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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062291
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】点灯回路および車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/18 20200101AFI20240430BHJP
   H05B 45/37 20200101ALI20240430BHJP
【FI】
H05B45/18
H05B45/37
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170185
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 和也
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA02
3K273BA30
3K273BA35
3K273CA01
3K273CA02
3K273CA03
3K273DA08
3K273EA07
3K273EA17
3K273EA24
3K273EA25
3K273EA35
3K273EA36
3K273FA03
3K273FA07
3K273FA14
3K273FA22
3K273FA26
3K273GA06
(57)【要約】
【課題】温度ディレーティング特性を柔軟に変更可能な点灯回路を提供する。
【解決手段】第1抵抗R1、第2抵抗R2およびサーミスタTH1は、電源ラインと接地ラインの間に直列に接続される。非反転アンプ232は、第1抵抗R1と第2抵抗R2の接続ノードの電圧を増幅する。第3抵抗R3は、電源ラインとアナログ調光端子の間に接続される。第4抵抗R4は、アナログ調光端子ADIMと接地ラインの間に接続される。電圧クランプ回路234は、アナログ調光端子ADIMに生ずる調光電圧VADIMを、非反転アンプ232の出力電圧Vに応じたクランプレベルを超えないように制限する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体発光素子に駆動電流を供給するDC/DCコンバータと、
アナログ調光端子を有し、前記DC/DCコンバータが生成する前記駆動電流が、前記アナログ調光端子に生ずる調光電圧にもとづく目標量に近づくように、前記DC/DCコンバータをフィードバック制御するコントローラと、
温度に応じた電圧レベルを有する前記調光電圧を生成する温度ディレーティング回路と、
を備え、
前記温度ディレーティング回路は、
電源ラインと接地ラインの間に直列に接続された第1抵抗、第2抵抗およびサーミスタと、
前記第1抵抗と第2抵抗の接続ノードの電圧を増幅する非反転アンプと、
前記電源ラインと前記アナログ調光端子の間に接続された第3抵抗と、
前記アナログ調光端子と前記接地ラインの間に接続された第4抵抗と、
入力に前記非反転アンプの出力電圧を受け、出力が前記アナログ調光端子と接続され、前記アナログ調光端子に生ずる前記調光電圧を、前記非反転アンプの前記出力電圧に応じたクランプレベルを超えないように制限するクランプ回路と、
を備えることを特徴とする点灯回路。
【請求項2】
前記クランプ回路は、
非反転入力端子が前記非反転アンプの出力と接続され、反転入力端子が前記アナログ調光端子と接続された第1オペアンプと、
アノードが前記アナログ調光端子と接続され、カソードが前記第1オペアンプの出力と接続されたダイオードと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の点灯回路。
【請求項3】
前記温度ディレーティング回路は、前記非反転アンプの入力と前記接地ラインの間に接続された第1キャパシタをさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の点灯回路。
【請求項4】
前記温度ディレーティング回路は、前記アナログ調光端子と前記接地ラインの間に接続された第2キャパシタをさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の点灯回路。
【請求項5】
半導体発光素子と、
前記半導体発光素子を駆動する請求項1または2に記載の点灯回路と、
を備えることを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動車などに用いられる車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイビームやロービーム、リアコンビネーションランプなどの車両用灯具の光源として、LED(発光ダイオード)やLD(レーザダイオード)をはじめとする半導体光源の採用が進められている。半導体光源は、そのエネルギー効率、メンテナンスの容易性、デザインの多様性などの観点から、従来のHID(High Intensity Discharge)ランプやハロゲンランプ等の光源に対して利点を有する。
【0003】
半導体光源には、その信頼性を保つために許容しうる定格温度が定められおり、半導体光源の駆動する点灯回路は、半導体光源の温度が定格温度を超えないように、ジャンクション温度、デバイス温度あるいは周囲温度が上昇すると駆動電流を減少させて、つまり光量を低下させて、さらなる温度上昇を抑制する機能(温度ディレーティング機能)を具備する。温度ディレーティング制御は、サーミスタをアナログ回路に組み込み、アナログ回路により、半導体光源に供給する駆動電流の目標値を変化させるものが一般的である。
【0004】
また環境温度が高くなると、光源の発熱により点灯回路内の電子部品の温度が定格温度を超えたり、光源の近傍の樹脂部品が軟化点に近づき、変形してしまう恐れがある。上述の温度ディレーティングは、こうした問題の抑制にも役に立つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-134981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体光源の定格温度はデバイスごとに異なる。またヒートシンクや基板、筐体の形状が異なれば、ある半導体光源を同じ光量で点灯させたときの半導体光源の温度も異なることとなる。したがって温度と駆動電流の目標値の関係(温度ディレーティング特性という)は、灯具ごとに最適化する必要がある。
【0007】
本開示は係る状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、温度ディレーティング特性を柔軟に変更可能な点灯回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のある態様は点灯回路に関する。点灯回路は、半導体発光素子に駆動電流を供給するDC/DCコンバータと、アナログ調光端子を有し、DC/DCコンバータが生成する駆動電流が、アナログ調光端子に生ずる調光電圧にもとづく目標量に近づくように、DC/DCコンバータをフィードバック制御するコントローラと、温度に応じた電圧レベルを有する調光電圧を生成する温度ディレーティング回路と、を備える。温度ディレーティング回路は、電源ラインと接地ラインの間に直列に接続された第1抵抗、第2抵抗およびサーミスタと、第1抵抗と第2抵抗の接続ノードの電圧を増幅する非反転アンプと、電源ラインとアナログ調光端子の間に接続された第3抵抗と、アナログ調光端子と接地ラインの間に接続された第4抵抗と、入力に非反転アンプの出力電圧を受け、出力がアナログ調光端子と接続され、アナログ調光端子に生ずる調光電圧を、非反転アンプの出力電圧に応じたクランプレベルを超えないように制限するクランプ回路と、を備える。
【0009】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明あるいは本開示の態様として有効である。さらに、この項目(課題を解決するための手段)の記載は、本発明の欠くべからざるすべての特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
【発明の効果】
【0010】
本開示のある態様によれば、温度ディレーティング特性を柔軟に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る車両用灯具のブロック図である。
図2】実施形態に係る温度ディレーティング回路の回路図である。
図3図2の温度ディレーティング回路のディレーティング特性を示す図である。
図4】温度ディレーティング回路のディレーティング開始温度Tsの調節を説明する図である。
図5】温度ディレーティング回路のディレーティングの傾きの調節を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0013】
一実施形態に係る点灯回路は、半導体発光素子に駆動電流を供給するDC/DCコンバータと、アナログ調光端子を有し、DC/DCコンバータが生成する駆動電流が、アナログ調光端子に生ずる調光電圧にもとづく目標量に近づくように、DC/DCコンバータをフィードバック制御するコントローラと、温度に応じた電圧レベルを有する調光電圧を生成する温度ディレーティング回路と、を備える。温度ディレーティング回路は、電源ラインと接地ラインの間に直列に接続された第1抵抗、第2抵抗およびサーミスタと、第1抵抗と第2抵抗の接続ノードの電圧を増幅する非反転アンプと、電源ラインとアナログ調光端子の間に接続された第3抵抗と、アナログ調光端子と接地ラインの間に接続された第4抵抗と、入力に非反転アンプの出力電圧を受け、出力がアナログ調光端子と接続され、アナログ調光端子に生ずる調光電圧を、非反転アンプの出力電圧に応じたクランプレベルを超えないように制限するクランプ回路と、を備える。
【0014】
この構成によると、第1抵抗の抵抗値に応じて、ディレーティングの開始温度を設定できる。また非反転アンプの利得に応じて、ディレーティング特性の傾きを設定できる。
【0015】
一実施形態において、クランプ回路は、非反転入力端子が非反転アンプの出力と接続され、反転入力端子がアナログ調光端子と接続された第1オペアンプと、アノードがアナログ調光端子と接続され、カソードが第1オペアンプの出力と接続されたダイオードと、を含んでもよい。
【0016】
一実施形態において、温度ディレーティング回路は、非反転アンプの入力と接地ラインの間に接続された第1キャパシタをさらに備えてもよい。
【0017】
一実施形態において、温度ディレーティング回路は、アナログ調光端子と接地ラインの間に接続された第2キャパシタをさらに備えてもよい。
【0018】
一実施形態に係る車両用灯具は、半導体発光素子と、半導体発光素子を駆動する上述のいずれかの点灯回路と、を備えてもよい。
【0019】
(実施形態)
以下、好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施形態は、開示および発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも開示および発明の本質的なものであるとは限らない。
【0020】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0021】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に接続された(設けられた)状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0022】
また本明細書において、電圧信号、電流信号などの電気信号、あるいは抵抗、キャパシタ、インダクタなどの回路素子に付された符号は、必要に応じてそれぞれの電圧値、電流値、あるいは回路定数(抵抗値、容量値、インダクタンス)を表すものとする。
【0023】
図1は、実施形態に係る車両用灯具100のブロック図である。車両用灯具100は、半導体光源110と、点灯回路200と、を備える。半導体光源110は、ひとつ、または直列に接続された複数の半導体発光素子112を含む。本実施形態において、半導体発光素子112はLED(発光ダイオード)であるが、LD(レーザダイオード)や有機EL(Electro Luminescence)素子であってもよい。
【0024】
点灯回路200は、LDM(LED Driving Module)とも称され、半導体光源110に目標輝度に応じた駆動電流IDRVを供給する。点灯回路200は、DC/DCコンバータ210、コントローラ回路220、温度ディレーティング回路230を備える。
【0025】
点灯回路200の入力端子には、バッテリ2の電圧VBAT(+Bとも称する)がヘッドライトスイッチ3を介して供給される。DC/DCコンバータ210は、半導体光源110に駆動電流IDRVを供給する。
【0026】
コントローラ回路220は、フィードバック端子FBとアナログ調光端子ADIMを有する。フィードバック端子FBには、DC/DCコンバータ210が生成する駆動電流IDRVを示すフィードバック信号VFBが入力される。コントローラ回路220は、フィードバック電圧VFBが、アナログ調光端子ADIMに生ずる調光電圧VADIMにもとづく電圧VREFに近づくように、したがって、駆動電流IDRVが、調光電圧VADIMにもとづく目標量IREFに近づくように、DC/DCコンバータ210をフィードバック制御する。具体的には、DC/DCコンバータ210は、駆動電流IDRVが目標量IREFに近づくようにデューティサイクルおよび/または周波数が変化するパルス変調信号を生成し、パルス変調信号にもとづくゲート駆動信号をDC/DCコンバータ210のスイッチングトランジスタに供給し、スイッチングトランジスタをスイッチングさせる。コントローラ回路220は市販のIC(Integrated Circuit)を用いればよいため、その具体的な構成の説明は省略する。
【0027】
温度ディレーティング回路230は、半導体光源110の温度T(もしくは点灯回路200の周囲温度)に応じた電圧レベルを有する調光電圧VADIMを、コントローラ回路220のアナログ調光端子ADIMに発生する。温度ディレーティング回路230は、温度Tが、ディレーティング開始温度より低い範囲では、調光電圧VADIMを一定に保ち、温度Tが開始温度を超えると、温度上昇にともなって調光電圧VADIMを低下させる。
【0028】
図2は、実施形態に係る温度ディレーティング回路230の回路図である。温度ディレーティング回路230は、サーミスタTH1、第1抵抗R1~第4抵抗R4、非反転アンプ232、電圧クランプ回路234、第1キャパシタC1、第2キャパシタC2を備える。
【0029】
第1抵抗R1、第2抵抗R2およびサーミスタTH1は、電源ラインと接地ラインの間に直列に接続される。第1抵抗R1と第2抵抗R2の接続ノードと、接地ラインの間には、第2キャパシタC2が接続される。
【0030】
非反転アンプ232は、第1抵抗R1と第2抵抗R2の接続ノードBの電圧Vを増幅する。接続ノードBの電圧Vは、式(1)で表される。
=VCC×(R2+RTH)/(R1+R2+RTH) …(1)
THは、サーミスタTH1の抵抗値であり、負の温度特性を有する。つまり温度が上昇するほど、電圧VBが低下していく。
【0031】
非反転アンプ232は、第1オペアンプOA1、抵抗R11,R12を含む。非反転アンプ232のゲインgは、g=(R11+R12)/R12である。非反転アンプ232の出力電圧Vは、式(2)で表される。
=g×V …(2)
【0032】
第3抵抗R3は、電源ラインと、コントローラ回路220のアナログ調光端子ADIMの間に接続される。第4抵抗R4は、アナログ調光端子ADIMと接地ラインの間に接続される。アナログ調光端子ADIMと接地ラインの間には、第1キャパシタC1が接続される。
【0033】
電圧クランプ回路234は、入力に非反転アンプ232の出力電圧Vを受け、出力がアナログ調光端子ADIMと接続される。電圧クランプ回路234は、アナログ調光端子ADIMに生ずる調光電圧VADIMを、非反転アンプ232の出力電圧Vに応じたクランプレベルVCLを超えないように制限する。
【0034】
その限りでないが、電圧クランプ回路234は、第2オペアンプOA2と、ダイオードD1を含む。ダイオードD1のアノードはアナログ調光端子ADIMおよび第2オペアンプOA2の反転入力端子と接続され、カソードは第2オペアンプOA2の出力と接続される。
【0035】
電圧クランプ回路234は、電流ソース能力をもたない電流シンク型のバッファと把握することもできる。したがって、オープンドレイン形式あるいはオープンコレクタ形式の出力段を有するバッファ回路(ボルテージフォロア回路)を、電圧クランプ回路234として用いることができる。
【0036】
以上が温度ディレーティング回路230の構成である。続いてその動作を説明する。
【0037】
図3は、図2の温度ディレーティング回路230のディレーティング特性を示す図である。横軸は温度を、縦軸は、アナログ調光電圧VADIMすなわち駆動電流IDRVの電流量を示す。
【0038】
温度Tが開始温度Tsより低い領域では、電圧クランプ回路234はアナログ調光電圧VADIMに影響しない。したがって、T<Tsの範囲では、
ADIM(NORM)=VCC×R4/(R3+R4)
の一定レベルとなる。
【0039】
温度Tが上昇するに従って、サーミスタTH1の抵抗値RTHは低下していくため、ノードBの電圧Vが低下していき、したがって、クランプレベルを規定する電圧Vが低下していく。電圧Vは、温度Tsにおいて電圧VADIM(NORM)と交差し、T>Tsの範囲ではVADIM≒Vとなる。
【0040】
以上が温度ディレーティング回路230の動作である。温度ディレーティング回路230のディレーティング特性は、開始温度Tsと、T>Tsの領域におけるアナログ調光電圧VADIMの傾きの2つのパラメータで規定される。
【0041】
図2の温度ディレーティング回路230によれば、第1抵抗R1の抵抗値に応じて、ディレーティングの開始温度Tsを設定できる。また非反転アンプ232の利得gに応じて、ディレーティング特性の傾きを設定できる。
【0042】
図4は、温度ディレーティング回路230のディレーティング開始温度Tsの調節を説明する図である。図4の上段は、第1抵抗R1の抵抗値を12kΩとした場合、下段は24kΩとした場合である。その他のパラメータは以下の通りである。
R1=12kΩ、24kΩ
R2=100Ω
R3=15kΩ
R4=15kΩ
R11=R12=10kΩ (g=2)
CC=5V
【0043】
R1=12kΩのとき、開始温度Tsは100℃、R1=24kΩのとき、開始温度Tsは80℃となる。
【0044】
図5は、温度ディレーティング回路230のディレーティングの傾きの調節を説明する図である。図5には、抵抗R11,R12で決まる非反転アンプ232のゲインgが、1,2,4.9のときの特性が示される。なお利得gを変化させると、開始温度Tsもシフトするため、第1抵抗R1の抵抗値は、開始温度Tsが変化しないように調節されている。
【0045】
g=1の場合は、非反転アンプ232を省略しており、その他の回路定数は以下の通りである。
R1=10kΩ
R2=100Ω
R3=15kΩ
R4=15kΩ
CC=5V
【0046】
g=2の場合の回路定数は以下の通りである。
R1=30kΩ
R2=100Ω
R3=15kΩ
R4=15kΩ
R11=R12=10kΩ (g=2)
CC=5V
【0047】
g=4.9の場合の回路定数は以下の通りである。
R1=91kΩ
R2=100Ω
R3=15kΩ
R4=15kΩ
R11=39kΩ、R12=10kΩ (g=4.9)
CC=5V
【0048】
このように、利得gを変化させることにより、T>Tsの領域における傾きを変化させることができる。
【0049】
本開示に係る実施形態について、具体的な用語を用いて説明したが、この説明は、理解を助けるための例示に過ぎず、本開示あるいは請求の範囲を限定するものではない。本発明の範囲は、請求の範囲によって規定されるものであり、したがって、ここでは説明しない実施形態、実施例、変形例も、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
100…車両用灯具、110…半導体光源、112…半導体発光素子、200…点灯回路、210…DC/DCコンバータ、220…コントローラ回路、230…温度ディレーティング回路、R1…第1抵抗、R2…第2抵抗、R3…第3抵抗、R4…第4抵抗、TH1…サーミスタ、C1…第1キャパシタ、C2…第2キャパシタ、232…非反転アンプ、234…電圧クランプ回路。
図1
図2
図3
図4
図5