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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062283
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】磁石ホルダ及びドア施錠システム
(51)【国際特許分類】
   E05B 47/00 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
E05B47/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170167
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】仲江川 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】安西 賢二
(57)【要約】
【課題】磁石周辺に設けられる部材の磁気的性質によって、磁気センサで検出される磁石の磁束密度が低下する事態を防ぐ磁石ホルダの提供を目的とする。
【解決手段】本磁石ホルダは、ケースと、前記ケースに収容される磁石とを有し、前記ケースは、底壁部と、前記底壁部の内面から突出すると共に、前記磁石を載置する傾斜面を有し、前記磁石を、前記底壁部に対して斜めに支持する第1支持部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、前記ケースに収容される磁石とを有する磁石ホルダであって、
前記ケースは、
底壁部と、
前記底壁部の内面から突出すると共に、前記磁石を載置する傾斜面を有し、前記磁石を、前記底壁部に対して斜めに支持する第1支持部と、
を有する、
磁石ホルダ。
【請求項2】
前記ケースは、前記底壁部の前記内面における、前記第1支持部とは別の位置から突出し、前記磁石を支持する第2支持部を更に有する、
請求項1に記載の磁石ホルダ。
【請求項3】
前記ケースは、
前記底壁部と対向する上壁部と、
前記上壁部の内面から突出し、前記磁石を支持する第3支持部と、
を更に有する請求項1又は2に記載の磁石ホルダ。
【請求項4】
ドア枠に取り付けられる磁石ホルダと、
前記ドア枠に収められるドアに取り付けられる電子錠と、
を有するドア施錠システムであって、
前記磁石ホルダは、
ケースと、
前記ケースに収容される磁石と、
を有し、
前記ケースは、
前記ドア枠と接着する底壁部と、
前記底壁部の内面から突出すると共に、前記磁石を載置する傾斜面を有し、前記磁石を、前記底壁部に対して斜めに支持する第1支持部と、
を有し、
前記電子錠は、
前記磁石からの磁束密度を検出する磁気検出部と、
前記磁気検出部で検出される磁束密度の値に応じて、前記電子錠を施錠するよう制御する制御部と、
を有する、
ドア施錠システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁石ホルダ及びドア施錠システムに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の玄関ドア等に取り付けられる錠前の施解錠を電子的に制御する電子錠が知られている。電子錠として、ドアの閉扉に応じて自動施錠するオートロック機能を有するものも開発されている。オートロック機能を有する電子錠において、ドア側(電子錠側)に設けられる磁気センサと、ドアを支持するドア枠側に設けられる磁石とを有するドア開閉検出機構が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-198053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のドア開閉検出機構では、磁石の両磁極を結ぶ方向(以下、「磁極間方向」と言う場合がある)と、ドア枠における磁石の設置面とが平行又は垂直になるように、磁石が設置される。この場合、ドア及びドア枠を構成する材料の磁気的性質(磁性体又は非磁性体)によって、磁気センサで検出される磁束密度の値が大きく変化する。すなわち、磁石周辺に設けられる部材の磁気的性質によって、磁気センサの検出値が低下する場合がある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、磁石周辺に設けられる部材の磁気的性質によって、磁気センサの検出値が低下する事態を防ぐ磁石ホルダの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本磁石ホルダは、ケースと、前記ケースに収容される磁石とを有し、前記ケースは、底壁部と、前記底壁部の内面から突出すると共に、前記磁石を載置する傾斜面を有し、前記磁石を、前記底壁部に対して斜めに支持する第1支持部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、磁石周辺の部材の磁気的性質によって、磁気センサの検出値が低下する事態を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る磁石ホルダの外観を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る磁石ホルダの内部透視部である。
図3】第1実施形態に係る磁石ホルダの底壁部の斜視図である。
図4】第1実施形態に係る磁石ホルダのカバー部の斜視図である。
図5】磁石を支持した状態の底壁部の斜視図である。
図6】第1実施形態に係る磁石ホルダの使用例を示す模式図である。
図7】参考例に係る磁石ホルダの垂直断面図である。
図8】第1実施形態の変形例に係る磁石ホルダの垂直断面図である。
図9】第2実施形態に係るドア施錠システムの構成例を示すブロック図である。
図10】第2実施形態に係るドア施錠システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明の実施形態について説明する。各図面において、同一の構成部には同一の符号を付す場合がある。又、各図面の説明において、既に説明した構成部と同一の構成部についての説明は省略する場合がある。
【0010】
[第1実施形態]
図1図6を参照して、第1実施形態に係る磁石ホルダ1を説明する。図1は、磁石ホルダ1の外観を示す斜視図である。図2は、磁石ホルダ1の内部透視部である。図3は、磁石ホルダ1の底壁部11の正面側斜視図である。図4は、磁石ホルダ1におけるカバー部14の底面側斜視図である。図5は、磁石を支持した状態の底壁部11の正面側斜視図である。図6は、磁石ホルダ1の使用例を示す模式図である。なお、図示されるX方向は、磁石ホルダ1の幅方向に対応し、Y方向は、磁石ホルダ1の奥行方向に対応し、Z方向は、磁石ホルダ1の高さ方向に対応する。
【0011】
<全体構成>
本実施形態に係る磁石ホルダ1は、図1及び図2に示されるように、ケース10と、ケース10に収容される磁石20と、を有する。ケース10は、底壁部11と、上壁部12と、4つの側壁部13a~13dと、を有する。側壁部13a~13dは、底壁部11及び上壁部12の間に延在する。ケース10の各壁部に囲まれる空間に、磁石20が収容される。
【0012】
本実施形態の場合、上壁部12の各端縁と側壁部13a~13dのそれぞれとが連なり、カバー部14が形成される。カバー部14は、底壁部11と構造的に分離している。ただし、ケース10の構造は、磁石20を収容可能な構造であれば、これに限られない。例えば、底壁部11、上壁部12、側壁部13a~13dが一体であってもよい。
【0013】
<ケースの底壁部>
底壁部11は、図3に示されるように、磁石20を支持するための第1支持部30及び第2支持部40、並びに、磁石20の側面と接触する接触部50、底壁部11をカバー部14に係合させるための係合部60を有する。
【0014】
第1支持部30は、底壁部11の内面11aからZ方向上側に突出する壁状部位である。また、第1支持部30は、底壁部11のX方向一端側(底壁部11の右端)から中央に向けて下降する傾斜面31を有する。傾斜面31における傾斜角の範囲は、特に限定されないが、例えば、30°~60°が挙げられる。本実施形態の傾斜面31の角度は、45°である。
【0015】
ケース10に収容される磁石20は、傾斜面31に載置される。傾斜面31に、磁石20を固定するための接着手段を設けてもよい。接着手段の一例として、両面テープが挙げられる。接着手段を介して、磁石20を傾斜面31に固定することで、ケース10内での磁石20の位置決めをすることができる。
【0016】
本実施形態において、互いに平行な4つの第1支持部30が、Y方向(前後)に亘って並べられている。複数の第1支持部30をこのように配置することで、磁石20を同じ姿勢で安定に支持することができる。また、各第1支持部30を図示されるような細長いリブ状の形態とすることで、コストの上昇を抑えることができる。また、互いに平行な4つの第1支持部30をY方向一端側及び他端側に配置することで、磁石20を安定な姿勢で保持することができる。ただし、第1支持部30の個数や、各第1支持部30の位置関係は、これに限られない。
【0017】
第2支持部40は、第1支持部30と同様、底壁部11の内面11aからZ方向上側に突出する壁状部位である。また、第2支持部40は、底壁部11のX方向他端側(底壁部11の左端)から中央に向けて下降する傾斜面41を有する。傾斜面41における傾斜角の範囲は、特に限定されないが、例えば、30°~60°が挙げられる。本実施形態の傾斜面41の角度は、45°である。
【0018】
本実施形態の第2支持部40は、第1支持部30に向き合う位置に設けられる。また、互いに平行な2つの第2支持部40が、Y方向に沿って並べられている。このように第2支持部40を配置することで、磁石20の第1支持部30に支持される面以外の面が支持され、磁石20を同じ姿勢で安定に支持することができる。また、各第2支持部40を図示されるような細長いリブ状の形態とすることで、コストの上昇を抑えることができる。ただし、第2支持部40の個数や位置は、これに限られないが、図3に示されるように、Y方向の一方側と他方側に、第2支持部40を少なくとも1つずつ配置することが好ましい。
【0019】
磁石20が、第1支持部30及び第2支持部40の双方に載置されることで、底壁部11に対して斜めを向く姿勢で、ケース10内に収容される。
【0020】
接触部50は、底壁部11におけるY方向一端側及び他端側(底壁部11の前後両端)に設けられる複数の柱状部位である。ケース10に収容される磁石20の側面と、接触部50とが接触することで、磁石20の例えばX方向への移動(横ずれ)を防止する。
【0021】
係合部60は、底壁部11におけるX方向一端側及び他端側(底壁部11の左右両端)に設けられ、Z方向上側に突出する複数の壁状部位である。また、係合部60の中央に、貫通孔61が形成される。カバー部14が底壁部11に覆い被さり、図4に示されるカバー部14側の凸部62が、貫通孔61に嵌め込まれる。これにより、底壁部11とカバー部14とが一体化する。
【0022】
<ケースの上壁部>
上壁部12は、図4に示されるように、磁石20を上方側から支持する第3支持部70を有する。第3支持部70は、上壁部12の内面12aからZ方向下側に突出する壁状部位である。また、第3支持部70は、ケース10に収容される磁石20の一面(例えば、上面)に接触する第1傾斜部位71と、磁石20の他面(例えば、側面)に接触する第2傾斜部位72を有する。
【0023】
第3支持部70の第1傾斜部位71と第2傾斜部位72とが、磁石20に接触することで、第3支持部70が、底壁部11に載置される磁石20を押え付ける。これにより、第1支持部30及び第2支持部40と、第3支持部70とで、磁石20を挟持し、底壁部11に対して斜めを向く姿勢で、磁石20を強固に固定することができる。ただし、第3支持部70は、磁石20を面状に支持するものに限られず、点状に支持するものであってもよい。
【0024】
<磁石>
本実施形態の磁石20は、図5に示されるように、直方体状の形態を有する。より詳しくは、磁石20は、第1磁極(N極又はS極)に対応する第1面21と、第1面21に対向し、第2磁極(S極又はN極)に対応する第2面22と、第1面21及び第2面22の双方に連なる第3面23、第4面24、第5面25、及び第6面26と、を有する。
【0025】
本実施形態において、第1面21が、磁石20の上面に対応する。第2面22が、磁石20の底面に対応する。第3面23~第6面26が、磁石20の側面に対応する。ただし、磁石20の形態は、直方体状に限られない。磁石20の他の形態の例として、円筒状や円盤状のものが挙げられる。
【0026】
第1磁極と第2磁極は、極性が逆の磁極である。第1磁極がN極の場合、第2磁極はS極となる。また、第1磁極がS極の場合、第2磁極はN極となる。なお、磁石20の内部において、第1磁極に対応する第1面21と、第2磁極に対応する第2面22とを結び、第1面21及び第2面22に垂直な方向(図5の矢印Aの方向)を「磁極間方向」と言う場合がある。
【0027】
磁石20の第2面22は、底壁部11における第1支持部30の傾斜面31に載置される。また、磁石20の第3面23は、底壁部11における第2支持部40の傾斜面41に載置される。これにより、磁石20は、底壁部11に対して斜めを向く姿勢で支持される。すなわち、ケース10に収容される磁石20の磁極間方向Aが、底壁部11に対して斜め方向を向く。
【0028】
これに対して、磁石20の第1面21は、上壁部12における第3支持部70の第1傾斜部位71と接触する。また、磁石20の第4面24は、第3支持部70の第2傾斜部位72と接触する。これにより、磁石20は、底壁部11に対して斜めを向く姿勢で固定される。
【0029】
また、磁石20の第5面25及び第6面26は、接触部50と接触する。これにより、ケース10内の磁石20の移動を防止することができる。すなわち、第1支持部30、第2支持部40、第3支持部70、及び接触部50により、磁石ホルダ1が、所定箇所に設置された後に、磁石20の位置が変化することを防止できる。
【0030】
<使用例>
本実施形態に係る磁石ホルダ1は、図6に示されるように、住宅の玄関ドアのようなドア81を回動可能に支持するドア枠82に取り付けられる。例えば、磁石ホルダ1の底壁部11とドア枠82とが、任意の接着手段を介して接着することで、磁石ホルダ1は、ドア枠82に取り付けられる。なお、図6に示されるように取り付けられる磁石ホルダ1において、底壁部11は、紙面奥側に位置する。
【0031】
これに対して、ドア81には、サムターンの回動を操作する電子錠110が取り付けられる。ここで、電子錠110は、磁石20からの磁束密度を検出する磁気センサ115を有する。磁石20を有する磁石ホルダ1と、磁気センサ115とによって、ドア81の開閉検出機構が構成される。ドア81の開閉状態の検出精度を高めるため、磁石ホルダ1は、磁気センサ115とほぼ同じ高さ位置に設置される。
【0032】
ドア枠82に取り付けられる磁石ホルダ1の底壁部11は、ドア枠82の表面(室内側の面)に沿う。そのため、磁石ホルダ1のケース10に収容される磁石20は、ドア枠82の表面に対して、例えば45°に傾斜する。換言すれば、磁石20の磁極間方向Aが、ドア枠82の表面に対して、例えば45°に傾斜する。
【0033】
<参考例との比較>
次に、本実施形態に係る磁石ホルダ1と、参考例に係る磁石ホルダ2,3とにおいて、ドア81及びドア枠82の磁気的性質によって、磁気センサ115で検出される磁束密度の変化を比較する。図7(a)は、参考例1に係る磁石ホルダ2の垂直断面図である。また、図7(b)は、参考例2に係る磁石ホルダ3の垂直断面図である。
【0034】
図7(a)に示されるように、磁石ホルダ2に収容される磁石20aの磁極間方向Aは、磁石ホルダ2の底壁部2a(すなわち、ドア枠82の表面)に対して垂直になる。このような姿勢で磁石ホルダ2に収容される磁石20aの状態を、以下「縦向き」と言う場合がある。
【0035】
これに対して、図7(b)に示されるように、磁石ホルダ3に収容される磁石20bの磁極間方向Aは、磁石ホルダ3の底壁部3a(すなわち、ドア枠82の表面)と平行になる。このような姿勢で磁石ホルダ3に収容される磁石20bの状態を、以下「横向き」と言う場合がある。
【0036】
本実施形態に係る磁石ホルダ1と、参考例1,2に係る磁石ホルダ2,3とをそれぞれ使用する場合の磁気センサ115での検出値(磁束密度)に関し、ドア81及びドア枠82の磁気的性質(磁性又は非磁性)を変えてシミュレーションを行った。結果を表1に示す。なお、本実施形態並びに参考例1,2ともに、磁気センサ115における磁石ホルダと最も近い箇所と、磁石ホルダに収容される磁石の中心との距離が80mmとなるよう、磁気センサ115を配置した。
【0037】
【表1】
【0038】
表1に示されるように、本シミュレーションによれば、本実施形態に係る磁石ホルダ1を用いる場合、ドア81及びドア枠82の磁気的性質によって、磁気センサ115の検出値の変化が少なくなることが示唆された。例えば、検出値が最も大きい「ドア:非磁性/ドア枠:非磁性」の場合と、検出値が最も小さい「ドア:非磁性/ドア枠:磁性」との差は、50μTであった。
【0039】
これに対して、参考例1に係る磁石ホルダ2を用いる場合、本実施形態に係る磁石ホルダ1に比べて、ドア81及びドア枠82の磁気的性質によって、検出値の変化が大きくなることが示唆された。例えば、検出値が最も大きい「ドア:磁性/ドア枠:磁性」の場合と、検出値が最も小さい「ドア:非磁性/ドア枠:非磁性」との差は、100μTであった。
【0040】
同様に、参考例2に係る磁石ホルダ3を用いる場合、本実施形態に係る磁石ホルダ1に比べて、ドア81及びドア枠82の磁気的性質によって、検出値の変化が大きくなることが示唆された。例えば、検出値が最も大きい「ドア:非磁性/ドア枠:非磁性」の場合と、検出値が最も小さい「ドア:非磁性/ドア枠:磁性」との差は、180μTであった。
【0041】
<作用効果>
磁石ホルダ1の磁石20は、ドア枠82の表面に対して斜め方向を向く姿勢で収容されている。これにより、ドア81が閉扉した際、磁石20からの磁束が、ドア81及びドア枠82の磁気的性質によらず、磁気センサ115で適正に検出される。
【0042】
[第1実施形態の変形例]
次に、図8を参照して、第1実施形態の変形例に係る磁石ホルダ4を説明する。図8は、変形例に係る磁石ホルダ4の垂直断面図である。変形例の磁石ホルダ4は、ドア枠82の表面に対して磁石20dの磁極間方向Aを垂直又は平行のいずれかに切り替えられる磁石ホルダである。
【0043】
具体的には、磁石ホルダ4の底壁部4a及び側壁部4bの双方に、ドア枠82の表面と着脱可能に取り付ける取付手段90が設けられる。取付手段90の一例として、底壁部4aに取り付けられる面ファスナ91a、側壁部4bに取り付けられる面ファスナ91b、及びドア枠82の表面に取り付けられる面ファスナ92を有するものが挙げられる。
【0044】
図8(a)に示されるように、磁石ホルダ4の底壁部4aとドア枠82とが対向することで、面ファスナ91aと面ファスナ92とが接着する。これにより、磁石20dの磁極間方向Aの向きが、ドア枠82の表面に対して垂直となる。
【0045】
これに対して、例えば磁石ホルダ4が左に90°回転することで、図8(b)に示されるように、磁石ホルダ4の側壁部4bとドア枠82とが対向し、面ファスナ91bと面ファスナ92とが接着する。これにより、磁石20dの磁極間方向Aの向きが、ドア枠82の表面に対して平行となる。
【0046】
磁石ホルダ4におけるドア枠82との取付部分を切り替えることで、磁石ホルダ4に収容される磁石20dの磁極間方向Aの向きを変えることができる。これにより、磁気センサ115の検出値が大きくなるよう、磁石20dの姿勢(磁極間方向Aの向き)を調整することができる。
【0047】
例えば、ドア81及びドア枠82の双方が、磁性材料で構成される場合、磁石ホルダ4の底壁部4aをドア枠82の表面に取り付け、磁石20dの磁極間方向Aをドア枠82の表面に対して垂直に向けてもよい。また、ドア81及びドア枠82の双方が、非磁性材料で構成される場合、磁石ホルダ4の側壁部4bをドア枠82の表面に取り付け、磁石20dの磁極間方向Aをドア枠82の表面に対して平行に向けてもよい。
【0048】
ただし、取付手段90は、これに限定されない。取付手段90の他の例として、磁石ホルダ4の底壁部4a、側壁部4b、及びドア枠82の表面に取り付けられるスナップ式の留め具、並びに、磁石ホルダ4の底壁部4a、側壁部4b及びドア枠82の表面に取り付けられるフック及びフックの係合具、テープ等が挙げられる。
【0049】
[第2実施形態]
<全体構成>
次に、図9を参照して、第2実施形態に係るドア施錠システム100の構成を説明する。図9は、ドア施錠システム100の構成の一例を示すブロック図である。図9に示されるように、ドア施錠システム100は、第1実施形態に係る磁石ホルダ1と、電子錠110と、を有する。磁石ホルダ1は、ドア枠82に設けられる。これに対して、電子錠110は、ドア81に設けられる。
【0050】
磁石ホルダ1は、電子錠110とほぼ同一の高さ位置に設けられる。すなわち、ドア81が閉扉した状態において、磁石ホルダ1は、電子錠110の近傍に位置する。
【0051】
ドア81として、例えば、住宅の玄関ドアが挙げられる。ただし、ドア81は、住宅の玄関ドアに限定されず、ホテルの客室に設けられるドア、並びにオフィス及び病院等の各施設の出入口に設けられるドア等であってもよい。
【0052】
ドア81は、サムターン811と、デッドボルト812と、を更に有する。電子錠110は、サムターン811を覆う。また、電子錠110を介した操作によって、サムターン811が回動する。これにより、デッドボルト812が、ドア枠82側に設けられる受座に出し入れされ、ドア81が解錠又は施錠される。
【0053】
図9に示されるように、電子錠110は、CPU(Central Processing Unit)111と、ROM(Read Only Memory)112と、RAM(Random Access Memory)113と、モータ114と、磁気センサ115と、通信インターフェース116と、を有する。また、電子錠110は、サムターン811のツマミ部を保持するサムターンホルダ120を有する。
【0054】
CPU111は、電子錠110の各種動作を制御する。CPU111は、「制御部」の一例である。ROM112は、CPU111で実行されるプログラム等を記憶する。RAM113は、CPU111が動作する際のワークエリアとして機能する。モータ114は、CPU111から出力される制御信号に応じて、サムターンホルダ120を回動させる。
【0055】
磁気センサ115は、磁石20からの磁束密度を検出し、検出信号をCPU111に出力する。磁気センサ115は、「磁気検出部」の一例である。磁気センサ115の種類は、特に限定されないが、例えば、コイル、リードスイッチ、MR(Magneto-Resistance)センサ素子、ホール素子等を用いるものが挙げられる。
【0056】
通信インターフェース116は、例えば、ユーザの携帯通信端末300と通信し、携帯通信端末300から送信される、電子錠110の解錠・施錠に関する操作信号を受信する。また、通信インターフェース116は、受信した操作信号をCPU111に出力する。
【0057】
<動作>
次に、図10を参照して、第2実施形態に係るドア施錠システム100の動作を説明する。図10は、ドア施錠システム100の施錠動作の一例を示すフローチャートである。
【0058】
ドア81が閉扉すると、磁気センサ115が、ドア枠82に取り付けられる磁石ホルダ1の近傍に移動する。このとき、磁気センサ115は、磁石ホルダ1に収容される磁石20からの磁束密度を検出する(ステップS11)。また、磁気センサ115は、検出した磁束密度の値に対応する検出信号をCPU111に出力する。
【0059】
続いて、CPU111は、磁気センサ115から出力された検出信号に基づき、予め設定された閾値内の磁束密度が、磁気センサ115で検出されたか否かを判定する(ステップS12)。すなわち、CPU111は、ドア81の閉扉の有無を判定する。
【0060】
続いて、CPU111は、ドア81の閉扉を判定すると、モータ114にサムターンホルダ120を回動させ、電子錠110を施錠するための制御信号(駆動信号)を出力する。それに応じて、モータ114は、デッドボルト812が受座に入るようサムターン811を回動させる(ステップS13)。その結果、ドア81が、施錠される。
【0061】
ただし、電子錠110は、このようなオートロック機能に加えて、ユーザの携帯通信端末300から送信された電子錠110の施錠信号に応じて、デッドボルト812が受座に入るようサムターン811を回動させてもよい。
【0062】
また、電子錠110は、ユーザの携帯通信端末300から送信された電子錠110の解錠信号に応じて、デッドボルト812が受座から出るようサムターン811を回動させてもよい。
【0063】
<作用効果>
本実施形態のドア施錠システムによれば、磁石20を斜め姿勢で収容する磁石ホルダ1を用いるため、ドア81及びドア枠82の磁気的性質によって、磁気センサ115の検出値が変化する事態を防ぐことができる。
【0064】
以上、好ましい実施形態等について詳説した。しかしながら、本開示に係る磁石ホルダ及びドア施錠システムは、上述した実施形態及び変形例等に限定されない。例えば、上述した実施形態等に係る磁石ホルダ及びドア施錠システムについて、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 磁石ホルダ、10 ケース、11 底壁部、12 上壁部、13 側壁部、14 カバー部、20 磁石、30 第1支持部、40 第2支持部、70 第3支持部、81 ドア、82 ドア枠、100 ドア施錠システム、110 電子錠、115 磁気センサ
図1
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