貯槽710とを有する。反応槽100、ポンプ200、ろ過膜300、圧力センサ410,420、撮像装置500、制御装置600、添加装置700および凝集剤貯槽710それぞれは、
図1に示した第1の実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。中継槽110は、
図7に示した第2の実施の形態におけるものと同じものである。
【0054】
凝集槽130は、反応槽100で処理された被処理水が注入される水槽である。凝集槽130は、被処理水内のフロック形成を促すために設けられる。凝集槽130に貯留された被処理水には、例えばポリマーが注入される。浮上槽140は、凝集槽130で処理された被処理水が注入され、固液分離として被処理水の浮上分離を行う固液分離槽である。浮上槽140にて、処理水と浮上したスカム等の浮上物とに分離され、スカム等の浮上物は浮上槽140の外部へ排出される。また、浮上槽140にて処理された被処理水は中継槽110へ送液される。
【0055】
このように、本形態においては、制御装置600が、凝集剤を添加した被処理水内の凝集物の状態と、その後段に設けられたろ過膜300の前後の圧力の差分の変化量とに基づいて、添加装置700が被処理水に添加する凝集剤の添加量を制御する。このとき、制御装置600が、撮像装置500を用いて撮像した画像に基づいて凝集物の状態(特徴量)を数値化し、被処理水の水質に基づいて算出された添加量を、凝集物の状態(特徴量)に応じて変化させていく。また、制御装置600が、ろ過膜300の前後の圧力の差分の変化量(上昇速度)に応じて、添加量を変化させる下限値を制御する。特徴量に基づいた凝集剤添加量の制御に加えて、流量や圧力等の運転データに基づいて凝集剤添加量の下限値を制御することで、よりろ過装置の閉塞等を回避し、水処理設備全体を安定運転することができる。さらに、本形態においては、フロック形成を促すために凝集槽130と浮上槽140とを撮像装置500が凝集状態を撮像する反応槽100とろ過膜300との間に設ける。そのため、ろ過装置(ろ過膜300)をより安定的に運転させることができ、最適な添加量の凝集剤を添加することができる。なお、固液分離手段として浮上槽140の代わりに、固液分離として凝集沈殿を行う沈殿槽を用いても良い。また、固液分離手段は、
図7に示した第2の実施の形態における砂ろ過装置301の前段や、
図8に示した第3の実施の形態における砂ろ過装置302の前段、
図11に示した第4の実施の形態におけるろ過膜300の前段(撮像装置500の撮像ポイントよりも下流側)に設けても良い。固液分離手段をろ過装置の前段に設けることで、ろ過装置への閉塞物質による負荷を低減させることができ、ろ過装置をより安定して運用することができる。
(第6の実施の形態)
【0056】
図13は、本発明の水処理システムの第6の実施の形態を示す図である。本形態における水処理システムは
図13に示すように、反応槽100と、凝集槽130と、浮上槽140と、中継槽110と、ポンプ200,210と、ろ過膜300と、圧力センサ410,420と、撮像装置500と、制御装置600と、添加装置700と、凝集剤貯槽710と、処理水槽150と、流量計440とを有する。反応槽100、ポンプ200、ろ過膜300、圧力センサ410,420、撮像装置500、制御装置600、添加装置700および凝集剤貯槽710それぞれは、
図1に示した第1の実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。中継槽110は、
図7に示した第2の実施の形態におけるものと同じものである。凝集槽130および浮上槽140それぞれは、
図12に示した第5の実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。
【0057】
ろ過装置(ろ過膜300)をより安定的に運転するためには、ろ過膜300を逆洗する逆洗手段を設けても良い。処理水槽150には、ろ過膜300を透過した処理水が貯留される。流量計440は、ろ過膜300を透過して処理水槽150へ供給される処理水の流量を測定する。処理水槽150に貯留された処理水を、ポンプ210を用いて汲み上げ、薬品を添加(薬品添加逆洗)してろ過膜300の二次側から一次側へ通水させる。添加する薬品は、次亜塩素酸ナトリウム、苛性ソーダ、塩酸、シュウ酸等が好ましい。逆洗後の排水は系外へ排出しても良いし、水回収率の観点から反応槽100の前段に設けられた原水槽(不図示)へ戻しても良い。
【0058】
図14は、
図13に示した圧力センサ410が測定した圧力と圧力センサ420が測定した圧力とのろ過圧の時間的変化の一例を示す図である。
図14に示すように、採水工程が開始され、時間の経過とともにろ過膜300の一次側の圧力と二次側の圧力とのろ過圧が上昇していく。逆洗を行うことで、ろ過圧が一時的に下がるが、採水工程が再開されるとろ過圧がさらに上昇していく。採水工程の開始時(逆洗する前)のろ過圧と、逆洗の終了後の採水工程の開始時(逆洗の後)のろ過圧との差の単位時間当たりの変化量が第1の実施の形態でも説明したろ過圧上昇速度となる。
図14に示した例では、採水工程の開始時のろ過圧と、逆洗が終了した時間t1のときのろ過圧との変化の傾きがろ過圧上昇速度となる。このように、採水工程を行うことでろ過膜300の一次側の圧力と二次側の圧力とのろ過圧が上昇してしまっても、その後に逆洗を行うことでろ過圧を下げることができる。
【0059】
このように、本形態においては、制御装置600が、凝集剤を添加した被処理水内の凝集物の状態と、その後段に設けられたろ過膜300の前後の圧力の差分の変化量とに基づいて、添加装置700が被処理水に添加する凝集剤の添加量を制御する。このとき、制御装置600が、撮像装置500を用いて撮像した画像に基づいて凝集物の状態(特徴量)を数値化し、被処理水の水質に基づいて算出された添加量を、凝集物の状態(特徴量)に応じて変化させていく。また、制御装置600が、ろ過膜300の前後の圧力の差分の変化量(上昇速度)に応じて、添加量を変化させる下限値を制御する。特徴量に基づいた凝集剤添加量の制御に加えて、流量や圧力等の運転データに基づいて凝集剤添加量の下限値を制御することで、よりろ過装置の閉塞等を回避し、水処理設備全体を安定運転することができる。さらに、本形態においては、採水工程の後にろ過膜300の二次側から一次側へ薬品を添加した処理水を通水してろ過膜300を逆洗する。これにより、ろ過膜300の一次側の汚れを剥離し、ろ過膜300の閉塞を改善することができる。そのため、ろ過装置(ろ過膜300)をより安定的に運転させることができ、最適な添加量の凝集剤を添加することができる。
【0060】
本発明によれば、用水処理における台風等による急激な濁度上昇が発生した場合や、排水処理のような被処理水の水質変動が大きな場合であっても、最適な添加量の凝集剤を添加することができるという効果が得られる。
【0061】
以上、各構成要素に各機能(処理)それぞれを分担させて説明したが、この割り当ては上述したものに限定しない。また、構成要素の構成についても、上述した形態はあくまでも例であって、これに限定しない。また、上述した各実施の形態を任意の組み合わせで組み合わせても良い。
【0062】
上述した制御装置600,601それぞれが行う処理は、目的に応じてそれぞれ作製された論理回路で行うようにしても良い。制御装置としては、PLC(Programmable Logic Controller)等を用いると良い。また、処理内容を手順として記述したコンピュータプログラム(以下、プログラムと称する)を制御装置600,601それぞれにて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを制御装置600,601それぞれに読み込ませ、実行するものであっても良い。制御装置600,601それぞれにて読取可能な記録媒体とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)、Blu-ray(登録商標) Disc、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SDカードなどの移設可能な記録媒体の他、制御装置600,601それぞれに内蔵されたROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリやHDD(Hard Disc Drive)等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、制御装置600,601それぞれに設けられたCPUにて読み込まれ、CPUの制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。ここで、CPUは、プログラムが記録された記録媒体から読み込まれたプログラムを実行するコンピュータとして動作するものである。
【0063】
上記の実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1)被処理水に凝集剤を添加する添加手段と、
前記添加手段から前記凝集剤が添加された水中の凝集物の状態を撮像する撮像手段と、
前記添加手段から前記凝集剤が添加された水をろ過するろ過手段と、
前記ろ過手段の入口の圧力と、前記ろ過手段のろ過流量と、前記ろ過手段における水位と、の少なくとも1つを測定する測定手段と、
前記撮像手段が撮像した前記凝集物の状態と、前記測定手段が測定した値とに基づいて、前記添加手段が添加する前記凝集剤の添加量を制御する制御手段とを有する水処理システム。
(付記2)前記制御手段は、前記撮像手段が撮像した画像から、前記凝集物の状態として特徴量を算出する、付記1に記載の水処理システム。
(付記3)前記制御手段は、前記特徴量を前記凝集物のエッジピクセル数に基づいて算出する、付記2に記載の水処理システム。
(付記4)前記制御手段は、前記測定手段が測定した値の変化量に基づいて、前記添加手段が添加する前記凝集剤の添加量の下限値を制御する、付記1から3のいずれか1項に記載の水処理システム。
(付記5)前記添加手段は、前記凝集剤として無機凝集剤を添加する、付記1から4のいずれか1項に記載の水処理システム。
(付記6)前記被処理水が流入する水槽を有し、
前記添加手段は、前記水槽に流入された前記被処理水に前記凝集剤を添加する、付記1から5のいずれか1項に記載の水処理システム。
(付記7)前記ろ過手段を逆洗する逆洗手段を有し、
前記制御手段は、前記逆洗手段を用いて前記ろ過手段を逆洗する前と後とにおいて、前記測定手段が測定した値の変化量に基づいて、前記添加手段が添加する前記凝集剤の添加量の下限値を制御する、付記1から6のいずれか1項に記載の水処理システム。
(付記8)前記添加手段から前記凝集剤が添加された水について固液分離を行う固液分離手段を前記ろ過手段の前段に有する、付記1から7のいずれか1項に記載の水処理システム。
(付記9)添加手段から凝集剤が添加された水中の凝集物の状態を撮像した画像に基づいて、前記凝集物の状態を数値化する画像処理部と、
前記画像処理部が数値化した前記凝集物の状態、および前記凝集剤が添加された水をろ過するろ過手段の入口の圧力と、前記ろ過手段のろ過流量と、前記ろ過手段における水位との少なくとも1つに基づいて、前記添加手段が添加する前記凝集剤の添加量を制御する制御部とを有する制御装置。
(付記10)添加手段から凝集剤が添加された水中の凝集物の状態を撮像した画像に基づいて、前記凝集物の状態を数値化する処理と、
前記凝集剤が添加された水をろ過するろ過手段の入口の圧力と、前記ろ過手段のろ過流量と、前記ろ過手段における水位と、の少なくとも1つを取得する処理と、
前記数値化した前記凝集物の状態と前記取得した値と基づいて、前記添加手段が添加する前記凝集剤の添加量を制御する処理とを行う水処理方法。
(付記11)コンピュータに、
添加手段から凝集剤が添加された水中の凝集物の状態を撮像した画像に基づいて、前記凝集物の状態を数値化する手順と、
前記凝集剤が添加された水をろ過するろ過手段の入口の圧力と、前記ろ過手段のろ過流量と、前記ろ過手段における水位と、の少なくとも1つを取得する手順と、
前記数値化した前記凝集物の状態と前記取得した値と基づいて、前記添加手段が添加する前記凝集剤の添加量を制御する手順とを実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0064】
100 反応槽
101 攪拌機
110 中継槽
120 原水槽
130 凝集槽
140 浮上槽
150 処理水槽
200,210 ポンプ
300 ろ過膜
301,302 砂ろ過装置
410,420 圧力センサ
430 水位計
440 流量計
500 撮像装置
600,601 制御装置
610 画像処理部
620,621 制御部
700 添加装置
710 凝集剤貯槽
800 攪拌装置