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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006231
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/27 20230101AFI20240110BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106936
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】碇山 理究
(72)【発明者】
【氏名】奥田 真也
(72)【発明者】
【氏名】今野 拓也
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP32
5F083EP76
5F083ER21
5F083GA10
5F083GA25
5F083GA27
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA39
5F083JA40
5F083MA05
5F083MA06
5F083MA16
5F083PR03
5F083PR21
5F083PR22
5F083PR40
5F101BA46
5F101BA47
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH02
5F101BH14
(57)【要約】
【目的】絶縁層の撓み及び反りを抑制可能な半導体装置の製造方法を提供する。
【構成】実施形態の半導体装置の製造方法は、第1の犠牲膜層と第2の犠牲膜層とが交互に積層された積層膜を形成する工程と、前記積層膜の各層の前記第1の犠牲膜層を除去する工程と、各層の前記第1の犠牲膜層が除去された後に、前記積層膜の各層の前記第2の犠牲膜層をそれぞれ絶縁層に置換する工程と、各層の前記第2の犠牲膜層がそれぞれ前記絶縁層に置換された後に、各層の前記第1の犠牲膜層が除去されたことにより形成された各層の空間にそれぞれ導電層を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の犠牲膜層と第2の犠牲膜層とが交互に積層された積層膜を形成する工程と、
前記積層膜の各層の前記第1の犠牲膜層を除去する工程と、
各層の前記第1の犠牲膜層が除去された後に、前記積層膜の各層の前記第2の犠牲膜層をそれぞれ絶縁層に置換する工程と、
各層の前記第2の犠牲膜層がそれぞれ前記絶縁層に置換された後に、各層の前記第1の犠牲膜層が除去されたことにより形成された各層の空間にそれぞれ導電層を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2の犠牲膜層として、カーボン膜層が用いられることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
各層の前記第1の犠牲膜層が除去されたことにより形成された各層の前記空間を介して、成膜ガスとエッチングガスとを交互に供給することにより、前記積層膜の各層の前記第2の犠牲膜層はそれぞれ前記絶縁層に置換されることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記絶縁層の材料として、酸化シリコンが用いられることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
互いに離間して積層され、その積層方向と交差する方向に延びる板状に形成された複数の導電層と、
前記複数の導電層の各導電層間に形成された複数の絶縁層と、
前記複数の導電層の各導電層と同じ高さ位置に各層が形成された複数の窒化膜層と、
前記複数の絶縁層の各絶縁層と同じ高さ位置に各層が形成された複数のカーボン膜層と、
前記複数の導電層と前記複数の絶縁層とを貫通する半導体を含むチャネルボディと、
前記複数の導電層と、前記チャネルボディの間に設けられた、電荷蓄積膜を含むメモリ膜と、
を備えたことを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置、特に、半導体記憶装置の開発において、大容量化、低コスト化等を達成すべく、メモリセルの微細化が進められている。例えば、メモリセルを3次元的に配置した3次元NAND型フラッシュメモリ装置の開発が進められている。3次元NAND型フラッシュメモリ装置では、絶縁層を介して積層されたワード線層に、ワード線層面に垂直な方向(いわゆる縦方向)にメモリセルを繋げたNANDストリングが形成される。これにより、2次元状にメモリセルを配置する場合に比べて高集積化を達成している。
【0003】
3次元NAND型フラッシュメモリ装置において、上述した構造を形成する手法として、例えば、犠牲膜層と絶縁層とを積層した積層膜を形成する。そして、かかる積層膜の犠牲膜層を除去した後、除去されたことにより形成された空間にワード線層を形成することが行われる。その際、犠牲膜層が除去されたことにより梁状となった絶縁層に撓みや反りが生じてしまう場合があるといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-004249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、絶縁層の撓み及び反りを抑制可能な半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体装置の製造方法は、第1の犠牲膜層と第2の犠牲膜層とが交互に積層された積層膜を形成する工程と、前記積層膜の各層の前記第1の犠牲膜層を除去する工程と、各層の前記第1の犠牲膜層が除去された後に、前記積層膜の各層の前記第2の犠牲膜層をそれぞれ絶縁層に置換する工程と、各層の前記第2の犠牲膜層がそれぞれ前記絶縁層に置換された後に、各層の前記第1の犠牲膜層が除去されたことにより形成された各層の空間にそれぞれ導電層を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態における半導体装置の構成の一部を示す上面図である。
図2】第1の実施形態における半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
図3】第1の実施形態における半導体装置の構成の他の一例を示す断面図である。
図4】第1の実施形態における半導体装置の製造方法の要部工程を示すフローチャート図である。
図5】第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の一部を示す断面図である。
図6】第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の一部を示す断面図である。
図7】第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の一部を示す断面図である。
図8】第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の一部を示す断面図である。
図9】第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の一部を示す断面図である。
図10】第1の実施形態におけるメモリセル領域の構成の一例を示す断面図である。
図11】第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の一部を示す断面図である。
図12】第1の実施形態の比較例における積層膜の犠牲膜を除去した状態の一例を示す図である。
図13】第1の実施形態における積層膜の犠牲膜を除去した状態の一例を示す図である。
図14】第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の一部を示す断面図である。
図15】第1の実施形態における犠牲膜B層/絶縁層置換工程の内部工程の一例を示すフローチャート図である。
図16】第1の実施形態における犠牲膜B層/絶縁層置換工程の内部工程を示す断面図である。
図17】第1の実施形態におけるメモリセル領域の構成の他の一例を示す断面図である。
図18】第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の一部を示す断面図である。
図19】第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の一部を示す断面図である。
図20】第1の実施形態におけるエッチングレートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態では、半導体装置の一例として、3次元NAND型フラッシュメモリ装置について図面を参照して説明する。以下において、基板面に平行であって互いに直交する2方向をx方向とy方向とする。また、基板面に直交する方向をz方向とする。よって、x,y,z方向は互いに直交する方向同士となる。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における半導体装置の構成の一部を示す上面図である。図1の例では、メモリセルアレイの一部を示している。図1の例では、メモリセルアレイの一部として、例えば、2つのセルブロック(メモリセル領域)と、ビット線(BL)コンタクト領域と、2つの無効領域と、ワード線(WL)コンタクト領域と、が配置される構成を示している。2つのセルブロックはy方向に離間して配置される。2つのセルブロックの間にBLコンタクト領域がそれぞれ無効領域を介して配置される。各セルブロック内には、複数のメモリセルが配置される。BLコンタクト領域には、メモリセルアレイの周辺回路とビット線とを電気的に接続するための貫通コンタクトを配置する。また、各セルブロックのx方向端部(或いはx方向中央部)にはWLコンタクト領域が配置される。WLコンタクト領域には、ワード線を周辺回路へと引き出すためのコンタクトを配置する。
【0010】
図2は、第1の実施形態における半導体装置の構成の一例を示す断面図である。図2の例では、図1のAA断面の一例を示している。図2において、第1の実施形態における半導体装置では、下層配線200上に、半導体記憶装置におけるワード線となる互いに離間して積層された複数の導電層10の各層の導電層10と、z方向に隣接する導電層10同士間を絶縁する複数の絶縁層12の各層の絶縁層12とが交互に積層されている。各層の導電層10は、WLコンタクト領域とメモリセル領域とに跨がるように、複数の導電層10の積層方向と交差するx方向に延びる板状の層である。図2の例では、下層配線200上に、まず絶縁層13が配置され、絶縁層13上に第1層目の導電層10が配置される。以降、絶縁層12と導電層10の積層膜が形成される。最上層の導電層10上は絶縁層19で覆われる。
【0011】
図2において、複数のコンタクト16が、WLコンタクト領域内における複数の導電層10が積層された位置で、複数の導電層10のうち下層配線200とは反対側から互いに異なる数の導電層10を貫通する。そして、複数のコンタクト16は、複数の導電層10のうち互いに異なる導電層10と接続する。このように、複数の導電層10と複数の絶縁層12との積層体は、WLコンタクト領域内で各テラスを構成する階段形状には加工されず、各コンタクト16が接続する位置において、同じ層数の積層状態を維持している。各コンタクト16の側壁及び底面には、窒化チタン(TiN)等を用いたバリアメタル膜52が配置される。各コンタクト16は、底面に配置されるバリアメタル膜52を介して、導電層10と接続する。図2の例では、例えば4層の導電層10が示されており、各導電層10にそれぞれコンタクト16が接続する様子が示されている。導電層10の数はこれに限るものではない。さらに多くの導電層がz方向に積層されると好適である。下層側から5層目以降の各導電層10についてもそれぞれコンタクト16が接続することは言うまでもない。
【0012】
例えば、下層側から1層目の導電層10に接続するコンタクト16は、上層側の3つの導電層10を貫通する。下層側から2層目の導電層10に接続するコンタクト16は、上層側の2つの導電層10を貫通する。下層側から3層目の導電層10に接続するコンタクト16は、上層側の1つの導電層10を貫通する。各コンタクト16の側面には、バリアメタル膜52を介して絶縁膜23が配置され、それぞれのコンタクト16が貫通している導電層10との間が絶縁されている。各コンタクト16の材料として、タングステン(W)等の導電性の材料が用いられることは言うまでもない。
【0013】
第1の実施形態では、各コンタクト16の側壁側に形成された絶縁膜23と貫通する導電層10との間に絶縁層12と一体となって形成される絶縁膜(D部)が配置される。絶縁膜(D部)が配置されることにより、絶縁膜23だけの場合と比べて、絶縁膜全体での膜厚を大きくできるので、各コンタクト16と貫通する導電層10との間の絶縁性を向上できる。
【0014】
ここで、図2の例では、各コンタクト16が、自身が接続する導電層10よりも上層の導電層10を貫通する構成を示したが、これに限るものではない。WLコンタクト領域において、複数の導電層10と複数の絶縁層12との積層体が、各テラスを構成する階段形状に加工されても構わない。
【0015】
また、メモリセル領域内で、複数の導電層10と複数の絶縁層12,13,19との積層体を積層方向(z方向)に貫通する柱状のチャネルボディ21が配置される。チャネルボディ21の材料として、半導体材料が用いられる。そして、メモリセル領域内で、各導電層10と、チャネルボディ21の間に、電荷蓄積膜を含むメモリ膜20が配置される。メモリ膜20は、チャネルボディ21側面全体を取り囲むように、複数の導電層10と複数の絶縁層12,13,19との積層体を積層方向に貫通する筒状に配置される。ワード線となる導電層10と、メモリ膜20と、メモリ膜20に囲まれるチャネルボディ21と、の組合せによって、1つのメモリセルを構成する。なお、柱状のチャネルボディ21は、半導体材料を用いて底部を有する筒状の構造が形成され、その内部に絶縁材料を用いたコア部が配置されたものであっても良い。
【0016】
第1の実施形態では、メモリ膜20と導電層10との間に絶縁層12と一体となって形成される絶縁膜(C部)が配置される。絶縁膜(C部)は、メモリ膜20を構成するブロック絶縁膜の一部として機能する。
【0017】
同じチャネルボディ21とメモリ膜20が貫通する各層の導電層10に形成されたメモリセルを繋げた複数のメモリセルにより1つのNANDストリングを構成する。また、1層の導電層10には、複数のチャネルボディ21と、各チャネルボディ21を取り囲むメモリ膜20とが配置される。図2の例では、3つのチャネルボディ21とメモリ膜20との組合せが示されている。
【0018】
各チャネルボディ21の一端は、例えば、積層体より上層で、図示しないビット線コンタクト及びビット線にそれぞれ接続される。各チャネルボディ21の他端は、例えば、積層体より下層で、半導体装置におけるソース線(SL)となる下層配線200に共通に接続される。
【0019】
なお、複数の導電層10において、最下層の導電層10を含む下層側の1層以上、及び最上層の導電層10を含む上層側の1層以上が、選択ゲート線となる導電層10を構成してもよい。
【0020】
図3は、第1の実施形態における半導体装置の構成の他の一例を示す断面図である。図3の例では、図1のBB断面の一例を示している。図3では、セルブロックの端部と無効領域とBLコンタクト領域の一部を示している。セルブロック内の構成は上述した通りである。セルブロックと無効領域との境界には絶縁膜152の壁(分離領域)が配置され、両領域を分離する。
【0021】
図3の例では、分離領域が絶縁膜152で埋め込まれている場合を示したが、これに限るものではない。絶縁膜152をスペーサとして、内部に導電部材が埋め込まれるように構成しても好適である。かかる導電部材の側部は絶縁膜152によって各層の導電層10と電気的に分離される。そして、導電部材の底部は下層配線200と電気的に接続されて、半導体記憶装置におけるソース線コンタクトとしての機能も担う。
【0022】
無効領域には、複数の導電層10と複数の絶縁層12との積層体と、複数の犠牲膜30層と複数の犠牲膜32層との積層体とがy方向に隣接する。複数の導電層10と複数の絶縁層12との積層体がメモリセル領域側に配置される。複数の犠牲膜30層と複数の犠牲膜32層との積層体がBLコンタクト領域側に配置される。犠牲膜30層(窒化膜層の一例)の材料として、例えば、窒化シリコン(SiN)が用いられると好適である。犠牲膜32層(カーボン膜層の一例)の材料として、例えば、カーボン(C)が用いられると好適である。複数の犠牲膜30層は、各層が複数の導電層10の各導電層10と同じ高さ位置に形成される。複数の犠牲膜32層は、各層が複数の絶縁層12の各絶縁層12と同じ高さ位置に形成される。
【0023】
BLコンタクト領域には、x方向に並ぶ複数のコンタクト40が配置される。複数のコンタクト40は、複数の犠牲膜30層と複数の犠牲膜32層との積層膜と絶縁膜13,19と下層配線200を貫通する。そして、下層配線200の下方に形成される図示しない周辺回路に接続される。例えば、下層配線200の下方の図示しない半導体基板及び半導体基板と下層配線200の間の絶縁層内には、配線、及びトランジスタを含む各種素子が形成され、これらは、メモリセルアレイの周辺回路の一部として機能する。各コンタクト40の側壁及び底面には、TiN等を用いたバリアメタル膜42が配置される。各コンタクト40の側壁には、バリアメタル膜42を介して絶縁膜44が配置される。犠牲膜32がカーボン膜等の導電膜である場合、絶縁膜44によって、それぞれのコンタクト40が貫通している犠牲膜32との間が絶縁されている。各コンタクト40の材料として、W等の導電性の材料が用いられることは言うまでもない。
【0024】
また、各絶縁層12,13,19は、隣接する導電層10との間に、後述するように例えば酸化アルミニウム膜(Al)を介在させる構成にしても好適である。かかるケースでは、酸化アルミニウム膜は、メモリ膜20側面の絶縁膜(C部)及びコンタクト16側壁の絶縁膜(D部)と各導電層10との間にも形成される。図2及び図3では、酸化アルミニウム膜の図示は省略している。
【0025】
図4は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法の要部工程を示すフローチャート図である。図4において、第1の実施形態における半導体装置の製造方法では、犠牲膜A層と犠牲膜B層の積層膜形成工程(S102)と、ホール形成工程(S104)と、絶縁膜形成工程(S106)と、犠牲膜C埋め込み工程(S108)と、メモリ膜形成工程(S110)と、チャネル膜形成工程(S111)と、開口部形成工程(S112)と、犠牲膜A層エッチング工程(S114)と、犠牲膜B層/絶縁層置換工程(S116)と、導電層埋め込み工程(S118)と、犠牲膜C除去工程(S120)と、スペーサエッチング工程(S122)と、コンタクト形成工程(S124)と、いう一連の工程を実施する。
【0026】
図5は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の一部を示す断面図である。図5では、図4の犠牲膜A層と犠牲膜B層の積層膜形成工程(S102)を示している。それ以降の工程は後述する。
【0027】
図5において、犠牲膜A層と犠牲膜B層の積層膜形成工程(S102)として、下層配線200上に、例えば、原子層気相成長(atomic layer deposition:ALD、あるいは、atomic layer chemical vapor deposition:ALCVD)法若しくは化学気相成長(chemical vapor deposition:CVD)法を用いて、犠牲膜30(犠牲膜A)層と犠牲膜32(犠牲膜B)層とを交互に積層する。図5の例では、まず、図示しない半導体基板上に絶縁層を介して形成された下層配線200上に絶縁層13を形成した後、犠牲膜30層と犠牲膜32層とを交互に積層する場合を示している。半導体基板として、例えば、直径300ミリのシリコンウェハが用いられる。そして、最上層の犠牲膜30層上には絶縁層19を形成する。絶縁層13,19の材料として、酸化シリコン(SiO)を用いると好適である。かかる工程により、複数の犠牲膜30層の各層の犠牲膜30と、複数の犠牲膜32層の各層の犠牲膜32とが交互に積層された積層膜(積層体)が形成される。犠牲膜30層に用いる犠牲膜として、例えば、SiN膜を用いると好適である。また、犠牲膜32層に用いる犠牲膜として、例えば、カーボン膜を用いると好適である。
【0028】
図6は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の一部を示す断面図である。図6では、図4のホール形成工程(S104)を示している。それ以降の工程は後述する。
【0029】
図6において、ホール形成工程(S104)として、積層膜上の例えば絶縁層19上から上述した犠牲膜30と犠牲膜32の積層膜を貫通する例えば断面円形の開口部(ホール)を形成する。ここでは、後にWLコンタクト領域となる領域にコンタクト形成用の複数のホール150a~150dが形成される。また、図示していないが、メモリセル領域に、同時に複数のメモリホールを形成しても好適である。コンタクト形成用の複数のホール150a~150dと複数のメモリホールは、一括して形成する場合に限るものではなく、別々に形成しても構わない。以下、別々に形成する場合を説明する。
【0030】
具体的には、図示していないレジスト塗布工程、露光工程等のリソグラフィ工程を経て絶縁層19上にレジスト膜が形成された状態に対し、露出した絶縁層19とその下層に位置する犠牲膜30層と犠牲膜32層との積層膜を異方性エッチング法により除去することで、絶縁層19の表面に対し、略垂直にコンタクトホールを形成することができる。例えば、一例として、反応性イオンエッチング(reactive ion etching:RIE)法によりコンタクトホール150a~150dを形成すればよい。
【0031】
例えば、各導電層10のコンタクト用のコンタクトホール150a~150dの位置が開口するようにレジストパターンを形成する。そして、絶縁層19をエッチングする。次に、最下層の導電層10に接続するコンタクトホール150aと下層側から3層目の導電層10に接続するコンタクトホール150cの位置が開口するようにレジストパターンを形成する。そして、コンタクトホール150a,150cについて積層膜の上層側から1層分の犠牲膜30をエッチングする。そして、レジストパターンをアッシングにより除去する。次に、コンタクトホール150aと下層側から2層目の導電層10に接続するコンタクトホール150bの位置が開口するようにレジストパターンを形成する。そして、コンタクトホール150a,150bについて上層側から2層分の犠牲膜30とその間の犠牲膜32とをエッチングする。そして、レジストパターンを除去する。これによりコンタクトホール150aでは最下層の犠牲膜30上に隣接する犠牲膜32に到達するまで開口できる。コンタクトホール150bでは下層側から2層目の犠牲膜30上に隣接する犠牲膜32に到達するまで開口できる。コンタクトホール150cでは下層側から3層目の犠牲膜30上に隣接する犠牲膜32に到達するまで開口できる。コンタクトホール150dでは下層側から4層目の犠牲膜30に到達するまで開口できる。このように、絶縁層19のエッチングと、積層膜に対する2回のエッチングにより、4層分のコンタクトホール150a~150dを形成できる。よって、各導電層10用のコンタクトホールを個別に開口する場合よりも少ないエッチング回数で各導電層10用のコンタクトホール150a~150dを形成できる。
【0032】
図7は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の一部を示す断面図である。図7では、図4の絶縁膜形成工程(S106)を示している。それ以降の工程は後述する。
【0033】
図7において、絶縁膜形成工程(S106)として、例えば、CVD法を用いて、絶縁層19表面と、コンタクトホール150a~150dの側壁及び底面に絶縁膜23を形成する。絶縁膜23の材料として、SiOを用いると好適である。側壁に形成された絶縁膜23は、最終的にコンタクト16と貫通する導電層10との間の絶縁膜23として機能する。
【0034】
図8は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の一部を示す断面図である。図8では、図4の犠牲膜C埋め込み工程(S108)を示している。それ以降の工程は後述する。
【0035】
図8において、犠牲膜C埋め込み工程(S108)として、例えば、CVD法を用いて、コンタクトホール150a~150d内を犠牲膜17(犠牲膜C)で埋め込む。犠牲膜17の材料として、例えば、アモルファスシリコン(α-Si)を用いると好適である。犠牲膜17の材料として、絶縁膜23に対してエッチング耐性がある材料を用いる。
【0036】
図9は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の一部を示す断面図である。図9では、図4のメモリ膜形成工程(S110)と、チャネル膜形成工程(S111)とを示している。それ以降の工程は後述する。
【0037】
図9において、メモリ膜形成工程(S110)として、メモリセル領域において、まず、絶縁膜23と一体となった絶縁層19から絶縁層13まで貫通する図示しない複数のメモリホールを形成する。
【0038】
具体的には、図示していないレジスト塗布工程、露光工程等のリソグラフィ工程を経て絶縁層19上にレジスト膜が形成された状態に対し、露出した絶縁層19とその下層に位置する犠牲膜30層と犠牲膜32層との積層膜と絶縁層13とを異方性エッチング法により除去することで、絶縁層19の表面に対し、略垂直にメモリホールを形成することができる。例えば、一例として、反応性イオンエッチング(reactive ion etching:RIE)法によりメモリホールを形成すればよい。
【0039】
そして、形成された各メモリホール内にそれぞれメモリ膜20を形成する。
【0040】
図10は、第1の実施形態におけるメモリセル領域の構成の一例を示す断面図である。図10では、犠牲膜30層が導電層10(バリアメタル膜11と金属膜)に置換された後の状態を示している。また、犠牲膜32層が絶縁層12に置換された後の状態を示している。メモリ膜20は、ブロック絶縁膜28と、電荷蓄積膜26と、トンネル絶縁膜24と、を有する。以下、具体的に、内部工程を説明する。
【0041】
ブロック膜形成工程として、例えば、ALD法、ALCVD法、或いはCVD法を用いて、各メモリホールの側壁面に沿ってブロック絶縁膜28を形成する。ブロック絶縁膜28は、電荷蓄積膜26と導電層10との間に電荷が流れることを抑制する膜である。ブロック絶縁膜28の材料として、例えば、酸化アルミニウム(Al)、或いはSiO膜を用いると好適である。これにより、メモリ膜20の一部として、メモリホールの側壁面に沿って筒状に配置されたブロック絶縁膜28が形成できる。
【0042】
次に、電荷蓄積膜形成工程として、例えば、ALD法、ALCVD法、或いはCVD法を用いて、各メモリホール内のブロック絶縁膜28の側壁面に沿って電荷蓄積膜26を形成する。電荷蓄積膜26は、電荷を蓄積することが出来る材料を含む膜である。電荷蓄積膜26の材料として、例えば、SiNを用いると好適である。これにより、メモリ膜20の一部として、ブロック絶縁膜28の内側壁面に沿って筒状に配置された電荷蓄積膜26が形成できる。
【0043】
次に、トンネル絶縁膜形成工程として、例えば、ALD法、ALCVD法、或いはCVD法を用いて、各メモリホール内の電荷蓄積膜26の側壁面に沿ってトンネル絶縁膜24を形成する。トンネル絶縁膜24は、絶縁性であるが、所定の電圧の印加により電流を流す絶縁膜である。トンネル絶縁膜24の材料として、例えば、SiO、或いはSiONを用いると好適である。これにより、メモリ膜20の一部として、電荷蓄積膜26の内側壁面に沿って筒状に配置されたトンネル絶縁膜24が形成できる。
【0044】
上述した例では、ブロック絶縁膜28を電荷蓄積膜26の形成前に形成する場合を示しているが、これに限るものではない。メモリ膜形成工程(S110)では、電荷蓄積膜26とトンネル絶縁膜24とを形成しておき、後述する導電層埋め込み工程(S118)の際に、バリアメタル膜および導電性材料を埋め込む前に、後述する置換用溝を介して、ブロック絶縁膜28を形成しても良い。
【0045】
或いは/及び、メモリ膜形成工程(S110)では、電荷蓄積膜26とトンネル絶縁膜24とを形成しておき、後述する犠牲膜B層/絶縁層置換工程(S116)の際に形成される絶縁膜(C部)をブロック絶縁膜28として用いても良い。
【0046】
次に、チャネル膜形成工程(S111)として、例えば、ALD法、ALCVD法、或いはCVD法を用いて、各メモリホール内のトンネル絶縁膜24の内側壁面に沿って柱状にチャネルボディ21となるチャネル膜を形成する。チャネル膜の材料として、半導体材料が用いられる。例えば不純物がドーピングされたシリコン(Si)を用いると好適である。これにより、トンネル絶縁膜24の内側壁面全周に沿って柱状にチャネルボディ21が形成できる。
【0047】
メモリ膜20とチャネルボディ21が形成された積層体上を化学機械研磨(CMP)法により平坦化した後に保護膜51を形成すると好適である。保護膜51の材料として、例えば、SiOを用いると好適である。保護膜51は、メモリセル領域だけではなくWLコンタクト領域についても形成されると好適である。
【0048】
開口部形成工程(S112)として、y方向に各層の板状の導電層10を分離するための溝状の図示しない複数の開口部を形成する。複数の開口部(溝)は、保護膜51上から絶縁層13まで貫通するように形成される。例えば、図3においてメモリセル領域と無効領域とを分離する分離領域を構成する絶縁膜152が埋め込まれる前の溝がかかる複数の開口部の1つに相当する。
【0049】
具体的には、図示していないレジスト塗布工程、露光工程等のリソグラフィ工程を経て保護膜51上にレジスト膜が形成された状態に対し、露出した保護膜51とその下層に位置する絶縁層19と犠牲膜30層と犠牲膜32層との積層膜と絶縁層13とを異方性エッチング法により除去することで、保護膜51の表面に対し、略垂直に溝(トレンチ)を形成することができる。例えば、一例として、反応性イオンエッチング(reactive ion etching:RIE)法により複数の開口部を形成すればよい。
【0050】
図11は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の一部を示す断面図である。図11では、図4の犠牲膜A層エッチング工程(S114)を示している。それ以降の工程は後述する。
【0051】
図11において、犠牲膜A層エッチング工程(S114)として、積層膜の各層の犠牲膜30層(第1の犠牲膜層)を除去する。具体的には、メモリセル領域内とWLコンタクト領域内の積層膜の各層の犠牲膜30層をエッチングにより除去する。かかる構成は、犠牲膜30層を導電層10に置換するリプレース工程の一部となる。具体的には、以下のように実施する。まず、ウェットエッチング法(例えばホットリン酸処理)により、開口部形成工程(S112)により形成された図示しない複数の開口部(置換用溝)を介して、各層の犠牲膜30層をエッチングにより除去する。これにより、各層の犠牲膜32層間に空間31が形成される。WLコンタクト領域では、各層の犠牲膜32層と交差して積層方向に延びる図示しない支柱が支持部材(ピラー)となって、崩れないように各層の犠牲膜32層を支持することができる。メモリセル領域では、各層の犠牲膜32層と交差して積層方向に延びるメモリ膜20とチャネルボディ21とが支持部材(ピラー)となって、崩れないように各層の犠牲膜32層を支持することができる。
【0052】
図12は、第1の実施形態の比較例における積層膜の犠牲膜を除去した状態の一例を示す図である。第1の実施形態の比較例では、犠牲膜30層とSiO膜層との積層膜を用いる。比較例のかかる積層膜において、犠牲膜30層をエッチングにより除去すると、図12に示すように、梁となったSiO膜層に撓みや反りが生じる場合がある。これは、SiO膜の圧縮応力或いは/及びエッチング時の洗浄液による表面張力にSiO膜の剛性が負けてしまうことに起因すると想定される。そのため、SiO膜層よりもヤング率(縦弾性係数)が高い材料で梁を形成することが望ましい。
【0053】
図13は、第1の実施形態における積層膜の犠牲膜を除去した状態の一例を示す図である。第1の実施形態では、上述したように、SiO膜層の代わりに、例えば、カーボン膜を用いた犠牲膜32層を積層膜に用いる。カーボン膜のヤング率はSiO膜のヤング率よりも大きい。具体的には、ヤング率が70GPaのSiO膜に対して、カーボン膜のヤング率は80~100GPaかそれ以上が得られる。さらに、カーボンはガラス転移しないため、ガラス転移点以上の温度でのアニールによる応力シフトがない。また、熱膨張係数は、Si:3.9,SiN:2.6~3.5,SiO:0.6,C:3.2である。このように、カーボンは、熱膨張係数がシリコン(Si)及びSiN(犠牲膜30に使用される材料)と近いため、高温時の反りを小さくできる。その結果、図13に示すように、犠牲膜30層をエッチングにより除去した後に、梁となった犠牲膜32層の撓みや反りを抑制或いは低減できる。
【0054】
ここで、カーボン膜は導電性のため、導電層10間の層間絶縁膜には適さない。そのため、後述する導電層埋め込み工程(S118)によりバリアメタル膜および導電性材料を埋め込む前に、犠牲膜32層を絶縁層12に置換する。
【0055】
図14は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の一部を示す断面図である。図14では、図4の犠牲膜B層/絶縁層置換工程(S116)を示している。それ以降の工程は後述する。
【0056】
図14において、犠牲膜B層/絶縁層置換工程(S116)として、ALD法を用いて、各層の犠牲膜30層が除去された後に、積層膜の各層の犠牲膜32層をそれぞれ絶縁層12に置換する。具体的には、以下のように実施する。
【0057】
図15は、第1の実施形態における犠牲膜B層/絶縁層置換工程の内部工程の一例を示すフローチャート図である。図15において、第1の実施形態では、犠牲膜B層/絶縁層置換工程(S116)の内部工程として、成膜ガス供給工程(S202)と、パージ工程(S204)と、エッチングガス供給工程(S206)と、パージ工程(S208)と、の一連の工程を繰り返し実施する。各層の犠牲膜30層が除去されたことにより形成された各層の空間31を介して、成膜ガスとエッチングガスとを交互に供給することにより、積層膜の各層の犠牲膜32層はそれぞれ絶縁層12に置換される。
【0058】
図16は、第1の実施形態における犠牲膜B層/絶縁層置換工程の内部工程を示す断面図である。図16では、図15に示す成膜ガス供給工程(S202)と、エッチングガス供給工程(S206)とを示す。
【0059】
図16において、成膜ガス供給工程(S202)として、ALD法を用いて、成膜ガスを犠牲膜32層に供給する。成膜ガスは、開口部形成工程(S112)により形成された図示しない複数の開口部(置換用溝)を介して、梁となった犠牲膜32層に供給される。成膜ガスの材料として、例えば、クロロシラン(Chlorosilanes)、アルキルアミノシラン(Alkyl-aminosilanes)、或いは塩素と炭素を含まない前駆体(Chlorine-free and carbon-free precursors)等を用いると好適である。クロロシランの一例として、例えば、SiHCl、或いはSiCl等が好適である。アルキルアミノシランの一例として、例えば、3DMAS(SiH(N(CH)、或いはBTBAS(SiH(NHtBu))等が好適である。塩素と炭素を含まない前駆体の一例として、SiH4、TSA(N(SiH)、或いはNPS((SiHSi)等が好適である。成膜ガスは、前駆体(プリカーサ)となり、犠牲膜32層の表面及び裏面に吸着する。
【0060】
図16において、パージ工程(S204)として、パージガスを供給し、成膜ガスを排出する。パージガスとして、例えば、窒素(N)ガス、或いはアルゴン(Ar)ガスを用いると好適である。
【0061】
図16において、エッチングガス供給工程(S206)として、ALD法を用いて、エッチングガスを供給する。エッチングガスは、犠牲膜32層をエッチングする。犠牲膜32として、カーボンを用いる場合、カーボンを酸化させることによりエッチングする。よって、エッチングガスの材料は、酸化剤となる、例えば、酸素(O)、オゾン(O)、水(HO)、過酸化水素(H)が好適である。或いは、O、亜酸化窒素(NO)、二酸化炭素(CO)、或いはHOを用いたプラズマが好適である。また、エッチングガスは、プリカーサを酸化及び分解させる酸化剤としても機能する。これにより、犠牲膜32層の表面及び裏面に吸着したプリカーサはSiO膜となり、内側のカーボンはCOガスとなり犠牲膜32から離脱する。
【0062】
図16において、パージ工程(S208)として、パージガスを供給し、エッチングガスを排出する。
【0063】
かかる成膜ガス供給工程(S202)と、パージ工程(S204)と、エッチングガス供給工程(S206)と、パージ工程(S208)と、の一連の工程は、同じチャンバ内で続けて実施できる。
【0064】
これらの成膜ガスとエッチングガスとの交互供給の間、真空環境において基板(ウェハ)温度が、例えば、100~800℃に設定されると好適である。具体的には、プリカーサを酸化でき、かつ水が蒸発する温度以上でプリカーサが自己分解しない温度未満に設定されると好適である。かかる成膜ガス供給工程(S202)と、パージ工程(S204)と、エッチングガス供給工程(S206)と、パージ工程(S208)と、の一連の工程を繰り返し実施することで、犠牲膜32層の表面側及び裏面側から絶縁層12への置換を進行させることができる。
【0065】
絶縁層12として、SiO膜の層を形成できる。これにより、図14に示すように、犠牲膜32層を絶縁層12に置換できる。このように、犠牲膜30が除去された後に犠牲膜32層から置換されることにより形成された絶縁層12は、犠牲膜30をエッチングするためのエッチング液に晒されないので、絶縁層12には表面張力による撓みが生じない。
【0066】
なお、成膜ガスは、メモリ膜20の露出面及びコンタクトホール150a~150d側壁の絶縁膜23の露出面にも合わせて吸着する。同様に、エッチングガスは、メモリ膜20の露出面及びコンタクトホール150a~150d側壁の絶縁膜23の露出面に吸着したプリカーサを酸化及び分解させる。これにより、図14に示すように、メモリ膜20の側面に絶縁膜(C部)を形成する。同様に、コンタクトホール150a~150d側壁の絶縁膜23の側面に絶縁膜(D部)を形成する。ここで、犠牲膜32層から絶縁層12への置換では、犠牲膜32層の表面側及び裏面側の両側から絶縁層12への置換が進行するので、メモリ膜20の側面及びコンタクトホール150a~150d側壁には、例えば、絶縁層12の膜厚の略1/2の膜厚で絶縁膜(C部及びD部)を形成できる。
【0067】
また、第1の実施形態では、絶縁層13を最下層の犠牲膜30の下層に配置し、絶縁層19を最上層の犠牲膜30の上層に配置することにより、各犠牲膜32の表面及び裏面の両面を犠牲膜30と隣接させることができる。言い換えれば、犠牲膜30層を除去した場合に、表面側だけが空間31となる絶縁層13と裏面側だけが空間31となる絶縁層19は、犠牲膜32ではなく、最初からSiO膜のような絶縁材料により成膜される。これにより、犠牲膜32層の置換が終了した場合のカーボン残りを防止できる。
【0068】
上述した例では、犠牲膜32層をSiO膜の層へと置換する場合を説明したが、これに限るものではない。例えば、犠牲膜32層をSiON膜の層へと置換することもできる。かかる場合、成膜ガスはSiO膜の層へと置換する場合と同じガスを用いることができる。また、エッチングガスの材料として、酸化剤の他に、窒化剤として、アンモニア(NH)を供給する。或いは、NH、Nを用いたプラズマを供給しても好適である。
【0069】
図17は、第1の実施形態におけるメモリセル領域の構成の他の一例を示す断面図である。図17では、導電層10が形成された後の状態を示している。導電層10の形成の前に、犠牲膜B層/絶縁層置換工程(S116)における絶縁層12への置換に引き続き、同じチャンバを用いて、置換用溝を介して、ALD法を用いて、かかる各層の絶縁層12間の空間31内に高誘電率(high-k)膜53を形成しても好適である。高誘電率膜53の材料として、例えば、酸化アルミニウム(Al)などの金属酸化膜を用いることができる。これにより、空間31内に露出した各層の絶縁層12,13,19上と、絶縁膜(C部)上と、絶縁膜(D部)上とに、ブロック絶縁膜の一部として機能する高誘電率膜53が形成される。なお、図2及び図3では、高誘電率膜53の図示は省略している。
【0070】
図18は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の一部を示す断面図である。図18では、図4の導電層埋め込み工程(S118)を示している。それ以降の工程は後述する。
【0071】
図18において、導電層埋め込み工程(S118)として、各層の犠牲膜32層がそれぞれ絶縁層12に置換された後に、各層の犠牲膜30層が除去されたことにより形成された各層の空間31にそれぞれ導電層10を形成する。
【0072】
具体的には、ALD法、ALCVD法、或いはCVD法を用いて、開口部形成工程(S112)により形成された図示しない複数の開口部(置換用溝)を介して、各層の絶縁層12間の空間31の上下壁面及び側壁に、まずは図10(或いは図17)に示したバリアメタル膜11を形成する。その後、ALD法、ALCVD法、或いはCVD法を用いて、かかる各層の絶縁層12間の空間31内にワード線となる導電性材料を埋め込み、導電層10を形成する。バリアメタル膜11の材料として、例えば、TiNを用いると好適である。また、導電層10の導電性材料として、タングステン(W)を用いると好適である。
【0073】
図19は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の一部を示す断面図である。図19では、図4の犠牲膜C除去工程(S120)を示している。それ以降の工程は後述する。
【0074】
図19において、犠牲膜C除去工程(S120)として、まず、保護膜51を除去した後、コンタクトホール150a~150dに埋め込まれた犠牲膜17をエッチングにより除去する。
【0075】
次に、スペーサエッチング工程(S122)として、コンタクトホール150a~150dの底部に形成された絶縁膜23(スペーサの一部)をエッチングにより除去し、引き続き、コンタクトホール150a~150cの下層の1層分の絶縁層12をエッチングにより除去する。例えば、一例として、指向性を持った反応性イオンエッチング(RIE)法により絶縁膜23の底面部分及びその下層の絶縁層12の露出した部分を除去すればよい。これにより、各コンタクトホール150a~150dの底面側に導電層10を覆うバリアメタル膜11を露出させることができる。
【0076】
次に、コンタクト形成工程(S124)として、まず、ALD法、ALCVD法、或いはCVD法を用いて、複数のコンタクトホール150a~150d内の壁面及び底面に、TiN等を用いたバリアメタル膜52を形成する。
【0077】
そして、高さが異なる複数のコンタクトホール150a~150d内に導電性材料を埋め込む。例えば、Wを埋め込む。これにより、図2に示したように、各コンタクト16が、それぞれ対応する導電層10と底面で接続する。また、各コンタクト16の側壁に配置された側壁膜となる絶縁膜23及び絶縁膜(D部)によって各コンタクト16が貫通する導電層10を各コンタクト16から絶縁する。
【0078】
図20は、第1の実施形態におけるエッチングレートの一例を示す図である。図20の例では、絶縁層と犠牲膜30との積層膜にメモリホールを形成する場合(絶縁膜と表示)とカーボン膜と犠牲膜30との積層膜にメモリホールを形成する場合(導電膜有と表示)とを示している。メモリホールをRIE等のプラズマエッチング法により形成する場合、ホール内の絶縁層が帯電する。かかる帯電の影響によりエッチングレート(E/R)が低下する。これに対して、第1の実施形態では、積層膜はその間に導電性のカーボン膜を挟んで積層されているため、電荷をカーボン膜を介して逃がすことができる。そのため、帯電が生じにくい。その結果、メモリホールをRIE等のプラズマエッチング法により形成する場合、エッチングレートを向上できる。図20の例では、絶縁層と犠牲膜30との積層膜を加工する場合に比べて、エッチングレートが4倍程度向上することがわかる。コンタクトホールを形成する場合についても、同様に、エッチングレートを向上できる。
【0079】
また、上述した犠牲膜A層エッチング工程(S114)におけるエッチング液の到達距離は、エッチング時間により制御される。そして、メモリセル領域及びWLコンタクト領域内の犠牲膜30層が除去される程度の時間にエッチング時間は制御される。一方、無効領域内には置換用溝が形成されない、或いは形成される場合でも絶縁膜等により埋め込まれている。そのため、無効領域内にはエッチング時間内では除去できなかった犠牲膜30層が残る。言い換えれば、無効領域内には、図3に示すように、犠牲膜30層を除去できる限界位置(置換限界)が存在する。かかる限界位置よりもBLコンタクト領域側では、犠牲膜30層が残ることになり、犠牲膜30層が除去されたことによる各層の空間31が形成されない。よって、犠牲膜B層/絶縁層置換工程(S116)において犠牲膜32層が絶縁層12に置換されることもない。その結果、図3に示すように、無効領域においては、複数の導電層10と複数の絶縁層12との積層体と、複数の犠牲膜30層と複数の犠牲膜32層との積層体とがy方向に隣接する。
【0080】
なお、図3に示すコンタクト40の形成工程と絶縁膜152の埋め込み工程については説明を省略した。コンタクト40は、コンタクト16形成時に、合わせて形成すると好適である。絶縁膜152の埋め込みは、導電層10形成後に実施される。
【0081】
以上のように、第1の実施形態によれば、積層膜の絶縁層12の撓み及び反りを抑制できる。
【0082】
以上、具体例を参照しつつ実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、犠牲膜30層と犠牲膜32層の積層体を含む領域は、メモリ領域とBLコンタクト領域の間の代わりに、或いは、メモリ領域とBLコンタクト領域の間に加えて、メモリ領域やWLコンタクト領域を含むメモリセルアレイの端部において犠牲膜30層のエッチング工程で犠牲膜30層を除去できる限界位置の、さらに外縁などに配置されていても構わない。
【0083】
また、各膜の膜厚や、開口部のサイズ、形状、数などについても、半導体集積回路や各種の半導体素子において必要とされるものを適宜選択して用いることができる。
【0084】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての半導体装置は、本発明の範囲に包含される。
【0085】
また、説明の簡便化のために、半導体産業で通常用いられる手法、例えば、フォトリソグラフィプロセス、処理前後のクリーニング等は省略しているが、それらの手法が含まれ得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0086】
10 導電層、11,42,52 バリアメタル膜、12,13,19 絶縁層、16,40 コンタクト、23,44 絶縁膜、20 メモリ膜、21 チャネルボディ、24 トンネル絶縁膜、26 電荷蓄積膜、28 ブロック絶縁膜、30,32 犠牲膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20