(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062275
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】部品実装装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
H05K13/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170156
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼島 宜裕
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 伸弥
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353BB06
5E353HH58
5E353JJ01
5E353JJ11
5E353JJ28
5E353QQ30
(57)【要約】
【課題】 実装機構と基板に既に存在している物体との干渉を回避するための技術を提供する。
【解決手段】 部品実装装置は、実装機構が採取動作を実行する範囲を採取可能範囲に制限し、実装機構が採取動作を実行するときのトレイの位置を、特定の位置と他の位置とを含む複数個の位置の間で切り替えるようにトレイ位置変更機構を制御し、トレイの位置が特定の位置である場合には、トレイのうちの第1範囲が採取可能範囲に含まれ、トレイのうちの第2範囲が採取可能範囲に含まれず、トレイの位置が他の位置である場合には、第2範囲のうちの少なくとも一部が採取可能範囲に含まれ、トレイの位置が特定の位置である場合に、第1範囲に含まれる少なくとも1個の部品に対する採取動作を実装機構に実行させ、トレイの位置が他の位置である場合に、第2範囲に含まれる少なくとも1個の部品に対する採取動作を実装機構に実行させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の部品が収容されているトレイから部品を採取する採取動作と、前記採取動作に続けて前記部品を前記トレイの上から基板の上に移動して、前記部品を前記基板に実装する実装動作と、を繰り返し実行可能な実装機構と、
前記トレイの水平面における位置を変更可能なトレイ位置変更機構と、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記実装機構が前記水平面に沿って移動して前記採取動作を実行する範囲を採取可能範囲に制限し、
前記実装機構が前記採取動作を実行するときの前記トレイの位置を、特定の位置と、前記特定の位置とは異なる他の位置と、を含む複数個の位置の間で切り替えるように前記トレイ位置変更機構を制御し、
前記トレイの位置が前記特定の位置である場合には、前記トレイのうちの第1範囲が前記採取可能範囲に含まれ、前記トレイのうちの第2範囲が前記採取可能範囲に含まれず、
前記トレイの位置が前記他の位置である場合には、前記第2範囲のうちの少なくとも一部が前記採取可能範囲に含まれ、
前記制御装置は、前記トレイの位置が前記特定の位置である場合に、前記第1範囲に含まれる少なくとも1個の部品に対する前記採取動作を前記実装機構に実行させ、前記トレイの位置が前記他の位置である場合に、前記第2範囲に含まれる少なくとも1個の部品に対する前記採取動作を前記実装機構に実行させる、部品実装装置。
【請求項2】
前記部品実装装置は、さらに、
前記基板を支持する支持機構と、
前記水平面のうちの第1方向に沿って前記基板を前記支持機構へと搬送する搬送機構と、
を備え、
前記採取可能範囲は、前記水平面と直交する方向から前記トレイを見たときに、前記水平面のうち、前記第1方向と直交する第2方向において前記実装機構が前記搬送機構と重ならないで移動するように設定される、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記採取可能範囲は、前記水平面と直交する方向から前記トレイを見たときに、前記実装機構が前記基板と重ならないで移動するように設定される、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記部品実装装置は、さらに、
前記基板を支持する支持機構と、
前記水平面のうちの第1方向に沿って前記基板を前記支持機構へと搬送する搬送機構と、
を備え、
前記採取可能範囲は、前記水平面のうち、前記第1方向と直交する第2方向において前記実装機構が前記基板と重ならないで移動するように設定される、請求項3に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記採取可能範囲は、前記基板に既に存在している物体の位置に基づいて設定されている、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記物体の上面は、所定の高さよりも高い、請求項5に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記基板に特定の部品が既に実装されている場合に、前記範囲を前記採取可能範囲に制限し、
前記制御装置は、前記基板に前記特定の部品が実装されていない場合に、前記範囲を前記採取可能範囲に制限しない、請求項1から6のいずれか一項に記載の部品実装装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記トレイの位置が前記特定の位置である場合において、前記実装機構が前記第1範囲に含まれる全ての部品に対する前記採取動作が実行された後に、前記トレイの位置を前記特定の位置から前記他の位置に切り替えるように前記トレイ位置変更機構を制御する、請求項1から6のいずれか一項に記載の部品実装装置。
【請求項9】
前記複数個の部品は、格子状に並んで前記トレイに収容されており、
前記格子状は、前記トレイが移動する前記複数個の位置を結ぶ移動方向と直交する特定の方向に延びる複数個の列を含み、
前記制御装置は、前記トレイの位置が前記特定の位置でも前記他の位置でも、前記複数個の列のうち、前記採取可能範囲に含まれる1個以上の列のうち、前記基板に最も近い列に対する前記採取動作を前記実装機構に実行させる、請求項1から6のいずれか一項に記載の部品実装装置。
【請求項10】
前記複数個の部品は、格子状に並んで前記トレイに収容されており、
前記格子状は、前記トレイが移動する前記複数個の位置を結ぶ移動方向に延びる第1の行と、前記移動方向に延びる、前記第1の行とは異なる第2の行と、を含み、
前記第1範囲は、前記格子状のうちの一部である第1部分格子を含み、
前記第2範囲は、前記格子状のうち、前記第1部分格子とは異なる一部である第2部分格子を含み、
前記制御装置は、前記トレイの位置が前記特定の位置である状況で前記第1部分格子に含まれる前記第1の行に対する前記採取動作を前記実装機構に実行させるとともに、前記トレイの位置が前記他の位置である状況で前記第2部分格子に含まれる前記第1の行に対する前記採取動作を前記実装機構に実行させ、
前記第1の行に対する前記採取動作が完了した後に、前記制御装置は、前記トレイの位置が前記特定の位置である状況で前記第1部分格子に含まれる前記第2の行に対する前記採取動作を前記実装機構に実行させるとともに、前記トレイの位置が前記他の位置である状況で前記第2部分格子に含まれる前記第2の行に対する前記採取動作を前記実装機構に実行させる、請求項1から6のいずれか一項に記載の部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、部品を基板に実装する部品実装装置を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トレイに載置された部品を吸着する吸着ヘッドを備える部品実装機が開示されている。部品実装機は、トレイ側の部品と吸着ヘッド側の部品が干渉すると判定する場合に、トレイ側の部品と吸着ヘッド側の部品とが干渉しない所定の待機位置をトレイ位置に設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トレイから部品を採取する採取動作を実行する場合に、採取動作を実行する機構の一部が基板に既に存在している物体(例えば実装済みの部品)と干渉する場合がある。特許文献1の技術では、部品同士の干渉を回避できるが、機構と基板に既に存在している物体との間の干渉を回避することができない。
【0005】
本明細書では、実装機構と基板に既に存在している物体との干渉を回避するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示する部品実装装置は、複数個の部品が収容されているトレイから部品を採取する採取動作と、前記採取動作に続けて前記部品を前記トレイの上から基板の上に移動して、前記部品を前記基板に実装する実装動作と、を繰り返し実行可能な実装機構と、前記トレイの水平面における位置を変更可能なトレイ位置変更機構と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記実装機構が前記水平面に沿って移動して前記採取動作を実行する範囲を採取可能範囲に制限し、前記実装機構が前記採取動作を実行するときの前記トレイの位置を、特定の位置と、前記特定の位置とは異なる他の位置と、を含む複数個の位置の間で切り替えるように前記トレイ位置変更機構を制御し、前記トレイの位置が前記特定の位置である場合には、前記トレイのうちの第1範囲が前記採取可能範囲に含まれ、前記トレイのうちの第2範囲が前記採取可能範囲に含まれず、前記トレイの位置が前記他の位置である場合には、前記第2範囲のうちの少なくとも一部が前記採取可能範囲に含まれ、前記制御装置は、前記トレイの位置が前記特定の位置である場合に、前記第1範囲に含まれる少なくとも1個の部品に対する前記採取動作を前記実装機構に実行させ、前記トレイの位置が前記他の位置である場合に、前記第2範囲に含まれる少なくとも1個の部品に対する前記採取動作を前記実装機構に実行させてもよい。
【0007】
上記の構成によれば、実装機構が採取動作を実行する範囲が採取可能範囲に制限される。そして、部品実装装置は、採取可能範囲に含まれるトレイの範囲が切り替わるように、トレイの位置を切り換えて、採取動作を実行する。採取可能範囲を実装機構と基板に既に存在している物体との干渉を回避可能な範囲に設定することにより、実装機構の移動範囲が制限され、実装機構と基板に既に存在している物体との干渉を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】第1実施例において、トレイの位置が最初の位置である状況を示す。
【
図5】第1実施例において、トレイの位置が2番目の位置である状況を示す。
【
図6】第2実施例において、トレイの位置が最初の位置である状況を示す。
【
図7】第2実施例において、トレイの位置が2番目の位置である状況を示す。
【
図8】第3実施例において、トレイの位置が最初の位置である状況を示す。
【
図9】第3実施例において、トレイの位置が2番目の位置である状況を示す。
【
図10】第3実施例において、トレイの位置が最初の位置に再び戻る状況を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0010】
前記部品実装装置は、さらに、前記基板を支持する支持機構と、前記水平面のうちの第1方向に沿って前記基板を前記支持機構へと搬送する搬送機構と、を備え、前記採取可能範囲は、前記水平面と直交する方向から前記トレイを見たときに、前記水平面のうち、前記第1方向と直交する第2方向において前記実装機構が前記搬送機構と重ならないで移動するように設定されてもよい。
【0011】
上記の構成によれば、実装機構が採取動作を実行する範囲が、基板を支持機構に搬送する搬送機構と重ならない。この結果、採取動作において、実装機構が基板の上方を移動せず、実装機構と基板に既に存在している物体との干渉を回避することができる。
【0012】
前記採取可能範囲は、前記水平面と直交する方向から前記トレイを見たときに、前記実装機構が前記基板と重ならないで移動するように設定されてもよい。
【0013】
上記の構成でも、採取動作において、実装機構が基板の上方を移動せず、実装機構と基板に既に存在している物体との干渉を回避することができる。
【0014】
前記部品実装装置は、さらに、前記基板を支持する支持機構と、前記水平面のうちの第1方向に沿って前記基板を前記支持機構へと搬送する搬送機構と、を備え、前記採取可能範囲は、前記水平面のうち、前記第1方向と直交する第2方向において前記実装機構が前記基板と重ならないで移動するように設定されてもよい。
【0015】
上記の構成では、水平面のうちの第2の方向において、実装機構と基板に既に存在している物体との干渉を回避することができる。
【0016】
前記採取可能範囲は、前記基板に既に存在している物体の位置に基づいて設定されてもよい。前記物体の上面は、所定の高さよりも高くてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、基板上の物体の位置に基づいて、採取可能範囲を柔軟に設定することができる。
【0018】
前記制御装置は、前記基板に特定の部品が既に実装されている場合に、前記範囲を前記採取可能範囲に制限し、前記制御装置は、前記基板に前記特定の部品が実装されていない場合に、前記範囲を前記採取可能範囲に制限しなくてもよい。
【0019】
特定の部品は、例えば、採取動作において実装機構が干渉し得る部品である。上記の構成によれば、基板に特定の部品が実装されていない場合において、採取可能範囲に不必要に制限されることを抑制することができる。
【0020】
前記制御装置は、前記部品実装装置の設定が第1設定である場合に、前記範囲を前記採取可能範囲に制限し、前記制御装置は、前記部品実装装置の設定が前記第1設定とは異なる第2設定である場合に、前記範囲を前記採取可能範囲に制限しなくてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、実装機構が水平面に沿って移動して採取動作を実行する範囲を制限するのか否かを設定することができる。
【0022】
前記制御装置は、前記トレイの位置が前記特定の位置である場合において、前記実装機構が前記第1範囲に含まれる全ての部品に対する前記採取動作が実行された後に、前記トレイの位置を前記特定の位置から前記他の位置に切り替えるように前記トレイ位置変更機構を制御してもよい。
【0023】
上記の構成によれば、第1範囲から第2範囲へと順次に採取動作を実行させることができる。
【0024】
前記複数個の部品は、格子状に並んで前記トレイに収容されており、前記格子状は、前記トレイが移動する前記複数個の位置を結ぶ移動方向と直交する特定の方向に延びる複数個の列を含み、前記制御装置は、前記トレイの位置が前記特定の位置でも前記他の位置でも、前記複数個の列のうち、前記採取可能範囲に含まれる1個以上の列のうち、前記基板に最も近い列に対する前記採取動作を前記実装機構に実行させてもよい。
【0025】
上記の構成によれば、特定の位置及び他の位置のどちらでも、基板に最も近い列に対する採取動作が実行される。この結果、採取動作において、実装機構と基板との往復距離を最小にすることができる。
【0026】
前記複数個の部品は、格子状に並んで前記トレイに収容されており、前記格子状は、前記トレイが移動する前記複数個の位置を結ぶ移動方向に延びる第1の行と、前記移動方向に延びる、前記第1の行とは異なる第2の行と、を含み、前記第1範囲は、前記格子状のうちの一部である第1部分格子を含み、前記第2範囲は、前記格子状のうち、前記第1部分格子とは異なる一部である第2部分格子を含み、前記制御装置は、前記トレイの位置が前記特定の位置である状況で前記第1部分格子に含まれる前記第1の行に対する前記採取動作を前記実装機構に実行させるとともに、前記トレイの位置が前記他の位置である状況で前記第2部分格子に含まれる前記第1の行に対する前記採取動作を前記実装機構に実行させ、前記第1の行に対する前記採取動作が完了した後に、前記制御装置は、前記トレイの位置が前記特定の位置である状況で前記第1部分格子に含まれる前記第2の行に対する前記採取動作を前記実装機構に実行させるとともに、前記トレイの位置が前記他の位置である状況で前記第2部分格子に含まれる前記第2の行に対する前記採取動作を前記実装機構に実行させてもよい。
【0027】
例えば、第1部分格子の全域に対する採取動作を実行した後に第2部分格子の全域に対する採取動作を実行する比較例が想定される。この比較例では、第1部分格子の全域に対する採取動作において、実装機構が移動方向のみならず移動方向と直交する特定の方向にも移動し、さらに、第2部分格子の全域に対する採取動作においても、実装機構が特定の方向に移動する。比較例では、実装機構が特定の方向に沿って繰り返し往復する。これに対して、上記の構成によれば、トレイの位置を特定の位置と他の位置とで切り替えながら、採取動作を一行ずつ実行させる。トレイの位置が固定されている状況では、実装機構は特定の方向に移動しなくてもよい。上記の比較例よりも実装機構が特定の方向に沿って往復する回数を少なくすることができる。
【実施例0028】
(第1実施例)
(部品実装装置2の構成;
図1~
図3)
部品実装装置2は、部品を基板に実装可能な装置である。部品は、抵抗器等の電子部品である。部品実装装置2は、フィーダ機構10、トレイ位置変更機構12、実装機構20、基板搬送機構30、基板支持機構40、及び、制御装置50を備える。なお、図中には、XYZ座標が記載されている。X軸方向とY軸方向は、水平面を定義する。Z軸方向は、鉛直方向を定義する。
【0029】
フィーダ機構10は、複数の部品を収容している部品フィーダを着脱可能なカセットを備える。部品フィーダは、例えば、テープ内に複数の部品を収容するテープ式フィーダである。
【0030】
トレイ位置変更機構12は、複数の部品を収容しているトレイ60の水平面における位置を変更可能な機構であり、例えば、ベルト式のコンベアである。
【0031】
トレイ60では、複数個の部品が格子状に並んで収容されている。例えば、トレイ60は、Y軸方向に長尺である。
【0032】
基板支持機構40は、基板70を所定の位置で支持するための機構であり、例えば、基板70の下面を吸着可能なバキュームである。基板搬送機構30は、基板70を基板支持機構40へと搬送する機構であり、例えば、ベルト式のコンベアである。基板搬送機構30が基板を搬送する方向は、X軸方向である。なお、変形例では、基板を搬送する方向は、X軸方向とは異なる方向、例えば、Y軸方向であってもよい。
【0033】
図1に示すように、トレイ位置変更機構12と基板支持機構40は、Y軸方向に沿って並んでいる。また、トレイ位置変更機構12とフィーダ機構10は、X軸方向に沿って並んでいる。
【0034】
実装機構20は、フィーダ機構10、トレイ位置変更機構12、基板搬送機構30、及び、基板支持機構40の上方において、ヘッド26を水平面に移動可能なロボットである。ヘッド26には、吸着ノズル22と、カメラ24と、が固定されている。ヘッド26は、さらに、Z軸方向に沿って上昇及び下降可能である。
【0035】
吸着ノズル22は、フィーダ機構10に取り付けられている部品フィーダに収容されている部品及びトレイ60に収容されている部品を吸着する。吸着ノズル22も、Z軸方向に沿って上昇及び下降可能である。
図3に示すように、吸着ノズル22及びカメラ24は、ヘッド26の下面から露出している。カメラ24は、ヘッド26の下方を撮像可能である。カメラ24は、例えば、基板70上のマーカを撮像する。
【0036】
制御装置50は、CPU52と、メモリ54と、を備える。CPU52は、メモリ54に記憶されているプログラム56に従って、部品実装装置2の各機構を制御する。
図2に示すように、制御装置50は、各機構10~40と通信可能に接続されている。制御装置50は、各機構を制御して、トレイ60の位置の変更、部品の基板70への実装、基板70の搬送等を実行する。
【0037】
例えば、トレイ60に収容されている部品を基板70に実装する状況を想定する。制御装置50は、実装機構20をトレイ60の上方まで移動させる。制御装置50は、吸着ノズル22の下面がトレイ60内の部品に当接するまで、吸着ノズル22を下降させる。制御装置50は、吸着ノズル22に部品を吸着させ、吸着ノズル22を上昇させる。これにより、トレイ60から部品が採取される。続いて、制御装置50は、実装機構20を水平面に沿って移動させ、実装機構20を基板70の上方まで移動させる。制御装置50は、吸着ノズル22を基板70に向かって下降させる。これにより、基板70に部品が実装される。基板70に部品が実装されると、制御装置50は、次の基板70を基板支持機構40に搬送するように基板搬送機構30を制御する。そして、制御装置50は、次の基板70に対して再び部品の採取と部品の実装を実行する。
【0038】
メモリ54は、さらに、範囲制限設定58を記憶する。範囲制限設定58は、設定値「ON」と、設定値「OFF」と、のうちのいずかの値を示す。設定値「ON」は、実装機構20が水平面に沿って移動して部品を採取する採取動作を実行する範囲を実装機構20が移動可能な最大の範囲100よりも狭い採取可能範囲102に制限することを示す、設定値「OFF」は、最大の範囲100を採取可能範囲102に制限しないことを示す。範囲制限設定58は、ユーザによって入力される。範囲制限設定58を変更して、最大の範囲100を採取可能範囲102に制限するのか否かを設定することができる。なお、本実施例では、最大の範囲100の採取可能範囲102への制限は、トレイ60から部品を採取する場合に実行され、フィーダ機構10に取り付けられる部品フィーダから部品を採取する場合には実行されない。
【0039】
トレイ60内の部品の基板70への実装を開始する前に、基板70に特定の部品72が既に実装されている場合がある。この場合において、最大の範囲100において実装機構20に採取動作を実行させると、ヘッド26の基板70側における端部26a(
図3参照)が特定の部品72と干渉する場合がある。また、特定の部品72の上面の高さが、ヘッド26の下面の高さよりも高くなると、特定の部品72の上面がヘッド26の下面に干渉する場合もある。本実施例では、ヘッド26の端部26a又は下面と特定の部品72との干渉を回避するために、実装機構20が採取動作を実行する範囲を最大の範囲100よりも狭い採取可能範囲102に制限する。
【0040】
(採取動作の具体例;
図4、
図5)
図4、
図5を参照して、範囲制限設定58が設定値「ON」に設定されている場合における採取動作について説明する。
【0041】
制御装置50は、実装機構20が採取動作を実行するときのトレイ60の位置を複数個の位置の間で切り替えるようにトレイ位置変更機構12を制御する。本実施例では、制御装置50は、トレイ60がY軸負方向に沿って順次移動するように、トレイ位置変更機構12を制御する。
図4は、トレイ60の位置が最初の位置である状況を示し、
図5は、トレイ60の位置が最初の位置の次である2番目の位置である状況を示す。
【0042】
図4に示すように、トレイ60の位置が最初の位置である状況では、採取可能範囲102に含まれるのが、トレイ60のうち、Y軸負方向における端に位置する第1範囲60aであり、採取可能範囲102に含まれないのが、トレイ60のうち、第1範囲60a以外の第2範囲60bである。
【0043】
制御装置50は、トレイ60の位置が最初の位置である状況において、第1範囲60aに含まれる全ての部品62に対する採取動作を実装機構20に実行させる。これにより、第1範囲60aに含まれる全ての部品62が、順次に搬送される基板70に次々と実装される。
【0044】
制御装置50は、第1範囲60aに含まれる全ての部品62に対する採取動作が実行された後に、トレイ60の位置を
図4に示す最初の位置から
図5に示す2番目の位置に切り替える。
【0045】
図5に示すように、トレイ60の位置が2番目の位置である状況では、第2範囲60bのうち、Y軸方向における端に位置する部分範囲60cが採取可能範囲102に含まれ、第2範囲60bのうちの部分範囲60c以外の範囲が採取可能範囲102に含まれない。
【0046】
制御装置50は、トレイ60の位置が2番目の位置である状況において、部分範囲60cに含まれる全ての部品62に対する採取動作を実装機構20に実行させる。これにより、部分範囲60cに含まれる全ての部品62が、順次に搬送される基板70に次々と実装される。なお、トレイ60が移動する方向は、
図4及び
図5に示すY軸正方向に限らず、例えば、Y軸負方向であってもよい。
【0047】
制御装置50は、部分範囲60cに含まれる全ての部品62に対する採取動作が実行された後に、第2範囲60bのうち、部分範囲60cの以外の範囲が採取可能範囲102に含まれるように、トレイ60の位置を、2番目の位置から、2番目の次の3番目の位置へと切り替える。例えば、制御装置50は、トレイ60に収容されている全ての部品に対する採取動作が完了するまで、トレイ60の位置をY軸負方向へと順次に切り替える。第1範囲60a、部分範囲60c、部分範囲60c以外の範囲へと順次に採取動作を実行させることができる。
【0048】
本実施例では、採取可能範囲102は、Z軸方向(即ちトレイ60が移動する水平面と直交する方向)からトレイ60を見たときに、Y軸方向において実装機構20の基板70の側における端部26aが基板搬送機構30を超えないで実装機構20が移動するように設定される。即ち、採取可能範囲102において採取動作が実行される場合には、実装機構20が基板搬送機構30と重ならない。基板70は、基板搬送機構30よりもY軸正方向の側に位置している。端部26aが基板搬送機構30を超えないことにより、採取動作において、実装機構20が基板70の上を移動せず、実装機構20の端部26a又は下面と基板70に既に実装されている特定の部品72との干渉を回避することができる。
【0049】
また、本実施例の変形例1では、採取可能範囲102は、Z軸方向からトレイ60を見たときに、Y軸方向において実装機構20の端部26aが基板70を超えないで実装機構20が移動するように設定されてもよい。本変形例では、実装機構20が基板搬送機構30と重なったとしても、実装機構20が基板70と重ならない。本変形例でも、採取動作において、実装機構20が基板70の上を移動せず、実装機構20の端部26a又は下面と特定の部品72との干渉を回避することができる。
【0050】
また、本実施例の他の変形例2では、採取可能範囲102は、基板70に既に実装されている特定の部品72の位置に基づいて設定されてもよい。具体的には、採取可能範囲102は、Z軸方向からトレイ60を見たときに、Y軸方向において実装機構20の端部26aが特定の部品72を超えないで実装機構20が移動するように設定されてもよい。本変形例では、実装機構20が基板70と重なったとしても、実装機構20が特定の部品72と重ならない。ここで、特定の部品72の位置は、例えば、基板70に部品62を実装するプログラム56に予め設定されている。本変形例では、採取動作において、実装機構20が基板70の上を移動可能であるものの、実装機構20は特定の部品72の上を移動できず、実装機構20の端部26a又は下面と特定の部品72との干渉を回避することができる。さらに、本変形例では、特定の部品72の位置に基づいて、採取可能範囲102を柔軟に設定することができる。
【0051】
また、特定の部品72の上面が所定の高さH1よりも高い場合には、端部26a又は下面と特定の部品72との干渉が発生する一方、特定の部品72の上面が所定の高さH1以下である場合には、端部26a又は下面と特定の部品72との干渉が発生しない。本実施例の他の変形例3では、制御装置50は、特定の部品72の上面が所定の高さH1より高い場合に、範囲制限設定58を設定値「ON」に自動的に設定し、特定の部品72の上面が所定の高さH1以下である場合には、範囲制限設定58を設定値「OFF」に自動的に設定してもよい。ここで、特定の部品72の上面の高さは、基板70に部品62を実装するプログラム56に予め設定されている。本変形例では、特定の部品72の上面が所定の高さH1以下であり、特定の部品72との干渉が発生しない状況において、採取動作を実行する範囲の制限が不必要に実行されることを抑制することができる。
【0052】
また、本実施例の他の変形例4では、制御装置50は、特定の部品72が基板70に既に実装されている場合に、範囲制限設定58を設定値「ON」に自動的に設定し、特定の部品72が基板70に実装されていない場合には、範囲制限設定58を設定値「OFF」に自動的に設定してもよい。本変形例では、特定の部品72が基板70に実装されていないことに起因して、特定の部品72との干渉が発生しない状況において採取動作を実行する範囲の制限が不必要に実行されることを抑制することができる。
【0053】
(本実施例及びその変形例の効果)
部品実装装置2は、
図4及び
図5に示すように、採取可能範囲102に含まれるトレイ60の範囲が切り替わるように、トレイ60の位置を切り換えて、採取動作を実行する。本実施例の構成、及び、上記の変形例1~4の構成によれば、採取可能範囲102は、実装機構20の端部26a又は下面と特定の部品72との干渉を回避可能な範囲に設定される。最大の範囲100から採取可能範囲102に制限することにより、実装機構20の移動範囲が制限され、実装機構20の端部26a又は下面と特定の部品72との干渉を回避することができる。
【0054】
(対応関係)
部品実装装置2、実装機構20、トレイ位置変更機構12、制御装置50が、それぞれ、「部品実装装置」、「実装機構」、「トレイ位置変更機構」、「制御装置」の一例である。基板支持機構40、基板搬送機構30が、それぞれ、「支持機構」、「搬送機構」の一例である。X軸方向、Y軸方向が、それぞれ、「第1方向」、「第2方向」の一例である。範囲制限設定58の設定値「ON」、設定値「OFF」が、それぞれ、「第1設定」、「第2設定」の一例である。部品62、トレイ60、基板70、特定の部品72が、それぞれ、「部品」、「トレイ」、「基板」、「物体」の一例である。採取可能範囲102が、「採取可能範囲」の一例である。
図4におけるトレイ60の位置、
図5におけるトレイ60の位置が、それぞれ、「特定の位置」、「他の位置」の一例である。第1範囲60a、第2範囲60bが、それぞれ、「第1範囲」、「第2範囲」の一例である。
【0055】
(第2実施例)
本実施例は、トレイ60の移動方法及び採取動作において採取される部品の範囲が異なる点を除いて、第1実施例と同様である。以下では、本実施例において、範囲制限設定58が設定値「ON」に設定されている場合における採取動作について説明する。
【0056】
(採取動作の具体例;
図6、
図7)
図6は、トレイ60の位置が最初の位置である状況を示し、
図7は、トレイ60の位置が最初の位置の次である2番目の位置である状況を示す。なお、本実施例では、トレイ60は、Y軸正方向に沿って順次に移動する。
【0057】
図6に示すように、トレイ60の位置が最初の位置である状況では、トレイ60のうち、Y軸正方向における端に位置する第1範囲64aが、採取可能範囲102に含まれ、トレイ60のうち、第1範囲64a以外の第2範囲64bが採取可能範囲102に含まれない。
【0058】
制御装置50は、採取可能範囲102に含まれる第1範囲64aのうち、Y軸正方向の端に位置する1つの列64cに含まれる全ての部品62に対する採取動作を実装機構20に実行させる。列64cは、採取可能範囲102に含まれる第1範囲64aのうち、基板70に最も近い列である。トレイ60の位置が最初の位置である状況では、列64cに含まれる全ての部品62が、順次に搬送される基板70に次々と実装される。
【0059】
制御装置50は、列64cに含まれる全ての部品62に対する採取動作が実行された後に、トレイ60の位置を
図6に示す最初の位置から
図7に示す2番目の位置に切り替える。
【0060】
図7に示すように、トレイ60の位置が2番目の位置である状況では、第2範囲64bのうち、Y軸正方向における端に位置する1つの列64dと、第1範囲64aのうち、列64c以外の列と、が採取可能範囲102に含まれる。即ち、最初の位置から2番目の位置への移動量は、格子状のトレイ60のうちの1列分である。
【0061】
制御装置50は、採取可能範囲102に含まれる範囲のうち、Y軸正方向の端に位置する1つの列64eに含まれる全ての部品62に対する採取動作を実装機構20に実行させる。列64eは、採取可能範囲102に含まれる範囲のうち、基板70に最も近い列である。トレイ60の位置が2番目の位置である状況では、例64eに含まれる全ての部品62が、順次に搬送される基板70に次々と実装される。
【0062】
制御装置50は、例64eに含まれる全ての部品62に対する採取動作が実行された後に、格子状の1列分だけトレイ60をさらにY軸正方向に移動させる。本実施例では、制御装置50は、トレイ60を格子状の1列分ずつ順次に移動させ、採取可能範囲102に含まれる範囲のうちの基板70に最も近い列に対する採取動作を繰り返し実行する。
【0063】
本実施例の構成によれば、トレイ60の位置がいずれの位置であっても、基板70に最も近い列に対する採取動作が実行される。この結果、採取動作において、実装機構20と基板70との往復距離を最小にすることができる。
【0064】
(対応関係)
Y軸方向、X軸方向が、それぞれ、「移動方向」、「特定の方向」の一例である。列64c及び64eが、「基板に最も近い列」の一例である。
【0065】
(第3実施例)
本実施例も、トレイ60の移動方法及び採取動作において採取される部品の範囲が異なる点を除いて、第1実施例と同様である。以下では、本実施例において、範囲制限設定58が設定値「ON」に設定されている場合における採取動作について説明する。
【0066】
(採取動作の具体例;
図8~
図10)
図8は、トレイ60の位置が最初の位置である状況を示し、
図9は、トレイ60の位置が最初の位置の次である2番目の位置である状況を示し、
図10は、トレイ60の位置が最初の位置に戻った状況を示す。本実施例では、トレイ60はY軸負方向に沿って順次に移動する。
【0067】
図8に示すように、トレイ60の位置が最初の位置である状況では、トレイ60のうち、Y軸負方向における端に位置する第1範囲66aが、採取可能範囲102に含まれ、トレイ60のうち、第1範囲66a以外の第2範囲66bが採取可能範囲102に含まれない。
【0068】
制御装置50は、採取可能範囲102に含まれる第1範囲66aのうち、X軸正方向の端に位置する1つの行66cに含まれる全ての部品62に対する採取動作を実装機構20に実行させる。これにより、第1範囲66a内の行66cに含まれる全ての部品62が、順次に搬送される基板70に次々と実装される。
【0069】
制御装置50は、第1範囲66aのうちの行66cに含まれる全ての部品62に対する採取動作が実行された後に、トレイ60の位置を
図8に示す最初の位置から
図9に示す2番目の位置に切り替える。
【0070】
図9に示すように、トレイ60の位置が2番目の位置である状況では、第2範囲66bのうち、Y軸方向における端に位置する部分範囲66eが採取可能範囲102に含まれ、第2範囲60bのうち、部分範囲60c以外の範囲が採取可能範囲102に含まれない。
【0071】
制御装置50は、部分範囲66eのうち、同じ1つの行66cに含まれる全ての部品62に対する採取動作を実装機構20に実行させる。これにより、部分範囲66eのうちの行66cに含まれる全ての部品62が、順次に搬送される基板70に次々と実装される。
【0072】
制御装置50は、部分範囲66eのうちの行66cに含まれる全ての部品62に対する採取動作が実行された後に、トレイ60をさらにY軸負方向に移動させる。そして、制御装置50は、第2範囲66bのうち、部分範囲66e以外の範囲についても、同じ1つの行66cに含まれる全ての部品62に対する採取動作を実装機構20に実行させる。
【0073】
制御装置50は、
図8及び
図9に示すように、Y軸負方向にトレイ60を順次に移動させ、トレイ60の全範囲のうち、1つの行66cに含まれる全ての部品62に対する採取動作が実行された後に、
図10に示すように、トレイ60の位置を
図8と同様の最初の位置に戻す。そして、制御装置50は、
図8及び
図9と同様に、Y軸負方向にトレイ60を順次に再び移動させ、トレイ60の全範囲のうち、1つの行66cの隣の1つの行66dに含まれる全ての部品62に対する採取動作を実装機構20に実行させる。制御装置50は、採取動作を実行する行を順次に隣に変更し、トレイ60に収容されている全ての部品62に対する採取動作を実装機構20に実行させる。
【0074】
例えば、第1実施例では、第1範囲60aの全域に対する採取動作において、実装機構20がY方向のみならずX方向にも移動し、さらに、部分範囲60cの全域に対する採取動作においても、実装機構20がX方向にも移動する(
図4及び
図5参照)。第1実施例では、実装機構20がX方向に沿って繰り返し往復する。これに対して、本実施例によれば、トレイ60の位置を最初の位置から2番目の位置へと切り替えながら、採取動作を1つの行66cで実行する。トレイ60の位置が固定されている状況では、実装機構20はX方向に移動しなくてもよい。第1実施例よりも実装機構20がX方向に沿って繰り返し往復する回数を少なくすることができる。
【0075】
本実施例において、トレイ60が順次に移動する方向は、Y軸負方向に限らず、例えば、Y軸正方向であってもよい。また、トレイ60の位置が固定されている状況において部品を採取する範囲は、1行に限らず、例えば、2行であってもよい。また、行66cの次に部品を採取する行は、行66cの隣の行66dに限らず、例えば、行66cから1行以上空けて並ぶ他の行であってもよい。
【0076】
(対応関係)
第1範囲66aが、「第1範囲」及び「第1部分格子」の一例である。部分範囲66eが、「第2部分格子」の一例である。1つの行66c、1つの行66dが、それぞれ、「第1の行」、「第2の行」の一例である。
【0077】
実施例で説明した部品実装装置に関する留意点を述べる。基板70に既に存在している物体は、特定の部品72に限らず、例えば、基板70に既設のヒートシンク、コネクタ等の物体であってもよい。ヒートシンク、コネクタ等の物体は、基板70の購入時に既に取り付けてある物体であってもよいし、ユーザによって手作業で取り付けられる物体であってもよい。本変形例では、ヒートシンク、コネクタ等の物体が、「物体」の一例である。
【0078】
各実施例では、例えば、
図4に示すように、採取可能範囲102の形状は、矩形である。採取可能範囲102の形状は、例えば、基板70との重なりを回避するように切欠きを形成したL字形状であってもよい。
【0079】
範囲制限設定58は、メモリ54に記憶されていなくてもよい。例えば、部品実装装置2の出荷段階において、採取動作を実行する範囲の制限が予め設定されていてもよい。別言すれば、採取動作を実行する範囲の制限の解除をユーザに許可しなくてもよい。本変形例では、「第2の設定」を省略可能である。
【0080】
第1実施例において、第1範囲60a内の全ての部品62のうちの一部に対する採取動作が実行され、残りの部品62に対する採取動作が実行されなくてもよい。また、第2実施例において、列64c内の全ての部品62のうちの一部のみに対する採取動作が実行されてもよいし、第3実施例において、行66c内の全ての部品62のうちの一部のみに対する採取動作が実行されてもよい。一般的に言えば、「前記第1範囲に含まれる少なくとも1個の部品に対する前記採取動作」が実行されればよい。
【0081】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0082】
また、本明細書では、請求項8において「請求項1から6のいずれか一項に記載の装置」を「請求項1から7のいずれか一項に記載の装置」に変更した技術思想や、請求項9において「請求項1から6のいずれか一項に記載の装置」を「請求項1から7のいずれか一項に記載の装置」に変更した技術思想や、請求項10において「請求項1から6のいずれか一項に記載の装置」を「請求項1から7のいずれか一項に記載の装置」に変更した技術思想も開示されている。