(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006229
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】端子構造
(51)【国際特許分類】
H01R 9/22 20060101AFI20240110BHJP
H01R 4/38 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H01R9/22
H01R4/38 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106929
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】出原 侑昌
【テーマコード(参考)】
5E012
5E086
【Fターム(参考)】
5E012BA52
5E086CC50
5E086DD05
5E086DD33
5E086LL10
5E086LL16
5E086LL20
(57)【要約】
【課題】ボックス端子を取り外したい場合にはボックス端子の取り外しを簡単にできるようにすること。
【解決手段】端部に配線が接続される端子板11と、端子ねじ12a付きのボックス端子12を収納可能な端子部21aを備え、ボックス端子の収納時にボックス端子を後方へ移動させることで端子板の一方の端部をボックス端子の内部に位置させることが可能となる端子構造であって、ボックス端子の前方への移動を規制可能な規制部材31を前方若しくは側方へ移動可能に設けた構成とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部に配線が接続される端子板と、端子ねじ付きのボックス端子を収納可能な端子部を備え、ボックス端子の収納時にボックス端子を後方へ移動させることで端子板の一方の端部をボックス端子の内部に位置させることが可能となる端子構造であって、
ボックス端子の前方への移動を規制可能な規制部材を前方若しくは側方へ移動可能に設けた端子構造。
【請求項2】
端部に配線が接続される端子板と、端子ねじ付きのボックス端子を収納可能な端子部を備え、ボックス端子の収納時にボックス端子を後方へ移動させることで端子板の一方の端部をボックス端子の内部に位置させることが可能となる端子構造であって、
ボックス端子の前方への移動を規制可能な規制部材を軸部を中心に回動可能に設けた端子構造。
【請求項3】
端部に配線が接続される端子板と、端子ねじ付きのボックス端子を収納可能な端子部を備え、ボックス端子の収納時にボックス端子を後方へ移動させることで端子板の一方の端部をボックス端子の内部に位置させることが可能となる端子構造であって、
ボックス端子の前方への移動を規制可能な規制部材に係止部を備え、規制部材を端子部に着脱可能とした端子構造。
【請求項4】
端子部に収納されたボックス端子と対向した状態にある規制部材の移動若しくは回動若しくは着脱を規制可能な規制手段を規制部材の前方若しくは側方に位置させることが可能な請求項1から3の何れかに記載の端子構造。
【請求項5】
複数のボックス端子を隣接して配置可能な端子構造であって、
一つの規制部材により複数のボックス端子の移動を規制可能とした請求項1から3の何れかに記載の端子構造。
【請求項6】
ボックス端子の上方を覆うことが可能なカバーを備え、
規制部材の前方若しくは側方に位置させることが可能な規制手段をカバーの端部に設けた請求項4に記載の端子構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1や特許文献2に開示されているように、箱型の端子金具と、先端部に座金を有する端子ねじと、を備えた端子が知られている。このような端子は箱型端子(ボックス端子)といわれている。ボックス端子は主に端子台や回路遮断器などに用いられるが、ボックス端子を備えた端子台は仮設分電盤などでよく使用される。仮設分電盤は工事現場などに設置される分電盤であり、仮設分電盤の端子台には代わる代わるさまざまな負荷の電線が接続される。つまり、ボックス端子には、さまざまな負荷の電線が代わる代わる接続される。そのため、ボックス端子に設けられたねじ溝若しくは端子ねじのねじ山の破損などにより、端子ねじが動かなくなるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実全平03-127778号公報
【特許文献1】特開2005-322554号公報
【0004】
そこで、端子台などの筐体からボックス端子を着脱できる構造とすることがなされている。しかし、従来のボックス端子を筐体へ固定する構造には、筐体の裏面からねじで固定する構造や、ボックス端子に端子板を挿入し、端子板を筐体へ固定することで、間接的にボックス端子を固定する構造が採用されていた。このため、ボックス端子が破損等した場合であっても容易に交換できるものではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、ボックス端子を取り外したい場合にはボックス端子の取り外しを簡単にできるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、端部に配線が接続される端子板と、端子ねじ付きのボックス端子を収納可能な端子部を備え、ボックス端子の収納時にボックス端子を後方へ移動させることで端子板の一方の端部をボックス端子の内部に位置させることが可能となる端子構造であって、ボックス端子の前方への移動を規制可能な規制部材を前方若しくは側方へ移動可能に設けた端子構造とする。
【0007】
また、端部に配線が接続される端子板と、端子ねじ付きのボックス端子を収納可能な端子部を備え、ボックス端子の収納時にボックス端子を後方へ移動させることで端子板の一方の端部をボックス端子の内部に位置させることが可能となる端子構造であって、ボックス端子の前方への移動を規制可能な規制部材を軸部を中心に回動可能に設けた端子構造とする。
【0008】
また、端部に配線が接続される端子板と、端子ねじ付きのボックス端子を収納可能な端子部を備え、ボックス端子の収納時にボックス端子を後方へ移動させることで端子板の一方の端部をボックス端子の内部に位置させることが可能となる端子構造であって、ボックス端子の前方への移動を規制可能な規制部材に係止部を備え、規制部材を端子部に着脱可能とした端子構造とする。
【0009】
また、端子部に収納されたボックス端子と対向した状態にある規制部材の移動若しくは回動若しくは着脱を規制可能な規制手段を規制部材の前方若しくは側方に位置させることが可能な構成とすることが好ましい。
【0010】
また、複数のボックス端子を隣接して配置可能な端子構造であって、一つの規制部材により複数のボックス端子の移動を規制可能とした構成とすることが好ましい。
【0011】
また、ボックス端子の上方を覆うことが可能なカバーを備え、規制部材の前方若しくは側方に位置させることが可能な規制手段をカバーの端部に設けた構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、ボックス端子を取り外したい場合にはボックス端子の取り外しを簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ボックス端子挿入部の下部側に規制部材が回動可能に取り付けられている端子台の例を示す図である。ただし、規制部材の前方への移動を抑制する規制手段となる突出部がカバーの下部に設けられている。
【
図2】
図1に示す端子台を前側から見た状態を示す図である。ただし、カバーがボックス端子の上方を覆った状態である。
【
図4】
図3に示す状態からカバーと規制部材を開きボックス端子を取り出した状態を示す図である。
【
図6】
図3に示す状態から端子板を取り出した状態を示す図である。
【
図7】規制部材の軸部をボックス端子挿入部の側方に配置した例を示す図である。ただし、各端子部に規制部材が取り付けられている。
【
図8】規制部材の軸部をボックス端子挿入部の側方に配置した例を示す図である。ただし、一つの規制部材で全てのボックス端子の移動を抑制可能としている。
【
図9】ボックス端子挿入部の上部側に規制部材が回動可能に取り付けられている端子台の例を示す図である。
【
図10】規制部材を左右方向にスライド移動させる例を示す図である。
【
図11】規制部材を前後方向にスライド移動させる例を示す図である。
【
図12】
図11に示す端子台を右側から見た側面図である。ただし、カバーと規制部材を開きボックス端子を取り出した状態を示す図である。
【
図13】後側に移動させてベースに係止させることができる規制部材の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に発明を実施するための形態を示す。なお、以下では設置時に設置面となる側が下であり、その反対側が上である。また、前後方向は端子板11が延びる方向と略一致し、端子板11の端部のうち、ボックス端子12に挿入される側が前側であり、その反対側が後側である。また、床面に端子構造を設置した状態を前側から見て右側となるのが右であり、その反対が左である。
【0015】
図1乃至
図4に示されていることから理解されるように、本実施形態の端子構造は、端部に配線が接続される端子板11と、端子ねじ12a付きのボックス端子12を収納可能な端子部21aを備え、ボックス端子12の収納時にボックス端子12を後方へ移動させることで端子板11の一方の端部をボックス端子12の内部に位置させることが可能である。また、この端子構造は、ボックス端子12の前方への移動を規制可能な規制部材31を前方若しくは側方へ移動可能に設けている。このため、ボックス端子12を取り外したい場合にはボックス端子12の取り外しを簡単にできる。
【0016】
以下の説明では、ボックス端子12を備えた端子構造として端子台を例示するが、本発明の端子構造は端子台に用いることに限定されるものではなく、回路遮断器など他の配電用機器に用いられるものであってもよい。
【0017】
実施形態の端子構造は、本体と、カバー22を備えている。本体には、土台となるベース21や、極の数分のボックス端子12(
図1に示す例では3極のため3個)や、各ボックス端子12の端子金具12bに挿入される端子板11や、ボックス端子12の前後方向の移動を規制する規制部材31などが備えられている。また、ベース21にボックス端子12や端子板11や規制部材31などが取り付けられる。端子板11には電源機器と負荷機器が接続されるが、端子板11のボックス端子12が設けられる側が負荷機器が接続される負荷側であり、それとは反対側のねじ穴が設けられた側が電源機器が接続される電源側である。
【0018】
実施形態の端子構造では、負荷側に設けられてボックス端子12を覆う第1カバーと、電源側を覆う第2カバーを備えている。ただし、
図1などには第1カバーのみを示している。なお、以下の説明ではカバー22といえば、第1カバーのことを意味するものとする。
【0019】
実施形態のボックス端子12は端子ねじ12aと端子金具12bを備えている。実施形態の端子金具12bの上部には、ねじ溝が設けられ、端子ねじ12aを取り付け可能となっている。実施形態の端子ねじ12aは、ドライバー等の工具からの力を伝達させやすいように工具穴が頭部12aaに設けられている。また、端子ねじ12aの先端部には、端子金具12b内に位置するように座金12abが固定されている。この座金12abは端子ねじ12aをねじ溝に沿って回転させることにより上下方向に移動させることができる。
【0020】
ボックス端子12を端子部21aに組み込む際、端子金具12bの下面と座金12abとの間の空間に、端子板11が挿入される。なお、ボックス端子12を端子部21aに組み込んだ後に、端子板11と座金12abとの間に負荷機器の電線が挿入され、電線が座金12abにより端子板11に押圧される。そのようにすることで、電線を端子板11と電気的に接続した状態をしっかりと維持することができる。
【0021】
なお、実施形態では、端子構造に備えられるボックス端子12の端子金具12bは金属を折り曲げ形成することで、箱型形状を形成しているが、鋳造により箱型形状を形成するものであってもよい。
【0022】
次にボックス端子12の移動を規制する規制部材31について説明をする。実施形態の規制部材31は、電線を挿入可能な電線挿入部31aを設けた構造となっている。
図1に示す例では規制部材31は略U字形状となっており、U字形状の内側が電線挿入部31aである。
【0023】
実施形態の規制部材31のボックス端子12側の側面には、ボックス端子12と当接可能な当接部31bを有し、この当接部31bがボックス端子12に当接した状態とすることで、端子部21aに取り付けられたボックス端子12の前後方向へのガタツキを抑制する。当接部31bは、規制部材31の上下方向に複数設けられることが好ましいが、当接部31bの形状、個数、位置については、これに限らない。
【0024】
ここで、規制部材31の具体例について説明をする。
図1に示す規制部材31は回動可能であるが、その回動中心となる軸部はベース21に設けられたボックス端子挿入部21bの下方に位置する。なお、規制部材31が、ボックス端子12の前への移動を規制する位置にある状態において、規制部材31とベース21が係止することが好ましい。ただし、この係止は規制部材31に荷重を加えることで解除されるものであることが好ましい。そうすれば、ボックス端子12を交換する際に、係止を解除する工具などが不要となる。
【0025】
図1に示す例では、規制部材31の先端が前方に移動するように規制部材31を回動させることで、ボックス端子12の前方向への移動の規制が解除できる。なお、軸部を形成する構造はどのようなものであっても良い。例えば、規制部材31に凸部を設け、ベース21に凹部を設ける構造であっても良いし、その逆で、規制部材31に凹部を設け、ベース21に凸部を設ける構造であっても良い。また、規制部材31に設けた貫通孔に軸を挿入し、ベース21に設けた凸部若しくは凹部に軸が嵌合することで、規制部材31が回動可能に取り付けられるようにしても良い。
【0026】
ところで、規制部材31がボックス端子12の前側に位置していたとしても、ボックス端子12を前方向に移動すると、規制部材31が前方に回動してボックス端子12への規制が解除されてしまうならば、ボックス端子12の前方向の移動を規制するという規制部材31の役割を果たせない。そのため、実施形態では、規制部材31が前方に回動しないように規制部材31を規制可能な規制手段を設けている。
【0027】
規制手段は、例えば、摺動や回動により規制部材31の前方に位置する状態と位置しない状態を変更可能とする手段などであればよい。
図1から
図3に示す例では、ベース21に収納したボックス端子12の上方を覆うカバー22の端部に規制手段を設ける構造としている。
【0028】
具体的には、カバー22を閉じた状態においてカバー22の前方側に位置する部分に、本体のベース21の前方端部よりも前方に位置することが可能な突出部22aを設けている。この突出部22aは、ボックス端子12の動きを抑制できる位置にある規制部材31の前側に位置可能であり、規制部材31と前後方向に隣接することが可能な規制手段となる。つまり、規制部材31の前方に位置することが可能な規制手段をカバー22に一体に形成している。この規制手段を用いることにより、規制部材31の前方への回動が規制手段により規制される。
【0029】
図1、
図3、
図4に示す例では、ボックス端子12が前後方向に移動し、規制部材31は、ボックス端子12の前方への移動を遮るように位置する状態から前方に向けて回動可能であるのに対して、カバー22は、ボックス端子12の後方に位置する軸を中心に回動するため、規制部材31の上方で移動可能なカバー22は、規制部材31の移動を抑制した状態から規制部材31に対して略上方若しくは略上側後方に移動することが可能である。
【0030】
つまり、規制部材31がボックス端子12の移動を抑制する状態から抑制しない状態となる際の移動方向若しくは回動方向と、規制手段により規制部材31の移動を抑制した状態のカバー22の移動方向若しくは回動方向とが異なる方向となる。このため、カバー22に設けた規制手段が規制部材31の移動を規制した状態が維持されやすくなる。
【0031】
実施形態では突出部22aがボックス端子12の動きを抑制できる位置にある規制部材31の前側に位置する状態が維持できるように、ベース21に引っ掛けることが可能な係止部22bを備えている(
図3及び
図5参照)。このため、突出部22aが規制手段として機能しやすくなる。
【0032】
ところで実施形態のベース21には端子板11が取り付けられる(
図4及び
図6参照)。この端子板11の前後方向の端部のうち、一方の端部(負荷側端部)は、ボックス端子12の内部に差し込まれる。また、もう一方の端部(電源側端部)は、ネジが取り付けられるためのネジ穴が設けられている。両方の端部に電線が接続されることで、両電線が端子板11を介して、電気的に接続される。なお、端子板11の電源側端部は、ブレーカを介して若しくは介さずに商用電源や分散電源等の電源が接続され、端子板11の負荷側端部は、電源から給電したい負荷機器が接続される。
【0033】
実施形態の端子板11は、電源側が負荷側よりも幅が広い形状となっている。この端子板11の負荷側端部がベース21の一端側から他端側に向けて移動するように、端子板11をベース21に挿入することができる。端子板11のベース21への固定は、例えば、ねじによりなされるものであってもよいし、端子板11に設けた突起部をベース21に設けた凹部に嵌合させることで、ねじを使用せずになされるようにしてもよい。いずれの場合においても、端子板11がベース21に固定された場合、端子板11の負荷側端部は、ベース21から浮く構造とする。つまり、端子板11がベース21に固定された後で、上下の辺及び左右の辺を備えたボックス端子12を移動させて、ボックス端子12の内部に端子板11の負荷側端部を挿入させることが可能な構成とする。
【0034】
ここで、
図1から
図6に示す例における各パーツの取り付け手順などの例について説明をする。例えばベース21に対して後方側から前方側に向けて端子板11を挿入する。次に端子板11をベース21に固定する。この際、ねじを用いた固定や、突起部を用いた固定などを採用すればよい。端子板11をベース21に固定した後で、ボックス端子12を前側から後側に向けて移動させて端子部21aに配置する。その後、規制部材31を軸部を中心に回動させ、ボックス端子12の前側の移動を抑制できるように配置する。なお、規制部材31に設けた爪部がベース21に引っ掛かるようにして、規制部材31の移動を抑制できるように構成しても良い。その後、カバー22を回転させ、ボックス端子12の上方を覆うようにするとともに、規制手段が規制部材31の移動を抑制できるようにする。なお、各パーツの取り外し手順などは、上記の手順を遡ればよい。
【0035】
このような手順で作業が実施されれば、ボックス端子12の前方向への移動が規制される、なお、ボックス端子12の左右方向の移動は、ボックス端子12を収納する端子部21aに設けられた隔壁21c及びボックス端子12に挿入された端子板11により規制することができる。また、ボックス端子12の上下方向の移動は、ボックス端子12に挿入された端子板11により規制することができる。ボックス端子12の前方向への移動は、本体の負荷側の端部に設けられた規制部材31により規制することができる。
【0036】
一方、ボックス端子12の破損などにより、ボックス端子12の交換が必要な場合には、カバー22を回動することで、規制手段による規制部材31への規制を解除した後、規制部材31を前方へ向けて回動する。それにより、規制部材31によるボックス端子12への規制を解除することができ、ボックス端子12を前方向に移動して取り外すことができる(
図1参照)。したがって、ボックス端子12の交換作業を容易に行うことができる。
【0037】
図1から
図6に示す例では、軸部はベース21に設けたボックス端子挿入部21bの下方に位置するものとしたが、軸部をそのような位置以外に設けても良い。例えば、
図7に示すことから理解されるように、軸部をベース21に設けられたボックス端子挿入部21bの側方(右方若しくは左方)に位置するようにしても良い。
図7に示す例では、各々の端子部21aに対応するように、端子部21aと同数の規制部材31を設けており、それらが全てボックス端子挿入部21bの左方に軸部が位置するように構成されているが、そのような構成に限る必要はない。例えば、一部のボックス端子挿入部21bの右方に軸部が位置するとともに、他のボックス端子挿入部21bの左方にも軸部が位置するような構成としても良い。
【0038】
また、一つの規制部材31により複数のボックス端子12の移動を規制可能としてもよいため、
図8に示すことから理解されるように、複数のボックス端子挿入部21bにまたがる長さの規制部材31としてもよい。なお、
図8に示す例では、一つの規制部材31で端子構造の全てのボックス端子12の移動を規制可能としているが、規制部材31を複数設け、その中の一つ若しくは複数の規制部材31が複数のボックス端子12の移動を規制可能とする構成としても良い。
【0039】
いずれにせよ、複数のボックス端子12を隣接して配置可能な端子構造であって、一つの規制部材31により複数のボックス端子12の移動を規制可能とする構成とするのが好ましい。
【0040】
また、軸部がベース21に設けられたボックス端子挿入部21bの上部側に位置するように構成しても良い(
図9参照)。この場合、ボックス端子12はボックス端子挿入部21bと電線挿入部31aで囲われた部分からベース21に対して出し入れするようになる。
【0041】
これらの例から理解されるように、端部に配線が接続される端子板11と、端子ねじ12a付きのボックス端子12を収納可能な端子部21aを備え、ボックス端子12の収納時にボックス端子12を後方へ移動させることで端子板11の一方の端部をボックス端子1の内部に位置させることが可能となる端子構造であって、ボックス端子12の前方への移動を規制可能な規制部材31を軸部を中心に回動可能に設けた端子構造とすることが好ましい。また、規制部材31は、前方若しくは側方に移動する際に軸部を中心に回動する構成とするのが好ましい。
【0042】
ところで、
図1から
図9に示す例では、規制部材31をベース21に回動可能に取り付けたものであったが、規制部材31が左右方向にスライド可能な構成してもよい。
図10に示すことから理解されるように、規制部材31を、ベース21に設けられた開口に対して、左右方向から挿抜可能とすればよい。
図10に示す例では、規制部材31は、一方の端部からのみ挿抜可能とするため、他方の端部には、開口を設けないようにしている。なお、他方の端部には開口を設けていけないということはなく、例えば他方の端部に規制部材31よりも小さな開口を設け、一方の端部からのみ挿抜可能な構成としてもよい。
【0043】
図10に示す例においては、端子台の複数の極に設けられる全てのボックス端子12の前方向への移動を一括して規制するために左右方向に長い(端子台の左右方向の長さと略同一の)規制部材31を示しているが、各極に規制部材31が設けられるものであってもよい。つまり、3極の端子台に対して、3個の規制部材31を設け、それぞれ左右方向から挿抜可能となるようにしてもよい。
【0044】
また、左右方向からの挿抜は、ベース21の端部から行うものに限らない。例えば、ある端子部21aから、隣接する端子部21aへ規制部材31を挿抜可能なものとしてもよい。いずれにせよ、ベース21への取り付け時に規制部材31が左右方向にスライド移動する構成の場合、規制部材31はボックス端子12の移動方向と異なる方向に移動するため、ボックス端子12の前方への移動とともに、規制部材31がベース21から取り外されることはない。
【0045】
一方、カバー22がボックス端子12の上方を覆うのみでは、カバー22を覆う状態であっても規制部材31は左右方向に移動可能となるおそれがある。そのため、カバー22でボックス端子12の上方を覆った場合、規制手段が規制部材31の側方(規制部材31が挿抜可能な一方の端部側)に位置可能なように構成することが好ましい。また、規制手段はカバー22と一体に形成されることが好ましい。このため、
図10に示す例のカバー22は、規制部材31の側方に位置可能な突出部22aを備えた構成としている。
【0046】
なお、規制手段は突出部22aである必要はないが、端子部21aに収納されたボックス端子12と対向した状態にある規制部材31の移動若しくは回動若しくは着脱を規制可能な規制手段を規制部材31の前方若しくは側方に位置させることが可能な構成とするのが好ましい。また、ボックス端子12の上方を覆うことが可能なカバー22を備え、規制部材31の前方若しくは側方に位置させることが可能な規制手段をカバー22の端部に設けた構成とするのが好ましい。
【0047】
また、規制部材31が前後方向にスライド可能な構成としても良い。
図11及び
図12に示す例では、規制部材31に、ベース21に設けられた前後方向に延びる溝部21dをスライド可能な腕部31cを備えた構成としている。実施形態では、腕部31cのベース21側に係止部を備えており、ベース21の溝部21dに設けられた被係止部21eに係止することにより、規制部材31の移動を規制することができる。
【0048】
実施形態では被係止部21eをベース21の中央よりに設けることで、後方にスライドした規制部材31がベース21に収納された状態で固定可能としている。また、被係止部をベース21の前方端部側に設けることで、前方にスライドした規制部材31がベース21から脱落することを防ぐことを可能としている。
【0049】
この例では、規制部材31を前方にスライドさせることにより、ボックス端子12が前方へ移動するスペースが形成されるため、ボックス端子12の内部に端子板11の負荷側端部が位置しないところまでボックス端子12を移動させた後、ボックス端子12を上方に移動させることでボックス端子12を取り外すことが可能となる。
【0050】
なお、溝部21dは前後方向に延びるものではなく、左右方向に延びるようにしても良い。これらの記載から理解されるように、端子部21aは、前方若しくは側方に延びる溝部21dを備え、規制部材31は、前記溝部21dに沿って前方若しくは側方に移動可能である構成とするのが好ましい。
【0051】
なお、規制手段については、
図1に示す例と同様、規制部材31の前方に位置するように設けられるものであり、カバー22と一体に形成されることが好ましい。
【0052】
図1から
図12までに示された例では、ベース21に取り付けられた規制部材31を回動させる若しくはスライドさせる構成であったが、規制部材31をベース21に取り付けられた状態で移動可能とする必要はない。つまり、規制部材31がベース21に取り付けられた状態においては、規制部材31が固定された状態となるような構成であっても良い。
【0053】
つまり、端部に配線が接続される端子板11と、端子ねじ12a付きのボックス端子12を収納可能な端子部21aを備え、ボックス端子12の収納時にボックス端子12を後方へ移動させることで端子板11の一方の端部をボックス端子12の内部に位置させることが可能となる端子構造であって、ボックス端子12の前方への移動を規制可能な規制部材31に係止部31dを備え、規制部材31を端子部21aに着脱可能とした端子構造とすることが好ましい。
【0054】
例えば
図13に示すことから理解されるように、規制部材31に係止部31dを備え、ベース21には係止部31dと係止可能な被係止部21fを備え、ベース21に対して規制部材31を装着可能な構成としてもよい。例えば、係止部31dは爪形状にし、被係止部21fは凹み形状とすればよい。このような構造の係止部31dを被係止部21fに係止することで、規制部材31をベース21に取り付けられるようにすればよい。
【0055】
この係止構造は、規制部材31をベース21に回動可能に取り付けた例で示した規制部材31とベース21にも採用することができる。係止部と被係止部の数や位置については、特に限定するものではないが、係止部と被係止部を上下位置に分けて複数設けることが好ましい。
【0056】
なお、
図13に示すことから理解されるように、規制部材31に係止部31dを備え、係止部31dを、端子部21aに設けた被係止部21fと係止することにより、規制部材31を端子部21aに取り付ける構成とするのが好ましい。
【0057】
このような係止構造だけでは、ボックス端子12の前方への移動によっても規制部材31とベース21の係止が解除されるおそれがある。そこで、規制部材31の移動(係止が解除された後の前方向への移動)や、規制部材31とベース21の係止の解除を規制可能な規制手段を設けることが好ましい。規制手段については、規制部材31をベース21に回動可能に取り付けた例と同様、規制部材31の前方に位置可能なように設けられるものが例示でき、カバー22と一体に形成される規制手段であることが好ましい。
【0058】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。
【符号の説明】
【0059】
11 端子板
12 ボックス端子
12a 端子ねじ
21a 端子部
21d 溝部
21f 被係止部
22 カバー
31 規制部材
31d 係止部