(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062272
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】マクラギ吊上げ装置
(51)【国際特許分類】
E01B 27/06 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
E01B27/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170152
(22)【出願日】2022-10-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和3年11月12日に大鉄工業株式会社のホームページにて本願発明の実施品である「まくらぎ吊上げ器」をカタログ(PDF)により公表。 (2)令和3年11月12日に大鉄工業株式会社のホームページにて本願発明の実施品である「まくらぎ吊上げ器」を動画(映像)により公表。 (3)令和3年11月24日(水)~26日(金)に幕張メッセで開催された「第7回鉄道技術展2021」にて本願発明の実施品である「まくらぎ吊上げ器」をカタログ(PDF)と共に発表。 (4)令和4年5月25日(水)~27日(金)にインテックス大阪で開催された「鉄道技術展・大阪」にて本願発明の実施品である「まくらぎ吊上げ器」をと共に発表。 (5)令和4年7月11日(月)に紀伊本線の和歌山県西牟婁郡白浜町椿付近にて本願発明の実施品である「まくらぎ吊上げ器」の機能試験を行い公表。
(71)【出願人】
【識別番号】390007607
【氏名又は名称】大鉄工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390041379
【氏名又は名称】株式会社山崎歯車製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】坂本 士
(72)【発明者】
【氏名】山崎 清水
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057BA18
(57)【要約】
【課題】マクラギを吊り上げてマクラギを交換する際の作業の手間や時間を削減する。
【解決手段】下端部に左右のレール2上をそれぞれ走行する車輪が設けられた左右の脚部11,11と、左右の脚部11,11の上端部間を連結するように設けられた吊下げ梁12と、吊下げ梁12に設けられ、ワイヤー14cにマクラギ3の両側を吊る天秤式マクラギ吊りバー13が設けられた吊上げ機14とを備え、左右の脚部11,11には、それぞれ、天秤式マクラギ吊りバー13の両端部の上下方向の上昇をガイドするマクラギ吊上げガイド部16,16を設ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端部に左右のレール上をそれぞれ走行する車輪が設けられた左右の脚部と、
前記左右の脚部の上端部間を連結するように設けられた吊下げ梁と、
前記吊下げ梁に設けられ、ワイヤーやチェーン等の巻上げ部材の下端部にマクラギの両側を吊る天秤式マクラギ吊りバーが設けられた吊上げ機とを備え、
前記天秤式マクラギ吊りバーの両端部には、それぞれ、被ガイド部が設けられている一方、
前記左右の脚部には、それぞれ、前記天秤式マクラギ吊りバーの両端部の前記被ガイド部が嵌り、マクラギの吊上げをガイドするマクラギ吊上げガイド部が設けられていることを特徴とするマクラギ吊上げ装置。
【請求項2】
請求項1記載のマクラギ吊上げ装置において、
前記天秤式マクラギ吊りバー両端部の被ガイド部は、それぞれ、断面形状が方形状形成されている一方、
前記マクラギ吊上げガイド部は、それぞれ、前記天秤式マクラギ吊りバーの両端部それぞれの前記被ガイド部の幅とほぼ同じ間隔を空けた一対の側板部を有し、その一対の側板部間に前記被ガイド部が嵌って前記被ガイド部の上昇を案内する被ガイド部幅上昇ガイド部と、
前記被ガイド部幅上昇ガイド部の下方に設けられ、前記被ガイド部幅上昇ガイド部の一対の側板部に連続した一対の側板部を有し、その一対の側板部間の間隔は、下方に向かうに従って前記被ガイド部の幅ほぼ同じ間隔から徐々に間隔が広がることにより、前記天秤式マクラギ吊りバーが下方に位置する程、前記被ガイド部を入れ易くして、前記天秤式マクラギ吊りバーが上昇すると前記被ガイド部を前記被ガイド部幅上昇ガイド部に案内する被ガイド部挿入ガイド部とを有することを特徴とするマクラギ吊上げ装置。
【請求項3】
請求項1記載のマクラギ吊上げ装置において、
レールは、マクラギに設けられたショルダーの線バネ孔に通した線バネによってインシュレーターを介し固定する構造で、レールとショルダーとの間の間隙には前記インシュレーターの間隙保持部が挿入されており、
前記天秤式マクラギ吊りバーの両側には、それぞれ、前記被ガイド部よりも内側に吊り材を介して前記ショルダーの線バネ孔に挿入されるショルダー挿入部材と、前記ショルダー挿入部材に嵌めて設けられ、レールとショルダーとの間に前記インシュレーターの間隙保持部を挿入するための前記間隙を確保するインシュレーター用間隙確保部材とが設けられていることを特徴とするマクラギ吊上げ装置。
【請求項4】
請求項3記載のマクラギ吊上げ装置において、
前記インシュレーター用間隙確保部材は、
前記ショルダー挿入部材が挿入されるショルダー挿入部材嵌合孔が開けられていると共に、前記インシュレーターの間隙保持部の幅に応じて複数の大きさものがあり、レールを固定される際に使用される前記インシュレーターの間隙保持部の幅に応じて大きさを選択して前記ショルダー挿入部材に挿入して使用されることを特徴とするマクラギ吊上げ装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれかの一の請求項に記載のマクラギ吊上げ装置において、
前記吊上げ機は、前記吊下げ梁の長手方向の一方の脚部側に設けられ、前記吊下げ梁の長手方向の中間点には、前記吊上げ機によって吊り上げられる巻上げ部材の方向を下方へ変える滑車が設けられていることを特徴とするマクラギ吊上げ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道のレールを支えるマクラギを吊り上げるマクラギ吊上げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道のレールはマクラギの上に敷設されているが、マクラギは長年の使用によって経年変化をするため、一定期間毎に新しいものと交換するが、マクラギの重量は1本あたり100kg以上となるため、例えば、レール上を走行可能な車輪が下端部に設けられた左右の脚部の上端部に吊下げ梁を設け、その吊下げ梁にチェーンブロック等の吊上げ機を設け、その吊上げ機によって昇降するチェーンによってマクラギを吊り上げるマクラギ吊上げ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のマクラギ吊上げ装置では、吊上げ機によって昇降する1本のチェーン先端に長尺の天秤式マクラギ吊りバー(特許文献1では「支持杆」)を設け、その天秤式マクラギ吊りバーの両端部に設けたフックによってマクラギを吊り上げ、マクラギとレールとをレール締結装置によって締結するため、マクラギが回転したり揺れる場合があり、レールに対するマクラギの位置調整作業が必要であり、マクラギの交換作業に手間と時間がかかるという問題があった。
【0005】
特に、直線部分のレールのマクラギの場合には、マクラギはレールに対して直角に設ける必要がある一方、カーブ部分のレールのマクラギの場合、内軌レールにいわゆるスラックを設ける(軌間を拡大する)必要があるため、レールに対するマクラギの位置調整作業の負担が大きく、マクラギの交換作業に手間と時間を要していた。
【0006】
そこで、本発明はこのような種々の問題点に着目してなされたもので、マクラギを吊り上げてマクラギを交換する際の作業の手間や時間を削減することができるマクラギ吊上げ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係るマクラギ吊上げ装置は、下端部に左右のレール上をそれぞれ走行する車輪が設けられた左右の脚部と、前記左右の脚部の上端部間を連結するように設けられた吊下げ梁と、前記吊下げ梁に設けられ、ワイヤーやチェーン等の巻上げ部材の下端部にマクラギの両側を吊る天秤式マクラギ吊りバーが設けられた吊上げ機とを備え、前記天秤式マクラギ吊りバーの両端部には、それぞれ、被ガイド部が設けられている一方、前記左右の脚部には、それぞれ、前記天秤式マクラギ吊りバーの両端部の前記被ガイド部が嵌り、マクラギの吊上げをガイドするマクラギ吊上げガイド部が設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係るマクラギ吊上げ装置では、前記天秤式マクラギ吊りバー両端部の被ガイド部は、それぞれ、断面形状が方形状形成されている一方、前記マクラギ吊上げガイド部は、それぞれ、前記天秤式マクラギ吊りバーの両端部それぞれの前記被ガイド部の幅とほぼ同じ間隔を空けた一対の側板部を有し、その一対の側板部間に前記被ガイド部が嵌って前記被ガイド部の上昇を案内する被ガイド部幅上昇ガイド部と、前記被ガイド部幅上昇ガイド部の下方に設けられ、前記被ガイド部幅上昇ガイド部の一対の側板部に連続した一対の側板部を有し、その一対の側板部間の間隔は、下方に向かうに従って前記被ガイド部の幅ほぼ同じ間隔から徐々に間隔が広がることにより、前記天秤式マクラギ吊りバーが下方に位置する程、前記被ガイド部を入れ易くして、前記天秤式マクラギ吊りバーが上昇すると前記被ガイド部を前記被ガイド部幅上昇ガイド部に案内する被ガイド部挿入ガイド部とを有することも特徴とする。
また、本発明に係るマクラギ吊上げ装置では、レールは、マクラギに設けられたショルダーの線バネ孔に通した線バネによってインシュレーターを介し固定する構造で、レールとショルダーとの間の間隙には前記インシュレーターの間隙保持部が挿入されており、前記天秤式マクラギ吊りバーの両側には、それぞれ、前記被ガイド部よりも内側に吊り材を介して前記ショルダーの線バネ孔に挿入されるショルダー挿入部材と、前記ショルダー挿入部材に嵌めて設けられ、レールとショルダーとの間に前記インシュレーターの間隙保持部を挿入するための前記間隙を確保するインシュレーター用間隙確保部材とが設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係るマクラギ吊上げ装置では、前記インシュレーター用間隙確保部材は、前記ショルダー挿入部材が挿入されるショルダー挿入部材嵌合孔が開けられていると共に、前記インシュレーターの間隙保持部の幅に応じて複数の大きさものがあり、レールを固定される際に使用される前記インシュレーターの間隙保持部の幅に応じて大きさを選択して前記ショルダー挿入部材に挿入して使用されることも特徴とする。
また、本発明に係るマクラギ吊上げ装置では、前記吊上げ機は、前記吊下げ梁の長手方向の一方の脚部側に設けられ、前記吊下げ梁の長手方向の中間点には、前記吊上げ機によって吊り上げられる巻上げ部材の方向を下方へ変える滑車が設けられていることも特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るマクラギ吊上げ装置は、左右の脚部と、左右の脚部の上端部間を連結するように設けた吊下げ梁と、その吊下げ梁に設け、マクラギの両側を吊る天秤式マクラギ吊りバーが設けられた吊上げ機とを備え、左右の脚部には、それぞれ、天秤式マクラギ吊りバーの両端部の上下方向の上昇をガイドするマクラギ吊上げガイド部を設けている。
そのため、マクラギの交換作業の手間や時間を削減することができ、マクラギ交換時における吊上げ作業の簡略化および省人化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る実施形態のマクラギ吊上げ装置をレール上に設置した状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る実施形態のマクラギ吊上げ装置をレール上に設置した状態を示す正面図である。
【
図3】
図2におけるA部分の要部拡大正面図である。
【
図4】本発明に係る実施形態のマクラギ吊上げ装置をレール上に設置した状態を示す背面図である。
【
図5】
図4におけるB部分の要部拡大背面図である。
【
図6】本発明に係る実施形態のマクラギ吊上げ装置をレール上に設置した状態を示す平面図である。
【
図8】本発明に係る実施形態のマクラギ吊上げ装置をレール上に設置した状態を示す右側面図である。
【
図11】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態のマクラギ吊上げ装置の天秤式マクラギ吊りバーの両端部のチェーン下端に設けるマクラギ吊り金具とショルダー挿入部材とインシュレーター用間隙確保部材を組合せた状態を示す斜視図、ショルダー挿入部材からインシュレーター用間隙確保部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図12】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態のマクラギ吊上げ装置の天秤式マクラギ吊りバーの両端部のチェーン下端に設けるマクラギ吊り金具とショルダー挿入部材とインシュレーター用間隙確保部材を組合せた状態を示す正面図、ショルダー挿入部材からインシュレーター用間隙確保部材を取り外した状態を示す正面図である。
【
図13】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態のマクラギ吊上げ装置の天秤式マクラギ吊りバーの両端部のチェーン下端に設けるマクラギ吊り金具とショルダー挿入部材とインシュレーター用間隙確保部材を組合せた状態を示す平面図、右側面図である。
【
図14】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態のマクラギ吊上げ装置の天秤式マクラギ吊りバーの両端部のチェーン下端に設けたショルダー挿入部材をショルダーの線バネ孔に挿入してマクラギを吊り上げているレール締結装置近傍の状態を示す要部平面図、要部斜視図である。
【
図15】本発明に係る実施形態のマクラギ吊上げ装置の天秤式マクラギ吊りバーの両端部のチェーン下端に設けたショルダー挿入部材をショルダーの線バネ孔に挿入してマクラギを吊り上げているレール締結装置近傍の状態を示す要部正面図である。
【
図16】(a)~(c)それぞれ本発明に係る実施形態のマクラギ吊上げ装置で吊上げるマクラギのレール締結装置で使用するインシュレーターの平面図、インシュレーターの間隙保持部の幅および色の種類を示す図(表)、インシュレーター用間隙確保部材の一例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明に係るマクラギ吊上げ装置の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、下記に説明する実施形態は、あくまで、本発明の一例であり、本発明は、下記に説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で適宜改変可能である。
【0011】
<実施形態のマクラギ吊上げ装置1の構成>
本発明に係る実施形態のマクラギ吊上げ装置1は、
図1~
図10に示すように左右の脚部11,11と、吊下げ梁12と、天秤式マクラギ吊りバー13と、吊上げ機14と、滑車15と、マクラギ吊上げガイド部16等を備え、マクラギ3を吊り上げ可能に構成されている。尚、実施形態のマクラギ吊上げ装置1の構成を説明する前に、この実施形態で吊上げて交換するマクラギ3について説明する。
【0012】
(マクラギ3)
実施形態のマクラギ吊上げ装置1によって吊上げて交換するマクラギ3は、PC(プレストレスト・コンクリート)マクラギと呼ばれる高張力のPC鋼材を用いてコンクリートに予め圧縮力を与えたコンクリート製のマクラギである。このようなマクラギ3には軌間だけ空けて左右のレール2,2毎にレール締結装置4が設けられており、左右のレール締結装置4,4は、例えば、それぞれレール2の底部の幅だけ離間したショルダー41,41それぞれに設けた線バネ孔41aに“eクリップ”等と呼ばれる線バネ42を通してインシュレーター43を介してレール2底部を緊結(固定)するように構成されている。ただし、本発明に係るマクラギ吊上げ装置が吊上げるマクラギ3は、線バネ42によってレール2を固定するマクラギ3に限定されるものではなく、例えば、いわゆるファストクリップ(図示せず。)等によってレール2を固定する構造のマクラギ3でも勿論良く、レール2の固定形式に限定されるものではない。
【0013】
(脚部11)
左右の脚部11,11は、それぞれ、下端部にレール2上を走行する前輪11a1が前輪支持部11a2に回転可能に設けられた前側脚部11aと、下端部にレール2上を走行する後輪11b1が後輪支持部11b2に回転可能に設けられた後側脚部11bと、前側脚部11aの下方内側面と後側脚部11bの下方内側面とを水平に連結するように両端部が溶接された第1連結バー11cと、第1連結バー11cよりも高い位置で前側脚部11a内側面と後側脚部11b内側面とを水平に連結するように両端部が溶接された第1連結バー11cよりも長さが短い第2連結バー11dと、前側脚部11aの上端部と後側脚部11bの上端部とが溶接等によって下側面に第2連結バー11dの長さより短い間隔で接合された上部連結バー11eとを有し、側面視、台形状で、かつ、上部連結バー11eの先端部が前側脚部11aよりも前方に突出した形状で構成されている。
【0014】
前側脚部11aおよび後側脚部11bにおける第2連結バー11dとの接合部の少し上方には、線バネ42を緊結する電動ドライバー(図示せず。)等の工具を置くための工具置き台11a3,11b3が設けられている。
【0015】
第1連結バー11cの長手方向の中間点と、第2連結バー11dの長手方向と中間点とには、後述するマクラギ吊上げガイド部16が上下方向である鉛直方向に延びる溶接等されて設けられている。
【0016】
尚、後輪支持部11b2には、後輪11b1にブレーキをかける周知のブレーキ部11fが設けられている。また、上部連結バー11eの先端部には、マクラギ3交換の際に使用する工具等を吊下げる丸環11e1が設けられている一方、上部連結バー11eの後端部には、作業員が掴むハンドル11e2が設けられている。
【0017】
(吊下げ梁12)
吊下げ梁12は、左右の脚部11,11それぞれの上端部に設けられた上部連結バー11e,11eの上側面に溶接等して、左右の脚部11,11それぞれの上端部間を連結するように所定間隔を空けて設けた2本の長尺の鋼材2a,2aにより構成されており、長手方向の一方の脚部11側には吊上げ機14が設けられる一方、長手方向の中間点には滑車15が設けられ、滑車15において吊上げ機14が巻き上げる巻上げ部材としてのワイヤー14cの方向を水平方向から鉛直方向に変えるように構成している。
【0018】
(天秤式マクラギ吊りバー13)
天秤式マクラギ吊りバー13は、軌間より少し短い長さで、断面が正方形状の鋼管からなるマクラギ吊りバー本体13aの上下側面にそれぞれ補強用の上側補強フランジ板13a1と下側補強フランジ板13a2が溶接等されて構成されており、その長手方向の中間点には、吊上げ機14が巻き上げる巻上げ部材としてのワイヤー14c下端のフック14dが掛止されるU字フック13bが溶接等で設けられている。
【0019】
また、天秤式マクラギ吊りバー13の両端部には、左右それぞれの脚部11,11に設けた上下方向に延びるマクラギ吊上げガイド部16,16に上下方向に案内される断面形状が正方形状の被ガイド部13c,13cが設けられている一方、被ガイド部13c,13cよりも内側には吊り材であるチェーン13d1が下端部に設けられたチェーン吊下げ部13d,13dが設けられており、チェーン13d1,13d1にはマクラギ吊り金具13e,13eと、ショルダー挿入部材13f,13fと、インシュレーター用間隙確保部材13g,13g等が設けられている。
【0020】
チェーン吊下げ部13d,13dは、断面正方形状の被ガイド部13c,13cの4面を囲うように設けられ、被ガイド部13c,13cの4面を囲うと、マクラギ吊上げガイド部16,16に一対の側面に当接する。
【0021】
マクラギ吊り金具13e,13eは、それぞれ、チェーン13d1の下端部が連結される連結ピン13e11が設けられた水平部13e1,13e1と、その水平部13e1,13e1の反対側から下方に延びる鉛直部13e2,13e2とで正面視、L字形状に形成されており、鉛直部13e2,13e2の下端部にはショルダー挿入部材13f,13fが水平部13e1,13e1との間に間隔を空けて平行に延びるように取り付けられている。
【0022】
ショルダー挿入部材13f,13fは、ショルダー41において線バネ42が挿入される線バネ孔41aに挿入され、ショルダー41が固定されているマクラギ3を引掛けるフックの機能を有する部材であって、線バネ孔41aの内径よりも外径が大きく線バネ孔41aに挿入されないショルダー挿入部材基部13f1,13f1と、ショルダー挿入部材基部13f1,13f1に連続して設けられ、線バネ孔41aに挿入される線バネ孔挿入部13f2,13f2とで構成される。
【0023】
インシュレーター用間隙確保部材13gは、
図11~
図13等に示すようにショルダー挿入部材13fに嵌めて使用され、レール2とショルダー41との間にインシュレーター43の間隙保持部43aを挿入するための間隙を確保する部材で、ショルダー挿入部材13fのショルダー挿入部材基部13f1(
図12(a),(b)参照。)の外径とほぼ同じでショルダー挿入部材基部13f1が挿入されて嵌合するショルダー挿入部材嵌合孔13g1と、マクラギ吊り金具13eの水平部13e1を通す十字形状の吊り金具水平部通し凹溝13g2が設けられている。
【0024】
インシュレーター用間隙確保部材13gは、インシュレーター43の間隙保持部43aの幅D(
図16(a)参照。)に応じて複数の大きさものがある。本実施形態では、インシュレーター43の間隙保持部43aの幅Dとして、
図16(b)に示すように「インシュレーターNo.」が“0”の8mm~“5”の13mmの6種類のインシュレーター43を用意しており、それぞれ、青色~黄色の色を付して区別している。
【0025】
そのため、インシュレーター用間隙確保部材13gは、
図16(c)に示すようにショルダー挿入部材13fが挿入されるショルダー挿入部材嵌合孔13g1の中心に対して、インシュレーター43の間隙保持部43aの幅D(
図16(a)参照。)に応じてインシュレーター用間隙確保部材13gの幅Lを変えると共に、「インシュレーターNo.」に応じた番号も左右に刻印して複数種類用意している。尚、
図16(c)に示すインシュレーター用間隙確保部材13gは、幅L0側は「インシュレーターNo.」が“0”の8mm、幅L3側は「インシュレーターNo.」が“3”の11mmのインシュレーター43に対応しているので、このインシュレーター用間隙確保部材13gを
図15に示すように使用すると、レール2の軌間内側では8mm、軌間外側では13mmのインシュレーター43の間隙を予め保持することができる。
【0026】
(吊上げ機14)
吊上げ機14は、吊下げ梁12の長手方向の一方の脚部11側に固定されており、リール14aの回転ハンドル14bを作業員が掴んで回転させることによりリール14aに巻付けられた巻上げ部材としてのワイヤー14cを上昇させ、ワイヤー14c下端部に設けられたフック14dを天秤式マクラギ吊りバー13のU字フック13bに掛止し、天秤式マクラギ吊りバー13を介しマクラギ3を吊り上げように構成した手動ウインチである。
【0027】
尚、吊上げ機14は、手動でワイヤー14cを巻き上げる手動ウインチに限らず、電動でワイヤー14cを巻き上げる手電動ウインチでも良いし、さらには巻上げ部材としてワイヤー14cではなくチェーン等を使用しても良い。そのため、チェーンを巻上げ部材として使用する場合は、吊上げ機14はチェーンブロック等になる。
【0028】
(滑車15)
滑車15は、巻上げ機14のリール14aが吊下げ梁12の一方側端部に設けているため、ワイヤー14cを吊下げ梁12の長手方向の中間点から下方へ下ろすため、ワイヤー14cの方向を下方へ変えるもので、吊下げ梁12の長手方向の中間点に設けている。
【0029】
(マクラギ吊上げガイド部16)
マクラギ吊上げガイド部16は、脚部11の第1連結バー11cと第2連結バー11dの中間点を連結して上下方向に延びるように設けられ、天秤式マクラギ吊りバー13両端部にそれぞれ設けた断面正方形状の被ガイド部13c,13がそれぞれ嵌って天秤式マクラギ吊りバー13の吊上げを案内するガイド部分で、被ガイド部幅上昇ガイド部16aと、被ガイド部挿入ガイド部16bとを有する。
【0030】
被ガイド部幅上昇ガイド部16aは、背板部16a1とその背板部16a1の両側から90度折り曲げて設けられた一対の側板部16a2,16a2とを有し、背板部16a1の幅である一対の側板部16a2,16a2間の間隔W1は、被ガイド部13c,13cの幅W2とほぼ同じか僅かに大きくして、その一対の側板部16a2,16a2間に被ガイド部13c,13cが嵌って被ガイド部13c,13cの上昇を案内するように構成されている。
【0031】
被ガイド部挿入ガイド部16bは、被ガイド部幅上昇ガイド部16aの下方に設けられ、被ガイド部幅上昇ガイド部16aの背板部16a1に連続し、下方に向かうに従い幅広になる台形状の背板部16b1と、被ガイド部幅上昇ガイド部16aの一対の側板部16a2,16a2に連続した一対の側板部16a2,16a2を有し、その一対の側板部16a2,16a2間の間隔は下方に向かうに従って被ガイド部13c,13cの幅W1から徐々に間隔が広がることにより、天秤式マクラギ吊りバー13が下方に位置する程、被ガイド部13c,13cを入れ易くして、天秤式マクラギ吊りバー13が上昇すると被ガイド部13c,13cを被ガイド部幅上昇ガイド部16aに案内して作業性を向上させている。
【0032】
<本発明に係る実施形態のマクラギ吊上げ装置の動作>
次に、以上のように構成された本発明に係る実施形態のマクラギ吊上げ装置1の動作について説明する。
【0033】
(交換すべきマクラギ3の位置まで移動)
本発明に係る実施形態のマクラギ吊上げ装置1の場合、左右両側の脚部11,11には、それぞれ、前輪11a1と後輪11b1が設けられているため、作業員は左右両側の脚部11,11それぞれに設けられたハンドル11e2を掴んでマクラギ吊上げ装置1を押しレール2,2上を走行して、交換すべきマクラギ3の位置まで移動する。
【0034】
尚、本発明に係る実施形態のマクラギ吊上げ装置1の場合、吊上げ機14のリール14aは、吊下げ梁12の長手方向の一方の脚部11側に設けられているため、吊下げ梁12の長手方向の中間点にチェーンブロック等の吊上げ機を設けた場合と異なり、左右の脚部11,11それぞれ側の作業員が2人で済ませる事が可能となり、マクラギ3交換の際の作業効率を向上させることができる。
【0035】
(新しいマクラギ3の吊上げ)
交換すべきマクラギ3の位置に到達すると、左右の脚部11,11の内の一方側の作業員は、ショルダー挿入部材13fをマクラギ3に固定されたショルダー41の線バネ孔41aに挿入し、マクラギ3の両側をチェーン13d1,13d1等を介し天秤式マクラギ吊りバー13の両側に引掛け、他方側の作業員が吊上げ機14のハンドル14bを回転させ、マクラギ3を吊り上げる。
【0036】
その際、上述したように、吊上げ機14のリール14aは、吊下げ梁12の長手方向の一方の脚部11側に設けられているため、吊下げ梁12の中間点まで移動しないでも吊上げ機14のリール14aを操作することが可能となり、吊下げ梁12の中間点にチェーンブロック等の吊上げ機14が設けられていた場合と比較して作業効率を向上させることが出来る。
【0037】
また、マクラギ3を吊り上げる際、天秤式マクラギ吊りバー13の両端部に設けた被ガイド部13c,13cを左右の脚部11,11に設けられた鉛直方向に延びるマクラギ吊上げガイド部16によってガイドさせるため、天秤式マクラギ吊りバー13を1本のワイヤー14cによって天秤式マクラギ吊りバー13を介しマクラギ3を吊り上げる際、作業員がマクラギ3を押えていなくてもマクラギ3を回転させずに吊上げることが可能となり、この点でもマクラギ交換の際の作業効率を向上させることが出来る。
【0038】
特に、本実施形態のマクラギ吊上げガイド部16は、一対の側板部16a2,16a2間の間隔W1が被ガイド部13c,13cの幅W2とほぼ同じか僅かに大きく被ガイド部13c,13cの上昇を案内する被ガイド部幅上昇ガイド部16aを有すると共に、その下方に被ガイド部幅上昇ガイド部16aの側板部16a2,16a2間の間隔が下方に向かうに従って徐々に広がる被ガイド部挿入ガイド部16bを設けているため、天秤式マクラギ吊りバー13が重量のあるマクラギ3を吊り上げている場合でも天秤式マクラギ吊りバー13両端部の被ガイド部13c,13cをマクラギ吊上げガイド部16,16に容易に挿入してその上昇をガイドさせることができるので、この点でもマクラギ交換の際の作業効率を向上させることが出来る。
【0039】
尚、ショルダー挿入部材13fをマクラギ3に固定されたショルダー41の線バネ孔41aに挿入した際、ショルダー挿入部材13fにはレール2を固定される際に使用されるインシュレーター43の間隙保持部43aの幅D(
図16(a)参照。)に応じた幅のインシュレーター用間隙確保部材13gが嵌合して設けられている。
【0040】
(ショルダー挿入部材13fの挿入)
ショルダー挿入部材13fをマクラギ3に固定されたショルダー41の線バネ孔41aに挿入してマクラギ3を引掛けて吊り上げている際、ショルダー挿入部材13fにはレール2を固定される際に使用されるインシュレーター43の間隙保持部43aの幅D(
図16(a)参照。)に応じた幅のインシュレーター用間隙確保部材13gが嵌合して設けられているため、レール2の底部とショルダー41との間にインシュレーター43を挿入するための間隙が確保されている。
【0041】
そのため、新しいマクラギ3を吊り上げてレール2の底面に当接すると、作業員はインシュレーター用間隙確保部材13gによってレール2の底部とショルダー41との間に確保された間隙に基づいてレール2の内側と外側とでそれぞれインシュレーター43を挿入する。
【0042】
これにより、インシュレーター用間隙確保部材13gによってレール2の底部とショルダー41との間にインシュレーター43挿入用の間隙が確保され、マクラギ3におけるレール2底部の位置を決めることができるため、レール2の内側と外側とでインシュレーター43の挿入作業を簡略化することができる。
【0043】
尚、
図15では、左右の幅が「インシュレーターNo.」“3”と“0”の11mm、8mmであるインシュレーター用間隙確保部材13gを使用しているため、レール2の軌間内側では8mm、軌間外側では13mmのインシュレーター43の間隙を予め保持しているため、間隙保持部43aの幅D(
図16(a)参照。)が8mmと、13mmのインシュレーター43をそれぞれレール2の底部とショルダー41との間に挿入することができる。
【0044】
(レール2の外側とマクラギ3との締結)
レール2の内側と外側とでインシュレーター43の挿入作業が完了すると、作業員は、マクラギ3の両端部においてショルダー41の線バネ孔41aにショルダー挿入部材13fを挿入していないレール2の外側からショルダー41の線バネ孔41aに線バネ42を挿入してレール2とマクラギ3を締結する。
【0045】
(ショルダー挿入部材13fの取外しおよびマクラギ吊上げ装置1の退避)
レール2の外側で新しいマクラギ3との締結が完了すると、一方の作業員が吊上げ機14のリール14aのハンドル14bを逆回転させて、そのマクラギ3を吊っていた天秤式マクラギ吊りバー13のチェーン13d1や吊上げ機14のワイヤー14c等の張力を緩ませる。
【0046】
マクラギ3を吊っていた天秤式マクラギ吊りバー13のチェーン13d1や吊上げ機14のワイヤー14c等の張力が緩むと、例えば、他方の作業員は、レール2内側のショルダー41の線バネ孔41aに挿入していたショルダー挿入部材13fをその線バネ孔41aから取り外し、実施形態のマクラギ吊上げ装置1を引く等して、そのマクラギ3からマクラギ吊上げ装置1を退避させる。
【0047】
(レール2の内側とマクラギ3との締結)
レール2内側のショルダー41の線バネ孔41aからショルダー挿入部材13fが取り外されると、左右両側の作業員はそれぞれ左右のレール2において内側のショルダー41の線バネ孔41aに線バネ42を挿入して、左右両側のレール2の内側および外側におけるマクラギ3への締結が完了する。
【0048】
(次のマクラギ3へ移動とマクラギ3との締結)
レール2の両側におけるマクラギ3への締結が完了すると、左右両側の作業員はそれぞれ左右両側の脚部11,11それぞれに設けられたハンドル11e2,11e2を掴んでマクラギ吊上げ装置1を押してレール2,2上を走行し、次の交換すべきマクラギ3の位置まで移動する。
【0049】
<本発明に係る実施形態のマクラギ吊上げ装置1のまとめ>
以上説明したように本発明に係る実施形態のマクラギ吊上げ装置1は、左右の脚部11,11と、左右の脚部11,11の上端部間を連結するように設けた吊下げ梁12と、その吊下げ梁12に設け、マクラギ3の両側を吊る天秤式マクラギ吊りバー13が設けられた吊上げ機14とを備え、左右の脚部11,11には、それぞれ、天秤式マクラギ吊りバー13の両端部の被ガイド部13c,13cが嵌って上下方向の上昇をガイドするマクラギ吊上げガイド部16,16を設けている。
【0050】
そのため、マクラギ3を吊り上げて交換する際、マクラギ3の両端部を吊っている天秤式マクラギ吊りバー13両端部の被ガイド部13c,13cが左右の脚部11,11それぞれのマクラギ吊上げガイド部16,16によって案内され、マクラギ3の回転を抑制することができるので、マクラギ3の交換作業の手間や時間を削減することができ、マクラギ交換時における吊上げ作業の簡略化および省人化を実現することができる。
【0051】
また、本発明に係る実施形態のマクラギ吊上げ装置1では、左右の脚部11,11は、それぞれ、下端部に前輪11a1が設けられた前側脚部11aと、下端部に後輪11b1が設けられた後側脚部11bと、前側脚部11aの下方と後側脚部11bの下方とを水平に連結するように設けられた第1連結バー11cと、第1連結バー11cよりも高い位置で前側脚部11aと後側脚部11bとを水平に連結するように設けられた第2連結バー11dとを有し、マクラギ吊上げガイド部16は、第1連結バー11cの中間点と第2連結バー11dの中間点とを連結するように設けている。
【0052】
そのため、マクラギ3は、マクラギ吊上げガイド部16,16によって左右のレール2,2に対し確実に直角の角度で吊上げることができるので、この点でもマクラギ3の交換作業の手間や時間を削減することができ、マクラギ交換時における吊上げ作業の簡略化および省人化を実現することができる。
【0053】
また、本発明に係る実施形態のマクラギ吊上げ装置1では、天秤式マクラギ吊りバー13両端部の被ガイド部13c,13cは断面形状が方形状に形成されている一方、マクラギ吊上げガイド部16,16は、それぞれ、天秤式マクラギ吊りバー13の両端部それぞれの被ガイド部13c,13cの幅とほぼ同じ間隔を空けた一対の側板部16a2,16a2を有し、その一対の側板部16a2,16a2間に被ガイド部13c,13cが嵌って被ガイド部13c,13cの上昇を案内する被ガイド部幅上昇ガイド部16aと、被ガイド部幅上昇ガイド部16aの下方に設けられ、被ガイド部幅上昇ガイド部16aの一対の側板部16a2,16a2に連続した一対の側板部16a2,16a2を有し、その一対の側板部16a2,16a2間の間隔は、下方に向かうに従って被ガイド部13c,13cの幅ほぼ同じ間隔から徐々に間隔が広がることにより、天秤式マクラギ吊りバー13が下方に位置する程、被ガイド部13c,13cを入れ易くして、天秤式マクラギ吊りバー13が上昇すると被ガイド部13c,13cを被ガイド部幅上昇ガイド部16aに案内する被ガイド部挿入ガイド部16bとを設けている。
【0054】
そのため、マクラギ3を天秤式マクラギ吊りバー13に掛止して吊り上げる際、天秤式マクラギ吊りバー13両端部の被ガイド部13c,13cは、最初、マクラギ吊上げガイド部16,16における末拡がり形状の被ガイド部挿入ガイド部16b,16bで簡単に挿入することができるので、重量が重いマクラギ3を容易にマクラギ吊上げガイド部16,16に嵌めて吊り上げることができる。また、天秤式マクラギ吊りバー13が上昇するに従って被ガイド部幅上昇ガイド部16aに案内されてレール2の長手方向と直交した状態での吊上げをガイドすることができるので、吊上げたマクラギ3をレール2と締結する際にマクラギ3の水平方向の角度調整が不要になり、マクラギ3の交換作業の手間や時間を削減することができ、マクラギ交換時における吊上げ作業の簡略化および省人化を実現することができる。
【0055】
また、本発明に係る実施形態のマクラギ吊上げ装置1では、レール2は、マクラギ3に設けられたショルダー41の線バネ孔41aに通した線バネ42によってインシュレーター43を介し固定する構造で、レール2とショルダー41との間の間隙にはインシュレーター間隙保持部13g,13gが挿入されており、天秤式マクラギ吊りバー13の両側には、それぞれ、被ガイド部13cよりも内側に吊り材であるチェーン13d1,13d1を介してショルダー41の線バネ孔41aに挿入されるショルダー挿入部材13fと、ショルダー挿入部材13fに嵌めて設けられ、レール2とショルダー41との間にインシュレーター間隙保持部13g,13gを挿入するための間隙を確保するインシュレーター用間隙確保部材13gとを設けている。
【0056】
そのため、実施形態のマクラギ吊上げ装置1によってマクラギ3を吊り上げてレール2を締結する際、インシュレーター用間隙確保部材13gによってインシュレーター43を挿入するための間隙が予め確保できるので、マクラギ3を吊り上げている最中にインシュレーター用間隙確保部材13gによってレール2の長手方向に対し直角方向のマクラギ3の位置決めが可能となり、マクラギ3を吊上げながら軌間内側のマクラギ3のショルダー41とレール2底部間に、スラック設定用の6種類のインシュレーター43のうち指定されたインシュレーター43を挿入するための隙間を確保することが可能となり、マクラギ3の交換作業の手間や時間を削減することができる。
【0057】
その結果、天秤式マクラギ吊りバー13両端部の被ガイド部13c,13cとマクラギ吊上げガイド部16,16によってマクラギ3の回転や揺れ等を抑制してレール2の長手方向の位置決めが容易になると共に、ショルダー挿入部材13fに予め嵌めがインシュレーター用間隙確保部材13gによってレール2の長手方向に対し直交方向のマクラギ3の位置決めが容易になるので、マクラギ3の位置調整作業が大幅に簡略化することができる。
【0058】
また、本発明に係る実施形態のマクラギ吊上げ装置1では、インシュレーター用間隙確保部材13gは、ショルダー挿入部材13fが挿入されるショルダー挿入部材嵌合孔13g1が開けられていると共に、インシュレーター間隙保持部13g,13gの幅に応じて6種類の大きさものがあり、レール2を固定される際に使用されるインシュレーター間隙保持部13g,13gの幅に応じて大きさを選択してショルダー挿入部材13fに挿入して使用する。
【0059】
そのため、マクラギ3を交換する作業現場に応じてショルダー挿入部材13fに挿入するインシュレーター間隙保持部13g,13gの大きさを変更することによりレール2の曲線部等においてスラックを設定することが容易になり、この点でもマクラギ3の交換作業の手間や時間を削減することができる。
【0060】
また、本発明に係る実施形態のマクラギ吊上げ装置1では、吊上げ機14は、吊下げ梁12の長手方向の一方の脚部11の端部に設け、吊下げ梁12の長手方向の中間点には、吊上げ機14によって吊り上げられる巻上げ部材であるワイヤー14cの方向を下方へ変える滑車15を設けている。
【0061】
そのため、特許文献1のマクラギ吊上げ装置のようにマクラギ3を吊り上げる際に吊下げ梁12の中間点まで移動する必要がなくなるので、作業員の移動も減り、作業員の負担および省人化を図ることができる。例えば、左右両側のレール2,2においてそれぞれレール締結装置4を緊諦する作業員を1名ずつ配置すると共に、レール2,2間に吊上げ機14を回転させる作業員1名を配置した作業員3人体制の場合には、吊上げ機14を設けたレール2側の作業員が吊上げ機14を回転させることが可能となり、2名の作業員でマクラギ3の交換作業を行うことが可能となり、作業員の省人化を図ることができる。
【0062】
尚、上記実施形態の説明では、吊上げ機14は、巻上げ部材としてワイヤー14cを巻き上げてマクラギ3を吊り上げるように説明したが、本発明ではこれに限らず、巻上げ部材としてチェーン等を巻き上げてマクラギ3を吊り上げるように構成しても勿論良い。
【符号の説明】
【0063】
1 マクラギ吊上げ装置
11 脚部
11a 前側脚部
11a1 前輪
11a2 前輪支持部
11a3 工具置き台
11b 後側脚部
11b1 後輪
11b2 後輪支持部
11b3 工具置き台
11c 第1連結バー
11d 第2連結バー
11e 上部連結バー
11e1 丸環
11e2 ハンドル
11f ブレーキ部
12 吊下げ梁
12a 鋼材
13 天秤式マクラギ吊りバー
13a マクラギ吊りバー本体
13a1 上側補強フランジ板
13a2 下側補強フランジ板
13b U字フック
13c 被ガイド部
13d チェーン吊下げ部
13d1 チェーン
13e マクラギ吊り金具
13e1 水平部
13e11 連結ピン
13e2 鉛直部
13f ショルダー挿入部材
13f1 ショルダー挿入部材基部
13f2 線バネ孔挿入部
13g インシュレーター用間隙確保部材
13g1 ショルダー挿入部材嵌合孔
13g2 吊り金具水平部通し凹溝
14 吊上げ機
14a リール
14b ハンドル
14c ワイヤー(巻上げ部材)
15 滑車
16 マクラギ吊上げガイド部
16a 被ガイド部幅上昇ガイド部
16a1 背板部
16a2 側板部
16b 被ガイド部挿入ガイド部
16b1 背板
16b2 側板部
2 レール
3 マクラギ
4 レール締結装置
41 ショルダー
41a 線バネ孔
42 線バネ
43 インシュレーター
43a 間隙保持部43a